JPH0710946Y2 - シートバックのロック装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔考案の目的〕 （産業上の利用分野） 本考案は主に自動車のリアシート等のシートバック（背
凭れ）のロック装置に関し、特に前倒し可能なシートバ
ックを所定の立上り角度にロック保持するシートバック
のロック装置に関する。

（従来の技術） 従来、リアシートのシートバックのロック装置は、例え
ば実開昭59−88330号公報に示されているようなものが
ある。これはシートバックのフレームにロックピンを貫
挿し且つばねにより常時外側に突出する方向に付勢して
設け、車両ボデー側に複数のロック孔を有すると共に前
端部が彎曲したロックプレートを固設しておく。そして
シートバックを前倒した状態から後方に起立回動させる
と、ロックピンの先端がロックプレートの前端彎曲部に
摺合し、これにてそのロックピンがばねに抗し退入しな
がら移動して、該ロックプレートの一つのロック孔にば
ねに付勢されて嵌合する。これでシートバックを所定の
立上り角度にロック保持するようになる。なおそのシー
トバックの立上り角度は、前記ロックピンを手で引張っ
てロックプレートのロック孔から一度外し、他のロック
孔に入替えるようにすることで複数段に調整できる。

（考案が解決しようとする課題） ところで、前述した従来のシートバックのロック装置で
は、ロック状態時、シートバック側からばねに付勢され
て突出するロックピンの先端部が一枚のロックプレート
のロック孔に嵌合するだけで、言わばロックピンが片持
ち支持の状態となると共に、そのロックピンの先端部が
セルフロックの必要性から先細で丸みのある形状とされ
ていることから、シートバックの確実なロックと言う点
で不安があり、ガタが生じたり、ちょっとした衝撃でロ
ックが外れたりする心配があった。

本考案は前記事情に鑑みなされ、ロックピンを両持ち支
持できて、シートバックをガタ等なく安定して確実にロ
ック保持することができるシートバックのロック装置を
提供することを目的とする。

またロックピンを両持ち支持する構造でありながらも、
セルフロックが可能なシートバックのロック装置を提供
することを目的とする。

〔考案の構成〕

（課題を解決するための手段） 本考案は前記目的を達成するために、シートバックに設
けたロックピンをばねにより付勢して車両ボデー側に固
設したロックプレートのロック孔に嵌合することで該シ
ートバックを所定の立上り角度にロック保持するシート
バックのロック装置において、シートバックに前記ロッ
クプレートのロック孔を貫通したロックピンの先端部が
嵌入する支持孔付き補強プレートを設けて構成したこと
を特徴とする。

また、前記ロックピンにシートバック外側方に突出する
摺合部材を設けると共に、この摺合部材がシートバック
の起立回動時に摺合してばねに抗する方向にロックピン
を移動させセルフロックを可能とするガイドをロックプ
レートに設けたことを特徴とする。

（作用） 前記構成により、本考案のシートバックのロック装置で
は、ロック時、シートバック側からばねに付勢されて突
出したロックピンがロックプレートのロック孔を貫通す
ると共に、更にそのロックピン先端部がシートバック側
に設けた補強プレートの支持孔に嵌入するので、そのロ
ックピンが言わば両持ち支持の状態となり、その両支持
部間でロックプレートのロック孔に嵌合することから、
シートバックをガタ等なく安定して確実にロック保持す
るようになる。

また、前述したロックピンの両持ち支持構造でありなが
ら、ロックピンにシートバック外側方に突出する摺合部
材を設けると共に、この摺合部材が摺合するガイドをロ
ックプレートに設けたことで、シートバックを前倒し状
態から後方に起立回動させれば、摺合部材がガイド部に
摺合し、これにてロックピンがばねに抗し補強プレート
から一度後退するようにしてロックプレート上に移動
し、そのままガイドから外れロックピンがばねの付勢で
進出して容易にセルフロックできるようになる。

（実施例） 以下本考案の一実施例を図面により説明する。まず第４
図において図中１は自動車の後部に据付けたベンチシー
トタイプのリアシートを示し、２はそのシートクッショ
ン、３はシートクッション２の後部にヒンジ機構（図示
せず）を介して起倒可能に設けられたシートバックであ
る。このシートバック３を所定の立上り角度にロック保
持したりロック解除したりするロック装置が該シートバ
ック３の両端側上部とこれと対向する自動車の車両ボデ
ー４側に設けられている。つまり、そのロック装置とし
て、シートバック３の両端側上部にロックピン５が装着
され、車両ボデー４側の一部である左右リアタイヤハウ
ジング4a（片側図示省略）の上部分に複数個ずつのロッ
ク孔付きロックプレート６が固設されている。

