JPH069603A - ビタミンcの安定化法 - Google Patents

ビタミンcの安定化法

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JPH069603A
JPH069603A JP3201189A JP20118991A JPH069603A JP H069603 A JPH069603 A JP H069603A JP 3201189 A JP3201189 A JP 3201189A JP 20118991 A JP20118991 A JP 20118991A JP H069603 A JPH069603 A JP H069603A
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acid
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ascorbic acid
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治 稲波
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 ビタミンCにクロロゲン酸を配合することに
よって、ビタミンCの耐熱性、耐光性、耐酸化性を向上
させる。 【構成】 L−アスコルビン酸及びその誘導体を包含す
るビタミンCに、コーヒー豆等から得られるクロロゲン
酸を約4〜約40重量%配合することによりビタミンC
を安定化する。飲食品、医薬品及び香粧品などに利用す
ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はビタミンC(L−アスコ
ルビン酸及びその誘導体)を安定化する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ビタミンCは抗壊血病因子としてのみな
らず、例えばコラーゲン合成への関与、脂質代謝と生体
異物や老化との関係、また、大量投与による免疫機能増
強作用、抗ウイルス作用、さらには抗腫瘍作用等も提唱
され医薬品として極めて重要な化合物である一方、香粧
品、飲食品の強化栄養物として又は油脂、食品の保存、
品質保持向上剤としての利用が急速に増加し、近年では
国内生産量の約半分近くが食品添加物として使われてい
る。しかしながらビタミンCの2位及び3位の水酸基は
エンジオール基であるので、水素をたやすく受け渡すこ
とができ、そのために水溶液中のビタミンCは大気中の
酸素や酸化剤などによって容易に酸化されてデヒドロア
スコルビン酸となる。さらに熱や紫外線光又は銅や鉄な
どの微量の金属によって酸化反応が促進されついには種
々の不活性物質が形成されてビタミンCの生理活性が失
われるに至る。
【0003】従来かかる不安定なビタミンCの安定化に
関する提案も幾つかなされており、例えば低級アルコー
ルと二酸化炭素との作用物を添加するビタミンCの安定
化法(特公昭41−6595号公報)、揮発性脂肪酸エ
ステルを添加することを特徴とするビタミンCの安定化
法(特公昭41−6596号公報)、薬効を奏しない量
のグルタチオンを含有せしめた着色変化のない安定なビ
タミンC含有組成物の製造法(特公昭46−9358号
公報)、ニンニクの酸性有機溶媒による抽出液を亜酸化
銅で処理して生じた沈殿物を水中で硫化水素により脱
銅、次いで残留硫化水素及び水を脱く処理を行うアスコ
ルビン酸安定化能を有するニンニクの抽出エキスの製造
法(特公昭54−40604号公報)、アスコルビン酸
及びその誘導体にウロカニン酸、ウロカニン酸アルキル
エステルからなる群から選ばれた少なくとも一つを配合
するアスコルビン酸及びその誘導体の安定化法(特公昭
57−49550号公報)、環状トリメタリン酸を有効
成分として含有するL−アスコルビン酸用安定化剤(特
公昭59−32468号公報)、平均分子量400〜50000
のタン白分解ペプタイドを含有する劣化防止されたビタ
ミンC含有飲食物(特公昭62−9296号公報)及び
アスコルビン酸又はその誘導体と、組成物全量に対して
0.1〜5重量%の炭素数6〜10のジカルボン酸を配
