JP4379552B2 - 高圧放電ランプおよび照明装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は透光性セラミックスからなる放電容器を備えた高圧放電ランプおよびこれを用いた照明装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、従来の石英ガラス放電容器に比較して、長寿命、高効率の利点を有する透光性セラミックス放電容器を備えた高圧放電ランプが開発され、広く普及しつつある。また、上記の特徴を生かした定格消費電力20W程度の小形の高圧放電ランプに関する技術が本発明者らによって開発されている。
【0003】
透光性セラミックス放電容器を備えた高圧放電ランプにおいては、放電空間を包囲する包囲部の両端から細長く延在する一対の小径筒部の内部に挿入されて電極に接続する耐火性部分の周囲にわずかな隙間を形成する、いわゆるキャピラリー構造を備えているものが多用されている。キャピラリー構造を備えている高圧放電ランプにおいては、耐火性部分の基端にニオブなどの封着性部分を接続して給電導体を構成するとともに、封着性部分と小径筒部との間にセラミックス封止用コンパウンドのシールを形成して透光性セラミックス放電容器を封止しているとともに、電極を所定の位置に支持している。 透光性セラミックス放電容器の封止の際に、先端に電極が接続された給電導体と小径筒部との間の位置決めを行う必要があるが、そのための構成として給電導体その長手方向と直角に係止用の部材(クロスワイヤ)を取り付けたり、給電導体に突起部を形成したりして、これらを透光性セラミックス放電容器の小径筒部の端面に当接させる構造がある。これらの構造によれば、それぞれ実際上効果的な位置決めを行うことができる。
【0004】
しかし、従来技術は、クロスワイヤや突起部の周辺のセラミックス封止用コンパウンドが高圧放電ランプの点滅時における応力集中およびまたはセラミックス封止用コンパウンドの被覆過少などの原因により、早期にクラックを生じやすいことが分かった。
【0005】
このため、本発明者は、クロスワイヤの上部に透光性セラミックス放電容器と同材質のワッシャを配設して、ワッシャを含めてセラミックス封止用コンパウンドで封着する構成を採用することにより、上述の問題を解決することを提案した(特開平10−162779号公報)。そして、この技術は、クロスワイヤだけでなく、給電導体に突起部を形成する場合にも適用することができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、突起部やクロスワイヤの寸法によっては、透光性セラミックス放電容器の小径筒部の端面とワッシャとの間の距離が大きくなり、これらの間に充填するセラミックス封止用コンパウンドのシール中に多数の気泡が生じることが分かった。そして、気泡部分があると、当該部分では機械的強度は弱くなり、クラックや早期リークの原因となるという問題がある。
【0007】
本発明は、透光性セラミックス放電容器に対して給電導体を所定の位置に固定して封止するとともに、クラックや早期リークが生じにくい高圧放電ランプおよびこれを用いた照明装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を達成するための手段】
請求項1の発明の高圧放電ランプは、放電空間を包囲する包囲部および包囲部の両端に連通して配置され包囲部より内径が小さい小径筒部を備えた透光性セラミックス放電容器と;透光性セラミックス放電容器の小径筒部の端面に当接する係止部を側面から突出して形成した封着性部分および封着性部分の先端に基端が接続されている耐火性部分を備え、小径筒部の端面から外部に露出している係止部の部分から基端までの部分を残して透光性セラミックス放電容器の小径筒部内へ挿入されて耐火性部分と小径筒部の内面との間にわずかな隙間を形成しながら延在する給電導体と;給電導体の耐火性部分の先端に配設されて透光性セラミックス放電容器の包囲部に臨んでいる電極と;小径筒部の端面から外部に露出している係止部の部分を包囲し、透光性セラミックス放電容器の小径筒部の端面に隣接して配設された内径が小径筒部の内径より大きいリング体と;透光性セラミックス放電容器の小径筒部と給電導体の封着性部分との間を少なくとも封着性部分が放電空間側へ露出しないように包囲して封止しているとともに、リング体内に充填されて係止部を被覆し、かつ小径筒部の端面とリング体の底面との間の隙間にも進入しているセラミックス封止用コンパウンドのシールと;透光性セラミックス放電容器内に封入された放電媒体と;を具備していることを特徴としている。
【0009】
本発明および以下の各発明において、特に指定しない限り用語の定義および技術的意味は次による。
【0010】
<透光性セラミックス放電容器について>
「透光性セラミックス放電容器」とは、単結晶の金属酸化物たとえばサファイヤと、多結晶の金属酸化物たとえば半透明の気密性アルミニウム酸化物、イットリウム−アルミニウム−ガーネット(YAG)、イットリウム酸化物(YOX)と、多結晶非酸化物たとえばアルミニウム窒化物(AlN)と、のような光透過性および耐熱性を備えた材料からなる放電容器を意味する。なお、「光透過性」とは、放電による発光を放電容器を透過して外部に導出できる程度に透過すればよく、透明および光拡散性のいずれであってもよい。
【0011】
