JPH0729004Y2 - シートバック前倒れ式車両用シート - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は車両用シートに関し、特にそのシートバックを
傾動可能に支持するリクライニング装置におけるベース
の前端部を、シートクッションに対し、引き起こし可能
に枢支すると共に、その後端側を常時は係止手段により
引っ掛け係止し、この係止手段の係止状態を解除するこ
とで、ベースを介してシートバックを起伏回動させてシ
ートクッション上に前倒れさせ得るようにしたシートバ
ック前倒れ式車両用シートの改良に関する。

〔従来の技術〕

一般に、車両用シートは、シートクッション及びその後
方でリクライニング機構により回動調整自在に立設され
たシートバック等を備えてなり、これらシート全体を車
体床面上で前後スライド機構等にて支持することによ
り、車体の前後方向にスライド移動調整し得るように構
成され、着座者の体型や好みに応じた着座状態が得られ
るようになっている。

ところで、この種の車両用シートにおいてシートバック
前倒れ式のものとして従来一般には、概略第５図に示す
ような構成が採用されていた。これを簡単に説明する
と、図において符号１は全体の図示は省略したシートク
ッション２及びその後端側に立設されるシートバック３
からなる車両用シートで、そのシートクッション２は、
周知の前後スライド機構４を構成するアッパーレール５
上に支持されている。尚、６は車室床面上に配設される
ロアーレールである。

10は前記シートバック３をシートクッション２に対して
傾動可能に支持するリクライニング装置で、周知の通
り、所要の傾動角度位置でロック状態を維持し得るロッ
ク機構（図示せず）を介在させてなるベース11及びアー
ム12によって構成されている。ここで、前記ベース11は
シートクッション２に対しその前端部が枢軸13により引
き起こし可能に枢支され、この枢軸13を中心として引き
起こし回動されたときに、シートバック３をシートクッ
ション２上に倒伏させて前倒れ回動させ得るような構成
となっている。

14は前記アッパーレール５（または該アッパーレール５
に一体的に設けられたブラケット）の側方に突設され且
つその途中に小径部からなる溝部14aを有する係合ロー
ラで、前記ベース11はその後端側の底部が該係合ローラ
14の小径部からなる溝部14aに係入して保持されるよう
になっている。更にこのベース11は、係合ローラ14の溝
部14aに対し、ベース11の底部が係入している係合ロー
ラ14の溝部14a上方とは反対側、つまり係合ローラ14の
溝部14a下方から、該ベース11の一部に軸支されている
引っ掛け用フック15の先端爪部15aが係入することで、
該先端爪部15aで係合ローラ14をベース下側縁と挟み込
むことにより、シートクッション２側の固定部材である
アッパーレール５側に常時はロック固定されるものであ
った。尚、上述した引っ掛け用フック15は、図示を省略
したばね手段によりロック方向に付勢される一方、ロッ
ク解除用ワイヤ16を引っ張り操作することで、フック15
によるロック状態が解除されるようになっており、その
結果として前述したようにベース11を介してシートバッ
ク３を前倒れさせ得るものであった。

〔考案が解決しようとする課題〕

然し乍ら、上述した従来構成によるシートバック前倒れ
式の車両用シート１にあっては、シートバック３の前倒
れをロックするように、ベース11を引っ掛け用フック15
にてアッパーレール５側の係合ローラ14の溝部14aに引
っ掛け係止させたときに、次のような問題を生じてい
た。即ち、上述した従来構造では、係合ローラ14の小径
部からなる溝部14aに、ベース11の側縁部を係入させて
当接保持しているが、第６図においてＳで示す隙間寸法
からも明かな通り、該溝部14a内でのベース11のがた付
きを生じることを避けられないもので、ベース11の板厚
方向での確実なロック状態を得ることができないもので
あった。

このため、この溝部14aの寸法関係を、ベース11の板厚
に合わせて厳密に行なったり、引っ掛け用フック15によ
るロックにてこれを解消し得るようにすることが考えら
れているが、がた付きを完全に防止し得るものではな
く、更に前記フック15を解除方向に回動させる際の操作
力が重くなるなどの不具合を生じてしまうもので、この
ような問題点を一掃し得る何らかの対策を講じることが
望まれている。

