JP3608179B2 - メタルハライドランプ、点灯装置、投光装置およびプロジェクタ装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、直流点灯されるメタルハライドランプ、このランプの点灯装置およびこのランプを光源とした投光装置ならびにプロジェクタ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
ショートアークメタルハライドランプは、例えばカラー液晶プロジェクタ装置における投光装置用の光源として使用されている。カラー液晶プロジェクタ装置における投光装置は、光源であるランプとこのランプから放射された光を反射するリフレクタとで構成されている。そして、この投光装置から投射された光が液晶表示パネルに照射され、この液晶表示パネルを透過した光が光学系により制御されてスクリーン面に投影されるようになっている。この場合、液晶表示パネルは、各画素に対応してRGBのカラーフィルタを備えている。そして、液晶表示パネルを透過する光は、このカラーフィルタによりRGBのいずれかに着色される。したがって、RGBのカラー光線がスクリーン面に投射されることから、スクリーン面には液晶表示パネルで制御された画像のカラー映像が写し出されることになる。
【0003】
このようなカラー液晶プロジェクタ装置の光源としては、光学系における制御の容易さから点光源に近いことが望まれ、しかも低電力の割には大光量が得られて豊富な光を放出し、加えて赤、青、緑の成分を効率よく放射し、さらには熱の発生が少ないなどの条件を満足し得るランプが必要である。このような条件を満たすランプとして、ショートアークメタルハライドランプが好適である。
【0004】
ショートアークメタルハライドランプは、石英ガラスからなる発光管の両端に電極を設けるとともに、この発光管の内部に、発光金属として金属ハロゲン化物と、緩衝金属としての水銀およびアルゴンなどの希ガスとを封入している。このようなランプは、電極間距離が10mm以下、好ましくは3〜7mmとされており、これら電極間に発生するアーク放電が短いことから、ショートアークタイプと称されている。そして、点灯中150〜350Wの電力が投入され、管壁負荷(入力電力Wを発光管の内表面積で除した値)が30〜100W/cm2程度の大きな負荷条件で使用される。
【0005】
したがって、このようなメタルハライドランプであれば、アークが短いことから点光源に近くなり、しかも低電力点の割には大光量を得ることができる。
【0006】
また、この種のショートアークメタルハライドランプに封入される金属ハロゲン化物としては、ジスプロシウムDy、ネオジウムNd、ホルミワムHoおよびツリウムTmの中から選ばれた少なくとも1種の希土類金属のハロゲン化物と、インジウムln、タリウムT1、ガリウムGa、亜鉛ZnおよびカドミウムCdから選ばれた少なくとも1種のハロゲン化物とが選択的に使用されている。
【0007】
ジスプロシウムDy、ネオジウムNd、ホルミウムHoおよびツリウムTmの中から選ばれた少なくとも1種の希土類金属のハロゲン化物は、可視光全般にわたる連続スペクトルの光出力を発するので、演色性の向上に有効である。一方、インジウムln、タリウムT1、ガリウムGa、亜鉛ZnおよびカドミウムCdから選ばれた少なくとも1種のハロゲン化物は、光の3原色であるRGBのそれぞれ波長域にピーク波長を有し、これらRGBの光を効率よく放射するのに適している。
【0008】
しかしながら、このようなメタルハライドランプは、金属ハロゲン化物が石英と反応して失透を生じやすく、特に管壁負荷が高い状態で点灯すると、石英とハロゲンの反応が促進されて早期に光束が低下するという問題がある。これを解消するため、最近ではショートアークメタルハライドランプを直流点灯するようにしている。
【0009】
