JP2011018524A - 高圧放電ランプ、投光装置及び照明装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】水銀を封入することなく、所定の初期照度を確保し、長寿命化を実現できる高圧放電ランプ、そのランプを光源とする投光装置及び照明装置を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明は、透光性の気密容器2と、この気密容器2内に対向して配置された電極3a、3bと、前記気密容器2内に封入され、金属ハロゲン化物及び希ガスを含み、希ガスは、キセノン(Xe)と、キセノン(Xe)より熱伝導率が高い他の種類のガスとの混合からなり、希ガスの全圧が30気圧以上であって、この全圧に対しキセノン(Xe)の分圧比が60%以上であるとともに、水銀を本質的に含まない放電媒体とを備える高圧放電ランプ1である。
【選択図】図1
【解決手段】本発明は、透光性の気密容器2と、この気密容器2内に対向して配置された電極3a、3bと、前記気密容器2内に封入され、金属ハロゲン化物及び希ガスを含み、希ガスは、キセノン(Xe)と、キセノン(Xe)より熱伝導率が高い他の種類のガスとの混合からなり、希ガスの全圧が30気圧以上であって、この全圧に対しキセノン(Xe)の分圧比が60%以上であるとともに、水銀を本質的に含まない放電媒体とを備える高圧放電ランプ1である。
【選択図】図1
Description
本発明は、高圧放電ランプ、そのランプを光源とする投光装置及び照明装置に関する。
液晶プロジェクタやオーバーヘッドプロジェクタ等のような画像を拡大して投影する装置の光源としては、光学系における制御の容易さから点光源に近いことが望まれ、また、効率、演色性が良好であること及び長寿命化等が要求されており、このため、現在、ショートアーク型のメタルハライドランプが標準的な光源として用いられている。そして、このメタルハライドランプは、通常、水平点灯されて使用され、水銀が封入されている。
しかしながら、水銀は、環境に悪影響を与える環境負荷物質であり、環境問題の観点から可能な限り少なくすることが望ましく、この水銀の代替物質として金属ハロゲン化物や希ガスを用い、水銀を封入しないランプが開発されている。
ところがこの金属ハロゲン化物や希ガスを用いるランプにおいては、ランプ電圧が低下し電流が大きくなりやすく、また、放電アークが上方へ湾曲して気密容器の上部の温度が上昇しやすい等の問題が発生する。これらの問題を解消するため、ランプを直流で点灯し、気密容器の周囲に磁石を配置し、磁界を作用させて、放電アークの形状を矯正するように制御する試みが行われている。しかしながら、これらの改善によっても発光効率、長寿命化等の点において満足できるものには至っていない。
そこで、前記要求を満たすため、通常、気密容器内に希ガスとしてのキセノン(Xe)を10気圧以上封入することが行われている。しかしながら、キセノン(Xe)は、熱伝導率が他の種類の希ガス等と比較して低いことから、気密容器内の温度が過剰に上昇し、気密容器内面が白濁したり、変形したりする問題が生じる。さらに、気密容器内に配置されている電極の蒸発、スパッタリング等による消耗が温度上昇に起因して促進されるという問題も発生する。
このような状況の中で、希ガスと亜鉛とを含んだ無水銀放電ガスを気密容器内に封入した高圧ガス放電ランプ(特許文献1参照)や気密容器内に発光物質と希ガスを封入し、かつ希ガスを15気圧以上30気圧以下の圧力で封入してランプ電流を低下させることができる高圧放電ランプ(特許文献2参照)が提案されている。
しかしながら、これら特許文献1及び特許文献2に示されたものは、基本的には、希ガスとしてキセノン(Xe)を高圧で気密容器内に封入するものであり、ここには、希ガスの熱伝導率に着目し、気密容器内の過剰な温度上昇を抑制する技術的な開示は存在しない。