ここで、前記ロック装置を第１図乃至第３図により更に
詳述すると、先ずロックピン５が装着されるシートバッ
ク３の上部フレーム７は横長の平板状の背面プレート８
とこの前面部に溶接等により固着された断面略Ｓ形状に
折曲されたメインフレーム９とで構成され、このメイン
プレート９の上面板部9aと中間板部9bとの端部寄りに形
成した取付け孔9a′,9b′に前記ロックピン５が上方か
ら差し込まれて上下動可能に取付けられている。またこ
のロックピン５の中間部にＥリングであるばね座10が取
付けられ、これと前記メインプレート９の上面板部9aと
の間にコイルばね11が介装され、このばね力により該ロ
ックピン５が常時下方に付勢されている。

前記ロックピン５は上端に大径頭部5aを有し、手で摘ま
んで引上げ操作可能となっていると共に、先端寄り途中
に先細となるテーパー段部5bを有し、そこから更に適当
長さ真直ぐ延出して小径な先端部5cを有している。一方
前記メインプレート９の下面板部がロックピン５を両持
ち支持するための補強プレート9cとされ、この端部寄り
に一回り小径な支持孔9c′が形成されている。そしてこ
の支持孔9cに前記ロックピン５の先端部5cが挿脱自在に
嵌合できるようになっている。

また前記メインプレート９の中間板部9bと下面の補強プ
レート9cとを連結している背面垂下板部9dはその端部側
適当幅の部分が開放すべく切欠Ｋされ、この切欠Ｋを介
して中間板部9bと下面の補強プレート9cとの間の空間内
に前記ロックプレート６が介入できるようになってい
る。

なお前記ロックピン５の途中のばね座10の直ぐ下にはセ
ルフロックの為に細い１本のピン状の摺合部材12がねじ
込み等により固定して直角に突設され、これが前記背面
プレート８とメインフレーム９の上半部との端部に溶接
等により固定した端板13のピン回り止め用縦長孔13aに
上下動自在に摺嵌して外側方に延出されている。

一方、前記ロックプレート６は、シートバック３の起倒
方向の回転半径に応じてやや彎曲された前後方向に長い
帯板状のもので、前述の如く車両ボデー４のリアタイヤ
ハウジング4a上部分にボルト止め等により略水平に固定
することで取付けられる。このロックプレート６には第
５図に示す如く前記ロックピン５のテーパー段部5bがガ
タなく嵌合できるようにテーパー上の複数のロック孔6a
が長手方向に間隔を存して形成されている。またそのロ
ックプレート６の前端にはセルフロックの為のガイド14
が設けられている。このガイド14はロックプレート６の
外側縁前端より立設した立上り板部14aと、この上端か
ら内側に折曲して前方に向けて円弧状に下がるよう突設
された舌片部14bから構成されている。なおこのガイド1
4はシートバック３の外側面に干渉しないようにロック
プレート６のセンターより外側に偏倚して設けられてい
る。これと逆に各ロック孔6bはロックプレート６のセン
ターより内側に偏倚して設けられている。

而して、本考案のシートバックのロック装置の作用を述
べる。シートバック３を前倒し状態から後方に起立回動
させると、先ず該シートバック３の外側方に突出してい
るピン状の摺合部材12が車両ボデー側に固設されている
ロックプレート６前部のガイド14の円弧状の舌片14b上
面に摺合して端板13の縦長孔13aにより回り止めされた
状態で押し上げられながら後方に進む。これにて該摺合
部材12と共にロックピン５がばね11に抗して上昇し、そ
の先端部5cが補強プレート9cの支持孔9c′から一度上方
に抜けて中間板部9b近くまで退避する。この状態で更に
シートバック３の起立回動が進むことで、背面垂下板部
9dの切欠Ｋを介して中間板部9bと下面の補強プレート9c
との間の空間内に前記ロックプレート６が介入して、前
記上昇状態にあるロックピン５の下側に来る状態とな
る。ここで、前記摺合部材12がガイド14の舌片14b上後
端から外れ落ち、これでロックピン５がばね11の付勢で
下降し、その先端部5cがロックプレート６の一つのロッ
ク孔6aに貫通して、更に下側の補強プレート9cの支持孔
9c′に嵌入すると共に、該ロックピン５の先端寄り途中
のテーパー段部5bが前記ロックプレート６のロック孔6a
に密に嵌合する。これでセルフロックが完了し、シート
バック３は所定の立上り角度にロック保持される。