メタルハライドランプを直流点灯すると、放電空間に収容されている金属ハロゲン化物が陽極に引かれるとともに水銀が陰極に引かれ、いわゆるカタホリシス現象により上記金属ハロゲン化物と水銀が分離される。このため、金属ハロゲン化物が陽極に引かれて石英壁の付近に存在するのが抑制され、よって、石英との反応が抑止されて早期失透を防止し、光束維持率が向上するようになる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような直流点灯形のショートアークメタルハライドランプにおいては、これを水平点灯すると、点灯中に陽極となる電極に熱電子が衝突するため、陽極の温度が高くなり、しかも陽極が浸蝕されて変形するなどの問題がある。これを防止するため、通常、陽極を陰極に比べて大形にしてある。
【0011】
しかし、ショートアークメタルハライドランプは、放電空間が小さいため、陽極を大形化するには限度がある。このため、陽極の温度が陰極に比べて高くなり、陽極の熱がこの陽極が封止された方の封止部に輻射熱および伝導熱として伝わり、発光管全体では陽極側の発光管壁が陰極側に比べて温度上昇し、よって全体として温度差が発生する。
【0012】
発光管壁に温度差が発生すると、熱歪みの発生が心配されるばかりでなく、放電空間の内面に温度差が生じるので、金属ハロゲン化物の蒸発が不安定になり、発光特性に影響を与えるなどの不具合が心配される。
【0013】
希土類金属ハロゲン化物は、蒸気圧を十分に高くする必要があるので、特に発光物質としてジスプロシウムを含む希土類金属のハロゲン化物を用いる場合には、最冷部温度を高くするように配慮している。その手段の1つとして、管壁負荷を高くして管壁温度を高くして点灯している。しかし、上述のように発光管壁に温度差が生じると、最冷部が発生し、しかもこの最冷部の温度が上昇しないで十分な蒸気圧が得られなくなることがあり、発光効率にばらつきを生じるなどの不具合がある。
【0014】
また、陰極側の温度が低くなると、消灯した場合に金属ハロゲン化物が最冷部に凝集することにより陰極を覆うようになり、再始動の場合に電子の放出を妨げて始動電圧を高くしたり、陰極の根元で放電を起こしたりするなどの不具合も心配される。
【0015】
本発明はこのような事情に基づきなされたもので、その目的とするところは、気密容器に温度差が生じないようにして、安定した発光特性が得られるメタルハライドランプ、このランプの点灯装置およびこのランプを光源とした投光装置ならびにプロジェクタ装置を提供しようとするものである。
【0016】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明のメタルハライドランプは、電極軸部の基端部側の拡開部分が2次曲線状に拡開している放電空間が形成された気密容器と;気密容器内に封装され電極間距離を10mm以下にして対設された陰極と陽極とからなる一対の電極と;放電空間に封入された金属ハロゲン化物を含む放電媒体と;を具備し、前記陽極は、基端部が気密容器に埋設された径小の電極軸部および電極軸部の先端に位置する膨出部を備え、膨出部が径大の膨出形状をなす電極主体部および電極主体部の後背部から連続的に径小となって電極軸部に至る傾斜部を有し;前記気密容器は、その電極軸部の基端部側の拡開部分に陽極の傾斜部を入り込ませる構造であり、電極軸部に対向する表面が2次曲線状に拡開していて、かつ陽極の傾斜部の各点における気密容器との距離が徐々に増加するように気密容器内に陽極を配置している;ことを特徴としている。
【0017】
本請求項および以下の請求項において、「膨出部」とは、電極軸部に対して膨らんでいる電極の部分をいい、電極主体部および傾斜部を有している。また、傾斜部は、電極主体部と電極軸部との間を鋭角な部分を生じないように連絡する部分である。
【0018】
また、気密容器の「電極軸部に対向する表面が断面2次曲線状に拡開」するとは、電極軸部の基端部側における気密容器の最深部で電極軸部とこれと対向する気密容器の内表面との間の隙間が小さく、電極主部に近づくにしたがって徐々に2次関数的に広がっている関係をいうものである。
【0019】
さらに、「陽極の傾斜部の各点における気密容器との距離が徐々に増加する」とは、図1に示され、かつ、後述するように、陽極の傾斜部の各点と気密容器内面との間の最短距離が電極主部に向かって徐々に増加することをいう。
【0020】
電極間距離は10mm以下であれば、点光源に近づくが、好ましくは3〜5mmの範囲がよい。
【0021】
