JP3955107B2 - 架橋多糖の製造法 - Google Patents

架橋多糖の製造法 Download PDF

Info

Publication number
JP3955107B2
JP3955107B2 JP12879595A JP12879595A JP3955107B2 JP 3955107 B2 JP3955107 B2 JP 3955107B2 JP 12879595 A JP12879595 A JP 12879595A JP 12879595 A JP12879595 A JP 12879595A JP 3955107 B2 JP3955107 B2 JP 3955107B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
polysaccharide
electron beam
producing
acid
group
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP12879595A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH08301903A (ja
Inventor
道典 脇
秀和 小山田
和隆 山本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Seikagaku Corp
Original Assignee
Seikagaku Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Seikagaku Corp filed Critical Seikagaku Corp
Priority to JP12879595A priority Critical patent/JP3955107B2/ja
Publication of JPH08301903A publication Critical patent/JPH08301903A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3955107B2 publication Critical patent/JP3955107B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Medicinal Preparation (AREA)
  • Materials For Medical Uses (AREA)
  • Polysaccharides And Polysaccharide Derivatives (AREA)

Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、架橋多糖の製造法に関する。詳しくは、生体適合性が良好で、医用材料として有用な架橋多糖、生理活性物質が包含されてなる架橋多糖、および生体適合性が良好な架橋多糖を含む改質された医用材料を製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、高分子化合物への電子線およびγ線等(以下、これらをイオン化放射線と総称することがある)の照射は、タイヤや電線のゴムの架橋に用いられてきた。また該イオン化放射線は、医療器材の滅菌にも用いられてきた。イオン化放射線による架橋反応は主に合成高分子を素材として用いられてきた。生体由来の高分子をアルデヒド化合物、エポキシ化合物、ジビニルスルフォン化合物等で化学的に架橋し、生体高分子の生理活性作用を生体内で持続させたり、フィルムや粉体にして癒着防止等を目的とする医用材料とする試みがあった(特開昭60−130601、特開昭63−503551)。
【0003】
しかし、生成した架橋多糖は原料の多糖よりさらに高分子であり、網目構造を持つため未反応物や触媒の除去は困難であり、生体内に投与したり、移植したときに副作用が生じる可能性が高く実用的ではなかった。
また、多糖誘導体にイオン化放射線を照射して架橋させる方法を用いる例としては、架橋ヘパリンで被覆された抗血栓性医療材料を得るために、担体と、ヘパリンの水酸基にアクリル酸もしくはメタアクリル酸又はこれらの誘導体をエステル結合させた誘導体とを接触させ、電子線を照射することで、該ヘパリン誘導体を架橋する方法が知られている(特公昭61−57788号公報)。
【0004】
しかし、アクリル酸等は、毒性が強く、医療用材料としては安全性や生体適合性に問題があった。
さらに、光架橋反応性の化合物を多糖に結合し、紫外線を照射して架橋する方法が知られているが、紫外線照射時間が比較的長く(数分間以上)その間高温になるため熱に弱い糖類には適さなかった。また溶液中での架橋は困難である上、被照射物の形態も比較的薄いフィルムに限られていた(人口臓器,22(2),p376−379(1993))。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、第1に、副作用等の原因となる未反応物質を含まず、安全性及び生体適合性が高く医用材料として用いられる架橋多糖の製造法を提供することである。第2に、架橋多糖に生理活性物質を包含させることによって生理活性物質の種類及び利用目的に応じた放出速度を有する生理活性物質徐放性材料もしくは製剤の製造法を提供することである。第3に、架橋多糖を内部または表面に持つ医用材料の製造法を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本願発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、以下の構成によりその課題を解決することに成功した。すなわち本発明は、
1)グリコサミノグリカンおよびキトサンから選択される生体適合性の多糖と、ケイ皮酸、アミノケイ皮酸および前記多糖と共有結合するためのスペーサーを含むケイ皮酸もしくはアミノケイ皮酸から選択される電子線反応性化合物とを共有結合してなる電子線反応性多糖に、電子線を0.01〜2Mrad照射することにより、該電子線反応性多糖に共有結合された該電子線反応性化合物残基どうしの架橋反応をおこさせることを特徴とする架橋多糖の製造法、
2)電子線の照射時間が0.01〜10秒であることを特徴とする上記1)記載の架橋多糖の製造法、
3)電子線の照射時間が0.1〜1秒であることを特徴とする上記1)記載の架橋多糖の製造法、
4)グリコサミノグリカンヒアルロン酸、コンドロイチン、コンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸、ヘパリン、ヘパラン硫酸、ケラタン硫酸、これらのアシル誘導体、多硫酸体、脱硫酸体および脱アシル体からなる群から選択される少なくとも1種である上記1)記載の架橋多糖の製造法、
5)スペーサーを含むケイ皮酸もしくはアミノケイ皮酸が下記一般式(3)〜(5)であることを特徴とする上記1)記載の架橋多糖の製造法、
N(CR OCOCH=CH−Ph (3)
[式(3)中、R およびR はそれぞれ独立に水素原子または低級アルキル基を、Phはフェニル基または炭素数1〜4の低級アルキル基もしくはアルコキシ基、アミノ基または水酸基で置換されたフェニル基を、nは2〜18の整数を表す。]
A−NH−Ph−CH=CHCOOR 10 (4)
[式(4)中、R 10 はアルキル基を表す。AはH NCR 11 12 CO−(NHCR 11 12 CO) −またはH N(CR 11 12 CO−を表す。該R 11 およびR 12 はそれぞれ独立に水素原子または低級アルキル基を表す。−Ph−はパラフェニレン基、炭素数1〜4の低級アルキル基もしくはアルコキシ基、または水酸基で置換されたパラフェニレン基を、mは0〜5の整数、hは1〜18の整数を表す。]
HOOC−(CR 13 14 −NH−COCH=CH−Ph (5)
[式(5)中、R 13 およびR 14 はそれぞれ独立に水素原子または低級アルキル基を、Phはフェニル基または炭素数1〜4の低級アルキル基もしくはアルコキシ基、アミノ基または水酸基で置換されたフェニル基を、kは2〜18の整数を表す。]
