JPH0693497A - 有機薄膜の製造方法 - Google Patents

有機薄膜の製造方法

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JPH0693497A
JPH0693497A JP5175058A JP17505893A JPH0693497A JP H0693497 A JPH0693497 A JP H0693497A JP 5175058 A JP5175058 A JP 5175058A JP 17505893 A JP17505893 A JP 17505893A JP H0693497 A JPH0693497 A JP H0693497A
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Tetsuo Saji
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 電気化学的方法を講じることによって、疎水
性の有機物質による有機薄膜を効率よく製造する方法を
開発すること。 【構成】 一般式 【化1】 〔式中の各記号は明細書に記載のとおり。〕で表わされ
るフェロセン誘導体を含有する界面活性剤にて可溶化
し、得られるミセル溶液を電解して電極上に前記疎水性
有機物質の薄膜を形成することにより有機薄膜を製造す
る方法である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は有機薄膜の製造方法に関
し、詳しくはポリオキシエチレン鎖を有する新規なフェ
ロセン誘導体を含有し、フタロシアニン等の色素を可溶
化することのできる界面活性剤を用いて疎水性有機物質
の薄膜を製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】一般
に、フタロシアニンあるいはその誘導体等の色素は、水
に対して不溶であり、また、ジメチルホルムアミド(D
MF),テトラヒドロフラン(THF)等の有機溶媒に
は可溶であるが、その可溶化量は少なく、数mg程度の
溶解度しかない。従来からこのフタロシアニン等を水に
溶かすための界面活性剤が研究されているが、未だ満足
しうるものは開発されていない。官能基置換したフタロ
シアニン誘導体については、スルホン系界面活性剤で若
干水に溶解できることが報告されているが、その溶解度
は必ずしも充分に高くなく、しかも無置換のフタロシア
ニンについては全く溶解することができない。
【0003】また、水に不溶性のポリマーについても、
上述したと同様に水に溶かすための界面活性剤が研究さ
れているが、未だ充分な成果が得られていないのが現状
である。本発明者は、フタロシアニンやその誘導体等の
色素あるいは水に不溶性のポリマー等を可溶化する界面
活性剤を開発するとともに、この界面活性剤を用いて有
機薄膜を効率よく製造する方法を開発すべく鋭意研究を
重ねた。
【0004】
【課題を解決するための手段】その研究過程において、
フェロセン誘導体が上述した性能を有する界面活性剤と
して有望であるとの知見を得た。さらに、本発明者はこ
のような知見に基づいて研究を続けたところ、フェロセ
ンあるいはその誘導体にポリオキシエチレン鎖を含む特
定の置換基を導入した新しいフェロセン誘導体が、目的
を達成しうるものであることを見出した。また、同時に
これらの新しいフェロセン誘導体を用いて電気化学的手
法を講じることによって、水に不溶性(疎水性)の有機
薄膜を効率よく製造できることを見出した。本発明は、
このような研究過程を経て完成したものである。すなわ
ち、本発明は、疎水性有機物質を、水性媒体中で一般式
〔I〕
【0005】
【化2】
【0006】〔式中、R1 およびR2 はそれぞれ水素,
メチル基あるいはエチル基を示し、XはOまたはCOO
を示し、mは1〜4,nは1〜5,tは2〜18の整数
を示し、sは2.0〜45.0の実数を示す。〕で表わされ
るフェロセン誘導体を含有する界面活性剤にて可溶化
し、得られるミセル溶液を電解して電極上に前記疎水性
有機物質の薄膜を形成することを特徴とする有機薄膜の
製造方法を提供するものである。本発明の方法に用いる
フェロセン誘導体は、上記一般式〔I〕で表わされるも
のである。ここで一般式〔I〕中、R1 およびR2 はそ
れぞれ水素,メチル基あるいはエチル基を示し、XはO
またはCOOを示し、mは1〜4,nは1〜5,tは2
〜18の整数を示し、sは2.0〜45.0の実数を示す。
このtは上述の如く2〜18の整数であるから、環員炭
素原子と該炭素原子に最も近接するエーテル性酸素原子
(XがOのとき)あるいはオキシカルボニル基(XがC
OOのとき)との間にはエチレン基,プロピレン基,ウ
ンデカメチレン基,ドデカメチレン基,トリデカメチレ
ン基等の炭素数2〜18のアルキレン基(ポリメチレン
基)が介在したものとなる。また、sは2.0〜45.0の
