JP3503954B2 - ハタケシメジ新菌株 - Google Patents

ハタケシメジ新菌株

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JP3503954B2 JP06526191A JP6526191A JP3503954B2 JP 3503954 B2 JP3503954 B2 JP 3503954B2 JP 06526191 A JP06526191 A JP 06526191A JP 6526191 A JP6526191 A JP 6526191A JP 3503954 B2 JP3503954 B2 JP 3503954B2
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Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、食用きのことして有用
なハタケシメジ〔学名 リオフィラム デカステス(Lyo
phyllum decastes) 〕の新菌株に関する。 【0002】 【従来の技術】ハタケシメジは、夏から秋にかけて人家
の近くや、畑、林地等に広く発生するきのこで、形はホ
ンシメジに良く似ている。味は非常に良く、肉質はホン
シメジより固くて歯切れの良いきのこであり、好んで食
用とされている。近年、エノキタケ、ヒラタケ、ブナシ
メジ、ナメコ等において、主に鋸屑と米糠を混合した培
養基を用いて栽培を行う菌床人工栽培方法が確立され、
一年を通して四季に関係なく、安定してきのこが収穫で
きるようになっている。ハタケシメジについても食用き
のことして有用なことから、栽培方法が種々検討されて
いる。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、ハタケ
シメジは腐生性菌のために一般の原木利用の栽培は困難
であるといわれている。福島県林業試験場ではバーク堆
肥を培地素材の主体とし、それに栄養添加剤として米糠
やフスマを加えた培地を用いた袋栽培方法や、培地を野
外に埋め込む自然栽培方法を検討している。バーク堆肥
と米糠を重量比で10:1.5とし、仕込み時含水率で
65%の培地1kgを用いた袋栽培での栽培試験によれ
ば、ハタケシメジ子実体の発生期間は長期間にわたり、
その集中的な発生もなく、発生割合で最も大きな値とな
った期間を接種からの通算日数で見ると、供試菌株間で
差のあるものの、180〜240日と栽培に長時間を要
している。また、栽培中の害菌の発生も多く、本方法に
よる栽培方法では効率が悪いと報告している(福島県林
業試験場研究報告No.19)。そこで次に、培養培地
を野外に埋め込む自然栽培方法の検討を開始している
(福島県林業試験場研究報告No.20)。また、特開
昭63−169913号公報においては、鋸屑100に
対し、鶏糞、腐葉土、灰、糠をそれぞれ0.5〜0.6
の重量比で混合した培地を用いたビン栽培によるハタケ
シメジの栽培方法が記載されているが、該栽培方法は通
常のきのこビン栽培方法と異なり、菌かき、注水処理後
にビン口を逆にして一週間程度栽培し、あとビン口を上
とする元の状態に戻し、再び栽培する工程を行ってお
り、通常のきのこビン栽培方法に比べ、操作が煩雑で作
業性も悪い。 【0004】本発明の目的は、上記現状にかんがみ、有
用食用きのこであるハタケシメジを、施設において工業
的に、高品質かつ安価に、短期間に効率よく製造するこ
とが可能なハタケシメジの新菌株を提供することにあ
る。 【0005】 【課題を解決するための手段】本発明を概説すれば、本
発明は培養基表面に覆土を行わない菌床人工栽培方法に
おいてIFO 30260と比較して子実体形成能が優
れたハタケシメジ新菌株であって、ハタケシメジK−3
303(FERM BP−4347)、ハタケシメジK
−3304(FERM BP−4348)、ハタケシメ
ジK−3305(FERM BP−4349)、及びこ
れらの変異株から選択されるハタケシメジ新菌株に関す
る。 【0006】きのこは一般に、同じ種に属する菌株であ
りながら、採集された場所の違いにより菌糸の生育速度
及び子実体形成能力が著しく異なることが知られてい
る。本発明者等は、通常の菌床人工栽培に適する菌株
が、自然界に必ず存在するはずであるとの考えに立ち、
各地よりハタケシメジの採集を行い鋭意検討した結果、
スイス国内にて採集したハタケシメジから純粋分離(組
織分離)、スクリーニングといった単離工程を経て得ら
れた菌株が、容易かつ高収量で良好な子実体を形成する
ことを見出し、この知見に基づき本発明を完成するに到
った。 【0007】菌株の検討は、以下のごとく行った。PG
Y液体培地(組成:グルコース2.0%、ペプトン0.
