JP3542945B2 - ハタケシメジの人工栽培方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、食用きのことして有用なハタケシメジ〔学名 リオフィラム デカステス(Lyophyllum decastes) 〕の人工栽培方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ハタケシメジは、夏から秋にかけて人家の近くや、畑、林地等に広く発生するきのこで、形はホンシメジに良く似ている。味は非常に良く、肉質はホンシメジより固くて歯切れの良いきのこであり、好んで食用とされている。
近年、エノキタケ、ヒラタケ、ブナシメジ、ナメコ等において、主に鋸屑と米糠を混合した培養基を用いて栽培を行う菌床人工栽培方法が確立され、一年を通して四季に関係なく、安定してきのこが収穫できるようになっている。
ハタケシメジについても食用きのことして有用なことから、栽培方法が種々検討されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ハタケシメジは腐生性菌のために一般の原木利用の栽培は困難であるといわれている。福島県林業試験場ではバーク堆肥を培地素材の主体とし、それに栄養添加剤として米糠やフスマを加えた培地を用いた袋栽培方法や、培地を野外に埋め込む自然栽培方法を検討している。バーク堆肥と米糠を重量比で10:1.5とし、仕込み時含水率で65%の培地1kgを用いた袋栽培での栽培試験によれば、ハタケシメジ子実体の発生期間は長期間にわたり、その集中的な発生もなく、発生割合で最も大きな値となった期間を接種からの通算日数で見ると、供試菌株間で差のあるものの、180〜240日と栽培に長時間を要している。また、栽培中の害菌の発生も多く、本方法による栽培方法では効率が悪いと報告している(福島県林業試験場研究報告 No.19)。
そこで次に、培養培地を野外に埋め込む自然栽培方法の検討を開始している(福島県林業試験場研究報告 No.20)。
また、特開昭63−169913号公報においては、鋸屑100に対し、鶏糞、腐葉土、灰、糠をそれぞれ0.5〜0.6の重量比で混合した培地を用いたビン栽培によるハタケシメジの栽培方法が記載されているが、該栽培方法は通常のきのこビン栽培方法と異なり、菌かき、注水処理後にビン口を逆にして一週間程度栽培し、あとビン口を上とする元の状態に戻し、再び栽培する工程を行っており、通常のきのこビン栽培方法に比べ、操作が煩雑で作業性も悪い。
【0004】
本発明の目的は、上記現状にかんがみ、有用食用きのこであるハタケシメジを、施設において工業的に、高品質かつ安価に、短期間に効率よく製造することが可能なハタケシメジの人工栽培方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明を概説すれば、本発明は、培養基表面に覆土を行わない菌床人工栽培方法においてIFO 30260と比較して子実体形成能が優れたハタケシメジ新菌株であって、ハタケシメジK−3303(FERM BP−4347)、ハタケシメジK−3304(FERM BP−4348)、ハタケシメジK−3305(FERM BP−4349)、及びこれらの変異株から選択されるハタケシメジ新菌株を、培養基表面に覆土を行わない菌床人工栽培方法で栽培することを特徴とするハタケシメジ菌株の人工栽培方法に関する。
【0006】
きのこは一般に、同じ種に属する菌株でありながら、採集された場所の違いにより菌糸の生育速度及び子実体形成能力が著しく異なることが知られている。本発明者らは、通常の菌床人工栽培に適する菌株が、自然界に必ず存在するはずであるとの考えに立ち、各地よりハタケシメジの採集を行い鋭意検討した結果、スイス国内にて採集した菌株等が、容易かつ高収量で良好な子実体を形成することを見出し、本発明を完成した。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体的に説明する。
