JPH072758B2 - 新規フェロセン誘導体,それを含有する界面活性剤及び有機薄膜の製造方法 - Google Patents

新規フェロセン誘導体,それを含有する界面活性剤及び有機薄膜の製造方法

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JPH072758B2
JPH072758B2 JP1070681A JP7068189A JPH072758B2 JP H072758 B2 JPH072758 B2 JP H072758B2 JP 1070681 A JP1070681 A JP 1070681A JP 7068189 A JP7068189 A JP 7068189A JP H072758 B2 JPH072758 B2 JP H072758B2
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義雄 廣井
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、新規フェロセン誘導体,それを含有する界面
活性剤及び有機薄膜の製造方法に関し、詳しくはフェロ
セン骨格に結合する長鎖の置換基にトリアジン環を含有
する新規な構造のフェロセン誘導体、及び該フェロセン
誘導体を含有し、フタロシアニン等の疎水性有機物質を
可溶化することのできる界面活性剤、並びにこの界面活
性剤を用いて疎水性有機物質を可溶化する方法及びその
薄膜を製造する方法に関する。
〔従来の技術及び発明が解決しようとする課題〕
一般に、フタロシアニンあるいはその誘導体等の色素
は、水に対して不溶であり、また、ジメチルホルムアミ
ド(DMF),テトラヒドロフラン(THF)等の有機溶媒に
は可溶であるが、その可溶化量は少なく、数mg程度の溶
解度しかない。
従来からこのフタロシアニン等を水に溶かすための界面
活性剤が研究されているが、未だ満足しうるものは開発
されていない。官能基置換したフタロシアニン誘導体に
ついては、スルホン系界面活性剤で若干水に溶解できる
ことが報告されているが、その溶解度は必ずしも充分に
高くなく、しかも無置換のフタロシアニンについては全
く溶解することができない。
また、水に不溶性のポリマーについても、上述したと同
様に水に溶かすための界面活性剤が研究されているが、
未だ充分な成果が得られていないのが現状である。
本発明者らのグループは、先般、フタロシアニンやその
誘導体等の色素あるいは水に不溶性のポリマー等を可溶
化する界面活性剤として、ポリオキシエチレン鎖を有す
るフェロセン誘導体を開発し、また該フェロセン誘導体
を用いて所謂ミセル電解法にて有機薄膜を形成する方法
を開発した(PCT/JP88/00855)。
本発明者らは、上記界面活性剤を改良して、ミセル電解
法にあたって疎水性有機物質の可溶化能を一段と向上さ
せるとともに、酸化還元電位を降下させ、製膜速度を向
上させて有機薄膜の製造効率を高める方法を開発すべく
鋭意研究を重ねた。
その結果、フェロセン骨格に結合する長鎖の置換基に、
トリアジン環を含有せしめることによって、目的を達成
できることを見出した。本発明はかかる知見に基いて完
成したものである。
〔課題を解決するための手段〕
すなわち本発明は、一般式 〔式中、R1及びR2はそれぞれH又はCH3を示し、kは1
〜20の整数、i及びhはそれぞれ2〜70の実数を示
す。〕 で表わされる新規フェロセン誘導体を提供するととも
に、この新規フェロセン誘導体を含有する界面活性剤を
提供する。さらに、本発明は疎水性有機物質を、水性媒
体中で前記新規フェロセン誘導体を含有する界面活性剤
にて可溶化する方法、及び得られるミセル溶液を電解し
て電極上に前記疎水性有機物質の薄膜を形成することを
特徴とする有機薄膜の製造方法をも提供する。
ここで、親水基である上記一般式〔I〕中の の繰返し数を示すi及びhは、2〜70の整数のみなら
ず、これらを含む実数を意味するが、これは上記親水基