合した皮膚外用剤、美白化粧料、ドリンク剤等の水系組
成物(特公昭62−45202号公報)等が開示されて
いる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】前記のごとき従来提案
は、いずれもビタミンCに対する安定化効果が不充分で
あり、例えばニンニク抽出エキスはビタミンC含有飲食
品に対して約1〜5重量%、またペプタイドにあっても
約500〜3000ppm の如き多量の添加が必要であ
る。その結果、それ自体に強い香気香味を有するものは
添加量及び用途に著しい制約があり安定化効果を充分に
発揮できず、また市場に潤沢に流通していないか価格的
に高価なもの、更には食品添加物として許可されていな
い等の種々の課題があり必ずしも満足できるものではな
い。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記のご
とき従来提案の欠点を解決すべく鋭意研究した。その結
果、コーヒー豆等から安価且つ容易に得られるクロロゲ
ン酸がビタミンCの安定化に著しい効果があることを見
いだした。しかも該クロロゲン酸は安全性にも全く問題
がなく、前記のごとき従来提案が抱えていた課題が一挙
に解決されることが分かった。従って本発明の目的は、
飲食品、医薬品及び香粧品等の広い分野において使用さ
れるビタミンCにクロロゲン酸を配合することによって
耐熱、耐光、耐酸化に対して卓越した効果を有し工業的
に極めて有利にビタミンCを安定化する方法を提供する
にある。以下、本発明の態様について具体的に説明す
る。
【0006】本発明でいうビタミンCとはL−アスコル
ビン酸及びその誘導体を意味する。誘導体の具体例とし
ては、例えばアスコルビン酸モノステアレート、アスコ
ルビン酸モノパルミテート、アスコルビン酸モノオレエ
ート、アスコルビン酸モノ燐酸エステルのようなアスコ
ルビン酸のモノエステル誘導体、アスコルビン酸ジステ
アレート、アスコルビン酸ジパルミテート、アスコルビ
ン酸ジオレート、アスコルビン酸ジ燐酸エステル等のア
スコルビン酸ジエステル誘導体、アスコルビン酸3燐酸
エステル等のアスコルビン酸トリエステル誘導体及び6
−ステアロイルアスコルビン酸、6−パルミトイルアス
コルビン酸等のアシル誘導体等のアスコルビン酸活性誘
導体を挙げることができる。
【0007】また本発明において利用することのできる
クロロゲン酸(3−カフェイルキナ酸)としては、例え
ば化学合成品であってもよいが、天然物起源のクロロゲ
ン酸を好ましく挙げることができる。かかる天然クロロ
ゲン酸は、例えばコーヒー豆中にクロロゲン酸カリウム
カフェインの形で含有され、微量にはタバコ葉、サツマ
イモ、ナシ葉、リンゴ果肉その他広く植物中に分布す
る。本発明で利用するクロロゲン酸は必ずしも純品であ
る必要はないが、少なくともビタミンC又はビタミンC
を配合した飲食品、医薬品、香粧品などに着色または香
気香味の変調等の不都合な影響を与えない程度にまで精
製されているものが好ましい。
【0008】かかる精製クロロゲン酸としては、例えば
本発明と同一出願人の出願による「精製クロロゲン酸の
製法」(特願平2−265201号)及び「精製クロロ
ゲン酸の製造方法」(特願平2−265202号)に開
示されている方法によって得られる如き精製クロロゲン
酸を好ましく挙げることができる。その概要を示せば、
例えば前者の方法はコーヒー生豆を含水率約5重量%以
上、好ましくは含水率約5〜約90重量%のメタノー
ル、エタノール、2−プロパノール、アセトン、メチル
エチルケトン等の含水水混和性有機溶媒を、コーヒー生
豆粉砕物1重量部に対して約2〜約50重量部を使用し、
温度約20〜約80℃にて抽出し、得られた抽出液を水抽出
の場合はそのまま、また含水水混和性有機溶媒抽出液の
場合は、蒸留などの手段によって該有機溶媒の含有量
を、例えば約5重量%以下とした後、例えばスチレン・
ジビニルベンゼン系多孔性重合樹脂又はメチアクリル酸
系合成吸着剤と接触処理することによってコーヒー生豆
抽出液中のクロロゲン酸及びその同族体、カフェイン及
びトリゴネリン等の抽出成分を該吸着剤に吸着せしめ、
