JPH07264947A - レンチナス・エドダスに属する新規な菌株、それを用いた菌床およびそれを栽培して得られる子実体 - Google Patents

レンチナス・エドダスに属する新規な菌株、それを用いた菌床およびそれを栽培して得られる子実体

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JPH07264947A
JPH07264947A JP6062987A JP6298794A JPH07264947A JP H07264947 A JPH07264947 A JP H07264947A JP 6062987 A JP6062987 A JP 6062987A JP 6298794 A JP6298794 A JP 6298794A JP H07264947 A JPH07264947 A JP H07264947A
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bed
fruit body
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shiitake
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JP6062987A
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Yoshihiko Yamauchi
吉彦 山内
Yutaka Suzuki
豊 鈴木
Ryuzo Shishido
隆三 宍戸
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Snow Brand Milk Products Co Ltd
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  • Breeding Of Plants And Reproduction By Means Of Culturing (AREA)
  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【構成】 レンチナス・エドダス(Lentinus
edodes)に属する寄託番号FERM P−13244
を菌株として用いてシイタケ菌床とする。 【効果】培養期間60〜75日、発生期間40〜60
日、収率30〜40%と短期間に高い収穫が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、菌床栽培に適した新規
なシイタケ菌株(レンチナス・エドダス(Lentinus edo
des)属)に関し、特に、短期高収穫性のシイタケ菌
株、それを用いた菌床およびその菌株を栽培して得られ
るシイタケに関する。
【0002】
【従来技術】シイタケ菌床栽培は、オガクズを主体とし
た培養基に種菌を接種し、一定期間培養後に発茸させる
方式で行われている。即ち、まずオガクズにフスマ、米
糠等を混合し、水分を調整した培地を容器に詰め、オー
トクレーブ等で加熱滅菌して培養基を調製する。その
後、種菌を接種し(接種後の培養基を菌床という。)、
これを培養して菌糸を蔓延させ、次いで発生処理を施す
ことにより茸を生産するのである。
【0003】上記菌床栽培において、種菌に用いるシイ
タケ菌株としては、(1)KB2001(登録第274
5号)、(2)北研600(登録第1791号)等が知
られている。(1)は、約1kgの培養基に接種し、約
20〜25℃で約4ヵ月間培養して完熟させ、発生期間
約6〜7ヵ月の間に375〜400g(菌床重量の3
7.5〜40%)の子実体を収穫できる特色を持った菌
株である。(2)は、培養基に接種し、約20〜25℃
で約3ヵ月間培養した後、発生期間約3〜4ヵ月の間に
菌床重量の約21〜29%の子実体を収穫できる特色を
持った菌株である。何れの場合も、培養に3〜4ヵ月
間、発生に3〜7ヵ月間を要し、菌床重量の21〜40
%の子実体を収穫できる。
【0004】このように、現在、菌床栽培に使用されて
いる菌株は、種菌を接種してから子実体を収穫するまで
の期間が約6〜10ヵ月と長期に渡り、そのために栽培
施設面積あたりの子実体収穫率が低いという問題があ
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来技
術の有する問題点に鑑み、新規なシイタケ菌株を創製す
