JP3760609B2 - 鉄骨柱の脚部定着法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、鉄骨柱の脚部定着法に関し、とりわけ、基礎梁のコンクリート打設部分に予め形成した建方穴に鉄骨柱の下端部を挿入して、該建方穴に後打ちコンクリートを充填するようにした鉄骨柱の脚部定着法に関する。
【0002】
【従来の技術】
鉄骨柱を用いたS造またはSRC造の建物架構では、地震や強風に対する揺れを抑制するために、最下層柱脚の鉄骨柱を基礎または基礎梁の中に埋め込んで剛性を向上させるようになっている。この剛性を向上させるための在来工法では、一般的に杭または厚く打設した捨てコンクリートの上に鉄骨柱を先建てした後、基礎および基礎梁配筋を行ってコンクリートを打設することにより埋込み脚柱を構築する方法が採られる。
【0003】
ところが、このような在来工法では基礎工事着手時に鉄骨柱が必要になって、鉄骨柱を先行して製作したり発注したりする必要があるため、この鉄骨製作期間を含めて実質的な工期が長くなってしまう。また、この在来工法ではベースプレートやリブプレート等の溶接作業が必要となり、この点でも鉄骨柱の製作期間が長くなるとともに、大幅なコストアップの要因となってしまう。
【0004】
そこで、基礎や基礎梁等の基礎工事を先行構築した後に鉄骨柱の建て込みを可能として、所要の剛性を確保しつつ実質的な工期を短縮することができる工法(ホールイン工法)が、特公昭61−4458号公報(Int.Cl.E04B 1/58)によって提案されている。即ち、このホールイン工法は、基礎梁のコンクリート打設部分に鉄骨柱の建方穴を形成しておき、この建方穴に鉄骨柱の脚部を挿入して後打ちコンクリートを充填することにより、鉄骨柱の脚部を定着するようになっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、かかる従来の鉄骨柱の脚部定着法は次に示すような課題があった。即ち、基礎工事の完了後に鉄骨柱脚部の定着が可能なホールイン工法にあっても、前述した在来工法と同様に基礎梁の梁主筋を鉄骨柱の埋込み部分を避けて配筋する必要がある。このため、上記鉄骨柱の脚部定着部分では上記梁主筋を梁中央部分から振り分けて、この振り分けた梁主筋を上記鉄骨柱の埋込み部分の両側を囲うように迂回して配筋したりして水平ハンチを設ける必要があり、従って、鉄骨柱の脚部では必要以上に基礎梁の幅が大きくなってしまう。
【0006】
尚、他の脚部定着法に鉄骨柱を埋め込まない露出柱脚タイプの工法があるが、これはハイベースを用いて脚部を定着するもので、著しく長いアンカーボルトを必要とするとともに、このアンカーボルトを埋め込むための基礎を深くする必要があり、地中掘削量やコンクリートの打設量が増大して大幅なコストアップが来されてしまう。
【0007】
そこで、本発明はかかる従来の課題に鑑みて成されたもので、鉄骨柱の脚部を基礎部分に埋設する定着法にあって、鉄骨柱脚部の定着剛性を確保しつつ、基礎梁の幅が鉄骨柱の埋込み部分にあっても大きくなることなく、該基礎梁の幅を長さ方向に均一化させることができる鉄骨柱の脚部定着法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
かかる目的を達成するために本発明の鉄骨柱の脚部定着法を請求項毎に以下述べる。
【0009】
▲1▼請求項1の脚部定着法は、基礎梁のコンクリート打設部分に鉄骨柱の建方穴を形成しておき、この建方穴に鉄骨柱の脚部を挿入して後打ちコンクリートを充填するようにした鉄骨柱の脚部定着法において、上記鉄骨柱の対向する1組の側面の下端部に、一対の延長部材を該鉄骨柱の下端から下方に所定量突出させて結合し、鉄骨柱の建方時に、上記一対の延長部材が上記基礎梁の梁主筋を跨るようにして、これら延長部材および上記鉄骨柱下端部を上記建方穴に挿入した後、該建方穴内に上記後打ちコンクリートを充填する。
