JP4433430B2 - 医療用高分子ゲルおよびその製造方法 - Google Patents

医療用高分子ゲルおよびその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP4433430B2
JP4433430B2 JP22399899A JP22399899A JP4433430B2 JP 4433430 B2 JP4433430 B2 JP 4433430B2 JP 22399899 A JP22399899 A JP 22399899A JP 22399899 A JP22399899 A JP 22399899A JP 4433430 B2 JP4433430 B2 JP 4433430B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
arg
pro
gly
ala
phe
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP22399899A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2001046487A (ja
JP2001046487A5 (ja
Inventor
秀明 山田
明士 藤田
瑞子 尾下
富夫 今岡
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kuraray Co Ltd
Original Assignee
Kuraray Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kuraray Co Ltd filed Critical Kuraray Co Ltd
Priority to JP22399899A priority Critical patent/JP4433430B2/ja
Publication of JP2001046487A publication Critical patent/JP2001046487A/ja
Publication of JP2001046487A5 publication Critical patent/JP2001046487A5/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4433430B2 publication Critical patent/JP4433430B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Medicinal Preparation (AREA)
  • Materials For Medical Uses (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、医療用高分子ゲルおよびその製造方法に関する。さらに詳しくは、本発明は薬剤放出特性に優れる医療用高分子ゲルおよびその製造方法に関するものであり、本発明の医療用高分子ゲルは、創傷被覆材、生体組織接着材、癒着防止材、骨補強材、薬剤放出基材の構成成分などとして医療分野で有効に使用することができる。
【0002】
【従来の技術】
従来、外傷や熱傷、潰瘍、褥瘡などの創傷の治療には、ガーゼおよび/または軟膏類が汎用されてきた。これらは滲出液を吸収し、かつ外部からの細菌などの侵入を防ぐ効果がある。さらに、近年では、創部からの滲出液中に存在する治癒を促進する種々の増殖因子を創部に保持して創部治癒促進効果を示す閉鎖性被覆材が注目されるようになり、ポリウレタンフイルム、ハイドロコロイド、アルギン酸ゲル、ポリビニルアルコールスポンジ、ポリビニルアルコール含水ゲルなどが使用されている。
【0003】
しかしながら、ポリウレタンフイルム、ハイドロコロイド、アルギン酸ゲル、ポリビニルアルコールスポンジ、ポリビニルアルコール含水ゲルなどからなるこれらの閉鎖性の創傷被覆材は、創傷の治癒促進効果に優れているものの、一度細菌感染を引き起こすと、その湿潤環境が細菌にとって好適な培地となるため、細菌が急速に増殖して重度の感染を起こす危険がある。そこで、細菌感染の予防や治療のために、抗菌剤の全身投与や局部投与が行われるが、細菌感染創は一般に血行が悪く、全身投与では有効量の抗菌剤が創部に到達せず、また局部投与では抗菌剤の細胞毒性により治癒が阻害されるという副作用がある。
【0004】
また、従来より、高分子ゲルは医療分野における各種用途に用いられており、高分子ゲルに薬剤を含有させた創傷被覆材やドラッグデリバリーシステム(DDS)などが知られている。高分子ゲルに薬剤を含有させた創傷被覆材として、特表平4−501067号公報には、傷手当て具を構成している不溶性アルギン酸塩と可溶性アルギン酸塩との混合アルギン酸塩からなる傷接触パッドに抗微生物剤や局部麻酔剤などの薬剤を含有させたものが開示されている。しかしながら、この創傷被覆材は、抗微生物剤や局部麻酔剤などの薬剤がゲルに固定されていないため、常に放出されており、細胞毒性などの副作用が生ずる危険があり、抗微生物剤を用いた場合には薬剤に対する耐性菌を発生させる危険もある。
【0005】
また、特表平6−500028号公報には、少なくとも表面に創傷治癒を促進するペプチドを共有結合しおよび/または抗菌剤を含有させたヒドロゲルを構成成分とする創傷被覆材が開示されている。しかし、この創傷被覆材では、表面に創傷治癒促進ペプチドが化学結合されており、この結合は切断されないため、創傷被覆材に接触している部分でしか効果が発現しないという欠点がある。
【0006】
そして、高分子ゲルのDDSへの応用としては、セルロース粉末に-Phe-、-Tyr-、-Ile-Tyr-または-Gly-Ile-Tyr-からなるアミノ酸結合またはペプチド結合を介して pholcodine を結合させたものが知られている[F.Lapicque & E.Dellacherie,J.Controlled Release,4,39−45(1986)参照]。しかしながら、酵素によるペプチド結合の分解速度が遅く、実用化に至っていない。
【0007】
上記のような状況下に、薬剤による細胞毒性やその他の副作用が少なく、しかも疾患部以外の箇所に害を与えずに少量の薬剤の使用で疾患部を選択的に治癒することのできる、安全で且つ治癒効果の高い創傷被覆材やドラッグデリバリーシステムなどに用い得る医療用材料が求められてきた。そして、本発明者らは、上記した従来の医療用材料に比べて、安全性に優れ、しかも治癒効果の高い医療用材料を開発することを目的として研究を行ってきた。
そして、下記の一般式;
【0008】
【化
A−B−C−D
(式中、Aは水膨潤性高分子ゲル、Bはスペーサー、Cは酵素反応で主鎖が切断され得る分解性基、Dは薬剤を表す)
で表される結合形態を有する医療用高分子ゲルが、酵素が産生される病巣において薬剤を選択的に放出し、病巣以外の部分に副作用を与えることなく病巣の治療を行えることを見出して出願した(特開平8−24325号公報参照)。
さらに、下記の一般式;
【0009】
【化
A−Sp1−E−Sp2−G
(式中、Aは水膨潤性高分子ゲル、Sp1は第1のスペーサー、Eは酵素で切断され得る分解性基、Sp2は第2のスペーサーおよびGは薬剤を示す。)
で表される結合形態を有する医療用高分子ゲルも、酵素が産生される病巣において薬剤を選択的に放出し、病巣以外の部分に副作用を与えることなく病巣の治療を行えることを見出して出願した(特開平10−155892号公報参照)。
【0010】
そして、本発明者らが、上記した一般式:A−B−C−Dまたは一般式:A−Sp1−E−Sp2−Gで表される結合形態を有する医療用高分子ゲルについてさらに検討を重ねたところ、これらの医療用高分子ゲルでは、高分子ゲルへの薬剤の結合反応として、不溶性の高分子物質である高分子ゲルと、低分子物質であるスペーサー、酵素分解性基、薬剤などとの間の不均一反応を利用しており、水膨潤性高分子ゲルの面積が大きい場合には、ゲル全体に薬剤が均一に結合されにくいために、薬剤の結合量にムラを生じて薬剤の放出性能が不安定になり易いことが判明した。また、ゲル状の高分子物質に低分子物質を結合させる反応は、一般に反応率が低いために、目的とする量の薬剤が結合されない場合が多く、十分な効果が発揮できないという問題がある。反応時間を延長すれば反応収率を上げることができるが、生産性の低下、製造コストの増大という問題がある。また、これらの医療用高分子ゲルにおいて、水膨潤性高分子ゲルの膨潤状態での空隙が少ない場合には、酵素がゲル内部に浸透しにくくなり、ゲル表面に結合している薬剤のみが分離・放出され、細菌増殖を阻止し得る濃度にならないために細菌感染の阻止が困難になり、改良の余地があることが判明した。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、酵素が産生される病巣において薬剤を選択的に放出し、病巣以外の部分に副作用を与えることなく、病巣の治癒効果を発現するのに十分な量の薬剤を病巣部位にムラなく放出させることのできる薬剤の放出特性に優れる医療用高分子ゲルを提供することである。
さらに、本発明の目的は、そのような医療用高分子ゲルを簡便に生産性良く製造することのできる方法を提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成すべく本発明者らが更に検討を重ねた結果、スペーサーおよび酵素で切断され得る分解性基を介して薬剤をそのまま吸水性高分子ゲルに結合する代わりに、薬剤を、酵素で切断され得る分解性基を介して又は酵素で切断さ得る分解性基とスペーサーを介して担体粒子に結合して薬剤結合粒子をつくり、その薬剤結合粒子を吸水性高分子ゲルの中に包括固定すると、それにより得られる医療用高分子ゲルは、酵素が産生される病巣において薬剤を選択的に放出でき、しかも病巣以外の部分に副作用を与えることなく、病巣の治癒効果を発現するのに十分な量の薬剤を病巣部位にムラなく放出し、上記した従来の医療用材料に比べて、より高い感染防止効果を有することを見出した。
