JPH026846Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は車両、特に自動車の座席に使用して好
適なヘツドレスト装置に関する。

この種のヘツドレスト装置は座高の異なつた多
くの乗員に適するように高さを上下に調整する必
要があり、この上下調整は手で行う関係上、この
操作を軽く行うことができるようにすることが望
ましい。しかし追突時等において乗員の頭部によ
る衝撃が加わつた場合、押し下げる方向に力が作
用し、この力は相当に大きいので操作性に適した
設計とすれば衝撃時に不用に下降することにな
り、乗員の安全確保に万全をきすことはできず、
操作性と安全保持機能との両面を同時に満足する
ことは困難となる。 そこで従来この相反する２
つの要求を同時に満す、即ち高さの調整が容易で
しかも上方からの衝撃力に対してその位置を確保
できるように、ヘツドレストステーとヘツドレス
トホルダとの間にロツク機構を備えたヘツドレス
ト装置が各種提案され又実施されている。この従
来のものは構成が複雑で又ヘツドレストステーに
何んらかの切欠けを設けてその位置にヘツドレス
トホルダ側の係合部材を押圧係合させ、ヘツドレ
ストステーを上下方向に保持する有段の調整ロツ
ク機構がほとんどであり、ヘツドレストステーの
位置の微調整ができず、そのため各乗員に対して
ヘツドレストの高さを最適な位置に設定すること
ができない不都合があり、しかもヘツドレストス
テーに切欠けを設けるため強度的な面からも不利
であつた。

本考案は斯る点に鑑みてなされたもので、ヘツ
ドレストステーとシートバツクに取り付けられる
ヘツドレストホルダとの間に備えるロツク機構を
簡素化すると共に、ヘツドレストステーに対して
その上下方向に無段階的にロツクするようになし
又そのロツク解除操作も簡単に行なえるようにし
たヘツドレスト装置を提供するものである。

即ち本考案はシートバツクに取り付けられヘツ
ドレストが挿通されるヘツドレストホルダに捩り
ロツクスプリングを嵌挿し、このロツクスプリン
グの一端をヘツドレストホルダ側に係合すると共
に、他端をヘツドレストホルダの上口部側に回動
可能に配した操作体に係合し、ヘツドレストステ
ーをヘツドレストホルダにロツクスプリングを巻
着した状態で挿通し、ヘツドレストステーをヘツ
ドレストホルダに対してロツクスプリングの巻着
力によりロツクさせ又ロツクスプリングを操作体
を回動して巻き戻すことによりロツク解除を行な
うように構成したものである。

以下図面について本考案によるヘツドレスト装
置の実施例を説明する。

第１図は本考案によるヘツドレスト装置を備え
た車両用座席を示すもので、１はシートクツシヨ
ン、２はシートバツク、３はヘツドレスト装置で
ある。このヘツドレスト装置３はヘツドレスト本
体４とシートバツク２の上部に取り付けられるヘ
ツドレストホルダ５、５′とロツク機構６とから
構成される。

ヘツドレスト本体４はいわゆるヘツドレスト
（枕体）７と、その下方に延長して取り付けられ
る支持体、即ち二本のヘツドレストステー８、
８′からなり、一方のヘツドレストステー８が挿
通されるヘツドレストホルダ５にロツク機構６が
備えられてきる。

このロツク機構６はヘツドレストホルダ５に形
成された空洞部１１、捩りロツクスプリング１２
及び操作体としてのキヤツプ１３から構成されて
いる。即ちヘツドレストホルダ５のステー挿通孔
５ａの上部に、その挿通孔５ａより大径で底部を
一方向に傾斜面１１ａとした空洞部１１を形成
し、この空洞部１１の側面に挿通孔５ａの軸方向
に沿つた切込溝１１ｂが形成されており、又ヘツ
ドレストホルダ５の上端外周部に鍔５ｂが一体的
に設けられ、切込溝１１ｂの外縁部から鍔５ｂか
けて肉厚部５ｃが形成され、鍔５ｂ側の肉厚部５
c′，５c″は切込溝１１ｂの端部から両側へ所望の
長さに形成されて後述するキヤツプ１３のストツ
パーとなる。

捩りロツクスプリング１２はヘツドレストステ
ー８の外径より若干細い内径の巻径を設定し、空
洞部１１の深さよりやや長く形成してあり、巻き
始め巻き終り端部は外側に曲げ起してフツク１２
ａ，１２ｂを形成してある。そしてこの捩りロツ
クスプリング１２をヘツドレストホルダ５の空洞
部１１に、その下縁部の一部分を傾斜面１１ａの
高位部に係合当接させると共にこの当接部と直径
方向に相対する部分と傾斜面１１ａの低位部との
間に所要の間隔を保有させるように遊挿してこの
捩りロツクスプリング１２の下端側のフツク１２
ａを切込溝１１ｂに挿通係合してあり、この状態
において捩りロツクスプリング１２の上部は空洞
部１１の上口部から突出される。