また、透光性セラミックス放電容器を製作するには、中央の包囲部と包囲部の両端の小径筒部とを最初から一体に形成することができる。さらに、たとえば包囲部を形成する円筒と、円筒の両端面に嵌合して閉鎖する一対の端板と、端板の中心孔に嵌合して小径筒部を形成する小径筒体とを、それぞれ別に仮焼結して所要に嵌合させて、全体を焼結することにより、一体の放電容器を形成することもできる。
【0012】
さらに、透光性セラミックス放電容器の内容積は制限されるものはないが、0.05cc以下、好適には0.04cc以下の小形のものにおいて特に効果的である。このような小形の透光性セラミックス放電容器は、その全長を30mm以下、好適には25mm以下に形成することができる。さらに、定格ランプ電力を20W以下にするのがよい。
【0013】
<給電導体について>
給電導体は、透光性セラミックス放電容器の少なくとも一方の小径筒部に対して用いられる。「給電導体」とは、電源から安定器を介して電極間に電圧を印加して、高圧放電ランプを始動し、電流を導入して点灯するために、機能するものであって、透光性セラミックス放電容器の小径筒部内に後述するシールにより気密に封止される。
【0014】
また、給電導体は、封着性部分および封着性部分の先端に接続した耐火性部分を備えている。「封着性部分」とは、後述するシールにより透光性セラミックス放電容器を、その小径筒部と封着性部分との間で、または要すればさらにセラミックスチューブをそれらの間に介在させて封止するのに適した材料の部分であればよく、ニオブ、タンタル、チタン、ジルコニウム、ハフニウムおよびバナジウムなどを用いることができる。透光性セラミックス放電容器の材料にアルミニウム酸化物を用いる場合、ニオブおよびタンタルは、平均熱膨張係数がアルミニウム酸化物とほぼ同一であるから、封着性部分として好適である。イットリウム酸化物およびYAGの場合も差が少ない。窒化アルミニウムを透光性セラミックス放電容器に用いる場合には、封着性部分にジルコニウムを用いるのがよい。
【0015】
さらに、本発明において、封着性部分は、長手方向における所定の位置の側面に係止部を備えている。「所定の位置」とは、給電導体を小径筒部から透光性セラミックス放電容器内へ所望の位置まで挿入したときに、係止部が小径筒部の端面に当接する位置をいう。また、係止部は、給電導体の側面から突出している。そして、封着性部分の外面に仮止めしたり、溶接などにより固着したり、あるいはプレス成形により一体に形成したりしてもよい。さらに、係止部は、いわゆるクロスワイヤであってもよい。さらにまた、係止部は、一個でもよいし、複数個をたとえば封着性部分の側面に等配して形成してもよい。
【0016】
さらにまた、要すれば係止部の小径筒部の端面に当接する部分に小径筒部の端面の内面側に当接するテーパを形成することができる。小径筒部の内径は、給電導体の挿入を許容するために、給電導体の封着性部分の外径より大きく形成する必要があるので、小径筒部の内面と封着性部分の外面との間には適当なクリアランスが形成される。そして、係止部は、その外面のテーパの一部がクリアランス内に入りながら、テーパが小径筒部の端面に当接する。したがって、係止部のテーパは、小径筒部の端面に当接する部位に形成されていればよく、非当接の反対側はテーパがなくてもよい。しかし、要すれば、反対側にテーパが形成されていてもよい。なお、上記の構成において、係止部が3個以上適当に分散して配置されていれば、給電導体を小径筒部に対して係止部がセンタリング作用を奏するので、給電導体を小径筒部に対して同心的に配置しやすくなる。
【0017】
次に、「耐火性部分」とは、高圧放電ランプの作動中の高温に十分耐える高い融点を備えるとともに、透光性セラミックス放電容器内に存在するイオン化媒体に対する耐腐食性を備えている導電性物質からなる部分であることを意味する。たとえば、タングステン、モリブデンまたはこれらを主成分とする合金、さらには白金などからなるが、単一種の金属だけでなく、上記の複数の金属を接合して構成してもよい。さらにまた、サーメットなどであってもよい。
【0018】
また、耐火性部分は、内部が充実した無空の棒状や肉厚10〜300μmの中空の筒状すなわちパイプ状であってもよい。小形たとえば定格消費電力が30W以下、好ましくは20W程度の高圧放電ランプにおいては、耐火性部分が棒状の場合、0.25mm以下の直径が適当している。また、筒状の場合、肉厚10〜100μmが適当している。
【0019】
さらに、筒状の場合、完全なパイプだけでなく、薄板を湾曲してわずかな隙間のある接合部が形成された筒状であってもよい。そして、耐火性部分の基端には後述するシールが接着するが、耐火性部分を以上のように構成することにより、シールの熱膨張係数が明らかに小さくても、熱膨張差によって生じる応力を耐火性部分が吸収する。
【0020】
一方、耐火性部分と小径筒部の内面との間には、いわゆるキャピラリーと称されるわずかな隙間が形成される。このわずかな隙間の小径筒部の端部側に位置する一部はシールによって埋められるが、残余の部分には余剰のイオン化媒体が点灯中液相状態になって滞留する。そして、放電空間側の液面の温度が最冷部となるが、隙間の幅寸法および長さならびにイオン化媒体の封入量を適当に設定することにより、所望の最冷部温度にするとともに、シールの温度を所望に設定することができる。
【0021】
<電極について>