菌株の検討は、以下のごとく行った。PGY液体培地(組成:グルコース2.0%、ペプトン0.2%、酵母エキス0.2%、KH2 PO4 の0.05%及びMgSO4 ・7H2 Oの0.05%、pH6.0)100mlにハタケシメジ各菌株を接種して、25℃で10日間培養し液体種菌とした。ポリプロピレン製の広口培養ビン(850ml)に、腐葉土50g、鋸屑50g、米糠100gに水350gを加えて良く混合し、湿潤状態にしたものを圧詰して、中央に直径1cm程度の穴を開け、打栓後120℃60分間殺菌し、固形培養基を調製した。これに上記の各液体種菌を20mlずつ接種し、まず暗所で、温度25℃、湿度55%条件下、培養基に見掛け上菌糸がまわるまで培養し、更に30日間培養を続け熟成させた。次に、菌かきをして培養基の上部から約1cmほどの菌糸層を除いてから、水道水をビン口まで加えて3時間放置後排水し、照度20ルックス、温度15℃、湿度90%の条件下で子実体原基が形成されるまで培養を続けた。原基が形成された培養基は、次に照度500ルックス、温度15℃、湿度90%の条件下で成熟子実体が得られるまで培養を続け、ハタケシメジの各菌株における子実体収量、総栽培日数、子実体の形状について調べた。
その結果を表1に示す。
【0008】
【表1】
【0009】
表1において不可とは総栽培日数180日を経過しても子実体が形成されない場合をいう。また、表1における形状とは、◎は子実体の形が優れたもの、○は子実体の形が良いもの、×は子実体の形が劣るものを示す。
【0010】
表1で明らかなように、供試した菌株のうち、K−3303株、K−3304株、K−3305株の3株は、総栽培日数約90日と短かく、収量も約140g以上と多く、その栽培子実体も、傘色、柄色、形状等天然採取物と同等であり、特に優れた性状を示した。
なお、表1に示した各菌株について、前述特開昭63−169913号公報の方法に準じ、菌かき、注水後ビン口を逆にする工程を加え、栽培試験を行ったが、顕著な効果は認められず、むしろ減収であった。
【0011】
表1で示したハタケシメジ菌株のうち、K−番号で示した菌株の子実体及び胞子の形態的特徴は、以下の通りである。
【0012】
子実体は群生、傘は径5cm前後、広く凸状でほぼ円形。表面は灰褐色で、古いものは色が薄くなる。傘中央部が特にやや粉状のビロード毛で覆われ、縁部は下方に巻く。肉は白色を帯び、香りは多少粉臭がある。ヒダはやや黄色を帯びた白色で、密。柄は長さ5cm前後、太さ1cm前後で、上下同大あるいは下方がややふくらみ、淡灰色で、固く弾力があってしっかり詰まる。胞子は平滑で球形あるいはほぼ球形。5.5〜7.5 ×5〜7μm。
【0013】
以上の特徴を今関六也、本郷次雄編著「原色日本新菌類図鑑 (I)」保育社(昭和62年6月10日初版発行)の記載と比較すると、これらの菌株はハタケシメジであることが明りょうである。
【0014】
これらの供試菌株中、K−3303株は Lyophyllum decastes K−3303と表示し、通商産業省工業技術院生命工学工業技術研究所にFERM BP−4347として、K−3304株は Lyophyllum decastes K−3304と表示し、FERM BP−4348として、K−3305株は Lyophyllum decastes K−3305と表示し、FERM BP−4349としてそれぞれ寄託されている。
【0015】
次に、寄託菌株、ハタケシメジK−3303株、K−3304株、K−3305株の3株の菌学的諸性質をそれぞれ以下に示す。
【0016】
(1)ハタケシメジK−3303株
▲1▼ 麦芽エキス寒天培地(20℃)における生育状態
10日目でコロニー径は28mm、白色で密な菌糸、気菌糸を生じる。15日目でコロニー径は48mm、20日目でコロニー径は67mmとなり、菌糸は白色で密、直線状に伸びる。気菌糸が多い。裏面は一様で変色はない。