キヤツプ１３は内面側にヘツドレストホルダ５
の空洞部１１の内径とほぼ同径の凹部１３ａを形
成し、この中央部にはヘツドレストホルダ５の挿
通孔５ａと同径の通孔１３ｂが穿設されており、
又凹部１３ａの内周面にはその軸方向に空洞部１
１の切込溝１１ｂと対応する溝１３ｃを形成し、
更に内面側の周縁にはヘツドレストホルダ５の鍔
５ｂに回動可能で且つ軸方向に係合する複数の係
合爪１３ｄ、１３d′が突設され、外周面の一部例
えば溝１３ｃと対応する部分に凸部１３ｅを隆起
形成してある。そしてこのキヤツプ１３をヘツド
レストホルダ５の上端側に対応させて凹部１３ａ
に空洞部１１から突出する捩りロツクスプリング
１２の上端部を嵌合すると共に溝１３ｃに上端部
側のフツク１２ｂを係合させ、この状態で係合爪
１３ｄ，１３d′を鍔５ｂの外周から下縁に係合さ
せて取り付け、ヘツドレストホルダ５に対して捩
りロツクスプリング１２の捩り偏倚力に抗して回
動できる。このキヤツプ１３を回動することによ
り捩りロツクスプリング１２は巻き戻されてその
内径が広げられ又このキヤツプ１３の回動は係合
爪１３ｄ、１３d′が鍔５ｂ側の肉厚部５c′，５
c″に係止される範囲に規制される。

尚ヘツドレストホルダ５の下端縁から上方へ直
径方向に対応して割溝５ｄ、５d′が形成されこの
割溝により二分される下端部外周には返上め隆起
部５ｅ，５e′が形成されており、又挿通孔５ａの
下端一半部の内周に突起５ｆが突設されている。

以上のように構成されるロツク機構を備えたヘ
ツドレストホルダ５はシートバツク２の上面、即
ちバツクフレーム２１の上辺部に固定されたヘツ
ドレストブラケツト２２の上下支持孔２２ａ、２
２ｂに下半部を挿通係合することにより支持さ
れ、又上半部はパツト材２３内に埋め込まれると
共に、鍔５ｂを含む上端部は表皮２４の上面側に
突出され、この状態でキヤツプ１３は表皮２４の
上面即ちシートバツク２の上面に表出される。

そして、このように固定されたヘツドレストホ
ルダ５にヘツドレストステー８を挿入する。この
ヘツドレストステー８の挿入においてはロツク機
構６の操作体、即ちキヤツプ１３を捩りロツクス
プリング１２の捩り偏倚力に抗して回動し、その
捩りロツクスプリング１２を巻戻してその内径を
広げた状態でヘツドレストステー８をキヤツプ１
３の通孔１３ｂから捩りロツクスプリング１２の
内径部に通してヘツドレストホルダ５のステー挿
通孔５ａに挿入する。このようにしてヘツドレス
トステー８を所要の位置まで挿入した状態でキヤ
ツプ１３から手を離すと捩りロツクスプリング１
２は内径が収縮するように復帰偏倚されてヘツド
レストステー８の周面に強く圧接し、即ちつかむ
状態となつてはヘツドレストステー８はこの位置
でヘツドレストホルダ５に対して上下方向にロツ
クされる。

即ち通常のロツク状態においては捩りロツクス
プリング１２がヘツドレストホルダ５の空洞部１
１の底部とキヤツプ１３の凹部１３ａの内面との
間に狭持されて、その上下方向の移動が阻止され
ることになるのでヘツドレストステー８はロツク
されることになる。ここでヘツドレスト７に衝撃
力が加わりヘツドレストステー８に下方への大き
な摺動力が作用した場合は捩りロツクスプリング
１２がヘツドレストステー８と一体的に下動し空
洞部１１の底部傾斜面１１ａに強く押しあてられ
る状態となる。即ち、捩りロツクスプリング１２
は、下縁部の一部分が傾斜面１１ａの高位部に係
合当接された状態でこの当接部と直径方向に相対
する部分側が傾斜面１１ａの低位部との間の間隔
部を下方へ移動する状態となつて、捩りロツクス
プリング１２は全体的に傾斜面１１ａに沿うよう
に大きく傾斜変形し、このためヘツドレストステ
ー８を強固につかむことになり、ロツクが更に確
実に行なわれ下方への摺動がほぼ完全に阻止され
ることになる。

