JP2005261608A - 薬物を担持した生体吸収性ゲル、パウダーおよびフィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】 生体適合性/吸収性を有するフィルムを用い、そこに薬物を担持させ、直接手術部位等に薬物を投与するドラッグ・デリバリー・システムに基づく薬物の投与方法、およびそれに使用する薬物を担持したゲル、パウダーまたはフィルムの提供。
【解決手段】 カルボキシメチルセルロースにより化学的に改質されたヒアルロン酸のゲルあるいはフィルムに薬物を担持させたことを特徴とする、手術部の癒着防止を兼ね備えた局所投与用の生体吸収性ゲル、パウダーまたはフィルムであり、担持させることができる薬物としては、生理活性タンパク質またはペプチド、抗癌剤、抗生物質、ステロイド剤、鎮痛剤等である。
【選択図】 なし

Description

本発明は、腹腔等の体腔内の手術部位に薬物を効果的に局所投与するために使用する、薬物を担持した生体吸収性ゲル、パウダーまたはフィルム、ならびに当該フィルム等を使用する、手術部位の癒着防止するとともに当該手術部位へ局所的に薬物を投与する方法に関する。
腹腔内等の手術を終了した場合に、術後癒着を防止するための手段が講じられている。すなわち、術後癒着は、手術により損傷を受けた組織または部位が修復される過程で生じる創傷治癒の一種である。しかしながら、癒着によりイレウス(ileus:腸閉塞)をはじめ各種の疼痛や、不妊などの合併症が引き起こされることがまま発生している。また、癒着が起こった場合には、次回の手術時に煩雑な癒着部位の剥離操作を行わなければならない場合もあり、外科医にとって非常に悩ましい生体反応である。
そのために、意図的に手術部位の癒着を防止する普段が採用されており、その一つとして、手術部位の癒着あるいは付着防止のために組織間に生体吸収性のフィルムを注入するべく、当該フィルムを手術部に貼付し、フィルムをバリアとして機能させる手段が講じられている。
そのようなフィルム基材として、生体成分であるヒアルロン酸を使用し、それに種々の化学的改質を加えることが行われており、古くは、このような化学的な改質として、ヒアルロン酸の架橋ゲル化が挙げられる(例えば、特許文献1)。しかしながらこれまで提案されているヒアルロン酸の架橋ゲルは、得られたゲルが水溶性のものであり、組織の癒着あるいは付着防止のために組織間に注入あるいは挿入しても、体液によって容易に分散してしまい、それほどの癒着防止効果が挙げられていない。
その点を改良するものとして、ヒアルロン酸をカルボキシメチルセルロースにより改質したゲル、ならびに当該ゲルから得られるフィルムが提案されている(特許文献2)。このゲルから得られたフィルムは水不溶性であること、また生体適合性/吸収性を有していることから、組織間に注入または挿入されて湿性組織に付着した場合に,フィルムが周囲の水分(体液)を吸収してゲル化し、約7〜8日間程度創傷部にバリアとして存在することで、極めて良好な癒着防止効果を発揮するものである。
現在この種のフィルムとしては、合成吸収性癒着防止剤としてジェンザイム株式会社により開発、商品化され、一般名「セプラフィルム(登録商標)」として臨床的に提供されており、術後患者のQOLに多大の貢献をしているものである。
ところでこのフィルムは、直接手術部位に貼着され、また湿性組織に対する接着性が極めて高いため、縫合固定する必要が無い。また、フィルム基材としてヒアルロン酸およびカルボキシメチルセルロースを主成分とした生体吸収性の物質であるため、外科的な除去術は不要である。また、正常な創傷治癒過程に影響を与えないことが確認されている(非特許文献1)。
実際にこのフィルムの使用方法は、腹腔内での手術操作(例えば大腸癌の切除術、大腸全摘出術等)が終了し、閉腹する直前に癒着が形成されやすい部位の臓器に直接貼付するだけである。したがって、開腹傷のように、直接貼付できない部位、あるいは損傷部への直接貼付を避けたい場合には、逆に癒着ができる対側の臓器に貼付してバリアを形成し、損傷部と臓器が直接接触しないようにすればよい。
米国特許第4582865号 米国特許第5017229号 Medina M. et al.: J. Invest. Surg., 8:179-186(1995)
