JPH07102002A - 架橋ヒアルロン酸及びこれらの複合材料 - Google Patents
架橋ヒアルロン酸及びこれらの複合材料Info
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Abstract
材または高分子量生物活性薬物を複合化してなる架橋ヒ
アルロン酸複合材料、架橋処理されたヒアルロン酸およ
びその製造方法。 【効果】有用な架橋ヒアルロン酸およびその複合材料を
提供できるようになった。
Description
される架橋されたヒアルロン酸、および架橋ヒアルロン
酸を含有する複合材料とその製造方法に関する。
の疎水性結合組織のグルコサミノグリカン(ムコ多糖)
の1つとして極めて重要な素材である。このヒアルロン
酸は、現在眼科用粘弾性材料および関節炎治療薬として
臨床応用されているが、さらにその高含水性や潤滑性か
ら外科手術の際の癒着防止材料としての利用も試みられ
ている。しかしながら、ヒアルロン酸は水溶性高分子で
あるため、一定の形態を保てない。また、生体材料とし
て用いるには分解吸収速度が速すぎる。そのため、その
ままの形態で用いることは困難であり、架橋の導入が必
要となる。
は、いくつかの報告がなされている。例えば、USP
4,605,691(1986)で、E.A.Balzs らはジ
ビニルスルホン(DVS)を用いた架橋方法を示してい
る。また、PCT WO86/00079(1986)でMalson T. は、ブタ
ンジオールジグリシジルエーテル(BDDE)を用いて
架橋を行っている。さらに、N. Yuiらは、J. Controlle
d Release, 25, 133-143 (1993) などで、ポリグリシジ
ルエーテルで架橋反応が行えることを示している。しか
しながら、いずれの方法も高濃度のアルカリ溶液中にて
反応を行っており、反応終了後のアルカリの除去が問題
となる。さらに、DVSはそれ自体の毒性が高く、医療
用素材として用いるには好ましくない。また、いずれも
高含水率で強度が低く、そのため分解の速いゲルしか得
られていない。従って、癒着防止材料などとして実際に
利用可能な架橋ヒアルロン酸材料は得られていないのが
現状である。
は、架橋ヒアルロン酸材料を得ることは可能であって
も、生体材料として用いるためには、その毒性やゲル強
度についての課題は解決しておらず、その点の改善が特
に望まれるところであった。
強度が高く、加えて多様な分解吸収速度を有する新規な
架橋ヒアルロン酸材料およびその製造方法、並びにこれ
らの複合材料を提供することを目的とする。
を選択することにより、様々な特性をもつことを特徴と
する架橋ヒアルロン酸材料を提供するものである。
に用いる架橋試薬はカルボジイミドであり、その中でも
最も好ましい1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプ
ロピル)カルボジイミド塩酸塩(EDC)は、従来タン
パク質の架橋の際、カルボキシル基とアミノ基の間のペ
プチド結合を形成させる架橋試薬として用いられてき
た。ところが、ヒアルロン酸にはカルボキシル基はある
もののアミノ基は存在しない。しかしながら、本発明に
おいては、ヒアルロン酸のカルボキシル基どうしによる
酸無水物の形成、あるいはカルボキシル基と水酸基間の
エステル結合形成による架橋ヒアルロン酸の作製が、E
DCを用いて可能であることを明らかにした。EDC
は、従来用いられてきた架橋試薬に比べて毒性がはるか
に低く、反応終了後は毒性の低い尿素誘導体に変換さ
れ、架橋材料中には残留しない。また、残留した活性の
あるEDCも酸性下、特にpH2〜4の水と接触させる
ことにより、毒性の低い尿素誘導体に変換させることが
できる。さらに、EDCも尿素誘導体ともに水溶性であ
ることから、水洗により容易に除去できる。その洗浄度
