JP2005508663A - 架橋性マクロマー - Google Patents

架橋性マクロマー Download PDF

Info

Publication number
JP2005508663A
JP2005508663A JP2003503270A JP2003503270A JP2005508663A JP 2005508663 A JP2005508663 A JP 2005508663A JP 2003503270 A JP2003503270 A JP 2003503270A JP 2003503270 A JP2003503270 A JP 2003503270A JP 2005508663 A JP2005508663 A JP 2005508663A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
polymer
groups
tissue
macromer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2003503270A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2005508663A5 (ja
Inventor
ジェイ. チュジク,スティーブン
エル. クラッパー,デイビッド
Original Assignee
サーモディックス,インコーポレイティド
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by サーモディックス,インコーポレイティド filed Critical サーモディックス,インコーポレイティド
Publication of JP2005508663A publication Critical patent/JP2005508663A/ja
Publication of JP2005508663A5 publication Critical patent/JP2005508663A5/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61LMETHODS OR APPARATUS FOR STERILISING MATERIALS OR OBJECTS IN GENERAL; DISINFECTION, STERILISATION OR DEODORISATION OF AIR; CHEMICAL ASPECTS OF BANDAGES, DRESSINGS, ABSORBENT PADS OR SURGICAL ARTICLES; MATERIALS FOR BANDAGES, DRESSINGS, ABSORBENT PADS OR SURGICAL ARTICLES
    • A61L31/00Materials for other surgical articles, e.g. stents, stent-grafts, shunts, surgical drapes, guide wires, materials for adhesion prevention, occluding devices, surgical gloves, tissue fixation devices
    • A61L31/08Materials for coatings
    • A61L31/10Macromolecular materials
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61LMETHODS OR APPARATUS FOR STERILISING MATERIALS OR OBJECTS IN GENERAL; DISINFECTION, STERILISATION OR DEODORISATION OF AIR; CHEMICAL ASPECTS OF BANDAGES, DRESSINGS, ABSORBENT PADS OR SURGICAL ARTICLES; MATERIALS FOR BANDAGES, DRESSINGS, ABSORBENT PADS OR SURGICAL ARTICLES
    • A61L24/00Surgical adhesives or cements; Adhesives for colostomy devices
    • A61L24/001Use of materials characterised by their function or physical properties
    • A61L24/0031Hydrogels or hydrocolloids
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61LMETHODS OR APPARATUS FOR STERILISING MATERIALS OR OBJECTS IN GENERAL; DISINFECTION, STERILISATION OR DEODORISATION OF AIR; CHEMICAL ASPECTS OF BANDAGES, DRESSINGS, ABSORBENT PADS OR SURGICAL ARTICLES; MATERIALS FOR BANDAGES, DRESSINGS, ABSORBENT PADS OR SURGICAL ARTICLES
    • A61L27/00Materials for grafts or prostheses or for coating grafts or prostheses
    • A61L27/28Materials for coating prostheses
    • A61L27/34Macromolecular materials

Landscapes

  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Animal Behavior & Ethology (AREA)
  • Veterinary Medicine (AREA)
  • Public Health (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Epidemiology (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Surgery (AREA)
  • Transplantation (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Dispersion Chemistry (AREA)
  • Dermatology (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Oral & Maxillofacial Surgery (AREA)
  • Materials Engineering (AREA)
  • Heart & Thoracic Surgery (AREA)
  • Vascular Medicine (AREA)
  • Materials For Medical Uses (AREA)
  • Macromonomer-Based Addition Polymer (AREA)
  • Acyclic And Carbocyclic Compounds In Medicinal Compositions (AREA)
  • Medicines That Contain Protein Lipid Enzymes And Other Medicines (AREA)

Abstract

架橋性マクロマー系、並びに該系を製造する関連方法、および組織部位と組織インプラントのようなインプラント物品との間のまたは補てつ装置の多孔質表面上の架橋マトリックスの形態にて該系を用いる関連方法。該マクロマー系は、2個またはそれ以上のポリマー−重合性側基および1個またはそれ以上の開始剤基(たとえば、ポリマー−開始剤側基)を含む。該重合性基およびポリマーにペンダントされる場合の該開始剤基は、同じまたは異なるポリマー主鎖においてペンダントされ得る。該マクロマー系は、重合性マクロマーおよび別個の低分子量開始剤の使用に対して、非毒性、効率および溶解性のような性質に関しての利点を含めて諸利点を与える。本発明のマクロマー系は、組織部位とインプラント物品の間の界面として、架橋マトリックスを貫いておよび組織部位とインプラントの間にて組織成長を可能にするのに十分な態様にて用いられ得る。好ましい具体的態様において、該マクロマー系において用いるための、懸垂重合性基を有するポリマーは、ホルムアミドのような有機極性溶媒中でポリサッカライドポリマーを反応性部分と反応させることにより製造される。