間の整数のみならず、これらを含む実数を意味するが、
これはフェロセン誘導体を構成するオキシエチレン基
(−CH2 CH2 O−)の繰返し数の平均値を示すもの
である。
【0007】このような一般式〔I〕で表わされるフェ
ロセン誘導体は、様々な方法により製造することができ
る。例えば一般式〔I〕で表わされるフェロセン誘導体
のうちXが酸素(O)の場合は次の如く製造する。即
ち、一般式〔II〕
【0008】
【化3】
【0009】〔sは前記と同じ。〕で表わされるポリエ
チレングリコールにアルカリ金属(金属ナトリウム,金
属カリウムなど)を加えて、常温〜200℃で数分〜数
日間撹拌し、次いで一般式〔III〕
【0010】
【化4】
【0011】〔式中、Hal はハロゲン原子を示す。ま
た、R1 ,R2 ,m,nおよびtは前記と同じであ
る。〕で表わされるハロゲン含有フェロセン化合物を加
えて攪拌しながら反応させ、その後抽出,精製すること
によって、一般式〔I〕で表わされるフェロセン誘導体
が得られる。なお、ここで一般式〔III〕のハロゲン含
有フェロセン化合物は、例えば、一般式 HOOC (C
2)t-1 Hal 〔式中、tおよびHal は前記と同じであ
る。〕で表わされるω−ハロゲノカルボン酸を、適当な
ハロゲン化剤(塩化チオニル等)を用いて、一般式 X
1 OC (CH2)t-1 Hal 〔式中、X1 はハロゲン化剤に
由来するハロゲン原子を示し、tおよびHal は前記と同
じである。〕で表わされる酸ハロゲン化物(アシル化
物)とし、これを一般式〔IV〕
【0012】
【化5】
【0013】〔式中、R1 ,R2 ,mおよびnは前記と
同じである。〕で表わされるフェロセンあるいはその誘
導体と反応させて一般式〔V〕
【0014】
【化6】
【0015】〔式中、R1 ,R2 ,m,n,Hal および
tは前記と同じである。〕で表わされるフェロセニルケ
トン誘導体を得、さらにこれを還元することによって一
般式〔III〕のハロゲン含有フェロセン化合物を製造す
ることができる。一方、上記一般式〔I〕で表わされる
フェロセン誘導体のうちXがオキシカルボニル基(CO
O)の場合は次の如く製造する。即ち、前記一般式〔I
I〕で表わされるポリエチレングリコールに濃硫酸を加
えて、常温〜200℃で数分間攪拌し、次いで一般式
〔VI〕
【0016】
【化7】
【0017】〔式中、R1 ,R2 ,m,nおよびtは前
記と同じである。〕で表わされるカルボキシル基含有フ
ェロセン化合物を加えて攪拌しながら反応させ、その後
抽出,精製することにより得ることができる。ここで、
一般式〔VI〕で表わされるカルボキシル基含有フェロセ
ン化合物は、例えば次の如く製造することができる。即
ち、一般式 X2 OC (CH2)t-1COOR 〔式
中、X2 はハロゲン原子を示し、Rはアルキル基を示
す。またtは前記と同じである。〕で表わされるアルコ
キシカルボニル酸ハライドと一般式〔IV〕で表わされる
フェロセンあるいはその誘導体と反応させて一般式〔VI
I〕
【0018】
【化8】
【0019】〔式中、R1 ,R2 ,R,m,nおよびt
は前記と同じである。〕で表わされるフェロセノイルカ
ルボン酸エステルを得、次いで加水分解して対応するカ
ルボン酸とし、しかる後に還元することによって、ある
いは還元した後に加水分解することによって、一般式
〔VI〕で表わされるカルボキシル基含有フェロセン化合
物を製造することができる。一般式〔I〕で表わされる
本発明のフェロセン誘導体は、上述の如く製造すること
ができるが、これらのフェロセン誘導体を製造するにあ
たって、一般式〔II〕のポリエチレングリコールに代え
て、類似のポリエーテルを用いることもできる。また、
反応後の抽出処理は、アルコール,THF等を用いて行
い、精製はクロマト精製等によればよい。
【0020】以上の如き方法により得られる一般式
〔I〕で表わされるフェロセン誘導体は、界面活性剤と
して有効であり、特に疎水性有機物質を水あるいは水性
媒体に可溶化する界面活性剤(ミセル化剤)として用い
ることができる。このような界面活性剤は、上記一般式
〔I〕のフェロセン誘導体を主成分として含むものであ
り、その他必要により各種添加剤を適宜加えることもで
きる。この界面活性剤を用いれば、様々な疎水性有機物
質を水あるいは水性媒体に可溶化することができる。こ
のような疎水性有機物質は様々なものがあるが、例えば
フタロシアニン,フタロシアニン誘導体,フタロシアニ
ンの金属錯体,フタロシアニン誘導体の金属錯体,ナフ
タロシアニン,ナフタロシアニン誘導体,ナフタロシア
ニンの金属錯体,ナフタロシアニン誘導体の金属錯体,
ポルフィリン,ポルフィリン誘導体(テトラフェニルポ
ルフィリンなど),ポルフィリンの金属錯体,ポルフィリ
ン誘導体の金属錯体などの光メモリー用色素や有機色素
をはじめ1,1' −ジヘプチル−4,4' −ビピリジニ
ウムジブロマイド,1,1' −ジドデシル−4,4'
