JPH069935B2 - 車両用燃料タンクにおける旋回槽取付構造 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） この発明は車両用燃料タンク内に設置される旋回槽取付
構造に関する。

（従来の技術） 従来より、車両の燃料タンク内の燃料残量が少ない場合
に、車両が旋回走行したり、急制動したり、あるいは坂
道走行しているとき等に、遠心力や慣性力の作用によつ
て、あるいは車体の傾斜等によつて燃料タンク内の燃料
が局所的に集中してしまいキヤブレター等へ燃料が供給
されなくなるのを防止するため、燃料タンク内にその内
部の燃料の一部を常時保持する小容積の旋回槽を設置す
ることが行なわれている。

このような旋回槽を備えた燃料タンクの一例として実開
昭５１−１３４２３号公報に記載されたものがある。以
下、この公報のものについて、第４図および第５図を参
照して説明すると、燃料タンク１０１内には、それより
も容積が小さく、且つ上部を開放した旋回槽１０２が収
容され、この旋回槽１０２はその底壁102ａが燃料タン
ク101の底壁101ａに載置された状態でスポツト溶接等に
よつて固着されている。

（発明が解決しようとする問題点） しかしながら上記従来の旋回槽取付構造にあつては、小
容積の旋回槽１０２の底壁102ａが燃料タンク１０１の
底壁101ａに固着されているので、車両が悪路を走行し
た際等に燃料タンク１０１が上下方向に振動されると、
剛性が低い底壁101ａが撓んで、該底壁１０１ａと比べ
て相対的に剛性の高い旋回槽１０２と燃料タンク１０１
との取付部に大きな応力集中が発生して旋回槽１０２に
スポツト剥れが生じて所期の機能を発揮できなくなる可
能性があり、耐久上問題があつた。ところで、実開昭５
９−２６０２１号公報等に記載されるように、プレート
により旋回槽を側壁に支持している旋回槽取付構造が知
られている。

しかしながら、この従来例にあってもなお次のような課
題を有していた。

即ち、この従来例は、旋回槽及びプレートが底壁に固着
されているため、悪路走行時において旋回槽及びプレー
トに急激な荷重が作用した場合に燃料タンクの底壁がそ
の急激な荷重を受けて変形してしまう恐れがある。

この発明は上記従来の問題点に着目してなされたもの
で、その目的とするところは、燃料タンクの上下振動に
より、旋回槽の燃料タンクへの取付部に加わる振動入力
を可及的に減少させて、耐久性を向上し得ると共に悪路
走行時においても旋回槽が燃料タンクの底壁と干渉しな
い、車両用燃料タンクにおける旋回槽取付構造を提供す
ることにある。

（問題点を解決するための手段） 上記目的を達成するため、本発明にあつては、燃料タン
ク内に旋回槽を収容し、その旋回槽をブラケットを介し
て燃料タンク内の底壁から離間した状態で燃料タンクの
側壁に支持してなる。

（実施例） 以下、添付図面を参照して本発明の実施例について説明
する。

第１図には本発明に係る車両用燃料タンクにおける旋回
槽取付構造の第一実施例が示されている。第１図におい
て、車両用燃料タンク１は、薄鋼板等よりなるロアーシ
エル２と、そのロアーシエル２に結合され、同様に薄鋼
板等よりなるアツパーシエル３とから構成され、ロアー
シエル２内には小容積の旋回槽４が収容されている。

旋回槽４の底壁４ａはロアーシエル２の底壁２ａに若干
の隙間をもつて対向させるようにし、一方その側壁４ｂ
はそれぞれブラケツト５，５を介してロアーシエル２の
側壁２ｂ，２ｂに支持されている。すなわち、旋回槽４
は断面コ字状の各ブラケツト５の開放側面に形成したフ
ランジ５ａ，５ａにスポツト溶接されるとともに、該ブ
ラケツト５の反対側の閉鎖側面５ｂはロアーシエル側壁
２ｂにスポツト溶接されている。