Description

本発明は、マクロマーの重合によるマトリックスの作製に関する。別の側面において、本発明は、細胞固定化、組織付着および制御的薬物送達のような目的のためのかかるマトリックスの使用に関する。
発明の背景
マトリックスは、水中における不溶性により特徴づけられるポリマー網状構造である。ポリマーマトリックスの一つのタイプはヒドロゲルであり、しかしてヒドロゲルは、水を含有するポリマー網状構造と定義され得る。ヒドロゲルを作製するために用いられるポリマーは、メタクリル酸およびアクリル酸のエステルモノマー、アクリルアミド(メタクリルアミド)モノマー並びにN−ビニル−2−ピロリドンをベースとしたもののように、様々なモノマータイプをベースとし得る。ゲルを形成させるために、これらのモノマークラスは、典型的には、エチレンジメタクリレート、N,N′−メチレンビスアクリルアミド、メチレンビス(4−フェニルイソシアネート)、エチレンジメタクリレート、ジビニルベンゼンおよびアリルメタクリレートのような架橋剤で架橋される。
別のタイプのポリマー網状構造は、より疎水性のモノマーおよび/またはマクロマーから形成され得る。これらの物質から形成されたマトリックスは、一般に、水を排除する。疎水性マトリックスを作製するために用いられるポリマーは、アルキルアクリレートおよびメタクリレート並びにポリエステル形成性モノマー(ε−カプロラクトンおよびラクチドのような)のような様々なモノマータイプをベースとし得る。水性環境中で用いるために処方される場合、これらの物質は架橋される必要はないが、しかしそれらはジビニルベンゼンのような標準的薬剤で架橋され得る。疎水性マトリックスはまた、ジイソシアネートマクロマーとジヒドロキシマクロマーとの反応およびジエポキシ含有マクロマーとジアンヒドリドまたはジアミン含有のマクロマーとの反応のような、適切な反応性基を担持するマクロマーの反応から形成され得る。
ポリマー網状構造を生成させるための様々な方法が存在するけれども、これらの網状構造が生存能力のある組織の存在下で生成されるようおよび/または生物活性化合物を含有するよう意図される場合、ポリマー網状構造を生成させる容認され得る方法の数は極めて限られる。
それでもやはり、薬物送達、細胞性免疫隔離、手術後癒着の防止、組織修復、等の目的のために、生存能力のある組織または生物活性剤の存在下でヒドロゲルおよび非ヒドロゲルの両方のポリマーマトリックスを形成させることが望ましい。これらのポリマーマトリックスは、2つのカテゴリーに分けられ得る。すなわち、生物分解性または生物吸収性ポリマー網状構造、および生物安定性ポリマー網状構造。
生物分解性ポリマーマトリックスは、制御放出性担体、接着剤およびシーラーを含めて様々な目的のために以前に示唆されている。たとえば制御放出性担体として用いられる場合、ポリマーマトリックスは、薬物または他の治療剤を含有しそして時間的に放出し得る。かかるマトリックスは、たとえば、疎水性ポリマーの溶液流延を含めて、多数の種々の方法により形成され得る。しかしながら、溶液流延は、典型的には、生物学的物質の活性に有害であり得る有機溶媒および/または高温の使用を伴い、また生成方法を複雑にし得る。溶解状態からのポリマーの溶液流延はまた、非架橋マトリックスの形成をもたらすことになる。かかるマトリックスは架橋マトリックスより劣った構造を有し、またかかるマトリックスからの生物活性剤の放出を制御することはより困難である。所望物質中でのまたは所望物質の周りでのモノマーの重合を伴う更に別の方法は、モノマーの細胞毒性、酸素抑制および重合熱の厄介な問題の難点がある。
生物分解性および生物安定性ヒドロゲルを作製するために過去において用いられた別の方法は、低分子量開始剤を用いての予備形成マクロマーの重合を伴う。しかしながら、この方法もまた、毒性、効能および溶解性の考慮事項を含めて多数の欠点を伴う。たとえば、生存能力のある細胞物質をカプセル化するために低分子量可溶性開始剤を含有するマクロマー溶液を用いる場合、開始剤は細胞膜を透過しそして細胞中に拡散し得る。開始剤の存在は、細胞に対する何らかの毒性結果を伴い得る。他方において、活性化された時、これらの開始剤は、明確な細胞毒性潜在力を有するフリーラジカルを生成する。他の欠点は、開始剤が形成マトリックスの外に拡散することができる場合に生じ、それにより毒性および他の問題を生じる。かかる開始剤はまた、水溶液中で凝集する傾向にあり、効率および再現性の問題を引き起こす。最後に、必要なラジカル連鎖重合を開始させるための多くの開始剤の限られた効率に鑑みて、1種またはそれ以上のモノマー重合「促進剤」を重合混合物に添加することがしばしば必要である。かかる促進剤は、細胞膜を透過することが可能な小さい分子である傾向にあり、そして細胞毒性または発癌性の懸念をしばしば生じる。
たとえば米国特許第5,410,016号(Hubbell等)および第5,529,914号(Hubbell等)は、生物分解性および生物安定性重合性マクロマーから作製されたヒドロゲルに関する。該ヒドロゲルは、これらの重合性マクロマーから、可溶性低分子量開始剤の使用により作製される。細胞をカプセル化するゲルを形成させるために、かかる開始剤はマクロマーと一緒にされそして細胞の存在下で照射され得る。かなりの数の同様なおよび関連の特許が、最近何年間にわたって現れている。たとえば米国特許第5,232,984号、第5,380,536号、第5,573,934号、第5,612,050号、第5,837,747号、第5,846,530号および第5,858,746号が参照される。
ヒドロゲルは、たとえば組織用接着剤、脈管内舗装、手術後癒着の防止、等として用いるための、生物学的接着剤またはシーラントとしての使用において、しばしば同様なまたは他の欠点の難点がある。かかる用途の各々において、ヒドロゲルマトリックスは、一般に、1つまたはそれ以上の組織表面に「接着」しなければならない。現在の方法は、物理「接着」、または表面に「粘着」するヒドロゲルの傾向に頼る。優れた接着剤は、現在のヒドロゲル接着剤と同じ物理的特性を利用するがしかしまた組織表面へのマトリックス物質の化学共有結合を与えることにより、表面への物理および化学接着の両方を与えるであろう。共有結合は、一般に、水素結合およびファンデルワールス力のような物理接着力よりはるかに強い。
上記に記載されたように、マクロマーの光開始によりポリマーマトリックスを形成させるために様々な技法が用いられる場合、利用される光開始剤は、低分子量である傾向にある。ポリマー光開始剤も記載されているけれども、用途および系について上記に記載されたものとは全く相違する。たとえばKroschwitz編,Concise Encyclopedia of Polymer Science and Engineering,1990における「ラジカル重合」,C.H.Bamford,pp.940〜957が参照される。「光増感開始: ポリマー光増感剤および光開始剤」という題目のサブセクションにおいて、著者は、「ポリマー光増感剤および光開始剤が記載されている。これらのうちの多くは、ベンゾフェノンを基剤としたポリマーたとえばポリ(p−ジビニルベンゾフェノン)(DVBP)である。」と述べる。かかる硬質ポリマーは、励起ベンゾフェノンによる主鎖からの水素引抜きが比較的ありそうにないので、効果的増感剤であると報告されている。
米国特許第4,315,998号(Neckers)は、光酸化、光二量化および光付加環化反応のような光増感化学反応の不均質触媒作用において用いるためのポリマー−結合光増感性触媒(ポリマーに結合された光増感性触媒)を記載する。ポリマー−結合光増感性触媒は水および普通有機溶媒に不溶であり、そしてそれ故反応媒質および反応生成物から単純濾過により容易に分離され得る。
明らかに必要とされるものは、慣用ポリマーマトリックスと関連した問題、特にポリマーマトリックスが生存能力のある組織または生物活性剤の存在下で形成される場合に生じる欠点を避けるマクロマーおよびマクロマー系である。
発明の要約
本発明は、植込み(インプラントされた)物品(たとえば、植込み組織または多孔質表面を与える植込み補てつ装置)の宿主組織部位内の性能を改善する方法であって、宿主組織とインプラントの間において連続組織の成長を促進することにより改善する方法を提供する。本発明の植込み物品は、たとえば、培養組織および/または天然組織(たとえば、移植組織)の形態にて与えられ得、あるいはポリマーおよび/または金属材料から製作され得る。該方法は物品と宿主組織の間の界面を形成するよう適応された架橋性マクロマー系を用いて、たとえば架橋マクロマー中へのおよび架橋マクロマーを貫いての並びに多孔質装置表面の細孔中への、インプラントと組織部位の間の体部による組織統合を容易にする(たとえば、促進するおよび/または可能にする)。
出願人の米国親出願シリアルナンバー09/121,248(現在では、米国特許第6,007,833号)は、本発明の方法において有用な好ましいマクロマー系の例を与える。該親出願は、セルカプセル化、接着剤およびシーラント、バリヤー(「遮断体」)、制御放出性担体、組織置換/足場、創傷用包帯並びにその場での装置形成を含めて、様々な用途についてのかかる系の使用を教示する。たとえば組織置換における使用について、該親出願は、型中にまたは装置におけるキャビティ中にマクロマー系を入れることを教示する。
本発明のポリマーマトリックス(マクロマー系を架橋することにより形成されたような)は、たとえば、植込み医用装置に対する組織応答を改善するために用いられ得る。改善組織応答の例は、次のものを包含する。すなわち、1)増加された組織内方成長(たとえば、無セメント股関節インプラントの細孔中へ)および2)減少された線維形成(たとえば、乳房インプラントおよびヘルニア修復メッシュの周りにおいて)。組織統合に加えて、マクロマー系は、即時の望ましい空間充填特性によって装置に対する即時および慢性の両方の不都合な反応の減少(たとえば、それにより、流体および/または望ましくない細胞の蓄積を防止する)を含めて、様々な利点を与え得る。
本発明のマクロマー系は、インプラントと組織部位の間にいかなる適当な態様にても与えられ得、たとえば、該系はインプラントの表面上に、インプラントを組織部位に置く前、中および/または後に与えられ得る。同様に、マクロマー系は、いかなる適当な時点においてもマトリックスを形成するよう重合され得、たとえば、系はインプラント上に塗布されおよび/または組織部位に送達されそしてインプラントを組織部位中にまたは組織部位上に置く前、中および/または後に架橋され得る。たとえば、系は、たとえば製造業者または外科医のどちらかにより、補てつ装置の表面上に与えられそして架橋され、そして組織部位中に植え込まれ得る。別の例として、マクロマー系は組織部位それ自体に施用され、その場で重合され(たとえば、該系に対して直接的にまたは半透明組織を通じてのどちらかにて照射の適用により)、そしてインプラント物品(その表面上にマクロマー系またはマトリックスを有するまたは有さない)が該部位上にまたは部位中に置かれ得る。
組織部位内のインプラントとマトリックスとの得られる組み合せ物は、マトリックスを貫いてそしてインプラントと組織部位の間において、時間的に連続組織成長の形成を可能にする。かかる成長は、一方向(たとえば、組織部位から始まってインプラントに向かう)および/または二方向(たとえば、組織部位および植込み組織の両方から始まる)であり得る。
系または生じたマトリックスは、成長因子、形態形成因子またはDNAのような追加成分と共にまたは追加成分なしに施用され得る。分解性および非分解性の両方のマクロマー系が有用であるが、しかし所望の速度論でもって分解するよう適応されたマトリックスが好ましい。
別の側面において、本発明は、組織インプラントまたは1つもしくはそれ以上の多孔質表面を有する補てつ装置のようなインプラント物品と、本明細書に記載されたような架橋マクロマー系から成るマトリックスとを含む組み合せ物を提供する。一つの具体的態様において、物品と未架橋マクロマー系が最初に体外において組み合わされ(たとえば、該系が物品上に塗布される)、それによりインプラントを体部位内に置く前、中および/または後に該系が架橋されることを可能にする。別の具体的態様において、組み合せ物は、物品を体部位内におよび/または体部位に並置して置き並びにマクロマー系を体部位に送達する(物品それ自体を置く前、中および/または後に)ことにより与えられ、しかしてそこでマクロマー系は、物品と組織部位の間の適所にて十分に安定な被膜または他の適当な界面として架橋される。
たとえば、液体(たとえば、十分に流動可能な)形態のマクロマー系は、組織欠損部に、組織インプラントまたは予備成形された装置が該欠損部中に押し込められる前、中または後に適用され得る。該系は、たとえば、インプラントと組織部位の間の約0.1mmないし約10mmの間の空間を占めるように与えられ得る。開始剤基を活性化しそしてかくしてマクロマー系を重合させて固体マトリックスにするために、該系は照射される。架橋したマクロマー系と一緒に、組織インプラントまたは予備成形された装置の生じた組み合せ物は、望ましくない流体または細胞の蓄積のための隙間が残存しないように、該欠損部を完全にかつ合致して充填する。
本明細書に記載されたように、マクロマー系は、かくして、たとえば組織インプラントまたは予備成形された装置(それ自体、組織をベースとしているかまたは非組織をベースとしているかのどちらか)と隣接組織の間の空間を充填するために、「グラウト」の態様にて用いられ得る。現在の組織インプラントは、たとえば、移植片(たとえば、自己移植片、同種移植片または異種移植片)として得られたもの、および組織工学により与えられたものの両方を包含する。現在の組織工学製品は、しばしば、組織欠損部中に植え込まれる培養組織から成る。しかしながら、かかる製品は、典型的には、隣接天然組織に十分には合致せず、かくして空間を残し、しかして該空間中に望ましくない流体および細胞が蓄積しそして不都合な組織応答を生じ得る。たとえば、培養軟骨が軟骨欠損部中に植え込まれる場合、滑液およびマクロファージが、充填されていない空間に入りそして線維組織形成に通じ得、しかして該線維組織形成は植込み軟骨と天然軟骨との統合を妨げる。組織欠損部中に植え込まれそしてグラウトとして適用された本マクロマー系から利益を得る他の培養組織は、皮膚、骨、靱帯、血管および心臓弁を包含するが、しかしそれらに制限されない。
本発明の組み合せ物または方法において有用なインプラントたとえば補てつ装置は、組織統合が所望されるものであって、生体内に置かれると組織統合を可能にするまたは容易にするのに十分に多孔質の表面をそれら自身与える(または具備され得る)ものを包含する。適当な多孔質補てつ装置の例は、関節インプラント(たとえば、股関節または膝の再構築用)、歯科インプラント、軟組織美容補てつ物(たとえば、乳房インプラント)、創傷用包帯、脈管補てつ物(たとえば、脈管移植片およびステント)および眼科補てつ物(角膜内レンズ)を包含するが、しかしそれらに制限されない。それから本発明のマクロマー系は、いかなる適当な態様にても、たとえば補てつ装置の表面内のまたは表面上のボイドを被覆するおよび/または充填するために用いられ得る。