▲2▼ バレイショ・ブドウ糖寒天培地(20℃)における生育状態
10日目でコロニー径は28mm、白色で密な菌糸、気菌糸を多量に生じる。15日目でコロニー径は49mm、20日目でコロニー径は64mmとなり、菌糸は白色で密、マット状に盛り上がる。気菌糸が大変多い。裏面は一様で変色はない。▲3▼ オートミール寒天培地(20℃)における生育状態
10日目でコロニー径は34mm、菌糸は薄く放射状に伸びる。15日目でコロニー径は58mm、20日目でコロニー径は80mmとなり、菌糸は白色で放射状に伸びる。気菌糸は薄いが20日目では濃くなる。裏面は一様で変色はない。
▲4▼ フェノールオキシダーゼ検定用培地〔0.1%没食子酸添加ポテト・グルコース寒天培地〕(20℃)における生育状態
10日目では生育悪く、コロニー径は9mm、菌糸は白色で、気菌糸は多い。褐変半径は35mm。20日目でコロニー径は15mm、褐変半径は50mm。菌糸は白色で盛り上がる。
▲5▼ 最適生育温度
PGY寒天培地(PGY液体培地に寒天を加えたもの)に直径6mmの種菌を接種し、各温度でそれぞれ培養して、14日後に各コロー径を測定したところ、最適生育温度は25℃付近であった。また、5℃ではほとんど生育せず、30℃では全く生育しなかった。
▲6▼ 最適生育pH
PGY液体培地40mlを殺菌後、各pHに調整し、直径6mmの種菌を接種して、25℃、14日間培養した。集菌後、乾燥して重量を測定したところ、最適pHは6付近であった。また、本菌株の生育範囲は、pH4〜pH9の間であった。
【0017】
(2)ハタケシメジK−3304株
▲1▼ 麦芽エキス寒天培地(20℃)における生育状態
10日目でコロニー径は25mm、白色で密な菌糸、気菌糸を生じる。15日目でコロニー径は44mm、20日目でコロニー径は65mmとなり、菌糸は白色で密、直線状に伸びる。気菌糸が多い。裏面は一様で変色はない。
▲2▼ バレイショ・ブドウ糖寒天培地(20℃)における生育状態
10日目でコロニー径は32mm、白色で密な菌糸、気菌糸を多量に生じる。15日目でコロニー径は53mm、20日目でコロニー径は69mmとなり、菌糸は白色で密、マット状に盛り上がる。気菌糸が大変多い。裏面は一様で変色はない。▲3▼ オートミール寒天培地(20℃)における生育状態
10日目でコロニー径は31mm、菌糸は薄く放射状に伸びる。15日目でコロニー径は55mm、20日目でコロニー径は76mmとなり、菌糸は白色で放射状に伸びる。気菌糸は薄いが20日目では濃くなる。裏面は一様で変色はない。
▲4▼ フェノールオキシダーゼ検定用培地(20℃)における生育状態
10日目では生育悪く、コロニー径は9mm、菌糸は白色で、気菌糸は多い。褐変半径は36mm。20日目でコロニー径は18mm、褐変半径は52mm。菌糸は白色で盛り上がる。
▲5▼ 最適生育温度
PGY寒天培地に直径6mmの種菌を接種し、各温度でそれぞれ培養して、14日後に各コロー径を測定したところ、最適生育温度は25℃付近であった。また、5℃ではほとんど生育せず、30℃では全く生育しなかった。
▲6▼ 最適生育pH
PGY液体培地40mlを殺菌後、各pHに調整し、直径6mmの種菌を接種して、25℃、14日間培養した。集菌後、乾燥して重量を測定したところ、最適pHは5付近であった。また、本菌株の生育範囲は、pH4〜pH9の間であった。
【0018】
(3)ハタケシメジK−3305株
▲1▼ 麦芽エキス寒天培地(20℃)における生育状態
10日目でコロニー径は20mm、白色で密な菌糸、気菌糸を生じる。15日目でコロニー径は35mm、20日目でコロニー径は49mmとなり、菌糸は白色で密、直線状に伸びる。気菌糸が多い。裏面は中央部に放射状のしわがあり、変色は無し。
▲2▼ バレイショ・ブドウ糖寒天培地(20℃)における生育状態
10日目でコロニー径は27mm、白色で密な菌糸、気菌糸を多量に生じる。15日目でコロニー径は42mm、20日目でコロニー径は57mmとなり、菌糸は白色で密、マット状に盛り上がる。気菌糸が大変多い。裏面は中央部に放射状のしわがあり、変色は無し。