本発明は、上記課題に鑑みなされたもので、希ガスの熱伝導率に着目し、気密容器内に封入される希ガスのうち、キセノン(Xe)と他の種類のガスとの分圧比を調整することにより、水銀を封入することなく、所定の初期照度を確保し、長寿命化を実現できる高圧放電ランプ、そのランプを光源とする投光装置及び照明装置を提供することを目的とする。
請求項1に記載の高圧放電ランプは、透光性の気密容器と、この気密容器内に対向して配置された電極と、前記気密容器内に封入され、金属ハロゲン化物及び希ガスを含み、希ガスは、キセノン(Xe)と、キセノン(Xe)より熱伝導率が高い他の種類のガスとの混合からなり、希ガスの全圧が30気圧以上であって、この全圧に対しキセノン(Xe)の分圧比が60%以上であるとともに、水銀を本質的に含まない放電媒体と、を具備することを特徴とする。
本発明及び以下の発明において、特に指定しない限り用語の技術的意味は次による。透光性の気密容器は、放電によって発生した所望の波長域の光を外部に放射できればよく、その材料は、石英ガラスやセラミックス等が適用でき、特段限定されるものではない。金属ハロゲン化物としては、ジスプロシウム(Dy)、ネオジウム(Nd)、ホルミウム(Ho)、スカンジウム(Sc)、亜鉛(Zn)、ナトリウム(Na)、インジウム(In)、タリウム(Tl)等から選ばれる一種又は複数種を目的に応じ適宜用いることができる。また、ハロゲン化物を構成するハロゲンには、沃素(I)、臭素(Br)、塩素(Cl)、弗素(F)があるが、このうち反応性に関しては、沃素(I)を用いるのが好適である。また、沃化物と臭化物のように異なるハロゲンの化合物を併用することもできる。
希ガスは、キセノン(Xe)と、キセノン(Xe)より熱伝導率が高い他の種類のガスとの混合からなるが、他の種類のガスとしては、アルゴン(Ar)又はクリプトン(Kr)が好ましく、これらの単一又は双方をキセノン(Xe)と混合することができる。
また、希ガスの全圧を30気圧以上とすることにより、ランプ電圧を高くしてランプ電流を低減することが可能となる。さらに、希ガスの全圧に対しキセノン(Xe)の分圧比が60%以上となるように調整することにより、所定の初期照度を確保し、長寿命化の実現が可能となる。加えて、本発明の高圧放電ランプの点灯方式は、直流点灯方式でも交流点灯方式でもいずれを採用してもよい。
請求項2に記載の高圧放電ランプは、透光性の気密容器と、この気密容器内に対向して配置された電極と、前記気密容器内に封入され、金属ハロゲン化物及び希ガスを含み、希ガスは、キセノン(Xe)とアルゴン(Ar)との混合からなり、希ガスの全圧が30気圧以上であって、水銀を本質的に含まない放電媒体とを具備し、希ガスの全圧をPTotal(atm)とし、キセノン(Xe)の分圧をPXe(atm)とし、アルゴン(Ar)の分圧をPAr(atm)としたとき、以下の式を満足することを特徴とする。
PTotal≧−3.86(PXe/PAr)+50.1
PTotal≧−3.86(PXe/PAr)+50.1
請求項3に記載の高圧放電ランプは、透光性の気密容器と、この気密容器内に対向して配置された電極と、前記気密容器内に封入され、金属ハロゲン化物及び希ガスを含み、希ガスは、キセノン(Xe)とクリプトン(Kr)との混合からなり、希ガスの全圧が30気圧以上であって、水銀を本質的に含まない放電媒体とを具備し、希ガスの全圧をPTotal(atm)とし、キセノン(Xe)の分圧をPXe(atm)とし、クリプトン(Kr)の分圧をPKr(atm)としたとき、以下の式を満足することを特徴とする。
PTotal≧−7.35(PXe/PKr)+51.8
PTotal≧−7.35(PXe/PKr)+51.8
請求項4に記載の投光装置は、請求項1乃至請求項3のいずれか一に記載の高圧放電ランプと、このランプから出射される光を反射するリフレクタと、を具備することを特徴とする。
請求項5に記載の照明装置は、装置本体と、この装置本体に設けられた請求項1乃至請求項3のいずれか一に記載の高圧放電ランプと、を具備することを特徴とする。照明装置には、液晶プロジェクタ装置等の映像投射装置、自動車用前照灯、表示灯、屋外又は屋内用の各種照明器具等が含まれる。