かかる装置は、好ましくは、生体内で組織内方成長を可能にするのに十分な多孔度を有する表面からそれら自体成っているかまたはそうでなければ与える(または具備され得る)。本明細書において用いられる場合、語「多孔質」およびその語形変化は、周囲の天然組織との直接または間接接触のために充てられるところの装置表面の1つまたはそれ以上の部分であってしかもそれらの細孔中への組織統合を可能にするのに十分である部分を指す。多孔質表面は、様々な具合に、たとえば、様々な整形外科関連会社から入手できるような無セメント股関節インプラントの表面上のチタン粒子のような、表面上の焼結粒子として与えられ得る。多孔質表面はまた、塩結晶をシリコーンゴムオリゴマーと混合し、次いでシリコーンゴムを固化(加硫)し、そして最後に塩結晶を溶解することから残存するキャビティの形態にて与えられ得る(様々な乳房インプラントについて現在行われているように)。更に別の多孔質表面は、繊維材料から製作され得、あるいは溶液流延および微粒子浸出、相分離または気体発泡により多孔質スポンジとして生成され得る(たとえば、B.S.KimおよびD.J.Mooney,組織工学用生体適合性合成細胞外マトリックスの開発,TIBTECH,16:224〜230(1998)参照)。
かかる多孔質表面は、典型的には、三次元構造の空間を与え、しかして該空間中に組織は成長しそして成熟し得る。植込み可能な装置の多孔質領域は、好ましくは、細孔それら自体がこれらの細孔を形成および分離する物質より大きい相対体積を占める点で、高い細孔密度を有する。望ましくは、細孔は、隣接細孔において成長する組織間の直接接触を可能にする相互連結通路を有する。最小平均細孔サイズは、好ましくは、毛管(たとえば約5ミクロンの直径を有する)を収容するのに十分であり、そして最大平均細孔サイズは約1mmである。好ましい細孔サイズは、組織ごとに変動し、そして典型的には約20ミクロンから約600ミクロン、一層好ましくは約50ミクロンから約400ミクロンの範囲にある。
本発明において有用な架橋性マクロマー系は、2またはそれ以上のポリマーからのペンダントの重合性基と、好ましくはポリマーからのペンダントの開始剤基の形態の、1種またはそれ以上の開始剤とを含む。好ましい具体的態様において、重合性基および開始剤基は、同じポリマー主鎖にペンダントされている。別の好ましい具体的態様において、重合性基と開始剤基は、異なるポリマー主鎖にペンダントされている。
第1の具体的態様において、マクロマー系は、重合性基および開始剤基の両方が共有結合されているポリマー主鎖を含む。開始剤側基は、これらの基を主鎖に任意の適当な時機において、たとえばマクロマーの形成前に(たとえば、マクロマーを製造するために用いられるモノマーに)または完全に形成されたマクロマー自体に、結合させることにより与えられ得る。マクロマー系はそれ自体、典型的には、開始剤基および重合性基の両方を担持するマクロマーを小さい百分率ではあるが、含む。マクロマーのより多量の部分は重合性側基のみを与え、何故なら開始剤基は、典型的には、存在するとしてもマクロマー分子に対して1:1よりはるかに小さい化学量論比にて十分であるからである。
別の好ましい具体的態様において、マクロマー系は、ポリマー開始剤との組合わせにて、重合性マクロマー(一般に、開始剤側基を有さない)を含む。いずれの具体的態様においても、該開始剤は、本明細書において、ポリマー主鎖へのかかる開始剤基の結合によって「ポリマー開始剤」と称される。本発明の更に別の具体的態様は、遊離(ポリマーに結合されていない)開始剤分子を有するマクロマー系を包含する。
ポリマー開始剤を用いる本発明のマクロマー系は、重合性マクロマーおよび別個の低分子量開始剤の使用に対して、多数の予期されない利点を与える。かかる系は、たとえば、非毒性、効率および溶解性のような性質の最適な組合わせを与える。溶解性は、たとえば、主鎖を制御することにより重合性マクロマーの水性または有機溶解性を制御することができることによって改善され得る。毒性もまた改善され得、何故なら本発明のポリマー開始剤は典型的には固定化の間に細胞中に拡散し得ないからである。
好ましい具体的態様において、開始剤側基は、4−ベンゾイル安息香酸、[(9−オキソ−2−チオキサンタニル)−オキシ]酢酸、2−ヒドロキシチオキサントンおよびビニルオキシメチルベンゾインメチルエーテルのような長波紫外(LWUV)光活性化性分子;エオシンY、ローズベンガル、カンファーキノンおよびエリトロシンのような可視光活性化性分子;並びに4,4′−アゾビス(4−シアノペンタン酸)および2,2−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩酸塩のような熱活性化性分子から成る群から選択される。開始剤基の重要な特性は、重合性基を含有する予備形成マクロマーに結合される能力またはマクロマー合成に参加し得るモノマーを形成するよう変性される(引き続いて重合性基の付加が後続される)能力である。
かかる具体的態様において、重合性側基は、好ましくは、ペンダントのビニル基、アクリレート基、メタクリレート基、エタクリレート基、2−フェニルアクリレート基、アクリルアミド基、メタクリルアミド基、イタコネート基およびスチレン基から成る群から選択される。
更なる好ましい具体的態様において、ポリマー主鎖は、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリエチレンオキシド(PEO)およびポリエチレングリコール(PEG)のような合成マクロマー;セルロースのような誘導体化可能な天然に存在するポリマー;ヒアルロン酸、デキストランおよびヘパリンのようなポリサッカライド;並びにコラーゲン、ゼラチンおよびアルブミンのようなタンパク質から成る群から選択される。
本発明のマクロマーは、制御的薬物放出、組織用接着剤およびシーラントの作製、細胞の固定化、並びにインプラント用三次元ボディの作製を含めて、様々な用途において用いられ得る。たとえば一つの側面において、本発明は、細胞を固定化する方法を提供し、しかして該方法は、本発明のポリマー開始剤を、1種またはそれ以上の重合性マクロマーと、細胞の存在下で、該細胞を固定化するようにして該マクロマーを重合させるのに適した条件下で一緒にする工程を含む。
詳細な説明
本明細書において用いられる場合、次の語および用語は、下記に帰せられる意味を有するものとする。すなわち、
「マクロマー系」は、側基としての重合性および開始剤基を与える1種またはそれ以上のポリマーを含む重合性ポリマー系を指すものとする。基は、同じまたは異なるポリマー主鎖上のどちらかに(たとえば、重合性マクロマーまたは非重合性ポリマー主鎖のどちらか上に)存在し得る;
「重合性マクロマー」は、2個またはそれ以上の重合性(たとえば、ビニル)基を担持するポリマー主鎖を指すものとする;
「開始剤基」は、重合性マクロマー上の側基または別個の非重合性ポリマー主鎖上の側基のどちらかとして存在するところの、フリーラジカル反応を開始させることの可能な化学基を指すものとする;そして
「ポリマー開始剤」は、1個またはそれ以上の開始側基を含みそして随意に1個またはそれ以上の他の熱化学反応性基または親和性基を含有するポリマー主鎖(重合性または非重合性)を指すものとする。
本発明のポリマー主鎖は、合成または天然に存在するもののどちらかであり得、そしてポリマーマトリックスの作製のために有用であると先に記載された多数のマクロマーを包含する。一般に、主鎖は、水、または有機溶媒(たとえば、ジメチルスルホキシド)が添加されている水のような、水溶液に可溶またはほぼ可溶であるか、あるいは適切な溶媒または溶媒の組合わせを用いて可溶にされ得るものである。又は、ポリマー主鎖は、周囲の生理学的条件下で液体である物質であり得る。生物分解性ゲルを作製する際に用いるための主鎖は、好ましくは、生体内条件下で加水分解性である。
一般に、本発明のポリマー主鎖は、2つのカテゴリーに分けられ得る。すなわち、生物分解性または生物吸収性試薬、および生物安定性試薬。これらは更に、親水性ヒドロゲルマトリックスを形成する試薬と非ヒドロゲルマトリックスを形成する試薬とに分けられ得る。
生物吸収性ヒドロゲル形成性主鎖は、一般に、ポリサッカライド(それらの例は、ヒアルロン酸(HA)、デンプン、デキストラン、ヘパリン、コンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸、ヘパラン硫酸、ケラタン硫酸、デキストラン硫酸、ペントサンポリ硫酸およびキトサンを包含するが、しかしそれらに制限されない)並びにタンパク質(および他のポリアミノ酸)(それらの例は、ゼラチン、コラーゲン、フィブロネクチン、ラミニン、アルブミン、エラスチンおよびそれらの活性ペプチドドメインを包含するが、しかしそれらに制限されない)のような天然に存在するポリマーである。これらの物質から形成されたマトリックスは、一般に酵素介在加水分解によって、生理学的条件下で分解する。
ヒアルロン酸は、本明細書に記載された態様にて重合性基で誘導体化された場合、これまで知られていないかまたは達成され得ない様々な利点および利益を与える。ヒアルロン酸は、慣用的に、水性条件にて誘導体化されてきた(たとえばSoon−Shiong(米国特許第5,837,747号)、Sakurai(米国特許第4,716,224号)およびMatsuda(米国特許第5,763,504号)参照)。たまの参考文献が、ヒアルロン酸を有機条件下で誘導体化することができることを記載している(たとえば、Della Valle,米国特許第5,676,964号参照)。しかしながら、かかる手法のすべてでないとしてもほとんどにおいて、反応混合物は真溶液とは対照的に懸濁液であるか、または有機溶媒中における溶解性を高めるためにヒアルロン酸がそれ自体予備反応される(典型的には、主として水性の混合物中で)かのどちらかである。
出願人は、他のポリサッカライドおよびポリアミノ酸(コラーゲンのような)だけでなく、ヒアルロン酸も有機の極性で無水の溶媒および溶媒組合わせ中で効果的に誘導体化され得る態様を見出した。特に好ましい溶媒は、ホルムアミド、およびそれと他の溶媒の組合わせである。機能的には、かかる溶媒または溶媒系は、ポリマーが十分に可溶でありそしてその誘導体化を所望程度まで可能にするものである。かかるポリマーを本発明の態様にて誘導体化することができることにより、様々な予期されない利益、並びに製造コスト、制御性および収率のような性質の最適な組合わせが与えられる。
下記に例示されるように、たとえば、ヒアルロン酸は、ヒアルロン酸分子をアクリレート基で誘導体化するために、ホルムアミド(およびpH制御用のTEA)中で、グリシジルアクリレートの形態の反応性部分と反応される。アクリレート基の数および/または密度は、たとえばサッカライド基含有量に対する反応性部分の相対濃度を制御することにより、本方法を用いて制御され得る。
生物吸収性マトリックス形成性主鎖は、一般に、1種またはそれ以上のモノマーの縮重合により製造された合成ポリマーである。このタイプのマトリックス形成性ポリマーは、ポリラクチド(PLA)、ポリグリコリド(PGA)、ポリカプロラクトン(PCL)、並びにこれらの物質のコポリマー、ポリアンヒドリドおよびポリオルトエステルを包含する。
生物安定性ヒドロゲルマトリックス形成性主鎖は、一般に、水に可溶である合成または天然に存在するポリマーであり、しかしてそれらのマトリックスはヒドロゲルまたは水含有ゲルである。このタイプの主鎖の例は、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリアクリルアミド(PAA)、ポリビニルアルコール(PVA)、等を包含する。
生物安定性マトリックス形成性主鎖は、一般に、メチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、ジメチルシロキサン等のような疎水性モノマーから形成された合成ポリマーである。これらの主鎖物質は、一般に、有意な水溶性を有さないが、しかし活性化にて強固なマトリックスを形成する純液体として処方され得る。親水性および疎水性モノマーの両方を含有する主鎖ポリマーを合成することも可能である。
重合性マクロマーのポリマー主鎖は、随意に、たとえば上記に説明されたHubbell特許(それらの開示は、参照することにより本明細書に組み込まれる)に記載されているような、多数の望ましい機能または属性を与え得る。主鎖は、重合性領域だけでなく、水溶性領域、生物分解性領域、疎水性領域も具備し得る。
本明細書において用いられる場合、用語「重合性基」は、一般に、フリーラジカルの発生による開始(最も好ましくは、可視または長波長紫外線によって活性化される光開始剤による)により重合可能である基を指す。好ましい重合性基は、アクリレート、メタクリレート、エタクリレート、イタコネート、アクリルアミド、メタクリルアミドおよびスチレンを包含する。
典型的には、重合性基は、標準的熱化学反応を用いて、初期マクロマー形成に引き続いてマクロマー中に組み込まれる。かくして、たとえば、重合性基は、リシン残基を含有するアミンとアクリロイルクロライドまたはグリシジルアクリレートとの反応により、コラーゲンに付加され得る。これらの反応は、重合性側基部分を含有するコラーゲンをもたらすことになる。同様に、本発明において記載されたように用いるためのマクロマーを合成する場合、反応性基を含有するモノマーは、合成スキームに組み込まれ得る。たとえば、ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)またはアミノプロピルメタクリルアミド(APMA)はN−ビニルピロリドンまたはアクリルアミドと共重合されて、側基としてヒドロキシルまたはアミン基を有する水溶性ポリマーを生じ得る。これらの側基は引き続いてアクリロイルクロライドまたはグリシジルアクリレートと反応されて、重合性側基を有する水溶性ポリマーを形成し得る。
本発明の系において有用な開始剤基は、フリーラジカルの発生により、マクロマーの重合を所望程度までかつ所望時間内で開始させるために用いられ得るものを包含する。架橋および重合は、一般に、光活性化フリーラジカル重合開始剤によりマクロマー間で開始される。長波UVおよび可視光開始のための好ましい開始剤は、エチルエオシン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、他のアセトフェノン誘導体、チオキサントン、ベンゾフェノンおよびカンファーキノンを包含する。
好ましいポリマー開始剤は、光エネルギーを捕獲しそしてマクロマーの重合を開始させる感光性分子である。他の好ましいポリマー開始剤は、熱エネルギーを捕獲しそしてマクロマーの重合を開始させる感熱性分子である。
本発明のマクロマーのフリーラジカル重合の光開始は、一般に、3つのメカニズムのうちの一つにより起こる。第1のメカニズムは、カルボニル基と隣接炭素原子の間のホモリチックアルファ開裂反応を伴う。このタイプの反応は、一般に、ノリッシュI型反応と称される。ノリッシュI型反応性を示しかつポリマー開始系において有用な分子の例は、ベンゾインエーテルおよびアセトフェノンの誘導体を包含する。
第2のメカニズムは、分子内または分子間のどちらかでの水素引抜き反応を伴う。この開始系は、追加のエネルギー移動受容体分子なしにかつ非特異的水素引抜きを利用して用いられ得るが、しかしより普通には、エネルギー移動受容体、典型的には第3級アミン(アミノアルキルラジカルおよびケチルラジカルの両方の形成をもたらすことになる)と共に用いられる。水素引抜き反応性を示しかつポリマー開始系において有用な分子の例は、ベンゾフェノン、チオキサントンおよびカンファーキノンの類似体を包含する。
水素引抜き型のポリマー開始剤を用いる場合、第3級アミン側基がマクロマーのポリマー主鎖中に組み込まれ得る。これは、形成されるすべてのフリーラジカルがポリマーに結合されることを保証する。