ここで、そのロック状態時、前述の如くシートバック側
からばねに付勢されて突出したロックピン５がロックプ
レート６のロック孔6aを貫通すると共に、更にそのロッ
クピン５の先端部5cがシートバック側に設けた補強プレ
ート9cの支持孔9c′に嵌入するので、そのロックピン５
が言わば両持ち支持の状態となり、その両支持部間でロ
ックプレート６のロック孔6aに嵌合することから、ロッ
ク強度が非常に強く得られるばかりでなく、ロック孔6a
とこれに嵌合すうロックピン５のテーパー段部5bとのテ
ーパ角度を十分にとってガタ止めを図ることが可能で、
シートバックをガタ等なく安定して確実にロック保持し
得るようになる。

また、前述したロックピン６の両持ち支持構造でありな
がら、ロックピン５から突出した摺合部材12とロックプ
レート６前端に設けたガイド14により、ロックピン５を
ばねに抗し一度退避させながら進められるので、セルフ
ロックが容易にできるようになる。

また前述の如く一度ロックした状態からシートバック３
の立上り角度を変更調整したい場合には、両端側のロッ
クピン５を手で上方に引上げ、これにてロックピン５を
補強プレート9cの支持孔9c′並びにロックプレート６の
ロック孔6aから抜き外した後、シートバック３を回動さ
せて、適当な角度でロックピン５を放せば、そのまま該
ロックピン５が前回とは異なる位置のロック孔6aに貫通
して補強プレート9cの支持孔9c′に嵌入するので、角度
調整が楽にできるようになる。

なお、本考案は前記実施例のみに限定されることなく、
例えば第６図に示す如くロックプレート６の前端外側に
ガイド14として略扇状板14cを立設した簡単な構造のの
でも可である。その他本考案の要旨を逸脱しない範囲で
あれば種々変更しても良い。

〔考案の効果〕

本考案は前述の如く構成したから、シートバックのロッ
ク状態時に、ロックピンを両持ち支持できて、シートバ
ックをガタ等なく安定して確実にロック保持することが
できる。

またロックピンを両持ち支持する構造でありながらも、
セルフロックが可能で、非常に簡便なものとなる。

【図面の簡単な説明】

第１図乃至第５図は本考案の一実施例を示すもので、第
１図は一部分解した要部の斜視図、第２図は同要部のロ
ック状態時の側面図、第３図は第２図のIII−III線に沿
う断面図、第４図はロック装置を装備したシートバック
据付け状態図、第５図（ａ）（ｂ）はロックプレート単
独の平面図及び側面図、第６図は本考案の他の実施例を
示すロックプレート単独の斜視図である。 ３…シートバック、４…車両ボデー、５…ロックピン、
5c…ロックピンの先端部、６…ロックプレート、6a…ロ
ック孔、７…フレーム、9c…補強プレート、9c′…支持
孔、11…ばね、13…摺合部材、14…ガイド。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)考案者 佐藤 保夫 神奈川県座間市ひばりが丘３丁目623番地 ノ１ 国松工業株式会社内

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】シートバックに設けたロックピンをばねに
   より付勢して車両ボデー側に固設したロックプレートの
   ロック孔に嵌合することで該シートバックを所定の立上
   り角度にロック保持するシートバックのロック装置にお
   いて、シートバックに前記ロックプレートのロック孔を
   貫通したロックピンの先端部が嵌入する支持孔付き補強
   プレートを設けて構成したことを特徴とするシートバッ
   クのロック装置。
2. 【請求項２】ロックピンにシートバック外側方に突出す
   る摺合部材を設けると共に、この摺合部材がシートバッ
   クの起立回動時に摺合してばねに抗する方向にロックピ
   ンを移動させセルフロックを可能とするガイドをロック
   プレートに設けたことを特徴とする請求項１記載のシー
   トバックのロック装置。