JPS63500Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、大型トラツクのアシスタントシート
等を構成する自動車用シートの支持装置に関する
ものである。

大型トラツク等の側方直接視界を拡大させるた
めには、アシスタントシート側のドアの本体部等
に透視窓を設けることが有効であるとされてい
る。ところが、側方直接視界をより大きくすべく
この透視窓を拡大した場合は、アシスタントシー
トのシートクツシヨンが透視窓を通しての視界内
に突出するので視界の拡大効果が半減してしま
う。

これを予防するには、アシスタントシートを前
記視界外にあらかじめ設置し、あるいは、アシス
タントシートを前後に移動させて必要時にのみ視
界を拡大させることが考えられる。

ところが、前者のようにアシスタントシートを
あらかじめ視界外に設けた場合は、該シートとダ
ツシユボードとの間隔が大きくなり過ぎてアシス
タントシートの居住性及び安全性が損われる欠点
があると共に、空間の利用効率が低下する。又、
後者のようにアシスタントシートを前後に移動さ
せるようにした場合は、支持装置の構成が複雑と
なると同時に、シートの後方に移動スペースを確
保する必要があるのでこの場合にも空間の利用効
率が低下する。

本考案は、上記に鑑みてなされたものであつ
て、アシスタントシート等を従来と同様の位置に
設置してその居住性及び安全性を確保させつつ、
ワンマン乗車時のようにドライバーが側方を直接
視認する必要がある時は視界の防げとなるシート
クツシヨン部を実質的に視界外まで跳ね上げ回動
させることにより、格別な移動スペースを必要と
することなく透視窓を通しての側方視界を確保さ
せることを目的とする。

以下に本考案を図示された一実施例について説
明する。

斯る目的を達成するために本考案では、シート
クツシヨンにシートバツクの下端部を前傾可能に
枢着して構成したシートを跳ね上げ回動自在に支
持する装置において、フロアに固定したロアブラ
ケツトに前記シートを支持するアツパブラケツト
の後端部を跳ね上げ回動自在に枢着すると共に、
前記フロアブラケツトの両側壁に構成した前後方
向に沿うガイド溝にロツクレバーを前後摺動自在
に遊着している。又、前記アツパブラケツトに装
着した左右方向に沿う枢軸の両端部と前記ロツク
レバーの両端部とをそれぞれリンク杆を介して枢
支結合し、前記ロツクレバーを後方に摺動付勢さ
せてアツパブラケツトを跳ね上げ回動付勢させる
スプリングを設ける一方、該スプリングに抗して
前記ロツクレバーを係止してアツパブラケツトを
略水平な着座位置に係合保持させるロツク溝を前
記ガイド溝の前端部に形成して自動車用のシート
の支持装置を構成している。

このような構成としているために、シートバツ
クを前傾作動させた状態でロアブラケツトの両側
壁に形成されている前後方向に沿うガイド溝の前
端部に形成されているロツク溝からロツクレバー
を脱出操作すれば、スプリングによる付勢力を受
けてロツクレバーがガイド溝に沿つて後方に移動
する。すると、ロツクレバーにリンク杆を介して
枢支結合されている枢軸がアツパブラケツトとロ
アブラケツトとの枢着軸を中心として上方に回動
するために、シートを支持しているアツパブラケ
ツトが上昇回動してシートを跳ね上げ回動させ
る。尚、このようなシートの跳ね上げにさいして
は、シートバツクを予め前方に傾倒させていたの
で跳ね上げ角度を大きくすることができる。

又、スプリングに抗してロツクレバーをガイド
溝に沿つて前方に移動させてロツク溝に係合させ
ると、アツパブラケツトが略水平な着座位置に回
動係止されるのでシートクツシヨンの角度が通常
の状態（略水平な着座状態）に戻される。よつ
て、例えばシートクツシヨンを透視窓による視界
内に突出させた状態に取り付けて該シートの居住
性を確保しようとも、必要に応じてシートを後方
り大きく跳ね上げ回動させて前記透視窓による直
接視界を充分に拡大することができ、自動車の安
全性が向上する。