電極は、給電導体の耐火性部分の先端に配設されるとともに、透光性セラミックス放電容器の包囲部に臨むように位置する。なお、「包囲部に臨む」とは、包囲部内に位置する態様および包囲部内に位置しないものの包囲部内に放電を生起し得るように小径筒部内に位置している態様を含む。また、電極は、耐火性部分と別体に形成されているだけでなく、必要に応じて給電導体の耐火性部分と一体に形成されていること、たとえば耐火性部分の先端が直接電極として作用する構成や、反対に電極軸が耐火性部分を兼ねていて、直接封着性部分の先端に接続されている構成などが許容される。その場合、交流点灯形においては一対の電極を耐火性部分と一体に形成することができるが、直流点灯形においては陰極を一体に形成してもよいが、陽極は別に形成することができる。
【0022】
また、電極を円筒体などの形状をなすタングステンなどの板材によって構成することができる。これにより、電極の表面積が増大し、グロー・アーク転移においてグロー放電モードでスパッタリングの割合を決定する要因の一つである電極表面電流密度が低下し、これに伴い陰極降下電圧が低下するので、スパッタリングが軽減する。また、熱容量を小さくすることができるので、グロー・アーク転移時間が短縮し、さらにエッジ効果により電子放射性能が向上して始動電圧が低下する。
【0023】
<リング体について>
リング体は、その内径が小径筒部の内径より大きくて、給電導体の封着性部分に形成した係止部を透光性セラミックス放電容器の小径筒部の外部において側方から包囲して、透光性セラミックス放電容器の小径筒部に隣接してその端面に配設され、内部にセラミックス封止用コンパウンドが充填される。リング体の材質は、絶縁性および導電性のいずれでもよいが、セラミックス封止用コンパウンドと熱膨張係数が近似していて、しかも濡れ性の良好なものたとえば透光性セラミックス放電容器と同一材質のセラミックスが好適である。また、リング体は、円筒状、角筒状、異形状などの形状であることを許容する。さらに、リング体は、透光性セラミックス放電容器の小径筒部の端面になるべく接近した状態で固定されることにより、それらの間に気泡が滞留しにくくなるので、好適には両者間の距離は0.3mm以下である。
【0024】
<シールについて>
シールは、給電導体の封着性部分および透光性セラミックス放電容器の小径筒部の間において封着性部分が透光性セラミックス放電容器内の放電空間側に露出しないように封着性部分の先端を包囲して透光性セラミックス放電容器を封止するとともに、小径筒部の外部においてリング体の内部に充填されて係止部を被覆する。さらに、小径筒部の端面とリング体の底面との間の隙間にも進入する。
【0025】
また、主として小径筒部内において封着性部分および小径筒部の間を封止するシールと、主としてリング体内に充填されて係止部を被覆するシールとは、同一組成であってもよいし、異なった組成であってもよい。前者の場合、封止作業は1回で済む。後者の場合、最初に封着性部分および小径筒部の間を第1のシールにより封止し、次に第2のシールをリング体内に充填して係止部を被覆する。そのため、第2のシールには、第1のシールより溶融温度が低いセラミックス封止用コンパウンドを用いるのがよい。
【0026】
さらに、シールは、点灯中高温になる透光性セラミックス放電容器を給電導体とともに封止するために、一般的に融点が1300℃以上で、熱膨張係数が透光性セラミックスのそれに接近しているセラミックス封止用コンパウンドからなる。そして、セラミックス封止用コンパウンドは、予め原料を成形して環状のペレットにされる。次に、このペレットをリング体の上端部に載置してから、加熱溶融すると、リング体内部、リング体と小径筒部との間の隙間、ならびに小径筒部と給電導体との間の微小な隙間内に進入させることができる。そして、次いで固化させることにより、シールは所定の位置に形成される。さらに詳述すれば、シールを所定の位置に形成するには、封止予定部を上にして透光性セラミックス放電容器の軸を鉛直方向に揃えて固定し、封止予定の小径筒部の端面にリング体を載置し、さらにリング体から外部に突出した給電導体の部分に嵌めて、リング体の上に固形のセラミックス封止用コンパウンドを載置して加熱する。すると、セラミックス封止用コンパウンドは、加熱により溶融して小径筒部と封着性部分との間に進入し、さらに先端が耐火性部分の中間部の所定位置まで進入したところで冷却する。これにより、シールが固化して、封着性部分が透光性セラミックス放電容器内の放電空間側に露出しないように包囲するとともに、小径筒部および封着性部分の間を気密に封止する。同時に、小径筒部および耐火性部分の一部の間をも気密に封止し、さらにリング体内に充填されて係止部を被覆する。また、リング体と小径筒部の端面との間にも浸入して両者間を固着する。なお、シールが固化した状態において、両者間の間隔が0.3mm以下であれば、それらの間に気泡が生じにくい。
【0027】
このようにして形成されたシールにより、給電導体は、所定の位置に固着されるとともに、透光性セラミックス放電容器は気密に封止される。
【0028】
さらに、小形の高圧放電ランプの場合、シールによって給電導体の耐火性部分を軸方向に0.2〜3mmに距離にわたって被覆することができる。耐火性部分の被覆距離が0.2mm未満では点灯中に封着性部分がイオン化媒体たとえばハロゲン化物よって腐食されやすく、また3mmを超えると、クラックが発生しやすくなくなる。
【0029】
<放電媒体について>
本発明において、放電媒体は、特に限定されない。
【0030】
放電媒体として、水銀および希ガスを用いて高圧水銀蒸気放電ランプ(いわゆる水銀ランプ)を得ることができる。
【0031】
また、少なくとも発光金属を含む金属のハロゲン化物を封入することにより、高圧メタルハライド放電ランプ(いわゆるメタルハライドランプ)を得ることができる。この場合、さらにバッファ媒体として水銀および適当圧力の希ガスを封入することができる。
