JPH0338807B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

〔産業上の利用分野〕 この発明は、ヒラタケ（人工しめじ）、シイタ
ケ、エノキタケ、ナメコなどの食用キノコを栽培
する培養基に関するものである。 〔従来の技術とその問題点〕 近年、エノキタケや、ヒラタケなどの食用キノ
コ類の栽培方法として、原木によるホダ木栽培に
代つてオガクズと米糠とを混合した培養基を使つ
たビン栽培が普及してきている。この方法は、栽
培技術が比較的容易であり、種菌摂取から収穫ま
での期間が比較的短く、簡単な設備で、集約的な
周年栽培ができるなどの特徴がある。 ところが、最近になつてオガクズの入手が困難
になり、オガクズの代替物の開発が必要になつて
きた。 そこで、この発明は、オガクズの使用量が少な
く、しかも種菌摂取から収穫までの期間がさらに
短く、収量も増加する新しい培養基を提供しよう
とするものである。 〔問題点を解決するための手段〕 この発明は、上記の問題点を解決するために、
オガクズと米糠との混合物から成る食用キノコ類
の培養基において、上記オガクズをゼオライトに
よつて置換したものである。 〔作用〕 ゼオライトは粘土鉱物であり、豊富に産出す
る。したがつて、入手が困難なオガクズの代替物
として適している。 また、オガクズをゼオライトで置換した場合、
栽培速度が速くなり、収量も増加することが、以
下の実験によつて確認された。 （実験１） 試験管にオガクズと米糠を容量比で４：１の割
合で混合したものを標準培養基とし、この標準培
養基のオガクズを、容量でその30％、50％、100
％をゼオライトで置換し、栄養菌糸生長に及ぼす
影響を調べた。その結果を表１に示す。なお、培
養基の水分はいずれも60％とし、1.2気圧のオー
トクレーブで30分間培養基を滅菌した後、23℃の
恒温器内で培養を行なつた。また、菌糸の伸長量
は、試験管につめた培養基の上面に種菌を接種
し、キノコ菌糸が下向きに伸長した長さを培養後
に測定したものである。

【表】 この実験では表１のとおり、オガクズをゼオラ
イトで置換することによつて、菌糸の伸長が促進
され、菌糸の成育が良好になることが確認でき
た。 （実験２） 容積200mlのガラスビンに、水分を60％に調製
した培養基を140ｇ詰め、オートクレーブ（1.2気
圧、40分間）で殺菌した後、種菌を接種して、23
℃で菌糸を培養し、その後、ガラスビン全体に菌
がまわつたところで、菌かさ、散水を行なつて、
13℃の低温に移動させ、子実体（キノコ）の形成
をまつた。その結果を表２に示す。

【表】 表２の結果においては、ゼオライトを培養基に
添加することによつて、収量に変化はみられなか
つたが、菌まわりに要する日数がかなり早くな
り、収穫日数が短縮されることがわかつた。 （実験３） 実験２と同じ要領で培養基の組成を変えて行な
つた。その結果を表３に示す。

【表】 この実験においても、ゼオライトを培養基に添
加することにより、栄養菌糸生育日数（ビン全体
に菌糸がまわるのに要する日数）及び子実体成熟
日数の早くなることが明らかになつた。 〔発明の効果〕 この発明によれば、以上のように、培養基中の
オガクズ含有率を減らすことができ、しかも菌糸
の生育を促進させることができるという効果があ
る。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ オガクズと米糠との混合物から成る食用キノ
   コ類の培養基において、上記オガクズをゼオライ
   トによつて置換したことを特徴とする食用キノコ
   類の培養基。 ２ 容量率でオガクズの30〜100％をゼオライト
   によつて置換したことを特徴とする特許請求の範
   囲第１項に記載する食用キノコ類の培養基。