図において、１はトラツクのキヤブであつて、
アシスタントシート２側のドア３の本体部には側
方視界を確保するに充分な大きさの透視窓３ａを
設けている。尚、前記シート２は、シートクツシ
ヨン２ａにシートバツク２ｂをリクライナ２ｃを
介して装着することにより、シートバツク２ｂを
前方及び後方のいずれの方向にも傾倒させて所望
の位置に係止できるように構成されている。又、
前記シート２は、そのシートクツシヨン２ａの前
端部を前記透視窓３ａを通しての側方視界内に突
出させた位置に取り付けてその居住性及ぼ安全性
を確保している。尚、シート２の後方には仮眠ベ
ツド４を取り付けている。

ここに、前記シート２の支持装置は、キヤブ１
のフロア１ａに固定されたロアブラケツト５と、
このブラケツト５に後端部を跳ね上げ回動自在に
枢着したアツパブラケツト６とで構成され、アツ
パブラケツト６にシートクツシヨン２ａを固定し
ている。７は両ブラケツト５，６を枢支結合する
支軸である。

一方、前記ロアブラケツト５には、側方から見
て前方下位に傾斜するガイド溝８を前後方向に沿
つて設け、このガイド溝８にロツクレバー９を前
後摺動自在に遊着している。又、前記アツパブラ
ケツト６の略中央部に枢軸１０を設け、この枢軸
１０の両端部と前記ロツクレバー９の両端部とを
それぞれリンク杆１１を介して枢支結合してい
る。そして、前記ロツクレバー９とロアブラケツ
ト５に固定したアンカ軸１２との間にスプリング
１３を張設してロツクレバー９を後退付勢させる
ことにより、アツパブラケツト６を跳ね上げ回動
付勢させている。

又、前記ガイド溝８の前端部には後方に向つて
切込形成されたロツク溝１４を形成することによ
り、前記スプリング１３に抗してロツクレバー９
をガイド溝８の前端位置に係止してアツパブラケ
ツト６を略水平な着座位置に保持させるようにし
ている。

斯る構成の支持装置において、常時はスプリン
グ１３の張力によつてロツクレバー９をガイド溝
８の前端のロツク溝１４内に係合保持させ、アツ
パブラケツト６を略水平な正常位置に保持させて
いる。このために、アツパブラケツト６に固定さ
れたシートクツシヨン２ａも略水平な状態に保持
される。又、シートクツシヨン２ａを介してアツ
パブラケツト６に伝えられた荷重は、支軸７を介
してロアブラケツト５に伝達されると共に、支軸
１０から左右のリンク杆１１を介してロツク溝１
４内のロツクレバー９にも伝えられる。従つて、
ロツク溝１４内にロツクレバー９を安定良く係合
保持させるためには、前記荷重の方向、即ち、リ
ンク杆１１の延長線上にロツク溝１４の開口部を
位置させないことが必要である。

ワンマン乗車時などでドライバーが側方視界を
直接視認する必要がある時、即ち、アシスタント
シート２が空席になつている時は、まず、リクラ
イナ２ｃを操作してシートバツク２ｂを第１図に
二点鎖線で示すように前傾係止させる。次に、ス
プリング１３に抗してロツクレバー９をロツク溝
１４から外してガイド溝８の前端部内に位置させ
る。そして、このガイド溝８に沿つてロツクレバ
ー９を後退移動させると、ロツクレバー９に下端
が支持されたリンク杆１１が次第に立上りつつ押
し上げられるため、アツパブラケツト６は支軸７
を中心として次第に跳ね上げ回動される。する
と、前記のようにして前倒しにされたシートバツ
ク２ｂがシートクツシヨン２ａと共に次第に跳ね
上げ回動される。

このようにしてロツクレバー９をガイド溝８の
後端まで移動させると、第１図に一点鎖線で示し
たようにシートクツシヨン２ａが透視窓３ａの視
界外に跳ね上げ回動され、透視窓３ａを通しての
側方直接視界が確保される。

尚、前記のようなシートクツシヨン２ａの跳ね
上げ回動に際しては、シートバツク２ｂも回動さ
れるが、このシートバツク２ｂは跳ね上げ回動量
に相当する角度だけあらかじめ前倒し状態にされ
ていたので、シートバツク２ｂは元の位置の近傍
に戻されるのみである。