第3のメカニズムは、光還元可能なまたは光酸化可能な染料を利用する光増感反応を伴う。たいていの場合において、光還元可能な染料は、還元体、典型的には第3級アミンと共に用いられる。還元体は誘起三重項を阻んで、染料のラジカルアニオンおよび還元体のラジカルカチオンを生成する。光増感反応性を示しかつポリマー開始系において有用な分子の例は、エオシンY、ローズベンガルおよびエリトロシンを包含する。還元体はポリマー主鎖中に組み込まれ、それによりすべてのフリーラジカルがポリマーに結合されることを保証し得る。
熱反応性ポリマー開始剤もまた、マクロマーの重合のために有用である。ポリマー開始系において使用可能な熱反応性開始剤の例は、4,4′−アゾビス(4−シアノペンタン酸)、およびベンゾイルペルオキシドの類似体を包含する。
マクロマーを重合させるためのポリマー開始剤の使用の驚くべき程有益な効果は、低分子量対応物と比較して、これらのポリマー開始剤により示される重合効率が増加されることである。この増加された効率は、マクロマーの重合のために有用な3つの光開始メカニズムのすべてにおいて見られる。
モノマー溶液のポリマーによる開始が、工業的使用用UV硬化性被覆剤の分野におけるその適用について調査されている(米国特許第4,315,998号(Neckers)およびPCT出願国際公開番号WO97/24376(Kuester等)参照)が、しかし生物学的物質の存在下でのまたは薬物放出性マトリックスの生成のためのマクロマーの重合に対するポリマー開始剤の使用の適応についての報告は存在していない。
高い開始効率が、これらのような系において特に重要である。生物学的または生物活性物質の存在下でポリマーマトリックスを形成させる場合、重合を開始させるために用いられるエネルギー源への該物質の暴露時間を最小にすることが一般に望ましい。それ故、利用される開始系が最適開始効率を有することが肝要である。
マトリックスの強度または耐久性が特定の用途にとって必要とされる場合、高効率は、やはり開始系の必要な特性である。マトリックス形成性系が開始される場合、該系のフリーラジカル重合は、重合しつつある系のゲル化およびガラス化がマトリックス形成性系の要素の拡散をあまりにも困難にするようになるまで伝搬される。それ故、開始系の効率が高ければ高いほど、重合は一層完全になって、一層強固で、一層耐久性のマトリックスの形成をもたらすことになる。本発明において記載されたポリマー開始系は、促進剤の使用と共にまたは使用なしに、ポリマーに結合されていない低分子量開始剤を用いて達成され得るより高い効率を与える。
別の有益な効果は、ポリマー開始剤における開始剤基が水素引抜き反応性(すなわち、分子間で水素を引き抜く能力)を示す基から成る場合に実現される。この有益な効果は、これらの開始剤を含有するマクロマー系が組織用接着剤、脈管内舗装、手術後癒着を防止するための遮断体の形成、または1つもしくはそれ以上の表面へのマトリックスの「接着」を伴う用途として用いられる場合に重要である。このタイプの反応性を示す開始剤は隣接分子から水素を引き抜き得るので、このタイプのポリマー開始剤を含有するマクロマー系が基体に適用される場合、該系の光活性化は、該開始剤による基体からの水素の引抜きを起こさせ、かくして基体におけるフリーラジカルおよび開始剤におけるフリーラジカルを形成させる。このジラジカルは、引き続いて、マクロマー系と基体の間で共有結合を形成して崩壊し得る。
同じマクロマー上の他の開始剤基は他のマクロマーとのフリーラジカル反応を開始させて、表面に共有結合された架橋マトリックスの形成をもたらすことになる。このタイプの反応性を示す開始剤基は、ベンゾフェノンおよびチオキサントンの類似体を包含する。容易に理解され得るように、ポリマー開始剤のみが表面へのマトリックスのこの接着を成し遂げることが可能であり、これらの開始剤の低分子量類似体はこの現象を生じさせ得ない。
随意に、必要なラジカル連鎖重合を開始させるための開始剤の使用は、重合混合物への1種またはそれ以上のモノマー重合促進剤の添加を含み得、しかして該促進剤は、重合の効率を高めるように働く。本発明において有用な重合促進剤は、典型的には、マクロマー系の反応性を改善するモノマーである。この用途について格別な効用があると分かっている重合促進剤は、N−ビニル化合物、特にN−ビニルピロリドンおよびN−ビニルカプロラクタムである。かかる促進剤は、たとえば、マクロマー系の体積を基準として、重量により約0.01%〜約5%、好ましくは約0.05%〜約0.5%の濃度にて用いられ得る。
別の具体的態様において、ポリマー開始剤は、開始剤側基および反応性または親和性側基を有するポリマー主鎖を含む。これらの反応性または親和性基は、ポリマー開始剤が当該表面における標的基に結合することを可能にする。これにより、ポリマー開始剤が当該表面に結合されうる。この態様において、マクロマーの界面重合が成し遂げられ得る。反応性または親和性側基を含有するポリマー開始剤の溶液は、標的部位を有する表面に適用される。ポリマー開始剤における反応性または親和性基は表面における該部位と反応して、ポリマー開始剤を表面に結合させる。次いで、過剰のポリマー開始剤は、洗い流され得る。次いで、重合性マクロマーの溶液が、該表面に適用される。光エネルギーが該系に適用される時、フリーラジカル重合反応が、当該表面においてのみ開始される。重合性マクロマーの濃度および照射時間を変動することにより、該表面上に生じるマトリックスの厚さおよび架橋密度が操作され得る。
一般に、開始剤基がポリマー主鎖中に組み込まれ得る2つの方法がある。第1の方法は、開始剤を含むモノマーの形成を伴う。これは、標準的化学反応を用いて容易に成し遂げられ得る。たとえば、開始剤の酸塩化物類似体はアミン含有モノマーと反応されて、開始剤を含有するモノマーを形成し得る。
ポリマー主鎖中に開始剤基を組み込む第2の方法は、開始剤の反応性類似体を予備形成されたポリマーとカップリングさせることを伴う。たとえば、開始剤の酸塩化物類似体はアミン側基を含有するポリマーと反応されて、開始剤側基を担持するポリマーを形成し得る。
マクロマー系は、マクロマー系を吹き付ける、浸漬する、注入するまたは刷毛塗りすることによることを含めていかなる適当な態様にても、組織部位および/またはインプラント物品に適用され得る。マクロマー系から作製されたポリマーマトリックスは、以下のものを含めて様々な用途において用いられ得る。
細胞カプセル化 細胞および他の組織を含有するマイクロまたはマクロカプセルを形成させるためのヒドロゲルの使用は、文献に十分に記載されている。用途は、糖尿病、パーキンソン病、アルツハイマー病、ALS、慢性疼痛等の処置を包含する。細胞カプセル化方法の説明は、特許および科学文献を通じて見られ得る。本発明の使用は、2つの基本的やり方で細胞をカプセル化する方法を与える。
1)塊状重合
この具体的態様において、細胞物質がマクロマー系の溶液中に混入され、そして引き続いてエネルギーが加えられてフリーラジカル重合の開始が活性化される。開始に先だって、懸濁細胞物質を有するマクロマー系含有溶液は、特定の幾何学形状に造形された型中に入れられ、あるいは中空繊維のような予備成形されたメンブランシステムの内部に入れられ得る。照射されるとまたは他のエネルギーが加えられると、フリーラジカル重合の開始によりマクロマー系がゲル化されて、所望形状の細胞含有マトリックスが形成される。自立性幾何学形状に成形される場合、マクロマー系の処方は、引き続いて形成されるマトリックスに所望の程度の耐久性および選択透過性を与えるように設計され得る。所望の選択透過性を与えるように設計された中空繊維のようなメンブラン構造の内部にて形成される場合、マクロマー系は、生体適合性等のような細胞懸濁マトリックスの所望の特性を与えるように処方され得る。
2)界面重合
この具体的態様において、メンブランが、細胞物質の表面上に直接的に形成される。親和性側基(たとえば、正荷電基)を含有する重合性または非重合性ポリマー開始剤の溶液が、細胞物質と混合される。親和性基は、細胞物質の表面における部位に結合する。引き続いて、過剰のポリマー開始剤は洗い流され、そして細胞物質は重合性マクロマーの溶液中に懸濁される。開始剤基は細胞物質の表面においてのみ存在するので、光エネルギーが適用される時、重合は表面:マクロマーの界面においてのみ開始される。照射の継続時間およびマクロマーの処方を操作することにより、厚さ、耐久性、選択透過性等の所望の特性を示すポリマーマトリックスが、細胞物質の表面上に直接的に形成される。
接着剤およびシーラント ポリマーマトリックス系はまた、組織および他の表面用の接着剤として広範な使用があると分かっている。この用途について、マクロマー系の溶液は接着が所望される表面に施用され、別の表面がこの表面と接触され、そして照射が適用されて表面対表面接合が形成される。一時接着剤が所望される場合、マクロマー系は分解性マクロマーで構成され得る。
遮断体 ポリマーマトリックスは、様々な用途について、表面上における遮断体の形成のために用いられ得る。一つのかかる用途は、手術後の組織癒着の防止のための遮断体である。この用途について、液体形態のマクロマー系が、損傷組織の表面に適用される。この液体が照射されて、マクロマーが重合される。このポリマーマトリックスは、他の組織が損傷組織に接着しないようにする。分解性および非分解性の両方のマクロマー系が、この目的のために用いられ得る。上記に記載されたように、塊状重合法および界面重合法の両方が、このタイプの表面被膜を作製するために用いられ得る。
制御放出性担体 ポリマーマトリックスは、制御放出性ビヒクルとして、広範な用途が見つけられている。この用途について、マクロマー系および薬物、タンパク質または他の活性物質の溶液が、表面に適用される。この溶液が照射されて、マクロマーが重合される。このポリマーマトリックスは薬物を含有し、生理学的または他の液体含有環境に暴露された時、該薬物は該環境中にゆっくり放出される。同伴薬物の放出プロフィールは、マクロマー系の処方を変動することにより操作され得る。分解性および非分解性の両方のマクロマー系が、この目的のために利用され得る。同様に、塊状重合技法および界面重合技法の両方が、制御的薬物放出性表面を作製するために用いられ得る。別の具体的態様において、薬物または他の活性物質は、表面上の予備形成マトリックスにより吸収され得る。マトリックスの吸収および放出特性は、マトリックスの架橋密度および疎水性、並びに吸収のために用いられる溶媒を変動することにより操作され得る。
その代わりに、薬物含有ポリマーマイクロスフェアが、標準的技法を用いて作製され得る。広範な薬物および生物活性物質が本発明を用いて送達され得、しかしてそれらは抗トロンボゲン形成剤、抗炎症剤、抗微生物剤、抗増殖剤および抗癌剤、並びに成長因子、形態形成タンパク質等を包含するが、しかしそれらに制限されない。
組織置換/足場 ポリマーマトリックスは、ハイブリッド組織および器官用の三次元足場としての効用があると分かっている。この用途について、液体形態のマクロマー系が組織欠損部に適用され、そして引き続いて照射されてマクロマーが重合されてマトリックスを形成し、しかしてこのマトリックス上の内方成長する細胞は、移動しそして機能組織に組織化し得る。一つの具体的態様において、マクロマー系は、ゆっくり放出されそして所望の細胞タイプの内方成長を刺激する成長因子を追加的に含む。別の具体的態様において、マクロマーは、所望の細胞タイプの内方成長を刺激し得るペンダントの細胞外マトリックスペプチドを含む。第3の具体的態様は、上記の特徴の両方を含む。別の具体的態様は、追加の成長因子を有するまたは有さないマトリックスに含められた細胞を含む。足場は、型中にまたは装置におけるキャビティ中に液状マクロマー系を入れることにより生体外で生成され得、あるいは液状マクロマー系を組織欠陥部に適用することにより生体内で生成され得る。分解性および非分解性の両方のマクロマー系がこの用途について用いられ得るが、しかし分解性マトリックスが好ましい。
創傷用包帯 ポリマーマトリックスは、優れた創傷用包帯製剤として広範に用いられている。現在、ヒドロゲルおよびヒドロコロイドの創傷用包帯材料が、それらの優れた創傷治癒性質の故に増加的に用いられつつある。この用途について、液体形態のマクロマー系が創傷部位に適用され、そして引き続いて光への暴露にて可撓性ポリマーマトリックスに形成される。液体として適用される場合、マクロマー製剤は、創傷の不整表面に合致する。照射されると、創傷の表面に完全に合致する可撓性マトリックスが形成される。細菌浸潤の部位として働き得る流体充填ポケットは存在し得ない。一つの具体的態様において、マクロマー系は、創傷中にゆっくり放出される成長因子または抗微生物剤のような1種またはそれ以上の治療剤を追加的に含む。分解性および非分解性の両方のマクロマー系が、この用途について用いられ得る。
その場での装置の形成 病的または損傷組織の機能を代替または支援するために、ポリマー材料が体内に植え込まれ得る。これについての一つの例は、経皮経管的冠状動脈形成術(PTCA)後の冠状動脈の構造を支持するための、中空筒状ポリマー製装置の使用である。現在、予備形成された円筒状装置は、カテーテルの挿入そして次いで該装置を固定するべきバルーンの膨張により植え込まれる。この膨張装置は動脈の構造を支持し、また動脈の閉鎖位置への逆戻り(再狭窄)を防止する。
この用途について、液状マクロマー調製物は、照射要素を含有する多管腔カテーテルにより、傷害動脈に適用され得る。傷害組織への液状マクロマー系の適用後、半硬質ポリマーマトリックスが、短時間の照射により形成され得る。カテーテルが除去されると、中空筒状の同形ポリマー製装置が、依然として該動脈を支持しかつ再狭窄を防止する。一つの具体的態様において、マクロマー系は、抗増殖性および/または抗血栓性薬物のような放出性治療剤を追加的に含む。これらの治療剤は形成されたマトリックスからゆっくり放出されて、追加的な治療的利益を傷害組織に与える。分解性および非分解性の両方のマクロマー系が、この用途について用いられ得る。
本発明は、更に、次の非制限的例に関して記載される。本発明の範囲から逸脱することなく多くの変更が、記載された具体的態様において成され得る、ということが当業者に明らかである。かくして、本発明の範囲は、本願に記載された具体的態様に制限されるのではなくて、請求項の言葉により記載された態様およびこれらの態様の等価物によってのみ制限されるべきである。別段指摘されていなければ、百分率はすべて重量による。
実施例
例1
7−メチル−9−オキソチオキサンテン−3−カルボン酸クロライド(MTA−Cl)の合成
2リットル三つ口丸底フラスコ中で、オーバーヘッド型撹拌機を用いて、7−メチル−9−オキソチオキサンテン−3−カルボン酸(MTA)50.0g(0.185mol)を、トルエン350mlおよびチオニルクロライド415ml(5.69mol)中に溶解した。N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)2mlを添加し、そしてこの反応物を2時間還流させた。この時間後、この混合物を室温にて16時間撹拌した。溶媒を真空下で除去し、そしてこの生成物を3×350mlのトルエンと共に共沸させて過剰のチオニルクロライドを除去した。この生成物をクロロホルム800mlから再結晶し、そして生じた固体を真空炉中に45℃にて16時間置いて溶媒の除去を完全にした。この単離生成物は45.31g(85%収率)の重さがあり、そして核磁気共鳴分光法(NMR)により所望の構造であると確認された。この生成物を、例2に記載されたような光反応性モノマーの製造のために用いた。
例2
N−[3−(7−メチル−9−オキソチオキサンテン−3−カルボキサミド)プロピル]メタクリルアミド(MTA−APMA)の合成
