JPH054425Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は車両用シートに関し、更に詳細に説明
すると、シートバツクフレームの一側部がリクラ
イニング機構のアームに、他側部がシートクツシ
ヨン側に設けられたヒンジブラケツトに支持さ
れ、前記アームとヒンジブラケツトとが水平方向
に延びる連結パイプにより連結され、通常時前後
傾動可能に支持された車両用シートに関する。

〔従来の技術〕

従来より、車両等のシートにおいては、着座者
の好みに応じてシートバツクの傾斜角度を調整し
得るリクライニング機構が知られている。このよ
うなリクライニング機構を備える車両用シートに
おいて、フロントシートの後方に設けられたリヤ
シート側等に荷物等を載置し、または載置されて
いる荷物等を取りたい場合にはリクライニング機
構を用いてシートバツクを後傾させて手を延ば
し、またはシートより立上がつて荷物等を取るよ
うになされている。

また本出願人が先に提案した「自動車用フロン
トシート」（実開昭61−95643号公報）に示されて
いる如く、シートバツク本体の一部に開口を設
け、この開口を閉蓋・開放する開閉体を回転可能
に枢支させ、必要に応じて開口を開放することに
よりリヤシートの着座者がフロントシートのシー
トクツシヨンに足を延ばして休息することが出来
るようにしたものであり、またフロントシートの
後方とリヤシート側とを連通状態とし、シートの
前方より後方へ、または後方より前方へ荷物等を
出し入れすることも出来るようになされている。

〔考案が解決しようとする問題点〕

従来の車両用シートにおいて、シートバツクを
前後傾動させるリクライニング機構を採用する場
合には、シートバツクの一側部を片持支持させ、
一側部を中心に回動させる構成とすることが出来
ず、上述せる如く、シートバツク本体の一部に開
口を形成し、開閉体をシートバツク本体の開口の
内周部に回転可能に枢支し、開口を開閉体により
閉蓋・開放させる構成であるため、フロントシー
トの着座者がリヤシート側に荷物を出し入れする
場合には開口を使用するため、荷物の出し入れに
際し、荷物の大きさに制限があり、またシートバ
ツク本体の存在により着座者が十分にリヤシート
側に身体を移動させることが出来ず不便なもので
あつた。更にシートバツクが分断されているため
部品点数が増大し、機構が複雑で経済性に欠ける
ものであつた。

本考案の目的は、構成が簡易で且つ操作を簡単
確実に行うことが出来、大きな荷物等のフロント
シート側よりリヤシート側への移動、またはリヤ
シート側よりフロントシート側への移動を簡易迅
速に行え、然もリクライニング機能を損なう虞れ
のない経済性に優れた車両用シートを提供するも
のである。

〔問題点を解決するための手段〕

本考案は上述せる問題点に鑑みてなされたもの
で、シートバツクフレームの一側部がリクライニ
ング機構のアームに、他側部がシートクツシヨン
側に設けられたヒンジブラケツトに支持され、前
記アームとヒンジブラケツトとが水平方向に延び
る連結パイプにより連結され、通常時前後傾動可
能に支持された車両用シートにおいて、前記アー
ムの上部に上下に一対の支持片を有する固定ブラ
ケツトが固着され、前記シートバツクフレームの
前記固定ブラケツトと対向する一側部にはコ字状
の凹部が形成され、前記固定ブラケツトの一対の
支持片にシートバツクフレームのコ字状の凹部が
上下方向に延びる軸に対して回動可能に枢支さ
れ、前記シートバツクフレームの他側部側の下部
はロツク機構を介して前記連結パイプに着脱自在
に取付けられ、該ロツク機構のロツクを解除する
ことにより、シートバツクを前記軸を中心に回動
し得るようになされている事を特徴とする。

