JP3210891B2

JP3210891B2 - 自動車用シートの展開構造

Info

Publication number: JP3210891B2
Application number: JP29349997A
Authority: JP
Inventors: 雅章遠山
Original assignee: Daihatsu Motor Co Ltd
Current assignee: Daihatsu Motor Co Ltd
Priority date: 1997-10-09
Filing date: 1997-10-09
Publication date: 2001-09-25
Anticipated expiration: 2017-10-09
Also published as: JPH11115587A

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、シートバックをシ
ートクッションの前側に配設可能とさせて、これらの各
上面をほぼ平坦な荷物用の載置面にできるようにした自
動車用シートの展開構造に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】自動車では、通常、その車室にシートが
設けられ、このシートは車室フロアに支持されたほぼ水
平姿勢のシートクッションと、このシートクッションの
後端部から上方に向って突出する起立姿勢のシートバッ
クとを備えている。

【０００３】ところで、上記シートに乗員が着座しない
場合には、このシートの上側の空間を利用して、荷物を
置きたいことがあるが、上記シートのシートクッション
の上面（着座面）は狭いために、大きい荷物を置くこと
ができないという不都合がある。

【０００４】そこで、例えば、実開平４‐３５９３０号
公報で示されるように、上記シートバックを後方回動可
能とさせ、この回動で、シートバックを上記シートクッ
ションの後側に配設させると共に、これらの各上面を互
いにほぼ面一にさせ、このようにしたシートの上面を荷
物用の載置面として大きい荷物を置くことができるよう
にさせることが考えられる。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかし、上記従来の構
成によれば、シートバックを後方に回動させると、この
シートバックにより、例えば、このシートの後側に位置
する他のシート周りの車室の空間が無用に狭められるこ
ととなり、上記他のリヤシートへの着座が阻害されると
いう不都合を生じるおそれがある。

【０００６】また、自動車がトラックであって、シート
の後方近傍に車室の後壁が位置する場合には、上記後壁
に阻まれてシートバックを後方に回動させることができ
ず、よって、このようなトラックでは、シートの上面を
利用して大きい荷物を置くということはできないおそれ
がある。

【０００７】本発明は、上記のような事情に注目してな
されたもので、トラックを含む自動車において、乗員が
着座しない場合のシートの上面を利用して大きい荷物を
置くことができるようにし、かつ、このようにした場合
でも、車室の他の空間が無用に狭められないようにする
ことを課題とする。

【０００８】

【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
の本発明の自動車用シートの展開構造は、車室フロア２
に支持されたほぼ水平姿勢のシートクッション１２と、
このシートクッション１２の後端部の上方に位置して起
立姿勢とされるシートバック１３とを備えた自動車用シ
ートにおいて、

【０００９】上記シートクッション１２の後端部に第１
ヒンジ１６により枢支されて前後に回動自在とされる回
動アーム１７を設け、この回動アーム１７の回動端部に
第２ヒンジ１８により上記シートバック１３の上端部を
枢支させて上記第２ヒンジ１８を中心として上記シート
バック１３の下部側を前後に回動自在とさせ、上記第１
ヒンジ１６を中心とした上記回動アーム１７の前方回動
（図２中矢印Ａ）と、上記第２ヒンジ１８を中心とした
上記シートバック１３の下部側の前方回動（図２中矢印
Ｂ）とにより、このシートバック１３が上記シートクッ
ション１２の前側に配設可能とされ、かつ、この配設
で、上記シートクッション１２とシートバック１３の各
上面が互いにほぼ面一となるようにしたものである。

【００１０】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
により説明する。

【００１１】図１において、符号１は乗用車やワンボッ
クスカーの自動車の車体であって、矢印Ｆｒは、この自
動車の前方を示している。

【００１２】上記車体１は板金製の車室フロア２を有
し、この車室フロア２の上側の空間が車室３とされてい
る。また、この車室３の前部が運転室４で、後部が客室
５もしくは荷室とされている。

