JPH0693985B2 - ポリイミド二層中空糸膜の製法 - Google Patents

ポリイミド二層中空糸膜の製法

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JPH0693985B2 JP32323988A JP32323988A JPH0693985B2 JP H0693985 B2 JPH0693985 B2 JP H0693985B2 JP 32323988 A JP32323988 A JP 32323988A JP 32323988 A JP32323988 A JP 32323988A JP H0693985 B2 JPH0693985 B2 JP H0693985B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は、同心円状の開口部を有する紡糸用ノズルか
ら、濃度などの異なる2種の芳香族ポリイミド溶液を同
時に押し出し、湿式紡糸法によって、透過性の高い二層
構造の中空糸分離膜(中空糸膜とも言う)を再現性よく
製造する方法に関する。
この発明の製法によって製造される芳香族ポリイミド製
の二層構造の中空糸膜は、逆浸透膜、UF膜(ウルトラフ
ィルター)などの液体分離膜や、水素分離膜、パーベー
パレーション膜、有機蒸気脱水膜、除湿膜などに使用す
ることができる。
〔公知技術の説明〕 近年、膜分離技術は、省エネルギー技術として、物質の
分離、濃縮、あるいは精製などの種々の分野での利用
が、重要性が増している。
このような分離に使用する分離膜は、種々の方法で製造
することが提案されており、それらの公知の方法で製造
された分離膜の構成は、いずれも分離機能を有する分離
層と機械的強度を有する支持層とから成り立っている。
それらの公知の分離膜の製造方法としては、例えば、ポ
リマー溶液を薄膜に形成し、その薄膜を乾湿式法で凝固
させることにより、分離層と支持層とを同時に成形する
ロブ型の膜製造方法(湿式製膜法)を挙げることができ
る。
また、素材として芳香族ポリイミドが使用された分離膜
は、主に、特開昭57−167414号公報に記載されているよ
うに、ロブ型膜製造方法により製造され、耐熱性、耐薬
品性などと共に、分離膜としての透過性能が良好な分離
膜を製造することができる。
しかし、ポリイミド溶液を使用した公知の中空糸膜のロ
ブ型膜製造方法では、単一のポリイミド溶液組成物を使
用して、極めて薄い分離層と比較的厚い支持層とが連続
して一体に構成されている中空糸分離膜(非対称性膜)
を一挙に形成させるために、両層がそれぞれの充分な機
能を有するものとするには、ポリイミド溶液組成物の種
類、成形条件などに多くの制限があり、得られる中空糸
分離膜が芳香族ポリイミド製の分離膜の本来の特性が充
分に発揮できなかったり、あるいは、製膜において極め
て熟練を要する操作が必要であったりして、再現性よく
安定な性能を中空糸膜を容易に製造できないことがある
という問題点を有していた。
さて、最近、特開昭62−191019号公報において、セルロ
ースジアセテート、セルローストリアセテートなどのセ
ルロースエステル系ポリマー、ビニル系ポリマー、ポリ
アミド系ポリマー、ポリエステル系ポリマーなどのポリ
マーが30〜60重量%の範囲内である種々の濃度で含有さ
れている複数のポリマー溶液を使用して、複数層のポリ
マー層を有する中空糸分離膜を製造する方法が提案され
た。
しかし、前述の公知の製法においては、芳香族ポリイミ
ド溶液を使用することについては開示されておらず、ま
た、芳香族ポリイミド溶液は30〜60重量%の範囲内の高
い濃度で調製することすら困難であり、さらに、そのよ
うな高濃度のポリイミド溶液が調製できたとしても、そ
のポリマー溶液が不安定であったり、高粘度であった
り、湿式紡糸法に適さないことがあり、その結果、前記
の公知の製膜法によって高濃度のポリイミド溶液から高