【0032】
また、メタルハライドランプにおいて、バッファガスとしての希ガスにネオンおよびアルゴンを適当圧力封入することにより、始動電圧が3kV以下、好適には2kV程度に低下するので、後述するように蛍光ランプ用安定器のように小形で、しかも2次開放電圧から2次短絡電流まで連続的な負荷特性を備えた高周波安定器を用いて、イグナイタを使用することなく、良好に点灯することができる。
【0033】
さらに、金属ハロゲン化物を構成するハロゲンとしては、よう素、臭素、塩素またはフッ素のいずれか一種または複数種を用いることができる。発光金属の金属ハロゲン化物は、発光色、平均演色評価数Raおよび発光効率などについて所望の発光特性を備えた放射を得るため、さらには透光性セラミックス放電容器のサイズおよび入力電力に応じて、既知の金属ハロゲン化物の中から任意所望に選択することができる。たとえば、ナトリウムNa、タリウムTlおよび希土類金属たとえばジスプロシウムDyからなるグループの中から選択された一種または複数種のハロゲン化物を用いることができる。
【0034】
さらにまた、高圧メタルハライド放電ランプにおいて、水銀に代えて蒸気圧が比較的高くて可視光領域における発光が少ないか、発光しない金属たとえばアルミニウムなどのハロゲン化物を封入することもできる。希ガスとしては、一般的にアルゴン、キセノンまたはネオンなどを用いることができる。
【0035】
一方、ナトリウムアマルガムをキセノンなどの希ガスとともに放電媒体として用いることにより、高圧ナトリウム放電ランプ(いわゆる高圧ナトリウムランプ)を得ることができる。
【0036】
<その他の構成について>
本発明の実施に際して必要に応じて、以下に示す構成を付加することができる。しかし、これらの構成は、全く任意に採用できることであって、本発明の技術的範囲を規制するものではない。
【0037】
(1)わずかな隙間について
透光性セラミックス放電容器の小径筒部の内面と給電導体との間に形成されるわずかな隙間の幅寸法は、本発明において特段制限されないが、比較的小形の高圧放電ランプすなわち透光性セラミックス放電容器の内容積が0.1cc以下、好適には0.05cc以下およびまたは定格消費電力が20W以下の場合には、0.21mm以上であることが好ましい。
【0038】
本発明者らの研究によると、小形の高圧放電ランプにおいては、従来技術を比例的に縮小して適用しても、良好なものを得ることができないことが分かった。すなわち、ランプ電力が小さくなった場合、発光効率を確保するためには、適正な最冷部温度を確保する必要があり、これには透光性セラミックス放電容器全体の熱容量の減少が不可欠である。この際、ランプ電力が比較的大きい場合の考え方で、透光性セラミックス放電容器の形状および電極寸法などを単純に比例的に減少させると、点灯後短時間で封止部分にリークが発生する。これは、透光性セラミックス放電容器を小さくすると、放電プラズマを始めとする発熱体からの封止部分への熱伝達形態、すなわち熱伝導、対流、輻射のバランスが崩れるからであると考えられる。
【0039】
(2)透光性セラミックス放電容器の内容積と直線透過率の関係について
内容積が0.1cc以下、好適には0.05cc以下の場合に、膨出部の平均直線透過率を10%以上、好ましくは20%以上、より好適には30%以上にする。
【0040】
直線透過率は、波長550nmにおいて測定したものとする。なお、「平均直線透過率」とは、対象部分に対して異なる5個所の位置において測定した直線透過率データを相加平均して求めた値をいう。
【0041】
内容積が上記のように小さい透光性セラミックス放電容器の場合、その中空部の平均直線透過率が20%以上であると、組み合わせる光学系たとえば反射鏡との光学的効率(器具効率)を高くできるとともに、透光性セラミックス放電容器のクラックが生じにくい。
【0042】
なお、透光性セラミックス放電容器の内容積は、当該容器を水中に入れて内部に水を充満してから、両方の小径筒部の開口端を封鎖して水中から取り出し、内部の水を計量して、測定する。
【0043】
(3)透光性セラミックス放電容器の全長を30mm以下、好適には25mm以下にする。
【0044】
(4)外管について
本発明において、高圧放電ランプは、排気されて真空またはさらに不活性ガスを封入した外管内に収納して点灯する発光管外管内収納形式に構成することができる。外管内に透光性セラミックス放電容器を収納することにより、最冷部の温度を所望の高い温度に維持するのが容易になる。
【0045】
しかし、本発明は、これに限定されるものではなく、要すれば透光性セラミックス放電容器が大気中に露出した形で点灯する発光管露出形式を採用することができる。
【0046】
なお、前者の場合、給電導体の封着性部分の基端に接続されて透光性セラミックス放電容器の外部に露出している外部リード線は、封着性部分と同じ酸化性金属であってもよい。また、後者の場合、外部リード線は、耐酸化性の導電体にする。
【0047】
<本発明の作用について>
本発明の高圧放電ランプは、給電導体の封着性部分の側面に透光性セラミックス放電容器の小径筒部の端面に当接する係止部を封着性部分の側面から突出して形成し、内径が小径筒部の内径より大きいリング体を小径筒部の端面に隣接して配設して、上記係止部を包囲するとともに、リング部内に充填されたセラミックス封止用シールが上記係止部を被覆し、かつ小径筒部の端面とリング体の底面との間の隙間にも進入している特徴的構成を備えている。これにより、セラミックス封止用コンパウンドのシールがリング体内にも充填して給電導体の係止部を被覆するとともに、リング体内に充填されたシールには気泡が殆ど生じない。そして、係止部を被覆するシールは、リング体により機械的に保護されるので、応力集中が生じなくなる。