▲3▼ オートミール寒天培地(20℃)における生育状態
10日目でコロニー径は33mm、菌糸は薄く放射状に伸びる。15日目でコロニー径は53mm、20日目でコロニー径は73mmとなり、菌糸は白色で放射状に伸びる。気菌糸は20日目でも薄い。裏面は中央部に放射状のしわがあり、変色は無し。
▲4▼ フェノールオキシダーゼ検定用培地(20℃)における生育状態
10日目では生育悪く、コロニー径は11mm、菌糸は白色で、気菌糸は多い。褐変半径は30mm。20日目でコロニー径は14mm、褐変半径は43mm。菌糸は白色で盛り上がる。
▲5▼ 最適生育温度
PGY寒天培地に直径6mmの種菌を接種し、各温度でそれぞれ培養して、14日後に各コロニー径を測定したところ、最適生育温度は25℃付近であった。また、5℃ではほとんど生育せず、30℃では全く生育しなかった。
▲6▼ 最適生育pH
PGY液体培地40mlを殺菌後、各pHに調整し、直径6mmの種菌を接種して、25℃、14日間培養した。集菌後、乾燥して重量を測定したところ、最適pHは5付近であった。また、本菌株の生育範囲は、pH4〜pH9の間であった。
【0019】
更に、ハタケシメジK−3303株、K−3304株、K−3305株と他のハタケシメジとの異同について、寒天培地上における対峙培養によって調べた。供試したハタケシメジ株は、表1に示した15株すべてである。供試菌株の二核菌糸を保存スラント(PGY寒天斜面培地)より3mm×3mm×3mmのブロックとして切り出し、それぞれをPGY寒天平板培地の中央部に対峙して接種し(2cm間隔)、25℃、20日間培養後、両コロニー境界部に帯線が生じるか否かを判定した。結果を表2に示す。
【0020】
【表2】
【0021】
表2に示したように、K−3303株、K−3304株、K−3305株の3株は、供試菌株すべてと帯線を形成したことから、新しい株であることは明白である。
【0022】
本発明のハタケシメジ菌株は、通常の菌床人工栽培方法で栽培することができる。
【0023】
本発明において、通常の菌床人工栽培方法とは、エノキタケ、ヒラタケ、ブナシメジなどのきのこ栽培に用いられている方法であって、ビン栽培、袋栽培、箱栽培等があり、菌かき後にビン口を逆さにする栽培工程、又は栽培物を覆土する栽培工程は包含しない栽培方法をいう。
ここでは一例としてビン栽培について述べると、その方法とは通常、培地調製、ビン詰め、殺菌、接種、培養、菌かき、芽だし、生育、収穫の各工程からなる。培地調製とは、通常きのこの人工栽培に使用されている鋸屑と米糠、ふすま、大麦粉砕物などの混合物に水を加えて湿潤状態にする工程で腐葉土、バーク堆肥、麦わら堆肥、廃オガ堆肥、コンポストなどを加えることが好ましく、水分含量は60〜75%好ましくは65%付近が適当である。培地組成はハタケシメジ子実体形成良好な組成であればよいが、その一例を示せば、鋸屑、腐葉土、米糠の組合せがある。鋸屑は培地基材として、米糠は栄養源として、腐葉土は腐生性菌の例えば生長因子として作用する。腐葉土の培地への添加量は重量比として、1%以上添加されれば良く、好ましくは5%以上の添加が良い。ビン詰めとは、800〜1000ml容好ましくは850ml容のポリプロピレン製広口培養ビンに、調製した培地を 450g〜750g好ましくは550g圧詰し、中央に1cm程度の穴を開け、打栓する工程をいう。殺菌とは、蒸気により培地中のすべての微生物を死滅させる工程で、常圧殺菌では98℃、4〜5時間、高圧殺菌では120℃、30〜90分間行われる。接種とは、放冷された培地に種菌を植えつける工程で、種菌としてはハタケシメジ菌株をPGY液体培地で25℃、10〜15日間培養したものを用いることができ、1ビン当り20mlほど無菌的に植えつける。