次いで、該合成樹脂吸着剤を稀アルカリ水溶液で脱着処
理するとにより、クロロゲン酸及びその同族体を選択的
に溶出せしめ、カフェイン等の不要な成分を排除した純
度の高いクロロゲン酸を得ることができる。
【0009】また後者の方法によれば、上記と同様にし
て得られたコーヒー生豆の抽出液を陽イオン交換樹脂と
接触処理することによってコーヒー生豆抽出液中のカフ
ェインがほぼ完全に該樹脂に吸着除去され、高純度のク
ロロゲン酸を含有する抽出液を得ることができる。
【0010】本発明におけるクロロゲン酸とビタミンC
の配合に当たっては、固体、液体何れでもよいが配合系
の状態に応じて均一に溶解、分散又は混和するよう適宜
な方法を選択すれば良い。またその場合のクロロゲン酸
の添加量は比較的幅広く選択することができるが、一般
的にはビタミンCに対して約1重量%以上であり、好ま
しくは約4〜約40重量%、更に好ましくは約8〜約2
0重量%である。また例えばビタミンCの含有飲食品を
例にとれば、約10〜100ppm 程度の範囲がしばしば
採用される。添加量が10ppm 未満では安定化効果が不
充分であり、また100ppm 以上添加しても効果が増す
訳でもないので無駄である。本発明においては、所望に
よりクロロゲン酸に加えて従来既知の劣化防止剤、協力
剤又は還元剤、例えばカフェー酸、フェルラ酸、ルチ
ン、ケルセチン等を配合することもできるが、その場合
の添加量も総量で上記と同程度で充分である。ある。配
合に当たっては、固体、液体いずれでもよいが配合系の
状態に応じて均一に溶解、分散或いは混和するよう適宜
な方法を採用すればよい。
【0011】以下の図1及び図2は、本発明のクロロゲ
ン酸によるビタミンCの耐光性を示した図である。
【0012】
【図1】
【0013】
【図2】 以下、参考例、実施例により本発明のビタミンC安定化
方法を更に詳しく説明する。
【0014】
【参考例1】コーヒー生豆粉砕物600gに70%メタ
ノール2400gを加えて65℃で3時間撹拌抽出し
た。冷却後固・液分離を行い、抽出液を減圧濃縮してメ
タノールを除去した。得られた濃縮物に食塩100g及
び水を加えて総量1000gに調整した。この溶液を、
合成吸着剤(SP−207)400mlを充填したカラム
にSV=1.0で通液して抽出物を吸着させた。引き続
きカラムに水を流して洗浄後、60%エタノール水溶液
800gをSV=1.0で流しクロロゲン酸類を溶離さ
せた。得られた溶出液を減圧乾燥して精製クロロゲン酸
33gを得た。
【0015】
【参考例2】コーヒー生豆200gに70%エタノール
1000gを加え、75℃で3時間撹拌抽出した。冷却
後、固・液分離を行い、分離した抽出液を陽イオン交換
樹脂(SK−1B)250mlを充填したカラムにSV
=1.0で通液してカフェインを吸着除去した。溶出液
を減圧乾固して本発明の精製クロロゲン酸28gを得
た。
【0016】
【実施例1】ビタミンC0.25g、クエン酸1.5
g、クエン酸ナトリウム0.17g及び果糖ブドウ糖液
糖160gを脱塩素水に溶解し全量を1lとした。この
酸シロップ(pH3.0)に参考例1、参考例2で得ら
れた精製クロロゲン酸及び合成クロロゲン酸試薬特級の
所定量を添加して35℃に保存し、15時間後及び30
時間後のビタミンCの残存率を求めた。なおビタミンC
の定量は高速液体クロマトグラフィーを用いて行った。
その結果を表1に示す。
【0017】
【表1】
【0018】
【実施例2】実施例1と同じ酸シロップに参考例1で得
られた精製クロロゲン酸又は合成クロロゲン酸の所定量
を添加し、95℃で30秒間殺菌後200mlの透明ガ
ラス瓶にホットパックした。この試料を日光照射1週間
(照射エネルギー1700langley)及び50℃で1ケ
月間保存(遮光)の虐待試験を行いそれぞれのビタミン
Cの残存率を求めた。その結果を表2に示す。
【0019】
【表2】
【0020】
【発明の効果】本発明によれば、ビタミンCにクロロゲ
ン酸を配合することによって耐熱、耐光、耐酸化等の卓
越した安定化効果が提供される。本発明に係るクロロゲ
ン酸は従来ビタミンCの安定化剤として使用されている
システインやグルタチオンのように異臭の発生の虞れが