本発明によれば、水銀を封入することなく、所定の初期照度を確保しつつ、長寿命化を実現できる高圧放電ランプ、そのランプを光源とする投光装置及び照明装置を提供することができる。
以下、本発明の実施形態に係る高圧放電ランプについて図1乃至図8を参照して説明する。まず、図1において、高圧放電ランプ1は、ショートアーク型の高圧放電ランプであり、透光性の石英ガラスからなる気密容器である発光管2と、この発光管2内に対向して配置された一対の電極3a、3bとを備えている。発光管2は、回転楕円体形状に成形されており、内部に放電空間4が形成され、長手方向の両側に一体に延出する封止部5a、5bを有している。
この封止部5a、5bには、一対の電極3a、3bが封装されており、内部にモリブデン箔からなる封着金属箔6a、6bが気密に埋設されている。一対の電極3a、3bは、タングステンからなり、電極3aは、陽極として機能し、電極3bは、陰極として機能するようになっている。本実施形態では、直流で作動するように構成されているので、陽極として機能する電極3aは、温度上昇が激しくなるため、陰極として機能する電極3bよりも放熱面積が大きくなるように先端部分が太く形成されている。
そして、一対の電極3a、3bは、その基端部が封着金属箔6a、6bにそれぞれ溶接され、先端部側が発光管2の放電空間4内に露出して離間対向して封装され、電極間距離が3mm以下、好ましくは、1.0mm〜1.5mmになるように設定されている。また、封着金属箔6a、6bの他端には、ランプ1への電力を供給する図示しないニッケル製の導入線が溶接されている。
続いて、発光管2の放電空間4内には、発光に寄与する金属ハロゲン化物と、希ガスとを含む放電媒体が封入されている。この放電媒体には、本質的に水銀は含まれていない。金属ハロゲン化物としては、例えば、沃化スカンジウム、沃化インジウム、沃化ナトリウム等の複数種のハロゲン化物が適量用いられる。
希ガスには、キセノン(Xe)を主として、キセノン(Xe)より熱伝導率が高い他の種類のガスとの混合ガスが用いられる。他の種類の希ガスとしては、アルゴン(Ar)又はクリプトン(Kr)を用いるのが好ましく、これらの単一又は双方であってもよく、この場合、混合ガスとしては、キセノン(Xe)とアルゴン(Ar)、キセノン(Xe)とクリプトン(Kr)、キセノン(Xe)とアルゴン(Ar)とクリプトン(Kr)の組合せが成立する。因みに、キセノン(Xe)の熱伝導率は、0.00569w/(m・k)であり、アルゴン(Ar)は、0.01772w/(m・k)、クリプトン(Kr)は、0.00949w/(m・k)である。このような希ガスにおいて、後述するように、放電空間4内には、キセノン(Xe)と他の種類のガスとの分圧比が所定の値に調整され封入されている。
一方、放電空間4内の希ガスの封入圧力(全圧)は、常温において30気圧以上になるように封入されている。このように封入圧力を高めることにより、ランプ電圧が高くなり、ランプ電流を低減できる。したがって、同一のランプ電流に対してランプ入力を大きくして光速の立ち上がり特性を向上させることができる。
次に、このような高圧放電ランプ1を構成するにあたり、実験し、評価分析した結果について図2乃至図8を参照して説明する。実験は、希ガスにおける混合ガスの分圧比に起因する初期のスクリーン照度、ランプ電圧、スクリーン照度維持率を測定し特性を評価するものである。
ランプは、発光管内に微量の金属ハロゲン化物と、希ガスとしてキセノン(Xe)を主に、これにアルゴン(Ar)又はクリプトン(Kr)を混合して封入した2種類を用意した。すなわち、希ガスとしては、キセノン(Xe)+アルゴン(Ar)、キセノン(Xe)+クリプトン(Kr)の2種類である。さらに、希ガスの封入圧力(全圧)をそれぞれ35気圧、40気圧、45気圧とし、かつキセノン(Xe)とアルゴン(Ar)、クリプトン(Kr)との混合比(分圧比)を変えたランプを作製し試料とした。また、特性の基準には、発光管内にキセノン(Xe)のみの単一ガスを35気圧で封入した既存のランプを用いた。