また、ここまで説明した工程で得られる液体種菌接種済みの培養基を、25℃で30〜40日間培養し、培養基全体にハタケシメジの菌糸がまん延したものを固体種菌として用いることができ、1ビン当り15gほど無菌的に植えつける。培養とは、接種済みの培養基を温度20〜25℃、湿度40〜70%において菌糸をまん延させ、更に熟成をさせる工程で、40〜120日間好ましくは80日間前後行われる。菌かきとは、種菌部分と培養基表面をかき取り、原基形成を促す工程で、菌かき後は、直ちにビン口まで水を入れ3〜5時間後排水する。芽だしとは、子実体原基を形成させる工程で、温度10〜20℃好ましくは15℃前後、湿度80%以上好ましくは85〜95%、照度500ルックス以下好ましくは50ルックス以下で10〜20日間培養を続けると、ハタケシメジの原基が形成される。生育とは、子実体原基から成熟子実体を形成させる工程で温度10〜20℃好ましくは15℃前後、湿度80%以上好ましくは85〜95%、照度50ルックス以上好ましくは 200〜500 ルックスで5〜15日間培養を続けると、ハタケシメジの成熟子実体を得ることができ、収穫を行って栽培の全工程は終了する。以上ビン栽培方法について説明したが、本発明はビン栽培に限定されるものではない。
【0024】
本発明によれば、施設栽培において、総栽培日数150日以下で、収量としては、850ml培養ビンの場合100g以上の、形状の良いハタケシメジを集中的に発生することができる。
【0025】
本発明で使用し得るハタケシメジ菌株としてはハタケシメジK−3303株、ハタケシメジK−3304株、ハタケシメジK−3305株等が最適であるが、本発明は、これらの菌株に限定されるものではなく、上記性質を有する菌株であれば、変異株であっても用いることができる。
【0026】
【実施例】
以下に、本発明によるハタケシメジの菌床人工栽培方法を、実施例をもって更に具体的に説明するが、本発明は以下の実施例の範囲のみに限定されるものではない。
【0027】
実施例1
PGY液体培地(組成:グルコース2.0%、ペプトン0.2%、酵母エキス0.2%、KH2 PO4 の0.05%及びMgSO4 ・7H2 Oの0.05%、pH6.0)100mlにハタケシメジK−3303株(FERM BP−4347) を接種して、25℃で10日間培養し液体種菌とした。一方、ポリプロピレン製の広口培養ビン(850ml)に、腐葉土50g〔(有)コトヒラ製〕、鋸屑(スギ材)50g、米糠100g、水 350gを加えて良く混合し湿潤状態にしたものを圧詰して、中央に直径1cm程度の穴を開け、打栓後120℃60分間高圧蒸気殺菌を行い、放冷して固形培養基とした。これに上記の液体種菌約20mlを接種し、まず暗所にて、温度25℃、湿度55%の条件下、培養基に見掛け上菌糸がまわるまで35日間培養し、更に30日間培養を続け熟成させた。次に、菌かきをして培養基の上部から約1cmほどの菌糸層を除いてから、水道水をビン口まで加えて3時間放置後排水し、照度20ルックス、温度15℃、湿度90%の条件下で10日間培養を続け、子実体原基を形成させた。原基が形成された培養基は、次に照度500ルックス、温度15℃、湿度90%の条件下12日間培養を続けて、成熟子実体を得た。収穫されたハタケシメジは、天然に近く形状に優れ非常に美味であった。得られた子実体の1ビン当りの重量は147gで、総栽培日数は、87日間であった。
【0028】
実施例2
PGY液体培地100mlにハタケシメジK−3304株(FERM BP−4348) を接種して、25℃で10日間培養し液体種菌とした。一方、ポリプロピレン製の広口培養ビン(850ml)に、バーク堆肥〔富士見工業(株)製〕50g、鋸屑(スギ材)50g、米糠100g、水350gを加えて良く混合し湿潤状態にしたものを圧詰して、中央に直径1cm程度の穴を開け、打栓後120℃60分間高圧蒸気殺菌を行い、放冷して固形培養基とした。これに上記の液体種菌約20mlを接種し、まず暗所にて、温度25℃、湿度55%の条件下、培養基に見掛け上菌糸がまわるまで35日間培養し、更に30日間培養を続け熟成させた。次に、菌かきをして培養基の上部から約1cmほどの菌糸層を除いてから、水道水をビン口まで加えて3時間放置後排水し、照度20ルックス、温度15℃、湿度90%の条件下で11日間培養を続け、子実体原基を形成させた。原基が形成された培養基は、次に照度500ルックス、温度15℃、湿度90%の条件下12日間培養を続けて、成熟子実体を得た。収穫されたハタケシメジは、天然に近く形状に優れ非常に美味であった。得られた子実体の1ビン当りの重量は135gで、総栽培日数は、88日間であった。
