JPH07112091B2 - 埋め込み型半導体レ−ザの製造方法 - Google Patents

埋め込み型半導体レ−ザの製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】 〔発明の技術分野〕 本発明は、選択拡散による埋め込み型半導体レーザの製
造方法に関する。
〔発明の技術背景とその問題点〕
半導体レーザは小型軽量なコヒーレント光源として光通
信、光情報処理の分野で応用されている。
半導体レーザは、発振光のモード制御が必要であり、特
に横モードの制御は重要である。これまで半導体レーザ
の横モード制御のため、各種のレーザ構造が提案されて
おり、中でも埋め込み型の半導体レーザ構造は本質的に
有効なものである。
埋め込み型半導体レーザの製造方法にはいくつかの方法
が提案されており、大別して3つに分類することができ
る。第1の方法は、まず活性層を含む結晶成長と必要な
活性層幅を残すメサエッチングを行い、次のメサ側面に
埋め込み結晶成長を行う方法である。第2の方法は半導
体基板に溝、リッジ等の加工を行い、次に加工した溝、
又はリッジの部分で活性層が埋め込まれるよう選択的な
結晶成長を行う方法である。
第3の方法は、まず活性層を含む結晶成長を行い、次に
必要な活性層幅を残して不純物の拡散を行い、側面の屈
折率を低下させる方法である。第3の方法において特
に、活性層が量子井戸となる程薄い場合、不純物拡散に
よる他の結晶層からの原子移動の効果が顕著となり、選
択的な組成変形を行わせることができる。
これら3つの方法の特徴を比較してみると、第1の方法
においては、活性層厚みと埋め込み幅、及び埋め込み結
晶の屈折率(結晶組成)が独立に選択でき、素子設計の
自由度が高い。しかし、2回目の埋め込み結晶成長の際
活性層側面を直接高温ガス中に露出するため結晶界面の
質を低下させる、2回に渡る結晶成長のため熱的な歪が
残り易い。
第2の方法においては、第1の方法のような問題を解決
することが可能であるが、溝又はリッジの部分での特異
的な結晶成長を利用するため、活性層膜厚、活性層幅等
の制御性が低い。第3の方法においては本質的には結晶
成長が1回だけであり、2回目の埋め込み結晶成長が原
理的に不要であるが、埋め込み化のための不純物拡散制
御が難しい。等の利点欠点がある。
本発明は、第3の方法の改良に関する。第3の方法では
第1,第2の方法にあったような欠点はほぼなくなるが、
上述したようにその製造上の難しさをもつ欠点がある。
以下第3の方法の従来技術について説明を行う。ここで
は例としてAlxGa1−xAs混晶系材料を用いて説明する。
第5図は、従来技術による不純物拡散型埋め込み半導体
レーザの例である。501はGaAs基板502はAlxGa1−xAsク
ラッド層、503はAlyGa1−yAs/AlzGa1−zAsによる量子井
戸活性層で、ここでは多重量子井戸である。504はAlxGa
1−xAsクラッド層、505はGaAsオーミックコンタクト
層、506は不純物拡散領域でZn,Si,S等を拡散させてい
る。507,508は電極金属である。503及び506の重複して
いる領域は、不純物拡散によって量子井戸構造が乱され
た所謂無秩序化領域である。無秩序領域は無秩序化され
ていない領域に比べて屈折率を低くすることができ、無
秩序化していない領域に対して埋め込み導波路を形成で
きる。このような従来技術において問題となるのは、50
6の不純物拡散領域の形成方法、及び形状制御である。
即ち第5図に示したような従来技術においては、505上
にストライプ状選択拡散マスクを設けて、気相を介して
不純物拡散を行っている。その際、拡散深さの制御を行
うため拡散不純物源の分解量、気相中の不純物分圧、及
びこれらの制御パラメータ及び拡散速度を制御するため