加えて、ランプの電極間距離は、1.0mm〜1.5mmであり、このランプをプロジェクタ用のリフレクタ内に固定し、直流で点灯する方式とした。
[初期照度特性1 キセノン(Xe)+アルゴン(Ar)]
図2に示すように、キセノン(Xe)にアルゴン(Ar)を混合し、その封入圧力と混合比がスクリーン照度に及ぼす影響を調べたものである。図中、横軸は、キセノン(Xe)100%封入を0とするアルゴン(Ar)の混合比を示し、縦軸は、キセノン(Xe)100%、35気圧封入の場合の初期照度を100としたときの相対照度を示している。したがって、図から分るように、例えば、キセノン(Xe)100%、35気圧封入の場合の照度を基準に80%の照度を確保するには、全圧が35気圧の場合は、その混合比、キセノン(Xe):アルゴン(Ar)は、8:2、全圧が40気圧の場合は、7:3、全圧が45気圧の場合は、6:4となる。また、他方の面からみると、キセノン(Xe)とアルゴン(Ar)との混合比が例えば、8:2の場合は、全圧が35気圧のときは、照度80%、全圧が40気圧のときは、照度90%、全圧が45気圧のときは、照度95%となる。
図2に示すように、キセノン(Xe)にアルゴン(Ar)を混合し、その封入圧力と混合比がスクリーン照度に及ぼす影響を調べたものである。図中、横軸は、キセノン(Xe)100%封入を0とするアルゴン(Ar)の混合比を示し、縦軸は、キセノン(Xe)100%、35気圧封入の場合の初期照度を100としたときの相対照度を示している。したがって、図から分るように、例えば、キセノン(Xe)100%、35気圧封入の場合の照度を基準に80%の照度を確保するには、全圧が35気圧の場合は、その混合比、キセノン(Xe):アルゴン(Ar)は、8:2、全圧が40気圧の場合は、7:3、全圧が45気圧の場合は、6:4となる。また、他方の面からみると、キセノン(Xe)とアルゴン(Ar)との混合比が例えば、8:2の場合は、全圧が35気圧のときは、照度80%、全圧が40気圧のときは、照度90%、全圧が45気圧のときは、照度95%となる。
[初期照度特性2 キセノン(Xe)+クリプトン(Kr)]
図3に示すように、キセノン(Xe)にクリプトン(Kr)を混合し、その封入圧力と混合比がスクリーン照度に及ぼす影響を調べたものである。前記初期照度特性1と同様に、例えば、80%の照度を確保するには、全圧が35気圧の場合は、その混合比、キセノン(Xe):クリプトン(Kr)は、7:3、全圧が40気圧の場合は、6:4、全圧が45気圧の場合は、5:4となる。また、他方の面からみると、キセノン(Xe)とクリプトン(Kr)との混合比が例えば、7:3の場合は、全圧が35気圧のときは、照度80%、全圧が40気圧のときは、照度85%、全圧が45気圧のときは、照度90%となる。
図3に示すように、キセノン(Xe)にクリプトン(Kr)を混合し、その封入圧力と混合比がスクリーン照度に及ぼす影響を調べたものである。前記初期照度特性1と同様に、例えば、80%の照度を確保するには、全圧が35気圧の場合は、その混合比、キセノン(Xe):クリプトン(Kr)は、7:3、全圧が40気圧の場合は、6:4、全圧が45気圧の場合は、5:4となる。また、他方の面からみると、キセノン(Xe)とクリプトン(Kr)との混合比が例えば、7:3の場合は、全圧が35気圧のときは、照度80%、全圧が40気圧のときは、照度85%、全圧が45気圧のときは、照度90%となる。
[ランプ電圧特性1 キセノン(Xe)+アルゴン(Ar)]
図4に示すように、キセノン(Xe)にアルゴン(Ar)を混合し、その封入圧力と混合比がランプ電圧に及ぼす影響を調べたものである。図中、横軸は、キセノン(Xe)100%封入を0とするアルゴン(Ar)の混合比を示し、縦軸は、キセノン(Xe)100%、35気圧封入の場合のランプ電圧を100としたときの相対電圧を示している。この測定結果から、希ガスの封入圧力(全圧)が高くなれば電圧は上昇するが、キセノン(Xe)とアルゴン(Ar)との混合比によっては電圧の低下は少ないことが分かる。