従つて、シート２の後方に仮眠ベツト４が設け
られていようとも、跳ね上げられたシート２のシ
ートバツク２ｂが前記ベツド４の居住性を悪化さ
せるおそれがなく、かつ、シート２の後方に移動
用の空間部を形成する必要もない。

尚、シート２を跳ね上げた状態では、ガイド溝
８の後端にロツクレバー９がスプリング１３の張
力で弾圧保持されるため、跳ね上げたシート２が
不用意に前方に倒れるおそれはないが、ロツクレ
バー９をロツク溝１４内及びガイド溝８の後端に
それぞれ係止するフツク等を設けた場合は、正常
位置及び跳ね上げ位置にシート２を確実に係止で
きる。

以上説明したように本考案によれば、シートバ
ツクを前傾操作した後にロツクレバーをロツク溝
から脱出操作するのみでスプリングの付勢力でロ
ツクレバーがロアブラケツトに形成した前後方向
に沿うガイド溝に沿つて後方に摺動させることが
でき、これにともなつてアツパブラケツトを跳ね
上げ回動させてシートクツシヨンを後方に大きく
跳ね上げ回動させることができるために、従来の
ようにシートの居住性及び安全性等を犠牲にして
までシートを後方に設ける必要性がない。又、ガ
イド溝を前後に沿わせているために、ロアブラケ
ツトを大型化することなくロツクレバーの摺動量
を充分に大きくすることができ、しかも、ロツク
レバーと枢軸とを左右一対のリンク杆を介して枢
支結合しているのでロツクレバーの移動にともな
つて枢軸（アツパブラケツト）を円滑かつ確実に
大きく揺動させることができ、これにより、シー
トクツシヨンの跳ね上げストロークを充分に大き
くして例えば透視窓からの直接視界を確保するこ
とができる。又、シートの跳ね上げに際しては、
シートバツクをあらかじめ前傾係止させるので、
シートの後方に跳ね上げ用の空間を設ける必要が
ない。更に、シートの跳ね上げ機構が支持装置に
内装されているために、この支持装置を従来の支
持装置と容易に置換でき、従来のいわゆるリクラ
イニングシートをそのままで跳ね上げシートとす
ることもできる。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案に係る自動車用シートの支持装置
の一実施例を示すものであつて、第１図はシート
の取付状態を示す側面図、第２図は支持装置の正
常状態を示す斜視図、第３図は支持装置の跳ね上
げ状態を示す斜視図、第４図は支持装置の作動を
示す側面図である。 １……キヤブ、１ａ……フロア、２……シー
ト、２ａ……シートクツシヨン、２ｂ……シート
バツク、２ｃ……リクライナ、３……ドア、３ａ
……透視窓、４……仮眠ベツド、５……ロアブラ
ケツト、６……アツパブラケツト、７……支軸、
８……ガイド溝、９……ロツクレバー、１０……
枢軸、１１……リンク杆、１２……アンカ軸、１
３……スプリング。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. シートクツシヨンにシートバツクの下端部を前
   傾可能に枢着して構成したシートを跳ね上げ回動
   可能に支持する装置であつて、フロアに固定した
   ロアブラケツトに前記シートを支持するアツパブ
   ラケツトの後端部を跳ね上げ回動自在に枢着し、
   前記ロアブラケツトの両側壁に形成した前後方向
   に沿うガイド溝にロツクレバーを前後摺動自在に
   遊着し、前記アツパブラケツトに装着した左右方
   向に沿う枢軸の両端部と前記ロツクレバーの両端
   部とをそれぞれリンク杆を介して枢支結合し、前
   記ロツクレバーを後方に摺動付勢させてアツパブ
   ラケツトを跳ね上げ回動付勢させるスプリングを
   設けると共に、該スプリングに抗して前記ロツク
   レバーを係止してアツパブラケツトを略水平な着
   座位置に係合保持させるロツク溝を前記ガイド溝
   の前端部に形成したことを特徴とする自動車用シ
   ートの支持装置。