なく人体及びその生理作用に何ら悪影響を及ぼさない。
従ってビタミンC含有食品、飲料、栄養ドリンク、医薬
品、香粧品などの広い用途にビタミンCの着色、活性低
下防止方法として利用することができる。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成4年7月10日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 ビタミンCの安定化法
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はビタミンC(L−アスコ
ルビン酸及びその誘導体)を安定化する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ビタミンCは抗壊血病因子としてのみな
らず、例えばコラーゲン合成への関与、脂質代謝と生体
異物や老化との関係、また、大量投与による免疫機能増
強作用、抗ウイルス作用、さらには抗腫瘍作用等も提唱
され医薬品として極めて重要な化合物である一方、香粧
品、飲食品の強化栄養物として又は油脂、食品の保存、
品質保持向上剤としての利用が急速に増加し、近年では
国内生産量の約半分近くが食品添加物として使われてい
る。しかしながらビタミンCの2位及び3位の水酸基は
エンジオール基であるので、水素をたやすく受け渡すこ
とができ、そのために水溶液中のビタミンCは大気中の
酸素や酸化剤などによって容易に酸化されてデヒドロア
スコルビン酸となる。さらに熱や紫外線光又は銅や鉄な
どの微量の金属によって酸化反応が促進されついには種
々の不活性物質が形成されてビタミンCの生理活性が失
われるに至る。
【0003】従来かかる不安定なビタミンCの安定化に
関する提案も幾つかなされており、例えば低級アルコー
ルと二酸化炭素との作用物を添加するビタミンCの安定
化法(特公昭41−6595号公報)、揮発性脂肪酸エ
ステルを添加することを特徴とするビタミンCの安定化
法(特公昭41−6596号公報)、薬効を奏しない量
のグルタチオンを含有せしめた着色変化のない安定なビ
タミンC含有組成物の製造法(特公昭46−9358号
公報)、ニンニクの酸性有機溶媒による抽出液を亜酸化
銅で処理して生じた沈殿物を水中で硫化水素により脱
銅、次いで残留硫化水素及び水を脱く処理を行うアスコ
ルビン酸安定化能を有するニンニクの抽出エキスの製造
法(特公昭54−40604号公報)、アスコルビン酸
及びその誘導体にウロカニン酸、ウロカニン酸アルキル
エステルからなる群から選ばれた少なくとも一つを配合
するアスコルビン酸及びその誘導体の安定化法(特公昭
57−49550号公報)、環状トリメタリン酸を有効
成分として含有するL−アスコルビン酸用安定化剤(特
公昭59−32468号公報)、平均分子量400〜50000
のタン白分解ペプタイドを含有する劣化防止されたビタ
ミンC含有飲食物(特公昭62−9296号公報)及び
アスコルビン酸又はその誘導体と、組成物全量に対して
0.1〜5重量%の炭素数6〜10のジカルボン酸を配
合した皮膚外用剤、美白化粧料、ドリンク剤等の水系組
成物(特公昭62−45202号公報)等が開示されて
いる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】前記のごとき従来提案
は、いずれもビタミンCに対する安定化効果が不充分で
あり、例えばニンニク抽出エキスはビタミンC含有飲食
品に対して約1〜5重量%、またペプタイドにあっても
約500〜3000ppm の如き多量の添加が必要であ
る。その結果、それ自体に強い香気香味を有するものは
添加量及び用途に著しい制約があり安定化効果を充分に
発揮できず、また市場に潤沢に流通していないか価格的
に高価なもの、更には食品添加物として許可されていな
い等の種々の課題があり必ずしも満足できるものではな
い。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記のご
とき従来提案の欠点を解決すべく鋭意研究した。その結
果、コーヒー豆等から安価且つ容易に得られるクロロゲ
ン酸がビタミンCの安定化に著しい効果があることを見