の繰返し数の平均値を示すものである。また、この一般
式〔I〕中の各記号は前述した通りであり、R1及びR2
それぞれ水素(H),又はメチル基(CH3)を示し、こ
れらは同一であっても異なってもよい。
このような一般式〔I〕で表わされる新規フェロセン誘
導体は、様々な方法により製造することができる。代表
的な製造方法としては、一般式 で表わされるフェロセンあるいはその誘導体に、 一般式 〔式中、Rはメチル基,エチル基等のアルキル基を示
し、Xはハロゲンを示す。kは前記と同じ。但し、k−
2≧0を条件とする。〕 で表わされるアルコキシカルボニルアルカン酸ハライド
を、塩化メチレン,二硫化炭素、四塩化炭素,エチレン
ジクロライド,ニトロベンゼン等の溶媒中で、AlCl3,F
eCl2,FeCl3,SbCl5,SnCl4等のルイス酸を用いたフリ
ーデルクラフツ反応により、一般式 〔式中、R及びkは前記と同じ。〕 で表わされる化合物とする。
次いで。この化合物をテトラヒドロフラン,ジオキサン
等の非プロトン性極性溶媒などを溶媒とし、AlCl3とNaB
H4又はAlCl3とLiAlH4などを用いて常温乃至還流下で還
元して、一般式 〔式中、kは前記と同じ。〕 で表わされる化合物とする。
次に、この化合物とハロゲン化シアヌルを反応させる。
この反応は、まず金属ナトリウム,金属カリウム,水素
化ナトリウムあるいはt−ブトキシカリウム等の塩基を
使用して一般式〔V〕のフェロセン誘導体のアルコキシ
ドを調製した後に、通常のウィリアムソンエーテル合成
法により行うことができる。即ち、テトラヒドロフラ
ン,エーテル,ジオキサン,アセトン等のアルコール系
以外の溶媒中で、−10℃〜還流温度の条件下で行うこと
ができる。
この反応により、一般式 〔式中X及びkは前記と同じ。〕 で表わされる化合物が得られる。
さらに、この一般式〔VI〕の化合物と、一般式 〔式中、R1及びiは前記に同じ。〕 又は 〔式中、R2及びhは前記に同じ。〕 で表わされるポリエチレングリコールあるいはその誘導
体とを反応させる。この反応も上記化合物〔VI〕を得る
際の反応と同様に、塩基を介在させた上で通常のウィリ
アムソンエーテル合成法により行うことができる。
この反応により、前記一般式〔I〕で示した本発明の新
規フェロセン誘導体を得ることができる。
以上の如き方法によって得られる本発明の新規フェロセ
ン誘導体は、界面活性剤として有効であり、特に疎水性
有機物質を水性媒体に可溶化する界面活性剤(ミセル化
剤)として用いることができる。
本発明の界面活性剤は、上記一般式〔I〕で表わされる
フェロセン誘導体を主成分として含むものであり、その
他必要に応じて各種の添加剤を適宜加えることもでき
る。
この本発明の界面活性剤を用いれば、様々な疎水性有機
物質を水性媒体に可溶化することが可能である。このよ
うな疎水性有機物質は、様々なものがあるが、例えばペ
リレン,レーキ顔料,フタロシアニンブルー,フタロシ
アニングリーン,アントラキノンをはじめとして、フタ
ロシアニン,フタロシアニンの金属錯体およびこれらの
誘導体、ナフタロシアニン,ナフタロシアニンの金属錯
体およびこれらの誘導体,ポルフィリン,ポルフィリン
の金属錯体およびこれらの誘導体などの光メモリー用色
素や有機色素、あるいは1,1′−ジヘプチル−4,4′−ビ
ピリジニウムジブロマイド,1,1′−ジドデシル−4,4′
−ビピリジニウムジブロマイドなどのエレクトロクロミ
ック材料,6−ニトロ−1,3,3−トリメチルスピロ−
(2′H−1′−ベンゾピラン−2,2′−インドリン)
(通称スピロピラン)などの感光材料フォトクロミック
材料)や光センサー材料,p−アゾキシアニソールなどの
液晶表示用色素、更に「カラーケミカル事典」株式会
社.シーエムシー,1988年3月28日発行の第542〜717頁
に列挙されているエレクトロニクス用色素、記録用色
素,環境クロミズム用色素,写真用色素,エネルギー用
色素,バイオメディカル用色素,食品・化粧用色素,染
料,顔料,特殊着色用色素のうちの疎水性の化合物など
