JP3198726B2 - ハタケシメジの室内栽培法 - Google Patents
ハタケシメジの室内栽培法Info
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Description
培法に関するものである。さらに詳しくは、本発明は大
きさの揃った高品質のハタケシメジを安定的に、かつ高
収率で収穫できる室内栽培法に関するものである。
実体の形態がホンシメジと類似しており、ホンシメジの
腐生型と言われるほど美味であり、香りや歯ざわりの良
い食用きのこである。本きのこは腐生性きのこの一種で
あり、秋に林内や庭園、畑地、道端等の他、ときには家
屋等の床下にも多数群がって発生する(今関六也・本郷
次雄:原色日本新菌類図鑑(I)、保育社、198
7)。
菌糸が栽培容器内に蔓延した時期に、栽培容器の開口部
を被覆して栽培することが、一般的に知られている。例
えば、ハタケシメジの菌糸をきのこ栽培用の袋内で増殖
させ、菌糸が袋内に完全に蔓延して、子実体の原基形成
が見られる程度になった時期に、袋の上部を切り、開口
部をバーミキュライトで1cm程度覆って発生させる方
法についての報告がある(福島県林業試験場報告、1
7:95〜96,1984)。しかし、この方法では種
菌を接種してから収穫するまでに7〜8か月もの期間を
要するという欠点があった。
れまでに、菌糸が栽培容器内に蔓延した時期に、微細粒
子からなる鉱物質で栽培容器の開口部を被覆して栽培を
継続する方法を開発し、室内で安定的にかつ短期間でハ
タケシメジを栽培することが可能になった(特開平3−
244320号)。さらに、寒天製造工程中に得られる
熱水不溶性濾過副産物を発酵分解した寒天残渣で栽培容
器の開口部を被覆する方法(特願平3−343815
号)や、含水率を50〜80%に調整した植物繊維質か
らなる素材で栽培容器の開口部を被覆して栽培する方法
(特願平4−296170号)も開発した。しかしなが
ら、これらの方法で栽培したハタケシメジは、同じ栽培
容器内で子実体の生長に個体差が生じ、収穫される子実
体の大きさが不揃いであり、商品としての価値が劣ると
いう欠点を有していた。
する方法としては、ハタケシメジ菌株を、通常の菌床人
工栽培方法で栽培する方法(特開平4−211308
号)も提案されているが、この方法は特定の菌株を使用
するものであり、一般的なハタケシメジの栽培方法とは
異なるものである。
のハタケシメジの室内栽培法の有する問題点を改善し、
子実体の大きさの揃った、商品価値の高い、高品質のハ
タケシメジを安定的に収穫できるハタケシメジの室内栽
培法を提供するものである。
然界での発生形態は、地上部に発生した子実体の株の根
元に菌糸束があり、これが地下に埋まった木材等に繋が
っていることが知られている。すなわち、ハタケシメジ
の発生過程は、地下に埋まった木材等に菌糸が蔓延した
後、そこから地上部に向けて菌糸束が生長し、子実体を
形成するものと考えられる。
ては、20℃以上の高温できのこの菌糸を生育させ、菌
糸が十分に生育した時点で20℃以下の低温で栽培する
ことにより子実体を発生させることが知られている。
十分に生育した時点で表面を被覆素材で被覆した後、低
温で栽培する必要があるため、従来の菌糸の表面を被覆
素材で被覆した後、直ちに低温で栽培する方法では被覆
素材中でのハタケシメジの菌糸束の生長が不均一とな
り、その結果発生する子実体の生長に個体差が生じ、大
きさが不揃いとなるものであった。
の菌糸束を均一に生長させる条件について検討した結
果、菌糸表面を被覆素材で被覆した後、高温で一定期間
栽培することにより、被覆素材中でハタケシメジの菌糸
束が均一に生長し、次いで低温で栽培することにより、
均一で大きさの揃ったハタケシメジが得られることを見
出し、本発明方法を完成した。
培法は、栽培容器内に培養基を充填し、これを加熱殺菌
した後培養基に種菌を接種し、次いで室内で栽培するハ
タケシメジの室内栽培法において、接種した種菌の菌糸
が栽培容器内に蔓延した時期に、栽培容器の開口部を被
覆素材で被覆し、次いで温度21〜25℃、相対湿度9
0〜100%の条件下に1〜6日間置いて育成処理を行
った後、さらに温度10〜20℃、相対湿度90〜95
%の条件下で栽培を継続することを特徴とするものであ
る。
栽培方法を詳細に説明する。栽培容器 本発明において使用する栽培容器は、一般的にきのこの