性能の芳香族ポリイミド製の中空糸膜を再現性よく製造
することは極めて困難であると考えられていた。
〔解決しようとする問題点〕
この発明は、従来公知の種々の中空糸分離膜の湿式製膜
法における前述の種々の問題点が実質的になく、しか
も、芳香族ポリイミドの高性能な特性である耐熱性、耐
薬品性と、中空糸分離膜としての優れた透過性能などと
を充分に高いレベルで示すような芳香族ポリイミド製の
中空糸分離膜を、「二種の芳香族ポリイミド溶液を同心
円状ノズルから押出す湿式製膜法」で、容易に再現性よ
く製造できる方法を提供することを目的とするものであ
る。
〔問題点を解決するための手段〕
この発明は、外部円形開口部と内部円形開口部とからな
る同心円状開口部を有する紡糸用ノズルを設けた紡糸装
置を使用し、 (a) ポリイミド濃度が7〜25重量%である第1の芳
香族ポリイミド溶液を前記外部円形開口部へ供給すると
共に、 (b) ポリイミド濃度が5〜25重量%であり、しかも
前記第1のポリイミド溶液の濃度以下であるポリイミド
濃度を有する第2の芳香族ポリイミド溶液を前記内部円
形開口部へ供給して、 前記紡糸用ノズルの2つの同心円状開口部から前記の2
種の芳香族ポリイミド溶液を、同時に、二層構造の中空
糸状に押し出し、 その二層構造の中空糸状体を、凝固液と接触させて、芳
香族ポリイミド製の二層構造の中空糸膜を形成すること を特徴とするポリイミド二層中空糸膜の製法に関する。
この発明では、第1図に示すように、外部円形開口部1
と内部円形開口部2と芯部開口部3とからなる同心円状
開口部を有する二層中空糸膜紡糸用ノズル4(例えば、
同心円状の二つの円形開口部をする『チューブ・イン・
オリフィス型ノズル』)が備え付けられた中空糸膜の紡
糸装置(図示せず)を使用して、前述の2種の芳香族ポ
リイミド溶液をそれぞれ紡糸装置へ供給して、同心円状
の二つの開口部1及び2から二層構造の中空糸状に同時
に押し出して、その中空糸状体を凝固液で凝固させて、
芳香族ポリイミド製の二層構造の中空糸膜を製造するの
である。
なお、前記の紡糸装置において、紡糸用ノズルの中心部
に開口している芯部開口部3からは、前述のようにして
押し出された中空糸状体の内部へ供給される『芯液また
は芯ガス(空気、窒素ガスなど)が、中空糸膜の中空糸
径の大きさを調整するために、中空糸膜の紡糸速度に適
宜調節させて吐出される。
この発明の製法においては、第1図に示す紡糸ノズルを
備えた紡糸装置へ供給される『2種の芳香族ポリイミド
溶液』としては、 (a) ポリイミド濃度が7〜25重量%、好ましくは8
〜22重量%、特に好ましくは8〜20重量%である『第1
の芳香族ポリイミド溶液』を、前記外部円形開口部へ供
給すると共に、 (b) ポリイミド濃度が5〜25重量%、好ましくは6
〜22重量%、特に6〜20重量%であり、しかも前記第1
のポリイミド溶液の濃度以下であるポリイミド濃度を有
する『第2の芳香族ポリイミド溶液』を、前記内部円形
開口部へ供給するのである。
前記芳香族ポリイミド溶液は、外部円形開口部1へ供給
される第1の芳香族ポリイミド溶液の紡糸温度での回転
粘度が、1〜20000ポイズ特に5〜10000ポイズ、さらに
好ましくは10〜8000ポイズ程度であることが好ましく、
また、内部円形開口部2へ供給される第2の芳香族ポリ
イミド溶液の100℃の回転粘度が、前記の第1の芳香族
ポリイミド溶液の100℃の回転粘度の1.01〜10倍、特に
1.05〜5倍程度であることが、紡糸用ノズルからポリイ
ミド溶液の中空糸状の吐出を良好に行う上に、好まし
い。
この発明において、外部円形開口部1へ供給される第1
の芳香族ポリイミド溶液(a)と内部円形開口部2へ供
給される第2の芳香族ポリイミド溶液(b)との吐出量
の比((b)/(a))は、1.5〜60、特に2〜40程度
であることが、二層構造の中空糸膜を安定的に製造する
上で、特に好ましい。