2%、酵母エキス0.2%、KHPOの0.05%
及びMgSO・7HOの0.05%、pH6.0)
100mlにハタケシメジ各菌株を接種して、25℃で
10日間培養し液体種菌とした。ポリプロピレン製の広
口培養ビン(850ml)に、腐葉土50g、鋸屑50
g、米糠100gに水350gを加えて良く混合し、湿
潤状態にしたものを圧詰して、中央に直径1cm程度の
穴を開け、打栓後120℃60分間殺菌し、固形培養基
を調製した。これに上記の各液体種菌を20mlずつ接
種し、まず暗所で、温度25℃、湿度55%条件下、培
養基に見掛け上菌糸がまわるまで培養し、更に30日間
培養を続け熟成させた。次に、菌かきをして培養基の上
部から約1cmほどの菌糸層を除いてから、水道水をビ
ン口まで加えて3時間放置後排水し、照度20ルック
ス、温度15℃、湿度90%の条件下で子実体原基が形
成されるまで培養を続けた。原基が形成された培養基
は、次に照度500ルックス、温度15℃、湿度90%
の条件下で成熟子実体が得られるまで培養を続け、ハタ
ケシメジの各菌株における子実体収量、総栽培日数、子
実体の形状について調べた。その結果を表1に示す。 【0008】 【表1】【0009】表1において不可とは総栽培日数180日
を経過しても子実体が形成されない場合をいう。また、
表1における形状とは、◎は子実体の形が優れたもの、
○は子実体の形が良いもの、×は子実体の形が劣るもの
を示す。 【0010】表1で明らかなように、供試した菌株のう
ち、K−3303株、K−3304株、K−3305株
の3株は、総栽培日数約90日と短かく、収量も約14
0g以上と多く、その栽培子実体も、傘色、柄色、形状
等天然採取物と同等であり、特に優れた性状を示した。
なお、表1に示した各菌株について、前述特開昭63−
169913号公報の方法に準じ、菌かき、注水後ビン
口を逆にする工程を加え、栽培試験を行ったが、顕著な
効果は認められず、むしろ減収であった。 【0011】表1で示したハタケシメジ菌株のうち、K
−番号で示した菌株の子実体及び胞子の形態的特徴は、
以下の通りである。 【0012】子実体は群生、傘は径5cm前後、広く凸
状でほぼ円形。表面は灰褐色で、古いものは色が薄くな
る。傘中央部が特にやや粉状のビロード毛で覆われ、縁
部は下方に巻く。肉は白色を帯び、香りは多少粉臭があ
る。ヒダはやや黄色を帯びた白色で、密。柄は長さ5c
m前後、太さ1cm前後で、上下同大あるいは下方がや
やふくらみ、淡灰色で、固く弾力があってしっかり詰ま
る。胞子は平滑で球形あるいはほぼ球形。5.5〜7.
5×5〜7μm。 【0013】以上の特徴を今関六也、本郷次雄編著「原
色日本新菌類図鑑(I)」保育社(昭和62年6月10
日初版発行)の記載と比較すると、これらの菌株はハタ
ケシメジであることが明りょうである。 【0014】これらの供試菌株中、K−3303株はL
yophyllum decastes K−3303
と表示し、通商産業省工業技術院生命工学工業技術研究
にFERM P−4347として、K−3304株
はLyophyllum decastes K−33
04と表示し、FERM P−4348として、K−
3305株はLyophyllum decastes
K−3305と表示し、FERM P−4349とし
てそれぞれ寄託されている。 【0015】次に、寄託菌株、ハタケシメジK−330
3株、K−3304株、K−3305株の3株の菌学的
諸性質をそれぞれ以下に示す。 【0016】(1)ハタケシメジK−3303株 麦芽エキス寒天培地(20℃)における生育状態 10日目でコロニー径は28mm、白色で密な菌糸、気
菌糸を生じる。15日目でコロニー径は48mm、20
日目でコロニー径は67mmとなり、菌糸は白色で密、
直線状に伸びる。気菌糸が多い。裏面は一様で変色はな
い。 バレイショ・ブドウ糖寒天培地(20℃)おける生
育状態 10日目でコロニー径は28mm、白色で密な菌糸、気
菌糸を多量に生じる。15日目でコロニー径は49m
m、20日目でコロニー径は64mmとなり、菌糸は白
色で密、マット状に盛り上がる。気菌糸が大変多い。裏