【0048】
また、透光性セラミックス放電容器の小径筒部とリング体との間には係止部が介在しないから、両者を近接して配置することができる。そのため、両者の間には気泡が殆ど介在することがない。
【0049】
請求項2の発明の高圧放電ランプは、請求項1記載の高圧放電ランプにおいて、リング体は、透光性セラミックス放電容器の構成材料と同一の成分を含む材料からなることを特徴としている。
【0050】
本発明は、リング体の好適な材料を規定している。すなわち、リング体が透光性セラミックス放電容器の構成材料と同一の成分を含む材料からなることにより、透光性セラミックス放電容器、リング体および給電導体の相互間におけるセラミックス封止用コンパウンドのシールによる接合強度が増加して封止の信頼性が向上する。
【0051】
「透光性セラミックス放電容器の構成材料と同一の材料成分を含む材料」とは、透光性セラミックス放電容器の構成材料たとえばアルミナセラミックスと同一の材料、透光性セラミックス放電容器の構成材料たとえばアルミナセラミックスと同一の成分および異なる成分によって構成された材料たとえばYAG、ならびに透光性セラミックス放電容器の構成材料たとえばYAGの成分の一部たとえば酸化アルミニウムで構成された材料たとえばアルミナセラミックスを含む。
【0052】
請求項3の発明の高圧放電ランプは、請求項1または2記載の高圧放電ランプにおいて、セラミックス封止用コンパウンドのシールは、透光性セラミックス放電容器の小径筒部および給電導体の封着性部分の間にある部分の成分とリング体内にある部分の成分とが同一であることを特徴としている。
【0053】
本発明は、上記の構成により、1回の封止作業で所要の封止が完了するような工程にすることができるので、製造工程を簡素化することができるとともに、接合強度が向上する。
【0054】
請求項4の発明の照明装置は、照明装置本体と;照明装置本体に支持された請求項1ないし3のいずれか一記載の高圧放電ランプと;を具備していることを特徴としている。
【0055】
本発明は、放射状突起部の好適な形成手段を規定している。
【0056】
本発明において、照明装置は、高圧放電ランプの発光を何らかの目的で用いるあらゆる装置を含む広い概念であり、たとえば電球形高圧放電ランプ、照明器具、移動体用ヘッドライト、光ファイバー用光源、画像投射装置、光化学装置、指紋判別装置などに適用することができる。
【0057】
なお、照明装置本体とは、上記照明装置から高圧放電ランプを除いた残余の部分をいう。
【0058】
また、「電球形高圧放電ランプ」とは、高圧放電ランプと、その安定器とを一体化し、さらに受電用の口金を付設してなり、口金に適応するランプソケットに装着することにより、白熱電球を点灯するような感覚で使用することができるように構成した照明装置を意味する。
【0059】
さらに、電球形高圧放電ランプを構成する場合、高圧放電ランプの発光を所望の配光特性が得られるように、集光するための反射鏡を備えることができる。
【0060】
さらにまた、高圧放電ランプの高い輝度を低減するために、光拡散性のグローブまたはカバーを備えることができる。
【0061】
さらにまた、口金は、所望の仕様のものを用いることができる。したがって、在来の光源ランプとの代替を図る目的の場合には、在来の光源ランプの口金と同じ口金を採用すればよい。
【0062】
さらにまた、放電ランプ点灯装置を適当なケースに収納することにより、外観を良好に整えることができるとともに、取扱いが容易で、しかも安全にすることができる。
【0063】
さらにまた、電球形高圧放電ランプにおいては、高圧放電ランプの点灯により、高圧放電ランプからの発熱による温度上昇が懸念されるが、反射鏡を備えることにより、集光するとともに、熱が放電ランプ点灯装置側に輻射されるのを軽減できる。
【0064】
ところで、高圧放電ランプを点灯するのに用いる放電ランプ点灯装置としては、インバータを用いた高周波点灯回路および限流手段を備える構成のものが小形化および軽量化の点で好ましい。しかし、要すれば低周波交流を直接限流手段を介して高圧放電ランプに印加する構成であってもよい。この場合の限流手段はインダクタ、抵抗器またはコンデンサを用いることができる。
【0065】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0066】
図1は、本発明の高圧放電ランプの第1の実施形態を示す一部断面正面図である。
【0067】
図2は、同じく口金を装着する前のワイヤバルブ状態を示す一部断面正面図である。
【0068】
図3は、同じく拡大要部断面正面図である。
【0069】
図4は、同じく封止部を示す拡大縦断面図である。
【0070】
図5は、図4のV−V´線に沿う断面図である。
【0071】
各図において、高圧放電ランプは、図1に示すように、発光管IB、第1の接続導体CC1、第2の接続導体CC2、第1および第2の金属製コイルCO1、CO2、外管OB、一対の外部接続端子OCT1、OCT2、ゲッタGTおよび口金Bからなる。
【0072】
<発光管IBについて>
発光管IBは、図3に示すように、透光性セラミックス放電容器1、第1および第2の電極2A、2B、給電導体3、リング体4、シール5および滞留状態の放電媒体6を備えており、上下対称構造である。
【0073】