いだした。しかも該クロロゲン酸は安全性にも全く問題
がなく、前記のごとき従来提案が抱えていた課題が一挙
に解決されることが分かった。従って本発明の目的は、
飲食品、医薬品及び香粧品等の広い分野において使用さ
れるビタミンCにクロロゲン酸を配合することによって
耐熱、耐光、耐酸化に対して卓越した効果を有し工業的
に極めて有利にビタミンCを安定化する方法を提供する
にある。以下、本発明の態様について具体的に説明す
る。
【0006】本発明でいうビタミンCとはL−アスコル
ビン酸及びその誘導体を意味する。誘導体の具体例とし
ては、例えばアスコルビン酸モノステアレート、アスコ
ルビン酸モノパルミテート、アスコルビン酸モノオレエ
ート、アスコルビン酸モノ燐酸エステルのようなアスコ
ルビン酸のモノエステル誘導体、アスコルビン酸ジステ
アレート、アスコルビン酸ジパルミテート、アスコルビ
ン酸ジオレート、アスコルビン酸ジ燐酸エステル等のア
スコルビン酸ジエステル誘導体、アスコルビン酸3燐酸
エステル等のアスコルビン酸トリエステル誘導体及び6
−ステアロイルアスコルビン酸、6−パルミトイルアス
コルビン酸等のアシル誘導体等のアスコルビン酸活性誘
導体を挙げることができる。
【0007】また本発明において利用することのできる
クロロゲン酸(3−カフェイルキナ酸)としては、例え
ば化学合成品であってもよいが、天然物起源のクロロゲ
ン酸を好ましく挙げることができる。かかる天然クロロ
ゲン酸は、例えばコーヒー豆中にクロロゲン酸カリウム
カフェインの形で含有され、微量にはタバコ葉、サツマ
イモ、ナシ葉、リンゴ果肉その他広く植物中に分布す
る。本発明で利用するクロロゲン酸は必ずしも純品であ
る必要はないが、少なくともビタミンC又はビタミンC
を配合した飲食品、医薬品、香粧品などに着色または香
気香味の変調等の不都合な影響を与えない程度にまで精
製されているものが好ましい。
【0008】かかる精製クロロゲン酸としては、例えば
本発明と同一出願人の出願による「精製クロロゲン酸の
製法」(特願平2−265201号)及び「精製クロロ
ゲン酸の製造方法」(特願平2−265202号)に開
示されている方法によって得られる如き精製クロロゲン
酸を好ましく挙げることができる。その概要を示せば、
例えば前者の方法はコーヒー生豆を含水率約5重量%以
上、好ましくは含水率約5〜約90重量%のメタノー
ル、エタノール、2−プロパノール、アセトン、メチル
エチルケトン等の含水水混和性有機溶媒を、コーヒー生
豆粉砕物1重量部に対して約2〜約50重量部を使用し、
温度約20〜約80℃にて抽出し、得られた抽出液を水抽出
の場合はそのまま、また含水水混和性有機溶媒抽出液の
場合は、蒸留などの手段によって該有機溶媒の含有量
を、例えば約5重量%以下とした後、例えばスチレン・
ジビニルベンゼン系多孔性重合樹脂又はメチアクリル酸
系合成吸着剤と接触処理することによってコーヒー生豆
抽出液中のクロロゲン酸及びその同族体、カフェイン及
びトリゴネリン等の抽出成分を該吸着剤に吸着せしめ、
次いで、該合成樹脂吸着剤を稀アルカリ水溶液で脱着処
理するとにより、クロロゲン酸及びその同族体を選択的
に溶出せしめ、カフェイン等の不要な成分を排除した純
度の高いクロロゲン酸を得ることができる。
【0009】また後者の方法によれば、上記と同様にし
て得られたコーヒー生豆の抽出液を陽イオン交換樹脂と
接触処理することによってコーヒー生豆抽出液中のカフ
ェインがほぼ完全に該樹脂に吸着除去され、高純度のク
ロロゲン酸を含有する抽出液を得ることができる。
【0010】本発明におけるクロロゲン酸とビタミンC
の配合に当たっては、固体、液体何れでもよいが配合系
の状態に応じて均一に溶解、分散又は混和するよう適宜
な方法を選択すれば良い。またその場合のクロロゲン酸
の添加量は比較的幅広く選択することができるが、一般
的にはビタミンCに対して約1重量%以上であり、好ま
しくは約4〜約40重量%、更に好ましくは約8〜約2
0重量%である。また例えばビタミンCの含有飲食品を
例にとれば、約10〜100ppm 程度の範囲がしばしば
採用される。添加量が10ppm 未満では安定化効果が不
