JPH07109848A - 半地下型駐車場のプレキャスト床版及びその取付け構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 根切り部内の埋め戻しを行なうことなく、傾
斜状態の床面を形成することができ、しかも養生期間を
考慮することなく作業を行なうことのできる半地下型駐
車場のプレキャスト床版及びその取付け構造を提供す
る。 【構成】 地盤の駐車場形成領域を掘削した根切り部内
の周囲にプレキャストコンクリート製の基礎を立設し、
かつ中間部に中間支持用の束基礎を立設すると共に、出
入口側と反対側位置の根切り部の底部に下端受け版を配
設する。下端受け版上にプレキャストコンクリート製の
床版本体１２の他端２２を載置し、床版本体１２の一端
２０を出入口側の基礎上端に載置支持させ、かつ出入口
側の基礎上端より突出したアンカーボルトを床版本体１
２のアンカーボルト挿通孔１４に挿通させて連結する。
下部固定用のコンクリート注入孔１６及び中間部固定用
の連結孔１８にそれぞれコンクリートを注入し、床版本
体１２と、束基礎及び下端受け版とを固定する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、傾斜した床面を有する
半地下型駐車場に用いるプレキャスト床版及びその取付
け構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、この種の半地下型の駐車場を構築
する場合、駐車スペースを最小限にするために、駐車場
の床面を傾斜状態に形成することが行なわれている。

【０００３】このような傾斜床面を有する駐車場を構築
する場合、まず地盤の駐車場構築領域を掘削して根切り
部を形成し、この根切り部内の周囲に基礎を構築する。

【０００４】次いで、根切り部内を駐車場床面の傾斜に
相応させて埋め戻し、その傾斜面に沿ってコンクリート
を打設することによって、傾斜状態の床面を形成するよ
うにしていた。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】前記従来の半地下型の
駐車場の構築にあっては、床面を傾斜状態に形成するた
めに、根切り部を掘削形成した後に、更に根切り部内の
埋め戻しを行なわなければならず、この埋め戻しに要す
る労力は多大なもので、時間が掛り、工期が長引く上に
コスト高になるという問題があった。

【０００６】また、埋め戻した後に、現場打ちでコンク
リートを打設して養生しなければならないため、養生に
要する期間中、そこに立入らないようにしなければなら
ず、作業がしにくいという問題もあった。

【０００７】本発明は、前記問題点を解決するためにな
されたもので、その目的は、根切り部内の埋め戻しを行
なうことなく、傾斜状態の床面を形成することができ、
しかも養生期間を考慮することなく作業を行なうことの
できる半地下型駐車場のプレキャスト床版及びその取付
け構造を提供することにある。

【０００８】

【課題を解決するための手段】前記目的を達成するた
め、第１の発明は、地盤の駐車場形成領域を掘削した根
切り部内に一端側を地表面位置、他端側を根切り部の底
部に位置させた傾斜状態で配設される略方形状をなすプ
レキャストコンクリート製の床版本体と、前記床版本体
の前記一端側に形成された上部固定用のアンカーボルト
挿通孔と、前記床版本体の前記他端側に形成された下部
固定用のコンクリート注入孔と、前記床版本体の中間部
に形成された中間部支持固定用の連結孔と、を備えるこ
とを特徴としている。

【０００９】第２の発明は、地盤の駐車場形成領域を掘
削した根切り部内の周囲にプレキャストコンクリート製
の基礎を立設し、かつ中間部に中間支持用の束基礎を立
設すると共に、出入口側と反対側位置の根切り部の底部
に下端受け版を配設し、前記下端受け版上に前記プレキ
ャストコンクリート製の床版本体の前記他端を載置し、
前記床版本体の前記一端を出入口側の基礎上端に載置支
持させ、かつ出入口側の基礎上端より突出したアンカー
ボルトを床版本体のアンカーボルト挿通孔に挿通させて
連結し、前記下部固定用のコンクリート注入孔及び中間
部固定用の連結孔にそれぞれコンクリートを注入し、床
版本体と、束基礎及び下端受け版とを固定することを特
徴としている。

【００１０】第３の発明は、前記下端受け版が、平板状
の受け版本体と、この受け版本体の両長手辺より上下方
向に連続して突出したコンクリート止め部とを備え、前
記受け版本体には、受け版本体の上下の空間を連通させ
てコンクリートを受け版本体の上下に回り込ませる連通
孔が形成されていることを特徴としている。