【００１３】上記運転室４には、左右一対のシート７，
８が設けられ、これらのうち、一方のシート７が運転乗
員用シートとされ、他方のシート８が助手乗員用シート
とされている。これら両シート７，８の間における車室
フロア２の部分にトンネル９が形成され、このトンネル
９にパーキングブレーキレバー１０が取り付けられてい
る。

【００１４】上記各シート７，８は、上記車室フロア２
に脚部１１により支持されたほぼ水平姿勢のシートクッ
ション１２と、このシートクッション１２の後端部の上
方に位置して「起立姿勢」とされるシートバック１３と
を備えている。

【００１５】上記助手乗員用のシート８では、上記シー
トクッション１２の後端部にそれぞれ第１ヒンジ１６に
より枢支されて前後に回動自在とされる左右一対の回動
アーム１７，１７が設けられている。この回動アーム１
７，１７の各回動端部にそれぞれ第２ヒンジ１８により
上記シートバック１３の上端部が枢支され、このシート
バック１３の下部側が上記各第２ヒンジ１８を中心とし
て前後に回動自在とされている。

【００１６】図１中実線で示すように、上記回動アーム
１７が第１ヒンジ１６側から上方に向って突出した「起
立姿勢」のとき、上記回動アーム１７がそれ以上に後方
回動することを阻止する第１ストッパ２０が設けられ、
また、この状態で、上記「起立姿勢」のシートバック１
３の下部側がそれ以上に後方回動することを阻止する第
２ストッパ２１が設けられている。

【００１７】上記シートバック１３と回動アーム１７と
が共に上記した「起立姿勢」であるとき、上記シート８
が「着座可能な姿勢」とされる。つまり、このシート８
におけるシートクッション１２の上面の着座面１２ａに
乗員が腰掛け可能であると共に、この着座面１２ａに腰
掛けた乗員がシートバック１３の前面の背もたれ面１３
ａに背もたれ可能とされている。また、この場合、上記
シートクッション１２の前側の車室３の一部である空間
は、上記のようにシート８に着座した乗員のひざ下の脚
部や足置き用の空間３ａとされる。

【００１８】上記した第２ストッパ２１により上記シー
トバック１３の下部側の後方回動が阻止されたとき、そ
の阻止状態のままにロック可能とする不図示のロック手
段が設けられ、このロック手段を操作して、そのロック
動作を解除可能とするロック解除操作レバー２２が上記
回動アーム１７に前後回動自在に枢支されている。

【００１９】上記シートバック１３の後面には脚２４が
回動自在に枢支されており、上記シートバック１３の
「起立姿勢」では、上記脚２４は上記シートバック１３
の後面に接合させられて、この状態で、このシートバッ
ク１３に係脱自在に係止されている。また、上記シート
バック１３の下端面には、その車幅方向の中央部に手掛
け用の手掛け凹部２５が形成されている。

【００２０】図１中実線で示した上記シート８の「着座
可能な姿勢」から、図２中矢印Ａで示すように、第１ヒ
ンジ１６を中心として上記シートバック１３と各回動ア
ーム１７とを前方回動させ、かつ、上記ロック解除操作
レバー２２の操作によりロック手段のロック動作を解除
させ、更に、上記手掛け凹部２５に手を掛けることによ
り、同上図２中矢印Ｂで示すように、第２ヒンジ１８を
中心としてシートバック１３の下部側を前方回動させ
る。

【００２１】また、図２で示した以上に上記シートバッ
ク１３と各回動アーム１７とを共に、更に前方回動させ
ると、図１中二点鎖線で示すように、上記シートバック
１３が上記シートクッション１２の前側の前記空間３ａ
に配設可能とされている。また、このように配設した
際、上記各回動アーム１７のそれ以上の前方（下方）回
動を阻止する第３ストッパ２７が設けられている。

