JP4842235B2 - きのこの人工栽培方法 - Google Patents

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Description

本発明は、きのこの人工栽培方法に関し、更に詳しくは収量及び品質の優れたものを得ることができる、きのこの人工栽培用培養基及び該培養基を用いたきのこの人工栽培方法、並びに良好な子実体形成能を有するきのこ菌株及び該菌株を用いるきのこの人工栽培方法に関する。
近年、シイタケ、エノキタケ、ヒラタケ、ナメコ、マイタケ、リオフィラム ウルマリウム、ハタケシメジ等の食用きのこは、人工栽培方法が発達してきている。人工栽培方法は大きく分類して原木人工栽培方法と菌床人工栽培方法があり、前者はコナラ、ブナ、クヌギ等の原木をホダ木として使用する栽培方法であり、後者はオガクズ、コーンコブ等を培地間隙の保持と保水のための培地支持体用基材とし、これに米糠、小麦フスマ、コーンブラン等の栄養源としての基材を混合して調製した培地をビン、袋、箱などの容器に充填した固形培養基を用いる栽培方法である。
菌床人工栽培方法において、これらの基材を使用した培地では、安価な材料を選択すると十分な収量が得られないことが多い。例えば、最も安価な基材として、オガクズと米糠のみを使用し、リオフィラム ウルマリウムを850mlビンで人工栽培した場合の収量は70g前後であり、安価ではあるが、満足できるものではなかった。
本発明の目的は、きのこの人工栽培において従来の方法よりも安価な材料を使用して、多くの収量を得ることのできるきのこの培養基及び該培養基を使用した人工栽培方法を提供し、特に該培養基で良好な子実体形成能を有する菌株を提供することにある。
本発明を概説すれば、本発明は以下の各発明を包含する。
(1)1種類以上のセリ科植物由来の処理物からなる基材を含有することを特徴とするきのこの人工栽培用培養基。
(2)上記(1)項に記載のきのこの人工栽培用培養基を使用することを特徴とするきのこの人工栽培方法。
(3)1種類以上のセリ科植物由来の処理物からなる基材を含有する培養基で人工栽培したときに、良好な子実体形成能を有することを特徴とするリオフィラム ウルマリウム菌株。
(4)Lu1−172(FERM BP−8354)、Lu1−173(FERM BP−8355)、Lu1−174(FERM BP−8356)、Lu1−181(FERM BP−8357)、又はこれらの変異株から選択される菌株であることを特徴とするリオフィラム ウルマリウム新菌株。
(5)上記(3)又は(4)項に記載の菌株を用いることを特徴とするきのこの人工栽培方法。
(6)人工栽培方法が、セリ科植物由来の処理物からなる基材を含有する培養基を用いる方法であることを特徴とする(5)項に記載のきのこの人工栽培方法。
(7)上記(1)項に記載のきのこの人工栽培用培養基を使用してきのこを栽培する工程を包含することを特徴とするきのこの製造方法。
(8)きのこが(3)又は(4)項に記載されるリオフィラム ウルマリウム菌株である、(7)項に記載の製造方法。
本明細書において、基材とはきのこの人工栽培用培養基を構成する要素の中で水以外の構成要素のことをいい、例えば培地支持体や栄養源のことをいう。
本発明者らは、前記の目的を達成するため、種々の材料を基材として使用した結果、安価で多くの収量を得ることのできる基材源として、セリ科植物を見出した。更に各種条件で鋭意検討した結果、セリ科植物由来の植物を基材として単独で使用するより、2種類以上の基材から構成されるきのこの人工栽培用培養基において、1種類以上のセリ科植物由来の処理物からなる基材と、当該セリ科植物由来の処理物からなる基材以外の1種類以上の基材とを使用することによってより多くの収量が得られることを見出した。また、当該培養基を用いたきのこの人工栽培では栽培日数が短く、機能性成分に富むきのこを得ることができる。
更に、本発明者らは交配育種を行い、得られた交配株の中からセリ科植物由来の処理物からなる基材を含有する培養基で人工栽培したときに、特に良好な子実体形成能を有するリオフィラム ウルマリウム新菌株を見出し、本発明を完成させた。
本発明により、きのこの人工栽培において、本発明のきのこの人工栽培用培養基を使用することによって、より多くの収量のきのこを得ることが可能になった。
また、セリ科植物由来の処理物からなる基材を含有する培養基で良好な子実体形成能を有するリオフィラム ウルマリウム新菌株が提供され、高品質のリオフィラム ウルマリウムを得ることが可能になった。
以下、本発明を具体的に説明する。
本発明のきのこの人工栽培用培養基は2種類以上の基材から構成され、1種類以上のセリ科植物由来の処理物からなる基材と、当該セリ科植物由来の処理物からなる基材以外の1種類以上の基材とから構成される。本発明で使用されるセリ科植物とは被子植物類セリ目セリ科に属する植物であり、セリ、ミツバ、アシタバ、シシウド、ニンジン、セロリ等が例示される。これらの植物としては、その植物体全体を用いることができ、またその一部として、特に限定はないが、葉、茎、根又は根茎を使用することもできる。更に、本発明で用いることができるセリ科植物は新鮮物でも乾燥物でもよい。