【００１１】

【作用】前記構成の第１及び第２の発明にあっては、地
盤の駐車場形成領域を掘削して形成した根切り部内の周
囲に基礎を形成し、プレキャストコンクリート製の床版
本体の一端を出入口側の基礎上端位置、他端を根切り部
の底部に位置させた傾斜状態に配設し、かつ、前記出入
口側の基礎上端から突出したアンカーボルトを床版本体
の前記一端側に形成したアンカーボルト挿通孔に挿通さ
せて連結する。

【００１２】この場合、根切り部内を傾斜状に埋め戻し
する必要はなく、床版本体を設置するだけで済むため、
埋め戻しに要する労力を省略することができ、しかも工
期の短縮化、コストの削減が可能となる。また、現場で
広範囲なコンクリートの打設を行なう必要がなく、従っ
て、養生期間中の作業の煩わしさも解消されることとな
る。

【００１３】更に、下部固定用のコンクリート注入孔及
び中間部支持固定用の連結孔よりコンクリートを注入し
て、床版本体と、束基礎及び下端受け版とを固定するこ
とにより、より確実な取付けが可能となる。

【００１４】第３の発明にあっては、下端受け版を構成
する受け版本体の両長手辺より上下方向にコンクリート
止め部を連続して突出させ、受け版本体に上下の連通孔
を形成することにより、床版本体下端側のコンクリート
注入孔より注入したコンクリートを受け版本体の上下に
確実に回り込ませ、かつ注入したコンクリートを連結部
分に確実に保持して連結状態を強固にすることが可能と
なる。

【００１５】

【実施例】以下、本発明の実施例について、図面を参照
して詳細に説明する。

【００１６】図１は、本発明の一実施例に係る半地下駐
車場のプレキャスト床版を示す図である。

【００１７】このプレキャスト床版１０は、床版本体１
２と、アンカーボルト挿通孔１４と、コンクリート注入
孔１６と、連結孔１８とから構成されている。

【００１８】床版本体１２は、略方形状をなすプレキャ
ストコンクリート製のもので、地盤の駐車場形成領域を
掘削した根切り部内に一端２０側を地表面位置、他端２
２側を根切り部の底部に位置させた傾斜状態で配設さ
れ、駐車場の傾斜した床面を構成するようになってい
る。

【００１９】また、この床版本体１２は、床版本体１２
上に自動車が載った場合でも、折損することのないよう
に、内部に補強筋等を配設して、十分な強度を持たせる
ようにしている。

【００２０】更に、床版本体１２の表面は、予め仕上処
理された状態となっており、根切り部内への配設後、仕
上処理を行なう必要がないようになっている。

【００２１】さらに、床版本体１２の上面には，図示せ
ぬが、スリップ防止用のカラー等があらかじめ形成され
るようになっている。このカラー等は床版本体１２がプ
レキャストコンクリート製であるため、容易に、しかも
安価に形成することが可能である。

【００２２】アンカーボルト挿通孔１４は、床版本体１
２の一端２０側に左右一対形成され、傾斜状態の床版本
体１２の上部を固定するもので、基礎側のアンカーボル
トを挿通して連結し得るようになっている。また、アン
カーボルト挿通孔１４の表面周囲には、図４に示すよう
に、角形のテーパ状の凹部２４が形成され、この凹部２
４をコンクリート等にて埋めることにより、アンカーボ
ルトの先端を覆うことができるようになっている。

【００２３】コンクリート注入孔１６は、床版本体１２
の他端２２側に左右二対形成され、傾斜状態の床版本体
１２の下部を固定するもので、上方からコンクリートを
注入固化させることにより、根切り部の底部に固定し得
るようになっている。また、このコンクリート注入孔１
６は、図５に示すように、表面側から裏面側にかけて、
拡開するように形成され、固定用のコンクリートの注入
が容易になるようになっている。

【００２４】連結孔１８は、床版本体１２の一端２０
と、他端２２との間の中間部に左右一対形成され、表面
側から固定用のコンクリートを注入することにより、束
基礎等の中間部支持部材と固定されるようになってい
る。また、この連結孔１８も、図７に示すように、表面
側から裏面側にかけて拡開し、固定用のコンクリートの
注入が容易になるようになっている。