6)生体適合性の多糖がヒアルロン酸であり、スペーサーを含むケイ皮酸もしくはアミノケイ皮酸が請求項5に記載の一般式(3)〜(5)であることを特徴とする上記1)記載の架橋多糖の製造法。
7)生体適合性の多糖がキトサンであり、スペーサーを含むケイ皮酸もしくはアミノケイ皮酸が請求項5に記載の一般式(3)〜(5)であることを特徴とする上記1)記載の架橋多糖の製造法。
8)生体適合性の多糖がヒアルロン酸であり、電子線反応性化合物がケイ皮酸であることを特徴とする上記1)記載の架橋多糖の製造法。
9)生体適合性の多糖がヒアルロン酸であり、電子線反応性化合物が6−アミノヘキサノイル−4−アミノケイ皮酸メチルエステルであることを特徴とする上記1)記載の架橋多糖の製造法。
10)生体適合性の多糖がヒアルロン酸であり、電子線反応性化合物がケイ皮酸(6−アミノヘキシル)エステルであることを特徴とする上記1)記載の架橋多糖の製造法。
11)生体適合性の多糖がキトサンであり、電子線反応性化合物がシンナモイル−6−アミノヘキサン酸であることを特徴とする上記1)記載の架橋多糖の製造法。
12)生理活性物質を含む上記1)記載の電子線反応性多糖に、電子線を0.01〜2 Mrad照射することにより、該電子線反応性多糖に共有結合された電子線反応性化合物残基どうしの架橋反応をおこさせることを特徴とする生理活性物質が包含されてなる架橋多糖の製造法、
13)電子線反応性多糖が、溶液、ゲル又はシートの状態であることを特徴とする上記1)〜12)のいずれか1項に記載の架橋多糖の製造法、
14)架橋多糖、または生理活性物質が包含されてなる架橋多糖が、膜状、粒状、またはゲル状である上記1)〜13)のいずれか1項に記載の架橋多糖の製造法
を提供することを目的とする。
【0007】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明においてイオン化放射線とは、ケイ皮酸、チミン、クマリンまたはこれらの誘導体の二量体化(架橋)に使われる炭素−炭素2重結合どうしが二量化しうる電子線を意味する。
本発明に用いられるイオン化放射線反応性多糖、すなわち電子線反応性多糖は、多糖とイオン化放射線反応性化合物、すなわち電子線反応性化合物とが共有結合している多糖誘導体であり、多糖のカルボキシル基、水酸基、及び/又はアミノ基に、アミド結合、エステル結合、及び/又は、−NHCH−で示される結合を介してイオン化放射線反応性化合物が結合した多糖誘導体を挙げることができる。特に、多糖の水酸基とイオン化放射線反応性化合物とをエステル結合した多糖誘導体、および多糖のカルボキシル基とイオン化放射線反応性化合物とをアミド結合した多糖誘導体が好ましい。これらは、既知の多糖の化学修飾反応を用いて製造することができる。その際、多糖の低分子化を伴わない方法が好ましい。
【0008】
イオン化放射線反応性多糖を製造するには、単一の多糖に対して一種又は複数種のイオン化放射線反応性化合物を共有結合させるか、または、複数種の多糖分子に対して単一もしくは複数種のイオン化放射線反応性化合物を共有結合させてもよい。更に、本発明においては、前者のイオン化放射線反応性多糖および後者のイオン化放射線反応性多糖をそれぞれ単独でもしくは混合した後、イオン化放射線照射による架橋反応に付して架橋多糖を製造することができる。
【0009】
本発明に用いられる多糖としては、生体適合性の多糖が好ましい。本明細書において、生体適合性とは生体に対して安全かつ無毒である性質を意味し、好ましくはさらに、生体となじみやすい性質も有することを意味する。生体適合性の多糖としては、ヒアルロン酸、コンドロイチン、コンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸、ヘパリン、ヘパラン硫酸、ケラタン硫酸等のグリコサミノグリカン、キチン、キトサン、プルラン、デンプン、マンナン、ペクチン酸、アルギン酸、アラビアゴム又はこれらの誘導体(アシル誘導体、多硫酸体、脱硫酸体、脱アシル体等)等を挙げることができる。生体適合性が高いことから特にグリコサミノグリカンが好ましく、さらに好ましくはヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸を挙げることができる。
【0010】
多糖は、天然物起源のものが使用されるが、必要により化学的もしくは酵素的に合成あるいは半合成法により調製したものであってもよく、これらのものの官能基を修飾したものであってもよい。但し、多糖は、イオン化放射線反応性化合物を多糖に結合するために必要な官能基が、修飾されずに残っていなければならない。これらは目的に応じて選択し、単独または2種以上混合して使用することもできる。
【0011】
また、多糖の分子量に制限はないがその分子量は大きいほど、架橋が効果的である。例えば、高分子量多糖では、多糖に結合するイオン化放射線反応性化合物が少なくても、十分な架橋が得られる。分子量の範囲としては、下限は5千、好ましくは3万であり、上限は1000万である。ヒアルロン酸の場合さらに好ましい分子量範囲は、約5万〜500万である。
【0012】
本発明において用いられるイオン化放射線反応性化合物としては、多糖と共有結合しうる官能基を有し、かつイオン化放射線照射により少なくとも該化合物分子間で二量体化(架橋)し得るものであればよい。またイオン化放射線反応性化合物は、多糖と共有結合するためのスペーサーを含んでいてもよい。スペーサーの原料としては、ジアミン、アミノアルコール、アミノ酸、ジカルボン酸、ヒドロキシ酸等が用いられるが、それらは低毒性のものが好ましい。好ましいスペーサーとしては、アミノアルコールが挙げられる。スペーサーを含む該反応性化合物は、既知の化学修飾反応を用いて製造することができる。好ましいイオン化放射線反応性化合物としては、毒性が低く、医用材料として用いても副作用の少ない化合物である、ケイ皮酸、チミン、クマリン等又はこれらの誘導体等を挙げることができる。
【0013】
チミン誘導体としては、一般式(1)の化合物が挙げられ、
【0014】
【化1】
Figure 0003955107
(式中、R1 は、水素、低級アルキル基、ハロゲン原子またはハロ低級アルキル基を示し、R2 は水素、シアノ基、カルボキシル基、低級アルコキシカルボニル基、低級アルキル基、ハロゲン原子またはハロ低級アルキル基を示し、R3 は低級アルキレン基を示す)
クマリン誘導体としては、一般式(2)の化合物が挙げられる(特開平6−73102)。
【0015】
【化2】
Figure 0003955107
(式中、R4 、R5 及びR6 は互いに同一でも異なってもよく、各々独立に水素または低級アルキル基であり、R7 は低級アルキレン基を表す。)
より好ましくは、二量体化したものであっても低毒性で、副作用が少ないと考えられるケイ皮酸、アミノケイ皮酸、スペーサーを含むケイ皮酸誘導体等を挙げることができる。
【0016】
スペーサーを含むケイ皮酸誘導体としては、一般式(3)〜(5)の化合物が挙げられる。
2 N(CR8 9 n OCOCH=CH−Ph (3)
式(3)中、R8 およびR9 はそれぞれ独立に水素原子または低級アルキル基(好ましくは、炭素数1〜4)を表す。Phはフェニル基を示すが、炭素数1〜4程度の低級アルキル基もしくはアルコキシ基、アミノ基または水酸基等の置換基を有していてもよい。nは2〜18、好ましくは、2〜12の整数を表す。
【0017】
A−NH−Ph−CH=CHCOOR10 (4)
式(4)中、R10はアルキル基、好ましくは、炭素数1〜8のアルキル基を表す。AはH2 NCR1112CO−(NHCR1112CO)m −またはH2 N(CR1112h CO−を表す。該R11およびR12はそれぞれ独立に水素原子または低級アルキル基(好ましくは、炭素数1〜4)を表す。−Ph−はパラフェニレン基を示すが、炭素数1〜4程度の低級アルキル基もしくはアルコキシ基、または水酸基等の置換基を有していてもよい。mは0〜5、好ましくは0〜2の整数、hは1〜18、好ましくは1〜12の整数を表す。
【0018】
HOOC−(CR1314k −NH−COCH=CH−Ph (5)