透光性セラミックス放電容器1は、包囲部1aおよび一対の小径筒部1b、1bを備えている。包囲部1aは、両端が連続的な曲面によって絞られていて、ほぼ球状をなしている。 小径筒部1bは、包囲部1aと連続した曲面によってつながり一体成形によって透光性セラミックス放電容器1を形成している。
【0074】
第1および第2の電極2A、2Bは、そのいずれもドープドタングステンからなり、棒状をなしている軸部2aおよびコイル部2bを備えている。軸部2aは、先端が包囲部1a内に突出して小径筒部1b内に挿通され、小径筒部1bと、第1および第2の電極2A、2Bとの間にわずかな隙間gが、それぞれ形成されている。コイル部2bは、軸部2aの先端に装着されている。
【0075】
給電導体3は、封着性部分3aおよび耐火性部分3bからなる。封着性部分3aは、ニオブからなり、棒状をなしていて、基端が透光性セラミックス放電容器1の外部に突出しているとともに、長手方向の中間において側面から突出した3個の係止部3a1が形成されている。係止部3a1は、プレス成形によって封着性部分3aと一体に形成されていて、120°間隔で封着性部分3aの周囲に等配されている。また、係止部3a1は、小径筒部1bの端面に当接する部分にテーパ3a11を備えていて、図3および図4を参照して理解できるように、給電導体3を小径筒部1bに上から挿入した際に小径筒部1bに対してセンタリングするように作用する。耐火性部分3bは、電極2A、2Bの軸部2aが兼ねていて、基端が封着性部分3aの先端に突き合せて放電溶接されている。
【0076】
リング体4は、セラミックスからなり、図3に示すように、給電導体3の係止部3a1を側方から包囲して小径筒部1bの端面に隣接して配置されている。そして、外径は小径筒部1bと同一で、内径は小径筒部1bより大きい。
【0077】
シール5は、セラミックス封止用コンパウンドを溶融し、固化することにより、透光性セラミックス放電容器1の小径筒部1bおよび封着性の部分2aの間に介在して透光性セラミックス放電容器1を気密に封止するとともに、給電導体3が透光性セラミックス放電容器1の内部に露出しないように被覆している。また、リング体4の内部にもシール5が充填して給電導体3の係止部3a1を被覆している。さらに、リング体4の底面と小径筒部1bの端面との間の微小な隙間にもシール5が充填して両者間を固着している。以上の封止により、電極2A、2Bを透光性セラミックス放電容器1の所定の位置に固定している。
【0078】
また、シール5を形成するには、透光性セラミックス放電容器1を縦位置にセットし、包囲体4を係止部3a11を包囲するように小径筒部1bの端面上に載置し、さらにセラミックス封止用コンパウンドのリング状ペレット(図示しない。)をリング体4の上に載置して、リング状ペレットを加熱溶融させて給電導体3の封着性部分3aおよび小径筒部1b内面の間の隙間に進入させて小径筒部1b内に挿入されている封着性部分3aの全体を被覆するとともに、さらに耐火性部分3bの基端部をも被覆するとともに、リング体4の内部に充填して係止部3a11を被覆させてから、冷却により固化させる。
【0079】
放電媒体は、ネオンおよびアルゴンを含む始動ガスおよびバッファガス、発光金属としての金属ハロゲン化物、ならびにバッファ蒸気としての水銀からなり、透光性セラミックス放電容器1内に封入されている。
【0080】
また、金属ハロゲン化物および水銀は蒸発する分より過剰に封入されているので、その一部6が安定点灯時にわずかな隙間g内に液相状態で滞留している。そして、液相状態で滞留している放電媒体6の界面は、最冷部を形成している。
【0081】
<第1および第2の接続導体CC1、CC2について>
第1の接続導体CC1は、モリブデン線からなり、その先端が電極2A側の給電導体3に接続し、中間が透光性セラミックス放電容器1の軸方向に対してほぼ平行に、かつ離間して延在している。
【0082】
第2の接続導体CC2は、モリブデンからなり、その先端が電極2B側の給電導体3に接続している。
【0083】
<第1および第2の金属製コイルCO1、CO2について>
第1の金属製コイルCO1は、第1の電極2Aが内部に挿通している方の小径筒部1bの外周に巻装されているとともに、給電導体3側のコイル終端が透光性セラミックス放電容器1の軸方向に離間して延在して、第2の電極2B側の給電導体3に接続している。
【0084】
第2の金属製コイルCO2は、第2の電極2Bが内部に挿通している小径筒部1bの外周に巻装されているとともに、給電導体3側の終端が第1の接続導体CC2に接続している。
【0085】
<外管OBについて>
外管OBは、硬質ガラス製のT形バルブからなり、基端にピンチシール部psが、先端に排気チップオフ部tが、それぞれ形成され、内部が排気されて10−2Pa程度の低真空状態になっている。
【0086】
ピンチシール部psは、T形バルブの開口端を加熱して軟化状態のときにピンチして形成する。
【0087】
排気チップオフ部tは、外管OBを封止した後に外管OBの内部を排気して排気管(図示しない。)を封し切った跡である。
【0088】
<一対の外部接続端子OCT1、OCT2について>
一対の外部接続端子OCT1、OCT2は、第1および第2の接続導体CC1、CC2を延長してこれらと一体に形成され、受電手段である口金Bを装着する以前は外管OBから外方へそのまま突出している。
【0089】
<ゲッタGTについて>
ゲッタGTは、ZrAl合金からなり、第1の接続導体CC1に溶接により支持されている。
【0090】
<口金Bについて>
