JP4008187B2 - 菌根菌の菌糸増殖用培地と菌糸の培養方法並びに子実体の栽培方法 - Google Patents

菌根菌の菌糸増殖用培地と菌糸の培養方法並びに子実体の栽培方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この出願の発明は、菌根菌の菌糸増殖用培地と菌系の培養方法並びに子実体の栽培方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術とその課題】
従来より、ホウキタケ、アミタケ、バカマツタケ、ホンシメジ等の菌根性菌((以後、「菌根菌」と呼ぶ)は、樹木と共生関係にあるといわれているが、その共生関係についてはいまだ未解明であって、このことにも帰因して、その子実体(キノコ)を人工栽培することや、あるいはその成育を調整する半人工的な栽培は極めて困難であった。
【0003】
しかしながら、菌根菌の子実体は市場価値の高いキノコが多く、しかもその産出は地域社会の特徴のある経済活動を左右する要因ともなっていることから、子実体を安定的に大量取得するための方法が強く求められていた。
【0004】
そこで、この出願の発明は、以上のとおりの従来の問題点を解消し、菌根菌子実体の安定的な大量産出を可能とする新しい技術的方策を提供することを課題としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
この出願の発明は、上記の課題を解決するものとして、第1には、菌根菌の菌糸増殖用培地であって、150メッシュ(Tyler 基準)よりも大きい粒度のふすまを含水率35〜50wt%にして滅菌処理したものであることを特徴とする菌根菌の菌糸増殖用培地を提供し、第2には、ふすまの粒度は100メッシュ(Tyler 基準)よりも大きいことを特徴とする培地を、第3には、滅菌処理前には、空気が50Vol%以上含まれていることを特徴とする培地を提供する。
【0006】
また、この出願の発明は、第4には、菌根菌の菌糸の培養方法であって、前記いずれかの培地に菌糸を植菌し、30℃未満の温度、50〜90%の湿度の条件下に培養することを特徴とする菌根菌の菌糸培養方法を提供し、第5には、植菌する菌糸は、子実体発生後に山取り採取した菌糸であることを特徴とする培養方法を、第6には、植菌する菌糸は、子実体発生地の土中の菌糸塊より採取した菌糸であることを特徴とする培養方法を提供する。
【0007】
そして、この出願の発明は、第7には、菌根菌子実体の栽培方法であって、請求項4ないし6のいずれかの方法により培養した菌糸を、培地とともに、子実体の発生地もしくはその周辺に山移植することを特徴とする菌根菌子実体の栽培方法を提供し、第8には、子実体発生地の半径15m以内の周辺域に山移植する栽培方法を提供する。
【0008】
【発明の実施の形態】
この出願の発明は、上記のとおりの特徴をもつものであるが、菌根菌子実体(キノコ)の半人工的栽培、さらには人工的栽培をも可能とする、菌糸の増殖用培地とこれを用いた培養方法、さらには培養された菌糸による子実体の栽培方法をその本質としている。
【0009】
まず、菌糸の増殖用の培地については、ふすまをその主な構成材としている。ふすま以外にも米ヌカ、オガクズ等の配合も許容されるが、少くとも70wt%以上、より好ましくは90wt%以上はふすまとする。そして、この出願の発明においては、微細粒度のふすま、さらには他の添加材を除いて、比較的粗粒度のものとすることが欠かせない条件である。すなわち、この出願の発明では、150メッシュ(Tyler 基準)よりも大きい粒度のふすまを用いる。より好ましくは100メッシュよりも大きい粒度のふすまとする。
【0010】
このような比較的粗粒度のふすまとすることで、培地には空気層が大きな割合で含まれることになる。
【0011】
また、このようなふすまは、乾燥後、もしくは乾燥を行わずに水分添加によって含水率35〜50wt%に調整される。