この発明の製法では、供給されたそれぞれの芳香族ポリ
イミド溶液に背圧を加えて、前記紡糸用ノズルの2つの
同心円状開口部(吐出口)から、前記の2種の芳香族ポ
リイミド溶液を、それぞれ同時に、好ましくは約20〜15
0℃、特に好ましくは30〜120℃の吐出温度で、二層構造
の中空糸状に押し出し、その二層構造の中空糸状体を、
好ましくは約−10〜60℃、特に−5〜40℃の温度の凝固
液と接触させて(例えば、中空糸状体を凝固液中に浸漬
させて)、二層構造の中空糸膜を形成して、芳香族ポリ
イミド製の二層構造の中空糸膜を製造するのである。
前述の紡糸において使用される芳香族ポリイミド溶液
は、予め濾過・脱泡して、使用されることが好ましい。
前述の中空糸膜の紡糸において、紡糸用ノズルから押し
出された芳香族ポリイミド溶液で形成されている中空糸
状体は一旦大気中に押し出され、紡糸用ノズルの直下の
凝固液中でその中空糸形態を保持できる程度にその中空
糸状体の表面を凝固させた後、案内ロール、引き取りロ
ールなどに巻き掛けられ、そして、凝固液中の一対の案
内ロール間を往復させて中空糸状体の内部まで凝固させ
ることが、好ましく、また、引き取りロールによる中空
糸状体の引き取り速度は、約2〜80m/分程度であること
が好ましい。
前述のようにして紡糸された中空糸膜は、内部に残留し
ている芳香族ポリイミドを溶解していた有機極性溶媒を
抽出して実質的に除去することが好ましい。
さらに、前記の中空糸膜は、凝固液を、不活性溶媒、例
えば、イソペンタン、n−ヘキサン、イソオクタン、n
−ヘプタンなどの脂肪族炭化水素化合物を用いて、凝固
液の置換を充分に行った後、その置換された溶媒で湿潤
した中空糸膜を乾燥し前記置換溶媒を蒸発させて乾燥中
空糸膜とすること、および、その乾燥中空糸膜を構成し
ている芳香族ポリイミドの軟化点(または二次転移点)
より低い温度で熱処理することが、好ましい。
この発明で使用される芳香族ポリイミドは、その溶液を
中空糸状に押し出すことができ、そして、その溶液の中
空糸状体が適当な凝固液によって凝固されうる『芳香族
ポリイミド溶液』が容易に調製できる『可溶性の芳香族
ポリイミド』であれば公知のどのような種類のものであ
ってもよい。そのような芳香族ポリイミドとしては、芳
香族テトラカルボン酸またはその酸二無水物、あるいは
その酸の誘導体を主成分とするテトラカルボン酸成分
と、芳香族ジアミンを主成分とするジアミン成分とを、
大略等モルづつ使用して、重合およびイミド化させて得
られたポリマーであり、それらの単一物か、またはそれ
らの2種以上を混合したもの(同一溶媒に溶解するも
の)であってもよい。この発明では、前記の芳香族ポリ
イミドとしては、芳香族テトラカルボン酸を80モル%以
上含有するテトラカルボン酸成分と芳香族ジアミンを80
モル%以上含有するジアミン成分とから得られた可溶性
の芳香族ポリイミドが主成分(特に全ポリマー成分に対
して80重量%以上である含有率)であるものが、得られ
る中空糸膜の耐熱性、耐薬品性などの点において好まし
い。
前記の芳香族テトラカルボン酸成分としては、例えば、
3,3′,4,4′‐ビフェニルテトラカルボン酸、2,3,3′,
4′‐ビフェニルテトラカルボン酸、またはそれらの酸
二無水物、或いはそれらの酸の低級アルコールエステル
化物などのビフェニルテトラカルボン酸類、3,3′,4,
4′‐ベンゾフェノンテトラカルボン酸、2,3,3′,4′‐
ベンゾフェノンテトラカルボン酸、またはそれらの酸二
無水物、或いはそれらの酸の低級アルコールエステル化
物などのベンゾフェノンテトラカルボン酸類などを挙げ
ることができる。
この発明では、特に,ビフェニルテトラカルボン酸類を
50モル%以上、特に60モル%以上含有するテトラカルボ
ン酸成分と、芳香族ジアミン成分とから得られた芳香族
ポリイミドは、耐熱性、耐薬品性などが高い中空糸膜と
なると共に、フェノール系化合物のような有機極性溶媒