気密容器は、石英製の他、セラミックス製のものを用いることができ、要は透光性、耐火性があり、放電媒体を気密に封入できるものであればよい。
【0022】
請求項1の発明によれば、気密容器における電極軸部の基端部側の拡開部分に陽極の傾斜部を入り込ませる構造であるので、小さい放電空間で電極の大きさを従来に比較して大形に構成することができる。したがって、陽極の温度容量を高め、好適なメタルハライドランプを提供することができる。
【0023】
請求項2の発明は、請求項1記載のメタルハライドランプと;このメタルハライドランプを直流点灯させる点灯手段と;を具備したことを特徴とする点灯装置である。
【0024】
請求項2の発明によれば、上記ランプの特性を生かした点灯装置を提供することができる。
【0025】
請求項3の発明は、請求項1記載のメタルハライドランプと:メタルハライドランプが収容され、このランプから放射される光が反射されるリフレクタと:を具備し、前記メタルハライドランプは、そのランプ軸がリフレクタの光軸に沿うように配置され、陽極がリフレクタの背部側に配置されるとともに、陰極がリフレクタの開口端側に配置されている;ことを特徴とする投光装置である。
【0026】
請求項3の発明によれば、光源としてのメタルハライドランプが高輝度で点光源に近いからリフレク夕による反射制御が容易になり、集光率を高めることができる。しかも、陽極がリフレクタの背部側に配置されるとともに、陰極がリフレクタの開口端側に配置されるから、陰極側から発せられる輝度の高い光をリフレクタの反射面で効果的に反射することができ、投光効率が良くなる。
【0027】
請求項4の発明は、前記メタルハライドランプの外表面に保温膜が形成され、この保温膜が、陰極の先端と前記リフレクタの有効反射面の最外郭線とを結ぶ直線上に存在しないことを特徴とする請求項8に記載の投光装置である。
【0028】
請求項4の発明によれば、保温膜が陰極の先端と上記リフレクタの有効反射面の最外郭線とを結ぶ直線上に存在しないから、気密容器の放電空間からリフレクタの有効反射面に発せられる光を保温膜が遮断しないことによって、投光効率が良くなる。
【0029】
請求項5の発明は、請求項3または4に記載の投光装置と;この投光装置から照射される光で投影される表示装置と;を具備していることを特徴とするブロジェクタ装置である。
【0030】
請求項5の発明によれば、請求項3または4の投光装置を用いるので、スクリーン面の輝度を高めることができる。
【0031】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について、図面に示す実施の形態に基づき説明する。
【0032】
図1および図2は、本発明のメタルハライドランプおよび投光装置における一実施の形態を示し、図1は投光装置の概略縦断面図、図2はショートアークメタルハライドランプの拡大要部縦断面図である。
【0033】
ショートアークメタルハライドランプ1は、定格ランプ電力250Wであり、石英ガラスからなる気密容器、つまり発光管20を備えている。この発光管20は、楕円形の放電空間を有している。すなわち、発光管20は、肉厚が1.2mm、放電空間の長径a(電極が対向している方向の内端部間の距離)がほぼ14.0mm、短径bがほぼ12mm程度とされており、放電空間の内表面積がほぼ5.0cm2、内容積がほぼ0.9ccとなっている。この放電空間には一対の電極21a、21bが設けられている。これら電極21a、21bは、陽極21aおよび陰極21bである。陽極21aと陰極21bは、電極間距離Lが10mm以下、例えば3.0mmとなるように対設されている。
【0034】
陽極21aは、先端部に大形の膨出部21aaを備え、この膨出部21aaに連続して電極軸部21abを有している。膨出部21aaは、線径2.3mm、長さ6.0mm程度のタングステンからなり、電極主部21a1および傾斜部21a2を有している。電極主部21a1は、陽極21aの先端部となっている。傾斜部21a2は、電極主部21a1の後背部から連続的に径小となって電極軸部21abに至る。電極軸部21abは、上記膨出部21aaと一体に形成され、線径が1.1mm程度になっている。なお、陽極21aの放電空間への突出長さは、6.5mmとされている。