以上の構成において、自動車等の車両の走行時、路面の
凹凸等によつて車体が上下方向に振動すると、燃料タン
ク１も上下方向への振動入力を受け、特に上下振動に対
して比較的剛性の低いロアーシエル底壁２ａが撓み易い
が、本発明にあつては、旋回槽４はブラケツト５，５を
介してロアーシエル側壁２ｂ，２ｂに固定されており、
旋回槽底壁４ａとロアーシエル底壁２ａとは固着されて
いないので、ロアーシエル底壁２ａの撓み振動が旋回槽
底壁４ａによつて抑えられるようなことはなく、従つて
ロアーシエル底壁２ｂに局部的に大きな応力集中が発生
するようなことはない。また、ロアーシエル２の縦壁で
ある側壁２ｂ，２ｂは上下方向の剛性が高く上下振動に
対する撓みが少ないので、ロアーシエル側壁２ｂ，２ｂ
に旋回槽４の支持用ブラケツト５，５を固着しても、該
ブラケツト５，５によつてロアーシエル側壁２ｂ，２ｂ
の撓みが抑えられて局部的に応力集中が生じるようなこ
とはなく、従つてロアーシエル２に亀裂が発生したり、
ブラケツト５，５とロアーシエル２との溶着部が破断す
るような事態を回避することができると共に、旋回槽４
はロアーシェル底壁２ａから離間した状態で支持されて
いるので、悪路走行時において旋回槽４がロアーシェル
底壁２ａと干渉してロアーシェル底壁２ａを変形させて
しまうのを防ぐことができる。

第２図は本発明の第二実施例を示しており、この実施例
では、断面コ字状のブラケツト５′，５′の閉鎖側面５
ｂ′，５ｂ′を旋回槽４の側壁４ｂ，４ｂにスポツト溶
接するとともに、該各ブラケツト５′，５′の開放側面
に形成したフランジ５ａ′，５ａ′をロアーシエル側壁
２ｂ，２ｂにスポツト溶接したもので、旋回槽４の支持
用ブラケツト５′，５′とロアーシエル２との固着部を
分散させて、燃料タンク１の上下振動時におけるロアー
シエル２の局部的応力集中を更に低減させたものであ
る。

第３図は本考案の第三実施例を示している。この実施例
では、断面略Ｕ字状のブラケツト５″の底面５ａ″に旋
回槽４の底壁４ａをスポツト溶接するとともに、該ブラ
ケツト５″の両側面５ｂ″，５ｂ″をロアーシエル２の
側壁２ｂ，２ｂにスポツト溶接したもので、前記第一実
施例と同様の効果が得られる外、ブラケツト５″の両側
面５ｂ″，５ｂ″をロアーシエル側壁２ｂ，２ｂに支持
しているため、該ブラケツト５″およびそれに支持され
る旋回槽４の上下振動を一層抑制することができる。

（発明の効果） 本発明は以上の構成および作用からなるもので、旋回槽
をブラケットを介して上下方向の剛性が高い燃料タンク
側壁に支持することによって、燃料タンクの上下振動時
に旋回槽の燃料タンクへの取付部に加わる振動入力を可
及的に減少させて該取付部近傍における大きな応力集中
の発生を防止することができると共に、旋回槽は燃料タ
ンクの底壁から離間した状態で支持されているので、悪
路走行時において旋回槽が燃料タンクの底壁と干渉して
燃料タンクの底壁を変形させてしまうのを防ぐことがで
きる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明に係る車両用燃料タンクにおける旋回槽
の取付構造の第一実施例を示す断面図、第２図は本発明
の第二実施例を示す断面図、第３図は本発明の第三実施
例を示す断面図、第４図および第５図は従来の旋回槽取
付構造を示すもので、第４図はその側断面図、第５図は
第４図のＶ−Ｖ線断面図である。 符号の説明 １…燃料タンク ２ｂ…ロアーシエル側壁（燃料タンク側壁） ４…旋回槽 ５，５′，５″…ブラケツト

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】燃料タンク内に旋回槽を収容し、その旋回
   槽をブラケットを介して燃料タンク内の底壁から離間し
   た状態で燃料タンクの側壁に支持してなる車両用燃料タ
   ンクにおける旋回槽取付構造。