に対して優れた溶解性を有しているので、中空糸膜を製
造するために使用する芳香族ポリイミド溶液(ドープ
液)の安定性および製膜性などの点から好適である。
前記の芳香族ポリイミドの製造に使用される芳香族ジア
ミンとしては、 (1)4,4′‐ジアミノジフェニルエーテル、3,4′‐ジ
アミノジフェニルエーテル、3,3′‐ジアミノジフェニ
ルエーテル、3,3′‐ジメチル−4,4′−ジアミノジフェ
ニルエーテル、3,3′‐ジメトキシ−4,4′−ジアミノジ
フェニルエーテルなどのジフェニルエーテル系のジアミ
ン化合物、 (2)4,4′‐ジアミノジフェニルメタン、3,3′‐ジア
ミノジフェニルメタン、3,3′‐ジメチル−4,4′−ジア
ミノジフェニルメタンなどのジフェニルメタン系のジア
ミン化合物 (3)4,4′‐ジアミノジベンジル、3,3′‐ジアミノジ
ベンジル、4,4′‐ジアミノ−2,2′−ジメチルジベンジ
ルなどのジベンジル系のジアミン化合物、 (4)4,4′‐ジアミノベンゾフェノン、3,3′‐ジアミ
ノベンゾフェノンなどのベンゾフェノン系のジアミノ化
合物、 (5)2,2−ビス(3-アミノフェニル)プロパン、2,2−
ビス(4-アミノフェニル)プロパン、3,4′−ジアミノ
〔2,2-ビス(フェニル)プロパン〕、2,2-ビス〔4-
(4′−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパンなどの
ビス(フェニル)プロパン系のジアミン化合物、 (6)3,3′‐ジメチルベンチジン、3,3′‐ジメトキシ
ベンチジン、2,2′‐ジメチルベンチジンなどのベンチ
ジン系化合物、 (7)4,4′‐ジアミノジフェニルスルフィド、3,3′−
ジアミノジフェニルスルフィド、4,4′‐ジアミノジフ
ェニルスルホン、3,3′−ジアミノジフェニルスルホン
などのジフェニルスルフィドまたはスルホン系のジアミ
ン化合物、 (8)3,7−ジアミノ−2,8-ジメチル−ジフェニレンス
ルホン、3,7−ジアミノ−4,8-ジメチル−ジフェニレン
スルホン、3,7−ジアミノ−4,6-ジメチル−ジフェニレ
ンスルホン、3,7−ジアミノ−2,8-ジエチル−ジフェニ
レンスルホンなどのジフェレンスルホン系のジアミノ化
合物、 (9)3,7-ジアミノチオキサンテン−5,5-ジオキサイ
ド、2,8-ジメチル−3,7-ジアミノチオキサンテン−5,5-
ジオキサイド、2,6-ジメチル−3,7-ジアミノチオキサン
テン−5,5-ジオキサイド、4,6-ジメチル−3,7-ジアミノ
チオキサンテン−5,5-ジオキサイドなどのチオキサンテ
ン系のジアミノ化合物、 (10) ビス〔4-(4′−アミノフェノキシ)フェニ
ル〕スルホン、4,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェ
ニル、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4-
ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼンなどのを挙げるこ
とができる。
また、前記の芳香族ジアミンと共に使用することができ
る芳香族ジアミンとして、例えば、o−、m−またはp
−フェニレンジアミン、3,5-ジアミノ安息香酸、2,6-ジ
アミノピリミジンなどを挙げることができる。
この発明の製法において使用される芳香族ポリイミド溶
液は、前記芳香族ポリイミドが有機極性溶媒に均一に溶
解しているものである。
前記の有機極性溶媒としては、前述の芳香族ポリイミド
を均一に溶解しうるものであって、しかも、後述の紡糸
に使用する凝固液との相溶性を有するものであって、さ
らに、融点が200℃以下、特に150℃以下であるものが好
ましい。
前記有機極性溶媒としては、例えば、3-クロルフェノー
ル、4-クロルフェノール(パラクロルフェノール;PCPと
略記することもある)、4-ブロムフェノール、2-クロル