【００２５】次に、前記実施例に係るプレキャスト床版
１０の取付け構造を、図２〜図７に基づいて説明する。

【００２６】まず、図２には、半地下型駐車場３０を有
する建物３２が示されており、この半地下型駐車場３０
を構築するに当っては、まず、図３に示すように、地盤
３４の駐車場形成領域を掘削して根切り部３６を形成
し、この根切り部３６内の周囲にプレキャストコンクリ
ート製の基礎３８、４０を立設する。この場合、駐車場
３０の出入口４２側には、根切り部３６の底部４４から
略地表面４６までに相当する高さの低い基礎３８を用
い、その他の部分にはこの基礎３８よりも高さの高い基
礎４０を用いるようにしている。なお、基礎３８及び４
０の外側部分は埋め戻しするようにしている。

【００２７】また、基礎３８、４０にて囲まれた根切り
部３６内には、床版本体１２に形成した連結孔１８に相
応する位置の中間部に中間支持用の束基礎４８を立設す
ると共に、出入口４２側と反対側位置の根切り部３６の
底部４４に下端受け版５０を配設している。この下端受
け版５０は、プレキャストコンクリート製のもので、平
板状の受け版本体５２と、この受け版本体５２の両長手
辺より上下方向に連続して突出したコンクリート止め部
５４とを備え、このコンクリート止め部５４によって受
け版本体５２の下部及び上部にコンクリート溜まり用の
空間が形成されるようになっている。また、受け版本体
５２には、連通孔５６が形成され、受け版本体５２の上
下の空間を連通させてコンクリートを受け版本体５２の
上下の空間に回り込ませるようになっている。

【００２８】そして、下端受け版５０上にプレキャスト
コンクリート製の床版本体１２の他端２２を載置し、床
版本体１２の一端２０を出入口４２側の基礎３８上端に
載置支持させて出入口４２側から奥側にかけて下降傾斜
状態に支持させ、かつ出入口４２側の基礎３８の上端よ
り突出したアンカーボルト５８を床版本体１２のアンカ
ーボルト挿通孔１４に挿通させ、ナット５９で締めつけ
ることにより連結するようにしている（図３及び図４参
照）。また、床版本体１２のアンカーボルト挿通孔１４
周囲に形成した凹部２４内には、図４に示すように、コ
ンクリート６０を注入してアンカーボルト５８を覆うよ
うにしている。

【００２９】そして更に、図５及び図７に示すように、
下部固定用のコンクリート注入孔１６及び中間部固定用
の連結孔１８よりそれぞれコンクリート６２、６４を注
入し、床版本体１２と、束基礎４８及び下端受け版５０
とを固定する。この場合、コンクリート注入孔１６及び
連結孔１８は、裏面にかけて拡開するようになっている
ので、確実に下端受け版５０、束基礎４８側に確実に注
入されて、固化連結状態となる。また、下端受け版５０
の受け版本体５２に形成した連通孔５６によって、コン
クリート６２が確実に受け版本体５２の上下に回り込
み、かつコンクリート止め部５４によってコンクリート
６２が保持されるので、確実な連結状態が得られること
となる。また、束基礎４８の上面には、図７（Ｂ）に示
すように、床版本体１２の連結孔１８対応位置に切欠き
部６６が形成され、この切欠き部６６内をコンクリート
６４にて埋めることにより、シェアコッタを構成するよ
うにしている。なお、図示せぬが、出入口４２側の基礎
３８上端に換気用の切欠き部が形成されている場合に
は、この換気用の切欠き部内にコンクリート６０を注入
してシェアコッタを構成するようにすることも可能であ
る。

【００３０】このように、根切り部３６内を埋め戻しす
ることなく、傾斜状態の床面を形成することができ、埋
め戻しにようする労力を省略して、工期の短縮、コスト
の削減を行なうことができる。また、プレキャスト床版
１０を用いることにより、床面の仕上処理が不要とな
り、現場打ちコンクリートのように養生期間が不要であ
るため、作業の煩わしさも解消できることとなる。

【００３１】本発明は、前記実施例に限定されるもので
はなく、本発明の要旨の範囲内において、種々の変形実
施が可能である。

【００３２】例えば、プレキャスト床版１０の中間支持
部材として束基礎を示しているが、この例に限らず、プ
レキャスト製の布基礎等を用いるようにすることも可能
である。