は、材料中の窒素量を定量することにより確認できる。
このことから、EDCを生体材料に利用するとき、安全
であるという大きな特徴をもつ。
カルボジイミドを加えて架橋反応を行うとき、その水溶
液のpHを4〜8、好ましくはpH4.5〜6にするこ
とにより、架橋ヒアルロン酸材料が得られる。また、加
えるEDCなどの水溶性カルボジイミドの量あるいは乾
燥時間を変化させることにより、50〜95%と広い範
囲の含水率をもつ架橋ヒアルロン酸材料が得られる。
応は、従来まで上述のように、ヒアルロン酸に直接架橋
試薬を混合することにより行っていたが、カルボジイミ
ド、特に水溶性カルボジイミド(WSC)、最も好まし
くはEDCを含有する水と有機溶媒、最も好ましくはエ
チルアルコールと水との混合溶媒中で架橋反応を行うこ
とにより、未架橋のヒアルロン酸のフィルム、ゲルなど
を出発材料として架橋反応を行えることを明らかにし
た。この有機溶媒としては、アセトンなどのケトン類、
メタノール、エタノールなどのアルコール類などのヒア
ルロン酸がほとんどあるいは全く溶解しない水溶性有機
溶媒が挙げられる。この際の水と有機溶媒の混合比率
は、通常、水:有機溶媒=0〜50重量%:100〜5
0重量%、好ましくは25〜20重量%:75〜80重
量%である。また、反応温度は4〜45℃、好ましくは
20〜30℃であり、反応時間は15〜30時間であ
る。未架橋のヒアルロン酸フィルムを用いる場合には、
該フィルムを例えば溶媒に浸漬することにより行うこと
ができる。この反応を行う際に、EDCとともに、ジア
ミノ基を有するアミノ酸、すなわちリジンまたはアルギ
ニン、またはそれらのメチルあるいはエチルエステルを
加えることにより、ヒアルロン酸のカルボキシル基との
間にペプチド結合による架橋が形成される。この場合、
架橋剤としてのリジンまたはアルギニン、またはそれら
のメチルあるいはエチルエステルが架橋ヒアルロン酸材
料に結合して存在することになるが、これらは生体由来
の物質であり、生体にとって無害である。この反応を行
う際に、水と有機溶媒との混合比率、EDCや架橋剤と
してのリジンまたはアルギニンまたはそれらのメチルあ
るいはエチルエステルの濃度、反応温度、反応時間を変
化させることにより、従来方法では得られなかったよう
な低含水率の架橋ヒアルロン酸材料が本発明によって得
られるようになった。
Hを4〜8、好ましくは4.5〜6に調整する。このヒ
アルロン酸水溶液に、種々の濃度のジもしくはポリ官能
性エポキシ化合物を加え、乾燥させることによっても架
橋ヒアルロン酸材料の得られることを本発明は明らかに
した。エポキシ化合物の使用量は、特に限定されるもの
ではないが、通常ヒアルロン酸1gに対し、5μmol
〜5mmol程度の量を用いる。水溶液の乾燥工程は:
温度4〜50℃、好ましくは20〜30℃;湿度30〜
60%、好ましくは35〜50%の条件下で、1〜72
時間乾燥させる。乾燥は、攪拌が困難になるまで行う。
従来は、アルカリ性下でジもしくはポリ官能性エポキシ
化合物を加えることにより架橋ゲルを作製していたが、
本発明の方法では反応時間を長くすることにより弱酸性
から中性領域、即ち、pHを4〜8、好ましくは4.5
〜6において、架橋反応がより高度に進行することを明
らかにした。また、ヒアルロン酸水溶液のpH、乾燥時
間、また、加えるジもしくはポリ官能性エポキシ化合物
の濃度を変化させることにより、含水率が50〜95%
の低くかつ広い範囲の架橋ヒアルロン酸材料が得られ
る。これは、従来法では96〜99%という狭くかつ高
い範囲の架橋ヒアルロン酸材料しか得られなかったのと
比較して、大きな特徴である。
内分解吸収性補強材料を複合化することを特徴とする架
橋ヒアルロン酸複合材料を提供する。この補強材料とな
る生体内分解吸収性材料としては、ポリグリコール酸
(PGA)、ポリ乳酸(PLA)、ポリカプロラクトン
(PCL)、p−ポリジオキサン、キチン、キトサンな