ビピリジニウムジブロマイドなどのエレクトロクロミッ
ク材料,6−ニトロ−1,3,3−トリメチルスピロ−
(2' H−1' −ベンゾピラン−2,2' −インドリ
ン)(通称スピロピラン)などの感光材料(フォトクロ
ミック材料)や光センサー材料,p−アゾキシアニソー
ルなどの液晶表示用色素,7,7,8,8−テトラシア
ノキノンジメタン(TCNQ)とテトラチアフルバレン
(TTF)との1:1錯体などの有機導電材料やガスセ
ンサー材料,ペンタエリスリトールジアクリレートなど
の光硬化性塗料,ステアリン酸などの絶縁材料,1−フ
ェニルアゾ−2−ナフトールなどのジアゾタイプの感光
材料や塗料等をあげることができる。さらには、水に不
溶性のポリマー、例えばポリカーボネート,ポリスチレ
ン,ポリエチレン,ポリプロピレン,ポリアミド,ポリ
フェニレンサルファイド(PPS),ポリフェニレンオ
キサイド(PPO),ポリアクリロニトリル(PAN)
などの汎用ポリマー、またポリフェニレン,ポリピロー
ル,ポリアニリン,ポリチオフェン,アセチルセルロー
ス,ポリビニルアセテート,ポリビニルブチラールをは
じめ、各種各様のポリマー(ポリビニルピリジンなど)
あるいはコポリマー(メタクリル酸メチルとメタクリル
酸とのコポリマーなど)をあげることができる。
【0021】上述したフェロセン誘導体を界面活性剤と
して用いるにあたっては、様々な態様があるが、特に本
発明の有機薄膜の製造方法において、ミセル化剤として
使用すると効果的である。本発明の方法では、まず水性
媒体中に上記の一般式〔I〕で表わされるフェロセン誘
導体よりなる界面活性剤(ミセル化剤),支持塩ならび
に疎水性有機物質を入れて、超音波,ホモジナイザーあ
るいは撹拌機等により充分に分散させてミセルを形成せ
しめ、その後必要に応じて過剰の疎水性有機物質を除去
し、得られたミセル溶液を静置したままあるいは若干の
撹拌を加えながら上述の電極を用いて電解処理する。ま
た、電解処理中に疎水性有機物質をミセル溶液に補充添
加してもよく、あるいは陽極近傍のミセル溶液を系外へ
抜き出し、抜き出したミセル溶液に疎水性有機物質を加
えて充分に混合撹拌し、しかる後にこの液を陰極近傍へ
戻す循環回路を併設してもよい。この際の電解条件は、
各種状況に応じて適宜選定すればよいが、通常は液温0
〜70℃、好ましくは20〜30℃、電圧0.03〜1.5
V、好ましくは0.1〜0.5Vとし、電流密度10mA/
cm2 以下、好ましくは50〜300μA/cm2 とす
る。
【0022】この電解処理を行うと、図1に示す如き反
応が進行する。これをフェロセン誘導体中のFe イオン
の挙動に着目すると、陽極5ではフェロセンのFe2+
Fe3 + となって、ミセル3が崩壊し、疎水性有機物質2
の粒子(600〜900Å程度)が陽極上に析出する。
一方、陰極6では陽極5で酸化されたFe3+ がFe2+
還元されてもとのミセル3に戻るので、繰返し同じ溶液
で製膜操作を行うことができる。このような電解処理に
より、陽極上には所望する疎水性有機物質の600〜9
00Å程度の粒子による薄膜が形成される。上記本発明
の方法で用いる支持塩(支持電解質)は、水性媒体の電
気伝導度を調節するために必要に応じて加えるものであ
る。この支持塩の添加量は通常は上記界面活性剤(ミセ
ル化剤)の10〜300倍程度の濃度、好ましくは50
〜200倍程度の濃度を目安とする。また、この支持塩
の種類は、ミセルの形成や電極への前記疎水性有機物質
の析出を妨げることなく、水性媒体の電気伝導度を調節
しうるものであれば特に制限はない。
【0023】具体的には、一般に広く支持塩として用い
られている硫酸塩(リチウム,カリウム,ナトリウム,
ルビジウム,アルミニウムなどの塩),酢酸塩(リチウ
ム,カリウム,ナトリウム,ルビジウム,ベリリウム,
マグネシウム,カルシウム,ストロンチウム,バリウ
ム,アルミニウムなどの塩)が好適である。 また、本
発明の方法で用いる電極は、フェロセンの酸化電位(+
0.15V対飽和甘コウ電極)より貴な金属もしくは導電
体であればよい。具体的にはITO(酸化インジウムと
酸化スズとの混合酸化物),白金,金,銀,グラシーカー
ボン,導電性金属酸化物,有機ポリマー導電体などがあ
げられる。
【0024】
【実施例】次に本発明を実施例によりさらに詳しく説明
する。 合成例1A (1)50.0gの11−臭化ウンデカン酸と90.0gの
塩化チオニルから合成した11−ウンデカン酸クロライ
ドと37.6gの無水塩化アルミニウムおよび35.0gの
フェロセンを、塩化メチレン溶媒中で5℃にて3時間反
応させた。反応終了後、希塩酸で処理した後、シリカゲ
ルカラムにて精製し、下記式で示される10−臭化デカ
ニルフェロセニルケトン56.9gを得た。
【0025】
【化9】
【0026】(2)65.4gの亜鉛と27.2gの塩化第
二水銀により調製したアマルガム存在下に、上記(1)
で合成した10−臭化デカニルフェロセニルケトン56.