面は一様で変色はない。 オートミール寒天培地(20℃)における生育状態 10日目でコロニー径は34mm、菌糸は薄く放射状に
伸びる。15日目でコロニー径は58mm、20日目で
コロニー径は80mmとなり、菌糸は白色で放射状に伸
びる。気菌糸は薄いが20日目では濃くなる。裏面は一
様で変色はない。 フェノールオキシダーゼ検定用培地〔0.1%没食
子酸添加ポテト・グルコース寒天培地〕(20℃)おけ
る生育状態 10日目では生育悪く、コロニー径は9mm、菌糸は白
色で、気菌糸は多い。褐変半径は35mm。20日目で
コロニー径は15mm、褐変半径は50mm。菌糸は白
色で盛り上がる。 最適生育温度 PGY寒天培地(PGY液体培地に寒天を加えたもの)
に直径6mmの種菌を接種し、各温度でそれぞれ培養し
て、14日後に各コロー径を測定したところ、最適生育
温度は25℃付近であった。また、5℃ではほとんど生
育せず、30℃では全く生育しなかった。 最適生育pH PGY液体培地40mlを殺菌後、各pHに調整し、直
径6mmの種菌を接種して、25℃、14日間培養し
た。集菌後、乾燥して重量を測定したところ、最適pH
は6付近であった。また、本菌株の生育範囲は、pH4
〜pH9の間であった。 【0017】(2)ハタケシメジK−3304株 麦芽エキス寒天培地(20℃)における生育状態 10日目でコロニー径は25mm、白色で密な菌糸、気
菌糸を生じる。15日目でコロニー径は44mm、20
日目でコロニー径は65mmとなり、菌糸は白色で密、
直線状に伸びる。気菌糸が多い。裏面は一様で変色はな
い。 バレイショ・ブドウ糖寒天培地(20℃)おける生
育状態 10日目でコロニー径は32mm、白色で密な菌糸、気
菌糸を多量に生じる。15日目でコロニー径は53m
m、20日目でコロニー径は69mmとなり、菌糸は白
色で密、マット状に盛り上がる。気菌糸が大変多い。裏
面は一様で変色はない。 オートミール寒天培地(20℃)における生育状態 10日目でコロニー径は31mm、菌糸は薄く放射状に
伸びる。15日目でコロニー径は55mm、20日目で
コロニー径は76mmとなり、菌糸は白色で放射状に伸
びる。気菌糸は薄いが20日目では濃くなる。裏面は一
様で変色はない。 フェノールオキシダーゼ検定用培地(20℃)おけ
る生育状態 10日目では生育悪く、コロニー径は9mm、菌糸は白
色で、気菌糸は多い。褐変半径は36mm。20日目で
コロニー径は18mm、褐変半径は52mm。菌糸は白
色で盛り上がる。 最適生育温度 PGY寒天培地に直径6mmの種菌を接種し、各温度で
それぞれ培養して、14日後に各コロー径を測定したと
ころ、最適生育温度は25℃付近であった。また、5℃
ではほとんど生育せず、30℃では全く生育しなかっ
た。 最適生育pH PGY液体培地40mlを殺菌後、各pHに調整し、直
径6mmの種菌を接種して、25℃、14日間培養し
た。集菌後、乾燥して重量を測定したところ、最適pH
は5付近であった。また、本菌株の生育範囲は、pH4
〜pH9の間であった。 【0018】(3)ハタケシメジK−3305株 麦芽エキス寒天培地(20℃)における生育状態 10日目でコロニー径は20mm、白色で密な菌糸、気
菌糸を生じる。15日目でコロニー径は35mm、20
日目でコロニー径は49mmとなり、菌糸は白色で密、
直線状に伸びる。気菌糸が多い。裏面は中央部に放射状
のしわがあり、変色は無し。 バレイショ・ブドウ糖寒天培地(20℃)おける生
育状態 10日目でコロニー径は27mm、白色で密な菌糸、気
菌糸を多量に生じる。15日目でコロニー径は42m
m、20日目でコロニー径は57mmとなり、菌糸は白
色で密、マット状に盛り上がる。気菌糸が大変多い。裏
面は中央部に放射状のしわがあり、変色は無し。 オートミール寒天培地(20℃)における生育状態 10日目でコロニー径は33mm、菌糸は薄く放射状に
伸びる。15日目でコロニー径は53mm、20日目で
コロニー径は73mmとなり、菌糸は白色で放射状に伸
びる。気菌糸は20日目でも薄い。裏面は中央部に放射
状のしわがあり、変色は無し。 フェノールオキシダーゼ検定用培地(20℃)おけ