ることにより、従来に比べ栽培期間を大幅に短縮して
も、従来と同等量の子実体を収穫することを目的とす
る。
【0006】また、本発明の他の目的は、かかるシイタ
ケ菌株を種菌として菌床を調製することにより、施設利
用効率を向上させ、かつ安定して高い収量を得ることを
目的とする。
【0007】また、本発明の更に他の目的は、かかる菌
床を栽培することにより、傘の色、形、柄の色、長さ等
に優れた子実体を得ることを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】かかる目的を達成する本
発明は、細胞破砕上清を電気泳動し、活性染色により得
られるエステラーゼアイソザイムのバンドを12本有す
る子実体を形成するレンチナス・エドダス(Lentinus e
dodes)に属する新規な菌株(寄託番号FERMP−132
44)である。該菌株を用いることにより、菌床栽培に
おいて培養期間を60〜75日、発生期間を約40〜6
0日まで大幅に短縮することが可能となる。
【0009】また、本発明は、培養基に上記の菌株が種
菌として接種されている菌床である。優れた特性を持つ
上記菌株を種菌とした該菌床を用いることにより、上記
のような短期間に菌床重量の30〜40%と高い収量を
安定して達成することができ、しかもその50〜70%
がM〜Lサイズであり、さらに、発生開始後、10〜1
5日間に集中的に発生し、菌床の上面および側面から比
較的分散して発生するので品質のよい子実体が収穫でき
る。また、これを浸水処理により3次発生まで発生させ
ても約40〜60日程度であり、従来の発生期間(3〜
7ヶ月間)と比較して約1/2〜1/3に短縮できるの
で、大きな設備を持たなくてもシイタケの計画生産がこ
れまでに比べ大幅に容易となり、効率的な生産が可能と
なる。
【0010】また、本発明は、上記の菌株を栽培して得
られるシイタケ子実体である。該シイタケ子実体は、傘
の色、形、柄の色、長さ等に優れた形状を示すなどの特
徴を有してるものである。
【0011】なお、本発明において、「菌床」とは茸の
栽培を目的として調製された培養基に種菌を接種したも
の、またはその菌が蔓延したものをいい、「種菌」とは
茸の栽培において種として使用することを目的とし、適
度な条件下で純粋に培養した菌体または培養物をいい、
「培養期間」とは種菌接種後から菌床完熟までの期間、
「発生期間」とは子実体の芽出しから収穫までの期間、
「栽培期間」とは培養期間と発生期間を合わせた期間を
いい、また、「収率」とは菌床重量に対する収穫できる
シイタケ生産量の百分率をいう。
【0012】以下、本発明を詳述する。
【0013】[育種方法]発明者らは、従来より短い栽
培期間で子実体を収穫できるシイタケが存在し得ると考
え、まず、培養期間を60日に設定し、開封後50±5
日間に発生する子実体を集計する方法で菌床栽培による
スクリーニングを行った。スクリーニングには、道内を
始め国内各地より入手した野性菌株(総計20株)を使
用した。
【0014】まず、カバオガクズ、フスマおよび水を
5:1:5の重量比で混合し、これをポリプロピレン製
のビン(800ml)に450g充填し、蓋をしてオー
トクレーブにて121℃、100分間加圧蒸気滅菌し
た。室温まで放冷した後、供試菌株を接種し、25℃、
湿度70%にて25〜30日間培養してオガクズ種菌を
製造した。
【0015】培養基としては、カバオガクズとフスマを
重量比5:2で混合し、この水分を65%前後に調整
し、フィルター付培養袋に1.2kg詰め込み、121
℃、90分間オートクレーブ滅菌したものを用いた。冷
却後、自動接種機を使用して上記種菌17gを無菌的に
接種し、ヒートシーラーにて速やかに袋を閉じて、温度
22〜25℃、湿度70%の条件下で60日間培養し
た。なお、培養後期(培養開始後約30日以降)には、
50〜300ルクスの光を照射(12時間毎)しながら
培養した。その後、開封して菌床を取出し、温度16
℃、湿度85%の条件下で子実体を発生させた。1回目
の発生が終了後、浸水処理(約16時間)を施し、2回
目の発生を連続して行い、50±5日間に発生した子実
体を大きさ(L,M,S)別に重量、個数を集計した。
サイズMは傘径が4〜6cmのもの、サイズLは同6c
mを超えるもの、サイズSは同4cm未満のものをい
う。
【0016】その結果、表1に示したように、各地より
採取したシイタケ菌株(便宜上その一部を示した)は、
培養期間60日、発生期間50±5日の短期間では、子
実体収量が23〜218g/1.2kg菌床(収率2〜