図4に示すように、キセノン(Xe)にアルゴン(Ar)を混合し、その封入圧力と混合比がランプ電圧に及ぼす影響を調べたものである。図中、横軸は、キセノン(Xe)100%封入を0とするアルゴン(Ar)の混合比を示し、縦軸は、キセノン(Xe)100%、35気圧封入の場合のランプ電圧を100としたときの相対電圧を示している。この測定結果から、希ガスの封入圧力(全圧)が高くなれば電圧は上昇するが、キセノン(Xe)とアルゴン(Ar)との混合比によっては電圧の低下は少ないことが分かる。
[ランプ電圧特性2 キセノン(Xe)+クリプトン(Kr)]
図5に示すように、キセノン(Xe)にクリプトン(Kr)を混合し、その封入圧力と混合比がランプ電圧に及ぼす影響を調べたものである。前記ランプ電圧特性1と同様に、希ガスの封入圧力(全圧)が高くなれば電圧は上昇するが、キセノン(Xe)とクリプトン(Kr)との混合比によっては電圧の低下は少ないことが分かる。
図5に示すように、キセノン(Xe)にクリプトン(Kr)を混合し、その封入圧力と混合比がランプ電圧に及ぼす影響を調べたものである。前記ランプ電圧特性1と同様に、希ガスの封入圧力(全圧)が高くなれば電圧は上昇するが、キセノン(Xe)とクリプトン(Kr)との混合比によっては電圧の低下は少ないことが分かる。
以上の測定結果から、希ガスとしてキセノン(Xe)のみの単一ガスを用いる場合と比較して、キセノン(Xe)にアルゴン(Ar)又はクリプトン(Kr)を混合して封入する場合は、ランプ電圧の低下は少ないが、混合比によって初期のスクリーン照度がかなり低下することが判明した。これは、キセノン(Xe)よりアルゴン(Ar)、クリプトン(Kr)の熱伝導率が高いこと及びこれらの発光スペクトルの相違に起因するものと推測される。
なお、上記の測定を希ガスの封入圧力(全圧)をより高める条件で行ったところ、100気圧まで封入圧力を高めることは可能であったが、それ以上封入圧力を高くすることは既存の装置では困難であった。また、50気圧以上の希ガスを封入すると、点灯初期における発光管の破壊頻度が高まる問題が発生する。したがって、希ガスの封入圧力を100気圧以下として混合ガスの分圧比を調整するのが好適である。
[照度維持率1 キセノン(Xe)+アルゴン(Ar)]
次に、図6に示すように、上記キセノン(Xe)にアルゴン(Ar)を混合したランプについて、その封入圧力と混合比がランプ寿命に及ぼす影響を調べたものであり、2000時間点灯経過後のランプのスクリーン照度維持率を測定したものである。図中、横軸は、キセノン(Xe)100%封入を0とするアルゴン(Ar)の混合比を示し、縦軸は、照度維持率を示している。図から分かるように、アルゴン(Ar)の混合比が高まるほど照度維持率が向上している。
次に、図6に示すように、上記キセノン(Xe)にアルゴン(Ar)を混合したランプについて、その封入圧力と混合比がランプ寿命に及ぼす影響を調べたものであり、2000時間点灯経過後のランプのスクリーン照度維持率を測定したものである。図中、横軸は、キセノン(Xe)100%封入を0とするアルゴン(Ar)の混合比を示し、縦軸は、照度維持率を示している。図から分かるように、アルゴン(Ar)の混合比が高まるほど照度維持率が向上している。
[照度維持率2 キセノン(Xe)+クリプトン(Kr)]
図7に示すように、上記キセノン(Xe)にクリプトン(Kr)を混合したランプについて、その封入圧力と混合比がランプ寿命に及ぼす影響を調べたものであり、2000時間点灯経過後のランプのスクリーン照度維持率を測定したものである。図中、横軸は、キセノン(Xe)100%封入を0とするクリプトン(Kr)混合比を示し、縦軸は、照度維持率を示している。前記照度維持率1と同様に、クリプトン(Kr)の混合比が高まるほど照度維持率が向上していることが分かる。
