JPH0696734A - 反射鏡付セラミック放電灯 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】点灯中に電気導入体の温度が上昇するのを防止
し、所定の最冷部に確実に発光金属を凝集させることが
でき、ランプ特性のばらつきや変動、および寿命特性の
低下を防止する反射鏡付きセラミック放電灯を提供す
る。 【構成】反射鏡１０にセラミック製発光管１を収容し、
この発光管１は端部を閉塞部材４により閉塞し、この閉
塞部材に外部へ突出された電気導入体６を装着した反射
鏡付セラミック放電灯において、上記電気導入体１の外
部突出部に熱絶縁性の耐熱被膜９を形成したことを特徴
とする。 【作用】点灯中に反射鏡で反射された熱が耐熱被膜で遮
熱され、また熱容量が増すから電気導入体の温度上昇を
軽減することができ、所定の最冷部に発光金属を凝集さ
せることができる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、店舗照明などのような
ダウンライトに適用される反射鏡付セラミック放電灯に
関する。

【０００２】

【従来の技術】公園や道路等のような屋外の照明光源と
して多用されている高圧ナトリウムランプは、発光効率
に優れているので、最近では、大型店舗、工場、体育
館、劇場等のような屋内の照明光源として使用する試み
が進められている。この種の高圧トリウムランプを屋内
照明の光源として用いる場合、ダウンライトのような用
い方が有効であり、このためこの種のランプを反射鏡に
収容し、これらランプと反射鏡を一体化した反射鏡付セ
ラミック放電灯を構成することが望まれる。

【０００３】このようなランプは、ナトリウム等のよう
な発光金属を収容したセラミックチューブからなる発光
管を、反射鏡に収容し、発光管から放射される光を反射
鏡により反射して下方照明を得るようになっており、反
射光の配光特性を均等化するため、上記発光管は、バル
ブ軸を反射鏡の光軸と一致させて反射鏡に収容されてい
る。また、反射鏡は前面開口部を前面ガラスで閉止して
あり、これにより反射鏡が外囲器となって２重管構造を
なしている。

【０００４】しかしながら、このような反射鏡付セラミ
ック放電灯においては、発光管から放射された熱の一部
が反射鏡の反射面で反射されて発光管に戻ってくるた
め、従来の反射面のない外管に収容された２重管形高圧
ナトリウムランプに比べて発光管の温度が高くなる傾向
がある。

【０００５】そして、この種のセラミックチューブから
なる発光管は、端部の開口部をセラミックスまたはこれ
と同等な熱膨脹係数を有する金属、例えばニオブ板等で
閉止してあり、かつこの閉塞部材にはニオブなどからな
る電気導入体を接続してある。電気導入体は閉塞部材か
ら外方へ突出されており、この電気導入体がニオブチュ
ーブにて形成された場合は、このニオブチューブが点灯
中に最冷部となるように設定されている。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな発光管を上記反射鏡に収容した場合は、上記したよ
うに点灯中に反射鏡から反射された熱を受けるため、発
光管および電気導入体の温度が、反射面のない外管に収
容された２重管形高圧ナトリウムランプに比べて高くな
る。このため、本来、最冷部となるべきニオブチューブ
先端の温度が高くなり、ニオブチューブに余剰の発光金
属が凝集すべきところ、セラミックチューブの端部に発
光金属が凝集するようになる。このような場合は、凝集
した発光金属の温度が高くなり、蒸気圧が高くなり、発
光効率がばらついたり、立ち消えを生じるなど、ランプ
特性が変動する。

【０００７】また、発光管の端部に余剰の発光金属が凝
集すると、ナトリウムとセラミックスが反応し、発光金
属が次第に減少して長期の使用により蒸気圧が低下し、
これにより発光効率や色特性が次第に低下するなどの不
具合も発生する。

【０００８】さらにまた、ニオブチューブからなる電気
導入体は発光管の端部から突出しているので、反射鏡の
封止や前面ガラスの封着作業の時に、ガラスを溶融させ
る時の熱を受け易く、この熱のために酸化し、寿命途中
劣化が進行して気密漏れを生じる心配もある。