〔作用〕

本考案の依れば、リクライニング機構のアーム
及びヒンジブラケツトによりシートバツクが前後
傾動自在となされていると共に、前記アームの上
部に上下に一対の支持片を有する固定ブラケツト
が固着され、前記シートバツクフレームの前記固
定ブラケツトと対向する一側部にはコ字状の凹部
が形成され、前記固定ブラケツトの一対の支持片
にシートバツクフレームのコ字状の凹部が上下方
向に延びる軸に対して回動可能に枢支され、前記
シートバツクフレームの他側部はロツク機構を介
して前記連結パイプに対して、着脱自在に取付け
られ、該ロツク機構のロツクを解除することによ
り、シートバツクを前記軸を中心に回動させ、フ
ロントシート側よりリヤシート側に、またはリヤ
シート側よりフロントシート側に荷物の出し入れ
が可能となり、作業も簡易迅速に行えるものであ
る。

〔実施例〕

以下本考案に係る車両用シートの一実施例を図
面を参照して詳述する。

第１図乃至第４図は、本考案に係る車両用シー
トの一実施例の概略が夫々示されており、この車
両用シート１はシートクツシヨン２の後端側でシ
ートバツク３がリクライニング機構５を介して前
後傾動可能に支持されている。

第４図に示す如く、シートバツク３の一側部が
リクライニング機構５のアーム７に、他側部がシ
ートクツシヨン２側に枢支されるヒンジブラケツ
ト８に支持されている。前記アーム７とヒンジブ
ラケツト８とは水平方向に延びる連結パイプ９に
より連結され、ベース６に対するアーム７の回動
及び回動規制がヒンジブラケツト８に伝達される
ようになされている。尚リクライニング機構５の
詳細説明はこれを省略するも、従来公知の種々の
ものを適用し得るものである。

第２図に示す如く、リクライニング機構５のア
ーム７には上下に一対の支持片１２，１２を有す
る固定ブラケツト１１が固着され、この固定ブラ
ケツト１１にシートバツクフレーム１３の一側部
１３ａが上下方向に延びる軸１５に対して回動可
能に枢支されている。シートバツクフレーム１３
の一側部１３ａにはコ字状の凹部１７が形成さ
れ、この凹部１７と前記固定ブラケツト１１の一
対の支持片１２，１２とに夫々形成された透孔１
８，１９に軸１５が挿通され、凹部１７の外側で
ナツト２１止めされている。尚スプリング２３が
軸１５に挿通され、該スプリング２３によりシー
トバツクフレーム１３が前方に付勢されている。

シートバツクフレーム１３の他側部１３ｂ側の
下部はロツク機構２５を介して前記連結パイプ９
に着脱自在に取付けられている。従つて、前記ロ
ツク機構２５を解除することにより、第３図に示
す如く、シートバツク３をシートバツクフレーム
１３の一側部１３ａ側の軸１５を中心として回動
させることが出来る。

即ちシートバツクフレーム１３の他側部１３ｂ
側の下部にはピン２７が下方に突出して形成さ
れ、このピン２７がロツク機構２５のロツク片３
４に係止される。第１図、第５図及び第６図に示
す如く、連結パイプ９のヒンジブラケツト８側の
上部にロツク機構２５のケーシング３１が固着さ
れ、このケーシング３１に横方向に摺動可能なロ
ツク部材２９が配設されている。ロツク部材２９
の一端はケーシング３１より外方に突出し、操作
ノブ３２に形成されている。ロツク部材２９には
フツク状のロツク片３４が形成され、該ロツク片
３４が通常時ロツク方向（矢印ａ方向）にスプリ
ング３６付勢されている。

第５図に実線図示の如く、ロツク片３４がシー
トバツクフレーム１３の他側部１３ｂ側の下部に
形成されたピン２７を係止している状態では、シ
ートバツクフレーム１３の一側部１３ａはリクラ
イニング機構５のアーム７に、他側部１３ｂはヒ
ンジブラケツト８に夫々連結された状態を保持
し、リクライニング機構５の作動により、シート
バツク３が前後傾動可能になされている。

