JPS646140Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、運転者の座高に応じてヘツドレスト
を上下方向に調節しうるようにした自動車用シー
トのヘツドレストレイント装置の改良に関するも
のである。

このような装置としては、例えば(i)ヘツドレス
トのポールに凹溝を設け、該凹溝に係脱自在なロ
ツク片をシートバツクフレームに取付け、シート
バツク側部に配設した調節レバーを操作すること
で前記ロツク片を凹溝から離脱させることができ
るもの、(ii)ヘツドレストのポールに凹溝を設け、
該ポールが挿通されるポールガイド本体に、前記
凹溝に係合する係合板を設け、該係合板がポール
ガイド本体に対してポール軸線に直交する方向に
摺動可能で、かつポールガイド本体に内設された
スプリングにて係合方向に付勢されているもの、
(iii)シートバツク内にロツク手段が内設され、ヘツ
ドレスト本体を傾けることにより、ロツクを解除
するものなどがある。

しかしながら、上記の構造を備えただけの装置
では、自動車の衝突時やロールオーバ時などにお
いて、ヘツドレスト本体がシートバツクから抜脱
し、乗員の頭部後傾を有効に抑止しえなくなると
いつた危険や、種々の体格の乗員に対して、設定
位置が低すぎるため頭部を十分に保持し得ない可
能性もあるといつた欠点がある。

本考案は、かかる従来の問題に鑑みてなされた
もので、簡単な構造で確実に機能を果たす自動車
用シートのヘツドレストレイント装置を提供する
ことを目的としている。

このため、本考案においては、上記従来の上下
調節機構に加えて、ヘツドレストの上下方向の調
節範囲の上端および下端において、それ以上の下
降或いは上昇を係止する係止構造を設け、、それ
によつてヘツドレストの抜脱を確実に防止するよ
うにしたことを特徴としている。

以下、図示の実施例に基づいて本考案をより具
体的に説明する。

第１図ないし第５図において、１は自動車用シ
ートで、車体（図示省略）のフロアに取付けられ
るシートボトム２に、リクライニング装置３を介
して、シートバツク４が傾動自在に連結され、該
シートバツク４の上部に枕状のヘツドレスト本体
５が上下位置調節可能に取付けられている。

６はシートバツク４内部に内設されたシートバ
ツクフレームで、シートバツク４の骨組みをなし
ている。このシートバツクフレーム６は、パイプ
フレームからなる枠体７の上側に、支持部材８が
固着されている。この支持部材８は、略水平の上
側支持部８ａと、該上側支持部８ａに略平行な下
側支持部８ｂとを有する。

１０は可動ポールガイドで、四角筒状のガイド
本体１０ａと、該ガイド本体１０ａの上部に連設
された矩形状の鍔部１０ｂと、前記ガイド本体１
０ａおよび鍔部１０ｂを上下方向に貫通する挿通
孔１０ｃとよりなり、その下端部（ガイド本体１
０ａ）に跨設された幅方向の係合溝１０ｄ，１０
ｄが上側支持部８ａの係合孔８ｃに、シート幅方
向Ｗへ傾動可能なるように係合している。前記挿
通孔１０ｃは、上部が該挿通孔１０ｃに挿通され
る後述のガイドポール１２よりシート幅方向Ｗに
幅広で、下側になるほどその幅が狭くなり、ガイ
ド本体１０ａと上側支持部８ａとの係合部分付近
では、ガイドポール１２の幅（径）にほぼ合致す
るように形成されている。すなわち、挿通孔１０
ｃは、上方側が下方側よりも大きいテーパ形状と
なつている。また、鍔部１０ｂの一側縁部には押
圧操作部１０ｅが形成され、該押圧操作部１０ｅ
の押圧操作により可動ポールガイド１０をシート
幅方向Ｗに傾動できるように構成されている。

１１は固定ポールガイドで、円筒状のガイド本
体１１ａと、該ガイド本体１１ａの上端部に連設
された矩形状の鍔部１１ｂと、両者１１ａ，１１
ｂを貫通する挿通孔１１ｃとからなり、該ガイド
本体１１ａのほぼ中間部分が上側支持部８ａに、
下端部分が下側支持部８ｂにそれぞれ固定支持さ
れている。

１２，１３はそれぞれガイドポールおよび摺動
ポールで、何れも一端部がヘツドレスト本体５の
下側に固着される一方、他端部はそれぞれ可動ポ
ールガイド１０の挿通孔１０ｃ、および固定ポー
ルガイド１１の挿通孔１１ｃを通じて、シートバ
ツク４内部に挿通されている。