【0010】
▲2▼請求項2の脚部定着法は、上記請求項1の延長部材にスタッドボルトを取り付ける。
【0011】
▲3▼請求項3の脚部定着法は、上記請求項1または2の鉄骨柱の建方穴に挿入される下端部に、上記延長部材の取付け面とは異なる面に水平部材を結合する。
【0012】
▲4▼請求項4の脚部定着法は、上記請求項3の水平部材にアンカーボルトを垂設する。
【0013】
▲5▼請求項5の脚部定着法は、上記請求項4のアンカーボルトの下端部に、水平配置される定着板を取り付ける。
【0014】
以上の本発明にかかる鉄骨柱の脚部定着法の作用を請求項毎に以下述べる。
【0015】
▲1▼請求項1では、鉄骨柱の脚部から一対の延長部材が下方に所定量突出されており、鉄骨柱の建方時にこれら延長部材および鉄骨柱の下端部が建方穴に挿入されて後打ちコンクリートが充填されるため、このコンクリート内に上記延長部材および鉄骨柱の下端部が埋め込まれて延長部材がアンカー機能を発揮することができる。従って、鉄骨柱の埋込み量が少ない場合にも上記延長部材によって鉄骨柱の定着剛性を十分に確保することができる。そして、上記一対の延長部材は鉄骨柱の対向する側面に結合されるため、これら延長部材は鉄骨柱の幅分の間隔が設けられ、これら延長部材が基礎梁の梁主筋を跨るため、この梁主筋を鉄骨柱の上下投影面の領域内に収めることができる。従って、上記梁主筋を鉄骨柱の側方に突出させて配筋する必要が無く、一般部分と同様に一定の幅をもって直線的に配筋することができ、延いては、基礎梁の幅をその全長に亘って均等化できるようになる。
【0016】
▲2▼請求項2では、上記延長部材にスタッドボルトを取り付けたので、このスタッドボルトが後打ちコンクリートに埋め込まれて結合されるため、このスタッドボルトを植設した上記延長部材はコンクリートとの結着性が増大され、延いては、鉄骨柱の支持剛性をより高めることができる。
【0017】
▲3▼請求項3では、上記鉄骨柱の建方穴に挿入される下端部に、上記延長部材の取付け面とは異なる面に水平部材を結合したので、この水平部材が水平方向及び鉛直方向の力をコンクリートへ伝達する機能を有し、鉄骨柱の定着性を更に向上することができる。
【0018】
▲4▼請求項4では、上記水平部材にアンカーボルトを垂設したので、このアンカーボルトが後打ちコンクリートに埋め込まれて結合されるため、このアンカーボルトを設けた上記水平部材はコンクリートとの結着性が増大して、鉄骨柱の支持剛性をより高めることができる。
【0019】
▲5▼請求項5では、上記アンカーボルトの下端部に、少なくとも上面が水平となる定着板を取り付けたので、この定着板がコンクリート内に埋め込まれることにより、アンカーボルトの引き抜き耐力を著しく増大し、延いては、上記水平部材のコンクリートとの結着性を増大して鉄骨柱の支持剛性を更に高めることができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を添付図面を参照して詳細に説明する。図1から図4は本発明の鉄骨柱の脚部定着法の第1実施形態を示し、図1は鉄骨柱脚部の定着部分を示す断面正面図、図2は鉄骨柱脚部の定着部分を示す断面側面図、図3は鉄骨柱脚部の平面図、図4は延設部材の上半部の斜視図である。
【0021】
即ち、本実施形態の鉄骨柱の脚部定着法は図1〜図3に示すように、基礎梁2のコンクリート3打設部分に鉄骨柱10の建方穴4を形成しておき、この建方穴4に鉄骨柱10の脚部を挿入して後打ちコンクリート5を充填するようになっている。ここで、本発明の基本的な形態として、上記鉄骨柱10の対向する1組の側面の下端部に、一対の延長部材20を該鉄骨柱10の下端から下方に所定量突出させて結合し、上記鉄骨柱10の建方時に、上記一対の延長部材20が上記基礎梁2の梁主筋2aを跨るようにして、これら延長部材20および上記鉄骨柱10の下端部10aを上記建方穴4に挿入した後、該建方穴4内に上記後打ちコンクリート5を充填する。