人工栽培に使用されている栽培容器であればいずれも使
用できる。通常、ポリプロピレン製のビンまたは直方体
型の袋で、容量が800〜1000mlのものを使用す
ることが好ましい。
栄養源とを容積比3:1〜5:1の範囲で混合し、さら
に、必要に応じて寒天残渣、とうもろこし粕、大豆粕、
かに殻、鶏糞、牛糞等の有機質成分とカルシウム、カリ
ウム等の無機質成分とを混合したものを、含水率60〜
70%に調整し使用する。
の殺菌に使用されている殺菌釜によって行うことができ
る。通常、高圧殺菌では120℃で40〜120分間、
常圧殺菌では98℃で3〜5時間行えばよい。
しては、一般に担子菌が成育する培地であればいずれも
使用可能である。例えば、青島清雄、椿啓介、三浦宏一
郎編;菌類研究法、P.393〜408、昭和58年6月1日発
行、共立出版に記載されている培地はいずれも使用でき
るが、特に好ましい例は、表1または表2に示す組成の
培地である。
ジを採取して組織の一部を切り取り、例えば表1に示し
た培地を用いて組織培養を行う。得られた菌糸の継代培
養を例えば表2に示した培地を用いて行い、得られた無
菌菌糸を、バーク堆肥またはオガクズと米ヌカとを容積
割合で2〜5対1に混合し、水分を60〜70%に調整
して作製した培地に接種して、20〜25℃で約20日
間培養して種菌を作製する。
て完熟した時期に容器の開口部を被覆するための素材と
しては、水分を保持することが可能で、さらに通気性が
優れ、且つハタケシメジの菌糸が侵入し、菌糸束を形成
するための支持体効果を有する物質を用いる。具体的に
は、寒天製造中に得られる熱水不溶物と濾過助剤である
パーライトとの混合物である熱水不溶性濾過副産物を発
酵分解した「寒天残渣」や、粒子径が2mm以下の無機
鉱物質、すなわち畑土、山土等の土壌、あるいは鹿沼
土、日向土、赤玉土、パーライト等の園芸用資材等を用
いることができる。さらには必要に応じて、これらに通
気性、保水性を補うためにピートモス、ミズゴケ等の植
物系資材を添加したものも用いることができる。また、
被覆素材を被覆する厚さは、1〜3cmが適当である。
被覆した後、温度21〜25℃、相対湿度90〜100
%の条件下で1〜6日間栽培して、被覆素材中でハタケ
シメジの菌糸束を均一に生長させるための育成処理を行
う。この場合、処理温度が21℃未満では菌糸束の均一
な生長が行われなくなり、大きさの揃った子実体が得ら
れなくなる。また25℃を越えて高くなると、菌糸の活
性が低下し、子実体の収穫量が低下する。さらに、相対
湿度が90%未満では被覆素材が乾燥してしまい、菌糸
の生育が悪くなる。
のビン、あるいは約1l容の袋に充填し、120℃で4
0〜120分間高圧蒸気殺菌を行う。冷却後、先に作製
した種菌を無菌的に接種し、室温20〜25℃および相
対湿度60〜80%に調整した室内で30〜90日間栽
培した後、菌掻きを行うとともに、栽培容器の口部分の
上端まで水を加えて1〜5時間放置する。次いで余剰水
を捨て、上述の被覆素材で開口部を1〜3cmの厚さに
被覆する。これを室温21〜25℃、相対湿度90〜1
00%の条件に調整した室内で1〜6日間栽培して育成
処理を行った後、さらに室温10〜20℃、相対湿度9
0〜95%、照度50〜300ルックスの条件に調整し
た室内で栽培を継続すると、被覆後20〜35日には子
実体の収穫が可能になる。
に説明するが、本発明はこれに限定されるものではな
い。
ものに対して、寒天残渣(伊那食品製、商標:アガーポ
スト)を10容量%、細かく粉砕したカニ殻を2容量%
添加し、さらに水を加えてよく混合し、含水率を65%
に調整して培養基を作製した。この培養基を850ml
容のポリプロピレン製の栽培ビンに620g充填し、ビ
ンの内部全体に空気を補給し、菌糸の成育を良好にする
ために、ビンの口部分から底部近くに達するまで、培養
基に直径10mmの大きさの穴をあけた後、120℃で
1時間高圧蒸気殺菌した。培養基の温度が25℃以下に
なるまで放冷した後、クリーンベンチ内でタハケシメジ
の種菌を15g接種し、室温23℃、湿度65%に調整
した室内で40日間培養して菌糸をビン内に蔓延させ、
さらに30日間培養を継続して菌糸を熟成させた。
水40mlを加えて3時間放置したのち、栽培ビンの開
口部を下にして余分な水を除去した。次いで含水率を6
4%に調整した寒天残渣(伊那食品製、商標:アガーポ
スト)で開口部を2cmの厚さに被覆し、室温23℃、