尚、他方のヘツドレストホルダ５′とヘツドレ
ストステー８′は従来のものと同様に常時摺動可
能な関係にある。

このようにしてヘツドレストステー８をヘツド
レストホルダ５に対してロツクすることによりヘ
ツドレスト７は所望の高さに保持される。

又乗員が替りその体格に的した位置までヘツド
レスト７を移動するには再びロツク機構６の操作
体、即ちキヤツプ１３を回動して捩りロツクスプ
リング１２を巻き戻し方向に捩り、その内径を広
げてヘツドレストステー８に対する圧接を解き、
ヘツドレストステー８をヘツドレストホルダ５に
対して摺動可能となし、そこでヘツドレスト７が
所望の高さになるようにヘツドレストステー８を
摺動させた状態でキヤツプ１３から手を離し、捩
りロツクスプリング１２を、その偏倚力により再
びヘツドレストステー８に圧接させて再びロツク
する。このようにしてヘツドレスト７の高さは無
段階的に任意に調整することができる。

又、ヘツドレストステー８の下端部にはヘツド
レストホルダ５のステー挿通孔５ａの下端内周部
に突設した突起５ｆと係合する切欠け８ａが設け
られておりヘツドレストステー８をヘツドレスト
ホルダ５に対して上方へ引き抜き摺動した際、こ
の切欠け８ａが突起５ｆに合致することにより引
き抜き力が急激に変化しヘツドレスト最上位置の
警告となり又不用な引き抜きが防止されることに
なる。

尚、本実施例はヘツドレスト７の支持体を２本
のヘツドレストステー８、８′で構成し２個のヘ
ツドレストホルダ５、５′で保持するように構成
されているが一本のヘツドレストステーにより構
成し上述のロツク機構６を備えることもできる。

以上のように本考案によればヘツドレストはヘ
ツドレストステーがシートバツクに固定されるヘ
ツドレストホルダに対して捩りロツクスプリング
の圧接によりロツクするように構成したので、ヘ
ツドレスト上下位置が無段階的に調整可能とな
り、乗員に対して最適な高さに確実に設定でき、
又、このヘツドレストのロツク状態でヘツドレス
トに衝撃が加わりヘツドレストステーに下方への
大きな摺動力が作用した場合には、捩りロツクス
プリングが空洞部の傾斜状の底部に押し当てられ
てこの底部に沿つて傾斜変形されることにより、
捩りロツクスプリングはヘツドレストステーに対
しより強く圧接される状態となるため、ヘツドレ
ストのロツクが更に確実に行なわれる。又ヘツド
レストステーに切欠け等の切込み加工が不用であ
るため強度的に極めて有利となりしかも構成が極
めて簡単で部材点数が少なく組み付け工程も簡素
化され、コストの低廉化が可能となる等の効果を
有する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案によるヘツドレスト装置を備え
た車両用座席の一例の斜視図、第２図は本考案に
よるヘツドレスト装置の要部の一部載断した平面
図、第３図は同、要部の縦断側面図、第４図は同
要部の分解斜視図である。 図中、１はシートクツシヨン、２はシートバツ
ク、３はヘツドレスト装置、５はヘツドレストホ
ルダ、６はロツク機構、７はヘツドレスト、８は
ヘツドレストステー、１１は空洞部、１２は捩り
ロツクスプリング、１３は操作体としてのキヤツ
プである。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ヘツドレストステーをシートバツクに対して上
   下調整可能に支持してなる車両用座席等のヘツド
   レスト装置において、上記シートバツクに取付け
   られるヘツドレストホルダに、上記ヘツドレスト
   ステーが挿通される挿通孔を形成し、該挿通孔の
   上部に、該挿通孔より大径で底部を一方向に傾斜
   する傾斜面とした空洞部を設け、該空洞部に、両
   端を外側に折曲した捩りロツクスプリングを遊挿
   し、下縁部の一部分を上記傾斜面の高位部に係合
   当接させると共に該当接部と直径方向に相対する
   部分と上記傾斜面の低位部との間に所要の間隔を
   保有させ、かつ上記捩りロツクスプリングの下端
   折曲部を上記ヘツドレストホルダ側に係合すると
   共に、上端折曲部を、上記ヘツドレストホルダの
   上口部側に回動可能に配した操作体に係合し、上
   記ヘツドレストステーを上記捩りロツクスプリン
   グに嵌挿して上記ヘツドレストホルダに挿通して
   なる車両用座席等のヘツドレスト装置。