ガイドポール１２の側部には、所定間隔でもつ
て複数個の凹溝１２ａ，１２ａ，１２ａ，１２ｂ
が形成され、該凹溝１２ａ，１２ａ，１２ａ，１
２ｂの何れかに、可動ポールガイド１２２の挿通
孔１０ｃ内の鍔部１０ｂ付近に一体的に設けられ
たロツクピン１４（係合片）が係脱可能に係合し
て、ヘツドレスト本体５の上下位置を調節可能に
定めるように構成されている。

前記凹溝１２ａ，１２ａ，１２ａ，１２ｂのう
ち、上側の凹溝１２ａ（図面では３つ）は、ロツ
クピン１４との係脱が比較的容易になるように、
上側傾斜部１２ｃ、中間鉛直部１２ｄおよび下側
傾斜部１２ｅが順に連設されてなる。一方、下側
の凹溝１２ｂは、上側傾斜部１２ｃ、中間鉛直部
１２ｄおよび下側水平部１２ｆが順に連設されて
なり、ロツクピン１４が前記下側の凹溝１２ｂと
係合しているときに、外力によりヘツドレスト本
体５が上方に偏位しようとしても、可動ポールガ
イド１０はロツクピン１４が凹溝１２ｂに係合す
る方向にばね手段としての板ばね１５にて常時付
勢され、それによつてロツクピン１４が凹溝１２
ｂの下側水平部１２ｆにて確実に係止され、ヘツ
ドレスト本体５が外れるのが防止される。

前記板ばね１５は全体がばね鋼板等で形成さ
れ、上側支持部８ａにリベツトＲにて取付けられ
る取付部１５ａと、可動ポールガイド１０のガイ
ド本体１０ａに当接して該可動ポールガイド１０
を外側方、すなわちロツクピン１４が凹溝１２
ａ，１２ａ，１２ａ，１２ｂに係合する方向に付
勢する付勢部１５ｂとからなる。

１６は下側支持部８ｂに固定された支持環で、
その中心孔に、可動ポールガイド１０の挿通孔１
０ｃに挿通されたガイドポール１２の下端部が挿
通されている。したがつて、この支持環１６と可
動ポールガイド１０とにより、ガイドポール１２
が支持されることになる。

上記のように構成すれば、平常状態、すなわち
押圧操作部１０ｅを押圧しない状態では、可動ポ
ールガイド１０は、板ばね１５にてロツクピン１
４がガイドポール１２の凹溝１２ａ，１２ｂに係
合する方向に付勢されているので、ヘツドレスト
本体５は偏位することなく、定位置に保持され
る。

また、ヘツドレスト本体５の高さ（上下位置）
を調節したいときには、先ず、押圧操作部１０ｅ
を板ばね１５のスプリング力に抗して押圧して、
可動ポールガイド１０全体をその下端部（係合溝
１０ｄ，１０ｄ付近）を中心として板ばね１５側
へ移動し、それによつて、凹溝１２ａ，１２ａ，
１２ａ，１２ｂとロツクピン１４との係合を解除
する（第５図参照）。この状態で、ヘツドレスト
本体５を所望の高さに調節できる。その後押圧操
作部１０ｅの押圧を解除すれば、可動ポールガイ
ド１０が板ばね１５にて付勢され、再び元の直立
状態に戻され、ロツクピン１４が所定の凹溝１２
ａ，１２ａ，１２ａ，１２ｂに係合され、ヘツド
レスト本体５の新しい位置を定める。

一方、前記固定ポールガイド１１は、具体的に
は第６図に示すように、シートバツクフレーム８
に上方から強制的に挿入することにより、固定ポ
ールガイド１１のほぼ中間部に設けた肩部１１ｄ
が上側支持部８ａに設けた係合孔８ｄの周囲に上
側から、また下端部に設けた上向きのテーパー部
によつて形成された肩部１１ｅが下側支持部８ｂ
に設けた係合孔８ｅの周囲に下側から夫々係合し
て、上下いずれの方向にも抜脱不自在に固定され
ている。