乾燥チューブを備えた250ml丸底フラスコ中で、N−(3−アミノプロピル)メタクリルアミド塩酸塩(APMA)4.53g(25.4mmol)を、無水クロロホルム100ml中に懸濁した。このスラリーを氷浴中で冷却した後、撹拌状態でMTA−Cl7.69g(26.6mmol)を固体のまま添加した。次いで、クロロホルム20ml中のトリエチルアミン(TEA)7.42ml(53.2mmol)の溶液を1.5時間の期間にわたって添加し、そして次いで室温にゆっくり温めた。この混合物を、乾燥チューブ下で室温にて16時間撹拌した。この時間後、この反応物を0.1N−HClで洗浄し、そして抑制剤として少量のフェノチアジンを添加した後、溶媒を真空下で除去した。生じた生成物をテトラヒドロフラン(THF)/トルエン(3/1)から再結晶し、そして風乾後8.87g(88.7%収率)の生成物が得られた。この化合物の構造は、NMR分析により確認された。
例3
N−スクシンイミジル6−マレイミドヘキサノエート(MAL−EAC−NOS)の製造
オーバーヘッド型撹拌機および乾燥用チューブを備えた3リットル三つ口フラスコ中で、6−アミノヘキサン酸100.0g(0.762モル)を、酢酸300ml中に溶解した。マレイン酸無水物78.5g(0.801モル)を酢酸200ml中に溶解し、そして上記の6−アミノヘキサン酸溶液に添加した。この混合物を、沸騰水浴で加熱しながら1時間撹拌して、白色固体の形成がもたらされた。室温にて一晩冷却した後、固体を濾過により収集し、そして2×50mlのヘキサンですすいだ。乾燥後、この(Z)−4−オキソ−5−アザ−ウンデセン二酸の典型的収量は158〜165g(90〜95%)であり、160〜165℃の融点を有していた。NMR分光計での分析は、所望の生成物と一致した。
(Z)−4−オキソ−5−アザ−ウンデセン二酸150.0g(0.654モル)、酢酸無水物68ml(73.5g,0.721モル)およびフェノチアジン500mgを、オーバーヘッド型撹拌機を備えた2リットル三つ口丸底フラスコに添加した。トリエチルアミン91ml(0.653モル)およびTHF600mlを添加し、そして撹拌しながらこの混合物を加熱還流した。総計4時間の還流後、この暗色混合物を<60℃に冷却し、そして水3リットル中の12N−HCl250mlの溶液中に注いだ。この混合物を室温にて3時間撹拌し、そして次いでセライト545パッドを通じて濾過して固体を除去した。濾液を4×500mlのクロロホルムで抽出し、そして一緒にされた抽出物を硫酸ナトリウムでもって乾燥した。重合を防止するためにフェノチアジン15mgを添加した後、溶媒を減圧下で除去した。この6−マレイミドヘキサン酸をヘキサン/クロロホルム(2/1)から再結晶して、81〜85℃の融点と共に76〜83g(55〜60%)の典型的収量が得られた。NMR分光計での分析は、所望の生成物と一致した。
この6−マレイミドヘキサン酸20.0g(94.7mmol)をアルゴン雰囲気下でクロロホルム100ml中に溶解し、そして次いでオキサリルクロライド41ml(0.47mol)を添加した。室温にて2時間の撹拌後、溶媒を減圧下で除去すると共に、4×25mlの追加のクロロホルムを用いて過剰のオキサリルクロライドを残らず除去した。この酸塩化物をクロロホルム100ml中に溶解し、そして次いでN−ヒドロキシスクシンイミド12.0g(0.104mol)およびトリエチルアミン16.0ml(0.114mol)を添加した。室温にて一晩撹拌した後、この生成物を4×100mlの水で洗浄し、そして硫酸ナトリウムでもって乾燥した。溶媒を除去して、24.0g(82%)のMAL−EAC−NOSが得られ、しかしてこれを更なる精製なしに用いた。NMR分光計での分析は、所望の生成物と一致した。
例4
MTA−APMA、MAL−EAC−NOSおよびN−ビニルピロリドンのコポリマーの製造
5モル%MTA−APMA、10モル%MAL−EAC−NOSおよび85モル%N−ビニルピロリドン(VP)から成るモノマー装填物の共重合により、ポリマー開始剤を製造する。ホルムアミドまたは他の適当な溶媒中で、開始剤として2,2′−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)および酸素スカベンジャーとしてN,N,N′,N′−テトラメチルエチレンジアミン(TEMED)を用いて、重合を実施する。メルカプトエタノールを連鎖移動試薬として、2,000〜20,000ダルトンの分子量をもたらすよう設計された濃度にて添加する。重合が完了すると、このコポリマーを、エーテルまたはこのポリマーについての他の非溶媒の添加により沈殿させる。濾過による単離後、この生成物を該沈殿用溶媒で大いなる程度洗浄して、残留のモノマーおよび低分子量オリゴマーを除去する。このコポリマーを真空下で乾燥し、そして加水分解性N−オキシスクシンイミド(NOS)エステルを保護するために乾燥状態で貯蔵する。
例5
ペンタエリトリトールエトキシレートのポリ(カプロラクトン−コ−ラクチド)誘導体から誘導された光反応性マクロマーの合成
厚肉管に1−ラクチド(3,6−ジメチル−1,4−ジオキサン−2,5−ジオン)8.147g(56.5mmol)およびε−カプロラクトン6.450g(56.5mmol)を装填することにより、15グラム規模の反応を遂行した。この混合物に、重合部位を与えかつ分子量を制御するために、ペンタエリトリトールエトキシレート(平均MWおおよそ270)0.402g(1.49mmol)を添加した。この混合物を、すべての試薬の溶解が完了するまで穏やかに温めた。触媒すなわち2−エチルヘキサン酸第一スズ(0.015ml)を添加し、そして反応容器を密封した。この反応混合物を150℃に温め、そして20時間撹拌した。生じたポリマーをクロロホルム中に溶解し、そして1000MWCO透析チューブを用いてメタノールで透析した。透析後、溶媒を真空中で除去した。この精製したポリマーをクロロホルム中に溶解し、そしてTEA2.41g(23.8mmol)で処理した。この反応混合物に、4−ベンゾイルベンゾイルクロライド(BBA−Cl)292mg(1.19mmol)を添加し、そして生じた混合物を16時間撹拌した。この反応混合物に、アクリロイルクロライド0.734g(8.11mmol)を添加し、そしてこの反応物を更に8時間撹拌した。この変性ポリマーを、1000MWCO透析チューブを用いてメタノールでの透析により精製した。透析後、溶媒を真空中で除去し、そしてこのポリマー(15.36グラム)を室温にて乾燥状態で貯蔵した。
例6
開始剤側基を有する水溶性シロキサンマクロマーの合成
最初にメチレンクロライド50ml中に商業的に入手できるポリ[ジメチルシロキサン−コ−メチル(3−ヒドロキシプロピル)シロキサン]−グラフト−ポリ(エチレングリコール)3−アミノプロピルエーテル(Aldrich Chemical)50グラムを溶解することにより、開始剤側基を有する水溶性シロキサンマクロマー50グラムを合成した。この溶液に、TEA5.0g(49mmol)を添加した。この反応溶液を−50℃に冷却し、次いで室温における撹拌板に移した。例1における一般的方法に従って製造されたMTA−Cl1.0g(3.5mmol)およびアクリロイルクロライド5.0g(55mmol)を添加し、そしてこの溶液を室温にて6時間撹拌した。この溶液を、3500MWCO透析チューブを用いて脱イオン水で透析し、そして引き続いて水を真空中で除去した。この生成物(48.4グラム)を、室温にて乾燥状態で貯蔵した。
例7
重合性ヒアルロン酸の合成
ヒアルロン酸(ミネソタ州チャスカのLifecore Biomedical)2グラムを、乾燥ホルムアミド100ml中に溶解した。この溶液に、TEA1.0g(9.9mmol)およびグリシジルアクリレート4.0g(31mmol)を添加した。この反応混合物を、37℃にて72時間撹拌した。12〜14kMWCO透析チューブを用いて脱イオン水での徹底的な透析の後、この生成物(2.89グラム)を凍結乾燥により単離した。
例8
光誘導体化ポリアクリルアミド(光−PAA)の製造
アクリルアミド10.24g(0.144mol)を、脱イオン水200ml中に溶解した。この溶液に、APMA0.279g(1.56mmol)、過硫酸アンモニウム0.33g(1.45mmol)およびTEMED0.155g(1.33mmol)を添加した。この溶液を、濾過フラスコ中で、水流アスピレーターでもって10分間排気した。チューブを締め付け、そして溶液を真空下に1時間放置した。生じたポリマー溶液を、12〜14kMWCO透析チューブを用いて脱イオン水で透析した。ポリマー3.0グラムを含有するPTFEボトル中のポリマー溶液150mlに、TEA0.504ml(3.62mmol)を添加した。この溶液に、CHCl3中の28.4mg/mlの4−ベンゾイルベンゾイルクロライド30ml(3.48mmol)を添加した。このボトルをきつく蓋締めし、そして1時間振とうした。次いで、このボトルを10分間遠心機にかけて相を分離し、その後、水性層を除去し、12〜14kMWCO透析チューブを用いて脱イオン水で透析し、そして凍結乾燥した。この生成物(3.21グラム)を、室温にて乾燥状態で貯蔵した。
例9
エオシンYのN−ヒドロキシスクシンイミドの合成
エオシンY1.00g(1.54mmol)を、乾燥ジオキサン10ml中に、撹拌、穏やかな加温およびいくらかの音波処理でもって溶解した。溶解が完了した後、この橙色溶液をアルゴン下で室温に冷却した。N−ヒドロキシスクシンイミド0.195g(1.69mmol)および1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド0.635g(3.08mmol)を、固体のまま添加した。生じた赤色混合物を、不活性雰囲気下で室温にて48時間撹拌した。この時間後、固体を濾過により除去し、そしてジオキサンで洗浄した。濾液を真空中で濃縮して、1.08g(94%収率)のガラス質の赤色固体が得られた。
例10
アクリロイル基の付加が後続されるAPMA、メチルメタクリレートおよびN−ビニルピロリドンのコポリマーの合成
該コポリマー用の次の成分をガラス容器に入れ、そしてDMSO20ml中に溶解した。すなわち、APMA(2.68g,15.0mmol)、VP(6.74ml,63.1mmol)、メチルメタクリレート(mMA)(0.334ml,3.12mmol)、メルカプトエタノール(0.053ml,0.76mmol)、AIBN(0.041g,0.25mmol)およびTEMED(0.057ml,0.38mmol)。溶解が完了した後、このモノマー溶液を脱気し、アルゴンでガスシールし、そして55℃における掻き混ぜ型定温器中に置いた。このコポリマーを、6〜8,000MWCO透析チューブにおいて、脱イオン水で透析した。この透析溶液(〜400ml)に、アクリレート基が含められた。TEA5.0ml(35.9mmol)を、撹拌状態で添加した。この溶液を冷凍庫に5〜10分間置いて冷却した。この時間後、クロロホルム5ml中のアクリロイルクロライド5.0ml(61.5mmol)を、撹拌状態で添加した。この反応混合物を、室温にて16時間撹拌した。この時間後、このアクリル化ポリマーを、6〜8,000MWCOチューブを用いて脱イオン水で透析した。この生成物を凍結乾燥して、7.10gが得られた。
例11
アクリロイル基の付加が後続されるMTA−APMA、APMA、メチルメタクリレートおよびN−ビニルピロリドンのコポリマーの合成
該コポリマー用の次の成分をガラス容器に入れ、そしてDMSO20ml中に溶解した。すなわち、MTA−APMA(0.613g,1.55mmol)、APMA(2.578g,14.4mmol)、VP(6.27ml,58.7mmol)、mMA(0.319ml,2.98mmol)、メルカプトエタノール(0.054ml,0.77mmol)、AIBN(0.039g,0.24mmol)およびTEMED(0.053ml,0.35mmol)。溶解が完了した後、このモノマー溶液を脱気し、アルゴンでガスシールし、そして55℃における掻き混ぜ型定温器中に置いた。このコポリマーを、6〜8,000MWCO透析チューブにおいて、脱イオン水で透析した。この透析溶液を光から保護し、そしてアクリレート基が含められた。TEA5.0ml(35.9mmol)を、撹拌状態で添加した。この溶液を冷凍庫中に5〜10分間置いて冷却した。この時間後、クロロホルム5ml中のアクリロイルクロライド5.0ml(61.5mmol)を、撹拌状態で添加した。この反応混合物を、室温にて9時間撹拌した。この時間後、このアクリル化ポリマーを、6〜8,000MWCOチューブを用いて脱イオン水で透析し、そして光から保護した。この生成物(8.88グラム)を、凍結乾燥により単離した。
例12
マトリックス形成の評価
例11からのコポリマーの15%溶液を、10%DMSO/水中で作製した。この溶液のMTA含有率を、395nmにおける該溶液の吸光度を測定することにより推定した(395nmにおけるA=42.6)。例10からのコポリマー(例11に記載されたコポリマーと同じコポリマー、しかしMTA−APMAを有さない)の15%溶液を、10%DMSO/水中で作製した。MTAをこの溶液に、395nmにおける吸光度が上記に記載された溶液の吸光度と同等になるまで添加した。これらの2種の溶液はコポリマーおよび光開始剤の濃度について同一であり、しかしてそれらの間の唯一の相違は、一方の溶液において光開始剤がポリマー形態(POLY)にて存在しそして他方の溶液において光開始剤は非ポリマー形態(NON)にて存在することであった。
これらの2種の溶液のマトリックス形成能力を比較するために、次の評価を行なった。照射にて固体ヒドロゲルディスクを形成するべき光反応性ポリマー溶液の能力を評価するために、96ウェル型マイクロタイター平板の蓋におけるくぼみをミニチュア型として用いた。該くぼみは、直径8ミリメートルでそして深さおおよそ0.6ミリメートルである。ポリマー溶液30マイクロリットルが、該くぼみを丁度満たす。(POLY)および(NON)の両溶液30マイクロリットルを、ウェルに添加した。ポリマー溶液の添加後、400〜500nmフィルターを備えたEFOS Ultracure 100 SS照射システムを用いて、様々な長さの時間にて、蓋を照射した。照射後、蓋を水で溢れさせ、そして各ポリマー処方物を、固体ディスクを形成する能力について、次の載量的尺度を用いて採点した。すなわち、
0=液体,ゲル化なし
1=軟らかいゲル,型から取出し不能
2=堅固なゲル,わずかな困難を伴って型から取出し可能
3=非常に堅固なゲル,型から容易に取り出される
4=非常に堅固なゲル,明白なゴム状弾性
結果:
ポリマー 時間(sec)
2 5 10 30 60 120
(POLY) 1 2 3 4 4 4
(NON) 0 0 1 2 3 3
マトリックス形成
ポリマーに結合された開始剤(POLY)を含有するポリマー溶液は、光エネルギーに暴露された時、ポリマーに結合されていない開始剤(NON)を含有するポリマー溶液より速くかつ完全にマトリックスを形成した。
例13
エオシン置換ポリマーの合成
N−ビニルピロリドン10.0g(90.0mmol)を、DMSO50ml中に溶解した。この溶液に、APMA0.30g(1.68mmol)、AIBN0.15g(0.91mmol)およびTEMED0.10g(0.86mmol)を添加した。この溶液を窒素で20分間スパージングし、そして55℃にて20時間定温放置した。生じたポリマーを水での透析により精製し、そして凍結乾燥により単離した。