る生育状態 10日目では生育悪く、コロニー径は11mm、菌糸は
白色で、気菌糸は多い。褐変半径は30mm。20日目
でコロニー径は14mm、褐変半径は43mm。菌糸は
白色で盛り上がる。 最適生育温度 PGY寒天培地に直径6mmの種菌を接種し、各温度で
それぞれ培養して、14日後に各コロニー径を測定した
ところ、最適生育温度は25℃付近であった。また、5
℃ではほとんど生育せず、30℃では全く生育しなかっ
た。 最適生育pH PGY液体培地40mlを殺菌後、各pHに調整し、直
径6mmの種菌を接種して、25℃、14日間培養し
た。集菌後、乾燥して重量を測定したところ、最適pH
は5付近であった。また、本菌株の生育範囲は、pH4
〜pH9の間であった。 【0019】更に、ハタケシメジK−3303株、K−
3304株、K−3305株と他のハタケシメジとの異
同について、寒天培地上における対峙培養によって調べ
た。供試したハタケシメジ株は、表1に示した15株す
べてである。供試菌株の二核菌糸を保存スラント(PG
Y寒天斜面培地)より3mm×3mm×3mmのブロッ
クとして切り出し、それぞれをPGY寒天平板培地の中
央部に対峙して接種し(2cm間隔)、25℃、20日
間培養後、両コロニー境界部に帯線が生じるか否かを判
定した。結果を表2に示す。 【0020】 【表2】【0021】表2に示したように、K−3303株、K
−3304株、K−3305株の3株は、供試菌株すべ
てと帯線を形成したことから、新しい株であることは明
白である。 【0022】本発明のハタケシメジ菌株は、通常の菌床
人工栽培方法で栽培することができる。 【0023】本発明において、通常の菌床人工栽培方法
とは、エノキタケ、ヒラタケ、ブナシメジなどのきのこ
栽培に用いられている方法であって、ビン栽培、袋栽
培、箱栽培等があり、菌かき後にビン口を逆さにする栽
培工程、又は栽培物を覆土する栽培工程は包含しない栽
培方法をいう。ここでは一例としてビン栽培について述
べると、その方法とは通常、培地調製、ビン詰め、殺
菌、接種、培養、菌かき、芽だし、生育、収穫の各工程
からなる。培地調製とは、通常きのこの人工栽培に使用
されている鋸屑と米糠、ふすま、大麦粉砕物などの混合
物に水を加えて湿潤状態にする工程で腐葉土、バーク堆
肥、麦わら堆肥、廃オガ堆肥、コンポストなどを加える
ことが好ましく、水分含量は60〜75%好ましくは6
5%付近が適当である。培地組成はハタケシメジ子実体
形成良好な組成であればよいが、その一例を示せば、鋸
屑、腐葉土、米糠の組合せがある。鋸屑は培地基材とし
て、米糠は栄養源として、腐葉土は腐生性菌の例えば生
長因子として作用する。腐葉土の培地への添加量は重量
比として、1%以上添加されれば良く、好ましくは5%
以上の添加が良い。ビン詰めとは、800〜1000m
l容好ましくは850ml容のポリプロピレン製広口培
養ビンに、調製した培地を 450g〜750g好まし
くは550g圧詰し、中央に1cm程度の穴を開け、打
栓する工程をいう。殺菌とは、蒸気により培地中のすべ
ての微生物を死滅させる工程で、常圧殺菌では98℃、
4〜5時間、高圧殺菌では120℃、30〜90分間行
われる。接種とは、放冷された培地に種菌を植えつける
工程で、種菌としてはハタケシメジ菌株をPGY液体培
地で25℃、10〜15日間培養したものを用いること
ができ、1ビン当り20mlほど無菌的に植えつける。
また、ここまで説明した工程で得られる液体種菌接種済
みの培養基を、25℃で30〜40日間培養し、培養基
全体にハタケシメジの菌糸がまん延したものを固体種菌
として用いることができ、1ビン当り15gほど無菌的
に植えつける。培養とは、接種済みの培養基を温度20
〜25℃、湿度40〜70%において菌糸をまん延さ
せ、更に熟成をさせる工程で、40〜120日間好まし
くは80日間前後行われる。菌かきとは、種菌部分と培
養基表面をかき取り、原基形成を促す工程で、菌かき後
は、直ちにビン口まで水を入れ3〜5時間後排水する。
芽だしとは、子実体原基を形成させる工程で、温度10