9gを、濃塩酸とエタノール混合溶媒中で6時間還流さ
せて還元反応を行った。反応終了後、酢酸エチルで抽出
し、シリカゲルカラムで精製して、下記式で示される1
−フェロセニル−11−臭化ウンデカン42.1gを得
た。
【0027】
【化10】
【0028】合成例1B 6.5gのポリエチレングリコール(平均分子量600)
に0.064gの金属ナトリウムを加え、70℃で一昼夜
撹拌した。次に、これに1.1gの1−フェロセニル−1
1−臭化ウンデカン(上記合成例1Aで得られたもの)
を加え、110℃で10時間反応させ、この反応液を水
とn−ブタノールの等量混合液にて抽出した。抽出物を
水で洗浄後、シリカゲルカラムを用い、溶媒としてベン
ゼンとエタノールの混合液(ベンゼン:エタノール=
5:1)を用いて展開し、クロマト精製した。乾燥後、
得られた精製物は収率41%,収量0.96gであった。
このものの元素分析値は炭素60.21%,水素9.46
%,窒素0.00%であり、またプロトン核磁気共鳴スペ
クトル(1H−NMR)の測定結果は図2に示すとおりで
あった。以上の結果より、上記精製物は下記の構造を有
するフェロセン誘導体であることがわかる。
【0029】
【化11】
【0030】合成例1C ポリエチレングリコールとして平均分子量1000のも
のを用いたこと以外は、合成例1Bと同様の操作を行っ
た。得られた精製物は収率31%,収量2.15gであっ
た。このものの 1H−NMRの測定結果は図3に示すと
おりであった。以上の結果より、上記精製物は下記の構
造を有するフェロセン誘導体であることがわかる。
【0031】
【化12】
【0032】合成例2A (1)無水塩化アルミニウム9.6gの存在下、フェロセ
ン13.5gと11−エトキシカルボニルウンデカン酸ク
ロライド(J.Amer.Chem.Soc.,69,2350(194
7)において公知)19.9gを、塩化メチレン溶媒中で
室温にて2時間反応させた。反応終了後、希塩酸で処理
した後、シリカゲルカラムにて精製し、下記式で示され
るフェロセノイルウンデカン酸エチル13.7gを得た。
【0033】
【化13】
【0034】(2)上記(1)で合成したフェロセノイ
ルウンデカン酸エチル12.4gと水酸化カリウム2.9g
を、エタノール溶媒中で2時間還流後、酸処理すること
により、下記式で示されるフェロセノイルウンデカン酸
11.3gを得た。
【0035】
【化14】
【0036】(3)亜鉛6.5gと塩化第二水銀2.7gか
ら調製した亜鉛アマルガムの存在下で、上記(2)で合
成したフェロセノイルウンデカン酸6.0gを濃塩酸とエ
タノールの混合溶媒中で、80℃にて3時間反応させ
た。反応終了後、酢酸エチルで抽出し、シリカゲルカラ
ムにて精製して、下記式で示されるフェロセニルドデカ
ン酸4.8gを得た。
【0037】
【化15】
【0038】合成例2B 0.29gのフェロセニルドデカン酸(上記合成例2Aで
得られたもの)に、6gのポリエチレングリコール(平
均分子量600)と濃硫酸0.1ccを加え、80℃で6時
間反応させたこと以外は、合成例1Bと同様の操作を行
った。得られた精製物は収率62%,収量0.44gであ
った。このものの 1H−NMRの測定結果は図4に示す
とおりであった。以上の結果より上記精製物は下記の構
造を有するフェロセン誘導体であることがわかる。
【0039】
【化16】
【0040】合成例3A (1)合成例2A(1)に示した11−エトキシカルボ
ニルウデカン酸クロライドの代わりに、35.0gの10
−エトキシカルボニルデカン酸クロライドを用い、また
17.7gの無水塩化アルミニウムを用い、24.7gのフ
ェロセンを反応させたこと以外は、合成例2A(1)と
同様の操作を行い、下記式で示されるフェロセノイルデ
カン酸エチル23.0gを得た。
【0041】
【化17】
【0042】(2)合成例2A(2)に示したフェロセ
ノイルウンデカン酸エチルの代わりに、5.0gのフェロ
セノイルデカン酸エチル(上記(1)で得られたもの)
を用い、また1.2gの水酸化カリウムを用いたこと以外
は、合成例2A(2)と同様の操作を行い、下記式で示
されるフェロセノイルデカン酸4.7gを得た。
【0043】
【化18】
【0044】(3)合成例2A(3)に示したフェロセ
ノイルウンデカン酸の代わりに、4.7gのフェロセノイ
ルデカン酸(上記(2)で得たもの)を用い、また6.6
gの亜鉛、2.7gの塩化第二水銀を用いたこと以外は、
合成例2A(3)と同様の操作を行い、下記式で示され
るフェロセニルウンデカン酸3.4gを得た。
【0045】
【化19】
【0046】合成例3B 上記合成例3Aで得たフェロセニルウンデカン酸3.02
gに、39.14gのポリエチレングリコール(平均分子
量600)と濃硫酸0.1ccを加え、80℃で6時間反応
させたこと以外は、合成例1Bと同様の操作を行った。
得られた精製物は収率51.5%、収量4.00gであっ
た。このものの 1H−NMRの測定結果は図5に示すと
おりであった。また、元素分析値は次のとおりであっ
た。 炭素 水素 窒素 (%) 61.03 8.68 0.00 59.82 8.71 0.00(計算値) 以上の結果より上記精製物は下記の構造を有するフェロ
セン誘導体であることがわかる。
【0047】
【化20】
【0048】合成例4A (1)合成例2A(1)に示した11−エトキシカルボ