【００３３】

【発明の効果】以上説明したように、第１及び第２の発
明にあっては、プレキャストコンクリート製の床版本体
の一端を出入口側の基礎上端位置、他端を根切り部の底
部に位置させた傾斜状態に配設し、かつ、前記出入口側
の基礎上端から突出したアンカーボルトを床版本体の前
記一端側に形成したアンカーボルト挿通孔に挿通させて
連結することにより、根切り部内を傾斜状に埋め戻しす
ることなく、半地下型駐車場の傾斜した床面を形成する
ことができ、根切り部内の埋め戻しに要する労力を省略
することができ、しかも工期の短縮化、コストの削減が
なし得るという効果がある。

【００３４】また、現場で広範囲なコンクリートの打設
を行なう必要がなく、従って、養生期間中の作業の煩わ
しさも解消できるという効果がある。

【００３５】更に、下部固定用のコンクリート注入孔及
び中間部支持固定用の連結孔よりコンクリートを注入し
て、床版本体と、束基礎及び下端受け版とを固定するこ
とにより、より確実な取付けができるという効果があ
る。

【００３６】第３の発明にあっては、下端受け版を構成
する受け版本体の両長手辺より上下方向にコンクリート
止め部を連続して突出させ、受け版本体に上下の連通孔
を形成することにより、床版本体下端側のコンクリート
注入孔より注入したコンクリートを受け版本体の上下に
確実に回り込ませ、かつ注入したコンクリートを連結部
分に確実に保持して連結状態を強固にすることができる
という効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例に係る半地下型駐車場のプレ
キャスト床版を示す斜視図である。

【図２】図１のプレキャスト床版を用いて構築した半地
下型の駐車場を有する建物を示す説明図である。

【図３】図２の半地下型駐車場の要部拡大断面図であ
る。

【図４】図３のプレキャスト床版上端部の連結状態を示
す拡大断面図である。

【図５】図３のプレキャスト床版下端部の連結状態を示
す拡大断面図である。

【図６】図５の下端受け版の拡大斜視図である。

【図７】（Ａ）は図３のプレキャスト床版中間部の連結
状態を示す拡大断面図で、（Ｂ）は（Ａ）の矢視Ｂ方向
より見た断面図である。

【符号の説明】

１０ プレキャスト床版 １２ 床版本体 １４ アンカーボルト挿通孔 １６ コンクリート注入孔 １８ 連結孔 ２０ 一端 ２２ 他端 ３０ 半地下型駐車場 ３４ 地盤 ３６ 根切り部 ３８、４０ 基礎 ４２ 出入口 ４４ 底部 ４６ 地表面 ４８ 束基礎 ５０ 下端受け版 ５２ 受け版本体 ５４ コンクリート止め部 ５６ 連通孔 ５８ アンカーボルト

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 地盤の駐車場形成領域を掘削した根切り
   部内に一端側を地表面位置、他端側を根切り部の底部に
   位置させた傾斜状態で配設される略方形状をなすプレキ
   ャストコンクリート製の床版本体と、 前記床版本体の前記一端側に形成された上部固定用のア
   ンカーボルト挿通孔と、 前記床版本体の前記他端側に形成された下部固定用のコ
   ンクリート注入孔と、 前記床版本体の中間部に形成された中間部支持固定用の
   連結孔と、 を備えることを特徴とする半地下型駐車場のプレキャス
   ト床版。
2. 【請求項２】 地盤の駐車場形成領域を掘削した根切り
   部内の周囲にプレキャストコンクリート製の基礎を立設
   し、かつ中間部に中間支持用の束基礎を立設すると共
   に、出入口側と反対側位置の根切り部の底部に下端受け
   版を配設し、 前記下端受け版上に前記プレキャストコンクリート製の
   床版本体の前記他端を載置し、前記床版本体の前記一端
   を出入口側の基礎上端に載置支持させ、かつ出入口側の
   基礎上端より突出したアンカーボルトを床版本体のアン
   カーボルト挿通孔に挿通させて連結し、 前記下部固定用のコンクリート注入孔及び中間部固定用
   の連結孔にそれぞれコンクリートを注入し、床版本体
   と、束基礎及び下端受け版とを固定することを特徴とす
   る請求項１に記載の半地下型駐車場のプレキャスト床版
   の取付け構造。
3. 【請求項３】 請求項２において、 前記下端受け版は、平板状の受け版本体と、この受け版
   本体の両長手辺より上下方向に連続して突出したコンク
   リート止め部とを備え、 前記受け版本体には、受け版本体の上下の空間を連通さ
   せてコンクリートを受け版本体の上下に回り込ませる連
   通孔が形成されていることを特徴とする半地下型駐車場
   のプレキャスト床版の取付け構造。