【0035】
また、前記気密容器つまり発光管20は、その内部の電極軸21abの基端部に対向する表面20aが2次曲線状に拡開していて、かつ陽極21aの傾斜部21a2の各点における気密容器つまり発光管20との距離が徐々に増加するように気密容器内に陽極21aを配置している。
【0036】
陰極21bは、直線状のタングステンワイヤからなり、線径が例えば0.7mmとされている。陰極21bの放電空間内へ突出する長さHC(mm)は、これら一対の電極21a、21bが対向している方向の放電空間の内端部間距離、すなわち楕円の長径寸法a(mm)との関係が、0.2≦HC/a≦0.4 …(1)
とされており、本実施例ではHC(mm)が4.5mmとなっている。
【0037】
以上のことから、これら電極21a、21b間の中心位置Pは、これら電極21a、21bが対向している方向の放電空間の内端部間距離、すなわち楕円の長径aの中心よりも陰極21b側へ偏位している。
【0038】
上記電極21a、21bは、発光管20の両端部に形成された封止部22、22に封着された金属箔導体23、23に接続している。金属箔導体23、23は、厚さ30μm、幅3mm程度のモリブデン箔からなる。そして、一方の金属箔導体23が図1に示されない外部リ−ド線を介して端部に被着された口金24に電気的に接続されており、他方の金属箔導体23が外部リ−ド線25に接続されている。
【0039】
上記発光管20には、発光金属として金属ハロゲン化物が封入されているとともに、緩衝金属として水銀が封入されており、かつアルゴンなどの希ガスか封人されている。
【0040】
上記金属ハロゲン化物は、ジスプロシウムDy、ネオジウムNd、ホルミウムHoおよびツリウムTmの中から選ばれた少なくとも1種の希土類金属のハロゲン化物と、インジウムln、タリウムT1、ガリウムGa、亜鉛ZnおよびカドミウムCdの中から選ばれた少なくとも1種のハロゲン化物と、セシウムCsのハロゲン化物とを含んでいる。
【0041】
Dy、Nd、HoおよびTmの中から選ばれた少なくとも1種の希土類金属のハロゲン化物は、ヨウ化物および臭化物である。具体的には、Dy13が0.25mg、DyBr3が1.0mg.Nd8r3が0.2mgである。ln、T1、Ca、ZnおよびCdの中から選ばれた少なくとも1種のハロゲン化物もヨウ化物および臭化物である。具体的には、lnBrが0.44mgである。また、セシウムCsのハロゲン化物は、Cslが0.lmg封入されている。
【0042】
上記金属ハロゲン化物の総封入量は、約2.0mgである。これに対して、水銀Hgは、34mg封入されている。Arは、500Torr封入されている。
【0043】
上記発光管20には、陰極21b側の外表面に保温膜28が形成されている。
【0044】
保温膜28は、例えばアルミナA12O3やシリカSiO3などからなり、発光管20の外面に所定領域のわたり塗布して形成されている。この保温膜28は、一端側が陰極側封止部22の少なくとも一部を覆うとともに、他端側が陰極21bの突出方向に向かう所定範囲を覆っている。そして、保温膜28の他端は、上記陰極側放電空間内端部から陰極21bが突出している方向に向かって寸法M(mm)に位置している。この寸法Mは、陰極21bが放電空間内へ突出する長さHC(mm)対し、0.5≦M/HC≦1.0 …(2)
とされている。具体的には、M=3.6mmとされている。
【0045】
このようなショートアークメタルハライドランプ1は、図1に示すように、リフレクタ3に取り付けられて投光装置50を構成している。リフレクタ3は、ガラスまたは金属からなり、回転曲面の内面に反射特性に優れたTiO2−SiO2などの蒸着膜からなる反射面31を有している。このリフレクタ3の前面投光部、つまり開口端部は、径が90〜130血栓度に形成されており、背部の頂部には支持筒部32が設けられている。この支持筒部32には、上記ランプ1の口金24部分が絶縁セメントなどの接着剤33により固着されている。これにより、上記ランプ1のランプ軸01−01がリフレクタ3の中心軸、つまり光軸02−02と略一致するようにして上記ランプ1がリフレクタ3に取着されている。光軸02−02は略水平に設置されるようになっている。よって、上記ランプ1は、水平点灯される。