〔課題を解決するための手段〕

このような要請に応えるために本考案に係るシートバッ
ク前倒れ式車両用シートは、シートクッションの側部
に、シートバックを傾動可能に支持するリクライニング
装置においてその前端部を前記シートクッションに対し
引き起こし可能に枢支されているベースの底部をシート
前後方向に所定長さ寸法にわたって嵌め込んで保持する
ように開口側がガイド面として幅広に形成されてなる溝
部をシート前後方向に沿って形成するようにした受け部
材を設けると共に、この受け部材の一端側で前記溝部と
反対側の側縁部分に、ベースの一部に軸支された引っ掛
け用フックが係止される引っ掛け部を形成するようにし
たものである。

〔作用〕

本考案に依れば、常時は所要の着座位置でリクライニン
グ装置により傾動可能に支持されているシートバック
を、シートクッションに対し引き起こし可能に枢支され
ているベースの底部を幅広なガイド面にて案内して溝部
に嵌め込み保持させる受け部材を設け、該受け部材の溝
部にて該ベースの板厚方向での動きを拘束して係止する
と共に、該ベースの一部に軸支された引っ掛け用フック
を受け部材の一端側で溝部と反対側の側縁部分に形成さ
れている引っ掛け部に引っ掛け係止させることによりベ
ースの引き起こし方向への回動を拘束した状態でロック
することで、従来のようながた付きを生じない状態でベ
ースを介して適切且つ確実にシートクッション側にロッ
ク固定し得ると共に、ロック解除時には、引っ掛け用フ
ックを外すことにより該ベースを引き起こし方向に回動
させ、これによりシートバックをシートクッション側に
倒伏させて前倒れさせ得るものである。

〔実施例〕

以下、本考案を図面に示した実施例を用いて詳細に説明
する。

第１図乃至第４図（ａ）、（ｂ）は本考案に係るシート
バック前倒れ式車両用シートの一実施例を示すものであ
り、これらの図において前述した第５図等と同一または
相当する部分には同一番号を付してその詳細な説明は省
略する。

さて、本考案に依れば、前述したような車両用シート１
において、シートクッション２が設けられる前後スライ
ド機構４のアッパーレール５の側部に、シートバック３
を傾動可能に支持するリクライニング装置10においてそ
の前端部を前記アッパーレール５側に引き起こし可能に
枢支されているベース11の側縁部をシート１前後方向に
所定長さ寸法にわたって嵌め込んで保持するように開口
側がガイド面21b,21cとして幅広に形成されてなる溝部2
1をシート前後方向に沿って形成するようにした受け部
材20を設けると共に、この受け部材20の一端側で前記溝
部21と反対側の側縁部分に、ベース11の一部に軸支され
た引っ掛け用フック15が係止される引っ掛け部22を形成
するようにしたところに特徴を有している。

そして、このような構成に依れば、常時は所要の着座位
置でリクライニング装置10により傾動可能に支持されて
いるシートバック３を、該リクライニング装置10のアッ
パーレール５側に引き起こし可能に枢支されているベー
ス11の底部を幅広なガイド面21b,21cにて案内して溝底
部21aに嵌め込み保持させる受け部材20の溝部21にて該
ベース11の板厚方向での動きを適切且つ確実に拘束して
係止すると共に、該ベース11の一部に軸支された引っ掛
け用フック15を受け部材20の一端側で溝部21と反対側の
側縁部分に形成されている幅広な引っ掛け部22に引っ掛
け係止させることによりベース11の引き起こし方向への
回動を拘束した状態でロックすることで、従来のような
がた付きを生じない状態でベースを介して適切且つ確実
にシートクッション側にロック固定し得ると共に、ロッ
ク解除時には、引っ掛け用フックを外すことにより該ベ
ースを引き起こし方向に回動させ、これによりシートバ
ックをシートクッション側に倒伏させて前倒れさせ得る
ものである。