【０００９】本発明はこのような事情にもとづきなされ
たもので、その目的とするところは、点灯中に反射光に
よる電気導入体の温度上昇を防止し、また反射鏡の封止
や封着作業のときに電気導入体が過度に加熱されて酸化
を発生するなどの不具合も防止して、ランプ特性のばら
つきや変動、および寿命特性の低下を防止することがで
きる反射鏡付きセラミック放電灯を提供しようとするも
のである。

【００１０】

【課題を解決するための手段】本発明は、反射鏡に発光
管を収容し、この発光管はセラミック製チューブの両端
を閉塞部材により閉塞し、この閉塞部材に外部へ突出さ
れた電気導入体を装着するとともに、この電気導入体に
電極を接続してなり、この発光管内に発光金属を封入し
た反射鏡付セラミック放電灯において、上記電気導入体
の外部突出部に熱絶縁性の耐熱被膜を形成したことを特
徴とする。

【００１１】

【作用】本発明においては、電気導入体の外部突出部に
熱絶縁性の耐熱被膜を形成したので、点灯中に反射面で
反射された熱が電気導入体に達しても耐熱被膜で遮熱
し、また熱容量が増すから電気導入体の温度上昇を軽減
することができ、所定の最冷部に発光金属を凝集させる
ことができる。さらに消灯した場合は表面積が大きいの
で、早く冷却され、所定の最冷部に速やかに発光金属を
凝集させることができる。

【００１２】そして、電気導入体が反射鏡の封止や前面
ガラスの封着作業時に熱を受けても、熱絶縁性の耐熱被
膜を形成してあるから電気導入体の温度上昇を防止し、
かつ酸素との接触も遮断するから酸化が防止され、寿命
途中で電気導入体が劣化して発光管の気密が損なわれる
などの不具合がなくなる。

【００１３】

【実施例】以下本発明について、図１および図２に示す
一実施例にもとづき説明する。図１は反射鏡付きセラミ
ック放電灯として、反射鏡付き高圧ナトリウムランプの
全体を示すもので、１は発光管、１０は反射鏡である。

【００１４】まず、反射鏡１０の構成から説明すると、
１１はガラスなどからなるミラー本体であり、このミラ
ー本体１１は前面が拡開して開口された曲面を有し、こ
の内面に反射膜１２を形成してある。反射膜１２は、例
えばアルミニウムの蒸着膜にて形成されている。このミ
ラー本体１１の前面開口部には、透明ガラスからなる前
面ガラス１３が気密に封着されている。また、ミラー本
体１１の後面は封止されており、この封止部１４には一
対の給電線１５、１５が気密に貫通されている。このた
め、ミラー本体１１の内部は気密空間をなしている。

【００１５】なお、ミラー本体１１は、後部外面に金属
製カバ−１６が被着されており、この金属製カバ−１６
には、ガラススペーサ１７を介して口金１８が取り付け
られている。上記封止部１４から気密に導かれた上記一
対の給電線１５、１５は、一方の給電線１５がリード線
１９ａを介して口金１８のシェル１８ａに電気的に接続
されているとともに、他方の給電線１５は他のリード線
１９ｂを介して口金１８の外部端子１８ｂに電気的に接
続されている。

【００１６】このような反射鏡１０には、高圧ナトリム
ランプの発光管１が収容されている。発光管１の構造は
後で説明するが、この発光管１はバルブ軸が反射鏡の光
軸と一致するようにして反射鏡１０に収容されており、
上記反射鏡１０が気密空間を構成していることから、こ
の反射鏡は外囲器、つまり外管を構成し、このためこの
種の反射鏡付き高圧ナトリウムランプは２重管構造をな
しているものである。

【００１７】発光管１は、その一端を図２に示すよう
に、アルミナ等からなるセラミックチューブ２の両端開
口部が、接着剤３を介してアルミナディスクからなる閉
塞部材４にて気密に封止されている。なお、アルミナデ
ィスク４に代わってニオブディスクであってもよい。

【００１８】このような閉塞部材４の中央部には、接着
剤５を介して電気導入体６が気密に貫通されている。本
実施例の電気導入体６はニオブチューブからなり、セラ
ミックチューブ２の内部に臨む内側端部に電極７を接続
してあり、閉塞部材４の外に導出された導出端部は気密
に封止されている。電極７は、電極軸７ａの先端に電極
コイル７ｂを巻装して構成されており、電極軸７の根元
が電気導入体６に結合されている。このニオブチューブ
からなる電気導入体６は、排気管を兼用している。