【0022】
即ち、本実施形態では上記鉄骨柱として断面矩形状の角形鋼管10を用いるとともに、上記延長部材として溝型鋼20を用い、上記角形鋼管10の一方向(図3中X方向)に対向する側面10b,10cの下端部に、一対の上記溝型鋼20の上端部をボルト22結合(尚、このボルト22は高張力ボルトを示し、以下同様とする。)して、これら溝型鋼20の下端部を上記角形鋼管10の下端から下方に所定量hを突出させる。
【0023】
上記溝型鋼20は、両側のフランジ20a,20bと、これらフンラジ20a,20bの一辺どうしを連結するウェブ20cとによって断面コ字状に形成されたもので、上記角形鋼管10と同様に一般の市販製品を用いることができる。そして、上記溝型鋼20には図4に示すように、フランジ20a,20bの対向面およびウェブ20cの外側面に、それぞれ複数のスタッドボルト24が植設により取り付けられている。
【0024】
一方、上記角形鋼管10の他方向(図3中Y方向)に対向する側面10d,10eの下端部に、断面L字状に形成された水平部材としての山型鋼30をボルト22結合して、この山型鋼30の一辺30aを水平方向に突出させる。また、該山型鋼30の両端部は、角形鋼管10の上記側面10b,10cより上記溝型鋼20のフランジ20a,20bの幅分だけ突出し、これら突出部分とフランジ20,20bとをボルト22結合して、溝型鋼20の支持剛性を増大できるようになっている。
【0025】
上記山型鋼30の水平突出された一辺30aには、図1に示したように複数本のアンカーボルト32が垂設される。このアンカーボルト32の取付け本数は、水平方向力及び鉛直方向力により決定される。つまり、本実施形態では、梁主筋2aの間および両側に位置するように上記アンカーボルト32は4本が設けられる。また、上記アンカーボルト32の下端部には、水平配置される定着板34がそれぞれ設けられる。これら定着板34は、上記梁主筋2a間に挿入できる大きさにそれぞれ独立して形成されている。更に、上記梁主筋2a群の外側はフープ筋2bで拘束されるが、このフープ筋2bを上記建方穴4部分で除いておくことにより、上記定着板34はY方向に対向するアンカーボルト32間で互いに連続させることができる。
【0026】
従って、上記角形鋼管10の下端部には、スタッドボルト24を植設した溝型鋼20およびアンカーボルト32を垂設した山型鋼30が予め取り付けられ、該角形鋼管10の建方時には、上記溝型鋼20および上記山型鋼30とともに上記角形鋼管10の下端部10aを建方穴4内に挿入した後、この建方穴4内に上記後打ちコンクリート5が充填される。
【0027】
尚、上記角形鋼管10を建方穴4に挿入する際、この角形鋼管10は建方用ベース40に仮支持されるようになっている。該建方用ベース40は、X方向を指向して上記角形鋼管10のY方向側面10d,10e間の間隔をもって配置される一対の溝型鋼42を備え、これら溝型鋼42の両端部はコンクリート3に固定されるホールインアンカー44に着脱可能に止着される。そして、上記角形鋼管10は建方穴4に所定位置間で挿入した状態で、この角形鋼管10は上記溝型鋼42にボルト46固定されて仮止めされる。この状態で上記後打ちコンクリート5が硬化した後にボルト46が取り外されるとともに、上記溝型鋼42がホールインアンカー44から取り外される。
【0028】