【0029】
実施例3
PGY液体培地100mlにハタケシメジK−3305株(FERM BP−4349) を接種して、25℃で10日間培養し液体種菌とした。一方、ポリプロピレン製の広口培養ビン(850ml)に、腐葉土〔(有)コトヒラ製〕50g、鋸屑(ブナ材)50g、米糠100g、水350gを加えて良く混合し湿潤状態にしたものを圧詰して、中央に直径1cm程度の穴を開け、打栓後120℃60分間高圧蒸気殺菌を行い、放冷して固形培養基とした。これに上記の液体種菌約20mlを接種し、まず暗所にて、温度25℃、湿度55%の条件下、培養基に見掛け上菌糸がまわるまで35日間培養し、更に30日間培養を続け熟成させた。次に、菌かきをして培養基の上部から約1cmほどの菌糸層を除いてから、水道水をビン口まで加えて3時間放置後排水し、照度20ルックス、温度15℃、湿度90%の条件下で12日間培養を続け、子実体原基を形成させた。原基が形成された培養基は、次に照度500ルックス、温度15℃、湿度90%の条件下13日間培養を続けて、成熟子実体を得た。収穫されたハタケシメジは、天然に近く形状に優れ非常に美味であった。得られた子実体の1ビン当りの重量は150gで、総栽培日数は、90日間であった。
【0030】
実施例4
腐葉土50g、鋸屑(スギ材)50g、米糠100gに水350gを加えて良く混合し湿潤状態にしたものをポリプロピレン製の広口培養ビン(850ml)に圧詰して、中央に直径1cm程度の穴を開け、打栓後120℃60分間高圧蒸気殺菌を行い、放冷して固形培養基とした。これに固形培養基に、実施例1と同様に調製したK−3303株(FERM BP−4347)の種菌を接種し、温度25℃、湿度55%の条件下で30日間培養したところ、種菌用固体培養基が得られた。一方、バーク堆肥50g、鋸屑(スギ材)50g、米糠100g、水350gを用いて実施例1と同様に固形培養基を調製した。これに上記種菌用固体培養基からの種菌を、無菌的に接種し、実施例1のごとくハタケシメジの人工栽培を行ったところ、総栽培日数87日間で、1ビン当り145gの形状に優れ非常に美味な子実体が得られた。
【0031】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明の栽培方法によれば、形状に優れ美味なハタケシメジを高収量かつ短期間に栽培することができる。
Claims (2)
- 培養基表面に覆土を行わない菌床人工栽培方法においてIFO 30260と比較して子実体形成能が優れたハタケシメジ新菌株であって、ハタケシメジK−3303(FERM BP−4347)、ハタケシメジK−3304(FERM BP−4348)、ハタケシメジK−3305(FERM BP−4349)、及びこれらの変異株から選択されるハタケシメジ新菌株を、培養基表面に覆土を行わない菌床人工栽培方法で栽培することを特徴とするハタケシメジ菌株の人工栽培方法。
- 培養基表面に覆土を行わない菌床人工栽培方法が、ハタケシメジの種菌を固形培養基に接種しハタケシメジ菌糸を培養する培養工程、種菌部分と培養基表面をかき取る菌かき工程、子実体原基形成の芽だし工程、成熟子実体形成の生育工程を包含する人工栽培方法である請求項1に記載のハタケシメジ新菌株の人工栽培方法。
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