これらの事実からみると、このフィルムは直接手術部位に貼着され、その場で体液を吸収してゲル化し、徐々に生体内吸収されていくことから、かかるフィルムに薬物を担持させた場合には、極めて良好な局所投与が行えることとなる。すなわちこのフィルムは腹腔内等の手術部位に直接薬物を投与することができる、薬物送達システム(DDS:ドラッグ・デリバリー・システム)におけるキャリヤとしての性質を有していることとなる。
事実、特許文献2には、かかる考え方が示されてはいるが、当該明細書には具体的なDDSとしての詳細は一切記載されておらず、またどのような薬物が効果的なものであるかについて一切記載も示唆もされていない。また、これまでこのフィルムを使用した薬物投与の報告もなされているものではない。
本発明者らは、この点に着目し鋭意検討した結果、かかるフィルムに担持させる薬物として、生理活性タンパク質またはペプチドが極めて良好なものであることを新規に見いだした。すなわち、生理活性タンパク質またはペプチドは、消化管内に存在するペプチダーゼにより分解、不活性化されるため経口投与することができず、通常注射投与によらざるを得ないものである。しかしながら、上記のフィルムに生理活性タンパク質またはペプチドを担持、すなわち、例えば分散、付着させた場合には、消化管内に存在するペプチダーゼの影響を受けることがなく、直接手術部位に投与することができる。したがって、その場で所望の薬効を発揮することができることとなり、その生物学的利用能(バイオアベイラビリティー)はきわめて良好なものであることを確認した。
さらに、かかる投与を行い得る薬物としては、なにも生理活性タンパク質またはペプチドに限定されるものではない。これまでバイオアベイラビリティーとその毒性による副作用との関係から、有効な投与が行えなかった抗癌剤にも応用しうるものであり、更には広く一般的な薬物にも応用できることを見出し、本発明を完成させるに至った。特に抗癌剤を担持させた場合には、通常行われている経口的あるいは非経口的投与量よりもその投与量を少なくすることができ、必然的に副作用の発現を抑えることができる。
したがって本発明は、生体適合性/吸収性を有するフィルムを用い、そこに薬物を担持させ、直接手術部位等に薬物を投与するドラッグ・デリバリー・システムに基づく薬物の投与方法、およびそれに使用する薬物を担持したゲル、パウダーまたはフィルム(以下、ゲル、パウダー、フィルムをまとめて「フィルム等」と称する場合もある)を提供することを課題とする。
かかる課題を解決するための本発明の基本的態様である請求項1に記載の発明は、カルボキシメチルセルロースにより化学的に改質されたヒアルロン酸のゲル、パウダーあるいはフィルムに薬物を担持させたことを特徴とする、手術部の癒着防止を兼ね備えた局所投与用の生体吸収性フィルム等である。
より具体的な請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、化学的に改質されたヒアルロン酸のゲル、パウダーあるいはフィルムが、ヒアルロン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースおよびゲル形成性活性化剤の反応によるものである局所投与用の生体吸収性フィルム等である。
さらに具体的な請求項3に記載の発明は、ゲル形成化剤が、1−(3−ジメチルアミノプロピル)3−エチルカルボジイミド(EDC)である上記に記載の局所投与用の生体吸収性ゲル、パウダーまたはフィルムであり、また請求項4に記載の発明は、ゲル、パウダーまたはフィルムに担持させる薬物が、生理活性タンパク質またはペプチド、抗癌剤、抗生物質、ステロイド剤、鎮痛剤である局所投与用の生体吸収性フィルム等である。
また、本発明は別の態様として上記したゲル、パウダーまたはフィルムを使用する、薬物の投与方法を提供するものであり、具体的に請求項5に記載の発明は、カルボキシメチルセルロースにより化学的に改質されたヒアルロン酸のゲル、パウダーあるいはフィルムに薬物を担持させて得た生体吸収性のフィルム等を、手術部位に貼着することからなることを特徴とする、手術部の癒着防止するとともに当該手術部位へ局所的に薬物を投与する方法である。
この別の態様の本発明にあっても、より具体的には、化学的に改質されたヒアルロン酸のゲル、パウダーあるいはフィルムが、ヒアルロン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースおよびゲル形成性活性化剤の反応によるものであり、ゲル形成化剤が、1−(3−ジメチルアミノプロピル)3−エチルカルボジイミド(EDC)であり、また、ゲル、パウダーまたはフィルムに担持させる薬物が、生理活性タンパク質またはペプチド、抗癌剤、抗生物質またはステロイド剤である上記の薬物を投与する方法でもある。
