JP3977590B2 - 格納シート - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、シートクッションと該シートクッションの後部に設けられたシートバックとからなり、ISOFIXに対応したチャイルドシートが装着可能で、前記シートバックの前傾に連動して、前記シートクッションも前下方に沈む込み、前記シートバックが前記シートクッション上に重畳されて格納状態となる格納シートに関する。
【0002】
【従来の技術】
図5は従来の格納シートの一例を示す図である。
図において、フロアF上には、フロントブラケット1とリアブラケット3とが固着されている。
【0003】
一方、シート5のシートバック7はリアブラケット3に設けられたヒンジピン9を介して傾動可能に設けられている。
シートクッション11の前部には、下端側がフロントブラケット1に回転可能に取り付けられた逆「く」字形のフロントリンク13の上端部側が回転可能に取り付けられている。
【0004】
シートクッション11に一端部側が固着された略「L」字形のステイ15の他端部は、シートバック7に回転可能に取り付けられている。
よって、フロアF,フロントブラケット1,リアブラケット3と、フロントリンク13と、シートクッション11,ステイ15と、シートバック7とで四節回転機構が形成されている。
【0005】
尚、図5に示す使用状態では、シートバック7の傾動を禁止する図示しないリクライニング機構により、四節回転機構の動作が禁止されている。
次に、図5に示すシートの格納状態を示す図6も参照して動作の説明を行う。
【0006】
図5に示す状態、すなわち、着座可能な状態(以下、使用状態という)から、リクライニングロック機構をロック解除し、シートバック7を前傾させると、シートバック7の前傾に連動してシートクッション11が前下方に沈む込み、シートバック7がシートクッション11に重畳された図6の状態となる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
チャイルドシートの誤使用防止、車両適合性の向上、取り付け方法の国際的な統一を目的としたISO(国際標準化機構)規格のチャイルドシート固定方法(ISOFIX)が平成11年1月に決定された。
【0008】
本規格の最大の特長は、車両への確実かつ容易な固定機構であり、図7に示すように、シートバック7とシートクッション11との間に、アンカ31を設け、チャイルドシート33側にアンカ31に係脱可能なロック機構35を設けている。
【0009】
また、ISOFIXに対応したチャイルドシートを装着した場合、ISOFIXでは、静的強度要件も規定されている。
すなわち、ISOFIXで規定された静的荷重負荷装置(Staticforce application device:S−FAD)をシートのアンカに係合させ、静的荷重負荷装置の荷重負荷点に、規定された前方向の静荷重を加えた場合、荷重負荷点Aでの変位が規定されている。
【0010】
しかし、図5に示すような構成の格納シート5にアンカを設け、静的荷重負荷装置37をセットし、荷重負荷点Aに前方向の静荷重Fを加えた場合、フロントリンク13には、曲げモーメントMが発生する。
【0011】
この場合、フロントリンク13が座屈したり、フロントリンク13が下部を支点として回転したりして、シートクッションが移動し、IOSFIXに規定された負荷点Aでの変位目標を達成できない場合がある。
【0012】
図5に示す構造で、上記変位目標を達成するためには、フロントリンク13およびシートクッション11のフレームの剛性をアップすることが必要となり、シートの重量が大幅に増加する問題点がある。
【0013】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、その課題は、シートの重量が大幅に増加せず、ISOFIXの静的強度要件を満足できる格納シートを提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決する請求項1記載の発明は、シートクッションと該シートクッションの後部に設けられたシートバックとからなり、ISOFIXに対応したチャイルドシートが装着可能で、前記シートバックの前傾に連動して、前記シートクッションも前下方に沈む込み、前記シートバックが前記シートクッション上に重畳されて格納状態となる格納シートにおいて、シートバックを傾動可能とするリクライニング機構と、下端部側がフロア側に回転可能に取り付けられたフロントリンクと、該フロントリンクの上端側に前端側が回転可能に取り付けられ、前記シートバックが傾動すると、前記フロントリンクも同じ方向に傾動するように後端側が前記シートバックに回転可能に取り付けられたクッションフレームと、一端部が前記シートバック側に回転可能に取り付けられ、他端部側が前記フロントリンクの中間部に回転可能に取り付けられたロングリンクとを備え、前記ロングリンクと前記フロントリンクとは、前記ロングリンク、前記フロントリンクのいずれか一方にピンを設け、他方に前記ピンが嵌合する長穴を設けた取り付けとし、前記ロングリンクは、着座可能な状態では、前記ピンが前記長穴の一端部に常時当接するような形状に設定されていることを特徴とする格納シートである。