充分であり、また100ppm 以上添加しても効果が増す
訳でもないので無駄である。本発明においては、所望に
よりクロロゲン酸に加えて従来既知の劣化防止剤、協力
剤又は還元剤、例えばカフェー酸、フェルラ酸、ルチ
ン、ケルセチン等を配合することもできるが、その場合
の添加量も総量で上記と同程度で充分である。ある。配
合に当たっては、固体、液体いずれでもよいが配合系の
状態に応じて均一に溶解、分散或いは混和するよう適宜
な方法を採用すればよい。
【0011】以下、参考例、実施例により本発明のビタ
ミンC安定化方法を更に詳しく説明する。
【0012】
【参考例1】コーヒー生豆粉砕物600gに70%メタ
ノール2400gを加えて65℃で3時間撹拌抽出し
た。冷却後固・液分離を行い、抽出液を減圧濃縮してメ
タノールを除去した。得られた濃縮物に食塩100g及
び水を加えて総量1000gに調整した。この溶液を、
合成吸着剤(SP−207)400mlを充填したカラム
にSV=1.0で通液して抽出物を吸着させた。引き続
きカラムに水を流して洗浄後、60%エタノール水溶液
800gをSV=1.0で流しクロロゲン酸類を溶離さ
せた。得られた溶出液を減圧乾燥して精製クロロゲン酸
33gを得た。
【0013】
【参考例2】コーヒー生豆200gに70%エタノール
1000gを加え、75℃で3時間撹拌抽出した。冷却
後、固・液分離を行い、分離した抽出液を陽イオン交換
樹脂(SK−1B)250mlを充填したカラムにSV
=1.0で通液してカフェインを吸着除去した。溶出液
を減圧乾固して本発明の精製クロロゲン酸28gを得
た。
【0014】
【実施例1】ビタミンC0.25g、クエン酸1.5
g、クエン酸ナトリウム0.17g及び果糖ブドウ糖液
糖160gを脱塩素水に溶解し全量を1lとした。この
酸シロップ(pH3.0)に参考例1、参考例2で得ら
れた精製クロロゲン酸及び合成クロロゲン酸試薬特級の
所定量を添加して35℃に保存し、15時間後及び30
時間後のビタミンCの残存率を求めた。なおビタミンC
の定量は高速液体クロマトグラフィーを用いて行った。
その結果を表1に示す。
【0015】
【表1】
【0016】
【実施例2】実施例1と同じ酸シロップに参考例1で得
られた精製クロロゲン酸又は合成クロロゲン酸の所定量
を添加し、95℃で30秒間殺菌後200mlの透明ガ
ラス瓶にホットパックした。この試料を日光照射1週間
(照射エネルギー1700langley)及び50℃で1ケ
月間保存(遮光)の虐待試験を行いそれぞれのビタミン
Cの残存率を求めた。その結果を表2に示す。
【0017】
【表2】
【0018】
【発明の効果】本発明によれば、ビタミンCにクロロゲ
ン酸を配合することによって耐熱、耐光、耐酸化等の卓
越した安定化効果が提供される。本発明に係るクロロゲ
ン酸は従来ビタミンCの安定化剤として使用されている
システインやグルタチオンのように異臭の発生の虞れが
なく人体及びその生理作用に何ら悪影響を及ぼさない。
従ってビタミンC含有食品、飲料、栄養ドリンク、医薬
品、香粧品などの広い用途にビタミンCの着色、活性低
下防止方法として利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】クロロゲン酸の添加量及び日光照射時間とビタ
ミンCの耐光性の関係を示した図である。
【図2】クロロゲン酸の添加量を変えて5日間日光照射
を行った場合のビタミンCの劣化程度を示した図であ
る。
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】全図
【補正方法】追加
【補正内容】
【図1】
【図2】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C09K 15/08 // C07C 69/732 Z 9279−4H

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ビタミンCにクロロゲン酸を配合するこ
    とを特徴とするビタミンCの安定化法。
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