〜20℃好ましくは15℃前後、湿度80%以上好まし
くは85〜95%、照度500ルックス以下好ましくは
50ルックス以下で10〜20日間培養を続けると、ハ
タケシメジの原基が形成される。生育とは、子実体原基
から成熟子実体を形成させる工程で温度10〜20℃好
ましくは15℃前後、湿度80%以上好ましくは85〜
95%、照度50ルックス以上好ましくは200〜50
0ルックスで5〜15日間培養を続けると、ハタケシメ
ジの成熟子実体を得ることができ、収穫を行って栽培の
全工程は終了する。以上ビン栽培方法について説明した
が、本発明はビン栽培に限定されるものではない。 【0024】本発明によれば、施設栽培において、総栽
培日数150日以下で、収量としては、850ml培養
ビンの場合100g以上の、形状の良いハタケシメジを
集中的に発生することができる。 【0025】本発明で使用し得るハタケシメジ菌株とし
てはハタケシメジK−3303株、ハタケシメジK−3
304株、ハタケシメジK−3305株等が最適である
が、本発明は、これらの菌株に限定されるものではな
く、上記性質を有する菌株であれば、変異株であっても
用いることができる。 【0026】 【実施例】以下に、本発明によるハタケシメジ新菌株
菌床人工栽培方法を実施例をもって示すが、本発明は以
下の実施例の範囲のみに限定されるものではない。 【0027】実施例1 PGY液体培地(組成:グルコース2.0%、ペプトン
0.2%、酵母エキス0.2%、KHPOの0.0
5%及びMgSO・7HOの0.05%、pH6.
0)100mlにハタケシメジK−3303株(FER
BP−4347)を接種して、25℃で10日間培
養し液体種菌とした。一方、ポリプロピレン製の広口培
養ビン(850ml)に、腐葉土50g〔(有)コトヒ
ラ製〕、鋸屑(スギ材)50g、米糠100g、水35
0gを加えて良く混合し湿潤状態にしたものを圧詰し
て、中央に直径1cm程度の穴を開け、打栓後120℃
60分間高圧蒸気殺菌を行い、放冷して固形培養基とし
た。これに上記の液体種菌約20mlを接種し、まず暗
所にて、温度25℃、湿度55%の条件下、培養基に見
掛け上菌糸がまわるまで35日間培養し、更に30日間
培養を続け熟成させた。次に、菌かきをして培養基の上
部から約1cmほどの菌糸層を除いてから、水道水をビ
ン口まで加えて3時間放置後排水し、照度20ルック
ス、温度15℃、湿度90%の条件下で10日間培養を
続け、子実体原基を形成させた。原基が形成された培養
基は、次に照度500ルックス、温度15℃、湿度90
%の条件下12日間培養を続けて、成熟子実体を得た。
収穫されたハタケシメジは、天然に近く形状に優れ非常
に美味であった。得られた子実体の1ビン当りの重量は
147gで、総栽培日数は、87日間であった。 【0028】実施例2 PGY液体培地100mlにハタケシメジK−3304
株(FERM BP−4348)を接種して、25℃で
10日間培養し液体種菌とした。一方、ポリプロピレン
製の広口培養ビン(850ml)に、バーク堆肥〔富士
見工業(株)製〕50g)鋸屑(スギ材)50g、米糠
100g、水350gを加えて良く混合し湿潤状態にし
たものを圧詰して、中央に直径1cm程度の穴を開け、
打栓後120℃60分間高圧蒸気殺菌を行い、放冷して
固形培養基とした。これに上記の液体種菌約20mlを
接種し、まず暗所にて、温度25℃、湿度55%の条件
下、培養基に見掛け上菌糸がまわるまで35日間培養
し、更に30日間培養を続け熟成させた。次に、菌かき
をして培養基の上部から約1cmほどの菌糸層を除いて
から、水道水をビン口まで加えて3時間放置後排水し、
照度20ルックス、温度15℃、湿度90%の条件下で
11日間培養を続け、子実体原基を形成させた。原基が
形成された培養基は、次に照度500ルックス、温度1
5℃、湿度90%の条件下12日間培養を続けて、成熟
子実体を得た。収穫されたハタケシメジは、天然に近く
形状に優れ非常に美味であった。得られた子実体の1ビ
ン当りの重量は135gで、総栽培日数は、88日間で
あった。 【0029】実施例3 PGY液体培地100mlにハタケシメジK−3305