従って、このような本考案による車両シート１では、簡
単且つ安価な構成にもかかわらず、ベース11の板厚方向
でのがた付きを、受け部材20のシート１前後方向に沿っ
て形成されている溝部21により適切且つ確実に防止する
ことができ、更にベース11のロックまたは引き起こし回
動を可能とする引っ掛け用フック15の着脱もきわめて容
易に行なえ、該受け部材20のフック15による摩耗やこれ
によるがた付き問題も解決でき、更にフック15を解除操
作してシートバック３を前倒れさせる際の操作力も軽く
し得る等の利点を奏することが可能となる。

ここで、本実施例では、受け部材20として、シート１の
前後方向に長尺で、その少なくとも２ヶ所をねじ等で締
結固定した場合を示しているが、例えば溶接等を始めと
する適宜の固着手法を採用することは自由である。

尚、本考案は上述した実施例構造に限定されず、シート
バック前倒れ式車両用シート１各部の形状、構造など
を、必要に応じて適宜変形、変更することは自由であ
り、種々の変形例が考えられよう。例えば上述した実施
例では、第４図（ａ）から明かなように、略Ｖ字状を呈
する溝部21を形成した場合を例示したが、第４図（ｂ）
に示したように、溝底部21aのみが細溝状部として形成
されたものであってもよい。また、図示においては引っ
掛け部22を溝部21の溝底部21aより幅広に形成したが、
同一の幅に形成することもできる。

〔考案の効果〕

以上説明したように本考案に係るシートバック前倒れ式
車両用シートに依れば、シートクッション側部に、シー
トバックを傾動可能に支持するリクライニング装置にお
いてその前端部を前記シートクッション側に引き起こし
可能に枢支されているベースの底部をシート前後方向に
所定長さ寸法にわたって嵌め込んで保持するように開口
側がガイド面として幅広に形成されてなる溝部をシート
前後方向に沿って形成するようにした受け部材を設ける
と共に、この受け部材の一端側で前記溝部と反対側の側
縁部分に、ベースの一部に軸支された引っ掛け用フック
が係止される引っ掛け部を形成するようにしたので、簡
単且つ安価な構成にもかかわらず、ベースの板厚方向で
のがた付きを受け部材のシート前後方向に沿って形成さ
れている溝部により適切且つ確実に防止することがで
き、更にベースのロックまたは引き起こし回動を可能と
する引っ掛け用フックの着脱もきわめて容易に行なえ、
該受け部材のフックによる摩耗やこれによるがた付き問
題も解決でき、更にフックを解除操作してシートバック
を前倒れさせる際の操作力も軽くし得る等といった実用
上種々優れた効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係るシートバック前倒れ式車両用シー
トの一実施例を示す要部構成の概略斜視図、第２図はそ
の概略側面図、第３図は受け部材の概略斜視図、第４図
（ａ），（ｂ）は溝部の異なる実施例を夫々示す概略断
面図、第５図は従来例を示す概略側面図、第６図はその
要部拡大図である。 図中、１……シートバック前倒れ式車両用シート、２…
…シートクッション、３……シートバック、４……前後
スライド機構、５……アッパーレール、10……リクライ
ニング装置、11……ベース、12……アーム、13……枢
軸、15……引っ掛け用フック、16……ロック解除用ワイ
ヤ、20……受け部材、21……溝部、21a……溝底部、21
b,21c……ガイド面、22……引っ掛け部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】シートクッション後端側でシートバックを
   傾動可能に支持するリクライニング装置を構成するベー
   スの前端部を、前記シートクッションに対し、引き起こ
   し可能に枢支し、且つ該ベースの一部に、常時はこのベ
   ースの後端側をシートクッション側に係止する係止手段
   を設けてなるシートバック前倒れ式車両用シートにおい
   て、前記シートクッションの側部側に、前記ベースの底
   部を嵌め込んで保持するように開口側をガイド面として
   幅広に形成してなる溝部をシートの前後方向に沿って形
   成してなる受け部材を設けると共に、この受け部材の一
   端側で前記溝部と反対側の側縁部分に、前記ベースの一
   部に軸支された引っ掛け用フックが係止される引っ掛け
   部を設けたことを特徴とするシートバック前倒れ式車両
   用シート。