【００１９】放電空間には、水銀とナトリウムおよび希
ガスが封入されており、これら水銀、ナトリウムおよび
希ガスは、上記ニオブチューブからなる電気導入体６を
用いて投入されている。つまり、このニオブチューブか
らなる電気導入体６を通じて放電空間を排気し、このの
ちニオブチューブからなる電気導入体６を通じて放電空
間に所定量の水銀、ナトリウムおよび希ガスを供給し、
これが終了すると電気導入体６の外部端部が気密に閉封
されるようになっている。

【００２０】そして、このような電気導入体６には、閉
塞部材４から外側に突出する部分に、本発明に係る熱絶
縁性の耐熱被膜９が形成されている。耐熱被膜９は、シ
リカ、アルミナ、ジルコニアなどからなる。

【００２１】このような構造の発光管１は、反射鏡１０
内に収容され、導電性サポート２０、２０を介して上記
給電線１５、１５に取着されている。つまり、発光管１
の端部から突出されている上記電気導入体６には、導電
性サポート２０、２０が電気的に導通状態にして連結さ
れており、この導電性サポート２０、２０が給電線１
５、１５に溶接されている。したがって、発光管１は導
電性サポート２０、２０を介して給電線１５、１５に電
気的に接続され、かつ機械的に支持されている。なお、
反射鏡１内には不活性ガスが封入されるか、または真空
に維持されている。このような構成の反射鏡付き高圧ナ
トリウムランプの作用を説明する。

【００２２】上記ランプの点灯中は、発光管１の両端部
に突出しているニオブチューブからなる電気導入体６が
放電空間から遠いためセラミックチューブ２やア−クか
らの熱を受け難く、よって最冷部となり、発光管１に封
入した水銀およびナトリウムの余剰分がこの最冷部に、
図２の想像線Ａで示すように凝集する。この凝集量によ
り発光管１内の発光金属の蒸気圧が決まり、発光効率や
色特性が左右される。

【００２３】しかし、上記発光管１を反射鏡１０に収容
した場合は、発光管１から放出される熱が反射膜１２な
どで反射されて発光管１および電気導入体６に集光し、
このため発光管１および電気導入体６の温度が高くな
る。このような場合、電気導入体６はニオブチューブか
らなるので熱伝導性がよく、温度が上昇し易く、よって
最冷部がこのニオブチューブに発生せず、セラミックチ
ューブ２と閉塞部材４とに接合隅部Ｂに発生することが
ある。このような隅部Ｂに最冷部が発生すると、ここに
余剰発光金属が凝集し、この位置はアークに近く、しか
も高温度になるセラミックチューブ２の熱も受けるか
ら、余剰発光金属の蒸発が促され、蒸気圧が高くなる。
このような場合、発光効率や色特性がばらついたり、立
ち消えを生じる。

【００２４】しかし、本実施例の場合、電気導入体６の
外面に熱絶縁性の耐熱被膜９を形成したから、反射鏡１
０により反射される熱線が電気導入体６に直接達するの
を阻止し、かつ電気導入体６の熱容量を増大させること
ができる。このため、電気導入体６の温度上昇を抑制す
ることができ、この結果電気導入体６と、セラミックチ
ューブ２や閉塞部材４との温度差を大きく確保すること
ができる。温度差が大きくなると、電気導入体６に最冷
部が確実に形成されるようになり、この電気導入体６に
発光金属を凝集Ａさせることができ、発光効率のばらつ
きや、立ち消えなどの発生が軽減され、ランプ特性が安
定する。

【００２５】また、発光管１を反射鏡１０に組み込む場
合、発光管１をミラ−本体１１に収容したのち前面ガラ
ス１３を封着するようになるが、この封着のときに封着
の熱により電気導入体６が加熱されることがあり、この
場合は周囲が空気雰囲気であるため電気導入体６が酸化
する心配がある。

【００２６】これ対し、上記のように、電気導入体６の
外面に熱絶縁性の耐熱被膜９を形成したから、封着の熱
が電気導入体６に直接達するのを阻止し、電気導入体６
の熱容量を増大させ、しかも電気導入体６の外面が大気
に接触するのを防止しているから電気導入体６の酸化が
防止される。このため、寿命途中で電気導入体６が劣化
することがなく、寿命が長くなる。