株(FERM BP−4349)を接種して、25℃で
10日間培養し液体種菌とした。一方、ポリプロピレン
製の広口培養ビン(850ml)に、腐葉土〔(有)コ
トヒラ製〕50g、鋸屑(ブナ材)50g、米糠100
g、水350gを加えて良く混合し湿潤状態にしたもの
を圧詰して、中央に直径1cm程度の穴を開け、打栓後
120℃60分間高圧蒸気殺菌を行い、放冷して固形培
養基とした。これに上記の液体種菌約20mlを接種
し、まず暗所にて、温度25℃、湿度55%の条件下、
培養基に見掛け上菌糸がまわるまで35日間培養し、更
に30日間培養を続け熟成させた。次に、菌かきをして
培養基の上部から約1cmほどの菌糸層を除いてから、
水道水をビン口まで加えて3時間放置後排水し、照度2
0ルックス、温度15℃、湿度90%の条件下で12日
間培養を続け、子実体原基を形成させた。原基が形成さ
れた培養基は、次に照度500ルックス、温度15℃、
湿度90%の条件下13日間培養を続けて、成熟子実体
を得た。収穫されたハタケシメジは、天然に近く形状に
優れ非常に美味であった。得られた子実体の1ビン当り
の重量は150gで、総栽培日数は、90日間であっ
た。 【0030】実施例4 腐葉土50g、鋸屑(スギ材)50g、米糠100gに
水350gを加えて良く混合し湿潤状態にしたものをポ
リプロピレン製の広口培養ビン(850ml)に圧詰し
て、中央に直径1cm程度の穴を開け、打栓後120℃
60分間高圧蒸気殺菌を行い、放冷して固形培養基とし
た。これに固形培養基に、実施例1と同様に調製したK
−3303株(FERM BP−4347)の種菌を接
種し、温度25℃、湿度55%の条件下で30日間培養
したところ、種菌用固体培養基が得られた。一方、バー
ク堆肥50g、鋸屑(スギ材)50g、米糠100g、
水350gを用いて実施例1と同様に固形培養基を調製
した。これに上記種菌用固体培養基からの種菌を、無菌
的に接種し、実施例1のごとくハタケシメジの人工栽培
を行ったところ、総栽培日数87日間で、1ビン当り1
45gの形状に優れ非常に美味な子実体が得られた。 【0031】 【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明の
タケシメジ新菌株を用いれば、形状に優れ美味なハタケ
シメジを高収量かつ短期間に栽培することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 松井 侑 滋賀県大津市瀬田3丁目4番1号 寳酒 造株式会社中央研究所内 (72)発明者 森田 日出男 滋賀県大津市瀬田3丁目4番1号 寳酒 造株式会社中央研究所内 (56)参考文献 福島県林業試験場研究報告 1986 N o.19 P.232〜238 日本林学会関西支部第41回大会講演集 1990年 P.285〜287 「INSTITUTE FOR FE RMENTATION OSAKA L IST OF CULTURES EI GHTH EDITION,Vol. 1,1988」財団法人発酵研究所 1988年 11月10日発行

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 培養基表面に覆土を行わない菌床人工栽
    培方法においてIFO 30260と比較して子実体形
    成能が優れたハタケシメジ新菌株であって、ハタケシメ
    ジK−3303(FERM BP−4347)、ハタケ
    シメジK−3304(FERM BP−4348)、ハ
    タケシメジK−3305(FERM BP−434
    9)、及びこれらの変異株から選択されるハタケシメジ
    新菌株。
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日本林学会関西支部第41回大会講演集 1990年 P.285〜287
福島県林業試験場研究報告 1986 No.19 P.232〜238

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