【0046】
そして、リフレクタ3に取り付けられた上記ランプ1は、発光管20の陽極21a側がリフレクタ3の支持筒部32側に位置しているとともに、陰極21b側がリフレクタ3の前面開口端部側に位置するように取り付けられている。
【0047】
このような組付け状態においては、発光管20に形成した保温膜28は、図1に示すように、陰極21bの先端と上記リフレクタ3の有効反射面の最外郭線とを結ぶ直線c上に存在しないようになっている。すなわち、保温膜28は、陰極21bの先端と上記リフレクタ3の有効反射面の最外郭線とを結ぶ直線cから前方の範囲に形成されている。
【0048】
なお、リフレクタ3には、導人孔34が形成され、この導人孔34に前記ランプ1の陰極21bに接続した外部リ−ド線25が貫通して背面側へ導かれている。
【0049】
前記ランプ1は、図1に示すように、口金24と外部リード線25が3交流・直流変換器などからなる電源手段40に接続されて点灯装置を構成している。電源手段40は、ランプにI50〜250Wの直流電力を投入することにより、ランプを管壁負荷が30〜100W/cm2程度の大きな負荷条件で点灯させるように構成されている。なお、上記ランプ1は、定格人力250Wであり、発光管の内表面積が5.0cm2であるから、管壁負荷は50W/cm2程度になる。
【0050】
上記投光装置50は、例えば図3に示すようなカラープロジェクタ装置に用いられる。図3において、61はカラープロジェクタ装置の本体となるハウジングであり、このハウジング61内には、上記投光装置50と、液晶表示パネル62と、レンズなどの光学系63が設けられているとともに、上記交流・直流変換器などからなる電源手段40および液晶駆動装置64が設けられている。電源手段40および液晶駆動装置64は、商用電源65に接続されている。
【0051】
電源手段40からの電源供給により前記ランプ1が点灯すると、前記ランプ1から出た光はリフレクタ3により反射されて液晶表示パネル62を照射する。液晶表示パネル62には各画素に対応して図示しないRGBのカラーフィルタを備えており、このカラーフィルタが上記液晶駆動装置64により制御されるようになっている。
【0052】
液晶表示パネル62を透過した光は、このカラーフィルタによりRGBのいずれかに着色され、この着色光がレンズなどの光学系63で集光されてスクリーン66に投影される。したがって、スクリーン66上には液晶表示パネル62で制御された画像のカラー映像が写し出されるようになる。
【0053】
このような構成のメタルハライドランプにおいては、図2に示すように、陽極21aと陰極21bとの間の中心位置Pが、放電空間の長径aの中心より陰極側に偏位しているから、陽極21aが放電空間内で相対的に陰極21b側へ寄って取り付けられることになる。よって、陽極21aから発せられる熱は、輻射や伝導により陰極側に伝えられる。また、発光管20の陰極側の外表面に保温膜28を形成したから、この保温膜28は、発光管20の陰極側の表面から熱が逃げるのを防止する。よって、発光管20では陰極側の表面の温度上昇が促される。
【0054】
このため、前記ランプを水平点灯しても発光管20の温度分布が均等化されるようになる。ゆえに、発光管20に熱歪みが発生することがなく、また放電空間の内面に温度差が生じなくなるので、金属ハロゲン化物の蒸発が安定する。
【0055】
特に、発光物質としてジスプロシウムを希上類金属のハロゲン化物を用いる場合、管壁負荷を高くして管壁温度を高くして点灯しているとともに、発光管の壁に温度差が生じないから、全体として蒸発が促され十分な蒸気圧が得られるようになり、発光効率が良好になる。
【0056】
また、前記ランプを消灯した場合に、陰極側に金属ハロゲン化物が凝集することもなくなり、金属ハロゲン化物が陰極21bを覆うこともなくなる。このため、再始動の場合に電子の放出が良好になり、始動輝電圧を低くして始動を円滑にする。
【0057】
そして、陰極21bの放電空間内へ突出する長さをHC(mm)、放電空間の長径aとの関係で、(1)式を満足したから、陽極21aが陰極側に偏位して設けられることになり、よって陽極21aの熱を輻射や伝導により陰極側に伝えられ、気密容器の温度差を小さくすることができる。