【0017】
ロングリンクを設けたことにより、さらにこのロングリンクと前記フロントリンクとは、前記ロングリンク、前記フロントリンクのいずれか一方にピンを設け、他方に前記ピンが嵌合する長穴を設けた取り付けとし、前記ロングリンクは、着座可能な状態では、前記ピンが前記長穴の一端部に常時当接するような形状に設定されていることにより、ISOFIX対応のチャイルドシートを装着し、前方向の荷重が作用した場合においても、フロントリンクが座屈しにくくなり、フロントリンクの下部支点を中心とした回転も禁止されるので、ISOFIXの静的強度要件を満足し、また、フロントリンクやシートクッションのフレームの剛性をアップすることが不要となり、シートの重量が大幅に増加することもなくなる。
【0018】
請求項2記載の発明は、シートクッションと該シートクッションの後部に設けられたシートバックとからなり、ISOFIXに対応したチャイルドシートが装着可能で、前記シートバックの前傾に連動して、前記シートクッションも前下方に沈む込み、前記シートバックが前記シートクッション上に重畳されて格納状態となる格納シートにおいて、シートバックを傾動可能とするリクライニング機構と、下端部側がフロア側に回転可能に取り付けられたフロントリンクと、該フロントリンクの上端側に前端側が回転可能に取り付けられ、前記シートバックが傾動すると、前記フロントリンクも同じ方向に傾動するように後端側が前記シートバックに回転可能に取り付けられたクッションフレームと、一端部が前記シートバック側に回転可能に取り付けられ、他端部側が前記フロントリンクの中間部に回転可能に取り付けられたロングリンクとを備え、前記ロングリンクと前記シートバック側とは、前記ロングリンク、前記シートバック側のいずれか一方にピンを設け、他方に前記ピンが嵌合する長穴を設けた取り付けとし、前記ロングリンクは、着座可能な状態では、前記ピンが前記長穴の一端部に常時当接するような形状に設定されていることを特徴とする格納シートである。
【0019】
ロングリンクを設けたことにより、さらに、このロングリンクと前記シートバック側とは、前記ロングリンク、前記シートバック側のいずれか一方にピンを設け、他方に前記ピンが嵌合する長穴を設けた取り付けとし、前記ロングリンクは、着座可能な状態では、前記ピンが前記長穴の一端部に常時当接するような形状に設定されていることにより、ISOFIX対応のチャイルドシートを装着し、前方向の荷重が作用した場合においても、フロントリンクが座屈しにくくなり、フロントリンクの下部支点を中心とした回転も禁止されるので、ISOFIXの静的強度要件を満足し、また、フロントリンクやシートクッションのフレームの剛性をアップすることが不要となり、シートの重量が大幅に増加することもなくなる。
【0020】
【発明の実施の形態】
次に図面を用いて本発明の実施の形態例を説明する。図1は実施の形態例の格納シートの側面構成図、図2は図1の切断線A−Aでの切断図である。
【0021】
これらの図に示すように、シートトラック100がフロア上に配設されている。このシートトラック100は、フロア上にフロントブラケット110,リアブラケット111を用いて固設されるロアレール120と、このロアレール120に移動可能に係合するアッパレール130とからなっている。
【0022】
アッパレール130上には、第1および第2のブラケット133,135が設けられている。
シートの背もたれ、すなわち、シートバック300はリクライニング機構200を介して、第2ブラケット135に設けられ、このリクライニング機構200を操作することにより、シートバック300は傾動可能となっている。
【0023】
尚、本実施の形態例のリクライニング機構200は、ヒンジピン210に対して回転可能に設けられた二枚のアーム、すなわち、シートバック300側に取り付けられたアッパアーム220と、第2ブラケット135側に取り付けられた図示しないロアアームとを有し、これらアッパアーム220とロアアームとの相対移動を図示しないロック機構により禁止/許可することにより、シートバック300の傾動を禁止/許可するものである。