【００２２】そして、上記したように、前方回動が阻止
された各回動アーム１７と、下方に回動させられて上記
車室フロア２上に支持された前記脚２４とにより、上記
シートバック１３が上記車室フロア２上に支持され、こ
れにより、上記シートクッション１２の上面である着座
面１２ａと、この際に上記シートバック１３の上面とな
る背もたれ面１３ａとが互いにほぼ面一となり、これら
着座面１２ａと背もたれ面１３ａとにより、ほぼ水平に
連続的に延びる平坦な広い面が形成され、この平坦面が
荷物用の載置面として利用可能となる。

【００２３】上記状態から、上記シート８を再び「着座
可能な姿勢」とさせるときには、上記シートバック１
３、回動アーム１７、および脚２４を上記と逆に回動
（図２中矢印Ａ，Ｂと逆の回動）させればよい。

【００２４】ところで、上記したシートクッション１２
の前側の空間３ａは、シート８に着座した乗員により足
置き用として利用されるものであるため、シート８に着
座しないときには余剰の空間となる。

【００２５】そこで、上記シート８に着座しないときの
上記した余剰の空間３ａを利用して、上記したようにシ
ートバック１３をシートクッション１２の前側に配設可
能としたのであり、このため、このように配設したシー
トバック１３が、このシート８周りの車室３の空間を無
用に狭めるということは回避される。

【００２６】また、前記した広い荷物用の載置面は、シ
ートバック１３の利用により得られるのであって、別途
の部品は不要であることから、上記載置面は簡単な構成
によって得られることとなる。

【００２７】また、上記載置面を得ようとして、シート
バック１３を前方回動させたとき、このシートバック１
３は上記シートクッション１２の上側には存在しなくな
り、かつ、このシートクッション１２の上側の空間は、
前記客室５に向けて後方に開放されており、このため、
上記シートクッション１２とシートバック１３のそれぞ
れの上側の空間に加えてその後方の客室５を利用すれ
ば、上記載置面には、より大きな荷物を載置させること
ができる。

【００２８】上記の場合、自動車がトラックであって、
上記シート８の後方近傍に車室３の後壁が位置する場合
には、上記後壁に阻まれてシートバック１３の後方への
回動はできないが、上記したように、シートクッション
１２の前側の空間３ａを利用して上記シートバック１３
を上記シートクッション１２の前側に配設可能としたた
め、上記したトラックの場合にも、シートクッション１
２とシートバック１３との各上面により、平坦で広い荷
物用の載置面が形成されることとなる。

【００２９】なお、以上は図示の例によるが、上記実施
の形態とは逆に、第２ストッパ２１を回動アーム１７側
に設け、ロック解除操作レバー２２をシートバック１３
側に設けてもよい。このようにした場合には、上記ロッ
ク解除操作レバー２２への操作により、前記ロック手段
のロック動作を解除したそのままで、シートバック１３
をシートクッション１２の前方に移動させることができ
る。

【００３０】また、上記第１ヒンジ１６に拘束機構を設
け、上記第１ヒンジ１６回りの回動アーム１７の回動を
所望回動姿勢で拘束可能とさせてもよい。このようにす
れば、上記回動アーム１７と共に回動するシートバック
１３に所望の背もたれ角度を得ることができ、また、第
３ストッパ２７を削除することができて、シート８の構
成を簡単にできる。

【００３１】また、上記回動アーム１７と脚２４とをリ
ンク機構で互いに連動連結させ、上記回動アーム１７の
前方回動で、上記脚２４が自動的に下方回動して、この
脚２４により、上記シートクッション１２の前側に配設
されるシートバック１３を車室フロア２上に自動的に支
持させるようにしてもよい。

【００３２】

【発明の効果】本発明によれば、車室フロアに支持され
たほぼ水平姿勢のシートクッションと、このシートクッ
ションの後端部の上方に位置して起立姿勢とされるシー
トバックとを備えた自動車用シートにおいて、