があげられる。また、7,7,8,8−テトラシアノキノジメ
タン(TCNQ)とテトラチアフルバレン(TTF)との1:1錯
体などの有機導電材料やガスセンサー材料,ペンタエリ
スリトールジアクリレートなどの光硬化性塗料,ステア
リン酸などの絶縁材料,1−フェニルアゾ−2−ナフトー
ルなどのジアゾタイプの感光材料や塗料等をあげること
ができる。さらには、水に不溶性のポリマー、例えばポ
リカーボネート,ポリスチレン,ポリエチレン,ポリプ
ロピレン,ポリアミド,ポリフェニレンサルファイド
(PPS),ポリフェニレンオキサイド(PPO),ポリアク
リロニトリル(PAN)などの汎用ポリマー、またポリフ
ェニレン,ポリピロール,ポリアニリン,ポリチオフェ
ン,アセチルセルロース,ポリビニルアセテート,ポリ
ビニルブチラールをはじめ、各種各様のポリマー(ポリ
ビニルピリジンなど)あるいはコポリマー(メタクリル
酸メチルとメタクリル酸とのコポリマーなど)をあげる
ことができる。
本発明の可溶化方法は、上述の如く、本発明の新規フェ
ロセン誘導体を含有する界面活性剤を用いて疎水性有機
物質を可溶化するものであり、この可溶化方法を用いる
にあたっては、様々な態様があるが、特に本発明の有機
薄膜の製造方法において、ミセル化剤として使用すると
効果的である。
本発明の有機薄膜の製造方法では、前記一般式〔I〕の
新規フェロセン誘導体よりなる界面活性剤(ミセル化
剤)(濃度は限界ミセル濃度以上),支持塩ならびに疎
水性有機物質を入れて、必要に応じて超音波,ホモジナ
イザーあるいは撹拌機等により充分に分散させて、更に
1時間〜10日間、好ましくは2時間〜4日間攪拌を行い
ミセルを形成せしめ、その後必要に応じて過剰の疎水性
有機物質をデカンテーション等により除去し、得られた
ミセル溶液を静置したままあるいは若干の攪拌を加えな
がら各種の電極を用いて電解処理することにより行うこ
とができる。また、電解処理中に疎水性有機物質をミセ
ル溶液に補充添加してもよく、あるいは陽極近傍のミセ
ル溶液を系外へ抜き出し、抜き出したミセル溶液に疎水
性有機物質を加えて充分に混合撹拌し、かかる後にこの
液を陰極近傍へ戻す循環回路を併設してもよい。この際
の電解条件は、各種状況に応じて適宜選定すればよい
が、通常は液温0〜70℃、好ましくは20〜30℃、電圧0.
03〜1.5V、好ましくは0.1〜0.5Vとし、電流密度10mA/cm
2以下、好ましくは50〜300μA/cm2とし、電解時間を30
分〜2時間として定電位により行うことが好ましい。
この電解処理を行うと、フェロセン誘導体の酸化還元反
応が進行する。これをフェロセン誘導体中のFeイオンの
挙動に着目すると、陽極ではフェロセンのFe2+がFe3+
なって、ミセルが崩壊し、疎水性有機物質の粒子(600
〜900Å程度)が陽極上に析出する。一方、陰極では陽
極で酸化されたFe3+がFe2+に還元されてもとのミセルに
戻るので、繰返し同じ溶液で製膜操作を行うことができ
る。本発明の方法で使用する新規フェロセン誘導体は、
フェロセン骨格を有する主鎖と親水基との間にトリアジ
ンを介在した構成となっているので、上記の酸化還元反
応の効率が非常によく、薄膜が短時間で形成される。
このような電解処理により、陽極上には所望する疎水性
有機物質の600〜900Å程度の粒子による薄膜が形成され
る。
上記本発明の方法で用いる支持塩(支持電解質)は、水
性媒体の電気伝導度を調節するために必要に応じて加え
るものである。この支持塩の添加量は、通常は上記界面
活性剤(ミセル化剤)の0〜300倍程度の濃度、好まし
くは10〜200倍程度の濃度を目安とする。この支持塩は
添加することなく電解を行うこともできるが、この場合
には支持塩を含まない純度の高い薄膜が得られる。ま
た、支持塩を用いる場合、この支持塩の種類は、ミセル
の形成や電極への前記疎水性有機物質の析出を妨げるこ
となく、水性媒体の電気伝導度を調節しうるものであれ
ば特に制限はない。
具体的には、一般に広く支持塩として用いられている硫