の温度等を精密に制御しなければならない。また、第5
図の従来技術においては拡散深さが2〔μm〕以上必要
であり、拡散プロファイルの十分な考慮が必要である。
つまり、第5図に示したように拡散プロファイルがすそ
拡がりとなるため、拡散深さの変動に対する埋め込まれ
る活性層の幅の変動が大きくなるからである。従来技術
においては、この拡散プロファイルによる影響を防ぐ考
慮が成されていない。
このように、従来技術においては製造工程上の制御性及
び再現性の点で問題があった。
〔発明の目的〕
本発明は、このような従来技術の欠点を克服し、製造上
の再現性を向上させるとともに素子性能の向上が可能な
埋め込み型半導体レーザの製造方法の提供を目的とす
る。
[発明の概要] 本発明は、第1導電型半導体基板上に第1導電型クラッ
ド層、第1または第2導電型或いはpn接合を含む量子井
戸活性層、第2導電型クラッド層の少なくとも3層を設
ける工程と、前記量子井戸活性層上に近接して高濃度不
純物添加層を所定の活性領域を除いて設ける工程と、こ
の後前記高濃度不純物添加層より前記量子井戸活性層に
達するまで熱処理によって不純物拡散を行う工程とを含
むことを特徴とする埋め込み型半導体レーザの製造方法
を提供するものである。
[発明の効果] 本発明によれば、中心近くの所定の活性領域以外の量子
井戸構造を制御性良く無秩序化して高屈折率化させるこ
とで、活性領域の幅制御の再現性を向上させた埋め込み
型半導体レーザを提供することができる。
本発明では不純物拡散を内部の固相拡散で行うため、従
来技術のように外部の気相から拡散を行う場合に比べ拡
散源濃度の安定性に優れ、また拡散距離を1〔μm〕以
下にすることが可能なため、従来のような2〔μm〕以
上の拡散を行う場合に比べて制御性が高い特徴を有す
る。
〔発明の実施例〕
ここでは、従来技術と同様AlGa1−xAs混晶系を例にとっ
て説明を行っていく。
第1図は、本発明実施例による埋め込み型半導体レーザ
の構成断面図である。101はn形GaAs基板、102はn形Al
0.48Ga0.52Asクラッド層、103はAl0.22Ga0.78Asバリア
層及びGaAs量子井戸層を複数層積層した多重量子井戸活
性層、104はP形Al0.48Ga0.52Asクラッド層、105はP形
GaAs高濃度不純物添加層、106はP形Al0.48Ga0.52Asク
ラッド層、107はP形GaAsオーミックコンタクト層、108
は不純物拡散領域、109及び110は電極金属である。ここ
で各層102〜109の構成はクラッド層102が厚さが2.5〜3.
0〔μm〕活性層103はn形又はp形又はi形で、例えば
150〔Å〕のバリア層と80〔Å〕の井戸層を5〜10層積
層したもの、クラッド層104は厚さが0.3〔μm〕、高濃
度不純物添加層105は不純物をZnとし、濃度が1×1019
〔cm-3〕で厚さが0.3〔μm〕、クラッド層106は厚さが
1.5〔μm〕、オーミックコンタクト層107は厚さが0.5
〔μm〕である。不純物拡散領域108は、高濃度不純物
添加層105から下端まで約0.6μmの範囲である。
第2図は、第1図に示した構造を実現するための本発明
による製造過程を示す。まず(a)はn形GaAs基板201
上への結晶成長であり、n形クラッド層202、量子井戸
活性層203、p形クラッド層204及び高濃度不純物添加層
205の形成を行う。結晶成長方法としては例えばMO−CVD
を用い、成長温度775〔℃〕で行えばよい。(b)図は
高濃度不純物添加層205を選択的に除去するためのフォ
トレジストマスク220の形成である。フォトレジストと
しては、例えば環化ゴム系レジストを用いればよい。ま
た、フォトレジスト窓の幅は不純物拡散の距離及び埋め
込み活性層の幅を考慮して設定すればよく、ここでは2.