ニルウンデカン酸クロライドの代わりに、19.3gの9
−エトキシカルボニルノナン酸クロライドを用い、また
10.4gの無水塩化アルミニウムを用い、14.0gのフ
ェロセンと反応させたこと以外は、合成例2A(1)と
同様の操作を行い、下記式で示されるフェロセノイルノ
ナン酸エチル23.4gを得た。
【0049】
【化21】
【0050】(2)合成例2A(2)に示したフェロセ
ノイルウンデカン酸エチルの代わりに、20.5gのフェ
ロセノイルノナン酸エチル(上記(1)で得られたも
の)を用い、また5.1gの水酸化カリウムを用いたこと
以外は、合成例2A(2)と同様の操作を行い、下記式
で示されるフェロセノイルノナン酸19.7gを得た。
【0051】
【化22】
【0052】(3)合成例2A(3)に示したフェロセ
ノイルウンデカン酸の代わりに、11.1gのフェロセノ
イルノナン酸(上記(2)で得られたもの)を用い、ま
た13.1gの亜鉛および5.5gの塩化第二水銀を用いた
こと以外は、合成例2A(3)と同様の操作を行い、下
記式で示されるフェロセニルデカン酸8.3gを得た。
【0053】
【化23】
【0054】合成例4B 上記合成例4Aで得たフェロセニルデカン酸8.19 g
に、82.72gのポリエチレングリコール(平均分子量
600)と濃硫酸0.1ccを加え、80℃で6時間反応さ
せたこと以外は、合成例1Bと同様の操作を行った。得
られた精製物は収率49.2%、収量10.60gであっ
た。このものの 1H−NMRの測定結果は図6に示すと
おりであった。また、元素分析値は次のとおりであっ
た。 炭素 水素 窒素 (%) 60.02 8.63 0.00 59.43 8.63 0.00(計算値) 以上の結果より上記精製物は下記の構造を有するフェロ
セン誘導体であることがわかる。
【0055】
【化24】
【0056】合成例5A (1)合成例2A(1)に示した11−エトキシカルボ
ニルウンデカン酸クロライドの代わりに、29.0gの5
−エトキシカルボニル吉草酸クロライドを用い、また3
2.4gの無水塩化アルミニウムを用い、45.2gのフェ
ロセンと反応させたこと以外は、合成例2A(1)と同
様の操作を行い、下記式で示されるフェロセノイル吉草
酸エチル44.1gを得た。
【0057】
【化25】
【0058】(2)合成例2A(2)に示したフェロセ
ノイルウンデカン酸の代わりに、44.1gのフェロセノ
イル吉草酸エチル(上記(1)で得られたもの)を用
い、また13.3gの水酸化カリウムを用いたこと以外
は、合成例2A(2)と同様の操作を行い、下記式で示
されるフェロセノイル吉草酸36.0gを得た。
【0059】
【化26】
【0060】(3)合成例2A(3)に示したフェロセ
ノイルウンデカン酸の代わりに、9.4gのフェロセノイ
ル吉草酸(上記(2)で得られたもの)を用い、また1
3.1gの亜鉛および5.5gの塩化第二水銀を用いたこと
以外は、合成例2A(3)と同様の操作を行い、下記式
で示されるフェロセニルヘキサン酸6.9gを得た。
【0061】
【化27】
【0062】合成例5B 上記合成例5Aで得たフェロセニルヘキサン酸6.90g
に、184.80gのポリエチレングリコール(平均分子
量1000)と濃硫酸0.1ccを加え、80℃で6時間反
応させたこと以外は、合成例1Bと同様の操作を行っ
た。得られた精製物は収率39.5%、収量11.68gで
あった。このものの 1H−NMRの測定結果は図7に示
すとおりであった。また、元素分析値は次のとおりであ
った。 炭素 水素 窒素 (%) 56.25 9.38 0.00 56.85 9.40 0.00(計算値) 以上の結果より上記精製物は下記の構造を有するフェロ
セン誘導体であることがわかる。
【0063】
【化28】
【0064】合成例6A (1)合成例2A(1)に示したフェロセンの代わり
に、オクタメチルフェロセン(Chem.Ztg.,1976,1
00(3),143(Ger)により既知)16.0gを用
い、また11−エトキシカルボニルウンデカン酸クロラ
イドの代わりに、13.3gの9−エトキシカルボニルノ
ナン酸クロライドを用い、さらに7.2gの無水塩化アル
ミニウムを用い、16.1gのフェロセンと反応させたこ
と以外は合成例2A(1)と同様の操作を行い、下記式
で示されるオクタメチルフェロセノイルノナン酸エチル
6.4gを得た。
【0065】
【化29】
【0066】(2)合成例2A(2)に示したフェロセ
ノイルウンデカン酸エチルの代わりに、6.4gのオクタ
メチルフェロセノイルノナン酸エチル(上記(1)で得
られたもの)を用い、また1.1gの水酸化カリウムを用
いたこと以外は、合成例2A(2)と同様に操作を行
い、下記式で示されるオクタメチルフェロセノイルノナ
ン酸6.0gを得た。
【0067】
【化30】
【0068】(3)合成例2A(3)に示したフェロセ
ノイルウンデカン酸の代わりに、6.0gのオクタメチル
フェロセノイルノナン酸(上記(2)で得られたもの)
を用い、また8.1gの亜鉛および3.3gの塩化第二水銀
を用いたこと以外は、合成例2A(3)と同様の操作を
行い、下記式で示されるオクタメチルフェロセニルデカ
ン酸2.1gを得た。
【0069】
【化31】
【0070】合成例6B 上記合成例6Aで得たオクタメチルフェロセニルデカン
酸2.03gに、86.64gのポリエチレングリコール
(平均分子量2000)と濃硫酸0.1ccを加え、80℃