酸塩(リチウム,カリウム,ナトリウム,ルビジウム,
アルミニウムなどの塩),酢酸塩(リチウム,カリウ
ム,ナトリウム,ルビジウム,ベリリウム,マグネシウ
ム,カルシウム,ストロンチウム,バリウム,アルミニ
ウムなどの塩),ハロゲン化物塩(リチウム,カリウ
ム,ナトリウム,ルビジウム,カルシウム,マグネシウ
ム,アルミニウムなどの塩),水溶性酸化物塩(リチウ
ム,カリウム,ナトリウム,ルビジウム,カルシウム,
マグネシウム,アルミニウムなどの塩)が好適である。
また、本発明の方法で用いる電極は、フェロセンの酸化
電位(+0.15V対飽和甘コウ電極)より貴な金属もしく
は導電体であればよい。具体的にはITO(酸化インジウ
ム酸化スズとの混合酸化物),白金,金,銀,グラシー
カーボン,導電性金属酸化物,有機ポリマー導電体など
があげられる。
〔実施例〕
次に、本発明を実施例および比較例によりさらに詳しく
説明する。
製造例1 (1)無水塩化アルミニウム36.5gの存在下、フェロセ
ン42.5gと8−メトキシカルボニルオクタン酸クロライ
ド(J.Amer.Chen.Soc.,69,2350(1947)に記載)50.4g
を、塩化メチレン溶媒中、室温で2時間反応させた。反
応終了後、希塩酸で処理した後、シリカゲルカラムにて
精製し、下式で示される8−フェロセノイルオクタン酸
メチルを75.7g得た。
(2)上記(1)で合成した8−フェロセノイルオクタ
ン酸メチル75.7gと無水塩化アルミニウム81.8g及び水素
化ホウ素ナトリウム38.7gをテトラヒドロフラン溶媒中
で2時間還流させた。反応終了後、希塩酸で処理し、酢
酸エチルで抽出後、シリカゲルカラムにて精製して下式
で示される9−フェロセニルノナノール41.4gを得た。
(3)上記(2)で合成した9−フェロセニルノナノー
ル6.6gを、テトラヒドロフラン溶媒中で金属ナトリウム
0.5gによりアルコキサイドを調製し、これを塩化シアヌ
ル3.7gを溶解したテトラヒドロフラン溶媒中へ冷却しな
がら滴下させた。反応終了後、溶媒を留去して、次式に
示す1−(9−フェロセニルノニルオキシ)−3,5−ジ
クロロトリアジンを6.6gを得た。
実施例1 ポリエチレングリコール(平均分子量600)14.1gに金属
ナトリウム0.16gを加え、110℃で4時間加熱撹拌を行
い、ここへ上記製造例1で合成した1−(9−フェロセ
ニルノニルオキシ)−3,5−ジクロロトリアジン1.4gを
加え、80℃で8時間加熱攪拌を行った。反応終了後、水
で処理し、n−ブタノールで抽出後、溶媒を留去して粗
生成物を得た。
これを、酢酸エチル:メタノール=4:1の混合溶媒を用
いてシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製した。
得られた精製物は収量2.4g,収率51%であった。
このものの元素分析値は炭素57.1%,水素10.4%,窒素
2.7%であり、またプロトン核磁気共鳴スペクトル(1H
−NMR)の測定結果は第1図に示すとおりである。よっ
て得られた化合物は下記構造式を有するフェロセン誘導
体であることがわかる。
製造例2 (1)無水塩化アルミニウム38.4gの存在下、フェロセ
ン26.8gと6−エトキシカルボニルヘキサン酸クロライ
ド(J.Amer.Chem.Soc.,69,2350(1947)に記載)29.7g
を、塩化メチレン溶媒中、室温で2時間反応させた。反
応終了後、希塩酸で処理した後、シリカゲルカラムにて
精製し、次式で示される6−フェロセノイルヘキサン酸
エチルを37.5g得た。
(2)上記(1)で合成した6−フェロセノイルヘキサ
ン酸エチル37.5gと無水塩化アルミニウム42.1g及び水素
化ホウ素ナトリウム19.9gを、テトラヒドロフラン溶媒
中で2時間還流させた。反応終了後、希塩酸で処理し、
酢酸エチルで抽出後、シリカゲルカラムにて精製して下
式で示される7−フェロセニルヘキサノール19.9gを得
た。
(3)上記(2)で合成した7−フェロセニルヘキサノ