【0024】
また、図1に示す状態は、着座可能な状態におけるシートバック300の最前傾状態を示し、最後傾状態は、図3に示す状態である。
シートバック300には、シートの座面であるシートクッション400の主たるフレームであるクッションフレーム410の後端側がシートバック300の両側に橋渡しされたバー411に回転可能に取り付けられている。
【0025】
尚、このバー411にISOFIX対応のチャイルドシート取付用のアンカ413が固着されている。
クッションフレーム410の前端側には、ブラケット420が設けられ、このブラケット420には、フロントリンク430の上端側がピン431を用いて回転可能に取り付けられている。
【0026】
このフロントリンク430の下端側は、ピン433を用いて第1ブラケット133の前端側に回転可能に取り付けられている。
よって、第1ブラケット133,第2ブラケット135と、フロントリンク430と、クッションフレーム410と、シートバック300とで、四節回転機構が形成されている。
【0027】
さらに、一端部がシートバック側、本実施の形態例では、リクライニング機構200のアッパアーム220には、ピン451を用いてロングリンク450が回転可能に取り付けられている。
【0028】
このロングリンク450の他方端部側には、長穴453が形成され、この長穴453には、フロントリンク430に設けられたピン455が嵌合している。
そして、このロングリンク450の形状は、格納シートの使用状態では、図1および図3に示すように、フロントリンク430のピン455が長穴453の一端部に常時当接するような形状に設定され、フロントリンク430の前倒れを禁止するストッパ手段として機能するようになっている。
【0029】
次に、上記構成の動作を説明する。
図1および図3に示すような着座可能な状態から、リクライニング機構200を操作して、シートバック300を前方へ傾動させると、シートバック300の前傾に連動して、クッションフレーム410が前下方に沈む込み、シートバック300がシートクッション400に重畳された図4の状態となる。
【0030】
上記構成によれば、ロングリンク450を設け、さらに、ロングリンク450の形状は、格納シートの使用状態では、図1および図3に示すように、フロントリンク430のピン455が長穴453の一端部に常時当接するような形状に設定されていることにより、ISOFIX対応のチャイルドシートを装着し、前方向の荷重が作用した場合においても、フロントリンク430が座屈しにくくなり、フロントリンク430の下部支点であるピン433を中心とした回転も禁止されるので、ISOFIXの静的強度要件を満足し、また、フロントリンク430やクッションフレーム410の剛性をアップすることが不要となり、シートの重量が大幅に増加することもなくなる。
【0031】
尚、本発明は上記実施の形態例に限定されたものではない。上記実施の形態例では、フロントリンク430とロングリンク450との取り付けを、フロントリンク430にピン455を設け、ロングリンク450側に長穴453を設けたが、逆に、フロントリンク430に長穴を設け、ロングリンク450にこの長穴に嵌合するピンを設けてもよい。
【0032】
さらに、上記構成では、長穴とピンとをフロントリンク430側に設けたが、シートバック300側に設けたもよい。すなわち、図1の構成で、シートバック300側に設けられるリクライニング機構200のアッパアーム220側にピン451が嵌合する長穴を設け、この長穴を格納シートの使用状態ではピン451が長穴の一端部に常時当接する形状とする。
【0033】
さらに、長穴とピンをシートバック300側に設ける場合、ピンをリクライニング機構200のアッパアームに設け、長穴をロングリンク450のシートバック側の端部側に設けてもよい。
【0034】
さらに、上記実施の形態例では、長穴とピンとの構成で説明を行ったが、長穴の代わりにフックでもよいし、ピンの代わりに部材を切り起こした突部や部材を塑性加工したダボであってもよい。
【0035】
【発明の効果】
以上述べたように請求項1記載の発明によれば、ロングリンクを設けたことにより、さらにこのロングリンクと前記フロントリンクとは、前記ロングリンク、前記フロントリンクのいずれか一方にピンを設け、他方に前記ピンが嵌合する長穴を設けた取り付けとし、前記ロングリンクは、着座可能な状態では、前記ピンが前記長穴の一端部に常時当接するような形状に設定されていることにより、ISOFIX対応のチャイルドシートを装着し、前方向の荷重が作用した場合においても、フロントリンクが座屈しにくくなり、フロントリンクの下部支点を中心とした回転も禁止されるので、ISOFIXの静的強度要件を満足し、また、フロントリンクやシートクッションのフレームの剛性をアップすることが不要となり、シートの重量が大幅に増加することもなくなる。
【0037】
請求項2記載の発明によれば、ロングリンクを設けたことにより、さらに、このロングリンクと前記シートバック側とは、前記ロングリンク、前記シートバック側のいずれか一方にピンを設け、他方に前記ピンが嵌合する長穴を設けた取り付けとし、前記ロングリンクは、着座可能な状態では、前記ピンが前記長穴の一端部に常時当接するような形状に設定されていることにより、ISOFIX対応のチャイルドシートを装着し、前方向の荷重が作用した場合においても、フロントリンクが座屈しにくくなり、フロントリンクの下部支点を中心とした回転も禁止されるので、ISOFIXの静的強度要件を満足し、また、フロントリンクやシートクッションのフレームの剛性をアップすることが不要となり、シートの重量が大幅に増加することもなくなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態例の格納シートの側面構成図である。
【図2】図1の切断線A−Aでの切断図である。
【図3】図1の格納シートにおいて、使用状態でのシートバックの最後傾状態を示す図である。
【図4】図1の格納シートの格納状態を示す図である。
【図5】従来の格納シートの一例を示す図である。
【図6】図5の格納シートの格納状態を示す図である。
【図7】ISOFIX対応のチャイルドシートのシートへの取り付けを説明する図である。
【符号の説明】
100 シートトラック
200 リクライニング機構
300 シートバック
410 クッションフレーム
430 フロントリンク
450 ロングリンク
453 長穴
455 ピン
Claims (2)
- シートクッションと該シートクッションの後部に設けられたシートバックとからなり、ISOFIXに対応したチャイルドシートが装着可能で、前記シートバックの前傾に連動して、前記シートクッションも前下方に沈む込み、前記シートバックが前記シートクッション上に重畳されて格納状態となる格納シートにおいて、
シートバックを傾動可能とするリクライニング機構と、
下端部側がフロア側に回転可能に取り付けられたフロントリンクと、
該フロントリンクの上端側に前端側が回転可能に取り付けられ、前記シートバックが傾動すると、前記フロントリンクも同じ方向に傾動するように後端側が前記シートバックに回転可能に取り付けられたクッションフレームと、
一端部が前記シートバック側に回転可能に取り付けられ、他端部側が前記フロントリンクの中間部に回転可能に取り付けられたロングリンクとを備え、
前記ロングリンクと前記フロントリンクとは、
前記ロングリンク、前記フロントリンクのいずれか一方にピンを設け、他方に前記ピンが嵌合する長穴を設けた取り付けとし、
前記ロングリンクは、着座可能な状態では、前記ピンが前記長穴の一端部に常時当接するような形状に設定されていることを特徴とする格納シート。 - シートクッションと該シートクッションの後部に設けられたシートバックとからなり、ISOFIXに対応したチャイルドシートが装着可能で、前記シートバックの前傾に連動して、前記シートクッションも前下方に沈む込み、前記シートバックが前記シートクッション上に重畳されて格納状態となる格納シートにおいて、
シートバックを傾動可能とするリクライニング機構と、
下端部側がフロア側に回転可能に取り付けられたフロントリンクと、
該フロントリンクの上端側に前端側が回転可能に取り付けられ、前記シートバックが傾動すると、前記フロントリンクも同じ方向に傾動するように後端側が前記シートバックに回転可能に取り付けられたクッションフレームと、
一端部が前記シートバック側に回転可能に取り付けられ、他端部側が前記フロントリンクの中間部に回転可能に取り付けられたロングリンクとを備え、
前記ロングリンクと前記シートバック側とは、
前記ロングリンク、前記シートバック側のいずれか一方にピンを設け、他方に前記ピンが嵌合する長穴を設けた取り付けとし、
前記ロングリンクは、着座可能な状態では、前記ピンが前記長穴の一端部に常時当接するような形状に設定されていることを特徴とする格納シート。
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