で6時間反応させたこと以外は、合成例1Bと同様の操
作を行った。得られた精製物は収率15.2%、収量1.6
1gであった。このものの 1H−NMRの測定結果は図
8に示すとおりであった。また、元素分析値は次のとお
りであった。 炭素 水素 窒素 (%) 58.51 9.23 0.00 57.84 9.15 0.00(計算値) 以上の結果より上記精製物は下記の構造を有するフェロ
セン誘導体であることがわかる。
【0071】
【化32】
【0072】実施例1 31.5mlの水に、合成例1Bで得られたフェロセン誘
導体を界面活性剤(ミセル化剤)として1.13mg加
え、これにフタロシアニン10mgを加えて超音波で1
0分間撹拌して分散,溶解させた。さらに、スターラー
により二昼夜撹拌した後、得られたミセル溶液を200
0rpm で1時間遠心分離を行った。この上澄み液の可視
吸収スペクトルを図9(印A)に示す。このことから、
フタロシアニンがミセル溶液に可溶化することが確認さ
れた。なお、溶解度は4.4mM/4mMミセル化剤溶液
であった。
【0073】実施例2 フタロシアニンをフタロシアニン鉄錯体に代えたこと以
外は、実施例1と同様の操作を行った。上澄み液の可視
吸収スペクトルを図9(印B)に示す。このことから、
フタロシアニンがミセル溶液に可溶化することが確認さ
れた。なお、溶解度は0.72mM/4mMミセル化剤溶
液であった。
【0074】実施例3 フタロシアニンをフタロシアニンコバルト錯体に代えた
こと以外は、実施例1と同様の操作を行った。上澄み液
の可視吸収スペクトルを図9(印C)に示す。このこと
から、フタロシアニンがミセル溶液に可溶化することが
確認された。なお、溶解度は0.22mM/4mMミセル
化剤溶液であった。
【0075】実施例4 フタロシアニンをフタロシアニン銅錯体に代えたこと以
外は、実施例1と同様の操作を行った。上澄み液の可視
吸収スペクトルを図9(印D)に示す。このことから、
フタロシアニンがミセル溶液に可溶化することが確認さ
れた。なお、溶解度は0.11mM/4mMミセル化剤溶
液であった。
【0076】実施例5 フタロシアニンをフタロシアニン亜鉛錯体に代えたこと
以外は、実施例1と同様の操作を行った。上澄み液の可
視吸収スペクトルを図9(印E)に示す。このことか
ら、フタロシアニンがミセル溶液に可溶化することが確
認された。なお、溶解度は0.41mM/4mMミセル化
剤溶液であった。
【0077】実施例6 実施例1で調製したミセル溶液10mlに、0.22gの
硫酸リチウム(Li2SO4)を加えて、0.44mMフタロ
シアニン/2mMミセル化剤/0.2M硫酸リチウム溶液
を得、これを電解液とし、陽極にITO、陰極に白金、
参照電極に飽和甘コウ電極を用いて、25℃で印加電圧
0.5V、電流7μAの定電位電解を2時間行った。その
結果、平均粒径1000Åの一次粒子をもつ色素薄膜が
ITO上に生成した。この色素薄膜の走査型電子顕微鏡
(SEM)写真(倍率20000倍,日本電子(株)
製,JSM−T220使用)を図18に示す。また、I
TO上の色素薄膜の可視吸収スペクトルを図10(印
A)に示す。図10(印A)と図9(印A)とがその可
視吸収スペクトルが一致することにより、ITO上の色
素薄膜は、フタロシアニンよりなるものであることが同
定された。
【0078】実施例7 実施例6において電解時間を40分に変えたこと以外
は、実施例6と同様の操作を行った。生成した色素薄膜
の可視吸収スペクトルを図10(印A)に示す。図10
の印Aと印Bを比べると、ここで生成した薄膜は実施例
6と比較して吸収スペクトルが小さく、膜厚は電解時間
で制御できることがわかる。
【0079】実施例8 100ccの水に、合成例2Bで得られたフェロセン誘導
体を界面活性剤(ミセル化剤)として0.193g加え、
これにフタロシアニン100mgを加えて、超音波で1
0分間攪拌して分散,可溶化させた。さらにスターラー
により二昼夜攪拌した後、得られたミセル溶液(分散溶
液)を2000rpm で30分間遠心分離を行った。得ら
れた上澄み液の可視吸収スペクトルを図11(印A)に
示す。このことから、フタロシアニンがミセル溶液に可
溶化(分散)することが確認された。なお、可溶化能
は、フタロシアニン6.4mM/2mMミセル化剤溶液で
あった。この溶液に支持塩としてLi Br を0.1Mにな
るように加え、スターラーで10分間攪拌した。得られ
た溶液を電解液として、陽極にITO透明ガラス電極、
陰極に白金、参照電極として飽和甘コウ電極を用い、2
5℃で印加電圧0.5V,電流密度45μA/cm2 の定
電位電解を30分間行った。このときの通電量は、0.0
9クーロンであった。その結果、フタロシアニンの薄膜
がITO透明ガラス電極上に得られた。このITO透明
ガラス電極上のフタロシアニンの可視吸収スペクトルを
図11(印B)に示す。図11(印A)と図11(印
B)が一致することより、ITO透明ガラス電極上の薄
膜がフタロシアニンであることが確認された。また、こ
の薄膜の厚さは紫外線(UV)吸収スペクトルより、0.
31μmであることが判明した。得られた薄膜のSEM
写真(倍率30000倍,日本電子(株)製,JSM−
T220使用)を図19に示す。
【0080】実施例9 100ccの水に、合成例3Bで得られたフェロセン誘導
体を界面活性剤(ミセル化剤)として0.190g加え、