さらに、本発明者らは、上記した医療用高分子ゲルは、吸水性高分子ゲルを形成し得る高分子素材の溶液または分散液の中に酵素で切断され得る分解性基によって薬剤を担体粒子に結合した前記薬剤結合粒子を混合した後に該高分子素材をゲル化するか、または吸水性高分子ゲルを予め製造した後に該ゲル中に酵素で切断され得る分解性基によって薬剤を担体粒子に結合した前記薬剤結合粒子を挿入することによって、極めて簡便に且つ生産性良く、安価に製造できることを見出し、それらの知見に基づいて本発明を完成した。
【0013】
すなわち、本発明は、吸水性高分子ゲルの中に、酵素で切断され得る分解性基およびスペーサーを介して薬剤を担体粒子に結合してなる下記の一般式(I)で表される薬剤結合粒子を包括固定してなることを特徴とする医療用高分子ゲルである。
【化6】
X−S p1 −E−S p2 −G (I)
[式中、Xは担体粒子、S p1 は第1のスペーサー、Eは酵素で切断され得る分解性基、S p2 は第2のスペーサーおよびGは薬剤を示し;
p1 およびS p2 は、それぞれ、−CO−(CH 2 ) 2 −CO−、−CO−(CH 2 ) 2 −CO−NH−CH 2 −CO−、−CH 2 −CO−NH−(CH 2 ) 2 −NH−CO−(CH 2 ) 2 −CO−、−CH 2 −CH(OH)−CH 2 −NH−CO−(CH 2 ) 2 −CO−、−CH 2 −CH(OH)−CH 2 −NH−(CH 2 ) 2 −NH−CO−(CH 2 ) 2 −CO−、−NH−(CH 2 ) 2 −NH−CO−CH 2 −NH−CO−(CH 2 ) 2 −CO−、−NH−(CH 2 ) 2 −NH−CO−CH 2 −NH−CO−(CH 2 ) 3 −CO−、−CO−(CH 2 ) 2 −NH−CO−CH 2 −NH−CO−(CH 2 ) 2 −CO−、−NH−(CH 2 ) 2 −NH−CO−CH 2 −NH−CO−(CH 2 ) 2 −CO−、−NH−(CH 2 ) 2 −NH−CO−CH 2 −NH−CO−(CH 2 ) 3 −CO−、−NH−(CH 2 ) 2 −NH−CO−CH(CH 3 )−NH−CO−(CH 2 ) 2 −CO−、−NH−(CH 2 ) 2 −NH−CO−CH(CH 2 OH)−NH−CO−(CH 2 ) 2 −CO−、配列番号10で示される-Gly-Phe-Pro-Ala-Gly-Gly-、配列番号11で示される-Gly-Tyr-Pro-Ala-Gly-Gly-、配列番号12で示される-Gly-Phe-Pro-Ala-、-Gly-Phe-および-Gly-Gly-から選ばれる基であり;
Eは、-Arg-、-Ala-、-Ala(D)-、-Val-、-Leu-、-Lys-、-Pro-、-Phe-、-Tyr-、-Glu-、配列番号1で示される-Ile-Glu-Gly-Arg-、配列番号2で示される-Ala-Gly-Pro-Arg-、配列番号3で示される-Arg-Val-(Arg) 2 -、-Val-Pro-Arg-、-Val(D)-Pro-Arg-、-Gln-Ala-Arg-、-Gln-Gly-Arg-、-Asp-Pro-Arg-、-Gln-(Arg) 2 -、-Phe-Arg-、-(Ala) 2 -、-Ala-Ala(D)-、配列番号4で示される-(Ala) 2 -Pro-Val-、-(Val) 2 -、-(Ala) 2 -Leu-、-Gly-Leu-、-Phe-Leu-、-Val-Leu-Lys-、配列番号5で示される-Gly-Pro-Leu-Gly-Pro-、-(Ala) 2 -Phe-、-(Ala) 2 -Tyr-、-(Ala) 2 -His-、配列番号6で示される-(Ala) 2 -Pro-Phe-、-Ala-Gly-Phe-、-Asp-Glu-、-(Glu) 2 -、-Ala-Glu-、-Ile-Glu-、配列番号7で示される-Gly-Phe-Leu-Gly-、-(Arg) 2 -、-Phe-Pro-Arg-、-Phe(D)-Pro-Arg-、-Tyr-Pro-Arg-、-Tyr(D)−Pro−Arg−、D−グルコース、N−アセチルガラクトサミン、N−アセチルノイラミン酸、N−アセチルグルコサミン、N−アセチルマンノサミンまたはこれらのオリゴ糖、オリゴデオキシアデニン、オリゴデオキシグアニン、オリゴグアニン、オリゴシトシン、オリゴウリジン、配列番号8で示される-Val-Pro-Arg-Gly-Val-Pro-Arg-Gly-Val-Pro-Arg-、配列番号9で示される-Phe-Pro-Arg-Gly-Phe-Pro-Arg-および-Phe(D)-Pro-Arg-Gly-Phe(D)-Pro-Arg-から選ばれる基である。]
そして、本発明は、吸水性高分子ゲルを形成し得る高分子素材の溶液または分散液中に、酵素で切断され得る分解性基およびスペーサーを介して薬剤を担体粒子に結合してなる上記の一般式(I)で表される薬剤結合粒子を混合した後、該高分子素材をゲル化することを特徴とする上記医療用高分子ゲルの製造方法である。
さらに、本発明は、吸水性高分子ゲルを製造した後、酵素で切断され得る分解性基およびスペーサーを介して薬剤を担体粒子に結合してなる上記の一般式(I)で表される薬剤結合粒子を、該吸水性高分子ゲル中に挿入することを特徴とする上記医療用高分子ゲルの製造方法である。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下に本発明について詳細に説明する。
まず、本発明の医療用高分子ゲルで用いる「酵素で切断され得る分解性基およびスペーサーを介して薬剤を担体粒子に結合してなる薬剤結合粒子」(以下単に「薬剤結合粒子」ということがある)について説明する。
本明細書中では、薬剤結合粒子について説明する際に、アミノ酸残基をアミノ酸について慣用されている略号によって記述することがある。その際に特に断らない限りL体のアミノ酸残基を示し、D体のアミノ酸残基の場合には略号の後(右側)に(D)を付記して記述する。また、本明細書では、常法にしたがってペプチドのアミノ酸配列を、そのN−末端のアミノ酸残基が左側に位置し、C−末端のアミノ酸残基が右側に位置するように記述する。
【0015】
本発明の医療用高分子ゲルで用いる薬剤結合粒子は、薬剤が酵素で切断され得る分解性基およびスペーサーを介して担体粒子に結合している上記の一般式(I)で表される粒子である。本発明では、薬剤結合粒子として、酵素で切断され得る分解性基(以下「酵素分解性基」という)およびスペーサーを介して薬剤が担体粒子に結合されている上記の一般式(I)で表される粒子であって且つ酵素が進入するのに十分な大きさの孔を有し、血液、血漿、細胞間液などの体液や生理食塩水などの体液類似液に溶解せず、生体適合性に優れる粒子が使用される。医療用高分子ゲルの使用目的、使用形態などに応じて、酵素分解性基に作用する酵素の種類が異なり、その酵素の分子サイズが変わるので、対象となる酵素の分子サイズに適した孔径を有する薬剤結合粒子を選択すれば良い。
【0016】
本発明で用いる薬剤結合粒子は、酵素分解性基およびスペーサーを介して薬剤が担体粒子に結合されていて、酵素が該酵素分解性基を分解することによって薬剤が担体粒子から切断、分離されて放出されるものである酵素分解性基を介して薬剤が担体粒子に結合されている薬剤結合粒子としては、例えば、以下の一般式(I)〜(III)に示すものが挙げられるが、本発明では薬剤結合粒子として、下記の一般式(I)で表されるものを用いる。
【0017】
【化
X−Sp1−E−Sp2−G (I)
X−Sp1−E−G (II)
X−E−G (III)
(式中、Xは担体粒子、Sp1は第1のスペーサー、Eは酵素で切断され得る分解性基、Sp2は第2のスペーサー、Gは薬剤を示す。)
【0018】
本発明で用いる一般式(I)で表される薬剤結合粒子、薬剤結合粒子の製造が容易であり、しかも酵素による酵素分解性基(E)の切断性の制御を円滑に行うことができて、該薬剤結合粒子を吸水性高分子ゲル中に包括固定してなる医療用高分子ゲルからの薬剤の放出特性に優れる
【0019】
薬剤結合粒子における担体粒子(X)としては、2個のスペーサー(Sp1、Sp2 と酵素分解性基(E)を介して薬剤(G)を安定に結合でき、対象となる酵素が進入し得る大きさの孔を有し、血液、血漿、細胞間液などの体液や生理食塩水などの体液類似液に溶解せず、しかも生体適合性に優れる粒子粒状物であればいずれも使用可能である。
【0020】
従来、酵素を不溶性粒状担体に固定化した固定化酵素が各種分野で広く用いられているが、酵素の固定化に用いる前記担体は担体中への酵素の進入が可能であることから、本発明では、薬剤結合粒子における前記担体粒子(X)として、固定化酵素の調製に従来広く用いられてきた粒状担体(例えば千畑一郎著「固定化酵素」、講談社発行、1975に記載されている粒状担体)を好適に用いることができる。
また、蛋白質の精製に当たっては、アフィニティークロマトグラフィー用の粒状担体が種々用いられているが、これらの粒状担体も、分子量数十万の蛋白質が自由に通過することのできる大きな空隙(孔)を多数有していることから、本発明で用いる薬剤結合粒子における担体粒子(X)として好適に用いられる。
そのような担体粒子(X)の具体例としては、アガロース、デキストラン、セルロースなどからなる多孔性ビーズなどを挙げることができる。本発明で用いる薬剤結合粒子は、1種類の担体粒子のみを用いて調製されていてもまたは2種以上の担体粒子を用いて調製されていてもよい。
【0021】