−5-ヒドロキシトルエンなどのハロゲン化フェノール
類、フェノール、クレゾール、あるいはキシレノールの
ようなフェノール類、さらに、N-メチル−2-ピロリド
ン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトア
ミド、ジメチルスルホキシドなどのアミド系溶媒、ジオ
キサンなどの非プロトン系極性溶媒等を挙げることがで
きる。
前述の有機極性溶媒は、単一溶媒、あるいは2種以上の
混合溶媒として使用することができる。
また、前記有機極性溶媒は、凝固速度などのコントロー
ルのために、芳香族ポリイミドの貧溶媒(例えば、ベン
ゼン、キシレン、トルエンなど)を少量加えることがで
きる。
この発明の製法では、前記の芳香族ポリイミド溶液は、
透過性能などの向上のため、あるいは、中空糸膜の形状
の改良のためなどに、過ハロゲン酸塩類、低分子量ポリ
マー、脂肪族カルボン酸、界面活性剤などを加えること
もできる。
この発明において使用される凝固液は、前述の中空糸膜
を構成する芳香族ポリイミドおよびその他のポリマーを
実質的に溶解せず、しかも、芳香族ポリイミド溶液の溶
媒と相溶性を有する極性溶媒であればよい。
前記の凝固液に使用される極性溶媒としては、例えば、
水、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロ
パノールなどの低級アルコール類、アセトン、メチルエ
チルケトン、ジエチルケトン、メチルエチルケトンなど
のケトン類、または水と低級アルコール類、ケトン類な
どの有機極性溶媒との混合溶媒を挙げることができる。
なお、この発明では、凝固液は、凝固速度のコントロー
ルのために、芳香族ポリイミドを溶解しうる有機極性溶
媒を少量加えられていてもよく、例えば、水とN,N-ジメ
チルホルムアミドなどのアミド系溶媒との混合溶媒
(水:アミド系溶媒が、70/30〜95/5である混合溶媒)
を使用することができる。
この発明の製法によって得られる二層構造のポリイミド
中空糸膜は、均一な表皮層(分離層)と多孔質層とが一
体に形成されている非対称性の外層と、多孔質層のみか
らなる内層とが、同時に湿式紡糸されて同心円状に一体
に形成されている二層構造のポリイミド中空糸膜であっ
て、透過性などにおいて優れた分離性能、および、耐熱
性を有している。
〔実施例〕
以下、この発明を、実施例によってさらに詳しく説明す
るが、この発明はそれらの実施例によって限定されるも
のではない。
参考例1 3,3′,4,4′‐ビフェニルテトラカルボン酸二無水物99
ミリモルと、ジアミノジメチルジフェニレンスルホン90
ミリモルと、4,4′−ジアミノジフェニルメタン10ミリ
モルとを、パラクロルフェノール240gと共に、撹拌機と
窒素ガス導入管とが敷設されたセパラブルフラスコに入
れて、窒素ガスを流し、撹拌しながら、180℃で10時間
重合させて、ポリイミド濃度が15重量%である芳香族ポ
リイミド溶液を調製した。
この芳香族ポリイミド溶液は、100℃の回転粘度が980ポ
イズであり、70℃での回転粘度が、3510ポイズであっ
た。
参考例2〜11 第1表に示した酸成分とジアミン成分とを、参考例1と
同様な方法で重合させ、各種の芳香族ポリイミド溶液を
調製した。これらの芳香族ポリイミド溶液の濃度および
100℃での回転粘度を第1表にそれぞれ示した。
第1表における略号は、下記のとおりの化合物をそれぞ
れ示す。
S-BPDA:3,3′,4,4′‐ビフェニルテトラカルボル酸二無
水物 TSN:3,7-ジアミノジメチルジフェニレンスルホン DADE:4,4′−ジアミノジフェニルエーテル DADM:4,4′−ジアミノジフェニルメタン DABA:3,5-ジアミノ安息香酸 PASN:4,4′−ジアミノジフェニルスルホン 実施例1〜5 前述の参考例1〜6で調製された芳香族ポリイミド溶液
を第2表に示した組み合わせでそれぞれ使用して、各一