湿度100%に調整した室内に5日間置いて育成処理を
行った後、さらに室温17℃、湿度95%、照度200
ルックスに調整した室内で栽培を継続した。その結果、
菌掻き後30日目に、栽培ビン1本当り120gのハタ
ケシメジの子実体が採取された。得られた子実体は、大
きさの揃った高品質のものであった。
合で混合したものに対して、乾燥牛糞を5容量%、カニ
殻を2容量%添加したものを使用した以外は実施例1と
同様にして栽培した。その結果、種菌を接種から75日
で菌が完熟し、さらに菌掻き後30日目に栽培ビン1本
当り120gの大きさの揃った高品質の子実体が採取さ
れた。
粒子径2mm以下の鹿沼土を使用した以外は、実施例1
と同様にして栽培を行った。その結果、菌掻き後30日
目に栽培ビン1本当り100gの大きさの揃った高品質
の子実体が採取された。
粒子径2mm以下の鹿沼土とピートモスとを容積比で
5:1の割合で混合したものを使用した以外は、実施例
1と同様にして栽培を行った。その結果、菌掻き後30
日目に栽培ビン1本当り100gの大きさの揃った高品
質の子実体が採取された。
被覆後、育成処理を行わずに、直ちに室温17℃、湿度
95%、照度200ルックスに調整した室内で栽培を継
続した。その結果、子実体が収穫されるまでの期間およ
び収量は、実施例1〜4のそれぞれの場合とほぼ同程度
であったが、子実体の大きさが不揃いであり、商品価値
の劣るものであった。
ビンまたは栽培袋を用いて行うハタケシメジの人工栽培
法において、栽培容器の開口部を被覆後、室温21〜2
5℃、相対湿度90〜100%の条件に調整した室内に
1〜6日間置いて成育処理を行い、その後さらに栽培を
継続する本発明の方法によって、大きさの揃った商品価
値の高い子実体を大量に発生させることが可能になっ
た。
Claims (1)
- 【請求項1】 栽培容器内に培養基を充填し、これを加
熱殺菌した後培養基に種菌を接種し、次いで室内で栽培
するハタケシメジの室内栽培法において、接種した種菌
の菌糸が栽培容器内に蔓延した時期に、栽培容器の開口
部を被覆素材で被覆し、次いで温度21〜25℃、相対
湿度90〜100%の条件下に1〜6日間置いて育成処
理を行った後、さらに温度10〜20℃、相対湿度90
〜95%の条件下で栽培を継続することを特徴とするハ
タケシメジの室内栽培法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP14201093A JP3198726B2 (ja) | 1993-06-14 | 1993-06-14 | ハタケシメジの室内栽培法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP14201093A JP3198726B2 (ja) | 1993-06-14 | 1993-06-14 | ハタケシメジの室内栽培法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0744A JPH0744A (ja) | 1995-01-06 |
JP3198726B2 true JP3198726B2 (ja) | 2001-08-13 |
Family
ID=15305281
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP14201093A Expired - Lifetime JP3198726B2 (ja) | 1993-06-14 | 1993-06-14 | ハタケシメジの室内栽培法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3198726B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP5031237B2 (ja) * | 2006-01-25 | 2012-09-19 | 株式会社北研 | ハタケシメジの栽培方法 |
-
1993
- 1993-06-14 JP JP14201093A patent/JP3198726B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH0744A (ja) | 1995-01-06 |
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