担体粒子の粒径は、本発明の医療用高分子ゲルの使用目的や使用態様などに応じて、異なり得るが、一般的には、担体粒子の平均粒径が1〜1000μmであることが、薬剤結合粒子を吸水性高分子ゲルの中に円滑に包括固定できる点から好ましく、10〜100μmであることがより好ましい。
【0022】
薬剤結合粒子における酵素分解性基(E)、病巣部位に存在する酵素によって特異的にその主鎖が切断され得る基であり、医療用高分子ゲルを適用する病巣部位などに応じて、酵素分解性基(E)の種類も異なり得る。
病巣部位に存在する酵素には、例えば、エラスターゼ、カテプシンG、カテプシンE、カテプシンB、カテプシンH、カテプシンL、トリプシン、ペプシン、キモトリプシン、γ−グルタミルトランスフェラーゼ(γ−GTP)などのペプチド加水分解酵素、ホスホリラーゼ、ノイラミニダーゼ、デキストラナーゼ、アミラーゼ、リゾチーム、オリゴサッカラーゼなどの糖鎖加水分解酵素、アルカリホスファターゼ、エントリボヌクレアーゼ、エンドデオキシリボヌクレアーゼなどのオリゴヌクレオチド加水分解酵素などがあり、酵素分解性基(E)は、これらの酵素、または病巣部位に存在する前記以外の酵素によって主鎖が特異的に切断される
【0023】
本発明で用いる薬剤結合粒子における酵素分解性基(E)としては、-Arg-、-Ala-、-Ala(D)-、-Val-、-Leu-、-Lys-、-Pro-、-Phe-、-Tyr-、-Glu-よりなるアミノ酸残基;配列番号1で示される-Ile-Glu-Gly-Arg-、配列番号2で示される-Ala-Gly-Pro-Arg-、配列番号3で示される-Arg-Val-(Arg)2-、-Val-Pro-Arg-、-Val(D)-Pro-Arg-、-Gln-Ala-Arg-、-Gln-Gly-Arg-、-Asp-Pro-Arg-、-Gln-(Arg)2-、-Phe-Arg-、-(Ala)2-、-Ala-Ala(D)-、配列番号4で示される-(Ala)2-Pro-Val-、-(Val)2-、-(Ala)2-Leu-、-Gly-Leu-、-Phe-Leu-、-Val-Leu-Lys-、配列番号5で示される-Gly-Pro-Leu-Gly-Pro-、-(Ala)2-Phe-、-(Ala)2-Tyr-、-(Ala)2-His-、配列番号6で示される-(Ala)2-Pro-Phe-、-Ala-Gly-Phe-、-Asp-Glu-、-(Glu)2-、-Ala-Glu-、-Ile-Glu-、配列番号7で示される-Gly-Phe-Leu-Gly-、-(Arg)2-、-Phe-Pro-Arg-、-Phe(D)-Pro-Arg-、-Tyr-Pro-Arg-、-Tyr(D)−Pro−Arg−よりなる2〜6量体のオリゴペプチド;D−グルコース、N−アセチルガラクトサミン、N−アセチルノイラミン酸、N−アセチルグルコサミン、N−アセチルマンノサミンまたはこれらのオリゴ糖;オリゴデオキシアデニン、オリゴデオキシグアニン、オリゴグアニン、オリゴシトシン、オリゴウリジンよりなるオリゴリボ核酸を挙げることができる。
【0024】
上記したうちでも、酵素分解性基(E)は、酵素による切断のされ易さ、体内に入った場合の安全性などの点から、アミノ酸または2〜6量体のオリゴペプチド残基である、配列番号5で示される-Gly-Pro-Leu-Gly-Pro-、-Val-Pro-Arg-、-Val(D)-Pro-Arg-、-Phe-Pro-Arg-、-Phe(D)-Pro-Arg-、-Tyr-Pro-Arg-、-Tyr(D)-Pro-Arg-から選ばれるオリゴペプチド残基であることが好ましい
【0025】
また、酵素分解性基(E)は、酵素による切断性を増大させるために、酵素反応で主鎖が分解され得る基の1種以上を2個以上直列に結合した基であってもよく、そのような酵素分解性基としては、配列番号8で示される-Val-Pro-Arg-Gly-Val-Pro-Arg-Gly-Val-Pro-Arg-、配列番号9で示される-Phe-Pro-Arg-Gly-Phe-Pro-Arg-、-Phe(D)-Pro-Arg-Gly-Phe(D)-Pro-Arg-を挙げることができる。
【0026】
本発明で用いる薬剤結合粒子では、上述のように、担体粒子(X)と酵素分解性基(E)との間にスペーサー(Sp1)を結合させ且つ薬剤(G)と酵素分解性基(E)との間にもスペーサー(Sp2)を結合させる[上記一般式(I)で示した薬剤結合粒子]ことによって、酵素による酵素分解性基(E)の切断性の制御を円滑に行うことができる。
【0027】
スペーサー(Sp1)およびスペーサー(Sp2としては、−CO−(CH2)2−CO−、−CO−(CH2)2−CO−NH−CH2−CO−、−CH2−CO−NH−(CH2)2−NH−CO−(CH2)2−CO−、−CH2−CH(OH)−CH2−NH−CO−(CH2)2−CO−、−CH2−CH(OH)−CH2−NH−(CH2)2−NH−CO−(CH2)2−CO−、−NH−(CH2)2−NH−CO−CH2−NH−CO−(CH2)2−CO−、−NH−(CH2)2−NH−CO−CH2−NH−CO−(CH2)3−CO−、−CO−(CH2)2−NH−CO−CH2−NH−CO−(CH2)2−CO−、−NH−(CH2)2−NH−CO−CH2−NH−CO−(CH2)2−CO−、−NH−(CH2)2−NH−CO−CH2−NH−CO−(CH2)3−CO−、−NH−(CH2)2−NH−CO−CH(CH3)−NH−CO−(CH2)2−CO−、−NH−(CH2)2−NH−CO−CH(CH2OH)−NH−CO−(CH2)2−CO−、配列番号10で示される-Gly-Phe-Pro-Ala-Gly-Gly-、配列番号11で示される-Gly-Tyr-Pro-Ala-Gly-Gly-、配列番号12で示される-Gly-Phe-Pro-Ala-、-Gly-Phe-、-Gly-Gly-を挙げることができる。
【0028】
上記したうちでも、スペーサー(Sp1)およびスペーサー(Sp2)が、−CO−(CH2)2−CO−、−CO−(CH2)2−CO−NH−CH2−CO−、−NH−(CH2)2−NH−CO−CH2−NH−CO−(CH2)2−CO−、−NH−(CH2)2−NH−CO−CH2−NH−CO−(CH2)2−CO−、配列番号10で示される-Gly-Phe-Pro-Ala-Gly-Gly-、配列番号11で示される-Gly-Tyr-Pro-Ala-Gly-Gly-、配列番号12で示される-Gly-Phe-Pro-Ala-、-Gly-Phe-、-Gly-Gly-のうちのいずれかであるのが好ましい。
上記の一般式(I)で表される薬剤結合粒子では、スペーサー(Sp1)とスペーサー(Sp2)は同じであっても、または異なっていてもよいが、スペーサー(Sp1)が−CO−(CH2)2−CO−または−CO−(CH2)2−CO−NH−CH2−CO−であり、スペーサー(Sp2)が配列番号10で示される-Gly-Phe-Pro-Ala-Gly-Gly-、配列番号11で示される-Gly-Tyr-Pro-Ala-Gly-Gly-、配列番号12で示される-Gly-Phe-Pro-Ala-、-Gly-Phe-、-Gly-Gly-のうちのいずれかであるのがより好ましい。
【0029】
スペーサー(Sp1)、スペーサー(Sp2)および酵素分解性基(E)は、それぞれの基の内容にしたがって通常の有機合成法によって調製することができる。例えば、それらがオリゴペプチド残基である場合は、ペプチドの合成において通常用いられている方法、例えば、固相合成法または液相合成法によって調製できる[例えば、日本生化学会編「続生化学実験講座2 タンパク質の化学(下)」
第641〜694頁(昭和62年5月20日)(株式会社東京化学同人発行)参照]。また、それらのオリゴ糖残基である場合は糖鎖の合成ないし抽出において通常用いられている方法によって調製できる[例えば、日本生化学会編「新生化学実験講座3 糖質I」第95〜140頁および第421〜438頁(1990年)(株式会社東京化学同人発行)参照]。さらに、それらがオリゴ核酸残基である場合は、核酸の合成ないし抽出において通常用いられている方法によって調製できる[例えば、日本生化学会編「新生化学実験講座2 核酸III」第254〜269頁(1992年)(株式会社東京化学同人発行)、および日本生化学会編「新生化学実験講座2 核酸I」第147〜168頁(1991年)(株式会社東京化学同人発行)参照]。
【0030】
本発明で用いる薬剤結合粒子において、スペーサー(S p1 )、酵素分解性基(E)およびスペーサー(S p2 を介して担体粒子に結合される薬剤(G)は、医療用高分子ゲルの用途に応じて適宜選択することができ、特に制限されない。
本発明の医療用高分子ゲルを創傷被覆材、生体組織接着剤、癒着防止材として用いる場合は、薬剤として、例えば、消毒剤、抗生剤などの抗菌剤;アクトシン、プロスタグラジンE1(PGE1)などの血行改善剤;ステロイド、インドメタシンなどの消炎鎮痛剤;形質転換成長因子(transforming growth factorβ:TGFβ)、血小板由来成長因子(platelet-derived growth factor:PDGF)、繊維芽細胞成長因子(fibroblast growth factor:FGF)などの成長因子;ウリナスタチン、tissue inhibitor of metalloproteinase(TIMP)などの酵素阻害剤などが用いられる。また、本発明の医療用高分子ゲルを骨補強材として用いる場合は、例えば、骨誘導因子(bone morphogenetic protein:BMP)、TGFβ、甲状腺ホルモン(parathyroid hormone:PTH)などの骨細胞成長因子、インターロイキン1(IL−1)阻害剤、ビスホスホネート、カルシトニンなどの骨吸収抑制因子などが用いられる。また、本発明の医療用高分子ゲルを薬剤放出基材として用いる場合は、例えば、ネオカルチノスタチン、アドリアマイシンなどの抗癌剤;ステロイド、非ステロイド性抗炎症剤などの抗炎症剤などが挙げられる。