【0012】
含水率40〜50wt%に調整されたふすまを主とする培地は、空気層の存在が50Vol%以上となっていることが望ましい。
【0013】
ふすま粒度や含水率、さらには空気層の割合が以上のような場合には、菌根菌の菌糸は良好に迅速に増殖するが、そうでない場合には菌糸の成長は停止してしまうことが多い。
【0014】
そして、以上のとおりの培地は、培養に使用されるに先立って、滅菌処理されることになる。この滅菌処理については、通常、各種のキノコ栽培において採用されている培地の加熱滅菌の手段が適宜に適用可能である。通常は、110℃前後の温度での6時間程度の加熱を複数回繰り返しているが、この発明においては、たとえば100〜120℃での加熱を数時間一回行うことでもよい。また、電子レンジによって代用してもよい。
【0015】
滅菌処理された培地には、菌根菌の菌糸が植菌されて培養増殖されることになる。この場合の植菌に際しては、基本的にはより強い菌糸を用いることが望ましいことから、山取り採取されたものであることが望ましい。山取りでは、子実体ではなく、その発生地もしくはその周辺より採取した菌糸とする。特に望ましいのは、子実体発生後に、その発生地の土中の菌糸塊より採取したものである。山取り採取の季節は、晩秋から初冬とするのが最もよい。
【0016】
菌糸の培地への植菌後の培養増殖は、この発明においては、30℃未満、より好ましくは25℃以下の温度で、50〜90%の湿度の条件下で行う。温度が30℃以上の場合には、菌糸の成長ははやいが、アオカビなどの雑菌が発生しやすいという問題がある。また、雑菌の発生を抑えるためには、湿度は90%以下、より好ましくは70%前後とする。
【0017】
この発明の培養によって、菌糸の種類にもよるが、早い場合には10日位で成長するが、ほとんどが40日以内には培地全体に菌糸が蔓延する。培養の終了の目安は、たとえば、培地表面にでる水玉状の代謝成分の発生を確認することで判断可能である。
【0018】
培養した菌糸は、この出願の発明においては子実体(キノコ)の栽培に有用となる。この栽培においては、たとえば、培養菌糸を子実体の発生した地点もしくはその周辺に山移植することで可能となる。この場合あらかじめ発生地を確認しておかなければならない。子実体が一本でも発生していれば、その周辺かなり広い範囲に菌糸があり、たとえば10メートルの半径の範囲内に広く移植する。移植の時期は梅雨時が菌糸の活動が活発で、作業をやりやすい。
【0019】
子実体は、早ければその年の秋に発生をみるが、順調に行くと3年以内に多くのものが子実体を作る。
【0020】
たとえば、以上のとおりのこの出願の発明によって、菌根菌の子実体は安定的に大量に産出することが可能となる。
【0021】
なお、この出願の発明における菌根菌はその種類に限定はない。たとえば、ホウキタケ、アミタケ、センボンシメジ、タマゴタケ、バカマツタケ等をはじめとする各種のものであってよい。
【0022】
そこで以下に実施例を示し、さらに実施の形態について説明する。
【0023】
【実施例】
<実施例1>
山から菌糸を採取し、各培地に接種し菌糸の成長試験を行った。
【0024】
元菌の採取においては、あらかじめ各きのこの発生現場を調査し、きのこ発生後菌糸を採取した。採取季節11月〜12月。培地としては、おがくず、ふすま、米ぬかなどについて検討した。試験は通常きのこ栽培に用いられているプラスチック製の通気孔のついた0.9リットルのボトルを使用し実施した。各培地をそれぞれの条件で調整し、含水率を40%として、びん8分目入れる。これを110℃、3時間滅菌し空冷する。そこに菌を接種するが、菌の接種は培地中央上に直径2cm、深さ4cmの穴を空け、その中に菌を仕込む。これを25℃、湿度80%のチャンバーに入れて培養する。菌根菌の培養結果は表1のとおりであった。
【0025】
【表1】
Figure 0004008187