図7に示すように、上記キセノン(Xe)にクリプトン(Kr)を混合したランプについて、その封入圧力と混合比がランプ寿命に及ぼす影響を調べたものであり、2000時間点灯経過後のランプのスクリーン照度維持率を測定したものである。図中、横軸は、キセノン(Xe)100%封入を0とするクリプトン(Kr)混合比を示し、縦軸は、照度維持率を示している。前記照度維持率1と同様に、クリプトン(Kr)の混合比が高まるほど照度維持率が向上していることが分かる。
以上のように、発光管内にキセノン(Xe)と、熱伝導率が高いアルゴン(Ar)又はクリプトン(Kr)とを混合して封入することにより、照度維持率が向上して寿命特性は改善されるものの、初期照度が低下する傾向がある。これは、アルゴン(Ar)又はクリプトン(Kr)の熱伝導率により、発光管の過剰な温度上昇が抑制され、電極の動作温度が低下し、電極の消耗が抑制されるためであると推測される。したがって、発光管内に封入される希ガスのうち、キセノン(Xe)と熱伝導率が高い他の種類のガスとの混合ガスの分圧比を調整することにより、所定の初期照度を確保しつつ、長寿命化を実現できるランプが得られるものと考えられる。
そこで、図2及び図3に示された初期照度特性に従い、初期照度の目標を70%〜90%に設定した場合、そのために必要な希ガスの封入圧力(全圧)PTotalとその場合のキセノン(Xe)に対するアルゴン(Ar)又はクリプトン(Kr)の混合比PXe:PAr、PXe:PKrとをまとめると下表のとおりとなる。
この表からして所定の初期照度の目標を70%に設定するには、キセノン(Xe)とアルゴン(Ar)との混合では、35気圧の場合にはPXe:PArは、6:4であり、同様に、キセノン(Xe)とクリプトン(Kr)との混合でも、PXe:PKrは、6:4である。したがって、30気圧以上の封入圧力(全圧)PTotalに対しキセノン(Xe)を少なくとも60%以上の分圧比で封入すれば、凡そ初期照度70%を確保し得ると考えられる。これは、キセノン(Xe)と、アルゴン(Ar)、クリプトン(Kr)の双方の混合ガスの場合も同様と推定できる。
さらに、より初期照度を向上するため初期照度の目標を80%に設定するには、キセノン(Xe)とアルゴン(Ar)との混合では、35気圧の場合にはPXe:PArは、8:2であり、同様に、キセノン(Xe)とクリプトン(Kr)との混合では、PXe:PKrは、7:3である。したがって、30気圧以上の封入圧力(全圧)PTotalに対しキセノン(Xe)を少なくとも80%以上の分圧比で封入すれば、凡そ初期照度80%を確保し得ると考えられる。同じく、キセノン(Xe)と、アルゴン(Ar)、クリプトン(Kr)の双方の混合ガスの場合も同様と推定できる。
さらにまた、最適値として初期照度の目標を90%に設定するには、同様に、30気圧以上の封入圧力(全圧)PTotalに対しキセノン(Xe)を少なくとも90%以上の分圧比で封入すれば、凡そ初期照度90%を確保し得ると考えられる。キセノン(Xe)と、アルゴン(Ar)、クリプトン(Kr)の双方の混合ガスの場合も同様と推定できる。
次に、図8においては、80%以上の初期照度を得るのに必要なアルゴン(Ar)又はクリプトン(Kr)に対するキセノン(Xe)の分圧比と希ガスの封入圧力(全圧)との関係をアルゴン(Ar)及びクリプトン(Kr)についてまとめた結果を示すものである。 図中、横軸は、アルゴン(Ar)又はクリプトン(Kr)に対するキセノン(Xe)の混合比(PXe/Pg)を示し、縦軸は、希ガスの封入圧力(全圧)を示している。そして、グラフは、封入圧力(全圧)35気圧、40気圧、45気圧における80%の初期照度を得る混合比をそれぞれプロットし、近似直線として表したものである。
キセノン(Xe)とアルゴン(Ar)との混合では、その近似直線は、y=−3.8571x+50.071でその傾きを−3.8571とする一次関数で表すことができる。また、キセノン(Xe)とクリプトン(Kr)との混合では、その近似直線は、y=−7.3469x+51.837でその傾きを−7.3469とする一次関数で表すことができる。