口金bは、E11形ねじ口金からなり、一対の外部接続端子OCT1、OCT2を所要に接続して、外管OBのピンチシール部psに無機質接着剤(図示しない。)によって固着されている。
【実施例】
図1ないし図5に示す高圧放電ランプであって、以下の仕様である。
【0091】
<発光管>
透光性セラミックス放電容器:透光性アルミナセラミックス製で、全長23mm、包囲部1aの外径が6mm、内径5mm(肉厚0.5mm)、小径筒部1bが外径1.7mm、内径0.7mm(肉厚0.5mm)、長さL2が8mm
電極:軸部およびコイル部が直径0.2mmのタングステン
給電導体:封着性部分がニオブ、直径0.64mm、耐火性部分が上記電極の軸部を兼ねている。
【0092】
リング体:アルミナセラミックス製で、外径1.7mm、内径0.9mm、高さ1.5mm、小径筒部の端面とリング体の底面との間のシールが進入している隙間は約0.1mmわずかな隙間g:0.25mm放電媒体:始動ガスおよびバッファガスとしてNe3%+Arが約27kPa、他に適量の水銀および発光金属としてNa、Tl、Dyのヨウ化物(発光金属のハロゲン化物は、点灯中にその全てが蒸発しないで、余剰分sがわずかな隙間g内に滞留する程度の量封入している。)
<金属製コイル>
第1および第2の金属製コイル:直径0.3mmのモリブデン線を巻きピッチ200%で7ターン、包囲部に隣接する位置から小径筒部の外周に密接して巻装していて、全長L1は約5mm<外管>材質−アルミナシリーケートガラス接続導体−モリブデン線<ランプ仕様>管外径:11mm、全長:70mm、光中心距離:49mm口金:E11形ランプ電力:20W全光束:1800lm、発光効率:90lm/W色温度:3500K定格寿命:8000h
図6は、本発明の照明装置の第1の実施形態としてのスポットライトを示す一部中央断面正面図である。
【0093】
図において、本実施形態のスポットライトは、スポットライト本体11および高圧放電ランプ12からなる。
【0094】
スポットライト本体11は、主として天井取付部11a、アーム11b、本体ケース11c、ランプソケット11d、反射鏡11e、遮光筒11fおよび前面ガラス11gを備えている。天井取付部11aは、天井に取り付けられてスポットライトを吊持するとともに、天井裏に配設される点灯回路手段(図示しない。)に接続して、ここから受電する。アーム11bは、基端が天井取付部11aに固定されている。本体ケース11cは、前面が開口した容器状をなし、アーム11bの先端に垂直面内において俯仰自在に枢着されている。なお、図中の2点鎖線は、本体ケース11cを基準にしたときのアーム11bの俯仰調節可能な範囲を説明している。ランプソケット11dは、E11形口金用に適合するもので、本体ケース11c内に配設されている。反射鏡11eは、ランプソケット11dの前方に位置して本体ケース11cに配設されている。遮光筒11fは、反射鏡11eの開口端の中央部に配設されている。前面ガラス11gは、本体ケース11cの開口端に配設されている。
【0095】
高圧放電ランプ12は、図1〜図5に示すのと同様な仕様である。そして、高圧放電ランプ12は、その口金Bをランプソケット11dに装着することにより、スポットライト本体11に取り付けられている。また、高圧放電ランプ12が取り付けられている状態で遮光筒11fが外管OB先端からの光を遮光して、グレアを防止する。
【0096】
図7は、本発明の本発明の照明装置の第2の実施形態としての電球形高圧放電ランプを示す要部断面正面図である。
【0097】
各図において、電球形高圧放電ランプは、高圧放電ランプ12、台座13、反射鏡14、点灯回路手段15、基体16および口金17を備えている。以下、構成要素別に説明する。
【0098】
〔高圧放電ランプ12について〕
高圧放電ランプ12は、図2に示すのと同様な仕様であるので、これらの図面と同一部分については同一符号を付して説明は省略する。
【0099】
第1および第2の始動補助導体CO1、CO2は、それぞれ7ターンの金属製コイルからなる。
【0100】
〔台座13について〕
台座13は、耐熱性合成樹脂を成形して形成され、中心部に装着孔13a、図において上部外周縁に取付部13bを備えている。装着孔13aは、高圧放電ランプ12および反射鏡14を装着するためのもので、そこに挿入された高圧放電ランプ12のピンチシール部psおよび後述する反射鏡14の縁部14aを同心にして無機質接着剤BCを介して固定している。取付部13bは、後述する基体16の開口端に固着される。
【0101】
〔反射鏡14について〕
反射鏡14は、高圧放電ランプ12の周囲に配設されているとともに、高圧放電ランプ12の少なくとも発光部すなわち包囲部1aを包囲している。そして、反射鏡14は、台座13に固定されている。本実施形態においては、前記したように、高圧放電ランプ12と一緒に固定されている。また、反射鏡14は、ガラス成形により臥せ椀状に成形され、同時に頂部の円筒状の縁部14aを一体に形成しているとともに、内面にアルミニウム蒸着膜からなる反射面14bを形成している。なお、この縁部14aは、台座13の装着孔13aに挿入され、無機接着剤BCで台座13に固定されている。さらに、反射鏡13の開口部に前面ガラス14cが配設されている。前面ガラス14cは、透明ガラスを成形して製作され、低融点フリットガラス18で反射鏡14に気密に封着されている。さらにまた、反射鏡14および前面ガラス14bにより形成されている内部空間には、不活性ガスとして窒素が封入されている。
【0102】
〔点灯回路手段15について〕