本発明において、セリ科植物由来の処理物としては、細断、成形、加工、圧搾、搾汁等により得られる上記セリ科植物の処理物が例示され、これらの処理により分別された一部分を使用してもよい。また、これらの処理により得られるそれぞれの処理物を混合して使用しても良い。その処理物としては入手可能なあらゆる形状のものが使用できる。この中でも、成形時に生じる成形屑、加工時に生じる加工屑、搾汁時に生じる搾汁粕等は、通常は廃棄されるものであるため通常安価で入手でき、培養基のコストを低く抑えられることから、これら成形屑、加工屑、搾汁粕等を使用することが好ましい。
また、本発明に使用されるセリ科植物由来の処理物としては、特に限定はないが、栽培されるきのこの生育を妨げないものが特に好適に使用される。
本発明において、セリ科植物としては、特に好適にはアシタバが使用できる。 アシタバはセリ科の大型多年生草本であり、その根、茎、葉に多種多様のカルコン類やクマリン類等の機能性成分を含むことが知られている。アシタバのもつ生理作用としては、高血圧予防作用、抗潰瘍作用、胃酸分泌抑制作用、抗癌作用、癌予防効果等が知られており、更に上記のカルコン類は神経栄養因子産生増強作用を示すことが知られており、アルツハイマー症や痴呆症等の神経性疾患の治療又は予防への効果が期待されている(国際公開第01/76614号パンフレット)。本発明においては、このような機能性食品素材であるアシタバをきのこの人工栽培用培養基材として使用することにより、これらの機能性成分を含有するきのこを得ることができる。
本発明において、セリ科植物由来の処理物からなる基材以外の基材としては、上記のセリ科植物全体若しくはその一部から由来の処理物以外のものであれば特に限定はなく、通常のきのこの人工栽培に用いられる基材であれば好適に用いることができる。
この中でも吸水性の高い素材が特に好適であり、この例として、針葉樹オガクズ、広葉樹オガクズ、チップダスト、コーンコブ、綿実殻、バガス、アルファルファ、ビートパルプ、モミガラ、チモシー、オカラ、マメカワ、シリカゲル、多糖類ゲル、高吸水ポリマー、きのこ原木栽培後の廃ホダ木、きのこ菌床人工栽培後の廃菌床等を挙げることができる。また、吸水性の高い基材であれば上記以外の材料も好適である。
更に、本発明の培養基は、セリ科植物由来の処理物からなる基材以外の基材として、吸水性の良否にかかわらず、栄養源、pH調整剤、菌糸生長促進剤、増収剤等を添加してもよい。
これらはきのこの人工栽培に用いることができるものであれば特に限定はなく、栄養源の例としては米糠、小麦フスマ、コーンブラン、ホミニーフィード、バンサイ、オカラ、マメカワ等を挙げることができる。また、pH調整剤、菌糸成長促進剤、及び増収剤の一例として、それぞれ、炭酸カルシウム、クエン酸、及びメタケイ酸アルミン酸マグネシウムを挙げることができる。
本発明においては、これらのセリ科植物由来の処理物からなる基材以外の基材は1種のみを使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。また、高吸水性の基材とその他の基材を混合して使用してもよい。
本発明において、セリ科植物由来の処理物からなる基材と、セリ科植物由来の処理物からなる基材以外の基材との使用比率は、特に限定はないが、乾燥重量比でセリ科植物由来の処理物からなる基材1に対して、セリ科植物由来の処理物からなる基材以外の基材は望ましくは0.05〜40、更に望ましくは0.2〜20がよい。
本発明を実施するためのきのこの人工栽培法としては、袋、ビン、箱等を容器として用いる人工栽培方法が挙げられ、栽培の形態としては温度、湿度等を人工的に制御した空調施設栽培(周年栽培)、屋外の林地、畑地等に設置又は埋設する自然栽培等を挙げることができるが、本発明はこれらの人工栽培方法や栽培の形態に何ら制約されるものではない。一例としてビンを容器として用いる空調施設栽培を例として説明すると、培地調製、ビン詰め、殺菌、接種、培養、発生の各工程からなる。
培地調製とは1種類以上のセリ科植物由来の処理物からなる基材と、セリ科植物由来の処理物からなる基材以外の基材を混合してかくはんし、水分調整して培養基を製造する工程であり、培養基の水分含量は50〜85%、好ましくは60〜75%がよい。
ビン詰めとは培養基をビンに詰める工程であり、容量が200〜1200ml、好ましくは500〜1000mlの耐熱性広ロビンに培養基を入れ、中央に穴を空け、打栓する工程をいう。ビンに入れる培養基の量はビンの容量、形状によって異なるが、例えばポリプロピレン製850mlビン〔商品名:ブロービンS−850、信越農材(株)製〕を使用した場合、乾燥重量で100〜300g、好ましくは150〜250gがよい。
殺菌とは培養基中の微生物を死滅させる行程であれば良く、通常常圧殺菌では98℃で4〜12時間、高圧殺菌では101〜125℃で30〜90分間行われる。
接種とは殺菌後放冷した培養基に固体種菌又は液体種菌5〜50mlを植え付ける工程である。
培養とはきのこの菌糸を生育、まん延、更に必要に応じて熟成後子実体発生基を得る工程であり、通常接種済みの培養基を18〜28℃、湿度40〜80%において行う。この工程はきのこの種類又は菌株により適宜選択すればよいが、通常20〜120日間行われる。
発生とは子実体発生基を子実体形成に適当な条件に置いて子実体を発生させる工程であり、通常子実体形成を促進するために、菌掻き、加水、加湿、光照射等を行う。これらは常法に従って行えばよい。
以上、人工栽培方法についてビン栽培を例として詳細に述べたが、本発明は上記方法にのみ制約を受けるものではない。