この結果から、これら一次関数の数式よりも大きい希ガスの封入圧力(全圧)が得られる関係であれば、80%以上の初期照度を得ることが可能であることが分かる。
以上の知見より、初期のスクリーン照度を80%以上とし、寿命特性を改善させる場合、希ガスの封入圧力(全圧)の変動による望ましい設計は以下の仕様となる。
(1) 封入される希ガスに主としてキセノン(Xe)を用い、これにアルゴン(Ar)又はクリプトン(Kr)を混合すること。
(2) 希ガスの封入圧力(全圧)が30気圧以上であること。
(3) 希ガスの封入圧力(全圧)をPTotal(atm)とする場合、封入されるキセノン(Xe)の分圧PXe(atm)とアルゴン(Ar)の分圧PAr(atm)比PXe/PAr及びキセノン(Xe)の分圧PXe(atm)とクリプトン(Kr)の分圧PKr(atm)比PXe/PKrが以下の[数式1]、[数式2]の関係を有すること。但し、[数式1]は、アルゴン(Ar)を混合する場合、[数式2]は、クリプトン(Kr)を混合する場合に成立する関係である。
[数式1]
PTotal≧−3.86(PXe/PAr)+50.1
[数式2]
PTotal≧−7.35(PXe/PKr)+51.8
(2) 希ガスの封入圧力(全圧)が30気圧以上であること。
(3) 希ガスの封入圧力(全圧)をPTotal(atm)とする場合、封入されるキセノン(Xe)の分圧PXe(atm)とアルゴン(Ar)の分圧PAr(atm)比PXe/PAr及びキセノン(Xe)の分圧PXe(atm)とクリプトン(Kr)の分圧PKr(atm)比PXe/PKrが以下の[数式1]、[数式2]の関係を有すること。但し、[数式1]は、アルゴン(Ar)を混合する場合、[数式2]は、クリプトン(Kr)を混合する場合に成立する関係である。
[数式1]
PTotal≧−3.86(PXe/PAr)+50.1
[数式2]
PTotal≧−7.35(PXe/PKr)+51.8
以上のように本実施形態によれば、発光管に封入する希ガスにおいて、主としてキセノン(Xe)を用い、これにアルゴン(Ar)又はクリプトン(Kr)の分圧比を調整して混合することにより、水銀を封入することなく、所定の初期照度を確保しつつ、長寿命化を実現できる高圧放電ランプを提供することが可能となる。
次に、本発明の実施形態に係る投光装置及び照明装置について図9及び図10を参照して説明する。
図9は、上記高圧放電ランプとリフレクタとを組み合わせた投光装置10を示している。リフレクタ11はガラス又はアルミニウム等の金属からなり、回転曲面の内面に反射特性に優れたTiO2 −SiO2 等の蒸着膜からなる反射面12を有している。このリフレクタ11の前面投光部、つまり開口部は開口径が90〜130mm程度に形成されており、背部の頂部には支持筒部13が設けられている。この支持筒部13には前記ランプ1の口金14部分が、絶縁セメント等の接着剤15により固着されている。これにより、ランプ1は、ランプ1のランプ軸がリフレクタ11の中心軸と略一致するようにしてリフレクタ11に取着されている。
なお、リフレクタ11には導入孔が形成され、この導入孔にランプ1の導入線が貫通して背面側に導かれている。このようなランプ1は、口金14と導入線がAC−DC変換器等を含みランプの点灯を制御する点灯装置16に接続されており、150W〜350Wの直流電力が投入されるようになっている。
投光装置10は、照明装置として例えば、図10に示されるようなカラー液晶プロジェクタ装置20に用いられる。このカラー液晶プロジェクタ装置20内には、前記投光装置10と、液晶表示パネル21と、投光レンズ22とが配設されており、また、点灯装置16及び液晶駆動装置23が設けられている。そして、点灯装置16及び液晶駆動装置23は商用交流電源24に接続されている。