【0058】
さらに、保温膜28は、一端が陰極側封止部22の少なくとも一部を覆うとともに、他端は陰極21bの突出方向に向かう所定範囲を覆い、この保温膜28の他端は上記陰極側放電空間内端部から陰極21bの突出方向に向かう寸法M(mm)が(2)式を満足するようにしたから、保温作用が良好に行われ、また保温膜28で光を遮断する割合が少なくなる。
【0059】
上記(1)式および(2)式は、本発明者などの実験により得られた範囲であり、以下実験例について説明する。
【実施例】
[実験1]前記実施形態の定格ランプ電力250Wのショートアークメタルハライドランプにおいて、陰極21bが放電空間内へ突出する長さHC(mm)と、放電空間の内端部間距離、すなわち楕円の長径a(mm)とを種々変えて全光束(lm)を測定した。この場合、保温膜28が形成される範囲としてM/HCが0.8となるように調整した。
【0060】
上記構造のショートアークメタルハライドランプ1は、電極間距離が10mm以下、好ましくは3〜7mmの範囲に設定されるから、アーク長が短くなり、このことも点光源に近づけることができる大きな要因である。
【0061】
また、上記ランプ1は、管壁負荷が30W/cm2以上の高負荷で点灯されるから、発光量が多くなり、投光装置50として照射量が増すとともに、カラープロジェクタ装置としてスクリーン66の輝度が向上する。
【0062】
そしてまた、上記ランプ1は直流点灯されるので、カタホリシス現象により点灯中に金属ハロゲン化物と水銀とが、陽極と陰極とに分離されるようになり、よってハロゲン化物がバルブ壁に付着し難くなる。このため失透を防止することができ、寿命特性が向上する。
【0063】
さらに、上記ランプ1は水平点灯されるから、陽極側と陰極側で温度差を生じやすいが、上記の構成を採用すれば、水平点灯であっても発光管の温度差を小さくすることができる。
【0064】
そして、上記実施例の投光装置50は、光源としてのメタルハライドランプ1が点光源に近く高輝度で点灯されるから、リフレクタ3による反射制御が容易になり、集光率を高めることができる。
【0065】
リフレクタ3に取り付けられた上記ランプ1は、その取付け状態において、発光管20に形成した保温膜28が図1に示すように、陰極21bの先端と上記レフレクタ3の有効反射面の最外郭線とを結ぶ直線c上に存在しないようになっており、保被膜28が陰極21bの先端と上記リフレクタ3の有効反射面の最外郭線とを結ぶ直線cから前方の範囲に形成されている。このため、発光管20からリフレクタ3に向かう光の放射面積が大きくなり、リフレクタ3にて反射される光量が増加する。すなわち、保温膜28が陰極21bの先端と上記リフレクタ3の有効反射面の最外郭線とを結ぶ直線cを横切るように形成されていると、保温膜28の遮光作用のために発光管20からリフレクタ3に向かう光の放射面積が小さくなり、リフレクタ3にて反射される光量が減少する結果、スクリーン66の照度が低下する。これに対し、保温膜28を、陰極21bの先端と上記リフレクタ3の有効反射面の最外郭線とを結ぶ直線cよりも前方位置の範囲に形成すれば、保温膜28の遮光作用が少なくなり、スクリーン66の照度を高くすることができる。
【0066】
さらに、本実施例のカラープロジュクタ装置によれば、スクリーン66面の照度を高めることができる。
【0067】
【発明の効果】
請求項1の発明によれば、陽極は、基端が気密容器に埋設された径小の電極軸部および電極軸部の先端に位置する膨出部を備え、膨出部が径大の膨出形状をなす電極主体部および電極主体部の後背部から連続的に径小となって電極軸部に至る傾斜部を有し、前記気密容器は、その電極軸基端部に対向する表面が2次曲線状に拡開していて、電極軸部の基端部側の拡開部分に陽極の傾斜部を入り込ませる構造であり、かつ陽極の傾斜部の各点における気密容器との距離が徐々に増加するように気密容器内に陽極を配置していることにより、小さい放電空間で電極の大きさを従来に比較して大形に構成することができるとともに、気密容器に温度差が生じないようにして、安定した発光特性が得られるメタルハライドランプを提供することができる。