本発明におけるきのこの種類及び菌株については特に限定されるものではないが、きのこの種類としてはシイタケ、エノキタケ、ヒラタケ、ナメコ、マイタケ、リオフィラム ウルマリウム、ハタケシメジ等を挙げることができる。きのこの菌株としては市販の菌株でも、野生の子実体よりの組織分離株でも、選抜、交配、細胞融合、遺伝子組換え等の方法により育種した株でもよい。例えば、リオフィラム ウルマリウム菌株であるリオフィラム ウルマリウム K−0259、後述する新菌株であるリオフィラム ウルマリウム Lu1−172株、Lu1−173株、Lu1−174株、及びLu1−181株を使用することができる。なお、リオフィラム ウルマリウム K−0259はLyophyllum ulmarium K−0259と表示され、平成4年6月2日(寄託日)より独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センターにFERM P−12981として寄託されている。また、リオフィラム ウルマリウム Lu1−172株、Lu1−173株、Lu1−174株、及びLu1−181株は、それぞれLyophyllum ulmarium Lu1−172、Lyophyllum ulmarium Lu1−173、Lyophyllum ulmarium Lu1−174、及びLyophyllum ulmarium Lu1−181と表示され、ブダペスト条約の下、日本国茨城県つくば市東1丁目1番地1 中央第6(郵便番号305−8566)独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センターに平成14年(2002年)4月25日(原寄託日)にそれぞれ受託番号FERM BP−8354、FERM BP−8355、FERM BP−8356、FERM BP−8357として寄託されている。
一般にきのこにおいては同じ種に属する菌株であっても、菌株間で特性が大きく異なることが知られている。本発明者らはリオフィラム ウルマリウムにおいても公知菌株より、1種類以上のセリ科植物由来の処理物からなる基材を含有する培養基で良好な子実体形成能を有する菌株が存在するはずであるとの考えに立ち、鋭意育種検討を続けた。その結果、従来より用いられている人工栽培方法により良好な子実体形成能を有し、特に1種類以上のセリ科植物由来の処理物からなる基材を含有する培養基で人工栽培したときに、良好な子実体形成能を有するリオフィラム ウルマリウム新菌株を見出した。
以下、本発明におけるリオフィラム ウルマリウム新菌株について詳しく説明する。新菌株は交配育種により得た。交配育種は常法により以下のごとく行った。
本発明者らが保有するリオフィラム ウルマリウム菌株を針葉樹オガクズと米糠を混合した培養基を用いて子実体を発生させ、得られた子実体から胞子を回収し、発芽させて一核菌糸を計50株単離し、総当たり交配により約1000株の交配株を得た。
この約1000株についてアシタバ青汁の搾汁粕を含有する培養基を用いて人工栽培試験を行い、良好な子実体形成能を有する株4株を選抜し、リオフィラム ウルマリウム Lu1−172株、Lu1−173株、Lu1−174株、及
びLu1−181株と命名した。
次にリオフィラム ウルマリウム Lu1−172株の諸性質を示す。
(1)麦芽エキス寒天培地(25℃)での生育状態
7日目で旺盛な生育で、コロニー径は41mm。白色で密な菌糸、気菌糸を多量に生じる。10日目でシャーレ全体に菌糸が生育。20日目には表面全体に密な菌糸を生じる。菌糸は白色。
(2)バレイショ・ブドウ糖寒天培地(25℃)での生育状態
7日目で旺盛な生育で、コロニー径は37mm。白色で密な菌糸、気菌糸を多量に生じる。10日目でシャーレ全体に菌糸が生育。20日目には表面全体を気菌糸が覆い、コロニー中央部付近がやや黄色、他は白色となる。
(3)ツアペック・ドックス寒天培地(25℃)での生育状態
10日目で小程度の生育、コロニー径は25mm。菌糸は樹状に伸長し、極めて希薄、気菌糸は少ない。20日目でシャーレ全体に菌糸が生育。菌糸は樹状で白色、希薄である。
(4)サブロー寒天培地(25℃)での生育状態
10日目で旺盛な生育、コロニー径は42mm。白色で綿状の密な菌糸、気菌糸やや多い。20日目でシャーレ全体に菌糸が生育し、気菌糸極めて多く、菌糸は綿状で白色である。
(5)オートミール寒天培地(25℃)での生育状態
10日目で旺盛な生育、コロニー径は47mm。菌糸はよく分枝して伸び、気菌糸は少ない。20日目でシャーレ全体に菌糸が生育、綿状の気菌糸を多量に生じる。菌糸は白色。
(6)合成ムコール寒天培地(25℃)での生育状態
10日目で小程度の生育、コロニー径は23mm。菌糸は白色で直線状に伸び、放射繊維状のコロニーを形成する。20日目で菌糸はシャーレ全体に生育し、気菌糸を多量に生じる。菌糸は白色。
(7)YpSs寒天培地(25℃)での生育状態
10日目で旺盛な生育、コロニー径は42mm。菌糸は白色密で気菌糸を多量に生じる。マット状に生育。20日目で菌糸はシャーレ全体に生育し、気菌糸を多量に生じる。菌糸は白色であるが、培地は黄色に変化する。
(8)フェノールオキシダーゼ検定用培地(25℃)での生育状態
0.5%没食子酸添加バレイショ・ブドウ糖寒天培地を使用。10日目小程度の生育、コロニー径は19mm。菌糸は白色で短くマット状、気菌糸は少ない。培地は褐変、褐変半径は32mm。20日目では中程度の化育、コロニー径は38mm、培地全体が褐変。種菌の新旧により著しく生育速度に差(約2倍)が生じる。
(9)最適生育温度
PGY寒天培地(グルコース2%、ポリペプトン0.2%、酵母エキス0.2、KH2PO40.5%、MgSO4・7H2O0.5%、寒天2%)に直径6m