すなわち、本発明により提供される局所投与用の生体吸収性ゲル、パウダーまたはフィルムは、手術部位の癒着を防止するとともに、直接薬物を局所投与することができるものであり、より効果的な治癒を行える利点を有している。特に経口投与ができなかった生理活性タンパク質またはペプチドについては、注射投与によらない薬物投与を行えるものである。また抗癌剤等については、局所投与であることからその投与量を著しく軽減することができ、好ましくない副作用の発生を抑えることができることから、術後患者のQOLに多大の貢献を与えるものである。
本発明は、基本的には、カルボキシメチルセルロースにより化学的に改質されたヒアルロン酸のフィルム等に薬物を担持させたことを特徴とする、手術部の癒着防止を兼ね備えた局所投与用の生体吸収性フィルム等であり、また当該フィルム等を利用したDDS(ドラッグ・デリバリー・システム)である。
なお、本発明において、薬物の担持とは、フィルム等に薬物が化学結合、共有結合、電気的結合等する以外に、フィルム等の粘着性を応用した付着、分散された状態をも意味する。
本発明のフィルム基材として使用されるヒアルロン酸は、ムコ多糖の一種であり、例えば、皮膚、滑液、血管壁等の結合組織中にタンパク質と結合して存在する生体物質であり、コンドロイチン硫酸とともに、組織の構造の維持、細菌などの侵入に対する防御的な機能を発揮する。ヒアルロン酸は、水に溶解して高粘度の流体を形成する。本発明で使用されるヒアルロン酸は、天然資源から得られるヒアルロン酸であり、その分子量は、5×10〜1×10ダルトンまでの範囲に入るものを使用することができる。
ヒアルロン酸は、化学的に改質した場合には、外科的手術における補助材料として利用されてきている(例えば、特許文献1)。本発明においては、ヒアルロン酸の改質を、官能基としてカルボニル基を有するカルボキシメチルセルロースにより、化学的に改質をすることで、生体吸収性の水不溶性ゲルを形成させる。カルボキシメチルセルロースによる化学的改質にあたっては、ゲル形成性活性化剤を存在させて反応させるのがよく、そのようなゲル形成性活性化剤として、本発明においては1−(3−ジメチルアミノプロピル)3−エチルカルボジイミド(EDC)を使用するのがよい。
この化学的改質の詳細は、例えば特許文献2に開示されており、かかる記載は本明細書の一部を構成するものである。
本発明で提供される薬物を担持したフィルム等は、具体的には以下のようにして調製される。
すなわち、ヒアルロン酸ナトリウムをカルボキシメチルセルロースおよび活性化剤とともに水溶液中混合し、水不溶性の沈澱(ゲル)を形成させる。次いでこのゲル状物中に所望の薬物を添加し、しかる後、このゲルを手術後の処置における融着防止のために有用なフィルム状に成形させ、薬物を担持したフィルムとすることができる。ゲルの調製に使用する水溶液のpHは、具体的には4.7〜4.8程度のpHを維持しているのが好ましい。また、ヒアルロン酸ナトリウムの水溶液中における濃度は0.4重量%(0.01M)程度でよく、またカルボキシメチルセルロースの濃度は0.19重量%(0.01M)程度でよい。
反応に使用する活性化剤としては種々のものを挙げることができるが、本発明にあっては、上記した1−(3−ジメチルアミノプロピル)3−エチルカルボジイミド(EDC)を使用するのがよい。当該活性化剤の使用量は一概に限定し得ないが、ヒアルロン酸ナトリウムとカルボキシメチルセルロースの使用量の合計に対して、2倍当量程度を使用するのが好ましい。
かくして目的とする沈澱(ゲル)が生成するが、反応終了後、未反応の活性化剤を透析法等により除去し、次いで目的とする薬物を添加し、ゲルと攪拌させ、一旦ゲルに薬物を担持させる。
担持させる薬物としては、得られたゲルと化学的結合、共有結合、電気的結合等をし得る薬物であることが好ましく、具体的には、以下のものを挙げることができる。例えば、生理活性タンパク質またはペプチド、抗癌剤、抗生物質、ステロイド剤、鎮痛剤等を挙げることができる。より具体的には、生理活性タンパク質またはペプチドとしては、インターフェロン−α、インターフェロン−β、インターフェロン−γ、ヒト成長ホルモン、G−CSF、GM−CSF、エリスロポエチン、トロンボポエチン、ウロキナーゼ、ストレプトキナーゼ、t−PA、IL−1、IL−11、エタネルセプト、インフリキシマブ、SOD、FGF、EGF、HGF、NGF、BDNF、NT−3等のペプチドを挙げることができる。