対の芳香族ポリイミド溶液を400メッシュのステンレス
金網で濾過して、紡糸用のドープ液を準備した。
それらの紡糸用ドープ液を、第1図に示すと同様の中空
糸膜の紡糸用ノズル; 外部円形開口部の外径:1700μm 〃 のスリット幅:150μm 内部円形開口部の外径:1200μm 〃 のスリット幅:300μm 芯部開口部の外径:400μm を備えた紡糸装置に、それぞれ仕込み、そして、前記紡
糸用ノズルから中空糸状に吐出させて、その中空糸状体
を窒素雰囲気中を通した後、65重量%のエタノール水溶
液からなる凝固液(0℃)にそれぞれ浸漬し、さらに、
一対の案内ロールを備えた凝固装置内の第2の凝固液中
で案内ロール間を往復させて、中空糸状体の凝固を完了
させて、各芳香族ポリイミド製の中空糸膜を引き取り速
度15m/分で紡糸した。
最後に、この中空糸膜をボビンに巻き取り、エタノール
で充分に凝固溶媒などを洗浄した後、n−ヘキサンでエ
タノールを置換し、さらに、50℃でn−ヘキサンを蒸発
して中空糸膜を乾燥させ、さらに、第2表の場合には30
0℃、第3表の場合には250℃の温度で、30分間、中空糸
膜を熱処理し、乾燥および熱処理された二層中空糸膜を
製造した。
得られた中空糸膜の糸径を第2表に示した。
第2表(実施例1〜5)に示した中空糸膜の透過性能
は、次に示す方法で測定した。
まず、前述のようにして製造した各中空糸膜と、ステン
レスパイプと、エポキシ樹脂系接着剤とを使用して、透
過性能評価用の中空系エレメントを作成した。
そして、透過性能は、ステンレス容器に透過性能評価用
の中空糸エレメントを装着し、水素とメタンとの混合ガ
ス、炭酸ガスとメタンとの混合ガス、あるいは、酸素と
窒素との混合ガスを用いて50℃、10kg/cm2で透過テスト
を行い、ガス透過度と、各々のガス透過度比(選択透過
性、ガス分離度を示す)とを、ガスクロマトグラフィー
分析の測定値から算出した。
比較例1〜2 前述の参考例1、および参考例2で調製された芳香族ポ
リイミド溶液を、400メッシュのステンレス金網で濾過
して、紡糸用のドープ液を準備した。
前記の各芳香族ポリイミド溶液を使用し、一層構造の中
空糸膜の紡糸用ノズル(円形開口部の外径:1200μm、
そのスリット幅:300μm、芯部開口部の外径:400μm)
から、前記単一の芳香族ポリイミド溶液を押し出したほ
かは、実施例1と同様の中空糸膜の紡糸法で一層構造の
中空糸膜(非対称性中空糸膜)をそれぞれ形成した。
その各比較例で得られた一層構造の中空糸膜の性能を第
2表に示す。
比較例3〜4 前述の参考例12、および参考例13で調製された芳香族ポ
リイミド溶液を、400メッシュのステンレス金網で濾過
して、紡糸用のドープ液を準備した。
前記の各芳香族ポリイミド溶液を使用し、一層構造の中
空糸膜の紡糸用ノズル(円形開口部の外径:1200μm、
そのスリット幅:300μm、芯部開口部の外径:400μm)
から、前記単一の芳香族ポリイミド溶液を押し出したほ
かは、実施例1と同様の中空糸膜の紡糸法で一層構造の
中空糸膜(非対称性中空糸膜)をそれぞれ形成した。
その各比較例で得られた一層構造の中空糸膜の性能を第
2表に示す。
実施例6〜7 前述の参考例7〜11で調製された芳香族ポリイミド溶液
を、400メッシュのステンレス金網で濾過して、紡糸用
のドープ液を準備した。
前記の各芳香族ポリイミド溶液を第3表に示す組み合わ
せで使用したほかは、実施例1と同様の中空糸膜の紡糸
法で二層構造の中空糸膜をそれぞれ形成した。
前記の各実施例で得られた二層構造の中空糸膜の性能を
第3表に示す。
第3表に示した各中空糸膜の透過性能は、次のようにし
て測定した。
まず、各中空糸膜を16本束ねて中空糸膜の一方を封止
し、有効長さ約6cmの糸束(気体分離膜モジュール)を
作成した。
60重量%のエタノール水溶液を大気圧下に蒸発器で気化
させてエタノール蒸気と水蒸気とを含有する気体混合物