ところで、上記角形鋼管10が建方穴4に挿入される際、この角形鋼管10の下端部に結合された上記一対の溝型鋼20は、Y方向に配置される基礎梁2の梁主筋2aに跨るとともに、山型鋼30から垂設するアンカーボルト32は、梁主筋2a間およびこれら梁主筋2aの外側に挿入されるようになっている。そして、上記角形鋼管10自体の下端部は、床スラブの厚さD分だけ建方穴4に挿入されて、基礎梁2の梁主筋2a上方に位置するとともに、上記アンカーボルト32を取り付けた山型鋼30も上記梁主筋2aの上方に位置するようになっている。従って、本実施形態の鉄骨柱の脚部定着法にあっては、鉄骨梁として用いた角形鋼管10の脚部に、スタッドボルト24を植設した一対の溝型鋼20がボルト22結合されて下方に突出されるとともに、アンカーボルト32を取り付けた山型鋼30がボルト22結合されており、該角形鋼管10の建方時に、これら溝型鋼20および山型鋼30とともに角形鋼管10の下端部が建方穴4に挿入されて後打ちコンクリート5が充填されるため、このコンクリート5内に上記溝型鋼20,山型鋼30および角形鋼管10の下端部が埋め込まれて、後打ちコンクリート5の硬化によって該角形鋼管10が固定される。
【0029】
このとき、上記溝型鋼20および上記山型鋼30がアンカー機能を発揮するため、角形鋼管10の埋込み量が少ない場合にも該角形鋼管10の水平剛性を大きく確保することができる。特に、上記溝型鋼20には複数のスタッドボルト24が植設されるとともに、上記山型鋼30にはアンカーボルト32が垂設されているため、これらスタッドボルト24およびアンカーボルト32が後打ちコンクリート5内に埋め込まれて結合されることになり、上記溝型鋼20および上記山型鋼30と該コンクリート5との結着性が増大され、延いては、上記角形鋼管10の支持剛性をより高めることができる。
【0030】
即ち、上記角形鋼管10脚部の定着部では、X方向に関しては、曲げモーメントにより生ずる引張り力および圧縮力はボルト22を介して溝型鋼20の軸力に変換され、そして、スタッドボルト24によりコンクリート5に伝達される。また、角形鋼管10に作用する剪断力は、ボルト22を介して山型鋼30に伝達され、そしてアンカーボルト32を介してコンクリート5に伝達される。更に、角形鋼管10に作用する軸力は、ボルト22を介して溝型鋼20および山型鋼30に伝達され、そしてスタッドボルト24およびアンカーボルト32を介してコンクリート5に伝達される。
【0031】
一方、Y方向に関しては、曲げモーメントにより生ずる引張り力および圧縮力は、ボルト22を介して山型鋼30から溝型鋼20へ伝達され、そして、該溝型鋼20の強軸方向で抵抗させてスタッドボルト24を介してコンクリート5に伝達するようになっている。尚、この場合の剪断力および軸力に関しては上記X方向の場合と同様である。
【0032】
更に、上記アンカーボルト32の下端部に水平配置される定着板34が取り付けられることにより、該アンカーボルト32の引き抜き耐力を著しく増大でき、延いては、上記山型鋼30と後打ちコンクリート5との結着性を増大して角形鋼管10の支持剛性を更に高めることができる。また、上記定着板34により引き抜き耐力が増大できることにより、該定着板34を設けたアンカーボルト32の長さを短縮化できる。
【0033】
ところで、上記溝型鋼20は一対設けられて、それぞれが角形鋼管10のX方向の側面10b,10cに結合されているため、これら溝型鋼20間には角形鋼管10の幅に対応する間隔Wが離隔されて対峙されており、この角形鋼管10を上記建方穴4に挿入する際に、上記一対の溝型鋼20がY方向に配置される基礎梁2の梁主筋2aを跨るため、この梁主筋2aを角形鋼管10の上下投影面の領域内に収めることができる。従って、上記梁主筋2aを従来のように角形鋼管10の側方に突出させて配筋する必要が無くなり、上記基礎梁2の柱接続部分を一般部分と同様に一定の幅をもって直線的に配筋することができ、延いては、Y方向の基礎梁2の幅をその全長に亘って均等化できるようになる。尚、X方向を指向する図外の基礎梁は、従来と同様に梁主筋が角形鋼管10の外側を迂回して配筋されることになる。
【0034】
また、本実施形態では溝型鋼20および山型鋼30を角形鋼管10にボルト22を介して結合するようになっているので、鉄骨加工を切断と孔明けで行って溶接を不要とすることができ、これに伴って溶接を用いる場合の工作図を省略することができるとともに、運搬時に嵩張らないようにボルト結合部分を着脱できる。また、上記溝型鋼20および上記山型鋼30は市販製品を使用できるため、材料費を大幅に削減することができる。