mの円盤状種菌を接種し、各温度でそれぞれ培養して、12日後に各コロニー径を測定したところ、最適生育温度は25℃付近であった。また、5℃、35℃ではほとんど生育しなかった。
(10)最適生育pH
PGY液体培地(PGY寒天培地から寒天を除いたもの)60mlずつを100ml容の三角フラスコに分注して殺菌し、酸又はアルカリで各pHに調整後に直径6mmの円盤状種菌を接種し、25℃で15日間静置培養後、菌体の乾燥重量を測定したところ、最適生育pHは7〜8であった。また、本菌株の生育可能なpH範囲は、pH3.5〜10であった。
次にリオフィラム ウルマリウム Lu1−173株の諸性質を示す。
(1)麦芽エキス寒天培地(25℃)での生育状態
7日目で旺盛な生育で、コロニー径は45mm。白色で密な菌糸、気菌糸を多量に生じる。10日目でシャーレ全体に菌糸が生育。20日目には表面全体に密な菌糸を生じる。菌糸は白色。
(2)バレイショ・ブドウ糖寒天培地(25℃)での生育状態
7日目で旺盛な生育で、コロニー径は43mm。白色で密な菌糸、気菌糸を多量に生じる。10日目でシャーレ全体に菌糸が生育。20日目には表面全体を気菌糸が覆い、コロニー中央部付近がやや黄色、他は白色となる。
(3)ツアペック・ドックス寒天培地(25℃)での生育状態
10日目で小程度の生育、コロニー径は23mm。菌糸は樹状に伸長し、極めて希薄・気菌糸は少ない。20日目でシャーレ全体に菌糸が生育。菌糸は樹状で白色、希薄である。
(4)サブロー寒天培地(25℃)での生育状態
10日目で旺盛な生育、コロニー径は43mm。白色で綿状の密な菌糸、気菌糸やや多い。20日目でシャーレ全体に菌糸が生育し、気菌糸極めて多く、菌糸は綿状で白色である。
(5)オートミール寒天培地(25℃)での生育状態
10日目で旺盛な生育、コロニー径は52mm。菌糸はよく分枝して伸び、気菌糸は少ない。20日目でシャーレ全体に菌糸が生育、綿状の気菌糸を多量に生じる。菌糸は白色。
(6)合成ムコール寒天培地(25℃)での生育状態
10日目で小程度の生育、コロニー径は21mm。菌糸は白色で直線状に伸び、放射繊維状のコロニーを形成する。20日目で菌糸はシャーレ全体に生育し、気菌糸を多量に生じる。菌糸は白色。
(7)YpSs寒天培地(25℃)での生育状態
10日目で旺盛な生育、コロニー径は40mm。菌糸は白色、密で気菌糸を多量に生じる。マット状に生育。20日目で菌糸はシャーレ全体に生育し、気菌糸を多量に生じる。菌糸は白色であるが、培地は黄色に変化する。
(8)フェノールオキシダーゼ検定用培地(25℃)での生育状態
0.5%没食子酸添加バレイショ・ブドウ糖寒天培地を使用。10日目小程度の生育、コロニー径は22mm。菌糸は白色で短くマット状、気菌糸は少ない。培地は褐変、褐変半径は30mm。20日目では中程度の生育、コロニー径は36mm、培地全体が褐変。種菌の新旧により著しく生育速度に差(約2倍)が生じる。
(9)最適生育温度
PGY寒天培地に直径6mmの円盤状種菌を接種し、各温度でそれぞれ培養して、12日後に各コロニー径を測定したところ、最適生育温度は25℃付近であった。また、5℃、35℃ではほとんど生育しなかった。
(10)最適生育pH
PGY液体培地60mlずつを100ml容の三角フラスコに分注して殺菌し、酸又はアルカリで各pHに調整後に直径6mmの円盤状種菌を接種し、25℃で15日間静置培養後、菌体の乾燥重量を測定したところ、最適生育pHは7〜8であった。また、本菌株の生育可能なpH範囲は、pH3.5〜10であった。
次にリオフィラム ウルマリウム Lu1−174株の諸性質を示す。
(1)麦芽エキス寒天培地(25℃)での生育状態
7日目で旺盛な生育で、コロニー径は43mm。白色で密な菌糸、気菌糸を多量に生じる。10日目でシャーレ全体に菌糸が生育。20日目には表面全体に密な菌糸を生じる。菌糸は白色。
(2)バレイショ・ブドウ糖寒天培地(25℃)での生育状態
7日目で旺盛な生育で、コロニー径は41mm。白色で密な菌糸、気菌糸を多量に生じる。10日目でシャーレ全体に菌糸が生育。20日目には表面全体を気菌糸が覆い、コロニー中央部付近がやや黄色、他は白色となる。
(3)ツアペック・ドックス寒天培地(25℃)での生育状態
10日目で小程度の生育、コロニー径は25mm。菌糸は樹状に伸長し、極めて希薄、気菌糸は少ない。20日目でシャーレ全体に菌糸が生育。菌糸は樹状で白色、希薄である。
(4)サブロー寒天培地(25℃)での生育状態
10日目で旺盛な生育、コロニー径は45mm。白色で綿状の密な菌糸、気菌糸やや多い。20日目でシャーレ全体に菌糸が生育し、気菌糸極めて多く、菌糸は綿状で白色である。
(5)オートミール寒天培地(25℃)での生育状態
10日目で旺盛な生育、コロニー径は50mm。菌糸はよく分枝して伸び、気
菌糸は少ない。20日目でシャーレ全体に菌糸が生育、綿状の気菌糸を多量に生じる。菌糸は白色。
(6)合成ムコール寒天培地(25℃)での生育状態
10日目で小程度の生育、コロニー径は19mm。菌糸は白色で直線状に伸び、放射繊維状のコロニーを形成する。20日目で菌糸はシャーレ全体に生育し、気菌糸を多量に生じる。菌糸は白色。
(7)YpSs寒天培地(25℃)での生育状態
10日目で旺盛な生育、コロニー径は42mm。菌糸は白色、密で気菌糸を多量に生じて、マット状に生育。20日目で菌糸はシャーレ全体に生育し、気菌糸を多量に生じる。菌糸は白色であるが、培地は黄色に変化する。