18%)という低い値であった。
【0017】
【表1】 そこで、次にこれらを親株として、常法に基づき交配に
より育種を行った。即ち、親株の子実体から担子胞子を
無菌的に採取し、単胞子分離により各々の一次菌糸を
得、それらの一次菌糸をポリデキストロース寒天平板上
で25℃にて対峙培養し、二次菌糸を得た。交配率は8
0〜100%であった。このようにして交配により新菌
株約400株を取得し、上述の要領でスクリーニングを
実施した。その結果、これらの菌株の中から子実体収量
が約400g/1.2kg菌床(収率約33%)である
菌株(これをSBT9053株と命名)の1株だけを取
得することができた。その他のものは、いずれも、培養
期間60日、発生期間50±5日の短期間では、子実体
収量が0〜278g/1.2kg菌床(収率0〜23
%)という低い値であった。
【0018】SBT9053株は、各々北海道苫小牧市
の山中より採取した菌株YJS111とYJS005の
一核菌糸を交配させて作製した二核菌糸の菌株である
が、該親株それぞれの収穫量(表1)からは予測し得な
い極めて高い短期収穫量が実現されており、親株の有す
る形質の単なる組合せでないことが判る。このようにし
て創製されたSBT9053株は、培養期間が60〜
75日、発生期間が約40〜60日と短い、収量が菌
床重量の30〜40%と多い、収量が安定している、
子実体の傘の色、形、柄の色、長さ等に優れた形状を
示すなどの性質を有していた。
【0019】また、SBT9053株は、Lentin
us edodes SBT9053と表示し、工業技
術院生命工学技術研究所に寄託番号FERM P−13
244として寄託されている。
【0020】[SBT9053株の特性]SBT905
3株の子実体の特徴を以下に、また、写生図を図1に示
す。 傘 色:茶褐色 形:円形で肉厚 鱗皮:繊維状 ひだ:密 柄 色:肌色 形:円形で短い 次に、SBT9053株の菌学的諸性質ならびに生化学
的性質をそれぞれ以下に示す。 (1)ポテト・デキストロース寒天培地における生育状
態(25℃) 7日目のコロニー直径は89mm。菌糸は白色で放射状
に伸びる。裏面は一様で変色はない。 (2)デンプン寒天培地(2%可溶性デンプン,0.3
%酵母エキス,1.5%寒天)における生育状態(25
℃) 7日目のコロニー直径は72mm。菌糸は白色で放射状
に伸びる。裏面は一様で変色はない。 (3)キシラン寒天培地(2%キシラン,0.3%酵母
エキス,1.5%寒天)における生育状態(25℃) 7日目のコロニー直径は72mm、白色で密な菌糸。裏
面は一様で変色はない。 (4)フェノールオキシダーゼ検定用培地(0.1%没
食子酸添加ポテト・デキストロース寒天培地)における
生育状態(25℃) 7日目のコロニー直径は53mm。菌糸は白色で気菌糸
が多い。裏面は黄褐色になり、褐変直径は48mm。 (5)最適生育温度ならびに各温度における生育速度 ポテト・デキストロース寒天培地(スラント)に菌糸を
接種し、予め25℃で3〜4日間培養した後、温度勾配
培養装置を使用して各温度で10日間培養し、その間、
菌糸の伸長を測定した。その結果、温度20〜28℃の
範囲で良く生育し、最適生育温度は23〜27℃付近で
あった。また、5℃以下では生育が悪く、32℃以上で
は全く生育しなかった。 (6)最適生育pH 各pHに調整して滅菌したポテト・デキストロース寒天
培地(液体)に直径6mmの菌糸片を接種して25℃で
14日間培養した。集菌後、乾燥重量を測定し、各pH
における菌糸生育を調べた。その結果、最適生育pHは
6付近であり、また、本菌株の生育範囲はpH3.5〜
7であった。 (7)帯線形成の有無 供試菌株10株の2核菌糸をそれぞれポテト・デキスト
ロース寒天培地の中央部に対峙して接種し、25℃、3
0〜40日間培養後、両コロニー境界部に帯線を生じる
か否かを判定した。本菌株は供試菌株すべてと帯線を形
成した。 (8)ポリフェノールオキシダーゼ(PPO)活性 基質としてグアイアコールを添加(終濃度で1mM)し
たポテト・デキストロース寒天培地(液体)40mlを
滅菌後、直径8mmの菌糸片を接種して25℃で6日間
培養した。経時的に培養液上清の470nmにおける吸
光度を測定してポリフェノールオキシダーゼ活性(OD
470と表示)を求めた。活性(OD470)は、培養
4日目に0.29、培養6日目に0.63であった。 (9)アイソザイム分析(エステラーゼ) T.Toyomasuの方法(Agric.Biol.
