JPH0762275B2 - フタロシアニン化合物銅錯体薄膜の製造方法 - Google Patents

フタロシアニン化合物銅錯体薄膜の製造方法

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JPH0762275B2 JP63177793A JP17779388A JPH0762275B2 JP H0762275 B2 JPH0762275 B2 JP H0762275B2 JP 63177793 A JP63177793 A JP 63177793A JP 17779388 A JP17779388 A JP 17779388A JP H0762275 B2 JPH0762275 B2 JP H0762275B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明はフタロシアニン化合物銅錯体薄膜の製造方法に
関し、詳しくはフタロシアニン化合物銅錯体を素材とし
て、特定のミセル化剤を用いると共に電気化学的手法を
講じることにより、カラーフィルター,光電変換素子,
コーティング材料等に利用しうるフタロシアニン化合物
銅錯体の薄膜を効率よく製造する方法に関する。
〔従来の技術及び発明が解決しようとする課題〕
従来から、フタロシアニン系色素は透明性に優れた有機
色素として注目されており、カラーフィルターや光電変
換素子としてその機能が注目されている。しかし、これ
らの機能を効果的に発揮させるためには、薄膜化が必要
であるが、該色素はほとんどの溶媒に溶解しないため、
薄膜化が困難であった。その結果、フタロシアニン系色
素を素材として高性能のカラーフィルターや光電変換素
子を形成することは、極めて困難であり、実用化されて
いないのが現状である。
なお、フタロシアニン化合物銅錯体の薄膜化について
は、従来から真空蒸着法が試みられているが、蒸着しに
くく、また特にフタロシアニングリーンなどの場合に
は、分解してしまうため薄膜化は不可能であった。
本発明者らはこのような状況下で、フタロシアニン化合
物銅錯体の薄膜化に関して、各種の方法を試みた。
〔課題を解決するための手段〕
その結果、先般、本発明者らのグループが開発した所謂
ミセル電解法(特開昭63-243298号公報等)を適用する
と、容易に薄膜化が可能であるとともに、得られるフタ
ロシアニン化合物銅錯体の薄膜が、カラーフィルターや
光電変換素子として極めて有効に利用できることを見出
した。
本発明はかかる知見に基づいて完成したものである。す
なわち本発明は、フタロシアニン化合物銅錯体を、水性
媒体中で下記一般式で表されるフェロセン誘導体よりな
るミセル化剤にて可溶化し、得られるミセル溶液を電解
して電極上に前記フタロシアニン化合物銅錯体の薄膜を
形成することを特徴とするフタロシアニン化合物銅錯体
薄膜の製造方法を提供するものである。
式中、Yは酸素あるいはオキシカルボニル基を示し、Z
及びZ′はそれぞれ水素、メチル基、エチル基、メトキ
シ基、あるいはカルボメトキシ基を示す。また、aは2
〜18の整数を示し、bは2.0〜50.0の実数を示す。
本発明の方法は、所謂ミセル電解法の原理にしたがって
進行し、電極(陽極)上にフタロシアニン化合物銅錯体
の薄膜が形成される。つまり、水に必要に応じて支持電
解質等を加えて電気伝導度を調節した水性媒体に、フェ
ロセン誘導体よりなるミセル化剤とフタロシアニン化合
物銅錯体の微粒子を加えて充分に混合攪拌して分散させ
ると、該フタロシアニン化合物銅錯体を内部にとり込ん
だミセルが形成され、これを電解処理するとミセルが陽
極に引き寄せられて陽極上でミセル中のフェロセン誘導
体が電子e-を失い(フェロセン中のFe2+がFe3+に酸化さ
れる)、それとともにミセルが崩壊して内部のフタロシ
アニン化合物銅錯体が陽極上に析出して薄膜を形成す
る。一方、酸化されたフェロセン誘導体は陰極に引き寄
せられて電子e-を受け取り、再びミセルを形成する。
このようなミセルの形成と崩壊が繰返される過程で、フ
タロシアニン化合物銅錯体の粒子が陽極上に析出して薄
膜状のものとなり、目的とする薄膜が形成されるのであ
る。
本発明の方法で用いるミセル化剤は、フェロセン誘導体