この状態より、ロツク部材２９の操作ノブ３２
をスプリング３６の付勢に逆らつてケーシング３
１側（矢印ｂ方向）に押圧すると、第５図に一点
鎖線で示す如く、ピン２７とロツク片３４との係
止状態が解除され、シートバツクフレーム１３の
他側部１３ｂと連結パイプ９、即ちヒンジブラケ
ツト８との連結状態が解除され、シートバツク３
を第３図に点線図示の如く、リクライニング機構
５のアーム７に近接する位置に設けられた軸１５
を中心にスプリング２３に抗して回動させること
が出来る。

また、第３図に点線図示の状態より通常の着座
状態に戻す場合には、軸１５の外周に挿通させた
スプリング２３の付勢力により復帰すると共に、
ピン２７がロツク片３４の外側斜面３４ａに当接
し、ロツク部材２９を多少ロツク解除方向（矢印
ｂ方向）に押圧し、ロツク片３４の先端３４ｂを
乗越えた時点でピン２７がロツク部材２９のロツ
ク片３４により係止される。従つてリクライニン
グ機構５のアーム７の回動が連結パイプ９を介し
てヒンジブラケツト８に伝達され、且つピン２７
とロツク機構２５のロツク片３４との連結係止に
より、シートバツクフレーム１３がアーム７とヒ
ンジブラケツト８とにより支持された状態を保持
することとなる。

〔考案の効果〕

以上が本考案に係る車両用シートの一実施例の
構成であるが、斯る構成に依れば、リクライニン
グ機構によりシートバツクを前後傾動させ得ると
共に、リクライニング機構のアームの上部に上下
に一対の支持片を有する固定ブラケツトを固着
し、この固定ブラケツトの一対の支持片にシート
バツクフレームの一側部のコ字状の凹部を回動自
在に支持し、他側部側に設けたピンを連結パイプ
に設けたロツク機構のロツク部材に着脱自在に係
止させたので、ロツク機構を解除することにより
シートバツクを前記軸を中心に回動させることが
出来、フロントシート及びリヤシート間の荷物の
出し入れを容易に行え、着座者の移動も可能であ
り、更に機構が簡易で経済性に優れた車両用シー
トを得ることが出来る。

【図面の簡単な説明】

第１図乃至第６図は本考案に係る車両用シート
の一実施例の概略を夫々示すもので、第１図はシ
ートバツクとリクライニング機構との関係を示す
分解斜視図、第２図はフレーム構成を示す分解斜
視図、第３図はシートの平面図、第４図はリクラ
イニング機構とヒンジブラケツトとの関係を示す
斜視図、第５図及び第６図はロツク機構の一実施
例を夫々示す平面説明図及び正面説明図である。 図中、１……車両用シート、２……シートクツ
シヨン、３……シートバツク、５……リクライニ
ング機構、６……ベース、７……アーム、８……
ヒンジブラケツト、９……連結パイプ、１１……
固定ブラケツト、１３……シートバツクフレー
ム、１５……軸、２５……ロツク機構、２７……
ピン、２９……ロツク部材、３４……ロツク片。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. シートバツクフレームの一側部がリクライニン
   グ機構のアームに、他側部がシートクツシヨン側
   に設けられたヒンジブラケツトに支持され、前記
   アームとヒンジブラケツトとが水平方向に延びる
   連結パイプにより連結され、通常時前後傾動可能
   に支持された車両用シートにおいて、前記アーム
   の上部に上下に一対の支持片を有する固定ブラケ
   ツトが固着され、前記シートバツクフレームの前
   記固定ブラケツトと対向する一側部にはコ字状の
   凹部が形成され、前記固定ブラケツトの一対の支
   持片にシートバツクフレームのコ字状の凹部が上
   下方向に延びる軸に対して回動可能に枢支され、
   前記シートバツクフレームの他側部側の下部はロ
   ツク機構を介して前記連結パイプに着脱自在に取
   付けられ、該ロツク機構のロツクを解除すること
   により、シートバツクを前記軸を中心に回動し得
   るようになされている事を特徴とする車両用シー
   ト。