【００２７】なお、上記実施例の場合、発光管１の両端
部に突出している電気導入体６がニオブチューブにより
構成されてこの電気導入体６が排気管を兼用し、しかも
この電気導入体６に最冷部を発生させてここに発光金属
を凝集させるようにした構造の反射鏡付き高圧ナトリウ
ムランプの場合を説明したが、本発明はこれに限らな
い。すなわち、図３は本発明の他の実施例を示す発光管
１の端部を図示したもので、その他の構造は図１の場合
と同様であってよい。図３の発光管１は、閉塞部材４に
気密に封着した電気導入体６０が、ニオブ線により構成
されている。この場合は、点灯中に最冷部がセラミック
チューブ２と閉塞部材４とに接合隅部Ｂに発生し、よっ
てもともとこの隅部Ｂに余剰の発光金属が凝集する。

【００２８】しかし、反射熱等を受けて電気導入体６０
の温度が高くなると、閉塞部材４の温度も高くなり、こ
のような場合発光金属は想像線Ｃで示すように、セラミ
ックチューブ２の内面に沿って立ち上がるような状態で
凝集するようになる。

【００２９】このようなＣの状態で消灯した後、始動す
る場合に対向電極からの電子が上記Ｃの発光金属に飛び
込んで管壁にアークが飛ぶような異常放電を発生し、こ
の場合はセラミックチューブ２の破損が心配される。

【００３０】これに対し、電気導入体６０の外面に、図
２と同様な熱絶縁性の耐熱被膜９を形成した場合、前記
と同様に電気導入体６０の温度上昇を抑制することがで
き、この結果、閉塞部材４の温度上昇を防止し、点灯中
に最冷部は初期に設定したように、隅部Ｂに伏せたよう
な姿勢で発生させることができ、よって異常放電の発生
を防止することができる。この場合も、ミラ−本体１１
に前面ガラス１３を封着する時の熱による電気導入体６
０の酸化も防止することができる。

【００３１】なお、上記実施例では、発光物質としてト
リウムＮａを用いた高圧ナトリウムランプの場合を説明
したが、発光金属は金属ハロゲン化物であってもよく、
要するに発光管のチューブがセラミックスにて形成され
た反射鏡付きセラミック放電灯であればよい。

【００３２】

【発明の効果】以上説明した通り本発明によれば、電気
導入体の外部突出部に熱絶縁性の耐熱被膜を形成したの
で、点灯中に反射鏡で反射された熱が電気導入体に達し
ても耐熱被膜で遮熱し、また熱容量が増すから電気導入
体の温度上昇を軽減することができ、所定の最冷部に発
光金属を凝集させることができる。さらに消灯した場合
は表面積が大きいので、早く冷却され、所定の最冷部に
速やかに発光金属を凝集させることができる。そして、
電気導入体が反射鏡の封止や前面ガラスの封着作業時に
熱を受けても、熱絶縁性の耐熱被膜を形成してあるか
ら、電気導入体の温度上昇が防止され、かつ酸素との接
触も阻止するから酸化が防止され、寿命途中で劣化して
発光管の気密が損なわれるなどの不具合がなくなる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例を示し、反射鏡付き高圧ナト
リウムランプの断面図。

【図２】同実施例の発光管の端部を示す断面図。

【図３】本発明の他の実施例を示し、発光管の端部を示
す断面図。

【符号の説明】

１…発光管 ２…セラミックチューブ
４…閉塞部材 ６、６０…電気導入体 ７…電極
９…耐熱被膜 １０…反射鏡 １１…ミラー本体
１２…反射膜 １３…前面ガラス １８…口金

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 反射鏡に発光管を収容し、この発光管は
   セラミック製チューブの両端を閉塞部材により閉塞し、
   この閉塞部材に外部へ突出された電気導入体を装着する
   とともに、この電気導入体に電極を接続してなり、この
   発光管内に発光金属を封入した反射鏡付セラミック放電
   灯において、 上記電気導入体の外部突出部に熱絶縁性の耐熱被膜を形
   成したことを特徴とする反射鏡付セラミック放電灯。