この固定ポールガイド１１の挿通孔１１ｃ内を
摺動する摺動ポール１３には、第６図および第７
図に示すように、その周面をポール軸と軸平行に
所定の長さ範囲にわたつて切欠いた摺動溝１７を
設け、この摺動溝１７には摺動溝１７の長手方向
と直交する方向に固定ポールガイド１１の鍔部１
１ｂに水平方向に貫通させて設けた挿通溝１９に
挿脱可能に挿通した係止ピン１８を摺接させ、係
止ピン１８によつてヘツドレスト本体５の最上位
置および最下位置を規制する。即ち、摺動溝１７
の上下端は、ガイドポール１２に設けた最上の凹
溝１２ａの上端から最下の凹溝１２ｂの下側水平
部１２ｆの高さに夫々対応させて設定し、摺動溝
１７の上側段部１７ａに係止ピン１８が係合した
ときに、ヘツドレスト本体５のそれ以上の下降を
阻止し、また摺動溝１７の下側段部１７ｂに係止
ピン１８が係合することによつて、ヘツドレスト
本体５の上方への抜脱を阻止する。この下側段部
１７ｂへの係止ピン１８の係合時には、ガイドポ
ール１２の最下の凹溝１２ｂの下側水平部１２ｆ
に可動ポールガイド１０のロツクピン１４が係合
し、したがつて、ヘツドレスト本体５は、このロ
ツクピン１４および上記係止ピン１８によつて同
時にロツクされ、自動車の衝突時等においてヘツ
ドレスト本体５に大きな荷重が作用したとしても
ヘツドレスト本体５の抜脱を確実に阻止すること
ができる。なお、ヘツドレスト本体５のシートバ
ツク４に対する組付け、或いは取外しは、上記係
止ピン１８を抜いた状態で容易に行える。

以上の実施例では、可動ポールガイド１０をガ
イドポール１２に対して傾動可能な構造とした
が、例えば、可動ポールガイドをガイドポールに
対して軸と直交する方向にスライド操作すること
ができるようにする等、要するに可動ポールガイ
ドをガイドポールに対して操作することにより、
可動ポールガイドのロツクピンとガイドポールの
凹溝とを係脱可能とするものであればよい。

本考案は、上記のように、ヘツドレスト本体の
上下位置の調節が行なえるようにした構造に加え
て、他方のポールに摺動溝部を設け、このポール
をガイドする固定のポールガイドに摺動溝の上、
下端を係止する係止片を嵌挿した構造とすること
により、ヘツドレスト本体の上下位置の調節を防
げることなしに、ヘツドレスト本体の抜脱を確実
に防止することができ、全体として部品点数が少
なく組付性、操作性さらには安全性に優れた自動
車用シートのヘツドレストレイント装置を提供す
ることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係るヘツドレストレイント装
置を組付けた自動車用シート全体の斜視図、第２
図は本考案の実施例に係るヘツドレストレイント
装置を、シート表皮を除いて示す斜視図、第３図
は第２図の−線方向断面図、第４図は第２図
の−線方向断面図、第５図はポールガイドを
傾動させたときの状態を示す第４図に対応した断
面図、第６図は第２図の−線方向断面図、第
７図は第２図の−線方向断面図である。 １……自動車用シート、２……シートボトム、
３……リクライニング装置、４……シートバツ
ク、５……ヘツドレスト本体、８……支持部材、
８ａ……上側支持部、８ｂ……下側支持部、１０
……可動ポールガイド、１０ａ……ガイド本体、
１０ｂ……鍔部、１０ｃ……挿通孔、１０ｄ……
係合溝、１０ｅ……押圧操作部、１１……固定ポ
ールガイド、１２……ガイドポール、１２ａ，１
２ｂ……凹溝、１３……摺動ポール、１４……ロ
ツクピン、１５……板ばね、１７……摺動溝、１
８……係止ピン。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 一端部がヘツドレスト本体に固着され、他端部
   がシートバツクの内部に挿通される左右一対のポ
   ールと、一方のポールの側部に凹設された複数の
   凹溝と、シートバツクフレーム上側の略水平に固
   着された支持部材に支持されるポールガイドと、
   前記一方のポールの凹溝に係脱可能に係合されポ
   ールガイドに設けられた係合片と、係合片が凹溝
   に係合する方向に常時付勢するばね手段と、係合
   片の係合を解除する押圧操作部とを具備する一
   方、他方のポールを上下方向にガイドする固定ポ
   ールガイドと、上記一方のポールの凹溝と係合片
   との係合範囲に対応して他方のポールの側部に沿
   つて縦方向に伸長した摺動溝と、固定のポールガ
   イドに挿脱自在に設けられ上記摺動溝の上端およ
   び下端を係止する係止片とを具備してなる自動車
   用シートのヘツドレストレイント装置。