5〔μm〕とした。(c)図は高濃度不純物添加領域205
の選択除去の工程である。選択除去は例えばケミカルエ
ッチングで行い、NH4OH:H2O2=1:20(容積比)の混合
液で約5秒行えばよい。(d)図は光閉じ込めのための
p形クラッド層206及びオーミックコンタクト層207の結
晶成長である。結晶成長は、例えばMO−CVD法により750
℃の成長温度で行う。その後、205に添加された不純物
の拡散のための熱処理を行う。熱処理は750℃で約100分
行えばよい。特にこの不純物拡散のための熱処理は
(d)図の結晶成長後、結晶成長炉の中で高温保持する
だけで行うことも可能である。
第3図は本発明による第2の実施例による埋め込み型半
導体レーザの構成断面図である。この実施例は第1図10
5上にn形又はi形のAl0.48Ga0.52As電流制限層311を設
けたものである。311の形成は第2図(a)において205
層上に予め、n形又はi形のAl0.48Ga0.52As層を設けて
おくことで以下第2図工程と同様にして実現することが
できる。311の厚さは1.5〜2.0〔μm〕とすればよい。
また第2図(c)の工程でのエッチングは、まずKI:
I2:H2O=113:65:100000(重量比)のエッチング液で約
40秒のエッチングと次に前述したNH4OH:H2O2=1:20
(容積比)のエッチング液で、約5秒のエッチングを行
うように変更すればよい。
この実施例による半導体レーザは、必要な活性領域以外
に流れる無効電流を逆バイアス接合又は高抵抗領域によ
り抑え、高効率な素子を得るために有効である。
第4図は、第3図で示した実施例に更に改良を加えたも
のである。第4図においては、第3図に示した電流制限
層311をn形又はi形GaAs層411及びn形又はi形のAl0.
48Ga0.52As層412の2層構造におきかえている。これ
は、GaAs中の不純物拡散定数がAlGaAs中の拡散定数より
も小さい特性を利用し、不純物拡散距離を上下非対称に
行わせるものである。これにより電流制限層411及び412
の厚さを第3図の場合より薄くすることが可能となり、
素子表面の平坦性を向上させ素子に加わる内部応力の低
減及び素子信頼性を向上させることができる。411及び4
12の構成としては、411の厚さが0.3〔μm〕、412の厚
さを0.5〔μm〕とした。また、製作過程は第3図の場
合と同様、第2図工程を一部変更して実現できる。ここ
では第2図(c)の部分を、第3図の説明で示したKI:I
2:H2O及びNH4OH:H2Oによるエッチング時間をそれぞれ
約6秒及び約10秒に変更すればよい。
本発明は前記実施例に限定されるものではなく例えば結
晶組成、構成、製造条件等は適時偏光可能なものであ
り、また本発明実施例ではAlzGa1−xAs混晶系について
示したが、これは他の材料でも良く、例えばGaxIn1−xA
syP1−y混晶系、AlxIN1−xAsyP1−y混晶系等の材料で
あっても実施可能である。更に製造方法等についても前
記実施例に限定されるものではなく、例えば結晶成長法
はMO−CVD法に限定されるものではなく、MBE法等他の結
晶成長法であっても実施可能であり、また、高濃度不純
物添加層の形成方法として数原子層を完全に不純物だけ
とする所謂プレーナドーピング法等を用いてもよい。
要するに本発明は、その主旨と範囲を逸脱することなく
種々の変形が可能である。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明実施例による埋め込み型半導体レーザの
構成断面図、第2図は本発明の第1の実施例に係わる埋
め込み型半導体レーザの製造工程を示す断面図、第3図
及び第4図は第2及び第3の実施例による埋め込み型半
導体レーザの構成断面図、第5図は従来例の構成断面図
である。 101…n−GaAs基板、102…n−AlGaAsクラッド層、103
…多重量子井戸活性層、104,106…p−AlGaAsクラッド
層、105…高濃度不純物添加層、107…p−GaAsオーミッ
クコンタクト層、108…不純物拡散領域、109,110…電
極。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】第1導電型半導体基板上に第1導電型クラ
    ッド層、第1または第2導電型或いはpn接合を含む量子
    井戸活性層、第2導電型クラッド層の少なくとも3層を
    設ける工程と、前記量子井戸活性層上に近接して高濃度
    不純物添加層を所定の活性領域を除いて設ける工程と、
    この後前記高濃度不純物添加層より前記量子井戸活性層
    に達するまで熱処理によって不純物拡散を行う工程とを
    含むことを特徴とする埋め込み型半導体レーザの製造方
    法。
  2. 【請求項2】前記高濃度不純物添加層より前記量子井戸
    活性層と反対方向に、逆バイアス層または高抵抗層によ
    る電流制限層を設ける工程を含んで成ることを特徴とす
    る特許請求の範囲第1項記載の埋め込み型半導体レーザ
    の製造方法。
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