【0026】
上記の結果より、菌糸を成長させるためには、次のような条件が最適であることがわかった。
【0027】
採集土の表面菌糸膜は雑菌が発生し易く、成長が弱い。土を割って中の菌糸塊の中心部を採取するのが好ましい。
【0028】
培地としてはふすまがよく、その場合出来るだけ粉状物を除くことが大切である。粗さ100メッシュアンダーの篩を用い、粉をふるい落とし、粉を90%以上除去したもの、つまり、粒度が100メッシュよりも大きいより粗粒のふすまが有効であること確認された(試験 No.5〜10)。粉を除いたふすまは150℃で1時間乾燥し、これにpH7に近い蒸留水で湿気を与えたが、含水率としては、上記試験の場合の40%を含めて、35〜40%とするのが有効であることが確認された。この結果従来の菌根菌栽培で利用されている寒天培地に比べ10倍以上の速さで菌糸を成長させることができた。例えば試験 No.7のアミタケはこれまでの方法では、6ケ月かかってもあまり成長させられなかったものが、この発明では、著しい成長促進効果があった。ここでもう一つ重要なことは、空気層を沢山作ることである。50Vol%以上で良い結果が得られた。ふすまを力を加えて作った培地では菌糸は途中で死んでしまった。
<実施例2>
次にホウキタケについて、さらに温度、湿度を変えて菌糸の成長を観察した。その結果を表2に示した。
【0029】
【表2】
Figure 0004008187
【0030】
培養温度は22℃付近がもっとも早く成長し、湿度は50〜90%の広い範囲で成長することが確認された。温度、そして湿度が高いとアオカビなどが発生しやすい。また、ふすまに焦がした米ぬかを加えたものでは、成長が早かった。その結果ホウキタケでは20日間で(早いものは2週間)きのこ発生の目的である、水玉状の代謝物の産生が確認された。
<実施例3>
培養した培地を含めた菌糸を、そのきのこの発生した周辺に山移植した。移植はきのこが発生した10メートルの半径内にした。そのきのこの発生が始まる約1月前に移植した。
【0031】
たとえば、2週間培養したホウキタケの培地の移植後、10日目頃より変化が見られ、14日から20日の間に、大きなきのこ(重さ500g)を5株採取することができた。採取率30%であった。
【0032】
【発明の効果】
以上詳しく説明したとおり、この出願の発明によって、従来、栽培が困難とされてきた菌根菌子実体の安定的な大量産出が可能とされる。

Claims (9)

  1. 菌根菌の菌糸増殖用培地であって、150メッシュ(Tyler 基準)よりも大きい粒度のふすまを含水率35〜50wt%にして滅菌処理したものであることを特徴とする菌根菌の菌糸増殖用培地。
  2. ふすまの粒度は100メッシュ(Tyler 基準)よりも大きいことを特徴とする請求項1の培地。
  3. 滅菌処理前には、空気が50Vol%以上含まれていることを特徴とする請求項1または2の培地。
  4. 菌根菌はホウキタケであることを特徴とする請求項1ないし3いずれかの培地。
  5. 菌根菌の菌糸の培養方法であって、請求項1ないし4のいずれかの培地に菌糸を植菌し、30℃未満の温度、50〜90%の湿度の条件下に培養することを特徴とする菌根菌の菌糸培養方法。
  6. 植菌する菌糸は、子実体発生後に山取り採取した菌糸であることを特徴とする請求項5の培養方法。
  7. 植菌する菌糸は、子実体発生地の土中の菌糸塊より採取した菌糸であることを特徴とする請求項6の培養方法。
  8. 菌根菌子実体の栽培方法であって、請求項5ないし7のいずれかの方法により培養した菌糸を、培地とともに、子実体の発生地もしくはその周辺に山移植することを特徴とする菌根菌子実体の栽培方法。
  9. 子実体発生地の半径15m以内の周辺域に山移植する請求項8の栽培方法。
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