これにフタロシアニン100mgを加えて、超音波で1
0分間攪拌して分散,可溶化させた。さらにスターラー
により二昼夜攪拌した後、得られたミセル溶液(分散溶
液)を2000rpm で30分間遠心分離を行った。得ら
れた上澄み液の可視吸収スペクトルを図12(印A)に
示す。このことから、フタロシアニンがミセル溶液に可
溶化(分散)することが確認された。なお、可溶化能
は、フタロシアニン7.8mM/2mMミセル化剤溶液で
あった。この溶液に支持塩としてLi Br を0.1Mにな
るように加え、スターラーで10分間攪拌した。得られ
た溶液を電解液として、陽極にITO透明ガラス電極、
陰極に白金、参照電極として飽和甘コウ電極を用い、2
5℃で印加電圧0.5V,電流密度48μA/cm2 の定
電位電解を30分間行った。このときの通電量は、0.0
9クーロンであった。その結果、フタロシアニンの薄膜
がITO透明ガラス電極上に得られた。このITO透明
ガラス電極上のフタロシアニンの可視吸収スペクトルを
図12(印B)に示す。図12(印A)と図12(印
B)が一致することより、ITO透明ガラス電極上の薄
膜がフタロシアニンであることが確認された。また、こ
の薄膜の厚さはUV吸収スペクトルより、1.05μmで
あることが判明した。得られた薄膜のSEM写真(倍率
30000倍,日本電子(株)製,JSM−T220使
用)を図20に示す。
【0081】実施例10 100ccの水に、合成例4Bで得られたフェロセン誘導
体を界面活性剤(ミセル化剤)として0.187g加え、
これにフタロシアニン100mgを加えて、超音波で1
0分間攪拌して分散,可溶化させた。さらにスターラー
により二昼夜攪拌した後、得られたミセル溶液(分散溶
液)を2000rpm で30分間遠心分離を行った。得ら
れた上澄み液の可視吸収スペクトルを図13(印A)に
示す。このことから、フタロシアニンがミセル溶液に可
溶化(分散)することが確認された。なお、可溶化能
は、フタロシアニン8.2mM/2mMミセル化剤溶液で
あった。この溶液に支持塩としてLi Br を0.1Mにな
るように加え、スターラーで10分間攪拌した。得られ
た溶液を電解液として、陽極にITO透明ガラス電極、
陰極に白金、参照電極として飽和甘コウ電極を用い、2
5℃で印加電圧0.5V,電流密度72μA/cm2 の定
電位電解を30分間行った。このときの通電量は、0.1
3クーロンであった。その結果、フタロシアニンの薄膜
がITO透明ガラス電極上に得られた。このITO透明
ガラス電極上のフタロシアニンの可視吸収スペクトルを
図13(印B)に示す。図13(印A)と図13(印
B)が一致することより、ITO透明ガラス電極上の薄
膜がフタロシアニンであることが確認された。また、こ
の薄膜の厚さはUV吸収スペクトルより、1.85μmで
あることが判明した。得られた薄膜のSEM写真(倍率
30000倍,日本電子(株)製,JSM−T220使
用)を図21に示す。
【0082】実施例11 100ccの水に、合成例5Bで得られたフェロセン誘導
体を界面活性剤(ミセル化剤)として0.176g加え、
これにフタロシアニン100mgを加えて、超音波で1
0分間攪拌して分散,可溶化させた。さらにスターラー
により二昼夜攪拌した後、得られたミセル溶液(分散溶
液)を2000rpmで30分間遠心分離を行った。得ら
れた上澄み液の可視吸収スペクトルを図14(印A)に
示す。このことから、フタロシアニンがミセル溶液に可
溶化(分散)することが確認された。なお、可溶化能
は、フタロシアニン1.8mM/2mMミセル化剤溶液で
あった。この溶液に支持塩としてLi Br を0.1Mにな
るように加え、スターラーで10分間攪拌した。得られ
た溶液を電解液として、陽極にITO透明ガラス電極、
陰極に白金、参照電極として飽和甘コウ電極を用い、2
5℃で印加電圧0.5V,電流密度17μA/cm2 の定
電位電解を30分間行った。このときの通電量は、0.0
4クーロンであった。その結果、フタロシアニンの薄膜
がITO透明ガラス電極上に得られた。このITO透明
ガラス電極上のフタロシアニンの可視吸収スペクトルを
図14(印B)に示す。図14(印A)と図14(印
B)が一致することより、ITO透明ガラス電極上の薄
膜がフタロシアニンであることが確認された。また、こ
の薄膜の厚さはUV吸収スペクトルより、0.04μmで
あることが判明した。
【0083】実施例12 100ccの水に、合成例6Bで得られたフェロセン誘導
体を界面活性剤(ミセル化剤)として0.210g加え、
これにフタロシアニン100mgを加えて、超音波で1
0分間攪拌して分散,可溶化させた。さらにスターラー
により二昼夜攪拌した後、得られたミセル溶液(分散溶
液)を2000rpm で30分間遠心分離を行った。得ら
れた上澄み液の可視吸収スペクトルを図15(印A)に
示す。このことから、フタロシアニンがミセル溶液に可
溶化(分散)することが確認された。なお、可溶化能
は、フタロシアニン4.0mM/2mMミセル化剤溶液で
あった。この溶液に支持塩としてLi Br を0.1Mにな
るように加え、スターラーで10分間攪拌した。得られ
た溶液を電解液として、陽極にITO透明ガラス電極、
陰極に白金、参照電極として飽和甘コウ電極を用い、2
5℃で印加電圧0.5V,電流密度124μA/cm2
定電位電解を30分間行った。このときの通電量は、0.
23クーロンであった。その結果、フタロシアニンの薄
膜がITO透明ガラス電極上に得られた。このITO透
明ガラス電極上のフタロシアニンの可視吸収スペクトル
を図15(印B)に示す。図15(印A)と図15(印
B)が一致することより、ITO透明ガラス電極上の薄
膜がフタロシアニンであることが確認された。また、こ
の薄膜の厚さはUV吸収スペクトルより、4.6μmであ
ることが判明した。
【0084】実施例13 100ccの水に、合成例1Bで得られたフェロセン誘導
体を界面活性剤(ミセル化剤)として0.188g加え、
これにフタロシアニン鉄錯体100mgを加えて、超音
波で10分間攪拌して分散,可溶化させた。さらにスタ
ーラーにより二昼夜攪拌した後、得られたミセル溶液
(分散溶液)を2000rpm で30分間遠心分離を行っ
た。得られた上澄み液の可視吸収スペクトルを図16
(印A)に示す。このことから、フタロシアニン鉄錯体
がミセル溶液に可溶化(分散)することが確認された。
なお、可溶化能は、フタロシアニン鉄錯体4.1mM/2
mMミセル化剤溶液であった。この溶液に支持塩として
Li Br を0.1Mになるように加え、スターラーで10
分間攪拌した。得られた溶液を電解液として、陽極にI
TO透明ガラス電極、陰極に白金、参照電極として飽和
甘コウ電極を用い、25℃で印加電圧0.5V,電流密度
14μA/cm2 の定電位電解を30分間行った。この
ときの通電量は、0.03クーロンであった。その結果、
フタロシアニン鉄錯体の薄膜がITO透明ガラス電極上
に得られた。このITO透明ガラス電極上のフタロシア
ニン鉄錯体の可視吸収スペクトルを図16(印B)に示
す。図16(印A)と図16(印B)が一致することよ
り、ITO透明ガラス電極上の薄膜がフタロシアニン鉄
錯体であることが確認された。また、この薄膜の厚さは
UV吸収スペクトルより、0.16μmであることが判明
した。
【0085】実施例14 100ccの水に、合成例1Bで得られたフェロセン誘導
体を界面活性剤(ミセル化剤)として0.188g加え、
これにフタロシアニン銅錯体100mgを加えて、超音
波で10分間攪拌して分散,可溶化させた。さらにスタ
ーラーにより二昼夜攪拌した後、得られたミセル溶液
(分散溶液)を2000rpm で30分間遠心分離を行っ
た。得られた上澄み液の可視吸収スペクトルを図17
(印A)に示す。このことから、フタロシアニン銅錯体
がミセル溶液に可溶化(分散)することが確認された。
なお、可溶化能は、フタロシアニン銅錯体3.8mM/2
mMミセル化剤溶液であった。この溶液に支持塩として
Li Br を0.1Mになるように加え、スターラーで10
分間攪拌した。得られた溶液を電解液として、陽極にI
TO透明ガラス電極、陰極に白金、参照電極として飽和
甘コウ電極を用い、25℃で印加電圧0.5V,電流密度
43μA/cm2 の定電位電解を30分間行った。この
ときの通電量は、0.11クーロンであった。その結果、
フタロシアニン銅錯体の薄膜がITO透明ガラス電極上
に得られた。このITO透明ガラス電極上のフタロシア
ニン銅錯体の可視吸収スペクトルを図17(印B)に示
す。図17(印A)と図17(印B)が一致することよ
り、ITO透明ガラス電極上の薄膜がフタロシアニン銅
錯体であることが確認された。また、この薄膜の厚さは
UV吸収スペクトルより、0.08μmであることが判明
した。
【0086】
【発明の効果】本発明の方法によれば、特定のフェロセ
ン誘導体を界面活性剤(ミセル化剤)として用いると、
水溶液系でミセルを形成し、利用分野の広いフタロシア
ニン等の色素や各種疎水性ポリマー等を可溶化すること
ができる。また、この界面活性剤(ミセル化剤)を加え
るとともに、水溶液電解によりミセルの集合離散を利用
する本発明の方法に従えば、膜厚の極めて薄い有機薄膜
を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の方法の原理を模式的に示す説明図
である。
【図2】 合成例1Bで得られたフェロセン誘導体の
1H−NMRを示す。
【図3】 合成例1Cで得られたフェロセン誘導体の
1H−NMRを示す。
【図4】 合成例2Bで得られたフェロセン誘導体の
1H−NMRを示す。
【図5】 合成例3Bで得られたフェロセン誘導体の
1H−NMRを示す。
【図6】 合成例4Bで得られたフェロセン誘導体の
1H−NMRを示す。
【図7】 合成例5Bで得られたフェロセン誘導体の
1H−NMRを示す。
【図8】 合成例6Bで得られたフェロセン誘導体の
1H−NMRを示す。
【図9】 実施例1〜5で得られた上澄み液の可視吸
収スペクトルを示す。
【図10】 実施例6,7で得られたITO上の色素薄
膜の可視吸収スペクトルを示す。
【図11】 実施例8で得られた上澄み液の可視吸収ス
ペクトルとITO上の色素薄膜の可視吸収スペクトルを
示す。
【図12】 実施例9で得られた上澄み液の可視吸収ス
ペクトルとITO上の色素薄膜の可視吸収スペクトルを
示す。
【図13】 実施例10で得られた上澄み液の可視吸収
スペクトルとITO上の色素薄膜の可視吸収スペクトル
を示す。
【図14】 実施例11で得られた上澄み液の可視吸収
スペクトルとITO上の色素薄膜の可視吸収スペクトル
を示す。
【図15】 実施例12で得られた上澄み液の可視吸収
スペクトルとITO上の色素薄膜の可視吸収スペクトル
を示す。
【図16】 実施例13で得られた上澄み液の可視吸収
スペクトルとITO上の色素薄膜の可視吸収スペクトル
を示す。
【図17】 実施例14で得られた上澄み液の可視吸収
スペクトルとITO上の色素薄膜の可視吸収スペクトル
を示す。
【図18】 実施例6で形成された薄膜の表面構造を示
すSEM写真である。
【図19】 実施例8で形成された薄膜の表面構造を示
すSEM写真である。
【図20】 実施例9で形成された薄膜の表面構造を示
すSEM写真である。
【図21】 実施例10で形成された薄膜の表面構造を
示すSEM写真である。
【符号の説明】
1:フェロセン誘導体 2:疎水性有機物質 3:ミセル 4:酸化されたフェロセン誘導体 5:陽極 6:陰極 Fc :フェロセン e- :電子

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 疎水性有機物質を、水性媒体中で一般式 【化1】 〔式中、R1 およびR2 はそれぞれ水素,メチル基ある
    いはエチル基を示し、XはOまたはCOOを示し、mは
    1〜4,nは1〜5,tは2〜18の整数を示し、sは
    2.0〜45.0の実数を示す。〕で表わされるフェロセン
    誘導体を含有する界面活性剤にて可溶化し、得られるミ
    セル溶液を電解して電極上に前記疎水性有機物質の薄膜
    を形成することを特徴とする有機薄膜の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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