Chem.,50,223−225,1986)によ
り、細胞破砕上清を8%ポリアクリルアミドゲルで電気
泳動(18mA/ゲル)後、1mMα−ナフチルアセテ
ート、1mMβ−ナフチルアセテートを基質としてエス
テラーゼの活性染色を行った。本菌株は、エステラーゼ
アイソザイムのバンドを12本有し、図2のような泳動
パターンを示し、本菌株を特徴づける性質の一つであ
る。 (10)子実体形成における最適温度 前述したように、フスマを12%添加したカバオガクズ
を用いた培地(水分65%)から調製した1.2kg菌
床(培養期間60日)を温度13〜20℃、湿度85%
の条件下で子実体を発生させ、子実体収量を比較した。
本菌株は、13〜20℃の何れの範囲でも約400〜5
00gの子実体を発生し、適応温度範囲が広い特性を有
していた。
【0021】[菌床の調製及び栽培方法]本発明のSB
T9053株を種菌として以下のような方法で菌床を調
製することができる。即ち、SBT9053株を主菌と
して従来のオガクズ種菌と同様に使用でき又液体種菌と
しても使用できる。液体種菌とは、例えば、滅菌済みの
ポテト・デキストロース寒天培地(液体)200ml/
500ml容坂口フラスコにシイタケSBT9053株
を接種し、25℃、120〜150rpm(振盪数)の
条件で好気的に5〜7日間培養した培養液をディスパー
サー処理して菌糸を分散させて製造したもの等である。
滅菌済みの培養基に、液体培地にて調製した該液体種菌
あるいはホモジナイズ等の処理を更に施して菌糸を断片
化した液体種菌を接種する。この液体種菌を1.2kg
培養基に10〜20ml接種して上記の培養条件に従っ
て培養すると、培養約60〜75日前後で菌床が完熱す
る。オガクズ種菌の場合も全く同様である。
【0022】また、本発明の菌床の大きさは特に限定さ
れるものではないが、0.8〜3.0kgの範囲で製造
可能であり、菌床重量当りの子実体収量は、菌床の大き
さに影響せず、ほぼ一定である。しかし、菌床の運搬、
子実体の採取等の作業性を考慮すると、菌床の大きさは
1.2〜2.5kgが好ましい。また、培養基の密度
は、0.6〜0.7g/cm3 (水分62〜65%にお
いて)の範囲で成形するのが好ましく、それよりも大き
いと菌糸の成育が抑制される場合があり、また、小さい
と菌床が崩れ易く、扱いにくい。又、形状は直方体が一
般的であるが、円柱形等であってもよい。
【0023】本発明の菌床に用いる培養基の培地組成
は、フスマ、米糠、コーンコブ等の栄養剤、市販の培地
栄養剤等を単独あるいは二種以上を混合し、重量比でオ
ガクズ5に対し、栄養剤を1.5〜2の割合で混合する
のが好ましい。使用するオガクズは樹脂成分が少なく、
シイタケにより分解され易いものがよく、クヌギ、コナ
ラ、シイ、ブナ、シラカバ、マカバ、ダテカンバ等のカ
バ類等の広葉樹由来のものが好ましい。また、培地栄養
剤としては、菌糸の生育ならびに子実体の発生等の点
で、フスマ、ビール酵母、ビートパルプを一種類あるい
は複数種使用するのが好ましい。培養基の水分は菌糸の
生育に適当な62〜65%が好ましい。
【0024】本発明の菌床を培養するための容器は、袋
あるいはビン等、特に制限されないが、容器内への通気
性の面から、フィルターが1カ所あるいは2カ所ついた
耐熱性の透明あるいは半透明の袋が好ましい。また、培
養基には、その大きさに応じて底部に達する穴を数ヶ所
に設けるとよい。この穴により、培養基の滅菌効率を向
上させると共に、培養基内に種菌を効率よく拡散させる
ことができる。
【0025】また、上述の菌床を完熟させるには、培養
施設の温度は20〜25℃が好ましい。SBT9053
株は、温度20〜28℃の範囲でよく生育し、至適成育
温度は23〜27℃である。また、菌床生育時には呼吸
熱により菌床内温度が上昇することから、至適生育温度
より1〜4℃、好ましくは2〜3℃低い温度(湿度65
〜75%)で培養するのが好ましく、培養期間は60〜