【００３３】上記シートクッションの後端部に第１ヒン
ジにより枢支されて前後に回動自在とされる回動アーム
を設け、この回動アームの回動端部に第２ヒンジにより
上記シートバックの上端部を枢支させて上記第２ヒンジ
を中心として上記シートバックの下部側を前後に回動自
在とさせ、上記第１ヒンジを中心とした上記回動アーム
の前方回動と、上記第２ヒンジを中心とした上記シート
バックの下部側の前方回動とにより、このシートバック
が上記シートクッションの前側に配設可能とされ、か
つ、この配設で、上記シートクッションとシートバック
の各上面が互いにほぼ面一となるようにしてある。

【００３４】このため、上記シートに乗員が着座しない
場合には、回動アームとシートバックとをそれぞれ前方
回動させて、このシートバックを上記シートクッション
の前側に配設させれば、これらシートクッションとシー
トバックとの各上面により、平坦で広い荷物用の載置面
が形成されることとなる。

【００３５】よって、シートの上面である上記載置面を
利用することにより、大きい荷物を置くことができる。
また、この場合、シートクッション上に置いた小さな荷
物が、走行中の振動等で、このシートクッションの前側
の空間に落ち込むということは、上記シートバックによ
って防止されるため、この荷物は安定した状態で置くこ
とができる。

【００３６】ところで、上記したシートクッションの前
側の空間は、シートに着座した乗員により足置き用とし
て利用されるものであるため、シートに着座しないとき
には余剰の空間となる。

【００３７】そこで、上記シートに着座しないときの上
記した余剰空間を利用して、上記したようにシートバッ
クをシートクッションの前側に配設可能としたのであ
り、このため、上記のように配設したシートバックが、
このシート周りの車室の空間を無用に狭めるということ
は回避される。

【００３８】よって、上記したように荷物用の載置面と
して利用されるときのシートバックは、例えば、このシ
ートの後方の他のシートであるリヤシートの周りの空間
に侵入するということはないため、前記したように、シ
ートの上面を利用して大きい荷物を置くことができるよ
うにした場合でも、他のシートへの着座は支障なくでき
ることとなる。

【００３９】また、上記の場合、自動車がトラックであ
って、上記シートの後方近傍に車室の後壁が位置する場
合には、上記後壁に阻まれてシートバックの後方への回
動はできないが、上記したように、シートクッションの
前側の空間を利用して上記シートバックを上記シートク
ッションの前側に配設可能としたため、上記したトラッ
クの場合にも、シートクッションとシートバックとの各
上面により、平坦で広い荷物用の載置面が形成されるこ
ととなる。

【図面の簡単な説明】

【図１】シートの斜視図である。

【図２】シートの斜視作用説明図である。

【符号の説明】

１車体２車室フロア３車室３ａ空間４運転室５客室８シート１２シートクッション１２ａ着座面１３シートバック１３ａ背もたれ面１６第１ヒンジ１７回動アーム１８第２ヒンジ

Claims

(57)【特許請求の範囲】

【請求項１】車室フロアに支持されたほぼ水平姿勢の
シートクッションと、このシートクッションの後端部の
上方に位置して起立姿勢とされるシートバックとを備え
た自動車用シートにおいて、上記シートクッションの後端部に第１ヒンジにより枢支
されて前後に回動自在とされる回動アームを設け、この
回動アームの回動端部に第２ヒンジにより上記シートバ
ックの上端部を枢支させて上記第２ヒンジを中心として
上記シートバックの下部側を前後に回動自在とさせ、上
記第１ヒンジを中心とした上記回動アームの前方回動
と、上記第２ヒンジを中心とした上記シートバックの下
部側の前方回動とにより、このシートバックが上記シー
トクッションの前側に配設可能とされ、かつ、この配設
で、上記シートクッションとシートバックの各上面が互
いにほぼ面一となるようにした自動車用シートの展開構
造。