【0035】
図5から図8は本発明の第2実施形態を示し、図5は鉄骨柱脚部の定着部分を示す断面正面図、図6は鉄骨柱脚部の定着部分を示す断面側面図、図7は鉄骨柱脚部の平面図、図8は延設部材の上半部の斜視図で、この実施形態を上記実施形態と同一構成部分に同一符号を付して重複する説明を省略して述べる。
【0036】
即ち、この実施形態では鉄骨柱としてH型鋼50を用いるようになっており、このH型鋼50の下端部50aには図7中X方向に対向される両フランジ50b,50cの外側下端部に、図8に示すようにスタッドボルト24を植設した一対の溝型鋼20の上端部をボルト22結合して、これら溝型鋼20の下端部を上記H型鋼50の下端から下方に突出させてある。また、上記H型鋼50のウェブ50dの下端部両面に、水平部材としての山型鋼60をボルト22結合して、この山型鋼60の一辺60aを水平方向に突出させてある。この山型鋼60は両フランジ50b,50c間に配置されるように短く形成される。
【0037】
そして、上記H型鋼50の建方時に、X方向に所定間隔Wをもって対峙された上記一対の溝型鋼20がY方向に配置される基礎梁2の梁主筋2aを跨るようにして、該溝型鋼20とともに上記H型鋼50の下端部50aを建方穴4に挿入し、その後この建方穴4内に後打ちコンクリート5を充填するようになっている。
【0038】
勿論、この実施形態にあっても上記H型鋼50を建方穴4に挿入した状態で建方用ベース40にこのH型鋼50を仮止めし、充填した後打ちコンクリート5が硬化した段階で建方用ベース40を取り外すようになっている。
【0039】
従って、この実施形態にあっても上記実施形態と同様に一対の溝型鋼20は所定間隔をもって対向配置され、これら溝型鋼20がY方向の基礎梁2の梁主筋2aを跨ぐようにして建方穴4に挿入することにより、該梁主筋2aがH型鋼50の外方に迂回して配筋されるのを防止できるため、該基礎梁2の幅をその全長に亘って均一化できる。
【0040】
ところで、この実施形態にあってもH型鋼50の下端部50aが建方穴4内に埋設された際に、スタッドボルト24が植設された上記溝型鋼20と、一辺60aが水平配置された山型鋼60とがコンクリート5内に埋め込まれて、該H型鋼50に必要な定着力が得られるようになっている。即ち、曲げモーメントによりフランジ50b,50cに生ずる引張り力,圧縮力および軸力は、ボルト22を介して溝型鋼20に伝達され、そしてスタッドボルト24からコンクリート5に伝達される。また、ウェブ50dが負担する剪断力および特に軸力は、ボルト22を介して山型鋼50に伝達され、そしてコンクリート5に伝達される。
【0041】
尚、この実施形態では上記山型鋼60にはアンカーボルトが設けられない場合を開示したが、勿論、この山型鋼60にはアンカーボルト、更には定着板を設けることにより、H型鋼50の定着剛性を更に増大できることはいうまでもない。
【0042】
【発明の効果】
以上説明したように本発明の鉄骨柱の脚部定着法は、以下請求項毎に示すような優れた効果を奏する。
【0043】
▲1▼請求項1では、鉄骨柱の対向する1組の側面の下端部に一対の延長部材を結合することにより、これら延長部材は該鉄骨柱の下端から下方に所定量突出されており、鉄骨柱の建方時に一対の延長部材が上記基礎梁の梁主筋を跨るようにして、これら延長部材および上記鉄骨柱下端部を上記建方穴に挿入した後、該建方穴内に後打ちコンクリートを充填するようにしたので、上記一対の延長部材が基礎梁の梁主筋を跨ることにより、この梁主筋を鉄骨柱の上下投影面の領域内に収めることができる。従って、上記梁主筋を鉄骨柱の側方に突出させて配筋する必要が無く、一般部分と同様に一定の幅をもって直線的に配筋できるようになり、延いては、基礎梁の幅をその全長に亘って均等化できる。また、上記延長部材および鉄骨柱の下端部が後打ちコンクリート内に埋め込まれて、延長部材がアンカー機能を発揮することができるため、鉄骨柱の埋込み量が少ない場合にも鉄骨柱の定着剛性を十分に確保することができる。
【0044】
▲2▼請求項2では、上記延長部材にスタッドボルトを植設したので、このスタッドボルトが後打ちコンクリートに埋め込まれて結合されるため、このスタッドボルトを植設した上記延長部材はコンクリートとの結着性が増大され、延いては、鉄骨柱の支持剛性をより高めることができる。
【0045】
▲3▼請求項3では、上記鉄骨柱の下端部に、上記延長部材の取付け面とは異なる面に水平部材を結合したので、この水平部材が水平方向及び鉛直方向の力をコンクリートへ伝達する機能を有すると共に鉄骨柱の定着性を更に向上することができる。
【0046】
▲4▼請求項4では、上記水平部材にアンカーボルトを垂設したので、このアンカーボルトが後打ちコンクリートに埋め込まれて結合されるため、このアンカーボルトを設けた上記水平部材はコンクリートとの結着性が増大して、鉄骨柱の支持剛性をより高めることができる。
【0047】
▲5▼請求項5では、上記アンカーボルトの下端部に、少なくとも上面が水平となる定着板を取り付けたので、この定着板がコンクリート内に埋め込まれることにより、アンカーボルトの引き抜き耐力を著しく増大し、延いては、上記水平部材のコンクリートとの結着性を増大して鉄骨柱の支持剛性を更に高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態を示す鉄骨柱脚部の定着部分の断面正面図である。
【図2】本発明の第1実施形態を示す鉄骨柱脚部の定着部分の断面側面図である。
【図3】本発明の第1実施形態を示す鉄骨柱脚部の平面図である。
【図4】本発明の第1実施形態を示す延設部材の上半部の斜視図である。
【図5】本発明の第2実施形態を示す鉄骨柱脚部の定着部分の断面正面図である。
【図6】本発明の第2実施形態を示す鉄骨柱脚部の定着部分の断面側面図である。
【図7】本発明の第2実施形態を示す鉄骨柱脚部の平面図である。
【図8】本発明の第2実施形態を示す延設部材の上半部の斜視図である。
【符号の説明】
1 鉄骨柱
1a 脚部
2 基礎梁
3 コンクリート
4 建方穴
5 後打ちコンクリート
10 角形鋼管(鉄骨柱)
20 溝型鋼(延長部材)
22 ボルト(高張力ボルト)
24 スタッドボルト
30 山型鋼(水平部材)
32 アンカーボルト
34 定着板
50 H型鋼(鉄骨柱)
60 山型鋼(水平部材)
Claims (5)
- 基礎梁のコンクリート打設部分に鉄骨柱の建方穴を形成しておき、この建方穴に鉄骨柱の脚部を挿入して後打ちコンクリートを充填するようにした鉄骨柱の脚部定着法において、
上記鉄骨柱の対向する1組の側面の下端部に、一対の延長部材を該鉄骨柱の下端から下方に所定量突出させて結合し、鉄骨柱の建方時に、上記一対の延長部材が上記基礎梁の梁主筋を跨るようにして、これら延長部材および上記鉄骨柱下端部を上記建方穴に挿入した後、該建方穴内に上記後打ちコンクリートを充填することを特徴とする鉄骨柱の脚部定着法。 - 上記延長部材にスタッドボルトを取り付けたことを特徴とする請求項1に記載の鉄骨柱の脚部定着法。
- 上記鉄骨柱の建方穴に挿入される下端部には、上記延長部材の取付け面とは異なる面に水平部材を結合したことを特徴とする請求項1または2に記載の鉄骨柱の脚部定着法。
- 上記水平部材にアンカーボルトを垂設したことを特徴とする請求項3に記載の鉄骨柱の脚部定着法。
- 上記アンカーボルトの下端部に、水平配置される定着板を取り付けたことを特徴とする請求項4に記載の脚部定着法。
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