【0031】
本発明の医療用高分子ゲルでは、病巣部位において産生される酵素の量に応じて酵素分解性基(E)の切断が行われて該酵素の量に応じて薬剤が放出されるため、担体粒子への薬剤の結合量を厳密に制御する必要はないが、病巣部位において治療効果が発現されるのに最低限必要な量以上の薬剤が担体粒子に結合されている必要がある。担体粒子への薬剤の結合量はスペーサー(Sp1)の導入率によって制御することができる。
【0032】
本発明で用いる薬剤結合粒子において、薬剤を、スペーサー(S p1 、酵素分解性基(E)およびスペーサー(Sp2)を介して担体粒子(X)に結合するに当たっては、共有結合によって結合することが好ましく、その際の結合方法としては、固定化酵素、アフィニティクロマトグラフィーなどにおいて通常採用されている公知の活性化方法および反応方法を用いることができる。限定されるものではないが、例えば、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド塩酸塩、ジシクロヘキシルカルボジイミドなどの縮合剤を用いる脱水縮合反応、アルカリ触媒を用いる脱炭酸反応、エポキシ基のアンモノリシス反応、エステル交換反応、ウレタン結合形成反応などを採用して結合(固定化)することができる。本発明で用いる上記の一般式(I)で表される薬剤結合粒子において、スペーサー(Sp2)と薬剤(G)とがエステル結合、エーテル結合またはペプチド結合によって結合されていると、酵素分解性基(E)が酵素の作用によって分解されて薬剤が放出されたときに薬剤の化学構造に大きな影響を与えることがなく、薬効が有効に発揮されるので好ましい。
薬剤を、スペーサー(S p1 、酵素分解性基(E)およびスペーサー(Sp2)を介して担体粒子(X)に結合する際の反応の順序は特に制限されない。
【0033】
本発明の医療用高分子ゲルは、上記した薬剤結合粒子が、吸水性高分子ゲルの中に包括固定されている。ここで、本明細書でいう「薬剤結合粒子が吸水性高分子ゲルの中に包括固定されている」とは、薬剤結合粒子が、吸水性高分子ゲル全体の中に均一または不均一に分散して包含されている状態、吸水性高分子ゲルの一部に分散して包含されている状態、または吸水性高分子ゲルの一部にかたまって包含されている状態を意味する。医療用高分子ゲルの用途や使用形態などに応じて、前記したいずれか状態を選択することができる。
【0034】
また、本発明で言う「吸水性高分子ゲル」とは、高分子素材から形成された吸水性の固体材料の総称であり、したがって高分子素材からなるコロイド粒子または高分子溶質が独立した運動性を失って集合して固化した吸水性の固体(通常のいわゆるゲル)およびそれ以外の吸水性の固体状高分子材料を包含する。
本発明で用いる吸水性高分子ゲルは、天然高分子系素材および合成高分子系素材に大別され、目的とする性能に応じて、天然高分子系素材のみを用いても、合成高分子系素材のみを用いても、または両者を併用してもよい。
【0035】
天然高分子系素材としては、例えば、アガロース、アガロペクチン、アミロース、アミロペクチン、アラビアゴム、アラビナン、アルギン酸ナトリウム、イソリケナン、カードラン、カゼイン、カラギーナン、デンプン、カローズ、寒天、キサンタンガム、キチン、キトサン、絹フィブロイン、グアーガム、クインスシード、クラウンゴール多糖、グリコーゲン、グルコマンナン、ケラタン硫酸、ケラチンタンパク質、紅藻デンプン、酵母マンナン、コラーゲン、ジランガム、シゾフィラン、ゼラチン、セルロース、ゾウゲヤシマンナン、タマリンドシードガム、HSタンパク質、LSタンパク質、ツニシン、デキストラン、デルマタン硫酸、トラガカントゴム、ニゲラン、ヒアルロン酸、フコイダン、プスツラン、フノラン、プルラン、分解キシログルカン、HMペクチン、LMペクチン、ポリアミノ酸、ポルフィラン、ラミナラン、リケンナン、レンチナン、ローカストビーンガム、およびこれらの人工的な誘導体などを挙げることができ、本発明ではこれらの1種または2種以上を用いることができる。
【0036】
合成高分子系素材としては、重付加反応、重縮合反応などの重合反応により製造される合成高分子のいずれも使用でき、各種のモノマーの組み合わせにより様々な機能を発現する高分子素材を製造し、本発明に用いることができる。
本発明において吸水性高分子ゲル用の素材として用い得る合成高分子系素材の例としては、オレフィン系重合体、フッ素樹脂系重合体、スチレン系重合体、(メタ)アクリル酸系重合体、(メタ)アクリル酸エステル系重合体、(メタ)アクリルアミド系重合体、ビニルエーテル系重合体、(メタ)アクリロニトリル系重合体、カルボン酸ビニル系重合体、ビニルアルコール系重合体、ポリケトン系重合体、ビニルアセタール系重合体、ポリアミド系重合体、ポリカーボネート系重合体、ポリエチレングリコール系重合体、ポリプロピレングリコール系重合体、ポリウレタン系重合体、ポリイミド系重合体、ポリスルホン系重合体、ポリシロキサン系重合体などを挙げることができる。これらの重合体は、単独重合体であってもまたは共重合体であってもよい。
【0037】
本発明で用いる吸水性高分子ゲルの吸水メカニズムとしては、(1)吸水性高分子ゲルの空隙部分に水分を吸収するもの、(2)吸水性高分子ゲル自体がヒドロゲルを形成して吸水、膨潤するもの、または(3)吸水性高分子ゲルの空隙部分への水分吸収と吸水性高分子ゲル自体のヒドロゲル形成の両方が作用するものののいずれであってもよく、目的に応じて選択することができる。
【0038】
空隙部分に水分を吸収する前記(1)の吸水性高分子ゲルは、高分子素材を繊維集合体、微多孔質体またはスポンジ体などの形態に形成することにより得ることができる。
また、ヒドロゲルを形成して吸水、膨潤する前記(2)の吸水性高分子ゲルは、一般に、水溶性高分子に特定の架橋処理を施すことによって得ることができる。架橋処理は、水溶性高分子鎖間を適当な架橋剤により共有結合で結合させることによっても行うことができ、また疎水結合、イオン結合などの非共有結合によっても行うことができる。さらに、架橋性基を有する水溶性高分子を人工的に予め合成し、その後に架橋反応を誘起して架橋させることもできる。この場合にも吸水性高分子ゲルは、繊維集合体、微多孔質体、スポンジ体やその他の形態にすることができる。
そして、空隙部分への水分の吸収とヒドロゲル形成による吸水の両方が作用して膨潤する上記(3)の吸水性高分子ゲルは、水溶性高分子を架橋した後に、繊維集合体、微多孔質体またはスポンジ体やその他の形態に形成することによって得ることができる。
【0039】
前記した繊維集合体は、前述の高分子素材を用いて織編物、不織布、ウエッブ状などにすることで製造することができる。この場合に、予め紡糸した高分子素材を用いて繊維集合体を製造してもよいし、またはメルトブローによって紡糸、ウエッブ化および不織布化を行ってもよい。
【0040】
前記した微多孔質体は、前述の高分子素材を利用して、例えば、ミクロ相分離法、抽出法、溶融冷却法、延伸法、電子線エッチング法、ミクロゲル連結法、凍結乾燥法などにより製造することができる。
【0041】
前記したスポンジ体は、例えば、高分子素材に有機発泡剤および/または無機発泡剤を混合して発泡剤の分解温度以上に加熱する発泡剤分解法、高分子素材に溶剤を混合しておき加熱や高分子素材の合成時の反応熱により溶剤を気化して発泡させる溶剤気散法、高分子素材に気体を混合分散させ加熱、放圧して発泡させる気体混入法、高分子素材に化学的に反応する成分を混合してその反応時の発生ガスを利用するか又は化学反応により高分子素材を形成すると同時にガスを発生する材料を使用して発泡させる化学反応法、高分子素材に可溶性物質を予め添加しておき、水や溶剤で抽出除去した多孔化する抽出法、高分子素材粒子を粒子間に空隙が残るようにして焼結して多孔化する焼結法などにより製造することができ、目的に応じて適当な方法を採用することができる。
吸水性高分子ゲルは、上記した繊維集合体、微多孔質体、スポンジ体やその他の形態の2種以上から形成されていても、またはこれらの材料と他の材料との複合体や積層体などであってもよい。
【0042】
生体組織や細胞の表面は親水性の糖鎖の存在により多量の水を含んだゲル様の構造を有している。一方、水で膨潤した高分子含水ゲルも多量の水を含み、生体と類似した構造を持つので優れた生体適合性を示す。しかし、高分子含水ゲルの水膨潤率が高すぎるとゲルの物理的な強度が低下するので、本発明で用いる吸水性高分子ゲルは、平衡状態にまで水で膨潤させたときの高分子含水ゲルの重量が、水を含有させる前の高分子素材の乾燥重量の1〜1000倍の範囲になるものが好ましく、1〜200倍の範囲になるものがより好ましい。
【0043】
吸水性高分子ゲルの中への薬剤結合粒子の包括固定方法は特に制限されず、医療用高分子ゲルの用途や使用形態などに応じて選択できる。一般には、(i)吸水性高分子ゲルを形成し得る高分子素材の溶液または分散液中に薬剤結合粒子を混合した後に該高分子素材を特定の形態、例えば繊維集合体、微多孔質体、スポンジ体などに形成する方法、または(ii)高分子素材から繊維集合体、微多孔質体、スポンジ体、その他の形態の吸水性高分子ゲルを予め形成しておき、その一部に必要に応じて穴をあけた後、薬剤結合粒子を外部から挿入する方法が、簡便であり、生産性も高いことから好ましく採用される。吸水性高分子ゲルの全体に薬剤結合粒子を分散させる場合は前記(i)の方法が好ましく採用される。また、吸水性高分子ゲルの一部に薬剤結合粒子を含有させたい場合や、吸水性高分子ゲルが繊度の小さい繊維の集合体であって紡糸時に紡糸原料中に薬剤結合粒子を添加すると糸切れなどを生じて紡糸が困難な場合は前記(ii)の方法が好ましく採用される。
【0044】