これらの生理活性タンパク質あるいはペプチドは、消化管内に存在するペプチダーゼにより不活性化されるため経口投与することができず、通常注射投与によらざるを得ないものであり、その生物学的利用能(バイオアベイラビリティー)はきわめて低いものであったが、本発明の投与方法により直接手術部位に投与され、局所的に吸収されることから、その利用価値はきわめて高いものである。
また、抗癌剤としては、5−FU、テガフール、ドキシフルリジン、フルオロウラシル、メトトレキサート、マイトマシン、ブレオマイシン、エトポシド、ビンブラスチン、ビンクリスチン、イリノテカン、シスプラチン等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。これらの抗癌剤にあっても、本発明の投与方法により、腫瘍部位に直接抗癌剤を局所的に投与しうるものであり、その投与量を軽減することができ、そのうえ手術部位での癒着が防止ことから、極めて効果的なものである。
抗生物質としては、各種ペニシリン系抗生物質、セファロスポリン系抗生物質、カルバペネム系抗生物質、マクロライド系抗生物質等を挙げることができる。またステロイド剤としては、リン酸ベタメサゾン、リン酸デキサメサゾン、リン酸プレドニゾロン、リン酸ヒドロコルチゾン、コハク酸プレドニゾロン、コハク酸ヒドロコルチゾン等を挙げることができる。さらに、鎮痛剤としては、麻薬系あるいは非麻薬系の強力な鎮痛剤、例えば、モルヒネ、オキシコドン、ペチジン、フェンタニル、ペンタゾシン等を挙げることができる。
これら薬物の担持量は、一般的に、局所投与により持続的に薬効を示す量を担持すればよく、また、本発明のゲルまたは薬物を担持したフィルムが手術部位に貼付された場合には、体液によりゲル化し約7〜8日間程度創傷部位をバリアすることから、それにあわせた薬物の放出を考慮し、決定することができる。
かくして製造された薬物を担持したゲルは、そのまま凍結乾燥等の手段により乾燥させることにより、本発明の目的物の一つである薬物を担持した粉末状のゲル、すなわちパウダーとして調製される。この粉末状物の薬物を担持したゲルは、噴霧等の手段により手術部位に直接投与することができる。
なお、ここにいうパウダーとは、微細粒〜細粒の形状を含むパウダーを意味する。
また一方、製造直後のゲルは、フィルム状に成形し、乾燥させることにより本発明の目的物である薬物を担持したフィルムとして調製される。なお、フィルム状に形成する段階において、フィルムの強度を向上させるため、形成させたフィルムを減圧下に、加熱、乾燥させるのがよい。その乾燥条件は一概に限定し得ないが、具体的には30mmHg程度の減圧下で、約105℃の温度にて24時間程度乾燥させるのがよい。
上記した薬物担持の方法は、本発明のゲルあるいはフィルムを調製する過程における薬物担持の手段であるが、本発明においては、別法として、すでにフィルムとして形成され、市販されている合成吸収性癒着防止剤、例えばジェンザイム株式会社により提供されている一般名「セプラフィルム(登録商標)」に、所望の薬物を分散、吸着させて行うこともできる。一般的には、かかる手段により薬物を担持させるほうが、薬物の投与量を自在に調整することができ、より効果的である。
この場合の薬物の担持としての分散、吸着手段は、フィルムの片面あるいは両面に、粉末状の薬物をスプレー等により均一に噴霧することで行うことができる。
また、現在、合成吸収性癒着防止剤として、上記したフィルム状のみならず、パウダー状の粉末〜細粒のものも検討されているが、本発明にあってはこのパウダー状ものに薬物を担持させてもよい。かかる薬物の担持は、薬物の粉末を合成吸収性癒着防止剤としてのパウダー、すなわち粉末〜細粒のものと混合することで行うことができる。
以上のようにして調製されたフィルム等は、例えば、腹腔内での外科的手術を終了した段階で、術部を覆う形で貼着あるいは噴霧され、目的とする薬物の投与と、術後の癒着防止を達成することができる。
以下に本発明を、具体的実施例等により説明するが、本発明はこれらの実施例等により限定されるものではない。
実施例1:5−FUを担持したフィルムの調製
12.7cm×14.7cmの大きさを有するセプラフィルム(登録商標)の片面に、300mgの5−FUを均一に噴霧し、5−FUを担持したフィルムを調製した。
実施例2:ウロキナーゼを担持したフィルムの調製