このように構成されたプロジェクタ装置20に電源を投入しランプ1を点灯すると、ランプ1から出射された光はリフレクタ11により反射されて液晶表示パネル21に照射される。この液晶表示パネル21には各画素に対応して光の三原色であるRGBのカラーフィルタが設けられており、このカラーフィルタが液晶駆動装置23により制御されるようになっている。そして、液晶表示パネル21を透過した光は、カラーフィルタにより着色され、この着色された光が投光レンズ22を介してスクリーン25に投影される。したがって、スクリーン25上には液晶表示パネル21で制御された画像のカラー映像が投影されるようになる。
なお、本発明は、上記各実施形態の構成に限定されることなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。例えば、本発明の高圧放電ランプは、液晶プロジェクタ装置に限らず、自動車用前照灯、表示灯、屋外又は屋内用の各種照明器具等に適用可能であり、用途が格別限定されるものではない。
1・・・高圧放電ランプ、2・・・気密容器(発光管)、3a、3b・・・電極、
10・・・投光装置、11・・・リフレクタ、
20・・・照明装置(液晶プロジェクタ装置)
10・・・投光装置、11・・・リフレクタ、
20・・・照明装置(液晶プロジェクタ装置)
Claims (5)
- 透光性の気密容器と、
この気密容器内に対向して配置された電極と、
前記気密容器内に封入され、金属ハロゲン化物及び希ガスを含み、希ガスは、キセノン(Xe)と、キセノン(Xe)より熱伝導率が高い他の種類のガスとの混合からなり、希ガスの全圧が30気圧以上であって、この全圧に対しキセノン(Xe)の分圧比が60%以上であるとともに、水銀を本質的に含まない放電媒体と、
を具備することを特徴とする高圧放電ランプ。 - 透光性の気密容器と、
この気密容器内に対向して配置された電極と、
前記気密容器内に封入され、金属ハロゲン化物及び希ガスを含み、希ガスは、キセノン(Xe)とアルゴン(Ar)との混合からなり、希ガスの全圧が30気圧以上であって、水銀を本質的に含まない放電媒体とを具備し、
希ガスの全圧をPTotal(atm)とし、キセノン(Xe)の分圧をPXe(atm)とし、アルゴン(Ar)の分圧をPAr(atm)としたとき、以下の式を満足することを特徴とする高圧放電ランプ。
PTotal≧−3.86(PXe/PAr)+50.1 - 透光性の気密容器と、
この気密容器内に対向して配置された電極と、
前記気密容器内に封入され、金属ハロゲン化物及び希ガスを含み、希ガスは、キセノン(Xe)とクリプトン(Kr)との混合からなり、希ガスの全圧が30気圧以上であって、水銀を本質的に含まない放電媒体とを具備し、
希ガスの全圧をPTotal(atm)とし、キセノン(Xe)の分圧をPXe(atm)とし、クリプトン(Kr)の分圧をPKr(atm)としたとき、以下の式を満足することを特徴とする高圧放電ランプ。
PTotal≧−7.35(PXe/PKr)+51.8 - 請求項1乃至請求項3のいずれか一に記載の高圧放電ランプと、
このランプから出射される光を反射するリフレクタと、
を具備することを特徴とする投光装置。 - 装置本体と、
この装置本体に設けられた請求項1乃至請求項3のいずれか一に記載の高圧放電ランプと、
を具備することを特徴とする照明装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2009161793A JP2011018524A (ja) | 2009-07-08 | 2009-07-08 | 高圧放電ランプ、投光装置及び照明装置 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN104465312A (zh) * | 2014-11-27 | 2015-03-25 | 武汉钢铁(集团)公司 | 氙气大灯泡用填充气体 |
-
2009
- 2009-07-08 JP JP2009161793A patent/JP2011018524A/ja active Pending
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