吸水性高分子ゲルの中に薬剤結合粒子を包括固定してなる本発明の医療用高分子ゲルは、必要に応じて、Ca2+などのような薬理作用を有する金属イオン、グリセリン、ポリエチレングリコールなどのゲル柔軟化剤、安定化剤などのような薬理学的に通常許容される添加物を含んでいてもよい。また、本発明の医療用高分子ゲルは、ブドウ糖液や生理食塩水などのような生理学的に許容され得る溶液で適宜膨潤させて用いてもよく、その際に該溶液は薬理学的に許容される種々の添加剤を含んでいてもよい。また、本発明の医療用高分子ゲルを体液などの滲出量の多い箇所に使用する場合は乾燥状態で用いてもよい。
さらに、薬剤結合粒子における薬剤が湿潤状態で安定性があまり高くない場合は、薬剤結合粒子を吸水性高分子ゲルの中に包括固定してなる医療用高分子ゲルを乾燥した状態で保存したり、流通させてもよい。
【0045】
本発明の医療用高分子ゲルの使用形態や投与形態などは特に制限されず、例えば、創面に対する被覆材、接着剤、癒着防止材などの外用材、骨補強材、薬剤徐放基材などとして用いることができる。骨補強材として用いる場合は、例えば骨腔内投与、骨折部位断面への投与などの投与形態が採用でき、また薬剤徐放基材として用いる場合は、例えば、皮下投与、腹腔内投与、関節内投与、経皮投与、経口投与、脈管内投与などの投与形態を採用することができる。
【0046】
本発明の医療用高分子ゲルは、その使用目的や投与形態などに応じて、例えば、シート、フイルム、繊維、織布、不織布、編布、網状物、液状、粉末状、スポンジ状、塊状などの任意の形態を採ることができる。
本発明の医療用高分子ゲルから得られる創傷被覆材は、含水率が高く、柔軟であるので、創部に対する物理的な刺激が少なく、患者に与える苦痛が少ない。しかも、保水性が良好なので、創傷被覆材の交換回数が少なくてすみ、貼り換えによる患者の苦痛、看護の手間、創部のダメージが軽減できる。さらに、担体粒子に結合させた薬剤の放出性に優れていて、疾患部に高濃度の薬剤を放出することができ、且つ疾患部からの滲出液中の治癒促進因子を良好に保持してその機能を妨げないので、創部の治癒を極めて良好に促進することができる。
【0047】
限定されるものではないが、例えば、酵素分解性基(E)として好中球が産生する酵素(エラスターゼ、カテプシンGなど)で切断される酵素分解性基[例えば、-(Ala)3-、配列番号4で示される-(Ala)2-Pro-Val-、配列番号6で示される-(Ala)2-Pro-Phe-等のオリゴペプチド]を有し且つ抗炎症剤や抗菌剤などの薬剤を結合した薬剤結合粒子を吸水性高分子ゲルの中に包括固定してなる本発明の医療用高分子ゲルを用いるときは、好中球が浸潤し、活性化されている炎症部位でのみ、そこに存在する酵素量に対応して上記した分解性基の切断が行われて薬剤が放出され、抗炎症作用または抗菌作用が発現される。
【0048】
また、例えば、細菌が産生する酵素(Staphylococcal serin proteinase、Staphylococcal cysteine proteinaseなど)や、酵素活性化作用を有する物質(Staphylocoagulaseなど)によって活性化される酵素(Thrombinなど)で切断される酵素分解性基[例えば、-Asp-Glu-、-Ala-Gly-Phe-、-Val-Pro-Arg-、-Val(D)-Pro-Arg-、-Phe-Pro-Arg-、-Phe(D)-Pro-Arg-、-Tyr-Pro-Arg-、-Tyr(D)-Pro-Arg-など]を有し且つゲンタマイシンやノルフロキサシンなどの抗菌剤を結合してなる薬剤結合粒子を吸水性高分子ゲルの中に包括固定してなる本発明の医療用高分子ゲルを用いるときは、細菌感染発生時に感染部位でのみ抗菌剤が放出されて抗菌作用が発現する。
【0049】
さらに、例えば、酵素分解性基(E)として酸性条件下で活性化される酵素(カテプシンE、ペプシンなど)で切断される酵素分解性基[例えば-(Ala)2-Phe-、配列番号6で示される-(Ala)2-Pro-Phe-、-Ala-Gly-Phe-、-Phe-、-Tyr-など]を有し且つアクトシン、PGE1などの血行改善剤を結合した薬剤結合粒子を吸水性高分子ゲルの中に包括固定してなる本発明の医療用高分子ゲルを用いるときは、血行不良部位でのみ血行改善剤が放出されて、血行が改善する。
また、例えば、酵素分解性基(E)として癌細胞が産生する酵素[例えばアルカリホスファターゼ、γ−グルタミルトランスフェラーゼ(γ−GTP)、カテプシンB、カテプシンH、カテプシンHなど]で切断される酵素分解性基[例えば、配列番号7で示される-Gly-Phe-Leu-Gly-、-(Arg)2-、-Phe-Arg-、リン酸ジエステル結合など]を有し且つ抗癌剤を結合した薬剤結合粒子を吸水性高分子ゲルの中に包括固定してなる本発明の医療用高分子ゲルを用いるときは、癌細胞およびその近辺でのみ抗癌剤が放出されて抗癌作用が発現する。
【0050】
要するに、上記で例示したいずれの場合にも、酵素分解性基(E)の分解をもたらす酵素が産生されていない正常部位や、該酵素が産生されていない時期には、酵素分解性基(E)の切断(分解)が行われず薬剤の放出がないか又は極めて少ないので、薬剤の毒性に基づく副作用を最小限に抑えることが可能である。
本発明の医療用高分子ゲルが低毒性であることは、毒性試験において確認されている。また、本発明の医療用高分子ゲルは保存状態での安定性が高いことも確認されている。したがって、本発明の医療用高分子ゲルは、上記したような特性を活かして、創傷被覆材、生体組織接着材、癒着防止材、骨補強材、薬剤放出基材の構成成分として有用であり、擦過傷、切創、挫創などの一般創傷、採皮創、削皮創などの人為的な皮膚欠損創、切開創などの手術創、熱傷、潰瘍、褥瘡などの創傷部位における炎症の治療と治癒促進;手術後の創面や臓器の接着;手術後の創面と他組織の癒着防止;骨粗鬆症や骨折などにおける骨の補強;悪性新生物などの治療などに適用可能である。
【0051】
以下に、実施例により本発明について具体的に説明するが、本発明は以下の例により何ら限定されるものではない。
【0052】
《実施例1》[ゲンタマイシンを結合した薬剤結合粒子を架橋アルギン酸ゲルの中に包括固定した医療用高分子ゲルの製造]
(1)ペプチドの合成:
431A型全自動ペプチド合成機(アプライドバイオシステムジャパン製)を用いて、Fmocケミストリーにより、Gly-Phe(D)-Pro-Arg(Mtr)-Gly-Phe-Pro-Ala-Gly-Gly-HMPresinを得た。これを、5%の水、5%のチオアニソール、7.5%のフェノールおよび2.5%のエタンジチオールを含むトリフルオロ酢酸10mlで6時間処理して得られた溶液を、ジエチルエーテルに加えて生じる沈殿をさらに数回ジエチルエーテルで洗浄して、スペーサー(Sp1)の残りの部分、酵素分解性基(E)およびスペーサー(Sp2)が結合した、Gly-Phe(D)-Pro-Arg-Gly-Phe-Pro-Ala-Gly-Gly-を得た。
なお、上記式中、Arg(Mtr)はNg−4−メトキシ−2,3,6−トリメチルベンゼンスルフォニル−L−アルギニンを表し、HMPresinは4−ヒドロキシメチル−フェノキシ−メチル基を0.89ミリモル/g(樹脂)の割合で有するスチレン−ジビニルベンゼン共重合体(スチレンとジビニルベンゼンの構成モル比:99対1)からなる粒状樹脂(米国アプライド・バイオシステムズ社製、HMPレジン)を表す。
【0053】
(2)担体粒子への上記(1)のペプチドの結合:
カルボキシル化セルロース粒子(生化学工業株式会社製「カルボキシルセルロファイン」)1gをジオキサン2.2mlに分散し、N−ヒドロキシコハク酸イミド46mgと0.5M N,N−ジシクロヘキシルカルボイジド/ジクロロメタン溶液0.8mlを加え、25℃で20時間振盪して反応を行った。グラスフィルター上でジオキサン50mlを用いて洗浄した後、20mMリン酸緩衝液(pH7.0)6mlで液置換を行い、20mMリン酸緩衝液(pH7.0)に分散させた。さらに、上記(1)で得られたペプチド[Gly-Phe(D)-Pro-Arg-Gly-Phe-Pro-Ala-Gly-Gly-]4.4mgを加えて、さらに25℃で16時間振盪して反応させ、担体粒子(カルボキシル化セルロース粒子)に、スペーサー(Sp1)、酵素分解性基(E)およびスペーサー(Sp2)がこの順序で結合した粒子を得た。
【0054】
(3)担体粒子への薬剤の結合:
上記(2)で得られた粒子を水で数回、さらに0.05Mの炭酸水素ナトリウム水溶液で1回洗浄した後、152mgのゲンタマイシンと40.2mgの1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド塩酸塩(以下「EDC・HCl」と略記する)を加えて、さらに一晩振盪した。次いで、水で十分に洗浄して、担体粒子にスペーサー(Sp1)、酵素分解性基(E)、スペーサー(Sp2)および薬剤(ゲンダマイシン)がこの順番で結合した薬剤結合粒子を得た。
【0055】
(4)薬剤結合粒子の吸水性高分子ゲルの中への包括固定:
(i) 2.3gのN−ヒドロキシコハク酸イミド(株式会社ペプチド研究所製)を酢酸エチル150mlに溶解し、撹拌しながら10mlの酢酸エチルに溶解した0.6gのエチレンジアミン(和光純薬株式会社製)を室温下に滴下した。滴下終了後、さらに1時間撹拌を続けた。析出した結晶を濾取し、減圧下に乾燥してエチレンジアミン2N−ヒドロキシコハク酸イミド塩2.9g(収率100%)を得た。
(ii) アルギン酸ナトリウム(和光純薬株式会社製)の1重量%水溶液(粘度500〜600cp)の55mlに、上記(i)で得られたエチレンジアミン2N−ヒドロキシコハク酸イミド塩242mgと、1.76gの1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(株式会社ペプチド研究所製)を溶解した。この溶液に、上記(3)で得られたゲンタマイシンを結合した薬剤結合粒子100mgを加え、均一に分散した後、テフロン(登録商標)被覆アルミ製トレイ(10cm×10cm)に流延し、室温で静置した。約51時間後に、含水ゲルが得られた。