実施例1と同様に、12.7cm×14.7cmのセプラフィルム(登録商標)の片面に、血栓溶解剤である24万IUのウロキナーゼの粉末を均一に分散、付着させ、ウロキナーゼを担持したフィルムを調製した。
実施例3:インターフェロン−βを担持したフィルムの調製
実施例1と同様に、12.7cm×14.7cmのセプラフィルム(登録商標)の片面に、インターフェロン−β[販売名:フェロン(登録商標)]の600万IUの粉末を均一に分散、付着させ、インターフェロン−βを担持したフィルムを調製した。
実施例4:抗生物質を担持したフィルムの調製
抗生物質として、セファロスポリン系抗生物質である塩酸セフォチアム[販売名:パンスポリン(登録商標)]を使用し、実施例1と同様に、12.7cm×14.7cmのセプラフィルム(登録商標)の片面に、1000mgの塩酸セフォチアムを均一に分散、付着させ、塩酸セフォチアムを担持したフィルムを調製した。
実施例5:鎮痛剤を担持したフィルムの調製
鎮痛剤として、合成麻薬であるクエン酸フェンタニルを使用し、実施例1と同様に、12.7cm×14.7cmのセプラフィルム(登録商標)の片面に、10mgのクエン酸フェンタニルの粉末を均一に分散、付着させ、クエン酸フェンタニルを担持したフィルムを調製した。
試験例1:
インフォームドコンセントによる説明を十分に行って、同意が得られた結腸・直腸癌患者に対し、腫瘍切除術を行った後に、実施例1で得た5−FUを担持したフィルムを術部に貼着し、あわせて塩酸イリノテカン[商品名:トポテシン注(登録商標)]を点滴靜注した。その結果、極めて良好な治療効果をあげることができた。
以上記載のように、本発明により、薬物を担持した生体吸収性のフィルム等が提供され、術部に局所的に薬物を投与することができ、またあわせて術部の癒着を防止し得るものであり、その治療効果は多大なものである。特に、経口投与が不可能である生理活性タンパク質またはペプチドを本発明のフィルム等を使用することで局所的に投与が可能となる。また、局所的な投与を行えることから、投与量を軽減することができる利点を有しており、この投与量の軽減は、抗癌剤などの投与による副作用の発現を必然的に回避するものであり、その臨床的効果は多大なものである。

Claims (8)

  1. カルボキシメチルセルロースにより化学的に改質されたヒアルロン酸のゲル、パウダーあるいはフィルムに薬物を担持させたことを特徴とする、手術部の癒着防止を兼ね備えた局所投与用の生体吸収性ゲル、パウダーまたはフィルム。
  2. 化学的に改質されたヒアルロン酸のゲル、パウダーあるいはフィルムが、ヒアルロン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースおよびゲル形成性活性化剤の反応によるものである請求項1に記載の局所投与用の生体吸収性ゲル、パウダーまたはフィルム。
  3. ゲル形成化剤が、1−(3−ジメチルアミノプロピル)3−エチルカルボジイミド(EDC)である請求項2に記載の局所投与用の生体吸収性ゲル、パウダーまたはフィルム。
  4. ゲル、パウダーまたはフィルムに担持させる薬物が、生理活性タンパク質またはペプチド、抗癌剤、抗生物質、ステロイド剤、鎮痛剤である請求項1ないし3のいずれかに記載の局所投与用の生体吸収性ゲル、パウダーまたはフィルム。
  5. カルボキシメチルセルロースにより化学的に改質されたヒアルロン酸のゲル、パウダーあるいはフィルムに薬物を担持させて得た生体吸収性ゲルまたはフィルムを、手術部位に貼着することからなることを特徴とする、手術部の癒着防止するとともに当該手術部位へ局所的に薬物を投与する方法。
  6. 化学的に改質されたヒアルロン酸のゲル、パウダーあるいはフィルムが、ヒアルロン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースおよびゲル形成性活性化剤の反応によるものである請求項5に記載の薬物を投与する方法。
  7. ゲル形成化剤が、1−(3−ジメチルアミノプロピル)3−エチルカルボジイミド(EDC)である請求項6に記載の薬物を投与する方法。
  8. ゲル、パウダーまたはフィルムに担持させる薬物が、生理活性タンパク質またはペプチド、抗癌剤、抗生物質またはステロイド剤である請求項5ないし7のいずれかに記載薬物を投与する方法。
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