(8)フェノールオキシダーゼ検定用培地(25℃)での生育状態
0.5%没食子酸添加バレイショ・ブドウ糖寒天培地を使用。10日目小程度の生育、コロニー径は20mm。菌糸は白色で短くマット状、気菌糸は少ない。培地は褐変・褐変半径は37mm。20日目では中程度の生育、コロニー径は38mm、培地全体が褐変。種菌の新旧により著しく生育速度に差(約2倍)が生じる。
(9)最適生育温度
PGY寒天培地に直径6mmの円盤状種菌を接種し、各温度でそれぞれ培養して、12日後に各コロニー径を測定したところ、最適生育温度は25℃付近であった。また、5℃、35℃ではほとんど生育しなかった。
(10)最適生育pH
PGY液体培地60mlずつを100ml容の三角フラスコに分注して殺菌し、酸又はアルカリで各pHに調整後に直径6mmの円盤状種菌を接種し、25℃で15日間静置培養後、菌体の乾燥重量を測定したところ、最適生育pHは7〜8であった。また、本菌株の生育可能なpH範囲は、pH3.5〜10であった。
次にリオフィラム ウルマリウム Lu1−181株の諸性質を示す。
(1)麦芽エキス寒天培地(25℃)での生育状態
7日目で旺盛な生育で、コロニー径は45mm。白色で密な菌糸、気菌糸を多量に生じる。10日目でシャーレ全体に菌糸が生育。20日目には表面全体に密な菌糸を生じる。菌糸は白色。
(2)バレイショ・ブドウ糖寒天培地(25℃)での生育状態
7日目で旺盛な生育で、コロニー径は40mm。白色で密な菌糸、気菌糸を多量に生じる。10日目でシャーレ全体に菌糸が生育。20日目には表面全体を気菌糸が覆い、コロニー中央部付近がやや黄色、他は白色となる。
(3)ツアペック・ドックス寒天培地(25℃)での生育状態
10日目で小程度の生育、コロニー径は27mm。菌糸は樹状に伸長し、極めて希薄、気菌糸は少ない。20日目でシャーレ全体に菌糸が生育。菌糸は樹状で白色、希薄である。
(4)サブロー寒天培地(25℃)での生育状態
10日目で旺盛な生育、コロニー径は46mm。白色で綿状の密な菌糸、気菌糸やや多い。20日目でシャーレ全体に菌糸が生育し、気菌糸極めて多く、菌糸は綿状で白色である。
(5)オートミール寒天培地(25℃)での生育状態
10日目で旺盛な生育、コロニー径は48mm。菌糸はよく分枝して伸び、気菌糸は少ない。20日目でシャーレ全体に菌糸が生育、綿状の気菌糸を多量に生じる。菌糸は白色。
(6)合成ムコール寒天培地(25℃)での生育状態
10日目で小程度の生育、コロニー径は20mm。菌糸は白色で直線状に伸び、放射繊維状のコロニーを形成する。20日目で菌糸はシャーレ全体に生育し、気菌糸を多量に生じる。菌糸は白色。
(7)YpSs寒天培地(25℃)での生育状態
10日目で旺盛な生育、コロニー径は44mm。菌糸は白色、密で気菌糸を多
量に生じる。マット状に生育。20日目で菌糸はシャーレ全体に生育し、気菌糸を多量に生じる。菌糸は白色であるが、培地は黄色に変化する。
(8)フェノールオキシダーゼ検定用培地(25℃)での生育状態
0.5%没食子酸添加バレイショ・ブドウ糖寒天培地を使用。10日目小程度の生育、コロニー径は17mm。菌糸は白色で短くマット状、気菌糸は少ない。培地は褐変、褐変半径は32mm。20日目では中程度の生育、コロニー径は36mm、培地全体が褐変。種菌の新旧により著しく生育速度に差(約2倍)が生じる。
(9)最適生育温度
PGY寒天培地に直径6mmの円盤状種菌を接種し、各温度でそれぞれ培養して、12日後に各コロニー径を測定したところ、最適生育温度は25℃付近であった。また、5℃、35℃ではほとんど生育しなかった。
(10)最適生育pH
PGY液体培地60mlずつを100ml容の三角フラスコに分注して殺菌し、酸又はアルカリで各pHに調整後に直径6mmの円盤状種菌を接種し、25℃で15日間静置培養後、菌体の乾燥重量を測定したところ、最適生育pHは7〜8であった。また、本菌株の生育可能なpH範囲は、pH3.5〜10であった。
次に、リオフィラム ウルマリウム Lu1−172株、Lu1−173株、Lu1−174株、及びLu1−181株と他のリオフィラム ウルマリウム菌株との異同判定として、両菌糸が持つ性因子が異なれば、その菌糸は互いに異なる菌糸であるという菌類分類学的事実に基づき、性因子の異同を寒天培地上における対峙培養によって調べた。
供試した菌株としてリオフィラム ウルマリウム IFO9637株、IFO30525株、IFO30775株、リオフィラム ウルマリウム M−8171株(FERM BP−1415)、及びリオフィラム ウルマリウム K−0259株(FERMP−12981)を用いた。ここでリオフィラム ウルマリウム M−8171株、及びリオフィラム ウルマリウム K−0259株はかつて本発明者らによって育種されたリオフィラム ウルマリウム菌株である。
これらの各菌株の二核菌糸を PGY寒天培地で増殖させ、3mm×3mm×3mmのブロックとして切り出し、それぞれをPGY寒天平板培地の中央部に、リオフィラム ウルマリウム Lu1−172株、Lu1−173株、Lu1−174株、及びLu1−181株の2核菌糸ブロック(3mm×3mm×3mm)と対峙して約2cm間隔で植菌し、25℃、14日間培養後、両コロニー境界部
に帯線が生じるか否かを判定した。帯線を生じた場合を+、生じなかった場合を−として、この結果を表1に示す。
Figure 0004842235
表1に示すように、リオフィラム ウルマリウム Lu1−172株、Lu1−173株、Lu1−174株、及びLu1−181株はそれぞれ他の菌株との
対峙培養ですべて帯線を生じた。このことからリオフィラム ウルマリウム Lu1−172株、Lu1−173株、Lu1−174株、及びLu1−181株は新しい菌株であることは明白である。
また、上記に示した本発明の新菌株であるリオフィラム ウルマリウム Lu1−172株、Lu1−173株、Lu1−174株、及びLu1−181株は、菌床人工栽培において短い培養日数、例えば40日〜70日程度の培養日数でも良好な子実体形成能を有するという特徴をも有しており、特に好適にはセリ科植物由来の処理物からなる基材を含有する培養基で培養日数が短く、人工栽培に適した菌株である。
以上説明したように本発明の新菌株として、例えばリオフィラム ウルマリウム Lu1−172株、Lu1−173株、Lu1−174株、及びLu1−181株が挙げられるが、前記菌株と同様にセリ科植物由来の処理物からなる基材を含有する培養基で良好な子実体形成能を有する菌株はすべて本発明に属するものである。
以下に本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例の範囲のみに限定されるものではない。
実施例1
アシタバ搾汁粕(アシタバ青汁の絞り粕)及びコーンコブ〔タカラ物産(株)製〕を乾燥重量でそれぞれ65gずつ、よく混合して水分含有率68%となるように調製し、これをポリプロピレン製850mlビン〔商品名:ブロービンS−850、信越農材(株)製〕に詰めてビン口中央より下方に向かい直径1cmの穴をあけた後、キャップで打栓した。これを120℃、60分間高圧殺菌して培養基を調製した。該培養基にきのことしてリオフィラム ウルマリウム K−0259、IFO9637、及びIFO30525株の固体種菌を接種し、25℃の条件下で30日培養して培養菌糸を得た後、更に50日培養して子実体発生基を得た。該子実体発生基の上部菌糸層1cmを中央部を残して除去し(菌掻き)、水道水20mlを加えて充分に吸水させた後、余剰の水を除いて15℃、湿度90%以上の条件下でK−0259株とIFO30525株は10日間、IFO9637株は13日間培養して子実体原基を形成させ、光を照射して、更にK−0259株とIFO30525株は12日間、IFO9637株は14日間培養を続けて子実体を得た。得られた子実体の収量はK−0259株が75g、IFO30525株が105g、IFO9637株が76gであり、それぞれ高品質なものであった。
比較例1
コーンコブを使用せず、アシタバ搾汁粕のみを130g用いる点と子実体原基
形成にK−0259株とIFO30525株は11日間、IFO9637株は14日間、子実体を得るまでに更にK−0259株とIFO30525株は13日間、IFO9637株は14日間培養を続けた点を除いては実施例1と同様に行って子実体を得た。得られた子実体の収量はK−0259株が55g、IFO30525株が45g、IFO9637株が34gであり、アシタバ搾汁粕単独より、アシタバ搾汁粕とコーンコブを用いた培養基の方が優れていた。また、栽培日数もアシタバ搾汁粕とコーンコブを用いた方が短かった。
実施例2
アシタバ搾汁粕、針葉樹オガクズ〔(有)唐澤商運製〕、及び米糠を乾燥重量で、それぞれ46g、46g、及び74gをよく混合して水分含有率68%となるように調製し、これを用いる以外は実施例1と同様にして子実体を得た。
得られた子実体の収量はK−0259株が87g、IFO30525株が149g、IFO9637株が97gであり、それぞれ高品質なものであった。
比較例2
アシタバ搾汁粕を使用せず、針葉樹オガクズ〔(有)唐澤商運製〕92gとコメヌカ74gのみを用いる点と子実体原基形成にK−0259株とIFO30525株は11日間、IFO9637株は14日間、子実体を得るまでに更にK−0259株とIFO30525株は13日間、IFO9637株は14日間培養を続けた点を除いては実施例2と同様に行って子実体を得た。得られた子実体の収量はK−0259株が71g、IFO30525株が72g、IFO9637株が73gであり、アシタバ搾汁粕を用いた培養基の方が優れていた。
実施例3
アシタバ搾汁粕及びコーンコブ〔タカラ物産(株)製〕を乾燥重量でそれぞれ65gずつ、並びにメタケイ酸アルミン酸マグネシウム〔商品名:ノイシリンFH1、富士化学工業(株)製〕を新鮮重量で2.5gをよく混合して水分含有率68%となるように調製し、きのことしてリオフィラム ウルマリウム K−0259株のみを用いる以外は実施例1と同様にして子実体を得た。得られた子実体の収量は129gであり、高品質なものであった。
比較例3
アシタバ搾汁粕の代わりに針葉樹オガクズ〔(有)唐澤商運製〕を用いる点を除いては実施例3と同様に行って子実体を得た。得られた子実体の収量は95gであり、アシタバ搾汁粕を用いた培養基の方が優れていた。
実施例4
アシタバ搾汁粕及びコーンコブ〔タカラ物産(株)製〕を乾燥重量でそれぞれ65gずつ、並びにメタケイ酸アルミン酸マグネシウム〔商品名:ノイシリンFH1、富士化学工業(株)製〕を新鮮重量で2.5gをよく混合して水分含有率68%となるように調製し、これをポリプロピレン製850mlビン〔商品名:ブロービンS−850、信越農材(株)製〕に詰めてビン口中央より下方に向かい直径1cmの穴をあけた後、キャップで打栓した。これを120℃、60分間高圧殺菌して培養基を調製した。該培養基に本発明のリオフィラム ウルマリウム新菌株としてリオフィラム ウルマリウム Lu1−172、Lu1−173、Lu1−174、及びLu1−181株の固体種菌を接種し、25℃の条件下
で30日培養して培養菌糸を得た後、更に40日培養して子実体発生基を得た。該子実体発生基の上部菌糸層1cmを中央部を残して除去し(菌掻き)、水道水20mlを加えて充分に吸水させた後、余剰の水を除いて15℃、湿度90%以上の条件下で10日間培養して子実体原基を形成させ、光を照射して更に13日間培養を続けて子実体を得た。得られた子実体の収量はLu1−172株が140g、Lu1−173株が138g、Lu1−174株が133g、Lu1−181株が132gであり、それぞれ高品質なものであった。
比較例4
リオフィラム ウルマリウム K−0259株を用いる点と、25℃の条件下で30日培養して培養菌糸を得た後更に50日培養し子実体発生基を得た点を除いては実施例4と同様にして子実体を得た。得られた子実体の収量は129gであり、品質は良好であった。アシタバ搾汁粕を用いた培養基ではLu1−172、Lu1−173、Lu1−174、及びLu1−181株の方がリオフィラム ウルマリウム K−0259株より収量が優れ、短い培養日数で栽培が可能であった。
比較例5
リオフィラム ウルマリウム K−0259株、IFO9637株、及びIFO30525株を用いる点と、25℃の条件下で30日培養して培養菌糸を得た後更に40日培養し子実体発生基を得た点を除いては実施例4と同様にして、K−0259株以外は子実体をえた。K−0259株は子実体を得られなかった。得られた子実体の収量はIFO30525株が78g、IFO9637株が71gであり、品質は良好であった。アシタバ搾汁粕を用いた培養基で、同じ培養日数とした場合は、Lu1−172、Lu1−173、Lu1−174、及びLu1−181株の方がリオフィラム ウルマリウム K−0259株、IFO9637株、及びIFO30525株より収量が優れていた。
実施例5
針葉樹オガクズ〔(有)唐澤商運製〕52g、広葉樹オガクズ〔(有)トモエ物産製〕69g、及び米糠86gを乾燥重量で計量し、よく混合して水分含有率65%となるように調製し、これをポリプロピレン製850mlビン〔商品名:ブロービンS−850、信越農材(株)製〕に詰めてビン口中央より下方に向かい直径1cmの穴をあけた後、キャップで打栓した。これを120℃、60分間高圧殺菌して培養基を調製した。該培養基にリオフィラム ウルマリウム菌株としてリオフィラム ウルマリウム Lu1−172、Lu1−173、Lu1−174、及びLu1−181の固体種菌を接種し、25℃の条件下で30日培養して培養菌糸を得た後、更に40日培養して子実体発生基を得た。該子実体発生基の上部菌糸層1cmを中央部を残して除去し(菌掻き)、水道水20mlを加えて充分に吸水させた後、余剰の水を除いて15℃、湿度90%以上の条件下で10日間培養して子実体原基を形成させ、光を照射して更に14日間培養を続けて子実体を得た。得られた子実体の収量はLu1−172株が115g、Lu1−173株が126g、Lu1−174株が115g、Lu1−181株が115gであり、それぞれ高品質なものであった。
比較例6
リオフィラム ウルマリウム K−0259株を用いる点と、25℃の条件下で30日培養して培養菌糸を得た後更に50日培養し子実体発生基を得た点を除いては実施例5と同様にして子実体を得た。得られた子実体の収量は108gであり、品質は良好であった。針葉樹オガクズ、広葉樹オガクズ及び米糠を用いた培養基ではLu1−172、Lu1−173、Lu1−174、及びLu1−181株の方がリオフィラム ウルマリウム K−0259株より収量が優れ、短い培養日数で栽培が可能であった。
実施例6
ニンジン搾汁粕(ニンジン根茎の絞り粕)52g、針葉樹オガクズ〔(有)唐澤商運製〕52g、及び米糠84gを乾燥重量で計量し、よく混合して水分含有率65%となるように調製し、これをポリプロピレン製850mlビン〔商品名:ブロービンS−850、信越農材(株)製〕に詰めてビン口中央より下方に向かい直径1cmの穴をあけた後、キャップで打栓した。これを120℃、60分間高圧殺菌して培養基を調製した。該培養基にきのことしてリオフィラム ウルマリウム K−0259株の固体種菌を接種し、25℃の条件下で30日培養して培養菌糸を得た後、更に50日培養して子実体発生基を得た。該子実体発生基の上部菌糸層1cmを中央部を残して除去し(菌掻き)、水道水20mlを加えて充分に吸水させた後、余剰の水を除いて15℃、湿度90%以上の条件下で13日間培養して子実体原基を形成させ、光を照射して更に15日間培養を続けて子実体を得た。得られた子実体の収量は92gであり、高品質なものであった。
比較例7
針葉樹オガクズとコメヌカを使用せず、ニンジン搾汁滓のみを192g用いる点を除いては実施例6と同様の条件で栽培を行ったが、子実体は得られなかった。ニンジン搾汁粕単独より、ニンジン搾汁滓、針葉樹オガクズ、及び米糠を用いた培養基の方が優れていた。
実施例7
ニンジン搾汁粕(ニンジン根茎の絞り粕)30g、針葉樹オガクズ〔(有)唐澤商運製〕70g、及び米糠81gを乾燥重量で計量し、よく混合して水分含有率65%となるように調製し、これをポリプロピレン製850mlビン〔商品名:ブロービンS−850、信越農材(株)製〕に詰めてビン口中央より下方に向かい直径1cmの穴をあけた後、キャップで打栓した。これを120℃、60分間高圧殺菌して培養基を調製した。該培養基にきのことしてリオフィラム ウルマリウム Lu1−172、Lu1−173、Lu1−174、及びLu1−181株の固体種菌を接種し、25℃の条件下で30日培養して培養菌糸を得た後、更に40日培養して子実体発生基を得た。該子実体発生基の上部菌糸層1cmを中央部を残して除去し(菌掻き)、水道水20mlを加えて充分に吸水させた後、余剰の水を除いて15℃、湿度90%以上の条件下でLu1−172株は12日間、Lu1−173株は11日間、Lu1−174とLu1−181株は10日間培養して子実体原基を形成させ、光を照射して、更にLu1−172株は14日間、Lu1−173株は13日間、Lu1−174株は11日間、Lu1−181株は12日間培養を続けて子実体を得た。得られた子実体の収量はLu1−172株が181g、Lu1−173株が189g、Lu1−174株が173g、Lu1−181株が159gであり、それぞれ高品質なものであった。
比較例8
リオフィラム ウルマリウムK−0259、IFO9637、IFO30525株を使用する点と、菌掻き後に15℃、湿度90%以上の条件下でK−0259株とIFO9637株は12日間、IFO30525株は10日間培養して子実体原基を形成させ、光を照射して、更にK−0259株は15日間、IFO9637株は14日間、IFO30525株は12日間培養を続けて子実体を得る点を除いては実施例7と同様に行って、子実体を得た。得られた子実体の収量はK−0259株が107g、IFO9637株が100g、IFO30525株が153gで、品質は良好であった。ニンジン搾汁粕を用いた培養基ではLu1−172、Lu1−173、Lu1−174、及びLu1−181株の方がリオフィラム ウルマリウム K−0259、IFO9637、IFO30525株より収量が優れていた。
実施例8
ニンジン搾汁粕(ニンジン根茎の絞り粕)27g、針葉樹オガクズ〔(有)唐澤商運製〕27g、コーンコブ〔タカラ物産(株)製〕27g、米糠54g、マメカワ18g、フスマ18gを乾燥重量で用いる点と、菌掻き後に15℃、湿度90%以上の条件下でLu1−172株、Lu1−173株、及びLu1−174株は12日間、Lu1−181株は10日間培養して子実体原基を形成させ、光を照射して、更にLu1−172株とLu1−174株は13日間、Lu1−173株は14日間、Lu1−181株は12日間培養を続けて子実体を得る点を除いては実施例7と同様に行って、子実体を得た。得られた子実体の収量はLu1−172株が182g、Lu1−173株が194g、Lu1−174株が183g、Lu1−181株が179gであり、それぞれ高品質なものであった。
比較例9
リオフィラム ウルマリウムK−0259、IFO9637、IFO30525株を使用する点と、菌掻き後に15℃、湿度90%以上の条件下でK−0259株は15日間、IFO9637株は12日間、IFO30525株は11日間培養して子実体原基を形成させ、光を照射して、更にK−0259株は15日間、IFO9637株は14日間、IFO30525株は12日間培養を続けて子実体を得る点を除いては実施例8と同様に行って、子実体を得た。得られた子実体の収量はK−0259株が95g、IFO9637株が136g、IFO30525株が173gで、品質は良好であった。ニンジン搾汁粕を用いた培養基ではLu1−172、Lu1−173、Lu1−174、及びLu1−181株の方がリオフィラム ウルマリウム K−0259、IFO9637、IFO30525株より収量が優れていた。
実施例9
アシタバ搾汁粕、針葉樹オガクズ〔(有)唐澤商運製〕、コーンコブ〔タカラ物産(株)製〕、及び米糠を乾燥重量で表2の配合で計量し、よく混合して水分含有率65%となるように調製し、これをポリプロピレン製850mlビン〔商品名:ブロービンS−850、信越農材(株)製〕に詰めてビン口中央より下方に向かい直径1cmの穴をあけた後、キャップで打栓した。これを120℃、60分間高圧殺菌して培養基を調製した。該培養基にリオフィラム ウルマリウム菌株としてリオフィラム ウルマリウム K−0259株の固体種菌を接種し、25℃の条件下で30日培養して培養菌糸を得た後、更に55日培養して子実体発生基を得た。該子実体発生基の上部菌糸層1cmを中央部を残して除去し(菌掻き)、水道水20mlを加えて充分に吸水させた後、余剰の水を除いて15℃、湿度90%以上の条件下で14日間培養して子実体原基を形成させ、光を照射して更に14日間培養を続けて子実体を得た。得られた子実体の収量は表2の通りであり、それぞれ高品質なものであった。
Figure 0004842235
比較例10
アシタバ搾汁滓130gのみを使用した点以外は、実施例9と同様に行ない、子実体を得た。得られた子実体の収量は48gであり、アシタバ搾汁滓とセリ科植物由来の処理物からなる基材以外の混合比率が、1:0.2〜20の範囲でアシタバ搾汁滓単独よりも良好であった。

Claims (1)

  1. Lu1−172(FERM BP−8354)、Lu1−173(FERM BP−8355)、Lu1−174(FERM BP−8356)、Lu1−181(FERM BP−8357)、及びセリ科植物由来の処理物からなる基材を含有する培養基で40日〜70日という短い培養日数でも良好な子実体形成能を有するこれらの変異株からなる群より選択されるリオフィラム ウルマリウム新菌株。
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