を得た。この気体混合物を前記の気体分離膜モジュール
に導入し、モジュール内の中空糸膜の外側(供給側)表
面に供給して、ガス分離をそれぞれ行った。
前記の中空糸膜を内蔵する気体分離膜モジュールでのガ
ス分離に使用する気体混合物の温度は、ヒーターで加熱
することにより、105℃とした。一方、中空糸膜内部
(透過側)は、減圧して、ガス分離の操作圧を4mmHgに
維持した。
上記のガス分離条件による操作により中空糸膜内部に透
過した蒸気をドライアイス−エタノールトラップで凝集
し捕集した。他方、中空糸膜の未透過の気体混合物は、
蒸発器に戻して循環使用した。前記の蒸気のトラップで
捕集した凝縮物の成分のうち、エタノール濃度はガスク
ロマトグラフ法により分析し、水分は全量からエタノー
ル分を差し引いた値とした。
このようにして得られた各成分の濃度から、水蒸気の透
過速度と、エタノールに対する水蒸気の選択透過性とを
算出し、気体分離性能を評価した。その結果を第3表に
示す。
比較例5 参考例7で得られた芳香族ポリイミド溶液を、紡糸用ノ
ズルの外部円形開口部へ供給し、参考例9で得られた芳
香族ポリイミド溶液を紡糸用ノズルの内部円形開口部へ
供給した他は、実施例6と同様にして、二層構造の中空
糸膜を形成した。
この比較例で得られた二層構造の中空糸膜の性能を第3
表に示す。
〔本発明の作用効果〕 この発明は、芳香族ポリイミド製の中空糸膜が本来有し
ていた高性能な特性である高透過性能を生かすために、
分離層の形成に適した第1の芳香族ポリイミド溶液で最
外層を形成し、同時に、支持層の形成に適した第2の芳
香族ポリイミド溶液で内層を形成することが、最も特徴
的である『二層構造の中空糸分離膜を製造する新規な方
法』を提供するものである。
この発明の製法によって製造された二層構造の中空糸膜
は、透過性及び分離性を有する外層と共に、充分な透過
性を示すスポンジ構造層(多孔質層)である支持体層の
内層とを併て持つので、高い透過性能を有する二層構造
の中空糸膜である。
また、この発明の製法は、ポリマー溶液からロブ型膜製
造法に類似な方法(湿式製膜法)で、複雑な工程を経る
ことなく、一挙に二層構造の中空糸分離膜を再現性よく
製造することができるのである。
さらに、この発明の製法は、同心円状の二つの開口部を
有する紡糸用ノズルから吐出した2種の芳香族ポリイミ
ド溶液から形成された二層構造の中空糸膜が、バラス効
果などにより二層の界面が充分に密着し、各層の溶媒の
作用とあいまって両層のポリマーが互いに絡み合うため
に、実質的に一体となった二層構造の中空糸膜が形成さ
れるのである。
【図面の簡単な説明】
第1図は、この発明の製法を実施するための中空糸膜の
紡糸用ノズルの一例を示すノズル吐出部の平面図であ
る。 1;外部円形開口部、2;内部円形開口部、 3;芯部開口部、4;紡糸用ノズル。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】外部円形開口部と内部円形開口部とからな
    る同心円状開口部を有する紡糸用ノズルを設けた紡糸装
    置を使用し、 (a) ポリイミド濃度が7〜25重量%である第1の芳
    香族ポリイミド溶液を前記外部円形開口部へ供給すると
    共に、 (b) ポリイミド濃度が5〜25重量%であり、しかも
    前記第1のポリイミド溶液の濃度以下であるポリイミド
    濃度を有する第2の芳香族ポリイミド溶液を前記内部円
    形開口部へ供給して、 前記紡糸用ノズルの2つの同心円状開口部から前記の2
    種の芳香族ポリイミド溶液を、同時に、二層構造の中空
    糸状に押し出し、 その二層構造の中空糸状体を、凝固液と接触させて、芳
    香族ポリイミド製の二層構造の中空糸膜を形成すること を特徴とするポリイミド二層中空糸膜の製法。
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