このポリマー3グラムを、乾燥ジオキサン150ml中に溶解した。この溶液に、TEA0.504ml(3.62mmol)を添加した。引き続いて、エオシンYのN−ヒドロキシスクシンイミドエステル2.74グラム(3.5mmol)を添加し、そしてこの反応混合物を室温にて2時間撹拌した。この溶液を、12〜14kda遮断透析チューブを用いてdH2Oで透析し、そして凍結乾燥して生成物を単離した。反応は、3.96グラムの赤色ポリマーをもたらした。
例14
生物分解性の組織用接着剤
水中の5%重合性ヒアルロン酸(例7)および2%感光性誘導体化ポリアクリルアミド(例8)から成る溶液を作製した。この試薬を、組織モデルとしてセルロース透析チューブを用いて、組織用接着剤としての使用について評価した。
剪断強さ試験を、透析チューブに関して遂行した。該チューブを切り開き、そして2cm×4cm断片に切断した。これらの断片を水中に短時間浸漬し、取り出し、そして依然湿気がある間に試験した。一つの断片を表面上に平らに置き、そしてこのストリップの一端に接着剤10μlを適用した。別の断片をこの断片上に、断片間において1cm重ねて置いた。光活性化性接着剤(2/5HA)を評価する場合、重なり域を10秒間照射した。対照接着剤を評価する場合、接着剤を5分間硬化させた。接着剤域の面が張力計の軸に平行になるように、接着された試料の両端を長手方向にて張力計に取り付けた。これらの試料を、接着剤または基体が破壊するまで1cm/分の速度にて伸長し、そして破壊時の力を記録した。基体のみの試料、および光活性化性接着剤について未照射試料を、評価における対照として含めた。
Figure 2005508663
例15
その場のヒドロゲル創傷用包帯の形成
光重合性のマトリックス形成性試薬を、その場の創傷用包帯としての効能について評価した。
試薬の作製:
実験用のその場形成性創傷用包帯を、下記の事項により作製した。すなわち、
1)例10からの反応性マクロマーを20%にて、水中の無菌の6%グリセリン溶液中に溶解する。
2)水中の4%における例12からのポリマーエオシン試薬の無菌溶液および水中の2Mトリエタノールアミン(TEA)の無菌溶液を作製する。
3)これらの3種の溶液を、ブタの皮膚上に発生された創傷部位への適用用の外科用スイートに輸送する。
15〜20kgの間の体重の4頭の若い雌チャイナ・ホワイト(China White)ブタを麻酔し、そして12個の創傷を各ブタの片側に加えた。創傷は1″×2″で深さ0.015″であり、そして検定済み電動デルマトーム(Padgett)により加えられた。該創傷は、隣接創傷間におおよそ2インチ残して各ブタの胸椎傍域において6個2列にて加えられた。これらの創傷は、無作為に選ばれそして3つの処置のうちの一つを受けた。すなわち、
1)無処置(対照)
2)Smith and Nephew, Inc.からの創傷用半閉鎖包帯であるOpSite(登録商標)の適用
3)実験用光硬化性包帯
該実験用包帯を適用するために、ポリマーエオシン溶液0.5mlおよびTEA溶液0.5mlをマクロマー/グリセリン溶液に添加して、感光性の創傷用包帯溶液を生じさせた。この溶液を16個の3ml無菌注射器(2ml/注射器)に移し、そして一つの注射器を各創傷部位への適用に対して用いた。該溶液を各割当て創傷部位に適用し(おおよそ1.5ml溶液/部位)、そして該部位上に流した。この溶液を、創傷表面から4インチの位置にある150W白熱光電球での30秒間の照射により固着させた。該包帯溶液はすぐに耐久性のゴム様ヒドロゲルに成り、しかして該ヒドロゲルは創傷部位に非常に良好に接着した。無菌の4×4ガーゼパッドを各ブタの全創傷域上に置き、そしてこれらのブタを無菌のストッキネットに置いた。選定日数(3、4、5および7)において、1頭のブタを安楽死させ、そして創傷の上皮形成および修復に対する包帯の効果を評価した。
創傷の上皮形成および修復に対する包帯の効果の評価:
安楽死後、皮膚の創傷をその下にある深部皮下組織から取り出し、そして10%中性緩衝ホルマリン溶液中で固定した。固定後、各創傷から5つの生検部位を、6mmKeys皮膚生検用パンチを用いて得た。各生検試料を包装し、ラベル付けし、そして組織学的切片化に付した。組織学的切片は4ミクロンにて切片にされており、そしてヘマトキシリンおよびエオシンで染色した。創傷部位上に置かれた覆いのタイプを知ることなく、組織学的切片を顕微鏡で検査した。次の判定基準を評価し、そして顕微鏡検査にて採点した。すなわち、
創傷の上皮形成の程度
炎症性反応の規模
創傷における線維増殖の程度
皮下組織への損傷の程度
存在する炎症性反応の程度を区別するのを助けるために、組織学的切片における細胞タイプの形態計測分析を用いた。多形核細胞、リンパ球細胞および線維芽細胞の数を評価した。各組織学的生検試料を、1〜5の尺度で等級付けした。
炎症性反応の程度:
1. 細胞の炎症性反応なしまたはボーダーライン
2. 最小炎症
3. いくらかの滲出物を伴った炎症細胞の中密度
4. 滲出物のより厚い層を伴った創傷中のまたは創傷上の炎症細胞のひどい高密度
5. 創傷組織にまたは創傷上に浸潤しかつ炎症性滲出物の厚い層を形成する炎症細胞の密集フォーカスの徴候を伴った過度の炎症。
創傷の上皮形成の程度:
1. 角質層が少なくとも4層の細胞にて存在しかつ完全な表皮表面が存在する。
2. 角質層が少なくとも1層の細胞にて存在しかつ完全な表皮表面が存在する。
3. 角質層が少なくとも1層の細胞にて存在しかつ表皮表面の1/2が覆われている。
4. 角質層が存在しない;表皮下組織の最小炎症。
5. 角質層が存在しない;表皮下組織における中くらいの炎症。
創傷における線維増殖の程度:
1. 創傷における線維増殖なし。
2. 創傷における穏和な線維増殖が1/3ないし1/2の創傷表面に及ぶ。
3. 創傷における穏和な線維増殖が創傷の2/3またはそれ以上に及ぶ。
4. 中くらいの線維増殖が創傷の1/3ないし1/2に及ぶ。
5. ひどい線維増殖が創傷の1/2またはそれ以上に及ぶ。
皮下組織への損傷の程度:
1. 皮下組織への損傷なし。
2. 穏和な浮腫および少数の炎症細胞を伴った皮下組織への穏和な損傷。
3. 中くらいの浮腫および炎症細胞の中くらいの蓄積を伴った皮下組織への中くらいの損傷。
4. ひどい浮腫および多数の炎症細胞を伴った皮下組織へのひどい損傷。
5. 炎症細胞の密集フォーカスを伴った皮下組織への過度の損傷。
結果:
各生検試料を、上記に列挙された判定基準を用いて、盲検にて等級付けした。組織学的検査が完了した時、等級付けされた生検試料を創傷部位と相間させた。各包帯についての単一平均得点を、各包帯についてのあらゆる部位についての得点のすべてを加算しそして得点の数で割ることにより算出した。
施された創傷処置の3つのタイプ間に差異があるかどうかを統計的に評価するために、日数3、4、5および7における創傷用包帯の各タイプについての総得点を、データ区間についてのANOVA SASプログラムでもって評価した。二つの得点のみが、統計的に有意であることが分かった。すなわち、
1. 創傷の発生後の日数4において、OpSite(登録商標)包帯についての平均値は2.4であり、そして対照および実験用の創傷部位と比較されるとき統計的に有意であると分かった。
2. 創傷の発生後の日数7において、1.8である実験用包帯についての平均値は、対照およびOpSite(登録商標)創傷用包帯と比較されるとき統計的に有意であると分かった。
記載された判定基準により判定された場合、創傷の発生後の日数7において、実験用の光硬化性包帯で処置された創傷部位は、処置されなかったまたはOpSite(登録商標)包帯で処置されたものより有意に優れた治癒を示した。
例16
生物吸収性の薬物送達被膜
例5からのマクロマーの33%溶液を、エタノール中で作製した。10センチメートルの長さのポリウレタン製ロッド(PU)をマクロマー溶液中に浸漬し、そして6分間照射してマトリックスを形成させた。この手順は、該ロッド上における非常に耐久性で、靱性でかつ可撓性の被膜の形成をもたらした。クロルヘキシジン二酢酸塩(抗微生物剤)1グラムを該マクロマー溶液10ml中に溶解し、そして追加のPU製ロッドに関して被覆過程を繰り返した。これもまた、該ロッド上における靱性で、耐久性でかつ可撓性の被膜をもたらした。これらのロッドを1センチメートル断片に切断し、そして抑制帯域分析にて評価した。
被覆された染料含有断片、被覆された無薬物対照および被覆されていない断片を、表皮ブドウ球菌(Christensen RP62A)の106懸濁液が綿棒で塗られたミューラー−ヒントン寒天平板に置いた。これらの断片は未洗浄対照として機能し、そして新たに綿棒で塗られた寒天平板に60日間毎日移された。
追加の断片すなわち無薬物対照(被覆されたおよび被覆されていないものの両方)および薬物が組み込まれた被覆されたものをスナップキャップ型バイアル中に入れ、そしてPBS中の50%正常子ウシ血清で洗浄した。これらの管を軌道振とう機上に置き、そして37℃および200rpmにて20日間定温放置した。毎日、洗浄溶液を除去しそして新しい溶液で置き換えた。周期的に、断片を血清/PBSから取り出し、そして上記に記載されたような寒天に置いた。これらの断片から生じた抑制帯域を記録し、そして未洗浄断片によって生じた帯域と比較した。
無薬物対照断片は、被覆されたおよび被覆されていないものの両方共、帯域を生じなかった。日数0において、洗浄されたおよび洗浄されていない薬物組込み断片は両方共、24.5mmの帯域を生じた。最終洗浄断片が評価された日数20において、未洗浄断片は17.5mmの帯域を生じており、そして洗浄断片は9.5mmの帯域を生じていた。実験が終了された日数60において、未洗浄断片は、依然として17mmの帯域を生じていた。
この実験は、生物活性剤の長期送達を与える薬物送達被膜を生成させる際の本マトリックス形成性ポリマーの効用を実証している。
例17
生物安定性の薬物送達被膜
例6からのマクロマーの25%溶液を、50%IPA/H2O中で作製した。10センチメートルの長さのポリウレタン製ロッドをマクロマー溶液中に浸漬し、そして6分間照射してマトリックスを形成させた。この手順は、該ロッド上における非常に耐久性で、靱性でかつ可撓性の被膜の形成をもたらした。クロルヘキシジン二酢酸塩500ミリグラムを、エタノール10ml中に溶解した。被覆ロッドの半数をこの溶液中に室温にて60分間浸漬し、そして被覆ロッドの半数を純エタノール中に同じ条件下で浸漬した。浸漬後、ロッドをエタノールから取り出し、そして室温にて20時間乾燥した。これらのロッドを1センチメートル断片に切断し、そして抑制帯域分析にて評価した。
被覆されていない対照、被覆された対照および被覆された薬物組込み断片を、表皮ブドウ球菌(Christensen RP62A)の106懸濁液が綿棒で塗られたミューラー−ヒントン寒天平板に置いた。これらの平板を、37℃にて20時間定温放置した。14日間毎日、細菌成長が各断片の周りにおいてないことが明白である帯域を調べ、そして新たに綿棒で塗られた寒天平板に断片を移した。
被覆されていない対照断片および被覆された対照断片は、帯域を生じなかった。日数0において、薬物が組み込まれた被覆された断片は、25mmの平均帯域を生じた。これらの断片は、毎日帯域を生じし続けた。実験が終了された日数14において、断片は6mmの平均帯域を生じた。
例18
三次元装置の形成
3mm直径のテフロン被覆ロッドの一端を、純BBA−アクリロイルポリテトラ(カプロラクトン−コ−ラクチド)ペンタエリトリトールエトキシレート(例5参照)中に1.5cmのレベルまで浸し、そして対向Dymaxランプ間に吊り下げて10秒間回転状態で直ちに照射した。照射後、半硬質の弾性被膜がロッド上に形成されていた。ポリマー被膜の取出しを容易にするために、このロッドを冷却した。この円筒体の閉端をかみそり刃で取り除き、かくして長さ1.25cmおよび直径3.5mmの中空筒状装置が形成された。
例19
重合性コラーゲンの合成
可溶性コラーゲン(Semed−S,Kensey−Nash Corp.)(I型とIII型の混合物)1グラムを、0.01N−HCl50ml中に溶解した。溶解された時、この反応混合物に、トリエチルアミン1.25グラム(12.4mmol)を添加した。この反応容器に、メチレンクロライド1ミリリットル中に溶解されたアクリロイルクロライド1グラム(11.0mmol)を添加し、そしてこの混合物を室温にて20時間撹拌した。
この反応混合物をdH2Oで徹底的に透析し、そしてこの生成物を凍結乾燥により単離した。1.17グラムの収量の重合性コラーゲンが得られた。
例20
骨形態形成タンパク質を含有するコラーゲン足場
A.固化足場の作製
pH7.4のリン酸塩緩衝食塩水中の5%(w/v)の重合性コラーゲン(例19)および1%(w/v)の光誘導体化ポリアクリルアミド(例8に記載されたように製造された)から成る液状マクロマーの溶液を作製する。これに、骨形態形成タンパク質(民間供給業者からのBMP−7)50μg/ml(0.005%w/v)を添加する。次いで、この溶液の分取量(150μl)を型(8mmの直径および3mmの高さ)中に入れ、そしてDymaxランプ(例13に記載されたような)で10秒間照射してコラーゲン足場を固化する。固化コラーゲン足場の対照ディスクを、BMP−7が添加されないこと以外は同じプロトコルにより作製する。
B.固化足場の評価
BMP−7を有する固化コラーゲン足場のディスクを、ラット頭蓋アンレーインプラントモデルにおいて骨発育の刺激について評価する。このモデルにおいて、骨膜の膜を除去し、そしてコラーゲンディスクを頭蓋上に植え込む。30日後、これらのインプラントおよび隣接頭蓋骨を取り出し、冷メタノール中で固定し、PMMA中に包埋し、切片にし、50〜100μmの厚さに砕き、Sandersons Rapid Bone Stainで染色し、そしてVan Giesonのピクロフクシンで対比染色する。このプロトコルは非脱灰化骨を評価し、しかして成熟骨は赤色に染まり、未成熟骨はピンク色に染まり、軟骨は青〜灰色に染まり、そして未分解コラーゲンは無細胞で淡黄色に見える。
一つの対照は、BMP−7を欠く固化コラーゲン足場のディスクから成る。第2の対照は、BMP−7を含有する未照射液状マクロマー溶液(型中に入れられそして照射されてBMP−7含有固化コラーゲン足場が生成されたところの同じ溶液組成物)150μlから成る。
上記に記載されたように30日において組織学的に評価された場合、実験用ディスク(BMP−7を含有する固化コラーゲン足場は、当初にコラーゲンディスクによって占められた空間において伸展的骨形成を示す。対照的に、両対照(BMP−7を欠く固化コラーゲン足場およびBMP−7を含有する未照射液状対照溶液)は、ほとんどまたは全く骨形成を示さない。これらの対照でもって形成する骨の量は、実験用ディスクでもって観察される量の25%未満であり、それ故固化コラーゲン足場がBMP刺激骨形成を大いに高めることを実証する。
例21
重合性コラーゲンの合成
コラーゲン(不溶性ウシ腱コラーゲン,I型,ReGen Corp.)0.5グラムを乾燥ホルムアミド20ml中に、軌道振とう機上で37度Cにて20時間定温放置することにより溶解した。撹拌状態で、TEA1.0グラム(9.8mmol)を添加し、そして氷水浴中で60分間平衡化した。撹拌状態で、アクリロイルクロライド1.0グラム(11mmol)を、0.25グラム分取量にて添加した(1分取量/min)。最後の添加後、氷水浴中で2時間撹拌した。氷水浴から取り出し、そして室温にて18時間撹拌し続けた。この生成物を、6〜8kMWCO透析チューブを用いて脱イオン水での透析により精製し、そして凍結乾燥により単離した。

Claims (35)

  1. インプラント物品を組織部位に送達する方法であって、
    a)組織インプラントおよび多孔質表面を与える補てつ装置から成る群から選択された物品を用意し、
    b)重合開始剤と重合性側基を有する1種またはそれ以上のポリマーとを含む架橋性マクロマー系を用意し、
    c)該物品を該組織部位内に、該物品と該組織の間に置かれる該マクロマー系と共に植え込み、そして
    d)該マクロマー系を重合して、架橋マトリックスを貫いてそして該インプラントと天然組織の間にて連続組織成長を可能にするのに適した架橋マトリックスを該物品と該組織部位の間に形成させる
    ことを含む方法。
  2. 物品を組織部位内に植え込む前にマクロマー系を該物品上に置き、そしてこの物品を組織部位内に植え込む前、中または後にマクロマー系を架橋する、請求項1に記載の方法。
  3. マクロマー系を組織部位に送達し、そしてインプラント物品が該組織部位内に置かれる前、中または後にマクロマー系を架橋する、請求項1に記載の方法。
  4. 物品を組織部位内に植え込む前に第1量のマクロマー系を該物品上に置き、そしてこのインプラント物品を組織部位内に置く前または後のどちらかにて第2量の同じまたは異なるマクロマー系のどちらかを組織部位に送達し、しかも第1および第2量は独立して、該インプラントを組織部位内に置く前、中または後に架橋される、請求項1に記載の方法。
  5. マクロマー系を吹き付ける、浸漬する、注入するまたは刷毛塗りすることにより、マクロマー系を組織部位および/またはインプラント物品に適用する、請求項1に記載の方法。
  6. 重合性側基を有するポリマーが、次の工程すなわち
    a)ポリサッカライドおよびポリアミノ酸から成る群から選択されたポリマーを用意し、そして
    b)該ポリマーと、フリーラジカル重合を受けることの可能なエチレン不飽和基を含有する反応性部分との反応により、重合性基を該ポリマー中に組み込む
    工程を含み、しかも極性有機溶媒を含む媒質中で該ポリマーと該反応性部分の間の反応を行う方法により製造される、請求項1に記載の方法。
  7. ポリサッカライドが、ヒアルロン酸、デンプン、デキストラン、ヘパリン、コンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸、ヘパラン硫酸、ケラタン硫酸、デキストラン硫酸、ペントサンポリ硫酸およびキトサンから成る群から選択され、そしてポリアミノ酸が、ゼラチン、コラーゲン、フィブロネクチン、ラミニン、アルブミン、エラスチンおよびそれらの活性ペプチドドメインから成る群から選択される、請求項6に記載の方法。
  8. 溶媒が、ホルムアミドを含む、請求項7に記載の方法。
  9. 反応性部分が、グリシジルアクリレートおよびアクリロイルクロライドから成る群から選択される、請求項8に記載の方法。
  10. ポリマーが、ヒアルロン酸またはコラーゲンを含む、請求項9に記載の方法。
  11. 開始剤が、ポリマーからのペンダントの開始剤を含む、請求項1に記載の方法。
  12. マクロマー系が、N−ビニル化合物を含む重合促進剤を更に含む、請求項1に記載の方法。
  13. 物品が、関節インプラント、歯科インプラント、軟組織美容補てつ物、創傷用包帯、脈管補てつ物および眼科補てつ物から選択される、請求項1に記載の方法。
  14. 物品が、多孔質表面を有する股関節および膝の補てつ装置から成る群から選択された関節インプラントである、請求項13に記載の方法。
  15. 補てつ装置が、合成材料から製作され、そして多孔質表面が、相互連結通路を有する三次元構造を与え、しかも孔直径が約5ミクロン〜約1mmの平均孔サイズを有する、請求項14に記載の方法。
  16. 平均孔サイズが、直径約20ミクロン〜約600ミクロンである、請求項15に記載の方法。
  17. 重合性マクロマー系を製造する方法であって、次の工程すなわち
    a)ポリサッカライドおよびポリアミノ酸から成る群から選択されたポリマーを用意し、そして
    b)該ポリマーと、フリーラジカル重合を受けることの可能なエチレン不飽和基を含有する反応性部分との反応により、重合性基を該ポリマー中に組み込む
    工程を含み、しかも極性有機溶媒を含む媒質中で該ポリマーと該反応性部分の間の反応を行う方法。
  18. ポリサッカライドが、ヒアルロン酸、デンプン、デキストラン、ヘパリン、コンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸、ヘパラン硫酸、ケラタン硫酸、デキストラン硫酸、ペントサンポリ硫酸およびキトサンから成る群から選択され、そしてポリアミノ酸が、ゼラチン、コラーゲン、フィブロネクチン、ラミニン、アルブミン、エラスチンおよびそれらの活性ペプチドドメインから成る群から選択される、請求項17に記載の方法。
  19. 溶媒が、ホルムアミドを含む、請求項18に記載の方法。
  20. 反応性部分が、グリシジルアクリレートおよびアクリロイルクロライドから成る群から選択される、請求項19に記載の方法。
  21. ポリマーが、ヒアルロン酸またはコラーゲンを含む、請求項20に記載の方法。
  22. 開始剤が、ポリマーからのペンダントの開始剤を含む、請求項17に記載の方法。
  23. マクロマー系が、N−ビニル化合物を含む重合促進剤を更に含む、請求項17に記載の方法。
  24. 重合性マクロマー系であって、ポリサッカライドおよびポリアミノ酸から成る群から選択されたポリマーを含み、しかも極性有機溶媒を含む媒質中での該ポリマーと、フリーラジカル重合を受けることの可能なエチレン不飽和基を含有する反応性部分との反応により、重合性基が該ポリマー中に組み込まれているマクロマー系。
  25. ポリサッカライドが、ヒアルロン酸、デンプン、デキストラン、ヘパリン、コンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸、ヘパラン硫酸、ケラタン硫酸、デキストラン硫酸、ペントサンポリ硫酸およびキトサンから成る群から選択され、そしてポリアミノ酸が、ゼラチン、コラーゲン、フィブロネクチン、ラミニン、アルブミン、エラスチンおよびそれらの活性ペプチドドメインから成る群から選択される、請求項24に記載のマクロマー系。
  26. 溶媒が、ホルムアミドを含む、請求項25に記載のマクロマー系。
  27. 反応性部分が、グリシジルアクリレートおよびアクリロイルクロライドから成る群から選択される、請求項26に記載のマクロマー系。
  28. ポリマーが、ヒアルロン酸またはコラーゲンを含む、請求項27に記載のマクロマー系。
  29. 開始剤が、ポリマーからのペンダントの開始剤を含む、請求項24に記載のマクロマー系。
  30. マクロマー系が、N−ビニル化合物を含む重合促進剤を更に含む、請求項24に記載のマクロマー系。
  31. 植込み可能な組み合せ物あって、
    a)組織インプラントおよび多孔質表面を与える補てつ装置から成る群から選択されたインプラント物品、および
    b)該物品上に置かれ、かつ、重合開始剤と重合性側基を有する1種またはそれ以上のポリマーとを含むマクロマー系
    を含む組み合せ物。
  32. マクロマー系が架橋されて、マトリックスを貫いてそしてインプラントと天然組織の間にて連続組織成長を可能にするのに適したマトリックスが形成される、請求項31に記載の組み合せ物。
  33. 組織部位内に植込まれた組み合せ物であって、
    a)組織インプラントおよび多孔質表面を与える補てつ装置から成る群から選択されたインプラント物品、および
    b)該物品と該組織部位の間に置かれた架橋マトリックスであって、重合開始剤と重合性側基を有する1種またはそれ以上のポリマーとを含むマクロマー系を架橋することにより作製されたマトリックス
    を含む植込まれた組み合せ物。
  34. 組織部位内に植込まれた組み合せ物であって、該組み合せ物は
    a)組織インプラントおよび多孔質表面を与える補てつ装置から成る群から選択されたインプラント物品、および
    b)該物品と該組織部位の間に置かれた架橋マトリックスであって、重合開始剤と重合性側基を有する1種またはそれ以上のポリマーとを含むマクロマー系を架橋することにより作製されたマトリックス
    を含み、しかも該組み合せ物は組織部位内におよび/または組織部位に並置して置かれ、また該マトリックスを貫いてそして該組織部位と該インプラント物品の間にて連続組織内成長が存在する植込まれた組み合せ物。
  35. 重合性側基および開始剤側基を与える1種またはそれ以上のポリマーを含む架橋性マクロマー系であって、該系は、生体内用途に適したマトリックスを形成するよう重合されるように適応されており、しかも
    (a)該重合性基および該開始剤基は異なるポリマーにペンダントされており、しかも該開始剤基は独立して、ベンゾフェノン、チオキサントンおよびベンゾインエーテルから成る群から選択された長波紫外線活性化性分子;エチルエオシン、エオシンY、ローズベンガル、カンファーキノンおよびエリトロシンから成る群から選択された可視光活性化性分子;並びに4,4′−アゾビス(4−シアノペンタン酸)、2,2−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩酸塩およびベンゾイルペルオキシドから成る群から選択された熱活性化性分子から成る群から選択され、そして該重合性側基は、ビニル基、アクリレート基、メタクリレート基、エタクリレート基、2−フェニルアクリレート基、アクリルアミド基、メタクリルアミド基、イタコネート基およびスチレン基から成る群から選択される、または
    (b)該重合性基および該開始剤基は同じポリマーにペンダントされており、しかも該開始剤基は独立して、チオキサントンおよびベンゾインエーテルから成る群から選択された長波紫外線活性化性分子;エチルエオシン、エオシンY、ローズベンガル、カンファーキノンおよびエリトロシンから成る群から選択された可視光活性化性分子;並びに4,4′−アゾビス(4−シアノペンタン酸)、2,2−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩酸塩およびベンゾイルペルオキシドから成る群から選択された熱活性化性分子から成る群から選択され、そして該重合性側基は、ビニル基、アクリレート基、メタクリレート基、エタクリレート基、2−フェニルアクリレート基、アクリルアミド基、メタクリルアミド基、イタコネート基およびスチレン基から成る群から選択される、または
    (c)該重合性基および該開始剤基は同じポリマーにペンダントされており、しかも該開始剤基は独立して、ベンゾフェノン、チオキサントンおよびベンゾインエーテルから成る群から選択された長波紫外線活性化性分子;エチルエオシン、エオシンY、ローズベンガル、カンファーキノンおよびエリトロシンから成る群から選択された可視光活性化性分子;並びに4,4′−アゾビス(4−シアノペンタン酸)、2,2−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩酸塩およびベンゾイルペルオキシドから成る群から選択された熱活性化性分子から成る群から選択され、そして該重合性側基は、アクリレート基、メタクリレート基、エタクリレート基、2−フェニルアクリレート基、アクリルアミド基、メタクリルアミド基、イタコネート基およびスチレン基から成る群から選択される
    のいずれかであり、また該マクロマー系は、N−ビニル化合物を含む重合促進剤を更に含む架橋性マクロマー系。
JP2003503270A 2001-06-07 2001-06-07 架橋性マクロマー Pending JP2005508663A (ja)

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
PCT/US2001/018345 WO2002100453A1 (en) 2001-06-07 2001-06-07 Crosslinkable macromers

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2005508663A true JP2005508663A (ja) 2005-04-07
JP2005508663A5 JP2005508663A5 (ja) 2008-08-07

Family

ID=21742629

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003503270A Pending JP2005508663A (ja) 2001-06-07 2001-06-07 架橋性マクロマー

Country Status (5)

Country Link
EP (1) EP1395301A1 (ja)
JP (1) JP2005508663A (ja)
CA (1) CA2449964A1 (ja)
MX (1) MXPA03011263A (ja)
WO (1) WO2002100453A1 (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009508626A (ja) * 2005-09-21 2009-03-05 サーモディクス,インコーポレイティド 生分解性天然多糖を含む被膜及び器具
JP2010538791A (ja) * 2007-09-19 2010-12-16 サーモディクス,インコーポレイティド 生体適合性フォーム、系及び方法
JP2012506478A (ja) * 2008-10-22 2012-03-15 サーモディクス,インコーポレイティド 膨潤性および生分解性を有するポリマーマトリクス並びにその製造方法
JP2013500072A (ja) * 2009-07-23 2013-01-07 ユニバーシティ オブ ユタ リサーチ ファウンデーション 接着複合コアセルベートならびにそれを作製および使用する方法
JP2021528127A (ja) * 2018-06-11 2021-10-21 ウニベルシダージ デ コインブラUniversidade De Coimbra 生物医学的用途のための光重合生分解性コポリマー配合物

Families Citing this family (15)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
AU2004208821B2 (en) * 2003-01-31 2009-01-15 Zimmer Orthobiologics Inc. Hydrogel compositions comprising nucleus pulposus tissue
WO2004076511A2 (en) * 2003-02-21 2004-09-10 Ciphergen Biosystems, Inc. Photocrosslinked hydrogel surface coatings
US7169404B2 (en) 2003-07-30 2007-01-30 Advanced Cardiovasular Systems, Inc. Biologically absorbable coatings for implantable devices and methods for fabricating the same
US8202833B2 (en) 2003-11-26 2012-06-19 Surmodics, Inc. Composition containing biocompatible polymerization accelerator and polymerizable material
DE102004011497B4 (de) * 2004-03-09 2008-05-21 Ivoclar Vivadent Ag Dentalwerkstoffe mit verbesserter Verträglichkeit
CA2585215A1 (en) 2004-10-28 2006-05-11 Surmodics, Inc. Pro-fibrotic coatings comprising collagen for medical implants
CN101222902A (zh) 2005-06-15 2008-07-16 苏尔莫迪克斯公司 包括光激活的引发剂的大分子单体组合物
JP5530934B2 (ja) 2008-01-24 2014-06-25 ユニバーシティ オブ ユタ リサーチ ファンデーション 接着複合コアセルベートならびにその作製および使用方法
US8916188B2 (en) 2008-04-18 2014-12-23 Abbott Cardiovascular Systems Inc. Block copolymer comprising at least one polyester block and a poly (ethylene glycol) block
EP2575906B1 (en) 2010-05-24 2014-12-10 University of Utah Research Foundation Reinforced adhesive complex coacervates and methods of making and using thereof
CA2812599A1 (en) 2010-11-12 2012-05-18 University Of Utah Research Foundation Simple adhesive coacervates and methods of making and using thereof
US10077324B2 (en) 2013-02-06 2018-09-18 Kci Licensing, Inc. Polymers, preparation and use thereof
WO2014127418A1 (en) * 2013-02-20 2014-08-28 The University Of Queensland Conjugate compound and uses of same
WO2016011028A1 (en) 2014-07-14 2016-01-21 University Of Utah Research Foundation In situ solidifying complex coacervates and methods of making and using thereof
WO2019147922A2 (en) 2018-01-26 2019-08-01 Fluidx Medical Technology, Llc Apparatus and method of using in situ solidifying complex coacervates for vascular occlusion

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS6162466A (ja) * 1984-07-17 1986-03-31 コラ−ゲン コ−ポレイシヨン コラ−ゲン被覆骨移植片
WO1999047129A1 (en) * 1998-03-19 1999-09-23 Surmodics, Inc. Crosslinkable macromers bearing initiator groups
JP2000503053A (ja) * 1995-12-29 2000-03-14 ミネソタ マイニング アンド マニュファクチャリング カンパニー ポリマー先駆物質の光反応性側鎖部分を使用して親水性感圧接着剤配合物を製造する方法

Family Cites Families (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5529914A (en) * 1990-10-15 1996-06-25 The Board Of Regents The Univeristy Of Texas System Gels for encapsulation of biological materials

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS6162466A (ja) * 1984-07-17 1986-03-31 コラ−ゲン コ−ポレイシヨン コラ−ゲン被覆骨移植片
JP2000503053A (ja) * 1995-12-29 2000-03-14 ミネソタ マイニング アンド マニュファクチャリング カンパニー ポリマー先駆物質の光反応性側鎖部分を使用して親水性感圧接着剤配合物を製造する方法
WO1999047129A1 (en) * 1998-03-19 1999-09-23 Surmodics, Inc. Crosslinkable macromers bearing initiator groups

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009508626A (ja) * 2005-09-21 2009-03-05 サーモディクス,インコーポレイティド 生分解性天然多糖を含む被膜及び器具
JP2009508658A (ja) * 2005-09-21 2009-03-05 サーモディクス,インコーポレイティド 天然の生分解性マトリックス、及びその使用
JP2010538791A (ja) * 2007-09-19 2010-12-16 サーモディクス,インコーポレイティド 生体適合性フォーム、系及び方法
JP2012506478A (ja) * 2008-10-22 2012-03-15 サーモディクス,インコーポレイティド 膨潤性および生分解性を有するポリマーマトリクス並びにその製造方法
JP2013500072A (ja) * 2009-07-23 2013-01-07 ユニバーシティ オブ ユタ リサーチ ファウンデーション 接着複合コアセルベートならびにそれを作製および使用する方法
JP2021528127A (ja) * 2018-06-11 2021-10-21 ウニベルシダージ デ コインブラUniversidade De Coimbra 生物医学的用途のための光重合生分解性コポリマー配合物
JP7478394B2 (ja) 2018-06-11 2024-05-07 ウニベルシダージ デ コインブラ 生物医学的用途のための光重合生分解性コポリマー配合物

Also Published As

Publication number Publication date
WO2002100453A1 (en) 2002-12-19
EP1395301A1 (en) 2004-03-10
MXPA03011263A (es) 2004-02-26
CA2449964A1 (en) 2002-12-19

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6924370B2 (en) Crosslinkable macromers
EP1063975B1 (en) Crosslinkable macromers bearing initiator groups
US7547445B2 (en) Crosslinkable macromers
JP2005508663A (ja) 架橋性マクロマー
EP1973513B1 (en) Light-curable bone growth material for treating dental bone defects
Ferreira et al. Photocrosslinkable polymers for biomedical applications
JP2003508128A (ja) 生物活性物質及びその調製物を担持する新規多層型材料
JP2003516810A (ja) 分解性ポリ(ビニルアルコール)ヒドロゲル
WO1998012243A1 (en) Polymerizable biodegradable polymers including carbonate or dioxanone linkages
JP2002155137A (ja) 酸化窒素生成ヒドロゲル物質
JP3955107B2 (ja) 架橋多糖の製造法
WO2003047462A1 (en) Polysaccharide-based polmerizable hydrogels
Das et al. Recent advances in hydrogels for biomedical applications
Nair et al. Polysaccharide-based hydrogels for targeted drug delivery
KR100776297B1 (ko) 주사형 광가교 수화젤, 이를 이용한 생분해성 이식조직,주사형 약물전달 제제 및 이의 제조방법
AU768179B2 (en) Crosslinkable macromers bearing initiator groups
AU2001275315A1 (en) Crosslinkable macromers
Singh¹ et al. Injectable in situ Gelling Hydrogels as Biomaterials

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20080530

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20080530

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20110927

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20111226

A602 Written permission of extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A602

Effective date: 20120110

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20120612