ール6.0gをテトラヒドロフラン溶媒中、金属ナトリウム
0.55gによりアルコキサイドを調製し、これを塩化シア
ヌル3.7gを溶解したテトラヒドロフラン溶媒中へ冷却し
ながら滴下させた。反応終了後、溶媒を留去して、下式
に示す1−(7−フェロセニルヘキシルオキシ)−3,5
−ジクロロトリアジンを6.1gを得た。
実施例2 ポリエチレングリコール(平均分子量600)60.6gのに金
属ナトリウム0.27gを加え、110℃で4時間加熱撹拌を行
い、ここへ、上記製造例2で合成した1−(7−フェロ
セニルヘキシルオキシ)−3,5−ジクロロトリアジン4.8
gを加え80℃で8時間加熱攪拌を行った。反応終了後、
水で処理し、n−ブタノールで抽出後、溶媒を留去して
粗生成物を得た。
これを、酢酸エチル:メタノール=4:1の混合溶媒を用
いてシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製した。
得られた精製物は、収量8.2g,収率52%であった。
このものの元素分析値は炭素56.1%,水素9.7%,窒素
2.7%であり、また1H−NMRスペクトルの測定結果は第2
図に示すとおりである。よって得られた化合物は下記構
造式を有するフェロセン誘導体であることがわかる。
製造例3 (1)無水塩化アルミニウム34.2gの存在下、フェロセ
ン31.8gと4−メトキシカルボニル酪酸クロライド(J.A
mer.Chem.Soc.,69,2350(1947)に記載)28.2gを、塩化
メチレン溶媒中、室温で2時間反応させた。反応終了
後、希塩酸で処理した後、シリカゲルカラムにて精製
し、下式で示される4−フェロセノイル酪酸メチルを3
8.8g得た。
(2)上記(1)で合成した4−フェロセノイル酪酸メ
チル38.8gと無水塩化アルミニウム54.7g及び水素化ホウ
素ナトリウム25.9gを、テトラヒドロフラン溶媒中で2
時間還流させた。反応終了後、希塩酸で処理し、酢酸エ
チルで抽出後、シリカゲルカラムにて精製して下式で示
される5−フェロセニルペンタノール21.9gを得た。
(3)上記(2)で合成した5−フェロセニルペンタノ
ール21.9gを、テトラヒドロフラン溶媒中で金属ナトリ
ウム2.2gによりアルコキサイドを調製し、これを塩化シ
アヌル14.8gを溶解したテトラヒドロフラン溶媒中へ冷
却しながら滴下させた。反応終了後、溶媒を留去して、
下式に示す1−(5−フェロセニルペンチルオキシ)−
3,5−ジクロロトリアジンを23.7gを得た。
実施例3 ポリエチレングリコール(平均分子量600)60.6gのに金
属ナトリウム0.27gを加え、110℃で4時間加熱撹拌を行
い、ここへ、上記製造例3で合成した1−(5−フェロ
セニルペンチルオキシ)−3,5−ジクロロトリアジン4.2
gを加え80℃で8時間加熱撹拌を行った。反応終了後、
水で処理し、n−ブタノールで抽出後、溶媒を留去して
粗生成物を得た。
これを、酢酸エチル:メタノール=4:1の混合溶媒を用
いてシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製した。
得られた精製物は収量7.7g,収率50%であった。
このものの元素分析値は炭素53.5%,水素9.8%,窒素
2.7%であり、また1H−NMRスペクトルの測定結果は第3
図に示すとおりである。よって得られた化合物は下記構
造式を有するフェロセン誘導体であることがわかる。
実施例4 100ccの水に実施例1で得られたフェロセン誘導体の界
面活性剤(ミセル化剤)を加え、2mM溶液とし、このミ
セル溶液20ccにフタロシアニン(東京化成(株)製)を
0.1g加えて、超音波で10分間撹拌して分散,可溶化させ
た。さらに、スターラーにより二昼夜撹拌した後、得ら
れた分散可溶化ミセル溶液を2000rpmで30分間遠心分離
を行った。この上澄み液の可視吸収スペクトルから、フ
タロシアニンがミセル溶液に分散していることを確認
し、さらに、吸光度より該ミセル化剤の可溶化能は、9.
9mM/2mMミセル化剤であることが判った。
この分散可溶化ミセル溶液に、支持塩として臭化リチウ
ムを0.1Mの濃度になるように加え、スターラーで10分間
撹拌した。この溶液を電解液として、陽極にITO透明ガ
ラス電極,陰極に白金板,参照極として飽和甘コウ電極
を用いて、温度25℃,印加電圧0.5Vで定電位電解を行っ
た。この時の電流密度は、11.6μA/cm2,通電時間は30
分間、通電量は0.02クーロン(C)であった。
その結果、フタロシアニンの薄膜が、ITO透明ガラス電
極上に得られた。このITO透明ガラス電極上のフタロシ
アニンの吸収スペクトルと分散可溶化ミセル溶液の吸収
スペクトルが一致することからITO透明ガラス電極上の
薄膜はフタロシアニンであり、吸光度より膜厚が2.5μ
mであることが判った。
一方、前記ミセル溶液に、支持塩として臭化リチウムを
0.1Mになるように加え、サイクリックボルタンメトリー
により酸化還元電位を測定した結果は0.240V、酸化と還
元ピークの電位差は89mVであり、後述の比較例1と比べ
て酸化還元の効率が向上していることが判る。
実施例5 100ccの水に実施例2で得られたフェロセン誘導体の界
面活性剤(ミセル化剤)を加え、2mM溶液とし、このミ
セル溶液20ccにフタロシアニン(東京化成(株)製)を
0.1g加えて、超音波で10分間撹拌して分散,可溶化させ
た。さらに、スターラーにより二昼夜撹拌した後、得ら
れた分散可溶化ミセル溶液を2000rpmで30分間遠心分離
を行った。この上澄み液の可視吸収スペクトルから、フ
タロシアニンがミセル溶液に分散していることを確認
し、さらに、吸光度より該ミセル化剤の可溶化能は、8.
6mM/2mMミセル化剤であることが判った。
この分散可溶化ミセル溶液に、支持塩として臭化リチウ
ムを0.1Mの濃度になるように加え、スターラーで10分間
撹拌した。この溶液を電解液として、陽極にITO透明ガ
ラス電極,陰極に白金板,参照極として飽和甘コウ電極
を用いて、温度25℃,印加電圧0.5Vで定電位電解を行っ
た。この時の電流密度は、18.6μA/cm2,通電時間は30
分間、通電量は0.03Cであった。
その結果、フタロシアニンの薄膜が、ITO透明ガラス電
極上に得られた。このITO透明ガラス電極上のフタロシ
アニンの吸収スペクトルと分散可溶化ミセル溶液の吸収
スペクトルが一致することからITO透明ガラス電極上の
薄膜はフタロシアニンであり、吸光度より膜厚が2.8μ
mであることが判った。
一方、前記ミセル溶液に、支持塩として臭化リチウムを
0.1Mになるように加え、サイクリックボルタンメトリー
により酸化還元電位を測定した結果は0.210V、酸化と還
元ピークの電位差は72mVであり、後述の比較例1と比べ
て酸化還元の効率が向上していることが判る。
実施例6 100ccの水に実施例3で得られたフェロセン誘導体の界
面活性剤(ミセル化剤)を加え、2mM溶液とし、このミ
セル溶液20ccにフタロシアニン(東京化成(株)製)を
0.1g加えて、超音波で10分間撹拌して分散,可溶化させ
た。さらに、スターラーにより二昼夜撹拌した後、得ら
れた分散可溶化ミセル溶液を2000rpmで30分間遠心分離
を行った。この上澄み液の可視吸収スペクトルから、フ
タロシアニンがミセル溶液に分散していることを確認
し、さらに、吸光度より該ミセル化剤の可溶化能は、7.
9mM/2mMミセル化剤であることが判った。
この分散可溶化ミセル溶液に、支持塩として臭化リチウ
ムを0.1Mの濃度になるように加え、スターラーで10分間
撹拌した。この溶液を電解液として、陽極にITO透明ガ
ラス電極,陰極に白金板,参照極として飽和甘コウ電極
を用いて、温度25℃,印加電圧0.5Vで定電位電解を行っ
た。この時の電流密度は、12.3μA/cm2,通電時間は30
分間、通電量は0.02Cであった。
その結果、フタロシアニンの薄膜が、ITO透明ガラス電
極上に得られた。このITO透明ガラス電極上のフタロシ
アニンの吸収スペクトルと分散可溶化ミセル溶液の吸収
スペクトルが一致することからITO透明ガラス電極上の
薄膜はフタロシアニンであり、吸光度より膜厚が2.8μ
mであることが判った。
一方、前記ミセル溶液に、支持塩として臭化リチウムを
0.1Mになるように加え、サイクリックボルタンメトリー
により酸化還元電位を測定した結果は0.184V、酸化と還
元ピークの電位差は69mVであり、後述の比較例1と比べ
て酸化還元の効率が向上していることが判る。
比較例1 100ccの水に式 式 で表わされるフェロセン誘導体(FPEG)からなる界面活
性剤(ミセル化剤)を加え、2mM溶液とし、このミセル
溶液20ccにフタロシアニン(東京化成(株)製)を0.1g
加えて、超音波で10分間、撹拌して分散,可溶化させ
た。さらに、スターラーにより二昼夜撹拌した後、得ら
れた分散可溶化ミセル溶液を2000rpmで30分間遠心分離
を行った。この上澄み液の可視吸収スペクトルから、フ
タロシアニンがミセル溶液に分散していることを確認
し、さらに、吸光度より該ミセル化剤の可溶化能は、4.
1mM/2mMミセル化剤であることが判った。
この分散可溶化ミセル溶液に、支持塩として臭化リチウ
ムを0.1Mの濃度になるように加え、スターラーで10分間
撹拌した。この溶液を電解液として、陽極にITO透明ガ
ラス電極,陰極に白金板,参照極として飽和甘コウ電極
を用いて、温度25℃,印加電圧0.5Vで定電位電解を行っ
た。この時の電流密度は、7.0μA/cm2,通電時間は30分
間、通電量は0.010Cであった。
その結果、フタロシアニンの薄膜が、ITO透明ガラス電
極上に得られた。このITO透明ガラス電極上のフタロシ
アニンの吸収スペクトルと分散可溶化ミセル溶液の吸収
スペクトルが一致することからITO透明ガラス電極上の
薄膜はフタロシアニンであり、吸光度より膜厚が0.1μ
mであることが判った。
一方、前記ミセル溶液に、支持塩として臭化リチウムを
0.1Mになるように加え、サイクリックボルタンメトリー
により酸化還元電位を測定した結果は0.260V、酸化と還
元ピークの電位差は110mVであった。
〔発明の効果〕
本発明のフェロセン誘導体は、従来にない新しい化合物
であり、界面活性剤(ミセル化剤)をはじめ,触媒,助
燃剤,浮選剤,潤滑助剤,分散剤,液晶など様々な用途
に供することができる。特にこのフェロセン誘導体を界
面活性剤(ミセル化剤)として用いると、水溶液系でミ
セルを形成し、利用分野の広いフタロシアニン等の色素
や各種疎水性ポリマー等様々な疎水性の有機物質を可溶
化することができる。また、この界面活性剤(ミセル化
剤)を加えるとともに、水溶液電解によりミセルの集合
離散を利用することにより膜厚の極めて薄い有機薄膜を
形成することができる。しかも、上記界面活性剤の酸化
還元効率がすぐれているため、製膜能が著しく高い。
このような本発明の方法によって形成される有機薄膜
は、光電変換材料,感光材料,太陽電池をはじめ、様々
な分野に有効な利用が期待される。
【図面の簡単な説明】
第1図は実施例1で得られたフェロセン誘導体の1H−NM
Rを示し、第2図は実施例2で得られたフェロセン誘導
体の1H−NMRを示し、第3図は実施例3で得られたフェ
ロセン誘導体の1H−NMRを示す。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式 〔式中、R1及びR2はそれぞれH又はCH3を示し、kは1
    〜20の整数、i及びhはそれぞれ2〜70の実数を示
    す。〕 で表わされる新規フェロセン誘導体。
  2. 【請求項2】請求項1記載の新規フェロセン誘導体を含
    有する界面活性剤。
  3. 【請求項3】疎水性有機物質を、水性媒体中で請求項1
    記載の新規フェロセン誘導体を含有する界面活性剤にて
    可溶化することを特徴とする疎水性有機物質の可溶化方
    法。
  4. 【請求項4】疎水性有機物質を、水性媒体中で請求項1
    記載の新規フェロセン誘導体を含有する界面活性剤にて
    可溶化し、得られるミセル溶液を電解して電極上に前記
    疎水性有機物質の薄膜を形成することを特徴とする有機
    薄膜の製造方法。
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