よりなるものであり、一般式 で表わされるエーテル型のフェロセン誘導体が用いられ
る。ここで、aは2〜18の整数を示し、またbは2.0〜5
0.0の実数である。aは上述の如く2〜18の整数である
から、環員炭素原子とYとの間にエチレン基,プロピレ
ン基等の炭素数2〜18のアルキレン基が介在したものと
なる。また、bは2.0〜50.0の間の整数のみならず、こ
れらを含む実数を意味するが、これはフェロセン誘導体
を構成するオキシエチレン基(−CH2CH2O−)の繰返し
数の平均値を示すものである。さらに、上記一般式中の
Yは、酸素(−O−)あるいはオキシカルボニル基 を示し、Z,Z′はそれぞれ水素、メチル基、エチル基、
メトキシ基、あるいはカルボメトキシ基を示す。
これらのエーテル型のフェロセン誘導体は、国際公開公
報WO89/01939明細書に記載された方法等によって製造す
ることができる。
本発明の方法では、まず水性媒体中に上記のフェロセン
誘導体よりなるミセル化剤,支持塩ならびにフタロシア
ニン化合物銅錯体を入れて、超音波,ホモジナイザーあ
るいは攪拌機等により充分に分散させてミセルを形成せ
しめ、その後必要に応じて過剰の該フタロシアニン化合
物銅錯体を除去し、得られたミセル溶液を静置したまま
あるいは若干の攪拌を加えながら上述の電極を用いて電
解処理する。また、電解処理中にフタロシアニン化合物
銅錯体をミセル溶液に補充添加してもよく、あるいは陽
極近傍のミセル溶液を系外へ抜き出し、抜き出したミセ
ル溶液にフタロシアニン化合物銅錯体を加えて充分に混
合攪拌し、しかる後にこの液を陰極近傍へ戻す循環回路
を併設してもよい。この際のフタロシアニン化合物銅錯
体の濃度は、限界ミセル濃度以上、具体的には約0.1mM
以上であればよい。また電解条件は、各種状況に応じて
適宜選定すればよいが、通常は液温0〜70℃、好ましく
は5〜40℃、電圧0.03〜1.00V、好ましくは0.15〜0.7V
とし、電流密度10mA/cm2以下、好ましくは50〜300μA/c
m2とする。
この電解処理を行うと、ミセル電解法の原理にしたがっ
た反応が進行する。これをフェロセン誘導体中のFeイオ
ンの挙動に着目すると、陽極ではフェロセンのFe2+がFe
3+となって、ミセルが崩壊し、フタロシアニン化合物銅
錯体の粒子(300〜2000Å程度)が陽極上に析出する。
一方、陰極では陽極で酸化されたFe3+がFe2+に還元され
てもとのミセルに戻るので、繰返し同じ溶液で製膜操作
を行うことができる。
このような電解処理により、陽極上には所望するフタロ
シアニン化合物銅錯体の300〜2000Å程度の粒子による
薄膜が形成される。
上記本発明の方法で用いる支持塩(支持電解質)は、水
性媒体の電気伝導度を調節するために必要に応じて加え
るものである。この支持塩の添加量は、可溶化している
フタロシアニン化合物銅錯体の析出を妨げない範囲であ
ればよく、通常は上記ミセル化剤の10〜300倍程度の濃
度、好ましくは50〜200倍程度の濃度を目安とする。こ
の支持塩を加えずに電解を行うこともできるが、この場
合支持塩を含まない純度の高い薄膜が得られる。また、
支持塩を用いる場合、その支持塩の種類は、ミセルの形
成や電極への前記フタロシアニン化合物銅錯体の析出を
妨げることなく、水性媒体の電気伝導度を調節しうるも
のであれば特に制限はない。
具体的には、一般広く支持塩として用いられている硫酸
塩(リチウム,カリウム,ナトリウム,ルビジウム,ア
ルミニウムなどの塩),酢酸塩(リチウム,カリウム,
ナトリウム,ルビジウム,ベリリウム,マグネシウム,
カルシウム,ストロンチウム,バリウム,アルミニウム
などの塩),ハロゲン化物塩(リチウム,カリウム,ナ
トリウム,ルビジウム,カルシウム,マグネシウム,ア
ルミニウムなどの塩),水溶性酸化物塩(リチウム,カ
リウム,ナトリウム,ルビジウム,カルシウム,マグネ
シウム,アルミニウムなどの塩)が好適である。
また、本発明の方法で用いる電極は、フェロセンの酸化
電位(+0.15V対飽和甘コウ電極)より貴な金属もしく
は導電体であればよい。具体的にはITO(酸化インジウ
ムと酸化スズとの混合酸化物),白金,金,銀,グラシ
ーカーボン,導電性金属酸化物,有機ポリマー導電体な
どがあげられる。
本発明の方法において、薄膜の製造原料であるフタロシ
アニン化合物銅錯体としては、フタロシアニン銅錯体を
はじめ、フタロシアニン基に各種の置換基の導入された
フタロシアニン誘導体の銅錯体など様々なものがある
が、例えばPcをフタロシアニン基として表示するとPc−
Cu(α型),Pc−Cu(β型),Pc−Cu(τ型),Pc−Cu
(x型),Pc−Cu(ε型),Cl−Pc−Cu(フタロシアニン
ブルー),Cl16−Pc−Cu(スタロシアニングリーン),
Cl10Br6−Pc−Cu,Cl8Br8−Pc−Cu,ClxBry−Pc−Cu〔x,y
はx≧0,y≧0,1≦x+y≦16を満たす整数である。〕,
Xn−Pc−Cu〔XはCH3,COOH,NH2,C(CH3)3,Br,Cl,Fある
いはIを示し、nは1〜16のいずれかの整数を示す。〕
などがあげられる。
〔実施例〕
次に、本発明を実施例によりさらに詳しく説明する。
実施例1 20mlの水に非イオン系ミセル化剤として で表わされる化合物(FPEG)を198mg加え、これにPc−C
u(α型)(大日本精化工業(株)製)を115mg加えて超
音波で10分間攪拌した後、得られたミセル溶液を2000rp
mで1時間遠心分離を行った。この上澄み液の可視吸収
スペクトルを第1図(印A)に示す。このことから、Pc
−Cu(α型)がミセル溶液に可溶化することが確認され
た。なお、溶解度は5.3mM/2mMミセル化剤溶液であっ
た。
次に、このミセル溶液20mlに、支持電解質として0.210g
のLiBrを加えて、5.3mM Pc−Cu(α型)/2mMミセル化剤
/0.1M LiBr溶液を得、これを電解液とし、陽極にITO、
陰極に白金、参照電極に飽和甘コウ電極を用いて、温度
25℃,印加電極0.500V,電流密度8.5μA/cm2の条件で定
電位電解を30分行った。このときの通電量は0.021クー
ロンであった。
その結果、Pc−Cu(α型)の薄膜が陽極上に形成され
た。この陽極上の薄膜の可視吸収スペクトルを第1図
(印B)に示す。第1図の印Aと印Bの吸収ピークがそ
れぞれ一致することにより、陽極上の色素薄膜は用いた
Pc−Cu(α型)からなるものであることが確認された。
なお、薄膜の厚さは、紫外線吸収(UV)スペクトルの測
定より、0.8μmであることがわかった。また、薄膜の
表面の走査型電子顕微鏡(SEM)写真(日本電子(株)
製,JSM−T220使用)を第7図に示し、薄膜の断面のSEM
写真を第8図に示す。
実施例2 20mlの水に、非イオン系ミセル化剤として実施例1で用
いたFPEGを198mg加え、これにPc−Cu(β型)(大日本
精化工業(株)製)を115mg加えて超音波で10分間攪拌
した後、得られたミセル溶液を2000rpmで1時間遠心分
離を行った。この上澄み液の可視吸収スペクトルを第2
図(印A)に示す。このことから、Pc−Cu(β型)がミ
セル溶液に可溶化することが確認された。なお、溶解度
は5.1mM/2mMミセル化剤溶液であった。
次に、このミセル溶液20mlに、支持電解質として0.210g
のLiBrを加えて、5.1mM Pc−Cu(β型)/2mMミセル化剤
/0.1M LiBr溶液を得、これを電解液とし、陽極にITO、
陰極に白金、参照電極に飽和甘コウ電極を用いて、温度
25℃,印加電極0.500V,電流密度4.3μA/cm2の条件で定
電位電解を30分行った。このときの通電量は0.012クー
ロンであった。
その結果、Pc−Cu(β型)の薄膜が陽極上に形成され
た。この陽極上の薄膜の可視吸収スペクトルを第2図
(印B)に示す。第2図の印Aと印Bの吸収ピークがそ
れぞれ一致することにより、陽極上の色素薄膜は用いた
Pc−Cu(β型)からなるものであることが確認された。
なお、薄膜の厚さは、紫外線吸収(UV)スペクトルの測
定より、0.3μmであることがわかった。また、薄膜の
表面のSEM写真を第9図に示し、薄膜の断面のSEM写真を
第10図に示す。
実施例3 20mlの水に、非イオン系ミセル化剤として実施例1で用
いたFPEGを198mg加え、これにCl16−Pc−Cu(フタロシ
アニングリーン)(東京化成工業(株)製)を229mg加
えて超音波で10分間攪拌した後、得られたミセル溶液を
2000rpmで1時間遠心分離を行った。この上澄み液の可
視吸収スペクトルを第3図(印A)に示す。このことか
ら、Cl16−Pc−Cuがミセル溶液に可溶化することが確認
された。なお、溶解度は5.1mM/2mMミセル化剤溶液であ
った。
次に、このミセル溶液20mlに、支持電解質として0.210g
のLiBrを加えて、1.5mM Cl16−Pc−Cu/2mMミセル化剤/
0.1M LiBr溶液を得、これを電解液とし、陽極にITO、陰
極に白金、参照電極に飽和甘コウ電極を用いて、温度25
℃,印加電極0.500V,電流密度12.6μA/cm2の条件で定電
位電解を30分行った。このときの通電量は0.023クーロ
ンであった。
その結果、Cl16−Pc−Cuの薄膜が陽極上に形成された。
この陽極上の薄膜の可視吸収スペクトルを第3図(印
B)に示す。第3図の印Aと印Bの吸収ピークがそれぞ
れ一致することにより、陽極上の色素薄膜は用いたCl16
−Pc−Cuからなるものであることが確認された。
なお、薄膜の厚さは、紫外線吸収(UV)スペクトルの測
定より、0.1μmであることがわかった。
実施例4 20mlの水に、非イオン系ミセル化剤として実施例1で用
いたFPEGを198mg加え、これにCl−Pc−Cu(フタロシア
ニンブルー)(東京化成工業(株)製)を122mg加えて
超音波で10分間攪拌した後、得られたミセル溶液を2000
rpmで1時間遠心分離を行った。この上澄み液の可視吸
収スペクトルを第4図(印A)に示す。このことから、
Cl−Pc−Cuがミセル溶液に可溶化することが確認され
た。なお、溶解度は4.2mM/2mMミセル化剤溶液であっ
た。
次に、このミセル溶液20mlに、支持電解質として0.210g
のLiBrを加えて、4.2mM Cl−Pc−Cu/2mMミセル化剤/0.1
M LiBr溶液を得、これを電解液とし、陽極にITO、陰極
に白金、参照電極に飽和甘コウ電極を用いて、温度25
℃,印加電極0.500V,電流密度27μA/cm2の条件で定電位
電解を30分行った。このときの通電量は0.05クーロンで
あった。
その結果、Cl−Pc−Cuの薄膜が陽極上に形成された。こ
の陽極上の薄膜の可視吸収スペクトルを第4図(印B)
に示す。第4図の印Aと印Bの吸収ピークがそれぞれ一
致することにより、陽極上の色素薄膜は用いたCl−Pc−
Cuからなるものであることが確認された。
なお、薄膜の厚さは、紫外線吸収(UV)スペクトルの測
定より、0.8μmであることがわかった。
実施例5 20mlの水に、非イオン系ミセル化剤として実施例1で用
いたFPEGを198mg加え、これにCl10Br6−Pc−Cu(ヘリオ
ゲングリーン(K8730))(BASFジャパン(株)製)を2
82mg加えて超音波で10分間攪拌した後、得られたミセル
溶液を2000rpmで1時間遠心分離を行った。この上澄み
液の可視吸収スペクトルを第5図(印A)に示す。この
ことから、Cl10Br6−Pc−Cuがミセル溶液に可溶化する
ことが確認された。なお、溶解度は4.2mM/2mMミセル化
剤溶液であった。
次に、このミセル溶液20mlに、支持電解質として0.210g
のLiBrを加えて、4.2mM Cl10Br6−Pc−Cu/2mMミセル化
剤/0.1M LiBr溶液を得、これを電解液とし、陽極にIT
O、陰極に白金、参照電極に飽和甘コウ電極を用いて、
温度25℃,印加電圧0.500V,電流密度8.2μA/cm2の条件
で定電位電解を30分行った。このときの通電量は0.015
クーロンであった。
その結果、Cl10Br6−Pc−Cuの薄膜が陽極上に形成され
た。この陽極上の薄膜の可視吸収スペクトルを第5図
(印B)に示す。第5図の印Aと印Bの吸収ピークがそ
れぞれ一致することにより、陽極上の色素薄膜は用いた
Cl10Br6−Pc−Cuからなるものであることが確認され
た。
なお、薄膜の厚さは、紫外線吸収(UV)スペクトルの測
定より、0.9μmであることがわかった。
実施例6 20mlの水に、非イオン系ミセル化剤として実施例1で用
いたFPEGを198mg加え、これにCl8Br8−Pc−Cu(ヘリオ
ゲングリーン(K9360))(BASFジャパン(株)製)を3
00mg加えて超音波で10分間攪拌した後、得られたミセル
溶液を2000rpmで1時間遠心分離を行った。この上澄み
液の可視吸収スペクトルを第6図(印A)に示す。この
ことから、Cl8Br8−Pc−Cuがミセル溶液に可溶化するこ
とが確認された。なお、溶解度は3.8mM/2mMミセル化剤
溶液であった。
次に、このミセル溶液20mlに、支持電解質として0.210g
のLiBrを加えて、3.8mM Cl8Br8−Pc−Cu/2mMミセル化剤
/0.1M LiBr溶液を得、これを電解液とし、陽極にITO、
陰極に白金、参照電極に飽和甘コウ電極を用いて、温度
25℃,印加電圧0.500V,電流密度11.2μA/cm2の条件で定
電位電解を30分行った。このときの通電量は0.018クー
ロンであった。
その結果、Cl8Br8−Pc−Cuの薄膜が陽極上に形成され
た。この陽極上の薄膜の可視吸収スペクトルを第6図
(印B)に示す。第6図の印Aと印Bの吸収ピークがそ
れぞれ一致することにより、陽極上の色素薄膜は用いた
Cl8Br8−Pc−Cuからなるものであることが確認された。
なお、薄膜の厚さは、紫外線吸収(UV)スペクトルの測
定より、0.7μmであることがわかった。また、薄膜の
断面のSEM写真を第11図に示す。
〔発明の効果〕
叙上の如く本発明の方法によれば、フタロシアニン化合
物銅錯体の薄膜を、有機溶剤を使用することなく、室温
程度の温度にて効率よく製造することができる。しか
も、形成される薄膜を大面積化することも、また膜厚を
調節することも容易である。そのうえ、得られる薄膜
は、緑色や青色等の色相を有すると共に、透明性にすぐ
れているため、カラーフィルターや液晶表示材料等に特
に好適に使用される。
また、本発明の方法で得られるフタロシアニン化合物銅
錯体の薄膜は、各種製品の塗装や着色をはじめ、光電変
換材料,太陽電池,感光材料,透明電極,光メモリー材
料,薄膜電極,センサー,電極触媒などに幅広くかつ有
効に利用される。
【図面の簡単な説明】
第1図は実施例1で得られた上澄み液の可視吸収スペク
トル(印A)及び形成された薄膜の可視吸収スペクトル
(印B)、第2図は実施例2で得られた上澄み液の可視
吸収スペクトル(印A)及び形成された薄膜の可視吸収
スペクトル(印B)、第3図は実施例3で得られた上澄
み液の可視吸収スペクトル(印A)及び形成された薄膜
の可視吸収スペクトル(印B)、第4図は実施例4で得
られた上澄み液の可視吸収スペクトル(印A)及び形成
された薄膜の可視吸収スペクトル(印B)、第5図は実
施例5で得られた上澄み液の可視吸収スペクトル(印
A)及び形成された薄膜の可視吸収スペクトル(印
B)、第6図は実施例6で得られた上澄み液の可視吸収
スペクトル(印A)及び形成された薄膜の可視吸収スペ
クトル(印B)、第7図は実施例1で形成された薄膜の
表面構造を示すSEM写真(倍率35000倍)、第8図はその
薄膜の断面構造を示すSEM写真(倍率35000倍)、第9図
は実施例2で形成された薄膜の表面構造を示すSEM写真
(倍率35000倍)、第10図はその薄膜の断面構造を示すS
EM写真(倍率20000倍)、第11図は実施例6で形成され
た薄膜の断面構造を示すSEM写真(倍率10000倍)をそれ
ぞれ示す。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】フタロシアニン化合物銅錯体を、水性媒体
    中で下記一般式で表されるフェロセン誘導体よりなるミ
    セル化剤にて可溶化し、得られるミセル溶液を電解して
    電極上に前記フタロシアニン化合物銅錯体の薄膜を形成
    することを特徴とするフタロシアニン化合物銅錯体薄膜
    の製造方法。 式中、Yは酸素あるいはオキシカルボニル基を示し、Z
    及びZ′はそれぞれ水素、メチル基、エチル基、メトキ
    シ基、あるいはカルボメトキシ基を示す。また、aは2
    〜18の整数を示し、bは2.0〜50.0の実数を示す。
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