どの単一重合体、あるいはこれらの共重合体が挙げられ
る。これらは、単独で、または2種以上を組み合わせて
用いてもよい。これらの補強材料は、編物、織物あるい
は不織布の形態で架橋ヒアルロン酸中に埋入するか、ま
たはこれらの形態の補強材料を架橋ヒアルロン酸と貼り
合わせることにより複合化し、架橋ヒアルロン酸複合材
料を得ることができる。架橋ヒアルロン酸と生体内分解
吸収性補強材料の配合比率は、架橋ヒアルロン酸1重量
部に対して生体内分解吸収性補強材料0.1〜10重量
部である。
質を含有させることもできる。ここで、「生理活性物
質」としては、高分子量生理活性物質および医薬品が挙
げられる。生理活性物質を含有させる方法としては、ヒ
アルロン酸の架橋反応を行う際に、生理活性物質を共存
させることにより、架橋ヒアルロン酸内部に閉じ込め
る、または架橋ヒアルロン酸に生理活性物質を含浸させ
ることにより、複合化架橋ヒアルロン酸材料を得ること
ができる。架橋ヒアルロン酸材料に複合させることので
きる高分子量生理活性物質として、ヘパリン、細胞増殖
因子、また医薬品として種々の抗生物質や抗菌剤を例示
することができる。これらの物質を複合化させることに
より抗血栓性の付与、癒着防止能の増加、創傷治癒の促
進、感染症の予防などの機能が付与される。架橋ヒアル
ロン酸と生理活性物質の配合比率は、架橋ヒアルロン酸
10〜100重量部に対して生理活性物質0.05〜5
重量部である。
分子量は、特に限定されるものではないが、通常106
〜2×106 程度である。ヒアルロン酸は、遊離の酸の
形態で用いてもよく、また、ナトリウム、カリウムなど
のアルカリ金属塩、またはカルシウム、マグネシウムな
どのアルカリ土類金属塩であってもよい。
いられるカルボジイミドを用いることができる。ジシク
ロヘキシルカルボジイミド(DCC)のような有機溶媒
にしか溶解しないものでも利用できるが、架橋反応時及
び反応後の除去処理の点から水溶性カルボジイミド(W
SC)を用いることが望ましい。このようなWSCとし
て、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)
カルボジイミド塩酸塩(EDC)、1−シクロヘキシル
−3−(2−モルホリノエチル)カルボジイミド−メト
−p−トルエン硫酸塩(CMC)などを例示することが
できる。WSCは、水溶液中でも含水有機溶媒中でも使
用でき、一方DCCは、含水アルコール中で使用するの
が好ましい。WSCによるヒアルロン酸の架橋反応時に
共存させることのできる架橋物質として、ジアミノ基を
もつアミノ酸およびそのメチルまたはエチルエステルが
挙げられ、具体的にはL−リジン、L−アルギニン、L
−リジンメチルエステル、L−アルギニンメチルエステ
ル、L−リジンエチルエステル、L−アルギニンエチル
エステルなどである。
溶性の点からジエチレングリコールジグリシジルエーテ
ル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテルが挙
げられる。
などの酸及び水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどの
塩基を用いて行ってもよく、適当な緩衝液中で反応を行
ってもよい。
明するが、本発明がこれら実施例に限定されないことは
いうまでもない。
リウム塩粉末を、1重量%濃度となるように蒸留水中に
溶解させ、該溶液をガラス板上に流延して風乾し、未架
橋のヒアルロン酸フィルムを得た。
々70、80、90重量%であるエタノール−水混合溶
液を作製し、この中にEDCをその濃度が100mMと
なるよう溶解させ、架橋浴を調製した。
酸フィルムを浸漬し、25℃で24時間反応させ、次い
でそれを蒸留水で十分洗浄して架橋されたヒアルロン酸
フィルムを得た。
ムの架橋度をリン酸緩衝生理食塩水(PBS;pH7.
4)に37℃にて1晩浸漬し、その膨潤度から推定し
た。ここでいう膨潤度は湿重量/乾重量であり、その値
が小さいほど、架橋度が高く、また、逆に大きいほど架
橋度の低いことを意味する。また、架橋度が高いほどそ
の分解が遅く、初期強度も強度保持性も高く、物質透過
性は低い。
ヒアルロン酸架橋体はPBS水溶液中に溶解したが、そ
れ以外のものは溶解せず、エタノール濃度が80%では
2.42、70%では11.9の膨潤度を示した。
0、80、90重量%であるエタノール−水混合溶液
に、EDCをその濃度が100mMとなるよう溶解さ
せ、さらにL−リジンメチルエステルをその濃度が25
mMになるように添加して架橋浴を調製した。
アルロン酸フィルムを浸漬し、25℃で24時間反応さ
せ、次いでこれをPBS(pH7.4)で十分洗浄して
架橋ヒアルロン酸フィルムを得た。
ルロン酸フィルムをPBS(pH7.4)に37℃にて
1晩浸漬し、その膨潤度を測定したところ、エタノール
濃度が90%のものは110.28;80%のものは
2.31;70%のものは2.98と実施例1に比べて
低い膨潤度を示した。
酸ナトリウム塩水溶液のpHを4.75に調整し、これ
にEDCを1.23mol 加えた試料を2つ準備し、その
一方にはL−リジンを、また他方にはL−リジンメチル
エステルを各々0.2mM濃度になるように添加し、反
応液を十分に撹拌してゲルを得た。
ィルムを得、PBS(pH7.4)によって洗浄した
後、その膨潤度を測定した。その結果、L−リジンを添
加した架橋体の膨潤度は26.3、L−リジンメチルエ
ステルを添加した架橋体の膨潤度は98.0であった。
なお、L−リジンメチルエステルを用いた場合は、反応
開始後12時間でゲルが生成し、これを乾燥してフィル
ムを得た。
1g当たりのエポキシ濃度が0.0625mmol、0.1
25mmolになるように、1重量%ヒアルロン酸水溶液8
0g(含有ヒアルロン酸:0.8g)にデナコールEX
−810(ナガセ化成株式会社製:商品名)を各々加
え、良く撹拌した後、ガラス板上に流延し、風乾して架
橋フィルムを得た。該架橋フィルムを蒸留水で十分洗浄
し、その膨潤度を測定した。その結果、膨潤度はエポキ
シ濃度が0.0625mmolのものは5.24、0.12
5mmolのものは4.04であった。
0.1規定の塩酸を加えることによって4.75に調整
した。これにヒアルロン酸ナトリウム塩1g当たりエポ
キシ濃度が0.02mmol、0.04mmol、0.06mmo
l、0.08mmolになるように1重量%ヒアルロン酸水
溶液80g(含有ヒアルロン酸:0.8g)にデナコー
ルEX−810を加えた。この水溶液を撹拌した後、ガ
ラス板上に流延し、風乾して架橋フィルムを得た。該架
橋フィルムを蒸留水で十分洗浄し、その膨潤度を測定し
た。
2mmolでは11.8;0.04mmolでは4.43;0.
06mmolでは3.29;および0.08mmolでは3.1
4であった。
ン酸ナトリウム塩水溶液のpHを4.75に調整し、こ
れにEDCを1.23mmol、L−リジンメチルエステル
を0.395mmol添加し、撹拌してゲルを得た。このゲ
ルの約60gをタテ10cm、ヨコ20cm、高さ1.
5cmのプラスチック容器に入れた後、その上より生体
内分解性補強剤であるポリグリコール酸(PGA)で編
成したタテ×ヨコが10×20cmの編生地(メリヤス
平編生地)を置き、上部より残りのゲルを流し込み、4
℃にて24時間架橋反応を行った。反応終了後、約37
℃のpH2.5の塩酸水溶液中に1時間浸漬し、さらに
蒸留水にて洗浄した後風乾した。風乾後架橋ヒアルロン
酸層の間にPGA糸による編生地がサンドイッチ状に挟
持された架橋ヒアルロン酸ポリグリコール酸複合化フィ
ルムを得た。
フィルムを得た。50μgの塩基性繊維芽細胞増殖因子
(bFGF)を含むPBS水溶液(pH6.0)をフィ
ルム10mgへ含浸させ、bFGFを包含した架橋ヒア
ルロン酸ハイドロゲルフィルムを得た。このハイドロゲ
ルフィルムをマウスの背部皮下に埋入した。コントロー
ルとして50μgのbFGFを含む水溶液を皮下投与、
並びにbFGFを包含していない架橋ヒアルロン酸ハイ
ドロゲルフィルムの皮下埋入を行った。1週間後、ゲル
埋入または水溶液投与部位を調べたところ、bFGF含
有ハイドロゲルの場合にのみ埋入部位での血管新生が見
られた。これは、bFGFをハイドロゲルに包含して除
放化することにより、bFGFの生理活性が有効に発現
されたためであると考えられる。
−水20%の混合水溶液中に、EDCの濃度が10mmo
l、L−リジンメチルエステルの濃度が3mmolとなるよ
うに混合し、未架橋ヒアルロン酸フィルムを、25℃に
て24時間浸漬させることにより架橋ヒアルロン酸フィ
ルムを作製した。このフィルムをPBS水溶液(pH
7.4)中に37℃にて浸漬させたところ、8日間で加
水分解された。
フィルムを、エチレンオキサイドガスにて滅菌した後
に、10週齢のウィスター系の雄のラットの背部皮下に
埋入した。埋入した架橋ヒアルロン酸材料の重量残存率
は、5日後で87.4%、9日後で58.2%、14日
後で7.2%であった。また、炎症反応は観察されなか
った。
ヒアルロン酸水溶液のpHを4.7あるいは8に調整
し、ヒアルロン酸1gあたりエポキシ基濃度が10およ
び100μmolとなるようにデナコールEX−810
を加え、十分攪拌した後に乾燥させることにより架橋ヒ
アルロン酸フィルムを得た。このフィルムをPBS中に
37℃にて浸漬させ、一定期間後に取り出して重量残存
率を測定した。pH8のヒアルロン酸水溶液より得られ
た架橋フィルムは、10μmol/gの濃度で架橋した
場合5日後で完全に溶解し、そのとき100μmol/
gの濃度で架橋した場合では、その残存重量率は20%
であった。10日後で100μmol/gの濃度で架橋
したフィルムの残存重量率は5%であった。一方、pH
4.7のヒアルロン酸水溶液より得られた架橋フィルム
は、10μmol/gの濃度で架橋した場合、5日後で
完全に溶解し、100μmol/gの濃度で架橋したフ
ィルムの残存重量率は90%であった。10日後で10
0μmol/gの濃度で架橋したフィルムの残存重量率
は60%であった。
ルロン酸水溶液のpHを5に調整し、エポキシ基濃度が
ヒアルロン酸1gあたり10および100μmolのデ
ナコールEX−810を加え、十分混合した後に乾燥さ
せることにより架橋ヒアルロン酸フィルムを得た。これ
をエチレンオキサイドガスにて滅菌した後に、10週齢
のウィスター系の雄のラットの背部皮下に埋入した。1
0μmol/gの濃度で架橋したフィルムの残存重量率
は2日後で86.6%、100μmol/gの濃度で架
橋したフィルムの残存重量率は2日後で89.2%であ
った。10μmol/gの濃度で架橋したフィルムの残
存重量率は5日後で44.6%、100μmol/gの
濃度で架橋したフィルムの残存重量率は5日後で74.
1%であった。また、10μmol/gの濃度で架橋し
た場合7日後で完全に分解吸収され、100μmol/
gの濃度で架橋したフィルムの残存重量率は7日後で7
0.8%であった。いずれも強い炎症反応は観察されな
かった。
処理温度、時間等その条件の選択によって従来よりも有
意に強度の大きい、且つ、任意の架橋度のヒアルロン酸
を得ることができ、これにより、その用途に対応した分
解速度、初期強度、強度保持性、物質透過性等を有する
ヒアルロン酸架橋物が得られる。また、特に、毒性の面
においては、水溶性カルボジイミド自体水溶性で、且
つ、酸処理によって毒性のない尿素誘導体になること、
アミノ酸、ジエポキシ化合物自体にも問題となる毒性を
有しないことから、特に、これをフィルム状物としたと
きは癒着防止膜、やけど等の被覆材として有用である。
さらに、これをゲル状物としたときは人工晶子体、関節
の潤滑材等の医療用途に好適に用いることができる。
収性補強材料または生理活性物質を複合化すれば、かか
るヒアルロン酸架橋物の機能をさらに改善することがで
きる。
Claims (18)
- 【請求項1】ヒアルロン酸水溶液にカルボジイミドを混
合し、その水溶液を乾燥させて架橋を導入することによ
る架橋ヒアルロン酸材料の製造方法。 - 【請求項2】ヒアルロン酸水溶液にカルボジイミドとと
もに、ジアミノ基をもつアミノ酸またはそのメチルエス
テルあるいはエチルエステルを加え、水溶液を乾燥させ
る架橋ヒアルロン酸材料の製造方法。 - 【請求項3】ヒアルロン酸水溶液のpHが4〜8である
請求項1または2に記載の架橋ヒアルロン酸材料の製造
方法。 - 【請求項4】未架橋の水溶性ヒアルロン酸材料を、カル
ボジイミドを含有する有機溶媒に加える架橋ヒアルロン
酸材料の製造方法。 - 【請求項5】未架橋の水溶性ヒアルロン酸材料および塩
基性アミノ酸、塩基性アミノ酸メチルエステルまたは塩
基性アミノ酸エチルエステルを、カルボジイミドを含有
する有機溶媒に加える架橋ヒアルロン酸材料の製造方
法。 - 【請求項6】有機溶媒が、ヒアルロン酸が殆んどあるい
は全く溶解しない水溶性有機溶媒であり、これが60〜
100%と水40〜0%からなる請求項4または5に記
載の架橋ヒアルロン酸材料の製造方法。 - 【請求項7】反応温度が、4〜45℃である請求項4〜
6のいずれかに記載の架橋ヒアルロン酸材料の製造方
法。 - 【請求項8】請求項1〜7のいずれかの方法を行った
後、架橋ヒアルロン酸材料を酸性水溶液に浸漬させるこ
とにより、残存するカルボジイミドを尿素誘導体に変換
する架橋ヒアルロン酸材料の製造方法。 - 【請求項9】請求項1〜7のいずれかの方法を行った
後、架橋ヒアルロン酸材料を酸性水溶液に浸漬させるこ
とにより、残存するカルボジイミドを尿素誘導体に変換
し、次いで架橋ヒアルロン酸材料を水洗する架橋ヒアル
ロン酸材料の製造方法。 - 【請求項10】カルボジイミドが水溶性カルボジイミド
である請求項1〜9のいずれかに記載の架橋ヒアルロン
酸材料の製造方法。 - 【請求項11】ヒアルロン酸水溶液に、ジまたはポリ官
能性エポキシ化合物を混合し、その水溶液を乾燥させて
架橋を導入する架橋ヒアルロン酸材料の製造方法。 - 【請求項12】ヒアルロン酸水溶液のpHが4〜8であ
る請求項11に記載の架橋ヒアルロン酸材料の製造方
法。 - 【請求項13】架橋ヒアルロン酸材料と生体分解吸収性
補強材料複合化してなる架橋ヒアルロン酸複合材料。 - 【請求項14】架橋ヒアルロン酸材料に、生理活性物質
を含有させてなる生理活性物質の徐放化剤。 - 【請求項15】フィルム状のヒアルロン酸材料を請求項
1〜12のいずれかの方法により架橋処理してなる架橋
ヒアルロン酸材料。 - 【請求項16】37℃のリン酸緩衝生理食塩水(PB
S)中で、2〜30日後に可溶性になる架橋ヒアルロン
酸材料。 - 【請求項17】生体内で5日以上不溶性である請求項1
5または16に記載の架橋ヒアルロン酸材料。 - 【請求項18】重量含水率が50〜95%である架橋ヒ
アルロン酸材料。
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---|---|---|---|
JP24507293A JP3404557B2 (ja) | 1993-09-30 | 1993-09-30 | 架橋ヒアルロン酸及びこれらの複合材料 |
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Publication Number | Publication Date |
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JP24507293A Expired - Fee Related JP3404557B2 (ja) | 1993-09-30 | 1993-09-30 | 架橋ヒアルロン酸及びこれらの複合材料 |
Country Status (1)
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---|---|
JP (1) | JP3404557B2 (ja) |
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