75日で終了する。
【0026】このように調製した菌床を温度13〜20
℃(湿度80〜90%)で発生させると、40〜60日
の間に子実体が集中的に発生し、その収量は約370〜
500g/1.2kg菌床に達する。しかも、子実体
は、Mサイズ(傘が4〜6cm)が中心(収率の約50
〜70%)となり、肉厚であり、菌床の上面あるいは側
面に分散して発生するため傘の重なりが少なく、品質が
よい。
【0027】以上のように、SBT9053株を使用す
ると、従来の1/2〜1/3という極めて短期間に従来
の収量と同等以上の収量で、かつ高品質の子実体が安定
的に収穫できる菌床を提供することができる。
【0028】
【実施例】以下、本発明を実施例により説明する。
【0029】(実施例1) [オガクズ種菌の製造]カバオガクズ、フスマおよび水
を5:1:5の重量比で混合し、これをポリプロピレン
製のビン(800ml)に450g充填し、蓋をしてオ
ートクレーブにて121℃、100分間加圧蒸気滅菌し
た。室温まで放冷した後、シイタケSBT9053株の
液体培養液を6ml接種し、25℃、湿度70%にて2
5〜30日間培養してオガクズ種菌を製造した。
【0030】[菌床の製造] カバオガクズ:フスマ(5:2)から成る培地の水分を
65%に調整し、フィルター付きポリプロピレン製袋に
培地を1.2kg詰め込み、直方体に成形(密度0.7
g/cm3 )した。培地中央部に直径2cmの穴を底部
に到達するまで開け、これをオートクレーブにて121
℃、90分間滅菌し、室温で一晩放冷した。自動接種機
を使用して上記のオガクズ種菌を約17g接種し、速や
かに袋をヒートシールした。これを室温22〜25℃、
湿度70%の条件下で60日間培養した。尚、培養後期
には、50〜300ルクスの光を照射(12時間毎)し
ながら、30日間培養した。
【0031】[菌床から子実体の発生]袋を開封して菌
床を取り出し、温度16℃、湿度85%、照度300ル
クス(12時間毎)の条件下で子実体を発生させた。1
回目の発生終了後、浸水処理(約16時間)を施し、連
続して2回目の発生を行い、同様にして3回目の発生を
行った。合計46日間の発生で408g/1.2kg菌
床(収率34%)の子実体が収穫でき、その子実体は、
M〜Lサイズが53%を占めた。
【0032】このように、本実施例ではSBT9053
株から、栽培日数106日と極めて短期間に収率34%
もの子実体が収穫できた。
【0033】(実施例2)培養期間を75日とした他は
実施例1と同じ条件で菌床を製造し、栽培試験を行っ
た。合計55日間の発生(栽培日数130日)で398
g/1.2kg菌床(収率33%)の子実体が収穫でき
た。子実体は、M〜Lサイズが全体の73%を占めた。
【0034】(実施例3)培養基を2.5kgとし、滅
菌時間を120分間とした他は実施例1と同じ条件で菌
床を製造し、栽培試験を行った。合計52日間の発生
(栽培日数112日)で856g/2.5kg菌床(収
率34%)の子実体が収穫できた。M〜Lサイズは全体
の61%であった。
【0035】(実施例4)実施例3と同様にして栽培を
6回繰り返し、安定性を試験した。合計43〜64日間
の発生(栽培日数103〜124日)で813〜100
7g/2.5kg菌床(収率33〜40%)の子実体が
収穫できた。M〜Lサイズは全体の53〜69%であっ
た。このように、SBT9053株は、収量の安定性に
優れていた。
【0036】(実施例5)培地栄養剤の組成をフスマ1
00%からフスマ75%、タイロン500(メルシャン
社製)25%に変えた他は実施例3と同様の条件で栽培
を5回繰り返し、安定性を試験した。合計43〜51日
間の発生(栽培日数103〜111日)で751〜87
2g/2.5kg菌床(収率30〜35%)の子実体が
収穫できた。M〜Lサイズは全体の61〜69%であっ
た。このように、SBT9053株は、収量の安定性に
優れていた。
【0037】実施例1〜5の結果を表2にまとめた。
【0038】
【表2】
【0039】
【発明の効果】以上のように、本発明のシイタケSBT
9053株ならびにそれを用いた菌床は、培養期間が6
0〜75日と非常に短く、従来用いられているシイタケ
菌床に比べ、培養期間を20〜50日も短縮できた。こ
れにより、培養施設は、年間約4回転の使用が可能とな
り、効率的に製造量を確保できる。
【0040】しかも、本発明の菌床では、子実体収穫量
が菌床重量の30〜40%と高収量、かつ、その53〜
69%がM〜Lサイズであり、さらに、発生開始後、1
0〜15日間に集中的に発生し、菌床の上面および側面
から比較的分散して発生するので品質のよい子実体が収
穫できる。これを浸水処理により3次発生まで発生させ
ても約40〜60日程度であり、従来の発生期間(3〜
7ヶ月間)と比較して約1/2〜1/3に短縮できる。
そのため、シイタケの計画生産がこれまでよりも容易と
なり、効率的な生産が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】SBT9053株の子実体を示す写生図(a)
及びその縦断面模式図(b)を示し、図中、Aは約5〜
6cm、Bは約3〜4cm、Cは約2.5〜3cm、D
は約1.5〜2cmである。
【図2】SBT9053株の子実体のエステラーゼアイ
ソザイムのバンドを示す。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 細胞破砕上清を電気泳動し活性染色によ
    り得られるエステラーゼアイソザイムのバンドを12本
    有する子実体を形成するレンチナス・エドダス(Lentin
    us edodes)に属する新規な菌株(寄託番号FERM P−
    13244)。
  2. 【請求項2】 培養基に請求項1記載の菌株が種菌とし
    て接種されている菌床。
  3. 【請求項3】 請求項2において、菌株が、液体種菌お
    よび/またはオガクズ種菌として接種されており、密度
    が0.6〜0.7g/cm3(水分62〜65%におい
    て)である菌床。
  4. 【請求項4】 請求項2または3記載の菌株を栽培し得
    られるシイタケ子実体。
JP6062987A 1994-03-31 1994-03-31 レンチナス・エドダスに属する新規な菌株、それを用いた菌床およびそれを栽培して得られる子実体 Pending JPH07264947A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN113317129A (zh) * 2021-05-27 2021-08-31 西南林业大学 一种小香菇菌株及其栽培方法
CN114410480A (zh) * 2021-12-27 2022-04-29 山东七河生物科技股份有限公司 一种无孢香菇菌株QH340及其Indel标记指纹图谱鉴定方法

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CN113317129A (zh) * 2021-05-27 2021-08-31 西南林业大学 一种小香菇菌株及其栽培方法
CN113317129B (zh) * 2021-05-27 2023-10-03 西南林业大学 一种小香菇菌株及其栽培方法
CN114410480A (zh) * 2021-12-27 2022-04-29 山东七河生物科技股份有限公司 一种无孢香菇菌株QH340及其Indel标记指纹图谱鉴定方法
CN114410480B (zh) * 2021-12-27 2023-11-03 山东七河生物科技股份有限公司 一种无孢香菇菌株QH340及其Indel标记指纹图谱鉴定方法

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