点灯回路手段15は、配線基板15aの図において主として上側に実装され、また配線基板15aの図において上面から高圧放電ランプ12の外部接続端子OCT1,OCT2を受け入れて、配線基板15aと所要に接続している。
【0103】
〔基体16について〕
基体16は、杯状をなしていて、その基部に後述する口金17が装着され、また開口縁に周段部16aが形成されている。また、基体16の内部には、点灯回路手段15が収納されている。さらに、開口縁の周段部16aに台座13の周段部13bを嵌合して、接着剤によって固着している。なお、基体16の適所または台座との嵌合部に空気抜きや放熱のための孔隙を必要に応じて形成する。
【0104】
〔口金17について〕
口金17は、E26形の口金からなり、基体16の基部に装着されている。
【0105】
次に、上記実施例のランプ仕様について説明する。
外径:50mm、全長:110mm
口金:E26
定格電圧:100V
消費電力:23W
最大光度:4200cd
ビームの開き:28°
ビーム光束:780lm
定格寿命:8000h
【発明の効果】
請求項1ないし3の各発明によれば、給電導体の封着性部分の側面から突出して係止部を形成して、給電導体を透光性セラミックス放電容器の小径筒部内に挿入した際に係止部を小径筒部の端面に当接させるとともに、内径が小径筒部の内径より大きいリング体を小径筒部の端面に隣接して配設して上記係止部を包囲し、セラミックス封止用コンパウンドのシールをリング体内に充填して係止部を被覆し、かつ小径筒部の端面とリング体の底面との間の隙間にも進入していることにより、リング体によって保護されて係止部の被覆に集中応力が作用しないとともに、リング体内およびリング体と小径筒部の端面との間のシールに気泡が生じにくくなり、これらに伴って封止部にクラックやリークが生じにくい高圧放電ランプを提供することができる。
【0106】
請求項2の発明によれば、加えてリング体が透光性セラミックス放電容器の構成材料と同一の成分を含む材料からなることにより、接合強度が増加して封止の信頼性が向上した高圧放電ランプを提供することができる。
【0107】
請求項3の発明によれば、加えてセラミックス封止用コンパウンドのシールが透光性セラミックス放電容器の小径筒部および給電導体の封着性部分の間にある部分の成分と、リング体内にある部分の成分とが同一であることにより、封止の工程が簡素化されるとともに、接合強度が向上した高圧放電ランプを提供することができる。
【0108】
請求項4の発明によれば、請求項1ないし3の効果を有する照明装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の高圧放電ランプの第1の実施形態を示す一部断面正面図
【図2】同じく口金を装着する前のワイヤバルブ状態を示す一部断面正面図
【図3】同じく拡大要部断面正面図
【図4】同じく封止部を示す拡大縦断面図
【図5】図4のV−V´線に沿う断面図
【図6】本発明の照明装置の第1の実施形態としてのスポットライトを示す一部中央断面正面図
【図7】本発明の本発明の照明装置の第2の実施形態としての電球形高圧放電ランプを示す要部断面正面図
【符号の説明】
IB…発光管
1…透光性セラミックス放電容器
1a…包囲部
1b…小径筒部
2A…電極
2B…電極
2a…軸部
2b…コイル部
3…給電導体
3a…封着性部分
3a1…係止部
3a11…テーパ
3b…耐火性部分
5…シール
6…滞留状態の放電媒体
g…わずかな隙間
CC1…第1の接続導体
CC2…第2の接続導体
CO1…第1の金属製コイル
CO2…第2の金属製コイル
OCT1…外部接続端子
OCT2…外部接続端子
GT…ゲッタ
B…口金
Claims (4)
- 放電空間を包囲する包囲部および包囲部の両端に連通して配置され包囲部より内径が小さい小径筒部を備えた透光性セラミックス放電容器と;
透光性セラミックス放電容器の小径筒部の端面に当接する係止部を側面から突出して形成した封着性部分および封着性部分の先端に基端が接続されている耐火性部分を備え、小径筒部の端面から外部に露出している係止部の部分から基端までの部分を残して透光性セラミックス放電容器の小径筒部内へ挿入されて耐火性部分と小径筒部の内面との間にわずかな隙間を形成しながら延在する給電導体と;
給電導体の耐火性部分の先端に配設されて透光性セラミックス放電容器の包囲部に臨んでいる電極と;
小径筒部の端面から外部に露出している係止部の部分を包囲し、透光性セラミックス放電容器の小径筒部の端面に隣接して配設された内径が小径筒部の内径より大きいリング体と;
透光性セラミックス放電容器の小径筒部と給電導体の封着性部分との間を少なくとも封着性部分が放電空間側へ露出しないように包囲して封止しているとともに、リング体内に充填されて係止部を被覆しているセラミックス封止用コンパウンドのシールと;
透光性セラミックス放電容器内に封入された放電媒体と;
を具備していることを特徴とする高圧放電ランプ。 - リング体は、透光性セラミックス放電容器の構成材料と同一の成分を含む材料からなることを特徴とする請求項1記載の高圧放電ランプ。
- セラミックス封止用コンパウンドのシールは、透光性セラミックス放電容器の小径筒部および給電導体の封着性部分の間にある部分の成分とリング体内にある部分の成分とが同一であることを特徴とする請求項1または2記載の高圧放電ランプ。
- 照明装置本体と;
照明装置本体に支持された請求項1ないし3のいずれか一記載の高圧放電ランプと;
を具備していることを特徴とする照明装置。
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