【0068】
請求項2の発明によれば、請求項1の発明の効果を有する点灯装置を提供することができる。
【0069】
請求項3の発明によれば、光源としてのメタルハライドランプが高輝度で点光源に近いから、リフレク夕による反射制御が容易になり、集光率を高めることができ、しかも陽極がりフレクタの背部側に配置されるとともに、陰極がりフレクタの閉口部側に配置されるから、陰極側から発せられる輝度の高い光をリフレクタの反射面で効果的に反射することができ、投光効率の良好な投光装置を提供することができる。
【0070】
請求項4の発明によれば、保温膜が陰極の先端とリフレクタの有効反射面の最外郭線とを結ぶ直線上に存在しないから、気密容器の放電空間からリフレクタの有効反射面に発せられる光を保温被膜が遮断しないので、投光効率の良好な投光装置を提供することができる。
【0071】
請求項5の発明によれば、請求項8または9の投光装置を用いるので、スクリーン面の照度を高めたプロジェクタ装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の投光装置の一実施例における概略縦断面図
【図2】同じくメタルハライドランプの拡大要部縦断面図
【図3】本発明のプロジェクタ装置の一実施例としてのカラー液晶プロジェクタの原理を示す説明図
【符号の説明】
1…メタルハライドランプ
3…リフレクタ
20…発光管
20a…表面
21a…陽極
21aa…膨出部
21a1…電極主部
21a2…傾斜部
21ab…電極軸部
21b…陰極
28…保温膜
31…反射面
40…直流電源手段
50…投光装置
62…液晶パネル
63…光学系
64…液晶駆動装置
66…スクリーン
Claims (5)
- 電極軸部の基端部側の拡開部分が2次曲線状に拡開している放電空間が形成された気密容器と;
気密容器内に封装され電極間距離を10mm以下にして対設された陰極と陽極とからなる一対の電極と;
放電空間に封入された金属ハロゲン化物を含む放電媒体と;
を具備し、
前記陽極は、基端部が気密容器に埋設された径小の電極軸部および電極軸部の先端に位置する膨出部を備え、膨出部が径大の膨出形状をなす電極主体部および電極主体部の後背部から連続的に径小となって電極軸部に至る傾斜部を有し;
前記気密容器は、その電極軸部の基端部側の拡開部分に陽極の傾斜部を入り込ませる構造であり、電極軸部に対向する表面が2次曲線状に拡開していて、かつ陽極の傾斜部の各点における気密容器との距離が徐々に増加するように気密容器内に陽極を配置している;
ことを特徴とするメタルハライドランプ。 - 請求項1記載のメタルハライドランプと;
メタルハライドランプを直流点灯させる点灯手段と;
を具備したことを特徴とする点灯装置。 - 請求項1記載のメタルハライドランプと;
メタルハライドランプが収容され、このランプから放射される光が反射されるリフレクタと;
を具備し、
前記メタルハライドランプは、そのランプ軸がリフレクタの光軸に沿うように配置され、陽極がリフレクタの背部側に配置されるとともに、陰極がリフレクタの開口端側に配置されている;
ことを特徴とする投光装置。 - 前記メタルハライドランプの外表面に保温膜が形成され、この保温膜が、陰極の先端と前記リフレクタの有効反射面の最外郭線とを結ぶ直線上に存在しないことを特徴とする請求項3記載の投光装置。
- 請求項3または4記載の投光装置と;
投光装置から照射される光で投影される表示装置と;
を具備していることを特徴とするプロジェクタ装置。
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JP31170995A JP3608179B2 (ja) | 1995-09-29 | 1995-09-29 | メタルハライドランプ、点灯装置、投光装置およびプロジェクタ装置 |
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JPH0997595A JPH0997595A (ja) | 1997-04-08 |
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