(iii) 上記(ii)で得られた含水ゲルを、細胞間質液と同じ濃度(Caイオン5meq、とNaイオン143meq)になるように、塩化カルシウムと塩化ナトリウムを溶解した水溶液で十分に洗浄した後、純水で十分に洗浄し、次いで凍結乾燥して、スポンジ状のアルギン酸共有結合架橋ゲル中に薬剤結合粒子が包括固定された医療用高分子ゲル約0.5gを得た。
【0056】
《実施例2》[ゲンタマイシンを結合した薬剤結合粒子を包括固定してなるポリウレタンフィルムの製造]
親水性ポリウレタン(株式会社クラレ製「KM−0002」)をジチルホルアミドに溶解して10重量%溶液を調製した。実施例1の(3)で得られたゲンタマイシンを結合した薬剤結合粒子0.1gをこのポリウレタン溶液2gに添加し、テフロン(登録商標)被覆アルミ製トレイ(3cm×3cm)に流延した。これを純水1.5リットル中に浸漬して凝固させた後、十分量の純水で洗浄して、ゲンタマイシンを結合した薬剤結合粒子を包括固定してなるポリウレタンフィルムからなる医療用高分子ゲルを得た。
【0057】
《比較例1》[ゲンタマイシンを結合した吸水性高分子ゲルの製造]
(1)ポリビニルアルコール系重合体ゲルの調製:
(i) 撹拌機を備えた反応容器に、ピバリン酸ビニル200gおよびメタノール70gを仕込み、系を窒素ガスで置換した。別途、メタノール5gに重合開始剤として2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.04gを溶解した溶液を調製して窒素ガスで置換した。前記の反応容器を昇温し、内温が60℃に達したところで、前記で調製した重合開始剤の溶液を添加して重合を開始させ、同温度に保って5時間重合を行って、重合率が40%に達した時点で、系を20℃に冷却して重合を停止させた。系にt−ブタノールを徐々に添加しながら減圧下で未反応のピバリン酸ビニルを留去して、ポリピバリン酸ビニルのt−ブタノール溶液を回収した。これにテトラヒドロフランの適量を加えて減圧下にt−ブタノールを留去して、ポリピバリン酸ビニルのテトラヒドロフラン溶液(濃度45.7重量%)を得た。
(ii) 撹拌機と還流冷却管を備えた反応器に、上記(i)で得たポリピバリン酸ビニルのテトラヒドロフラン溶液の50gを入れ、60℃に加温して窒素ガス置換し、60℃に保って、別途調製し窒素置換した水酸化カリウムの25%溶液20gを添加して充分に撹拌した。系は約30分でゲル化したが、さらに60℃に60分間保った後、酢酸5.5gおよびメタノール5.5gを系に加えて水酸化カリウムを中和した。次いで、ゲルを粉砕した後、メタノールによるソックスレー洗浄を行って、ビニルエステル単位を含有する部分ケン化ポリビニルアルコール系重合体(吸水性高分子ゲル)を得た。
【0058】
(2)吸水性高分子ゲルへのスペーサー(Sp1)、酵素分解性基(E)およびスペーサー(Sp2)の結合:
上記(1)で得られた部分ケン化ポリビニルアルコール系重合体10gをジメチルスホキシド300gに溶解し、無水コハク酸1.64gおよびピリジン0.64gを加えて70℃で4時間反応させた。その結果得られた溶液約330gを、ポリスチレントレイ(25cm×25cm)に流延し、静かに水中に浸漬してゲル化した。それにより得られたゲル10gを、ジメチルホルムアミドで洗浄してゲル中の水分をジメチルホルムアミドに置換した。次いで、N−ヒドロキシコハク酸イミド0.45gと1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド塩酸塩(EDC・HCl)1.8gを加えて一晩振盪した。水で数回洗浄した後、実施例1の(1)で得られたGly-Phe(D)-Pro-Arg-Gly-Phe-Pro-Ala-Gly-Gly-の50mgとジイソプロピルエチルアミン9μlを加えて、さらに一晩振盪して反応させた。
【0059】
(3)薬剤の結合:
上記(2)で得られたGly-Phe(D)-Pro-Arg-Gly-Phe-Pro-Ala-Gly-Gly-を結合した吸水性高分子ゲル[すなわちスペーサー(Sp1)−酵素分解性基(E)−スペーサー(Sp2)を結合した吸水性高分子ゲル]を、水で数回、さらに0.05Mの炭酸水素ナトリウム水溶液で1回洗浄した後、0.6gのゲンタマイシンと0.2gの1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド塩酸塩を加えて、さらに一晩振盪した。次いで、水で十分に洗浄して、吸水性高分子ゲルにスペーサー(Sp1)、酵素分解性基(E)、スペーサー(Sp2)および薬剤(ゲンダマイシン)がこの順番で結合した医療用高分子ゲルを得た。
【0060】
《試験例1》[疑似感染創滲出液による薬剤放出試験]
(1) 実施例1および2、並びに比較例1の医療用高分子ゲルの0.1gをそれぞれ量り採り、各々に、150μlのPBS(0.15MのNaClを含む0.01Mリン酸緩衝液;pH7.4)、50μlの黄色ブドウ球菌培養上清、およびヒト血漿50μlを加えて、37℃で一晩振盪した。この上清75μlを直径8mmの濾紙に浸み込ませて、2×106個の黄色ブドウ球菌を接種したブレイン−ハート−インヒュージョン寒天培地プレート(直径10cm)にのせて、37℃で終夜培養した。濾紙の周囲に生じる細菌生育阻止円の直径を測定した。
(2) 一方、同じ大きさの濾紙に75μlのゲンタマイシン水溶液(10μg/ml)を浸み込ませ、2×106個の黄色ブドウ球菌を接種したブレイン−ハート−インヒュージョン寒天培地プレート(直径10cm)にのせて、37℃で終夜培養して濾紙の周囲に生じる細菌生育阻止円の直径を測定した。
(3) 上記(2)で得られた阻止円の直径と上記(1)で得られた阻止円の直径の比から、上記(1)において上清中に放出された抗菌剤の量を計算して、1時間当たりの抗菌剤の放出量を求めたところ、下記の表1に示すとおりであった。
【0061】
【表1】
Figure 0004433430
【0062】
上記の表1の結果から、酵素分解性基によって薬剤(ゲンタマイシン)を担体粒子に結合した薬剤結合粒子を吸水性高分子ゲルの中に包括固定してなる実施例1および2の医療用高分子ゲルでは、医療用高分子ゲル1g当たりからは100μg以上のゲンタマイシンが放出され、高い放出能を有し、細菌増殖の阻止性に優れているのに対して、酵素分解性基を介して薬剤(ゲンタマイシン)を吸水性高分子ゲルに結合してなる比較例1の医療用高分子ゲルでは、医療用高分子ゲル1g当たりのからは1μgのゲンタマイシンしか放出されず、細菌増殖の阻止性が低いことがわかる。
【0063】
《試験例2》[ラット細菌感染創の治癒試験]
(1) ラット背部に直径が約2cmのポケット創を作製し、109個の黄色ブドウ球菌を10mg/mlのモンモリロナイト水溶液とともに植え付けた。48時間後に創部を生理食塩水で洗浄し、実施例1および実施例2で得られた医療用高分子ゲルまたは比較例1で得られた医療用高分子ゲルを、それぞれ1gの割合でポケット創中に挿入した(測定数は各5)。24時間後に創部の組織を一定量採取して、PBS中でホモジェナイズし、さらに一定割合で希釈したPBS溶液をブレイン−ハート−インヒュージョン寒天培地プレート(直径10cm)に均一に塗布した。37℃で終夜培養して生じるコロニーの数から組織中の細菌数を測定したところ、実施例1および実施例2で得られた医療用高分子ゲルを挿入した創部の細菌数は、それぞれ1.2×102個/g組織および1.5×102個/g組織であった。一方、比較例1で得られた医療用高分子ゲルを挿入した創部の細菌数は1.2×104個/g組織であった。
(2) 一方、ポケット創中に医療用高分子ゲルを挿入しない外は上記の(1)と同様に行った場合の創部における細菌数は1.1×108個/g組織であった。
(3) したがって、この試験例2の結果から、実施例1および2の医療用高分子ゲルを用いた場合には、細菌創の細菌数が200個/g組織以下まで減少していて殆ど死滅しているのに対して、比較例1の医療用高分子ゲルを用いた場合には未だ1万個/g組織程度までしか減少していないことがわかる。
【0064】
【発明の効果】
本発明の医療用高分子ゲルは、病巣部位において治癒効果を発現するのに十分な量の薬剤を、病巣部位にムラなく放出させることができる。
そして、本発明の医療用高分子ゲルは、酵素量に応じた薬剤放出特性を示すために、酵素が産生される病巣においてのみ治療に有効な薬剤を放出することができ、薬剤による副作用を最小限に抑制しながら病巣の治癒を極めて円滑に行うことができる。
さらに、本発明の方法による場合は、薬剤結合粒子(酵素分解性基およびスペーサーを介して薬剤担体粒子に結合した粒子)を予め調製しておき、その必要量を吸水性高分子ゲルの中に包括することができるため、均一な性能を有する医療用高分子ゲルを簡便に生産性よく製造することができる。
【0065】
本発明の医療用高分子ゲルは、上記した特性を活かして、創傷被覆材、生体組織接着材、癒着防止材、骨補強材、薬剤放出基材の構成成分として有用であり、擦過傷、切創、挫創などの一般創傷、採皮創、削皮創などの人為的な皮膚欠損創、切開創などの手術創、熱傷、潰瘍、褥瘡などの創傷部位における炎症の治療と治癒促進;手術後の創面や臓器の接着;手術後の創面と他組織の癒着防止;骨粗鬆症や骨折などにおける骨の補強;悪性新生物などの治療などに適用することができる。
【0066】
【配列表】
Figure 0004433430
Figure 0004433430
Figure 0004433430
Figure 0004433430
Figure 0004433430
Figure 0004433430

Claims (7)

  1. 吸水性高分子ゲルの中に、酵素で切断され得る分解性基およびスペーサーを介して薬剤を担体粒子に結合してなる下記の一般式(I)で表される薬剤結合粒子を包括固定してなることを特徴とする医療用高分子ゲル。
    【化1】
    X−Sp1−E−Sp2−G (I)
    [式中、Xは担体粒子、S p1 は第1のスペーサー、Eは酵素で切断され得る分解性基、S p2 は第2のスペーサーおよびGは薬剤を示し;
    p1 およびS p2 は、それぞれ、−CO−(CH 2 ) 2 −CO−、−CO−(CH 2 ) 2 −CO−NH−CH 2 −CO−、−CH 2 −CO−NH−(CH 2 ) 2 −NH−CO−(CH 2 ) 2 −CO−、−CH 2 −CH(OH)−CH 2 −NH−CO−(CH 2 ) 2 −CO−、−CH 2 −CH(OH)−CH 2 −NH−(CH 2 ) 2 −NH−CO−(CH 2 ) 2 −CO−、−NH−(CH 2 ) 2 −NH−CO−CH 2 −NH−CO−(CH 2 ) 2 −CO−、−NH−(CH 2 ) 2 −NH−CO−CH 2 −NH−CO−(CH 2 ) 3 −CO−、−CO−(CH 2 ) 2 −NH−CO−CH 2 −NH−CO−(CH 2 ) 2 −CO−、−NH−(CH 2 ) 2 −NH−CO−CH 2 −NH−CO−(CH 2 ) 2 −CO−、−NH−(CH 2 ) 2 −NH−CO−CH 2 −NH−CO−(CH 2 ) 3 −CO−、−NH−(CH 2 ) 2 −NH−CO−CH(CH 3 )−NH−CO−(CH 2 ) 2 −CO−、−NH−(CH 2 ) 2 −NH−CO−CH(CH 2 OH)−NH−CO−(CH 2 ) 2 −CO−、配列番号10で示される-Gly-Phe-Pro-Ala-Gly-Gly-、配列番号11で示される-Gly-Tyr-Pro-Ala-Gly-Gly-、配列番号12で示される-Gly-Phe-Pro-Ala-、-Gly-Phe-および-Gly-Gly-から選ばれる基であり;
    Eは、-Arg-、-Ala-、-Ala(D)-、-Val-、-Leu-、-Lys-、-Pro-、-Phe-、-Tyr-、-Glu-、配列番号1で示される-Ile-Glu-Gly-Arg-、配列番号2で示される-Ala-Gly-Pro-Arg-、配列番号3で示される-Arg-Val-(Arg) 2 -、-Val-Pro-Arg-、-Val(D)-Pro-Arg-、-Gln-Ala-Arg-、-Gln-Gly-Arg-、-Asp-Pro-Arg-、-Gln-(Arg) 2 -、-Phe-Arg-、-(Ala) 2 -、-Ala-Ala(D)-、配列番号4で示される-(Ala) 2 -Pro-Val-、-(Val) 2 -、-(Ala) 2 -Leu-、-Gly-Leu-、-Phe-Leu-、-Val-Leu-Lys-、配列番号5で示される-Gly-Pro-Leu-Gly-Pro-、-(Ala) 2 -Phe-、-(Ala) 2 -Tyr-、-(Ala) 2 -His-、配列番号6で示される-(Ala) 2 -Pro-Phe-、-Ala-Gly-Phe-、-Asp-Glu-、-(Glu) 2 -、-Ala-Glu-、-Ile-Glu-、配列番号7で示される-Gly-Phe-Leu-Gly-、-(Arg) 2 -、-Phe-Pro-Arg-、-Phe(D)-Pro-Arg-、-Tyr-Pro-Arg-、-Tyr(D)−Pro−Arg−、D−グルコース、N−アセチルガラクトサミン、N−アセチルノイラミン酸、N−アセチルグルコサミン、N−アセチルマンノサミンまたはこれらのオリゴ糖、オリゴデオキシアデニン、オリゴデオキシグアニン、オリゴグアニン、オリゴシトシン、オリゴウリジン、配列番号8で示される-Val-Pro-Arg-Gly-Val-Pro-Arg-Gly-Val-Pro-Arg-、配列番号9で示される-Phe-Pro-Arg-Gly-Phe-Pro-Arg-および-Phe(D)-Pro-Arg-Gly-Phe(D)-Pro-Arg-から選ばれる基である。]
  2. 担体粒子が、多孔性粒子である請求項に記載の医療用高分子ゲル。
  3. 担体粒子が、多孔性のアガロース粒子、デキストラン粒子および/またはセルロース粒子である請求項1または2に記載の医療用高分子ゲル。
  4. 吸水性高分子ゲルを形成し得る高分子素材の溶液または分散液中に、酵素で切断され得る分解性基およびスペーサーを介して薬剤を担体粒子に結合してなる下記の一般式(I)で表される薬剤結合粒子を混合した後、該高分子素材をゲル化して請求項1医療用高分子ゲルを製造することを特徴とする医療用高分子ゲルの製造方法。
    【化2】
    X−Sp1−E−Sp2−G (I)
    [式中、Xは担体粒子、S p1 は第1のスペーサー、Eは酵素で切断され得る分解性基、S p2 は第2のスペーサーおよびGは薬剤を示し;
    p1 およびS p2 は、それぞれ、−CO−(CH 2 ) 2 −CO−、−CO−(CH 2 ) 2 −CO−NH−CH 2 −CO−、−CH 2 −CO−NH−(CH 2 ) 2 −NH−CO−(CH 2 ) 2 −CO−、−CH 2 −CH(OH)−CH 2 −NH−CO−(CH 2 ) 2 −CO−、−CH 2 −CH(OH)−CH 2 −NH−(CH 2 ) 2 −NH−CO−(CH 2 ) 2 −CO−、−NH−(CH 2 ) 2 −NH−CO−CH 2 −NH−CO−(CH 2 ) 2 −CO−、−NH−(CH 2 ) 2 −NH−CO−CH 2 −NH−CO−(CH 2 ) 3 −CO−、−CO−(CH 2 ) 2 −NH−CO−CH 2 −NH−CO−(CH 2 ) 2 −CO−、−NH−(CH 2 ) 2 −NH−CO−CH 2 −NH−CO−(CH 2 ) 2 −CO−、−NH−(CH 2 ) 2 −NH−CO−CH 2 −NH−CO−(CH 2 ) 3 −CO−、−NH−(CH 2 ) 2 −NH−CO−CH(CH 3 )−NH−CO−(CH 2 ) 2 −CO−、−NH−(CH 2 ) 2 −NH−CO−CH(CH 2 OH)−NH−CO−(CH 2 ) 2 −CO−、配列番号10で示される-Gly-Phe-Pro-Ala-Gly-Gly-、配列番号11で示される-Gly-Tyr-Pro-Ala-Gly-Gly-、配列番号12で示される-Gly-Phe-Pro-Ala-、-Gly-Phe-および-Gly-Gly-から選ばれる基であり;
    Eは、-Arg-、-Ala-、-Ala(D)-、-Val-、-Leu-、-Lys-、-Pro-、-Phe-、-Tyr-、-Glu-、配列番号1で示される-Ile-Glu-Gly-Arg-、配列番号2で示される-Ala-Gly-Pro-Arg-、配列番号3で示される-Arg-Val-(Arg) 2 -、-Val-Pro-Arg-、-Val(D)-Pro-Arg-、-Gln-Ala-Arg-、-Gln-Gly-Arg-、-Asp-Pro-Arg-、-Gln-(Arg) 2 -、-Phe-Arg-、-(Ala) 2 -、-Ala-Ala(D)-、配列番号4で示される-(Ala) 2 -Pro-Val-、-(Val) 2 -、-(Ala) 2 -Leu-、-Gly-Leu-、-Phe-Leu-、-Val-Leu-Lys-、配列番号5で示される-Gly-Pro-Leu-Gly-Pro-、-(Ala) 2 -Phe-、-(Ala) 2 -Tyr-、-(Ala) 2 -His-、配列番号6で示される-(Ala) 2 -Pro-Phe-、-Ala-Gly-Phe-、-Asp-Glu-、-(Glu) 2 -、-Ala-Glu-、-Ile-Glu-、配列番号7で示される-Gly-Phe-Leu-Gly-、-(Arg) 2 -、-Phe-Pro-Arg-、-Phe(D)-Pro-Arg-、-Tyr-Pro-Arg-、-Tyr(D)−Pro−Arg−、D−グルコース、N−アセチルガラクトサミン、N−アセチルノイラミン酸、N−アセチルグルコサミン、N−アセチルマンノサミンまたはこれらのオリゴ糖、オリゴデオキシアデニン、オリゴデオキシグアニン、オリゴグアニン、オリゴシトシン、オリゴウリジン、配列番号8で示される-Val-Pro-Arg-Gly-Val-Pro-Arg-Gly-Val-Pro-Arg-、配列番号9で示される-Phe-Pro-Arg-Gly-Phe-Pro-Arg-および-Phe(D)-Pro-Arg-Gly-Phe(D)-Pro-Arg-から選ばれる基である。]
  5. 吸水性高分子ゲルを製造した後、酵素で切断され得る分解性基およびスペーサーを介して薬剤を担体粒子に結合してなる下記の一般式(I)で表される薬剤結合粒子を、該吸水性高分子ゲル中に挿入して請求項1医療用高分子ゲルを製造することを特徴とする医療用高分子ゲルの製造方法。
    【化3】
    X−Sp1−E−Sp2−G (I)
    [式中、Xは担体粒子、S p1 は第1のスペーサー、Eは酵素で切断され得る分解性基、S p2 は第2のスペーサーおよびGは薬剤を示し;
    p1 およびS p2 は、それぞれ、−CO−(CH 2 ) 2 −CO−、−CO−(CH 2 ) 2 −CO−NH−CH 2 −CO−、−CH 2 −CO−NH−(CH 2 ) 2 −NH−CO−(CH 2 ) 2 −CO−、−CH 2 −CH(OH)−CH 2 −NH−CO−(CH 2 ) 2 −CO−、−CH 2 −CH(OH)−CH 2 −NH−(CH 2 ) 2 −NH−CO−(CH 2 ) 2 −CO−、−NH−(CH 2 ) 2 −NH−CO−CH 2 −NH−CO−(CH 2 ) 2 −CO−、−NH−(CH 2 ) 2 −NH−CO−CH 2 −NH−CO−(CH 2 ) 3 −CO−、−CO−(CH 2 ) 2 −NH−CO−CH 2 −NH−CO−(CH 2 ) 2 −CO−、−NH−(CH 2 ) 2 −NH−CO−CH 2 −NH−CO−(CH 2 ) 2 −CO−、−NH−(CH 2 ) 2 −NH−CO−CH 2 −NH−CO−(CH 2 ) 3 −CO−、−NH−(CH 2 ) 2 −NH−CO−CH(CH 3 )−NH−CO−(CH 2 ) 2 −CO−、−NH−(CH 2 ) 2 −NH−CO−CH(CH 2 OH)−NH−CO−(CH 2 ) 2 −CO−、配列番号10で示される-Gly-Phe-Pro-Ala-Gly-Gly-、配列番号11で示される-Gly-Tyr-Pro-Ala-Gly-Gly-、配列番号12で示される-Gly-Phe-Pro-Ala-、-Gly-Phe-および-Gly-Gly-から選ばれる基であり;
    Eは、-Arg-、-Ala-、-Ala(D)-、-Val-、-Leu-、-Lys-、-Pro-、-Phe-、-Tyr-、-Glu-、配列番号1で示される-Ile-Glu-Gly-Arg-、配列番号2で示される-Ala-Gly-Pro-Arg-、配列番号3で示される-Arg-Val-(Arg) 2 -、-Val-Pro-Arg-、-Val(D)-Pro-Arg-、-Gln-Ala-Arg-、-Gln-Gly-Arg-、-Asp-Pro-Arg-、-Gln-(Arg) 2 -、-Phe-Arg-、-(Ala) 2 -、-Ala-Ala(D)-、配列番号4で示される-(Ala) 2 -Pro-Val-、-(Val) 2 -、-(Ala) 2 -Leu-、-Gly-Leu-、-Phe-Leu-、-Val-Leu-Lys-、配列番号5で示される-Gly-Pro-Leu-Gly-Pro-、-(Ala) 2 -Phe-、-(Ala) 2 -Tyr-、-(Ala) 2 -His-、配列番号6で示される-(Ala) 2 -Pro-Phe-、-Ala-Gly-Phe-、-Asp-Glu-、-(Glu) 2 -、-Ala-Glu-、-Ile-Glu-、配列番号7で示される-Gly-Phe-Leu-Gly-、-(Arg) 2 -、-Phe-Pro-Arg-、-Phe(D)-Pro-Arg-、-Tyr-Pro-Arg-、-Tyr(D)−Pro−Arg−、D−グルコース、N−アセチルガラクトサミン、N−アセチルノイラミン酸、N−アセチルグルコサミン、N−アセチルマンノサミンまたはこれらのオリゴ糖、オリゴデオキシアデニン、オリゴデオキシグアニン、オリゴグアニン、オリゴシトシン、オリゴウリジン、配列番号8で示される-Val-Pro-Arg-Gly-Val-Pro-Arg-Gly-Val-Pro-Arg-、配列番号9で示される-Phe-Pro-Arg-Gly-Phe-Pro-Arg-および-Phe(D)-Pro-Arg-Gly-Phe(D)-Pro-Arg-から選ばれる基である。]
  6. 担体粒子が、多孔性粒子である請求項4または5に記載の製造方法
  7. 担体粒子が、多孔性のアガロース粒子、デキストラン粒子および/またはセルロース粒子である請求項4〜6のいずれか1項に記載の製造方法
JP22399899A 1999-08-06 1999-08-06 医療用高分子ゲルおよびその製造方法 Expired - Fee Related JP4433430B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP22399899A JP4433430B2 (ja) 1999-08-06 1999-08-06 医療用高分子ゲルおよびその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP22399899A JP4433430B2 (ja) 1999-08-06 1999-08-06 医療用高分子ゲルおよびその製造方法

Publications (3)

Publication Number Publication Date
JP2001046487A JP2001046487A (ja) 2001-02-20
JP2001046487A5 JP2001046487A5 (ja) 2006-06-15
JP4433430B2 true JP4433430B2 (ja) 2010-03-17

Family

ID=16806996

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP22399899A Expired - Fee Related JP4433430B2 (ja) 1999-08-06 1999-08-06 医療用高分子ゲルおよびその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4433430B2 (ja)

Families Citing this family (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
GB0307011D0 (en) 2003-03-27 2003-04-30 Regentec Ltd Porous matrix
US7858108B2 (en) * 2003-10-21 2010-12-28 Richard Nagler Elutable surface coating
JP2005261608A (ja) * 2004-03-18 2005-09-29 Masato Kusunoki 薬物を担持した生体吸収性ゲル、パウダーおよびフィルム
WO2006009259A1 (ja) * 2004-07-23 2006-01-26 San-Ei Gen F.F.I., Inc. アラビアガム由来のハイドロゲル成分含有組成物
CN102292113B (zh) 2009-01-22 2014-06-25 株式会社奎真生物技术 通过辐射融合技术制造的用于生物组织工程的β-葡聚糖基支架及其制造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2001046487A (ja) 2001-02-20

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Singh et al. Chitin and chitosan: biopolymers for wound management
ES2817478T3 (es) Composiciones de apósito para heridas que comprenden quitosano y una celulosa oxidada
Peng et al. Recent progress of collagen, chitosan, alginate and other hydrogels in skin repair and wound dressing applications
JP4401438B2 (ja) 慢性創傷治癒のための酸化セルロースおよびその複合体の使用
US5763504A (en) Photcurable glycosaminoglycan derivatives, crosslinked glycosaminoglycans and method of production thereof
ES2243000T3 (es) Nuevos medicamentos basados en polimeros compuestos de gelatina modificada con metacrilamina.
ES2286497T3 (es) Materiales de aposito para heridas que comprenden complejos de polisacaridos anionicos con plata.
JP3107726B2 (ja) 水膨潤性高分子ゲル
BRPI0708429A2 (pt) método para formar uma espuma absorvente seca, espuma absorvente seca, compósito, uso de uma espuma ou de um compósito, e, métodos para inibir a proliferação celular, para fixar um compósito ao tecido e para evitar a adesão de tecido a tecido adjacente
JP3955107B2 (ja) 架橋多糖の製造法
EA012609B1 (ru) Неадгезивные эластичные желатиновые матрицы
Rehman et al. Hydrogel: A promising material in pharmaceutics
US5980883A (en) Polymer gel for medical use
CN115869459B (zh) 促伤口愈合的多肽水凝胶及其制备方法与应用
JP4433430B2 (ja) 医療用高分子ゲルおよびその製造方法
JP4044291B2 (ja) 水膨潤性高分子ゲルおよびその製造法
JP2007146178A (ja) キトサン誘導体及び架橋キトサン
JP2000070356A (ja) 医療用高分子ゲル
JP2001046487A5 (ja)
Afgan et al. Polysaccharide-based Self-healing hydrogels and their diverse Applications.
JPH10155892A (ja) 医療用高分子ゲル
Yifei et al. Polysaccharide-based hemostats: recent developments, challenges, and future perspectives
Shahzadi et al. Application of Natural Polymers in Wound Dressings
Shahzadi et al. Application of Natural Polymers in Wound Dressings: Application of Natural Polymers in Wound Dressings
Magagula et al. GG Lenetha Department of Life Sciences, Central University of Technology, Private Bag X1, Bloemfontein, South Africa

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20060328

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20060424

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20090929

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20091116

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20091216

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20091218

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130108

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130108

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140108

Year of fee payment: 4

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees