JP2000300066A - ブナハリタケの栽培方法 - Google Patents

ブナハリタケの栽培方法

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JP2000300066A
JP2000300066A JP11111072A JP11107299A JP2000300066A JP 2000300066 A JP2000300066 A JP 2000300066A JP 11111072 A JP11111072 A JP 11111072A JP 11107299 A JP11107299 A JP 11107299A JP 2000300066 A JP2000300066 A JP 2000300066A
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culture
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Hiroshi Sato
拓 佐藤
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Kirin Brewery Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 オガクズを利用した従来の容器栽培方法では
子実体に成長させることが難しいブナハリタケをオガク
ズ等の保水体と各種農産、食品産業廃棄物を栄養源とし
て用いて調製した培地で人工栽培し、周年安定的、工業
的かつ安価にブナハリタケ子実体を提供すること。 【解決手段】 オガクズと、乾燥おから又はビール粕の
いずれかを含む栽培用栄養源と水とを混合した培地にブ
ナハリタケの種菌を接種して培養し、培地に菌糸が生育
した菌床を得る前培養工程と、該菌床を培養し、ブナハ
リタケ原基を得る中培養工程と、菌床と栽培容器内面と
の間に形成された原基が形成されている栽培容器の周辺
箇所を切除した後培養し、ブナハリタケ子実体を得る後
培養工程からなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ブナハリタケの菌
床人工栽培方法に関する。さらに詳しくは、自然に発生
するよりも大型のブナハリタケ子実体が季節を問わず短
期間で安定して得られるブナハリタケの人工栽培方法に
関する。
【0002】
【従来の技術】ブナハリタケ(Mycoleptodonoides aitc
hisonii (Berk) Maas G.)(地方名カミハリタケ)は、
自然界において9〜11月上旬、ブナ、ミズナラの倒
木、立ち枯れ木に重なり合って生える。傘の直径は3〜
10cm、半円形で白色、後に黄色味を帯びてくる。裏
面は白く針状で、表面同様、後に黄色味を帯びてくる。
肉は白くて軟らかく吸水性があり、独特の香気を持って
いる。また、このキノコはコクを持ち非常に美味なキノ
コとしても知られている。
【0003】ブナハリタケの人工栽培方法として、「長
野県林試研究報告」第3号、32〜37頁(1987)
及び「福島県林試研報」第23号、81〜101頁(1
990)には、ブナ、サクラ等の原木を用いた栽培に関
する研究の報告が、「食品流通技術」Vol.18,N
o.1,17〜21頁(1989)には原木栽培とオガ
クズを利用した栽培方法の研究の報告がされている。こ
れら報告によると、原木栽培では子実体に成長させるこ
とができるものの、多くの原木を供給しなければならな
い上に、菌糸の腐朽力が強いために木片で種駒を培養す
ることが難かしいという問題があり、他方、オガクズを
利用した容器栽培では奇形が多く、またオガクズを利用
した袋栽培では子実体に成長させることが難しく、いず
れにしても現段階の技術では人工菌床栽培は無理である
とされている。
【0004】他方、特開平7−95822号公報には、
少なくとも底部と側面とを有する培養容器内の固体培地
に形成されたカンゾウタケの子実体原基の周辺の容器の
一部を切開し、該切開された部分を通ってカンゾウタケ
の子実体を容器の外に延ばして成長させるカンゾウタケ
の子実体生育方法が記載されている。
【0005】
【発明が解決すべき課題】近年の健康、無農薬指向から
みてもわかるとおり、健康食品や無農薬で栽培される食
品として位置づけられるキノコ類の需要は今後大きくな
ることが確実であるといわれている。本発明の課題は、
オガクズを利用した従来の容器栽培方法では子実体に成
長させることが難しいブナハリタケをオガクズ等の保水
体と各種農産、食品産業廃棄物を栄養源として用いて調
製した培地で人工栽培し、周年安定的、工業的かつ安価
にブナハリタケ子実体を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記課題を
解決するために鋭意研究した結果、ブナハリタケ種菌を
特定の栄養源が添加された培地に特定の条件下で培養し
て菌糸を生育させた菌床を得る前培養工程と、該菌床を
特定の条件下で培養して、菌床と栽培容器内面との間に
形成されたブナハリタケ原基を得る中培養工程と、該ブ
ナハリタケ原基のうちの1つのブナハリタケ原基が接触
している栽培容器の原基周辺箇所を切り取った後、特定
の条件下で培養してブナハリタケ子実体を得る後培養工
程を経てブナハリタケを栽培すると、自然に発生するよ
りも大型のブナハリタケ子実体が得られることを見い出
し、本発明を完成させるに至った。
【0007】すなわち本発明は、保水体と、乾燥おから
及びビール粕のうち少なくとも一方を含む栽培用栄養源
と、水とを混合した培地を滅菌する滅菌工程と、滅菌し
た培地にブナハリタケの種菌を接種する接種工程と、ブ
ナハリタケの種菌が接種された培地を培養し、培地に菌
糸が生育した菌床を得る前培養工程と、該菌床を培養
し、子実体に成長しうる物理的空間に曝されていないブ
ナハリタケ原基を得る中培養工程と、該子実体に成長し
うる物理的空間に曝されていないブナハリタケ原基の中
から選ばれた原基を、ブナハリタケ原基が子実体に成長
しうる物理的空間に曝される条件下で培養し、ブナハリ
タケ子実体を得る後培養工程からなる培養工程により培
養することを特徴とするブナハリタケの栽培方法や、上
記前培養工程が、ブナハリタケの種菌が接種された培地
を、温度15〜35℃、湿度40〜80%、暗条件下で
25〜90日間培養し、培地に菌糸が生育した菌床を得
る培養工程であるブナハリタケの栽培方法や、上記中培
養工程が、培地に菌糸が生育した菌床を、温度8〜22
℃、湿度80〜100%、照度50〜500ルックスの
条件下で25〜60日間培養し、子実体に成長しうる物
理的空間に曝されていないブナハリタケ原基を得る培養
工程であるブナハリタケの栽培方法や、上記後培養工程
が、子実体に成長しうる物理的空間に曝されていないブ
ナハリタケ原基を、温度8〜22℃、湿度80〜100
%、照度50〜500ルックスで、かつブナハリタケ原
基が子実体に成長しうる物理的空間に曝される条件下で
5〜20日間培養し、ブナハリタケ子実体を得る培養工
程であるブナハリタケの栽培方法に関する。
【0008】また本発明は、子実体に成長しうる物理的
空間に曝されていないブナハリタケ原基が、菌床と栽培
容器内面との間に形成されたブナハリタケ原基である上
記ブナハリタケの栽培方法や、後培養工程において、ブ
ナハリタケ原基を子実体に成長しうる物理的空間に曝す
ために、栽培容器のブナハリタケ原基が形成されている
周辺箇所を切除することによりなされることを特徴とす
る上記ブナハリタケの栽培方法や、後培養工程における
栽培容器の切除箇所が、ブナハリタケ原基の中から選ば
れた1つのブナハリタケ原基の周辺箇所であることを特
徴とする上記ブナハリタケの栽培方法や、後培養工程
が、ブナハリタケ原基が上になるようにして培養するこ
とを特徴とする上記ブナハリタケの栽培方法や、培養工
程をプラスチックシート又はプラスチック培養袋からな
る栽培容器で行うことを特徴とする上記ブナハリタケの
栽培方法や、ブナハリタケが、ブナハリタケBNH−3
株(FERM BP−6697)である上記ブナハリタ
ケの栽培方法に関する。さらに本発明は、ブナハリタケ
BNH−3株(FERM BP−6697)に関する。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明のブナハリタケの栽培方法
は、保水体と、乾燥おから及びビール粕のうち少なくと
も一方を含む栄養源を含有する栽培用培養源と、水とを
混合した培地を滅菌する滅菌工程と、滅菌した培地にブ
ナハリタケの種菌を接種する接種工程と、ブナハリタケ
の種菌が接種された培地を培養し、培地に菌糸が生育し
た菌床を得る前培養工程と、該菌床を培養し、子実体に
成長しうる物理的空間に曝されていないブナハリタケ原
基を得る中培養工程と、該子実体に成長しうる物理的空
間に曝されていないブナハリタケ原基の中から選ばれた
原基を、ブナハリタケ原基が子実体に成長しうる物理的
空間に曝される条件下で培養し、ブナハリタケ子実体を
得る後培養工程からなることを特徴とする。ここで「子
実体に成長しうる物理的空間」とは、培養基から外に向
かって子実体が成長する空間を意味し、本発明において
培養基をプラスチック製の袋等により密封した場合には
密封容器の外部の空間を意味する。
【0010】本発明において用いられるブナハリタケ菌
株としては、ブナハリタケに属する菌株であれば市販菌
株や自然界からスクリーニングした菌株をも含めどのよ
うな菌株でもよいが、菌糸生育能及び原基形成能が優れ
ているブナハリタケBNH−3株を用いることが特に好
ましい。ブナハリタケBNH−3株は、秋田県南秋田郡
の山中で、枯れ木に自生していた子実体より、本発明者
が純粋分離したもので、ポテトデキストロース寒天斜面
培地での培養物は、4℃程度の温度下で保存することが
でき、この保存菌株は3〜6ヶ月程度で植え継ぐことが
望ましい。本菌株の子実体、菌糸及び胞子の形態学的特
徴は以下の通りである。
【0011】子実体は群生、傘は扇形〜へら形で3〜8
×3〜10cm。表面は無毛平滑、白色〜少し黄色味を
帯びる。肉は白色、厚さ2〜5mm。縁は薄く多少歯牙
状。菌糸構成は幅4〜10μmの厚膜菌糸と、幅3.5
〜5μmで、ふくらみとねじれをもつ薄膜菌糸の2菌糸
型。胞子は腸詰め形、無色、2〜2.5×5〜6.5μ
m。
【0012】上記の形態学的特徴に基づいて、今関六
也、本郷次雄共著「原色日本新菌類図鑑II」(保育社平
成元年5月31日初版発行)により同定すると、本菌が
ブナハリタケに属することは明らかである。なお、本菌
は、特許手続上の微生物の寄託の国際的承認に関するブ
タペスト条約下、平成11年4月7日に日本国茨城県つ
くば市東1丁目1番3号に所在する通産省工業技術院生
命工学工業技術研究所にFERM BP−6697とし
て寄託されている。
【0013】本発明において培地に使用する保水体とし
ては、スギ、ヒノキ、マツ等の針葉樹由来のオガクズ
や、ブナ、ナラ、クヌギ等の広葉樹由来のオガクズや、
また、近年キノコ栽培においてオガクズ代用品として使
用されるコーンコブ(トウモロコシ軸粉砕物)の他、市
販されている菌床材料等を例示することができ、これら
のものは単独で使用してもよいし、2種以上混合して用
いることもできる。
【0014】本発明において、培地に使用する栽培用栄
養源としては、ビール粕又は乾燥オカラのいずれかの必
須栄養源と、この選ばれた必須栄養源以外の他の栄養源
とが組み合わされて用いられる。他の栄養源としては、
通常キノコの栽培に用いられる米糠、一般フスマ、専管
フスマ、コーンブラン等を例示することができる。ビー
ル粕及び乾燥オカラを共に含まない栽培用栄養源を培地
に使用すると、菌糸の成長が遅いばかりでなく、大きさ
や形に優れた子実体を得ることが困難となる。
【0015】上記保水体と栽培用栄養源との混合割合
は、生重量比で10:0.7〜10:4の範囲が好まし
く、10:2〜3の範囲が特に好ましい。また、水分含
量は最終培地あたり60〜70%に調整すればよいが、
65%程度にするのがより好ましい。さらに、培地成分
として、通常キノコ栽培で用いられている大豆皮、乾燥
酵母やpH調整剤等を培地成分として添加することもで
きる。
【0016】本発明におけるブナハリタケの栽培は、前
培養工程と中培養工程と後培養工程からなり、本発明の
ブナハリタケの栽培方法は、培地中にブナハリタケの菌
糸を特定の培養条件下で充分に生育させ、子実体形成の
ための菌床を得る前培養工程と、該菌床に特定の培養条
件下で培養し、ブナハリタケ原基を形成させる中培養工
程と、形成したブナハリタケ原基を特定の培養条件下で
培養し、子実体まで成長させる後培養工程の3つの培養
工程を採用している点にも特徴を有し、これにより味覚
的にも自然発生のものと同様の非常に美味なブナハリタ
ケの子実体を得ることができる。
【0017】前培養工程は、保水体と栽培用栄養源と水
とを含有する培地を加圧滅菌後、ブナハリタケの種菌を
接種し、温度15〜35℃、好ましくは21〜27℃
で、湿度40〜80%、好ましくは60〜70%付近
で、暗条件下で培養し、培地中に菌糸を蔓延させ、子実
体が発生するための栄養源を菌糸に蓄積させる工程であ
る。培養熟成日数、すなわち培地全体に菌糸が蔓延する
のに要する日数と栄養源を菌糸に蓄積させるのに必要な
日数は、1.2kg用袋を用いた場合、25〜90日間
が好ましく、通常25日間未満では子実体は発生しない
か、後の中培養工程で著しく日数を要する。この際、用
いる培養容器の大きさや種菌接種量により前培養工程に
要する日数が変化することはいうまでもない。
【0018】中培養工程は、前記のように、前培養工程
終了後の菌床にブナハリタケ原基を形成させるために行
う工程であり、前培養工程で得られた菌床を、温度8〜
22℃、好ましくは12〜16℃、湿度80〜100
%、好ましくは85〜95%、照度50ルックス以上、
好ましくは50〜500ルックスで25〜60日間培養
を続けると、例えば、菌床と容器内面との間等の子実体
に成長しうる物理的空間に曝されていないブナハリタケ
原基が形成する。
【0019】後培養工程は、上記のように、中培養工程
終了後の子実体に成長しうる物理的空間に曝されていな
いブナハリタケ原基を子実体へ成長させるために行う工
程であり、中培養工程で得られた子実体に成長しうる物
理的空間に曝されていないブナハリタケ原基が形成され
ている、例えば、容器の周辺箇所を取り除き、温度8〜
22℃、好ましくは12〜16℃、湿度80〜100
%、好ましくは85〜95%、照度50ルックス以上、
好ましくは50〜500ルックスで、かつブナハリタケ
原基が子実体に成長しうる物理的空間に曝される条件下
で5〜20日間培養を続けるとブナハリタケ原基が子実
体へと成長する。
【0020】ブナハリタケの栽培には、培地の滅菌の簡
易さ等から、栽培容器が通常用いられ、また本発明にお
ける栽培容器には栽培袋等も含まれる。図1に示すよう
に、栽培容器1としては、形成されたブナハリタケ原基
2を容器外側から肉眼で観察することができるように、
透明又は半透明の材質からなる容器が好ましい。また、
菌床3と栽培容器1内面との間に形成された、子実体に
成長しうる物理的空間に曝されていないブナハリタケ原
基の中から選ばれた直径3cm程度の1つのブナハリタ
ケ原基2aを培養することが自然に発生するブナハリタ
ケより大きな子実体4を得る上で好ましい。さらに、横
断面が矩形等の栽培容器1を横に倒し、ブナハリタケ原
基2aが上になるようにして、ブナハリタケ原基が形成
された栽培容器の周辺箇所5を切除し、ブナハリタケ原
基が子実体に成長しうる物理的空間に曝される条件下で
ブナハリタケ原基2aを培養することが形の揃った大型
の子実体4を収穫する上で好ましい。
【0021】上記のように、ブナハリタケの栽培は、培
地の滅菌の簡易さ等から、通常、栽培容器を用いる方法
により行われるが、培養室内全体の滅菌が可能な工場等
で栽培する場合には、平らな層状に形成された培地を滅
菌した後、ブナハリタケの種菌を接種し、その上を透明
又は半透明のシートで覆い、前培養工程により菌床を形
成させ、次いで中培養工程により、シート内面と菌床と
の間に形成された、子実体に成長しうる物理的空間に曝
されていないブナハリタケ原基を発生させた後シートを
除去し、適宜間隔で直径3cm程度の複数のブナハリタ
ケ原基を選定し、それら選定された原基が選択的に子実
体に成長することができるように、中央部分が切除され
た適宜大きさの個別小型シートを、切除部分の中央が原
基の中心にほぼ一致するように被せることにより、原基
が子実体に成長しうる物理的空間を作出し、選択された
複数の原基を子実体に成長させることもできる。
【0022】
【実施例】以下に本発明を実施例によりさらに詳細に説
明するが、本発明はこれらの実施例によって限定される
ものではない。 (培地組成の検討) 実施例1 栽培用栄養源としてビール粕を用いた。このビール粕
3.0gと寒天4.0gに水道水200mlを加え、均
一な懸濁液となるように各栄養源と寒天を分散させた。
121℃、15分間加圧滅菌した後、直径90mmのシ
ャーレに25mlずつ分注し固化させて栽培用培地を調
製した。これとは別に、ブナハリタケBNH−3株をポ
テトデキストロース寒天培地上で培養した後、培地ごと
直径6mmのコルクボーラーで打ち抜いて菌糸ペレット
としたものを、上記栽培用培地の中央にのせ、24℃で
培養し、5日後に菌糸叢直径と乾燥菌糸重量を測定し
た。その結果、菌糸叢直径は56.2mm、乾燥菌糸重
量は48.1mgとなり、非常に良好な菌糸伸長速度、
菌糸体量を示した。
【0023】実施例2 栽培用栄養源として、乾燥オカラ3.0gを用いる他は
実施例1と同様にして培養したところ、菌糸叢直径は5
4.1mm、乾燥菌糸重量は38.0mgであり、非常
に良好な菌糸伸長速度、菌糸体量を示した。
【0024】比較例1 栽培用栄養源として、米糠3.0gを用いる他は実施例
1と同様にして培養したところ、菌糸叢直径は36.0
mm、乾燥菌糸重量は12.5mgであった。
【0025】比較例2 栽培用栄養源として、一般フスマ3.0gを用いる他は
実施例1と同様にして培養したところ、菌糸叢直径は3
7.0mm、乾燥菌糸重量は18.3mgであった。
【0026】比較例3 栽培用栄養源として、専管フスマ3.0gを用いる他は
実施例1と同様にして培養したところ、菌糸叢直径は3
7.8mm、乾燥菌糸重量は26.3mgであった。
【0027】比較例4 栽培用栄養源として、コーンブラン3.0gを用いる他
は実施例1と同様にして培養したところ、菌糸叢直径は
35.8mm、乾燥菌糸重量は7.8mgであった。
【0028】以上の結果からも明らかなように、ブナハ
リタケの培養で使用する栽培用栄養源として、ビール
粕、乾燥オカラのいずれかを用いることにより、ブナハ
リタケ菌糸の成長が著しく促進されることがわかった。
【0029】(ブナハリタケ子実体の形成)次に、以上
の実施例の中で最も良好な結果を示した栽培用栄養源の
1つであるビール粕と乾燥オカラを用いて、実際にブナ
ハリタケ子実体を形成させた。その方法と結果を以下に
示す。
【0030】実施例3 ブナオガクズ380g、乾燥ビール粕37.5g、乾燥
オカラ37.5g、水道水545gを混合した計100
0gを、1.2kg用PP(ポリプロピレン)製袋に詰
めて培地を作製した。さらにこの袋にフィルターをはさ
んだポリプロピレン製キャップをして121℃、50分
加圧滅菌した。この培地を冷却した後、ブナハリタケB
NH−3株を接種し、暗所にて温度23〜25℃、湿度
60〜80%の条件で40日間前培養を行い、次に中培
養工程へ移行した。中培養工程では、温度13〜15
℃、湿度80〜95%、照度200ルックスの条件下
で、30日間培養するとブナハリタケ原基が形成され
た。袋内に直径3cm程度の原基が認められる部分の袋
部の1箇所を切り取り、次いで後培養工程へ移行した。
後培養工程では、温度13〜15℃、湿度80〜95
%、照度200ルックスの条件下で、17日培養すると
1株のブナハリタケ子実体へと成長した。得られたブナ
ハリタケは天然のものより大型で、非常に美味なもので
あった。得られた子実体は232.5gで、栽培に要し
た総日数は87日であった。
【0031】実施例4 培地として、ブナオガクズを350g、乾燥ビール粕を
50g、乾燥オカラを50g、水道水を551g用いる
以外は実施例3と同様に行った。この際、中培養工程に
47日、後培養工程に12日を要し、1株のブナハリタ
ケ子実体へ成長した。得られたブナハリタケは天然のも
のより大型で、非常に美味なものであった。得られた子
実体は231.8gで、栽培に要した総日数は99日で
あった。
【0032】実施例5 中培養工程と後培養工程を温度15〜17℃で行う以外
は、実施例3と同様に行った。この際、中培養工程に3
6日、後培養工程に15日を要し、1株のブナハリタケ
子実体へ成長した。得られたブナハリタケは天然のもの
より大型で、非常に美味なものであった。得られた子実
体は252.3gで、栽培に要した総日数は91日であ
った。
【0033】実施例6 中培養工程と後培養工程を温度15〜17℃で行う以外
は、実施例4と同様に行った。この際、中培養工程に4
7日、後培養工程に8日を要し、1株のブナハリタケ子
実体へ成長した。得られたブナハリタケは天然のものよ
り大型で、非常に美味なものであった。得られた子実体
は227.2gで、栽培に要した総日数は95日であっ
た。
【0034】以上のことから明らかなように、ブナハリ
タケを安価な素材を用いて高収量かつ短期間に安定して
栽培できることがわかった。また、得られた子実体も1
株のものとなり、自然に発生しているものよりも大型の
子実体となった。
【0035】
【発明の効果】本発明の栽培方法によれば、非常に美味
なブナハリタケが、季節に左右されず、安価な素材を用
いて高収量かつ短期間に安定して栽培することができ、
自然に発生しているものよりも大型の子実体を得ること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】半透明の栽培容器を用いて子実体を形成する本
発明のブナハリタケの栽培方法を説明するための図であ
る。
【符号の説明】
1 ブナハリタケ栽培容器 2,2a ブナハリタケ原基 3 菌床 4 ブナハリタケ子実体 5 ブナハリタケ原基形成周辺箇所
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12R 1:645)

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 保水体と乾燥おから及びビール粕のうち
    少なくとも一方を含む栽培用栄養源と水とを混合した培
    地を滅菌する滅菌工程と、滅菌した培地にブナハリタケ
    の種菌を接種する接種工程と、ブナハリタケの種菌が接
    種された培地を培養し、培地に菌糸が生育した菌床を得
    る前培養工程と、該菌床を培養し、子実体に成長しうる
    物理的空間に曝されていないブナハリタケ原基を得る中
    培養工程と、該子実体に成長しうる物理的空間に曝され
    ていないブナハリタケ原基の中から選ばれた原基を、ブ
    ナハリタケ原基が子実体に成長しうる物理的空間に曝さ
    れる条件下で培養し、ブナハリタケ子実体を得る後培養
    工程からなる培養工程により培養することを特徴とする
    ブナハリタケの栽培方法。
  2. 【請求項2】 前培養工程が、ブナハリタケの種菌が接
    種された培地を、温度15〜35℃、湿度40〜80
    %、暗条件下で25〜90日間培養し、培地に菌糸が生
    育した菌床を得る培養工程であることを特徴とする請求
    項1記載のブナハリタケの栽培方法。
  3. 【請求項3】 中培養工程が、培地に菌糸が生育した菌
    床を、温度8〜22℃、湿度80〜100%、照度50
    〜500ルックスの条件下で25〜60日間培養し、子
    実体に成長しうる物理的空間に曝されていないブナハリ
    タケ原基を得る培養工程であることを特徴とする請求項
    1又は2記載のブナハリタケの栽培方法。
  4. 【請求項4】 後培養工程が、子実体に成長しうる物理
    的空間に曝されていないブナハリタケ原基の中から選ば
    れた原基を、温度8〜22℃、湿度80〜100%、照
    度50〜500ルックスで、かつブナハリタケ原基が子
    実体に成長しうる物理的空間に曝される条件下で5〜2
    0日間培養し、ブナハリタケ子実体を得る培養工程であ
    ることを特徴とする請求項1〜3のいずれか記載のブナ
    ハリタケの栽培方法。
  5. 【請求項5】 子実体に成長しうる物理的空間に曝され
    ていないブナハリタケ原基が、菌床と栽培容器内面との
    間に形成されたブナハリタケ原基であることを特徴とす
    る請求項1〜4のいずれか記載のブナハリタケの栽培方
    法。
  6. 【請求項6】 後培養工程において、ブナハリタケ原基
    を子実体に成長しうる物理的空間に曝すために、栽培容
    器のブナハリタケ原基が形成されている周辺箇所を切除
    することによりなされることを特徴とする請求項5記載
    のブナハリタケの栽培方法。
  7. 【請求項7】 後培養工程における栽培容器の切除箇所
    が、ブナハリタケ原基の中から選ばれた1つのブナハリ
    タケ原基の周辺箇所であることを特徴とする請求項1、
    4、5又は6記載のブナハリタケの栽培方法。
  8. 【請求項8】 後培養工程が、ブナハリタケ原基が上に
    なるようにして培養することを特徴とする請求項1、
    4、5、6又は7記載のブナハリタケの栽培方法。
  9. 【請求項9】 培養工程をプラスチックシート又はプラ
    スチック培養袋からなる栽培容器で行うことを特徴とす
    る請求項1〜8のいずれか記載のブナハリタケの栽培方
    法。
  10. 【請求項10】 ブナハリタケが、ブナハリタケBNH
    −3株(FERMBP−6697)であることを特徴と
    する請求項1〜9のいずれか記載のブナハリタケの栽培
    方法。
  11. 【請求項11】 ブナハリタケBNH−3株(FERM
    BP−6697)。
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