式(5)中、R13およびR14はそれぞれ独立に水素原子または低級アルキル基(好ましくは、炭素数1〜4)を表す。Phはフェニル基を示すが、炭素数1〜4程度の低級アルキル基もしくはアルコキシ基、アミノ基または水酸基等の置換基を有していてもよい。kは2〜18、好ましくは2〜12の整数を表す。
【0019】
本発明において、多糖に対するイオン化放射線反応性化合物の結合量を、多糖の構成単糖1モル当たりのイオン化放射線反応性化合物の結合モル数(degree of substitution;以下、DS)で表す。例えば、グルコースのみからなる多糖のグリコシド結合に関与しない全ての水酸基にイオン化放射線反応性化合物を共有結合するとDSは3である。またヒアルロン酸(2糖単位ごとにグルクロン酸を含む)の全てのカルボキシル基にカルボキシル基のみと共有結合しうるイオン化放射線反応性化合物を共有結合するとDSは0.5である。
【0020】
イオン化放射線反応性多糖のDSは、反応条件を調節することによって任意に調節することができる。例えば、反応時において多糖に対するイオン化放射線反応性化合物のモル比を増加させる、加熱する、適当な触媒を添加する、または反応時間を延長する等の手段を適宜に組み合わせることによってDSを高めることができる。好ましいDSの範囲としては、目的によって異なるが、生体適合性の架橋多糖を得る場合は、好ましくは前記の理論上のDSの最大値の0.01%〜10%を挙げることができる。
【0021】
イオン化放射線反応性多糖の代表的な製造法を、以下に具体的に挙げる。なお、本発明はこれに限定されるものではない。
1)カルボキシル基を有する多糖に、アミノ基を有するイオン化放射線反応性化合物を結合する場合
(1)両者を適当な溶媒中でカルボジイミド類等の活性化試薬(例えば、ジシクロヘキシルカルボジイミド、水溶性カルボジイミド(1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド等)等)を用いた脱水縮合反応によりアミド結合させる方法。この場合、Nーヒドロキシコハク酸イミドの様なNーヒドロキシ基化合物を添加剤として加えることにより反応効率を上げることもできる。
【0022】
(2)多糖のカルボキシル基を有機溶媒中で予めペンタクロロフェニルエステルのような活性エステル又はジメチルホスフィノチオイル等の混合酸無水物として活性化した後、アミノ基と反応させる方法。
2)カルボキシル基を有する多糖に、水酸基を有するイオン化放射線反応性化合物をエステル結合する場合
多糖のカルボキシル基をテトラブチルアンモニウムのような4級アンモニウムの塩とした後、ジメチルフォルムアミド、ジメチルスルホキシド等の有機溶媒中でイオン化放射線反応性化合物のハロゲン化物と反応させエステル結合させる方法。
【0023】
3)水酸基を有する多糖にカルボキシル基を有するイオン化放射線反応性化合物を結合する場合
イオン化放射線反応性化合物のカルボキシル基を酸塩化物や酸無水物として活性化した後、多糖の水酸基と適当な溶媒中でエステル結合させる方法。この場合、溶媒にピリジン又はアシル化触媒(例えば、4−ジメチルアミノピリジン等)を添加して反応率を上げることができる。
【0024】
4)アミノ基を有する多糖にカルボキシル基を有するイオン化放射線反応性化合物を結合する場合
(1)該カルボキシル基を酸塩化物、酸無水物または活性エステルとして活性化した後、多糖のアミノ基と適当な溶媒中でアミド結合させる方法。この場合、溶媒にピリジン又はアシル化触媒(例えば、4−ジメチルアミノピリジン等)を添加して反応効率を上げることができる。
【0025】
5)アミノ基を有する多糖にアルデヒド基を有するイオン化放射線反応性化合物を結合する場合
適当な溶媒中で両者を混合しシッフ塩基として結合させる方法。この場合、反応液を加熱したり、モレキュラーシーブ等の脱水剤を加えることで反応効率を上げることができる。さらに、このシッフ塩基を水素化シアノホウ素ナトリウム等の還元剤で処理することにより、より安定なアミノ結合(−NHCH2 −)へ変換することができる。
【0026】
これらの製造法のうち、反応生成物の安定性、反応効率等の点から好ましいのは、上記1)−(1)および3)の方法である。
多糖とイオン化放射線反応性化合物との反応後の処理法および精製法としては、多糖の分離、精製および化学修飾法に通常採用されている、アルコール沈澱法、フィルター上での洗浄、遠心分離、塩析、透析、ゲル濾過、イオン交換法、減圧乾燥、凍結乾燥等の方法を適宜選択、組み合わせる方法が挙げられる。
【0027】
本発明に用いられるイオン化放射線反応性多糖は、水又は有機溶媒に可溶であるので精製が容易である。架橋反応に先だって、イオン化放射線反応性多糖の溶液を調製し、この溶液を精製することができ、このように精製された該反応性多糖にイオン化放射線を照射して、架橋することができるので、使用する試薬、水、容器に注意を払うことで、未反応物、触媒、混入微生物および発熱性物質等が実質的に含まれない架橋多糖を容易に製造することができる。
【0028】
これらのイオン化放射線反応性多糖を、用途に応じて選択し、単独または2種以上混合した後、イオン化放射線を照射することにより、イオン化放射線反応性化合物残基に含まれるイオン化放射線反応基(炭素−炭素2重結合)どうしが開裂、結合を行い、シクロブタン環を形成する。この結果、少なくとも該反応性多糖分子間が架橋することで、三次元網目構造をもつ架橋多糖を製造することができる。この際、架橋率(該反応性多糖が架橋した割合)は、該反応性多糖のDSの増加とともに、また照射時間、照射線量の増加とともに高くなるが、イオン化放射線の照射条件を制御することによって、その増減を制御することも可能である。
【0029】
該架橋率は後述のゲル化率を指標として推察することができる。
イオン化放射線反応性多糖は、イオン化放射線を照射する前に、所望の形状(例えば、膜状、管状、粒状等)に成形することができる。この場合、例えば該反応性多糖を均一に溶解する溶媒、例えば水(好ましくは、精製水)、緩衝液(リン酸塩緩衝液、炭酸塩緩衝液等)又は有機溶媒(ジメチルホルムアミドやジメチルスルホキシド等)に該反応性多糖を約0.1〜90重量%溶解させ、平板上、または容器中、容器表面等に溶液、ゲルとして存在させるか、あるいはさらにこれを常温での通風、イオン化放射線反応性多糖に影響を与えない程度の加温(例えば、40〜50℃)、凍結乾燥、減圧乾燥等の方法で乾燥させる方法が挙げられる。
【0030】
また、医用材料の表面又は内部にイオン化放射線反応性多糖を存在させ、イオン化放射線を照射する場合は、医用材料(例えば、ガーゼ、包帯、編織布、紙、不織布、綿状体、糸状体、フィルム、多孔性スポンジ、ゴム、プラスチック、金属等の支持体、又は人工臓器等)に上記のように調製したイオン化放射線反応性多糖の溶液またはゲルを塗布、コーティング、付着、埋没、あるいはしみこませたりさせておくこともできる。医用材料としては、材質、形状に特に制限はない。
【0031】
さらに上記のようなイオン化放射線反応性多糖の溶液に、生理活性物質(例えば、ヘパリン、デルマタン硫酸、ヘパラン硫酸、制癌剤、抗炎症剤、抗菌剤、サイトカイン、ホルモン、成長因子、創傷治癒促進剤(特開昭60−222425号公報)、組織プラスミノーゲン活性化因子、スーパーオキシドジスムターゼ、ウロキナーゼ等の酵素類等)を混合した後、溶液のまま、又はさらに上記のような成形、塗布等をおこなった後に、イオン化放射線を照射して架橋することで生理活性物質の包埋が可能である。この方法によれば、生理活性物質が高分子の場合であっても、架橋多糖の表層だけでなく深層にも包埋させることができるので、生理活性物質、特に高分子の生理活性物質を徐放させることのできる、生理活性物質が包含されてなる架橋多糖を得ることができる。
【0032】
このようにして得られた、生理活性物質を含む架橋多糖は、公知の製剤技術によって、医薬品製剤として使用することもできる。
イオン化放射線の照射条件は、イオン化放射線反応性多糖の種類(原料とした多糖、イオン化放射線反応性化合物、DS等)や、得られる架橋多糖、生理活性物質が包含されてなる架橋多糖、架橋多糖を含む医用材料の用途等を考慮して最適の架橋率、ゲル化率を得るように適宜選択する。
【0033】
照射線量としては、一般的に0.001〜10Mrad(メガラッド)の範囲を挙げることができる。好ましくは、0.01〜2Mradの範囲、さらに好ましくは、0.01〜0.5Mradの範囲を挙げることができる。ヒアルロン酸の場合、約0.01Mradより低い線量および約0.5Mradより高い線量では、架橋ヒアルロン酸は十分な水不溶性とはならない。
【0034】
必要に応じて照射線量を調節したり、繰り返し照射を行うことも可能である。照射時間は通常、0.01〜10秒、好ましくは0.1〜1秒と極めて短く、温度上昇がすくないので得られる架橋多糖の糖鎖の低分子化を効果的に防止することができると共に反応系の殺菌効果も優れているという利点もある。
照射時の温度は、任意の温度をとることができるが、一般に常温状態が有利である。反応の雰囲気については特に制限はなく、空気中、不活性ガス中、減圧下などいずれの雰囲気においても架橋をおこなうことができる。
【0035】
また照射の際の、イオン化放射線反応性多糖の形態は、架橋可能な形態であれば限定されず、例えば薄いフィルム、厚めのシート、ゲル又は溶液等の形態が挙げられ、また、これらは透明であっても着色していてもよい。特に、本発明に使用されるイオン化放射線は従来シンナモイル基を有する多糖を架橋するために用いられていた紫外線とは異なりエネルギー(透過力)が高いので、イオン化放射線反応性多糖の厚いシートや該反応性多糖のゲルや溶液の架橋反応に好適に使用することができる。シートの厚みとしては、0.01〜10mm、好ましくは0.05〜2mm程度が例示され、溶液としては、例えば水溶液として0.1〜90重量%程度のものが例示される。該反応性多糖の種類によって、好ましい水溶液としての濃度を選択することができる。該反応性多糖が多糖としてヒアルロン酸を選択したものであれば、0.1〜5重量%、コンドロイチン硫酸であれば0.1〜50重量%が好ましい水溶液の濃度である。
【0036】
イオン化放射線としては、架橋させるのに照射時間が短くてよく、照射の際の温度上昇がほとんどない点、被照射物に与える影響(多糖の低分子化等)が小さい点等から電子線が好ましい。
電子線照射装置としては、イオンプラズマ型電子線照射装置、連続ビーム走査型電子線照射装置等を挙げることができる。
【0037】
用途に応じて原料の多糖の種類、分子量、結合するイオン化放射線反応性化合物の種類、DS等を選定あるいは制御してイオン化放射線反応性多糖を製造し、さらに該反応性多糖に照射するイオン化放射線の照射条件を選定あるいは制御することにより所望の架橋率、ひいては所望の物性(例えば、力学的強度、保水性、親水性または疎水性、潤滑性、薬物放出速度等)および生物学的性質(例えば生分解性、生体吸収性、生体内または生体外での長期安定性、細胞接着性、生理活性(抗血栓性等)等)、を有する架橋多糖を製造することができる。
【0038】
例えば、DSが高いイオン化放射線反応性多糖は、イオン化放射線照射によって、容易に架橋し、架橋率が高く、密な三次元網目構造の架橋多糖となる。そして、三次元構造が粗いものに比べ一般的に高強度で、膨潤率〔(膨潤時の重さ−乾燥時の重さ)/乾燥時の重さ〕が低い。また、スペーサーを含むイオン化放射線反応性多糖は、スペーサーを含まないものに比べ低いDSで架橋が可能であり、膨潤率が高い架橋多糖が得られる。例えば分子量が百万のヒアルロン酸を原料としスペーサーを介してケイ皮酸を結合させた化合物に適切なイオン化放射線を照射した場合、DSが最大値の0.5%以下であっても架橋し、高強度の架橋多糖が得られる。
【0039】
また、架橋率を変動させることによって生物学的機能をコントロールすることができる。例えば、多糖およびイオン化放射線反応性化合物の種類によってその傾向は異なるが、内皮細胞のような細胞は、疎水性、DS、架橋率が増加すると、架橋多糖に接着しやすい傾向にある。この性質を利用し、多糖およびイオン化放射線反応性化合物の種類を選択し、DSおよび/または架橋率をコントロールした、異なる細胞接着の性質を有する架橋多糖を人工血管の内膜(内腔面)と外膜にコーティングすることによって内膜と外膜に異なる機能を付与することができる。すなわち、例えば、内膜を細胞非接着性とすることによって血栓の生成を防止し、一方、外膜には細胞接着性を付与して繊維芽細胞を接着させ、血液非透過性とすることができる。
【0040】
さらに架橋多糖は、イオン化放射線照射前の形状のまま、あるいはさらに破砕等を行うことで所望の形状(膜状、管状、粒状、ゲル状等)に成形することができる。
本発明の製造法で得られる、架橋多糖および架橋多糖を含む改質された医用材料は、生体適合性が良好であるので、人工臓器(例えば人工血管、人工心臓、人工皮膚等)を構成する材料のほか、創傷被覆材、欠損部補填材、癒着防止材、生理活性物質徐放デバイスを構成する材料、ハイブリッド人工臓器を作成する際に内皮細胞、上皮細胞、平滑筋細胞を接着、増殖させるために有用な人工細胞外マトリックス、コンタクトレンズまたは人工基底膜の素材、診断・治療に用いる医療器具等に用いることができる。
【0041】
また、生理活性物質が包含されてなる架橋多糖は、包埋された生理活性物質の徐放化が可能な材料または医薬製剤として用いることができる。
以下、代表的用途についてより具体的に説明する。
〔癒着防止材〕
本発明の製造法で得られる架橋多糖は、外科手術の際に手術痕の癒着を防止し、回復を早めるための癒着防止材として使用することができる。この場合多糖としてはヒアルロン酸のようなそれ自身が創傷治癒効果を有するものが好ましい。
【0042】
例えば、多糖としてヒアルロン酸を選択した架橋多糖(以下、架橋ヒアルロン酸ということがある)の膜(フィルム)で、腹壁または腹腔内臓器(肝臓等)を被覆し、腹膜損傷部(腹膜欠損部)を保護することによって癒着を防止し、創傷治癒を促進し、創傷治癒速度に応じて該膜を分解、吸収させることができる。また膜内に抗炎症剤、創傷治癒促進剤等を含有、徐放させることにより前記の効果を高めさせることも可能である。
【0043】
本発明の製造法で得られる架橋多糖を癒着防止材として使用する際には、膜の割れなどがない適度な強度を有し、組織(細胞)非接着性で、創傷治癒速度に応じた生分解性を示し、分解後には生体に吸収されても毒性を示さない機能を有していることが望ましい。これら機能は、イオン化放射線反応性多糖の種類(多糖の種類、イオン化放射線反応性化合物の種類、DSの選択)、及びイオン化放射線照射時のイオン化放射線照射条件を選択することにより制御できる。
【0044】
〔薬剤徐放化(コントロール・リリース)〕
本発明の製造法で得られる生理活性物質が包含されてなる架橋多糖は、その三次元網目構造中に生理活性物質(以下、薬剤ということがある)を包埋させ、薬剤を徐放化させるための材料(担体)として使用することができる。すなわち、薬剤の種類と利用の態様に応じた期間中、薬剤が放出される環境において要求される一定範囲の薬剤濃度を維持しつつ、該薬剤を放出させることができる。
【0045】
薬剤の徐放速度の制御は、イオン化放射線反応性多糖の種類の選択(多糖の種類、イオン化放射線反応性化合物の種類、DSの選択)、及びイオン化放射線照射時のイオン化放射線照射条件、具体的にはイオン化放射線線量等を調節することにより行い得る。この場合、通常、薬剤の分子量が大きくなればなる程、また薬剤と架橋多糖とが静電的または疎水的に引き合う力が大きい程、放出速度は遅くなるが、薬剤と前記イオン化放射線反応性多糖の各化学構造(分子量、荷電状態(親水性あるいは疎水性の度合)など)の組合せを選択あるいは剤型を工夫することにより、所望の放出速度に制御することができる。
【0046】
薬剤が架橋多糖に包埋された薬剤徐放性材料または製剤は、薬剤の種類と利用の態様に応じた任意の形態に加工することができる。例えば、膜(フィルム、コーティング)、ゼリー、ゲル、クリーム、懸濁液、マイクロカプセル、錠剤、顆粒、粉末等に加工することができる。また、ガーゼ、包帯、編織物、紙、綿、不織布、フィルム、多孔性スポンジ等の支持体に薬剤を含むイオン化放射線反応性多糖の溶液またはゲルを染み込ませたり塗布した後、必要に応じて乾燥し、イオン化放射線を照射して架橋多糖として利用に供してもよい。さらに、薬剤を含むイオン化放射線反応性多糖を人工臓器(人工血管、人工心臓等)などの構造物の表面、内腔面に塗布して架橋させてもよい。
【0047】
本発明の架橋多糖に薬剤を包埋させるには、例えば約0.1〜90重量%のイオン化放射線反応性多糖を含む水溶液または有機溶媒(例、ジメチルフォルムアミド)溶液に約0.001〜80%となるように薬剤を溶解または懸濁させ、必要に応じて各種添加剤を添加し、成形し、必要に応じて乾燥させた後、イオン化放射線を照射する。架橋後、そのまま、または必要に応じて粉砕して固体、半固体または懸濁液状の薬剤徐放性材料を得ることができる。
【0048】
本発明の製造法で得られる薬剤を包含する架橋多糖は医薬品製剤として使用することができる。この場合、薬剤を含む架橋多糖をそのまま、または必要に応じて薬学的に許容される保存剤、安定化剤、無痛化剤、分散剤、成形性を調節するための添加剤、溶解補助剤等とともに用いて公知の製剤技術によって任意の剤形とすることができる。例えば、薬剤を含む架橋多糖を、そのままフィルム化したり、他の支持体を用いて固定し、経皮吸収剤、眼内投与剤(例、角膜創傷治癒促進剤)、生体内埋込用剤、体腔内挿入用剤(例、座剤)とすることもできる。これらは創傷用ドレッシング、薬剤放出パッチ類(ばんそう膏など)、避妊用具等として用いることができる。
【0049】
薬剤を含む架橋多糖を医薬品製剤として使用する場合に用いられる薬剤として、有効血中濃度あるいは有効局所濃度を維持するために通常頻回投与を余儀なくされる薬剤であり、架橋多糖の網目構造に保持されてコントロール・リリースされる薬剤である場合、特に有効であるが、特に限定されない。具体的には下記の薬物が例として挙げられる。
【0050】
1.インドメタシン、メフェナム酸、アセメタシン、アルクロフェナック、イブプロフェン、塩酸チアラミド、フェンブエン、メピリゾール、サリチル酸等の解熱鎮痛消炎剤、
2.メトトレキサート、フルオロウラシル、硫酸ビンクリスチン、マイトマイシンC、アクチノマイシンC、塩酸ダウノルビシン等の抗悪性腫瘍剤、
3.アセグルタミドアルミニウム、L−グルタミン、P-(トランス-4-アミノメチルシクロヘキサンカルボニル)-フェニルプロピオン酸塩酸塩、塩酸セトラキサート、スルピリド、ゲファルナート、シメチジン等の抗潰瘍剤、
4.キモトリプシン、ストレプトキナーゼ、塩化リゾチーム、ブロメライン、ウロキナーゼ等の酵素製剤、
5.塩酸クロニジン、塩酸ブニトロロール、塩酸ブラゾシン、カプトプリル、硫酸ベタニジン、酒石酸メトプロロール、メチルドバ等の血圧降下剤、
6.塩酸フラボキサート等の泌尿器官用剤、
7.ヘパリン、ジクロマール、ワーファリン等の血液凝固阻止剤、
8.クロフィブラート、シンフィブラート、エラスターゼ、ニコモール等の動脈硬化用剤、
9.塩酸ニカルジピン、塩酸ニモジピン、チトクロームC、ニコチン酸トコフェロール等の循環器官用剤、
10.ヒドロコルチゾン、プレドニゾロン、デキサメタゾン、ベタメタゾン等のステロイド剤、
11.成長因子、コラーゲン等の創傷治癒促進剤(特開昭60−222425参照)、
その他生理活性を有するポリペプチド、ホルモン剤、抗結核剤、止血剤、糖尿病治療剤、血管拡張剤、不整脈治療剤、強心剤、抗アレルギー剤、抗うつ剤、抗てんかん剤、筋弛緩剤、鎮咳去たん剤、抗生物質等が挙げられる。
【0051】
本発明の薬剤徐放性材料を人工臓器(人工血管、人工心臓等)などの構造物の構成部分(表面等)として使用する医用材料として使用することができる。この場合、特に血液と接触する表面を構成する医用材料として使用し、抗血栓性を付与するために抗凝固性物質(ヘパリン、ヘパラン硫酸、トロンボモジュリン等)、線溶賦活作用物質(組織プラスミノーゲンアクチベータ、ウロキナーゼ等)、抗血小板作用物質を架橋多糖に包埋させ、これらの物質をコントロール・リリースさせることができる。
【0052】
〔人工細胞外マトリックス、人工基底膜〕
イオン化放射線反応性多糖とコラーゲン、ゼラチン、フィブロネクチン等の細胞接着性蛋白質を混合して架橋し架橋多糖とするか、これらの蛋白質を架橋多糖に化学的に結合したものを、細胞(内皮細胞、上皮細胞、平滑筋細胞等)を接着、増殖させるための人工細胞外マトリックスまたは人工基底膜(特開平1−124465、特開昭61−128974、特開昭62−270162号公報等)として利用することができる。これらはハイブリッド(型)人工臓器(人工血管、人工皮膚等)に応用することができる。
【0053】
【実施例】
以下に実施例により本発明をさらに詳細に説明する。
なお、実施例において、各種の物性および生物学的機能は以下の機器および方法で測定した。
UV/VisスペクトルはJasco Ubest-30UV/VS spectrometerを使用して測定した。
【0054】
イオン化放射線反応性化合物の結合度(DS)はUVから算出した。すなわち、イオン化放射線反応性化合物を結合した低分子のモデル化合物(多糖分解物)のUV吸収との比較で求めた。
架橋多糖のゲル化率の測定は次式から求めた。
ゲル化率(%)=Wg(swollen)/Wg(dry)×100
Wg(dry)は、乾燥した架橋多糖の重量
Wg(swollen)は、乾燥した架橋多糖を精製水に24時間浸した後の架橋多糖の乾燥重量
実施例1
ヒアルロン酸−ケイ皮酸エステルの調製及びその電子線照射による架橋ヒアルロン酸の調製
(1)ヒアルロン酸−ケイ皮酸エステルの調製
ヒアルロン酸(分子量88万)ナトリウム塩5gの水−ジオキサン混合溶液(2l水/500mlジオキサン)に、無水ケイ皮酸(50mmol)、4−ジメチルアミノピリジン(50mmol)、トリエチルアミン(50mmol)の混合物のジオキサン溶液(200ml)を加え、室温で、2時間攪拌した。反応液に酢酸ナトリウム飽和のエタノールを加えて生じた沈澱を集め、エタノールで充分洗浄し、乾燥後ヒアルロン酸のケイ皮酸エステルを得た。
【0055】
収量:4.5g
DS:0.0593(UVから求めた)
GPC測定より、ヒアルロン酸の低分子化は起こってなかった。
(2)架橋ヒアルロン酸の調製
上記ヒアルロン酸−ケイ皮酸エステルの水溶液(400mg/80ml)を6cm×9cmのプラスチック製の角型シャーレ上に乗せ無菌の40℃温風で1晩乾燥させた。得られた無色透明の厚さ50μmのフィルムに、イオンプラズマ型電子線照射装置で0.125Mradの電子線を照射した。
【0056】
照射の結果、未照射では水に易溶性であったフィルムが水不溶性のフィルムとなった。
実施例2
6−アミノヘキサノイル−4−アミノケイ皮酸メチルエステル塩酸塩を使用した電子線反応性ヒアルロン酸の調製及びその電子線照射による架橋ヒアルロン酸の調製
(1)電子線反応性ヒアルロン酸の調製
t−ブトキシカルボニル−6−アミノヘキサン酸693mg(3.0mmol)をクロロホルム3mlに溶解させ、トリエチルアミン417μl(3.0mmol)および塩化ジメチルホスフィノチオイル389μl(3.0mmol)のクロロホルム溶液1mlを氷冷下、順次加えた。室温で5分間攪拌した後、トリエチルアミン417μl(3.0mmol)と、4−アミノケイ皮酸メチルエステル532mg(3.0mmol)のクロロホルム溶液を氷冷下で加え、再び室温で一昼夜攪拌した。反応液を減圧濃縮した後、酢酸エチルを50ml加え、5%クエン酸水溶液で2回、水、5%炭酸水素ナトリウムで2回、水、飽和食塩水で分液洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、濾過し、ろ液を減圧濃縮し、エーテルを加え結晶を析出させた。得られた結晶をエーテルで洗浄した後、減圧乾燥し、白色結晶として、t−ブトキシカルボニル−6−アミノヘキサノイル−4−アミノケイ皮酸メチルエステルを468mg(収率40%)で得た。
【0057】
この化合物468mg(1.2mmol)に氷冷下4N塩化水素−ジオキサン溶液4mlを加え、室温で30分攪拌し脱保護反応を行った。薄層クロマトグラフィー(エーテルで展開)で反応(t−ブトキシカルボニル基の脱保護)の完了を確認した後、無水エーテルを20ml加え結晶を析出させた。結晶をガラスフィルター上で数回エーテル洗浄した後、減圧乾燥し、6−アミノヘキサノイル−4−アミノケイ皮酸メチルエステル塩酸塩377mg(収率97%)を得た。
【0058】
ヒアルロン酸(分子量88万)ナトリウム塩(400mg)と6−アミノヘキサノイル−4−アミノケイ皮酸メチルエステル塩酸塩(0.1mmol)とを水−ジオキサン混合液(100ml水/20mlジオキサン)に加え、さらに、N−ヒドロキシコハク酸イミド(0.2mmol)と水溶性カルボジイミド(1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド)(0.1mmol)とを加えて、室温で、2時間反応させた。反応液に酢酸ナトリウム飽和のエタノールを加えて生じた沈澱を集め、エタノールで充分洗浄し、乾燥後電子線反応性ヒアルロン酸を得た。
【0059】
収量:372mg
DS:0.0008(UVから求めた)
(2)架橋ヒアルロン酸フィルムの調製
上記電子線反応性ヒアルロン酸の水溶液(372mg/80ml)を6.2cm×9.2cmのプラスチック製の角型シャーレ上に乗せ無菌の40℃温風で1晩乾燥させた。得られた無色透明の厚さ50μmのフィルムに、イオンプラズマ型電子線照射装置で0.125Mradの電子線を照射した。
【0060】
照射の結果、未照射では水に易溶性であったフィルムが水不溶性で高膨潤性のフィルムとなった。
ゲル化率:85%
(3)上記の電子線反応性ヒアルロン酸への電子線の照射線量と得られた架橋ヒアルロン酸の水中での形状の関係を表1に示す。なお、水中での形状は、架橋ヒアルロン酸のフィルム(約1×1cm)を過剰量の精製水に24時間浸した後のフィルム形状である。
【0061】
【表1】
Figure 0003955107
【0062】
実施例3
ケイ皮酸(6−アミノヘキシル)エステル塩酸塩を使用した電子線反応性ヒアルロン酸の調製及びその電子線照射による架橋ヒアルロン酸の調製
(1)電子線反応性ヒアルロン酸の調製
t−ブトキシカルボニル−6−アミノヘキサノール2.085g(9.6mmol)をクロロホルム9.6mlに溶解させ、トリエチルアミン1.32ml(9.6mmol)、ケイ皮酸クロライド1.38ml(9.6mmol)および4−ジメチルアミノピリジン1.173mg(4.8mmol)を氷冷下添加した。5分間攪拌後、室温で5時間攪拌を行った。反応液を減圧濃縮した後、50ml酢酸エチルを加え、5%クエン酸水溶液で2回、水、5%炭酸水素ナトリウムで2回、水、飽和食塩水で分液洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、ろ過し、ろ液を減圧濃縮して、白色粉末のケイ皮酸(t−ブトキシカルボニル−6−アミノヘキシル)エステルを2.974g(収率89.1%)得た。
【0063】
この化合物2.974g(8.6mmol)に氷冷下4N塩化水素−ジオキサン溶液50mlを添加し、2時間室温で攪拌し脱保護反応を行った。薄層クロマトグラフィー(エーテルで展開)で反応(t−ブトキシカルボニル基の脱保護)の完了を確認した後、反応液を減圧濃縮し、エーテルを加え沈澱を得た。沈澱をエーテルで洗浄後、減圧乾燥し、白色粉末のケイ皮酸(6−アミノヘキシル)エステル塩酸塩1.974g(収率70%)を得た。
【0064】
ヒアルロン酸(分子量88万)ナトリウム塩(400mg)と、ケイ皮酸(6−アミノヘキシル)エステル塩酸塩(0.1mmol)とを水−ジオキサン混合液(100ml水/20mlジオキサン)に加え、さらに、N−ヒドロキシコハク酸イミド(0.2mmol)と水溶性カルボジイミド(0.1mmol)とを加え、室温で2時間反応させた。反応液に酢酸ナトリウム飽和のエタノールを加えて生じた沈澱を集め、エタノールで充分洗浄し、乾燥後標記電子線反応性ヒアルロン酸を得た。
【0065】
収量:371mg
DS:0.0022(UVから求めた)
(2)架橋ヒアルロン酸膜の調製
上記電子線反応性ヒアルロン酸の水溶液(371mg/80ml)を9.2cm×6.2cmのプラスチック製の角型シャーレ上に乗せ無菌の40℃温風で1晩乾燥させた。得られた無色透明の厚さ50μmのフィルムに、イオンプラズマ型電子線照射装置で0.125Mradの電子線を照射した。
【0066】
照射の結果、未照射では水に易溶性であったフィルムが水不溶性で高膨潤性のフィルムとなった。
ゲル化率:72%
実施例4
シンナモイル−6−アミノヘキサン酸を使用した電子線反応性キトサンの調製及びその電子線照射による架橋キトサンの調製
(1)電子線反応性キトサン
6−アミノヘキサン酸1.31g(10mmol)を水2mlに溶解させ、4M水酸化ナトリウム水溶液2.5ml(10mmol)を加えた。氷冷下ケイ皮酸クロリド1.58ml(11mmol)/ジオキサン溶液2mlと4M水酸化ナトリウム3ml(12mmol)を3回に分け、反応液が酸性にならない様にゆっくり滴下した。室温で一昼夜攪拌した後、ジオキサンを減圧留去し、酢酸エチルを加え、分液洗浄した。水相にクエン酸を加え酸性とし、酢酸エチルで3回抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、ろ過し、ろ液を減圧濃縮し白色固体を得た。得られた固体はエタノール−エーテル−ヘキサンで再結晶し、白色結晶として2.00g(収率77%)のシンナモイル−6−アミノヘキサン酸を得た。
【0067】
この化合物のカルボキシル基をジメチルホルムアミド(DMF)中でジメチルホスフィノチオイルとの混合酸無水物とした。
キトサン(生化学工業、脱アセチル化度70〜90%)(290g)の懸濁水溶液にトリエチルアミン(0.2mmol)を加え、さらに上記混合酸無水物を加えた。室温にて2時間攪拌後、反応液に酢酸ナトリウム飽和のエタノールを加えて生じた沈澱を集め、ガラスフィルター上でエタノールで充分洗浄し、乾燥後標記化合物を得た。
【0068】
収量:230mg
(2)架橋キトサン膜の調製
上記電子線反応性キトサンの酢酸水溶液(230mg/200ml)を4cm×7cmのプラスチック製の角型シャーレ上に乗せ無菌の40℃温風で1晩乾燥させた。得られた無色の厚さ50μmの透明なフィルムに、イオンプラズマ型電子線照射装置で0.25Mradの電子線を照射した。
【0069】
照射の結果、未照射ではもろく水に溶けにくいものであったフィルムが、完全に水不溶性でしなやかなフィルムとなった。
実施例5 インドメタシンを包埋する架橋多糖の調製
実施例1の(1)で得られたヒアルロン酸−ケイ皮酸エステルの5%水溶液5mlに25μgのインドメタシンを溶解させ、スライドグラス上に乗せ無菌の温風で乾燥させた。できた膜にイオンプラズマ型電子線照射装置で0.25Mradの電子線を照射して、目的物を得た。
【0070】
実施例6 人工血管
小口径人工血管(内径3mm)の内側面に実施例3で得られた電子線反応性ヒアルロン酸の水溶液を回転コーティングした後乾燥した。続いて人工血管の外部より電子線照射装置を用いて0.5Mradの電子線を照射し、架橋させ架橋ヒアルロン酸が内側面にコーティングされた人工血管を得た。
【0071】
上記のとおり人工血管の内側面を架橋ヒアルロン酸でコーティング後、さらに外側面に疎水性、高DSおよび高架橋度になるようなイオン化放射線反応性多糖で覆い、人工血管外部より電子線を照射した場合は、内膜を、親水性、低DSおよび低架橋度の膜で覆い、内膜を細胞非接着性とすることによって血栓の生成を防止し、外膜を疎水性、高DSおよび高架橋度の膜で覆い、細胞接着性とすることで繊維芽細胞を接着させ血液非透過性とした人工血管を製造することができる。
【0072】
【発明の効果】
本発明の製造法によれば、イオン化放射線反応性多糖にイオン化放射線を照射することにより二次元および/または三次元架橋構造を有する安全性、生体適合性、生分解吸収性の高い医用材料を提供することができる。また、多糖の分子量、イオン化放射線反応性基の種類、イオン化放射線反応性多糖のDS、架橋率、ゲル化率等を選定、制御することにより所望の物性を有する架橋多糖からなる医用材料を提供することができるので、種々の医療分野における応用性は極めて広い。

Claims (14)

  1. グリコサミノグリカンおよびキトサンから選択される生体適合性の多糖と、ケイ皮酸、アミノケイ皮酸および前記多糖と共有結合するためのスペーサーを含むケイ皮酸もしくはアミノケイ皮酸から選択される電子線反応性化合物とを共有結合してなる電子線反応性多糖に、電子線を0.01〜2Mrad照射することにより、該電子線反応性多糖に共有結合された該電子線反応性化合物残基どうしの架橋反応をおこさせることを特徴とする架橋多糖の製造法。
  2. 電子線の照射時間が0.01〜10秒であることを特徴とする請求項1記載の架橋多糖の製造法。
  3. 電子線の照射時間が0.1〜1秒であることを特徴とする請求項1記載の架橋多糖の製造法。
  4. グリコサミノグリカンヒアルロン酸、コンドロイチン、コンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸、ヘパリン、ヘパラン硫酸、ケラタン硫酸、これらのアシル誘導体、多硫酸体、脱硫酸体および脱アシル体からなる群から選択される少なくとも1種である請求項1記載の架橋多糖の製造法。
  5. スペーサーを含むケイ皮酸もしくはアミノケイ皮酸が下記一般式(3)〜(5)であることを特徴とする請求項1記載の架橋多糖の製造法。
    N(CR OCOCH=CH−Ph (3)
    [式(3)中、R およびR はそれぞれ独立に水素原子または低級アルキル基を、Phはフェニル基または炭素数1〜4の低級アルキル基もしくはアルコキシ基、アミノ基または水酸基で置換されたフェニル基を、nは2〜18の整数を表す。]
    A−NH−Ph−CH=CHCOOR 10 (4)
    [式(4)中、R 10 はアルキル基を表す。AはH NCR 11 12 CO−(NHCR 11 12 CO) −またはH N(CR 11 12 CO−を表す。該R 11 およびR 12 はそれぞれ独立に水素原子または低級アルキル基を表す。−Ph−はパラフェニレン基、炭素数1〜4の低級アルキル基もしくはアルコキシ基、または水酸基で置換されたパラフェニレン基を、mは0〜5の整数、hは1〜18の整数を表す。]
    HOOC−(CR 13 14 −NH−COCH=CH−Ph (5)
    [式(5)中、R 13 およびR 14 はそれぞれ独立に水素原子または低級アルキル基を、Phはフェニル基または炭素数1〜4の低級アルキル基もしくはアルコキシ基、アミノ基または水酸基で置換されたフェニル基を、kは2〜18の整数を表す。]
  6. 生体適合性の多糖がヒアルロン酸であり、スペーサーを含むケイ皮酸もしくはアミノケイ皮酸が請求項5に記載の一般式(3)〜(5)であることを特徴とする請求項1記載の架橋多糖の製造法。
  7. 生体適合性の多糖がキトサンであり、スペーサーを含むケイ皮酸もしくはアミノケイ皮酸が請求項5に記載の一般式(3)〜(5)であることを特徴とする請求項1記載の架橋多糖の製造法。
  8. 生体適合性の多糖がヒアルロン酸であり、電子線反応性化合物がケイ皮酸であることを特徴とする請求項1記載の架橋多糖の製造法。
  9. 生体適合性の多糖がヒアルロン酸であり、電子線反応性化合物が6−アミノヘキサノイル−4−アミノケイ皮酸メチルエステルであることを特徴とする請求項1記載の架橋多糖の製造法。
  10. 生体適合性の多糖がヒアルロン酸であり、電子線反応性化合物がケイ皮酸(6−アミノヘキシル)エステルであることを特徴とする請求項1記載の架橋多糖の製造法。
  11. 生体適合性の多糖がキトサンであり、電子線反応性化合物がシンナモイル−6−アミノヘキサン酸であることを特徴とする請求項1記載の架橋多糖の製造法。
  12. 生理活性物質を含む請求項1記載の電子線反応性多糖に、電子線を0.01〜2Mrad照射することにより、該電子線反応性多糖に共有結合された電子線反応性化合物残基どうしの架橋反応をおこさせることを特徴とする生理活性物質が包含されてなる架橋多糖の製造法。
  13. 電子線反応性多糖が、溶液、ゲル又はシートの状態であることを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項に記載の架橋多糖の製造法。
  14. 架橋多糖、または生理活性物質が包含されてなる架橋多糖が、膜状、粒状、またはゲル状である請求項1〜13のいずれか1項に記載の架橋多糖の製造法。
JP12879595A 1995-05-01 1995-05-01 架橋多糖の製造法 Expired - Fee Related JP3955107B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP12879595A JP3955107B2 (ja) 1995-05-01 1995-05-01 架橋多糖の製造法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP12879595A JP3955107B2 (ja) 1995-05-01 1995-05-01 架橋多糖の製造法

Related Child Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2007023160A Division JP2007146178A (ja) 2007-02-01 2007-02-01 キトサン誘導体及び架橋キトサン

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH08301903A JPH08301903A (ja) 1996-11-19
JP3955107B2 true JP3955107B2 (ja) 2007-08-08

Family

ID=14993636

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP12879595A Expired - Fee Related JP3955107B2 (ja) 1995-05-01 1995-05-01 架橋多糖の製造法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3955107B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007146178A (ja) * 2007-02-01 2007-06-14 Seikagaku Kogyo Co Ltd キトサン誘導体及び架橋キトサン

Families Citing this family (18)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
GB2347858A (en) * 1999-03-18 2000-09-20 Lovesgrove Res Ltd Anti-viral compounds
CA2435491C (en) 2001-01-31 2010-02-02 Seikagaku Corporation Crosslinked polysaccharide sponge
ZA200502606B (en) * 2002-09-25 2010-07-28 Univ Johns Hopkins Cross-linked polymer matrices, and methods of making and using same
JP4636883B2 (ja) * 2002-11-21 2011-02-23 中外製薬株式会社 薬物徐放担体
DE602004032525D1 (de) * 2003-03-11 2011-06-16 Seikagaku Kogyo Co Ltd Rstellungsverfahren dafür
EP1666503B1 (en) * 2003-09-12 2010-05-05 Seikagaku Corporation Polysaccharide pseudo-sponge
JP4523812B2 (ja) * 2004-07-02 2010-08-11 生化学工業株式会社 胚性幹細胞の培養用基材及びその用途
JP5013355B2 (ja) * 2005-03-30 2012-08-29 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構 改質シュガービートペクチンの製造方法およびその用途
CN101287473B (zh) * 2005-10-12 2013-01-02 生化学工业株式会社 包含疏水基团结合型糖胺聚糖在制备预防或治疗角膜上皮层病症的药物中的用途
EP2094280A1 (en) 2006-12-06 2009-09-02 Seikagaku Corporation Pharmaceutical agent having long-lasting effect of treating arthritic disorders
KR100880899B1 (ko) * 2007-03-21 2009-01-30 서울산업대학교 산학협력단 이온 빔 조사에 의해 제조된 분자량이 조절된 생분해성물질 및 그의 제조방법
ITTO20110428A1 (it) * 2011-05-13 2012-11-14 Rottapharm Spa Esteri dell'acido ialuronico, loro preparazione ed uso in dermatologia
WO2017052133A1 (ko) * 2015-09-22 2017-03-30 바이오플러스 주식회사 히알루론산을 이용한 겔 시트 및 그 제조방법
WO2017126939A1 (ko) * 2016-01-20 2017-07-27 경북대학교 산학협력단 생체적합성 나노입자 및 이의 용도
KR102070878B1 (ko) * 2019-11-29 2020-01-29 장진희 가교제 없이 전자선을 이용하여 히알루론산을 가교시키는 필러 시술용 머크겔의 제조 방법
KR102070881B1 (ko) * 2019-11-29 2020-01-29 장진희 전자선 가교를 이용한 히알루론산 마이크로겔의 제조 방법 및 필러 시술용 하이드로겔로서의 용도
CN111920712A (zh) * 2020-07-23 2020-11-13 珠海市雅莎医疗器械有限公司 一种含超氧化物歧化酶的组合物及其制备方法
KR20220105599A (ko) * 2021-01-18 2022-07-27 경북대학교 산학협력단 히알루론산, 폴리에틸렌글리콜 및 실리콘 함유 성분을 포함하는 생체적합성 하이드로겔

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS55158055A (en) * 1979-05-25 1980-12-09 Teijin Ltd Preparation of antithrombus medical material
JPH03149705A (ja) * 1989-11-02 1991-06-26 Fuji Photo Film Co Ltd 高分子固体電解質
JP2855307B2 (ja) * 1992-02-05 1999-02-10 生化学工業株式会社 光反応性グリコサミノグリカン、架橋グリコサミノグリカン及びそれらの製造方法
JPH06181980A (ja) * 1992-12-18 1994-07-05 Mitsubishi Cable Ind Ltd 生体適合性エラストマーおよび医療用器具

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007146178A (ja) * 2007-02-01 2007-06-14 Seikagaku Kogyo Co Ltd キトサン誘導体及び架橋キトサン

Also Published As

Publication number Publication date
JPH08301903A (ja) 1996-11-19

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5763504A (en) Photcurable glycosaminoglycan derivatives, crosslinked glycosaminoglycans and method of production thereof
JP3955107B2 (ja) 架橋多糖の製造法
US11744926B2 (en) Anti-adhesive barrier membrane using alginate and hyaluronic acid for biomedical applications
US6458386B1 (en) Medicaments based on polymers composed of methacrylamide-modified gelatin
KR100730527B1 (ko) 히알루론산 겔 조성물과 그의 제조방법 및 그것을함유하는 의용 재료
JP4727812B2 (ja) 重合開始剤基を担持する架橋可能なマクロマー
JP4214051B2 (ja) エラスチン架橋体およびその製造方法
CZ296842B6 (cs) Zesítené hyaluronové kyseliny
WO2003047462A1 (en) Polysaccharide-based polmerizable hydrogels
JP2005508663A (ja) 架橋性マクロマー
JP2002504601A (ja) ポリウレタンに共有結合した硫酸化ヒアルロン酸及びその硫酸化誘導体、並びにそれらの調製方法
KR101379380B1 (ko) 생체적합성 히알루론산 가교물을 포함하는 약물 전달 조성물
JP2007146178A (ja) キトサン誘導体及び架橋キトサン
US20220160752A1 (en) Genipin-crosslinked pdrn-sacran biopolymer scaffolds
Singh et al. Alginate-based hydrogels: synthesis, characterization, and biomedical applications
Magagula et al. Biopolymer-based biodegradable biomaterials for in vivo and in vitro biomedical applications
CN108721254B (zh) 一种紫杉醇-n-琥珀酰羟乙基壳聚糖高分子药物长效缓释膜片及其制备方法
JP4433430B2 (ja) 医療用高分子ゲルおよびその製造方法
Ribeiro et al. Polymeric nanoparticles and sponges in the control and stagnation of bleeding and wound healing
WO2024063737A1 (en) Production and use of bacterial cellulose in pure form or by impregnation of various agents and produced in spherical form for bone regeneration, alone and in combination with various graft materials

Legal Events

Date Code Title Description
A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20060412

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20060425

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20060609

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20061206

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20070201

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20070418

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20070501

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110511

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110511

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120511

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130511

Year of fee payment: 6

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees