JP2003535099A - 化学又は生物学的事象を検出するための信号変換器としてのメタロセン - Google Patents

化学又は生物学的事象を検出するための信号変換器としてのメタロセン

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バムダッド,アール・ショシャナ
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Abstract

(57)【要約】 本発明は、化学及び/又はバイオアッセイでシグナリング物質として働くことが可能な電気活性物質を含む組成物、キット、方法、及び種を提供する。該電気活性種は、該種の酸化/還元電位(レドックス電位)に影響を及ぼす置換基を含むメタロセン、例えばフェロセンであり得る。種のレドックス電位を制御することにより、それぞれ異なるレドックス電位を有する複数の種を単一のアッセイで使用できるので、異なる結合事象に由来するシグナリングを同時に得ることができる。さらに、490mV未満のレドックス電位を有する種が提供できるので、生物液の存在下でも容易に検出できる電位範囲内でのシグナリングが可能になる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】発明の属する技術分野 本発明は、一般的に化学及びバイオアッセイに関し、特に、化学又は生物学的
事象を検出するための、置換メタロセンを含むシグナリング分子に関する。
【0002】発明の背景 化学及び生物の多くの領域で、液状媒体中、固体試料内、細胞表面などの表面
上、などにおける特定の種(例えば被検体)の存在及び/又は量の測定が必要と
なる。被検体の存在や量の測定は、多くの点でよく開発された分野である。例え
ば、競合アッセイ、サンドイッチアッセイなどを含む様々なアッセイが開発され
、試料中の被検体、特定の生物学的結合事象、薬物スクリーニングにおける候補
薬の活性などの検出や、生理的被検体を使う臨床診断などに使用されている。
【0003】 レドックス活性金属(典型的には遷移金属)を含有する化合物は、シグナリン
グ物質(signaling entity)として各種の検出法に使用できる。レドックス活性金
属のような電気活性種を含有する部分は、それらに特有の酸化電位に曝されると
電子を放出するが、これは電子的に検出可能である。電流ボルタンメトリー(C
V)及び交流ボルタンメトリー(ACV)のような検出技術は、電圧又は電位の
関数として電流の出力を測定できるので、遷移金属の酸化及び還元の定量に使用
されている。ACVでは、電圧傾斜(voltage ramp)が振動成分を含有する結果、
各レドックス活性金属は、1回の走査内で金属が繰り返し酸化及び還元されるの
で、(振動成分の振動数に比例して)多数の電子が放出される。
【0004】 CV及びACVのような技術では、アッセイに参加しているレドックス活性金
属は、多電極電気化学装置の一つの電極(“動作電極”)に接近していなければ
ならない。放出された電子が動作電極とコミュニケーションする能力は、距離に
非常に依存している。典型的な検出法では、一つの結合パートナーは動作電極に
付着又は引きつけられており、推定結合パートナーはレドックス活性金属を含有
する部分で標識されている。もし、結合パートナーと推定結合パートナーとの間
に結合が生じると、遷移金属で標識された結合パートナーは動作電極に誘引され
る。すると、放出された電子はトンネル現象が起こるある臨界距離内にあるので
、検出可能な電流の出力に変換できる。
【0005】 米国特許第5,223,117号(Wrightonら)は、フェロセニルチ
オールのような化学非感受性レドックス材料と、キノンチオールのような化学感
受性レドックス材料の、微小電極上への自己集合について記載している。この微
小電極は、二端子ボルタンメトリーマイクロセンサの基礎をなすもので、一つの
電極に参照機能とセンサ機能を有している。検出は、被検体と化学感受性レドッ
クス材料間の相互作用時に、化学非感受性及び化学感受性レドックス材料の酸化
(又は還元)によるそれぞれの電流ピークに伴う電位差の測定によって達成され
る。
【0006】 様々な研究が“分子ワイヤ”の導電率の問題に向けられてきた(例えば、Ch
emical & Engineering News,1996年3月25日
、7ページ参照)。報告された一つの研究(Creagerら、J.Am.Ch
em.Soc.,1999,121,1059−1064)は、化合物1:
【0007】
【化1】 及び関連化合物の金表面への付着に関し、付着したフェロセン基の電子伝達速度
及び電子カップリング係数について報告されていた。
【0008】 レドックス活性金属を用いるシグナリング物質は知られているが、特にある種
の生物系とともに利用できる改良された検出法及び改良された酸化特性を有する
レドックス活性金属があれば有益であろう。発明の要約 本発明は、電気活性シグナリング物質に関連する一連の組成物、キット、方法
、及び種を提供する。本発明の様々な態様は多様な目的に使用することができる
。例えば、各種の化学又はバイオアッセイ技術を容易にすることができる。本発
明の一態様において組成物を提供する。一実施の形態において、置換メタロセン
を含む組成物を提供する。本発明の置換メタロセンは、メタロセン分子の芳香環
上に本質的に任意の数の置換基を包含することができる。
【0009】 別の実施の形態において、自己集合単層に融合できる分子種を含む組成物を提
供する。該分子種は、少なくとも1個、好ましくは少なくとも2個の置換基を包
含するメタロセンを含む。
【0010】 別の実施の形態において、本発明の組成物は、少なくとも1個、好ましくは少
なくとも2個の置換基を包含するメタロセンに接続された自己集合単層中の電子
流を促進する分子部分を包含する。
【0011】 別の実施の形態において、490mV未満のレドックス電位を有する電気活性
種に接続された自己集合単層中の電子流を促進する分子部分を包含する組成物を
提供する。
【0012】 本発明はまた、式X−R−Yを有する分子種も提供する。Xは、表面に付着す
るように選ばれた官能基を含み、Yは、490mV未満のレドックス電位を有す
る電気活性シグナリング物質、又は少なくとも1個、好ましくは少なくとも2個
の置換基を包含するメタロセンを含む。Rは、化学結合、自己集合単層の一部を
形成しうるスペーサー部分、自己単層中の電子流を促進する部分、又はそれらの
組合せである。
【0013】 本発明の別の態様においてキットを提供する。一つのキットは、第一のレドッ
クス電位を有し、第一の化学又は生物学的結合パートナーに対して固定化可能な
第一の電気活性種を含む。第二のレドックス電位を有する第二の電気活性種もキ
ットに含まれる。第二の種は第二の化学又は生物学的結合パートナーに対して固
定化可能である。
【0014】 本発明の別の態様において一連の方法を提供する。一つの方法は、第二のレド
ックス電位を有する第二のシグナリング物質も関与するアッセイにおいて、第一
のシグナリング物質の第一のレドックス電位によって示される化学又は生物学的
結合事象を測定することに関する。
【0015】 別の実施の形態において、第一の結合パートナーと第二の結合パートナーとの
結合を阻害することにおける候補薬の有効性の測定に関する方法を提供する。メ
タロセンに連結された第一の結合パートナーを、候補薬の存在下で第二の結合パ
ートナーに曝露する。第一の結合パートナーと第二の結合パートナーとの結合は
、メタロセンのレドックス電位の測定によって測定される。
【0016】 別の実施の形態において、本発明の方法は、第一の結合パートナーと第二の結
合パートナーとの結合を阻害することにおける候補薬の有効性を、第一のシグナ
リング物質に対して固定化された第一の結合パートナーと第二のシグナリング物
質に対して固定化された候補薬とを、第二の結合パートナーに曝露することによ
って測定することに関する。第一の結合パートナー又は候補薬の、第二の結合パ
ートナーに対する相対的結合は、第二の結合パートナーに対する第一又は第二の
シグナリング物質の近接度を測定することによって測定される。
【0017】 本発明の他の利点、新規特徴、及び目的は、添付の図面と合わせて考慮すると
き、以下の本発明の詳細な説明から明らかになるであろう。図面は概略図であり
、正確な縮尺率で描かれたものではない。図中、様々な図に示されているそれぞ
れ同一又はほぼ同一の成分は一つの数字で表してある。平明化のために、すべて
の図に全成分が標識されているわけでも、本発明を当業者に理解してもらう上で
図面が不要な箇所では本発明の各実施の形態の全成分が表示されているわけでも
ない。発明の詳細な説明 定義 本明細書中では、以下の定義を適用する。
【0018】 本発明での使用に適切な“自己集合単層”(SAM)、及びそれらが形成され
うる表面については知られている。例えば、米国特許第5,512,131号及
び国際特許公開第WO96/29629号に記載されており、これらの二特許は
本発明に引用して援用する。表面と、自己集合単層形成のため表面に付着する官
能基は、金、銀、銅、カドミウム、亜鉛、パラジウム、白金、水銀、鉛、鉄、ク
ロム、マンガン、タングステン、及び上記金属の任意の合金と、チオール、スル
フィド、ジスルフィドなどの硫黄含有官能基;ドープ又は非ドープケイ素とシラ
ン及びクロロシラン;シリカ、アルミナ、クオーツ、ガラスなどの金属酸化物と
カルボン酸;白金及びパラジウムとニトリル及びイソニトリル;そして銅とヒド
ロキサム酸などであるが、これらに限定されない。追加の適切な官能基は、酸塩
化物、無水物、スルホニル基、ホスホリル基、ヒドロキシル基及びアミノ酸基な
どである。追加の表面材料は、ゲルマニウム、ガリウム、ヒ素、及びヒ化ガリウ
ムなどである。さらに、エポキシ化合物、ポリスルホン化合物、プラスチック及
び他のポリマーも、本発明で官能基が付着できる表面として使用できる。本発明
での使用に適切な追加の表面材料及び官能基は、米国特許第5,079,600
号に見つけることができる(前記特許は本発明に引用して援用する)。自己集合
単層は、典型的には、ω位が官能化されたチオール、すなわち一般構造R’−A
−R”を有するチオールなど、表面での密集配列を容易にする線状分子を含む。
前記式中、R’=−SH、A=−(CH2n{n=1〜30、好ましくは1〜2
0}、そしてR”=−CH3;−OH;−O(CH2nH{n=1〜15、好ま
しくは1〜7};−CONH(CH2nH{n=1〜15、好ましくは1〜7}
;−NHCO(CH2nH{n=1〜15、好ましくは1〜7};−(OCH2
CH2nH{n=1〜15、好ましくは1〜7};及び−COOHである。
【0019】 “自己集合単層形成種”は、他の類似種とともに適当な表面に曝露されると、
例えば適当な溶液中の類似種を提供され、適当な表面に曝露されると、その表面
に自然に自己集合単層を形成する種を含む。
【0020】 “自己集合単層に融合できる”種(自己集合単層形成種でありうる)は、自己
集合単層に親和的に参加する化学官能性を有する種で、該種と、それとは化学的
に適合性のない他の自己集合単層形成種を含む。例えば、該種は、自己集合単層
が形成される表面に付着するように選ばれた官能基と、ほぼ線状(高度に枝分か
れしていない)であり得るが、密集を容易にしない残りの部分を含みうる。相当
量の不飽和、例えば一連の相互連結した芳香環を含む分子がその例である。その
ような種は、自己集合単層形成種かもしれないし、そうでないかもしれない。典
型的には、自己集合単層に融合できるが、それ自体自己集合単層を形成できない
種は、化学的に適合性のある自己集合単層形成種を含む種全体の割合として約5
0%まで存在する場合、自己集合単層の形成に参加し、融合できる。
【0021】 “自己集合単層中の電子流を促進する”種又は部分(自己集合単層形成種であ
りうる)は、SAM被覆電極に遭遇する電子の、電極とのコミュニケーション能
力を高める。場合によっては、これは、SAM被覆電極に遭遇する液にも、電極
との電気的コミュニケーションをさせることを含みうる。これらの種は、典型的
には、そのかさ高さ又は他の立体配座のために(特別に設計されて分子に組み込
まれてよい)、そうでなければ比較的密集したSAMに欠陥を生じさせる。すな
わち、曝露される液に対して、SAMが表面を密封できないという欠陥である。
つまり、密集した自己集合構造の崩壊を招くことによって、表面が曝露される液
に、表面と電気的コミュニケーションをさせるという欠陥が規定される。このよ
うな状況において、液は、表面と接触するか、トンネル現象などによる電子コミ
ュニケーションが起こりうるほど表面に十分接近することによって表面と電気的
コミュニケーションをする。“自己集合単層中の流れを促進する”種又は部分は
、自明のこととして、導電性分子又は導電性部分を持つ分子も含む。また、自明
のこととして、当該技術分野で述べられているような“分子ワイヤ”も含む。自
己集合単層中の電子流を促進する部分の非制限的例は、2−メルカプトピリジン
、2−メルカプトベンゾチアゾール、ジチオトレイトール、1,2−ベンゼンジ
チオール、1,2−ベンゼンジメタンチオール、ベンゼン−エタンチオール、2
−メルカプトエチルエーテル、ポリ(エチニルフェニルチオール)(すなわちC1610S):
【0022】
【化2】 などである。
【0023】 “結合パートナー”とは、別の分子と優先的に結合する分子のことである。す
なわち、相互親和性又は結合能(典型的には生物学的結合対で代表される、生化
学的、生理的、及び/又は製薬的相互作用などの特異的又は非特異的結合又は相
互作用)を示す、対応分子対と定義される分子である。“生物学的結合”とは、
特異的又は非特異的な相互親和性又は結合能を示す対応生物分子対間の相互作用
のことである。生物学的結合は、タンパク質、核酸、糖タンパク質、炭水化物、
ホルモンなどを含む分子対間に生じる種類の相互作用と定義される。具体的な例
は、抗体/抗原、抗体/ハプテン、酵素/基質、酵素/インヒビター、酵素/補
因子、結合タンパク質/基質、担体タンパク質/基質、レクチン/炭水化物、受
容体/ホルモン、受容体/エフェクター、核酸の相補鎖、タンパク質/核酸リプ
レッサー/誘導物質、リガンド/細胞表面受容体、ウィルス/リガンド、合成品
又は天然品であり得る薬物候補並びに個々の成分、ビルディングブロック、又は
これらの前駆体などである。例えば、プロテインAは生物分子IgGの結合パー
トナーである。逆もまた然りである。
【0024】 “小分子”とは、5キロドルトン未満、より典型的には1キロドルトン未満の
分子を意味する。 “候補薬”とは、ヒト又は他の動物に使用される任意の医薬物質のことである
。この定義に包含されるのは、化合物類似体、天然、合成及び組換え医薬品、ホ
ルモン、抗菌物質、神経伝達物質などである。これは、本質的に任意の病的状態
、例えば疾患の治療又はその予防のために、薬物としての使用について評価され
ることになる任意の物質(天然、合成、又は組換えを問わず)を含む。評価は、
典型的には、本発明のスクリーニングアッセイのようなアッセイにおける活性を
通して実施される。
【0025】 本発明には様々な種類の粒子が使用できる。例えば、“液体に懸濁可能な粒子
”は、本発明の目的のためにそれが使用される液体(典型的には水溶液)中で、
自力で懸濁液中にとどまれる粒子、又は磁場、電磁場の印加や、撹拌、振盪、振
動、音波処理、遠心分離、渦流などのかき混ぜの適用によって溶液中に維持され
うる粒子を意味する。“磁気的に懸濁可能な”粒子は、磁場の印加によって液体
中で懸濁状態を維持できる粒子である。電磁気的に懸濁可能な粒子は、電磁場の
印加によって液体中で懸濁状態を維持できる粒子である(例えば電荷を持つ粒子
、又は電荷を持つように改変できる粒子)。“自己懸濁可能な粒子”は、それが
使用される液体(典型的には水溶液)中で少なくとも1時間、懸濁状態を保てる
ほど十分に小さいサイズ及び/又は質量の粒子である。その他の自己懸濁可能粒
子は、本発明に従って、補助なしで5時間、1日間、1週間、又はさらには1ヶ
月間も懸濁状態を保つことになる。
【0026】 本明細書中で使用している“コロイド”は、生化学の分野におけるコロイドの
通常の意味を与えられる。典型的には、コロイド粒子は、どの次元の断面も25
0nm未満、より典型的にはどの次元の断面も100nm未満、又はどの次元の
断面も50nm未満、又はさらにはどの次元の断面も30nm未満である。例え
ば、約5〜約30nmの範囲の断面次元を有するコロイド粒子が使用できる。本
明細書中で使用しているように、この用語は生化学の分野で普通に使用されてい
る定義を含み、典型的には金のコロイド粒子を意味する。
【0027】 “金属に配位できる部分”とは、金属原子上の少なくとも二つの配位部位を占
めることができる、金属結合タグ又はキレートのような任意の分子を意味する。 “金属に配位しているキレート”又は“キレートによって配位されている金属
”とは、キレート剤によって配位された金属のことであるが、キレート剤は金属
上のすべての利用可能な配位部位を満たさず、金属結合タグによる結合が利用で
きる配位部位を少なくとも二つ残している。適切なキレートの例は、ニトリロ三
酢酸、2,2’−ビス(サリチリデンアミノ)−6,6’−デメチルジフェニル
、または1,8−ビス(a−ピリジル)−3,6−ジチアオクタンなどで、これ
らはニッケルのような六配位金属とともに使用できる。
【0028】 “金属結合タグ”とは、キレートによっても配位されている金属に配位できる
、すなわち結合できる分子団のような部分のことである。そのような適切な分子
団は、これらだけに限定されないが、ヒスチジン及びシステインを含むアミノ酸
配列などである(“ポリアミノ酸タグ”、具体例としては“ヒスチジンタグ”)
。ポリアミノ酸タグは、2〜10個のアミノ酸残基、例えばヒスチジン残基を含
むことができ、これらのアミノ酸残基はペプチド又はタンパク質のアミノ又はカ
ルボキシ末端のいずれかの位置に容易につくことができる。6〜10個の残基を
もつポリアミノ酸タグが好適である。
【0029】 “金属結合タグ/金属/キレート連結”は、二つ以上の部分間の連結を定義し
、一つは金属結合タグに結合し、もう一つは金属に配位しているキレートに結合
しており、結合タグが金属に結合している。
【0030】 “シグナリング物質(signaling entity)”は、特定の試料中で、又は特定の位
置でその存在を示すことができる物質のことである。 本明細書中で使用している“固定化可能な”とは、固定化を可能にする、又は
それに固定化される、化学又は生物学的官能性を提供されているという意味であ
る。
【0031】 本明細書中で使用している、別の成分“に対して固定化された”成分は、例え
ば、他の成分も結合している第三の成分に結合することによって、又はそうでな
ければ他の成分と一過性に関係することによって、他の成分に結合しているか、
又は他の成分に間接的に結合している。例えば、シグナリング物質が、結合種に
結合している、結合種が結合しているコロイド粒子に結合している、結合種が結
合しているデンドリマー又はポリマーに結合している、などであれば、シグナリ
ング物質は結合種に対して固定化されていることになる。第一のコロイド粒子表
面に結合している種が物質(entity)に付着しており、第二のコロイド粒子表面上
の種が同じ物質に付着していれば、コロイド粒子は別のコロイド粒子に対して固
定化されている。このとき、物質は、単一の物質、複数種の複合物質、細胞、別
の粒子などであってよい。
【0032】 別の種、又は物の表面に対する種との関連で本明細書中で使用している“結合
されている、又は結合するように適応されている”とは、該種が、共有結合、特
定の生物学的結合(例えばビオチン/ストレプトアビジン)、キレート/金属結
合のような配位結合、などによって化学的又は生化学的に連結していることを意
味する。例えば、この文脈における“結合されている”とは、複数の化学的連結
、複数の化学/生物学的連結などを含む。例えば、ポリスチレンビーズ上で成長
したペプチドのような結合種、ビーズに共有結合しているプロテインAのような
タンパク質に非特異的に生物学的結合している抗体に特異的に生物学的結合して
いる結合種、GST又はファージのような分子の一部を形成している(遺伝子工
学によって)結合種{これが、表面に共有結合している結合パートナーに特異的
に生物学的結合している(例えばGSTの場合のグルタチオン)}などであるが
、これらに限定されない。別の例として、チオールに共有結合している部分は、
金表面に結合するように適応されている。なぜならば、チオールは金と非常に強
力に、おそらく共有結合的に結合するからである。同様に、金属結合タグをもつ
種は、表面に共有結合した分子(チオール/金結合など)を保持する表面に結合
するように適応されている。この分子は金属に配位しているキレートも表す。ま
た、種が特定のヌクレオチド配列を有し、表面が相補的ヌクレオチド配列を含ん
でいれば、その種は表面に結合するように適応されている。“結合されている”
の定義は、一部の非特異的結合、すなわち本発明の技術のために表面に種を意図
的に付着させることも含む。本発明の“結合されている”という定義に含まれる
非特異的結合は、本発明のアッセイに付随する日常的な洗浄工程に耐える付着と
いうことになる。具体的には、非特異的に結合された種は、少なくとも1回の水
性洗浄液、及び生理的pHに液を維持するために行うリン酸緩衝液などの緩衝液
による日常的洗浄に耐えれば、表面に“結合されている”。
【0033】 “特異的に結合されている”又は“特異的に結合するように適応されている”
とは、種が、前述のように“結合されている、又は結合するように適応されてい
る”という定義に関して表面に化学的又は生化学的に結合していることを意味す
るが、すべての非特異的結合は除外される。
【0034】 本明細書中で使用している“非特異的結合”は、生化学の分野における通常の
意味を与えられる。 用語の“試料”とは、任意の細胞、組織、又は生物源由来の液(“生物試料”
)、又は本発明に従って有益に評価されうるその他の任意の媒体のことである。
例えば、ヒト患者から採取した生物試料、動物から採取した試料、ヒトが消費す
るように設計された食品から採取した試料、家畜飼料などの動物消費用に設計さ
れた食品などの試料、臓器提供試料、合成試料、天然物から採取した試料などで
あるが、これらに限定されない。
【0035】 特定の成分の“含有が疑わしい試料”とは、試料に関して成分の内容が未知の
試料のことである。例えば、疾患のような特定の生理的状態を有していることが
疑われるが、その病的状態を有していることがわかっていないヒトから採取した
液体試料は、その病的状態に特徴的な生理的種の含有が疑わしい試料と規定する
。この文脈における“試料”は、ヒト又は他の動物から採取した生理的試料、食
品、家畜飼料などから採取した試料のような天然試料、並びに“構造を予め決め
られた試料”を含む。本明細書中では“構造を予め決められた試料”とは、試料
の化学的又は生物学的配列又は構造が予め決められており、その構造が病的状態
と関連しているかどうかを試験するために設計されたアッセイに使用される試料
を意味する。例えば、“構造を予め決められた試料”は、ペプチド配列、ファー
ジ表示ライブラリーのランダムペプチド配列、構造が予め決められた合成試料、
構造が予め決められた天然物からの試料などである。動物から採取した典型的な
試料は、血液、尿、眼液、唾液、脳脊髄液、及び扁桃、リンパ節、穿刺生検など
から得られた液又は他の試料などである。
【0036】 “測定する”とは、種の存在を測定する、すなわち種を検出する、又は種の量
もしくは相対量を測定する、すなわち定性的に評価する、ことを意味する。例え
ば、定性的測定は、従来の様式でCV又はACV又は電荷計数装置を使用して、
特定の電気活性シグナリング物質が動作電極に接近しているかどうかを検出する
ことを含みうる。定量的測定は、例えば、電極に接近している電気活性シグナリ
ング物質の量を、電極に接近している種の酸化又は還元電流を測定し、同じ又は
異なる電極に接近している第二の種(その量は分かっている)の酸化及び/又は
還元による電流と比較することによって測定することを含みうる。
【0037】 “配位”又は“配位されている”という用語は、キレート剤又はポリアミノ酸
タグのような一つの複数電子対供与体が金属に配位結合している(“配位されて
いる”)という相互作用のことで、その安定度は、アッセイでの検出のためにそ
のような配位による相互作用が測定できるに足るほど大きい。
【0038】 “配位部位”という用語は、例えばキレート剤によって供与された電子対を受
け取ることができる金属上の場所のことである。 “自由配位部位”という用語は、水分子又はポリアミノ酸タグに比べて供与の
弱い他の種によって占められている金属上の配位部位のことである。
【0039】 “配位数”という用語は、電子対を受け取るのに利用できる金属上の配位部位
の数のことである。 本発明は、バイオアッセイ及び/又は化学アッセイに使用できる新規な電気活
性種及びキット、並びにその新規な種を用いて、又はそれとは無関係に実施でき
る様々なアッセイを提供する。以下に説明する本発明の種、キット及び方法の多
くは、電気活性種への様々な電圧の印加と、その結果生じる種の酸化及び/又は
還元の測定が可能なCV及びACVのような電気化学装置に接続して使用するこ
とになるのは当業者には明白であろう。そのような装置は当業者には周知である
ので、本明細書では詳細な説明は割愛する。
【0040】 本発明の一態様は、従来の電気活性試薬を用いては検出が困難と思われる天然
のレドックス活性種を含有する生物試料中で電気活性検出試薬(電気活性シグナ
リング物質)として働く電気活性種を用いるアッセイの実施に関する。具体的に
は、ヘム、フラビン、尿素、レドックス活性補酵素(ビタミン)、天然の抗酸化
剤など(これらもレドックス活性である)を含有する生物由来の試験溶液を使っ
てアッセイが実施できる。このような種が存在すると、従来の標識特異的な酸化
ピークを覆い隠しかねない高いバックグラウンド電流が生じる。具体的に言えば
、自然のしくみは、これらの天然に存在するレドックス活性種が、体内のバック
グラウンド電位でランダム酸化されないようにするために、これらの種の酸化を
約450mVを超える電位で行わせるようにして、そのリスクを排除してきた。
ところが、残念なことに、この領域(450mV超)は、多くの従来型レドック
ス活性検出試薬も酸化される領域なので、従来型レドックス活性検出試薬を用い
ての検出は、天然に存在する種の酸化によって複雑になりかねない。
【0041】 さらに、多くの従来型レドックス活性シグナリング物質の特徴的な酸化電位は
、これらを異なる生化学環境に置くと、さらに高い電位にシフトしうる。ある種
の結合事象は、結合リガンドに結合したレドックス活性金属シグナリング錯体を
他のタンパク質と会合させかねないので、検出工程で印加された電場から金属を
遮蔽してしまう。この結果、錯体の特徴的酸化電位の明らかなシフトが生じる。
例えば、450mVの特徴的酸化電位で錯体化されたフェロセンが、ある種のタ
ンパク質標的に結合すると800〜900mVの酸化電位にシフトすることも珍
しくない。そうすると、結果の解釈を複雑にするバックグラウンド電流ピークが
生じる可能性がある。
【0042】 そこで、本発明の一態様は、バイオアッセイに特にふさわしい特徴を含む一連
の種に関する。一実施の形態において、バイオアッセイのシグナリング物質とし
ての使用に適した電気活性種を提供する。この種は、比較的低い電位で酸化され
る。どのくらい低いかというと、具体的には、通常の生理的物質のレドックス電
位で複雑にされない、酸化又は還元によるシグナリング能力を提供できるほど低
い電位である。本発明の一つのそのような電気活性種は、490mV未満のレド
ックス電位(対Ag/AgCl)を有する。好適な実施の形態において、該電気
活性種は、約400mV未満、好ましくは約350mV未満、更に好ましくは約
300mV未満、また更に好ましくは尚約250mV未満のレドックス電位を有
する。
【0043】 本発明の電気活性シグナリング物質、及び種とキットを使用する本発明の他の
実施の形態は、ある実施の形態で、自己集合単層に融合できるようにすることが
できる。すると、電極表面、コロイド表面などの表面への付着を伴うようなアッ
セイに使うとき特に有用となる。自己集合単層が関与する本発明の好適な実施の
形態では、ガラス基板に蒸着させた金層、金電極、又は金コロイド表面などの金
表面が、チオール(金に結合する)を含む又はチオールに付着した自己集合単層
の形成又はそれに参加する種(例えば電気活性種)とともに使用される。
【0044】 本発明のある実施の形態は、コロイド粒子表面などの表面にある自己集合単層
(SAM)、及びSAMで被覆された表面を有するコロイド粒子のような物を利
用する。一組の好適な実施の形態において、完全に合成分子で形成されたSAM
は完全に表面又は表面の領域を覆う。例えばコロイド粒子表面を完全に覆う。こ
の文脈における“合成分子”とは、天然の分子ではなく、ヒトの又はヒトが生み
出した又はヒトが指導した制御命令下で合成された分子を意味する。この文脈に
おける“完全に覆う”とは、タンパク質、抗体、又は他の種に直接接触する、S
AMによる完全かつ直接的な被覆を妨げる表面又は領域部分がないことを意味す
る。すなわち、好適な実施の形態において、表面又は領域は、全体にわたって、
完全に非天然分子(すなわち合成分子)からなるSAMを含む。SAMは、完全
に、表面で密集したSAMを形成するSAM形成種、又は分子ワイヤと組み合わ
せたSAM形成種、又はSAMの中の電子コミュニケーションを促進できる他の
種(SAMに参加できる欠陥促進種を含む)、又はSAMに参加できる他の種、
及びこれらの任意の組合せ、から作ることができる。好ましくは、SAMに参加
するすべての種は、金表面に共有結合するチオールのような、表面に結合する、
場合によっては共有結合する官能性を含む。表面に存在する自己集合単層は、本
発明に従って、本質的に任意の化学又は生物学的官能性を示す(曝す)ことがで
きる種の混合物(例えば金が表面の場合のチオール種)で構成されうる。例えば
、非特異的吸着を阻止するトリエチレングリコール末端種(例えばトリエチレン
グリコール末端チオール)、及び末端が親和性タグの結合パートナーになってい
る他の種(例えばチオール)、例えば末端が、ニッケル原子と錯体を作るとヒス
チジン標識結合種を捕捉するニトリロ三酢酸のような、金属に配位できるキレー
トになっている他の種を含みうる。本発明は、コロイド表面に存在する本質的に
すべての化学又は生物学的種、例えば、電気活性があり表面に拘束可能な分子、
キレート、結合パートナーなど、の濃度を厳密に制御する方法を提供する。本発
明の多くの実施の形態において、自己集合単層は金コロイド粒子表面に形成され
る。
【0045】 本発明は、以下の説明からさらに明らかになる目的のために、少なくとも一つ
、好ましくは異なるレドックス電位を有する少なくとも二つの電気活性種を利用
するアッセイを含む一連の方法も提供する。二つのレドックス電位は490mV
未満又は490mV超でありうる。好適な実施の形態において、少なくとも二つ
の電気活性種は、それぞれ490mV未満のレドックス電位、又は本明細書中に
記載の好適な他のレドックス電位を有する。
【0046】 異なるレドックス電位を有する少なくとも二つの電気活性種を使用する本発明
の一態様において、該電気活性種は、当業者には公知の、そして当業者が容易に
選択できる、広範な種類の任意の種から選ぶことができる。好適な電気活性種は
、遷移金属錯体を含むレドックス活性分子を含む。すなわち、カドミウム、銅、
コバルト、パラジウム、亜鉛、鉄、ルテニウム、ロジウム、オスミウム、レニウ
ム、白金、スカンジウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、ニッケル、
モリブデン、テクネチウム、タングステン、及びイリジウムから選ばれる金属を
含む錯体であるが、これらの金属に限定されない。特に好適なのは、ルテニウム
、オスミウム、鉄、白金及びパラジウムで、中でもルテニウムと鉄が特に好適で
ある。これらの金属を含む錯体は、金属と、例えば、イソニコチンアミド、イミ
ダゾール、ビピリジン、ターピリジン、フェナントロリン、一酸化炭素、イソシ
アニドなどのリガンド、及びメタロセンリガンド、並びに上記の置換誘導体のリ
ガンドを含む。他のリガンドは当業者には明白であろう。本発明の特に好適な金
属錯体は、メタロセン錯体、特にフェロセンで、これは鉄原子と2個のシクロペ
ンタジエンリガンドを含む。
【0047】 490mV未満のレドックス電位を有する電気活性種を使用する本発明の態様
に従って特に好適な一組の実施の形態は、1個又は両方のシクロペンタジエン環
が置換基で置換されたメタロセン、特にフェロセンを使用する。シクロペンタジ
エン環上の置換基は、メタロセンの電子特性に影響を及ぼし、そのレドックス電
位を490mV未満、又は本明細書中に記載の他の電位にシフトする。適切な置
換基は、臭素のようなハロゲン化物、−NR2、−OR、−OCR3、−NRCO
3、−C65、カルボキシレート、及びCR3のようなアルキル基であるが、こ
れらに限定されない。Rは、好ましくは水素又はアルキル、最も好ましくは水素
である。本明細書に記載のように、メタロセンに特定のレドックス特性を付与す
るため、1個のメタロセン上の異なる置換基を含め、様々な置換基を選ぶことが
できる。当業者であれば、所望のレドックス電位を達成するための各種置換基の
選び方は分かるであろう。例えば、メチル置換基はメタロセンのレドックス電位
を低い方に移動させるが、カルボキシレートはレドックス電位を高い方に移動さ
せる。本発明は、メタロセンのレドックス電位をAg/AgClに対して約−2
00mV〜約800mVの範囲の任意の位置に合わせることが可能なので、例え
ば、生物液中であろうと緩衝液のような非生物液中であろうと、一つの電気化学
実験の中で、並行して同時に様々な種を検出することができる。当然のことなが
ら、生物液中では、本明細書に記載のように、490mV未満のレドックス電位
を有する電気活性種を使用するのが一般的に好都合である。一つの好適な実施の
形態において、フェロセンのようなメタロセンは、少なくとも1個、好ましくは
少なくとも2個の置換基、好ましくは2個の電子供与置換基、好ましくはメチル
基を、例えば各シクロペンタジエン環に1個ずつ含む。すなわち、式Fe(C5
4Me)2を有する分子である。任意の数の追加の置換基を与えることもできる
ので、その結果、例えば式Fe(C5Me4H)2を有する電気活性種ができるこ
ともある。これらの置換基は、特定のメタロセンにとって、すべて電子供与、す
べて電子受容、又はその組合せになるように選ぶことができる。すなわち、本明
細書中に記載の各実施の形態において、任意の数の置換基を与えることができ、
また置換基は同じでも異なっていてもよい。このようにして、分子内に適当な電
子特性を提供する適切な置換基の組を選ぶことにより、特定のレドックス電位を
持つメタロセンを作成することができる。このことは、本明細書中に記載のよう
に同時に複数の検出を実施するのに有用である。自己集合単層に融合可能な種の
一部を形成する、少なくとも1個、好ましくは少なくとも2個の置換基を含むメ
タロセンは、本発明の別の実施の形態を規定する。
【0048】 本発明の種及びキットを使用する一組の実施の形態において、電気活性部分を
含む種、例えば490mV未満のレドックス電位を有する種又は置換メタロセン
は、自己集合単層へ固定化又は結合しているか、さもなければ自己集合単層に融
合可能な種の一部を形成している、又は自己集合単層形成種である。ここで、自
己集合単層への融合を可能にする、又は自己集合単層の形成を促進する成分は、
アルキル鎖のような飽和種である。別の一組の実施の形態において、電気活性部
分を含む種は、自己集合単層中の電子流を促進する部分をも含む。これにより、
電気活性物質とそれが存在する表面(例えば電極)との間の良好な電子コミュニ
ケーションが促進され、物質の存在、量、及び/又はレドックスシフトの測定が
改善される。これらのいずれの場合も、該部分は、典型的には自己集合単層に融
合できるが、それ自体は自己集合単層形成種ではない。従って、該部分は、自己
集合単層形成種と組み合わせて自己集合単層中に提供されうる。
【0049】 一組の実施の形態において、本発明のキット、方法、種、及び試薬は、任意の
数の置換基、例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10個の置換基で
置換されたメタロセンを含むことができる。ここで、メタロセンは自己集合単層
へ固定化されうる、又は自己集合単層に融合可能な種の一部を形成又は自己集合
単層形成種であってよいが、必ずしもその必要はない。すなわち、本発明の一態
様は、単に、任意の数の置換基を有するメタロセンに関する。一組の実施の形態
において、メタロセンはフェロセンである。一実施の形態において、メタロセン
は、物の表面、又はポリマーもしくはデンドリマー分子、又は生物分子のような
別の分子、特に前述の任意の結合パートナーに対して固定化されるように作られ
る。当業者であれば、メタロセンをポリマー分子、ポリマー表面、デンドリマー
、又は広範な種類の物の表面に連結させる様々な化学経路は周知である。例えば
、メタロセンは、自己集合単層形成種を表面に連結させることに関して前述した
ような連結基、又は当該技術分野で公知の他の連結基によって、表面に対し固定
化できる。具体例として、カルボキシ末端表面のような表面はEDC/NHS化
学で処理でき、アミンのような連結体を持つメタロセンは表面に結合できる。同
様に、メタロセンは、タンパク質のような生物分子に対して固定化できる。それ
は、タンパク質のカルボキシ基をEDC/NHS化学で処理し、メタロセンをア
ミン連結基によってタンパク質に結合させることによる。その逆も実施可能であ
る。すなわちメタロセンがカルボキシ基を提供でき、表面がアミンを提供できる
、又はタンパク質がアミンを提供できる。そしてEDC/NHS化学はメタロセ
ンを表面又はタンパク質に連結するために使用できる。同様に、ポリマー又はデ
ンドリマーは、メタロセン上にアミン又はカルボキシ基がある場合、それぞれカ
ルボキシ基又はアミンを含むことができ、EDC/NHS化学はメタロセンをポ
リマー又はデンドリマーに連結するために使用できる。さらに、本発明の電気活
性シグナリング物質は、BSA被覆コロイドのようなBSA被覆金表面に共有結
合させることもできる。
【0050】 当該技術分野におけるこの知識を用いれば、表面、ポリマー、デンドリマー、
又は生物分子に連結させた置換メタロセンを使用する本発明の本態様が実施でき
る。メタロセンは本明細書中に開示した任意のメタロセンでよく、また本明細書
中に記載した任意のアッセイに使用することができる。本発明の電気活性シグナ
リング物質が、ポリマー又はデンドリマーに対して固定化されている場合、該ポ
リマー又はデンドリマーも、固定化されたプローブ分子、すなわち生物学的結合
パートナー対のメンバーを保持できる。
【0051】 本発明の別の態様は、特定の環境における化学又は生物種の存在及び/又は量
の測定法に関する。この方法は、本発明の任意の種、組成物、及びキットを利用
することができる。化学又は生物学的結合パートナー間の結合を測定するための
アッセイに関する方法は、特に本発明から利益を得る。本発明の別の態様におい
て、本明細書中に記載の本発明の方法(これだけに限定されない)を含む多様な
目的のために有用なキットも提供する。本発明のキットは、本発明の種の任意の
一つ又はその組合せを含むことができる。例えば、本発明の一つのキットは、二
つの異なる電気活性種を含み、それぞれが異なる化学又は生物学的結合パートナ
ーに対して固定化可能である。電気活性種は、それぞれ490mV未満のレドッ
クス電位を有することができる、置換メタロセンであり得る、自己集合単層に融
合可能な種に連結できる、自己集合単層中の電子流を促進できる種に連結できる
、などである。
【0052】 次に図1を参照する。本発明の一つのキットは、第一のフェロセン(Fc’)
で例示される第一の電気活性種10及び第二のフェロセン(Fc”)で例示され
る第二の電気活性種12を含む。電気活性種10及び12は、それぞれ異なる化
学又は生物学的結合パートナー、具体的には結合パートナー14及び16(リガ
ンドL’及びL”として例示)に対して固定化されている。図1の配置では、電
気活性種は、共通のコロイド粒子に固定化されることによって結合パートナーに
対して固定化されている。具体的には、電気活性種10は、結合パートナー14
も連結しているコロイド粒子18に連結しており、電気活性種12は、結合パー
トナー16も連結しているコロイド粒子20に連結している。電気活性種と結合
パートナーは、任意のさまざまな方法でコロイド粒子に連結することができる。
好適な実施の形態では、それぞれはコロイド粒子に金属結合タグ/金属/キレー
ト連結によって連結している。
【0053】 金属結合タグ/金属/キレート連結が使用される配置では、キレートはコロイ
ド粒子18及び/又は20上でSAMの一部を形成することができる。キレート
は金属に配位し、ポリアミノ酸タグのような金属結合タグは、電気活性種10も
しくは12、又は結合パートナー14もしくは16のいずれか又はすべてに組み
込むことができるので、これらの種のいずれか又はすべては、金属結合タグが金
属に配位することによって、コロイド粒子18又は20に固定化される能力を与
えられることになる。従って、いずれかのコロイド粒子に連結されるように配置
された電気活性種は、X−R−Yによって表すことができる。式中、Xは、粒子
表面に付着するように選ばれた官能基であり、Rは、化学結合、自己集合単層の
一部を形成できるスペーサー部分、自己集合単層中の電子流を促進する部分、又
はその組合せであり、Yは、置換メタロセンのような低レドックス電位物質であ
り得る電気活性シグナリング物質を含む。この場合、R及びYは、結合タグ/金
属/キレート連結によって互いに接続できる。代替の固定化技術では、種10、
12、14又は16のいずれか、最も多くは種14又は16は、末端システイン
を保持できるので、それによってコロイド粒子18又は20の金表面に結合でき
る。
【0054】 図1の配置は、第一のパッケージに含有される、電気活性種10と結合パート
ナー14を保持する複数のコロイド粒子18と、第二のパッケージに含有される
、電気活性種12と結合パートナー16を保持する複数のコロイド粒子20を含
むキットを規定できる。本発明のキットは、一般的に、別のパッケージに入った
別の成分を含む。各パッケージは一つの大きなパッケージに含有され、場合によ
り各パッケージ成分の使用説明書を含む。図1のキットを使用できる一つの方法
では、複数のコロイド粒子18及び20を被検体に曝露し、被検体は結合パート
ナー14又は16のどちらか一方に結合する。両方に結合することはない。被検
体は一方の結合パートナーに結合が可能であり、それによって被検体が固定化さ
れる電気活性シグナリング物質10又は12は、例えば被検体を適切な電極に誘
引することによって検出される。例えば、もし被検体が、場合により電極上の自
己集合単層の一部として提供されている電極結合種にも同時に結合し得る場合、
被検体に対して固定化されたコロイド粒子は電極に容易に誘引できるので、電極
に対するシグナリング物質(例えばFc’又はFc”)の近接度が検出できる。
あるいは、被検体に結合する種を保持している磁気ビーズを提供することもでき
る。その後ビーズを電極表面に磁気的に誘引し、それと一緒に、被検体が結合し
ている結合パートナーを、随伴するコロイド粒子及び電気活性シグナリング物質
と共に引き寄せる。あるいは、被検体に結合させて、それを検出用の表面に誘引
するのではなく、コロイド粒子18及び20と、それに随伴する電気活性物質及
びリガンドを、被検体が結合している表面、例えば被検体を定義する受容体を持
っている細胞に曝露することもできる。このように、図1の配置は、化学又は生
物学的結合事象の測定に関する本発明の方法を容易にする。該化学又は生物学的
結合事象は、第二のレドックス電位を有する第二のシグナリング物質も関与する
アッセイにおいて、第一のシグナリング物質の第一のレドックス電位によって示
される。
【0055】 図1のキットを利用する別の実施の形態において、電気活性シグナリング物質
とリガンドを保持するコロイド粒子18及び20は、一つの試料溶液中で二つの
アッセイを同時に実施するのにも使用できる。
【0056】 それぞれ異なる結合パートナーに対して固定化された二つの異なるシグナリン
グ物質10及び12の使用は、一つの結合事象を別のものと比較することも可能
にする。例えば、図2を参照する。単一の細胞22には、同時に二つの結合パー
トナー(リガンド)14及び16を結合させることができる。ここで、リガンド
14は、構成的に発現された受容体R’(24)に結合するように選ばれる。す
なわち、細胞22の表面におけるその濃度は固定され分かっている。結合パート
ナー16は、細胞22の表面における発現量が不明の第二の細胞受容体R”(2
6)に結合するように選ばれる。この系が、適当な電極にほぼ接近して提供され
ると(当業者に公知の配置及び条件によって)、電気活性種10の信号は、電気
活性種12から発生する信号の検量又は標準化に使用できる。図2に示されてい
るように、細胞22は第一の受容体24よりも著しく少ない第二の受容体26(
量は不明)を含むので、電気活性シグナリング物質12の酸化及び/又は還元中
に電極を流れる電流の量は、電気活性シグナリング物質10の酸化及び/又は還
元中に流れる電流の量に対して比例して少ない。受容体24の量が分かっていれ
ば、細胞22の受容体26の量は、これらの相対電流を比較することによって測
定できる。受容体24の量が未知であるが不変の場合、少なくとも細胞表面の各
受容体の相対量は測定できるので、受容体24の量が細胞ごとに変化しない場合
、細胞の受容体24の濃度は、少なくとも一つの実験に既知量の受容体26を使
う一連の比較実験によって完全に測定できる。あるいは、当業者に明らかな他の
公知基準を使えば、表面における受容体24及び26の相対量から、表面におけ
るいずれかの受容体の絶対量の測定に至ることができる。この方法は、一つの電
極に結合している細胞数の変化に起因する信号の変動を排除する。信号の標準化
は、第二の受容体26の発現レベルを、細胞周期の特定の進行期で候補治療薬又
は薬物に応じて検査する場合にも有用でありうる。
【0057】 図2に示した配置は、一つの受容体の存在が別の受容体の発現にどのような影
響を及ぼすかについての情報を導き出すことも可能にする。前述の技術を使えば
これを測定することができる。
【0058】 第二のレドックス電位を有する第二のシグナリング物質も関与するアッセイで
第一のシグナリング物質の第一のレドックス電位によって示される化学又は生物
学的結合を測定する方法の別の例は、図3に示されているような競合結合アッセ
イである。図3では、電極32(図1及び2でも存在しうるが図示せず)の表面
30は、結合部位36を有する固定化された標的受容体34を保持している。受
容体34は、任意の従来手段によって表面30に対して固定化できる。例えば、
受容体34は表面30上の自己集合単層の一部を形成することができる。例えば
、様々な自己集合単層形成種(図示せず)、及び受容体34に付着した、自己集
合単層に融合できる又はその形成を補助できる、そして種30に付着するように
選ばれた官能基を含む種などである。
【0059】 図3では、第一のリガンド38は電気活性シグナリング物質10に対して固定
化されている。リガンド38は、受容体34に部位36で生物学的に結合する能
力を有している。候補薬40は、受容体34の部位36にも結合する能力を潜在
的に有しているが、電気活性シグナリング物質12に対して固定化されている。
リガンド38と候補薬40は、様々な配置によって、それぞれ10及び12の物
質に対して固定化できる。例えば、それぞれがコロイド粒子に連結し、コロイド
粒子にはシグナリング物質も連結しているという図1及び2に示したような配置
などである。候補薬40がリガンド38と競合して部位36に結合する場合、リ
ガンド38と候補薬40がそれぞれ部位36に結合できると、これは測定できる
。電極32に接近している電気活性種10の酸化及び/又は還元に伴う電流ピー
クの損失が検出されるだけでなく、電気活性種12の電極への接近に由来する電
流信号の増加も検出される。このようにして、リガンド38又は候補薬40の部
位36に対する相対的結合が、リガンド又は候補薬のいずれかの電極への近接度
の測定によって測定でき、リガンド又は薬物の受容体への接近が示される。別の
実施の形態では(図示せず)、候補薬40がいずれのシグナリング物質にも結合
していないという以外は図3に示したような配置が提供される。この配置では、
電極32に接近している電気活性種10に伴う電流ピークの減少が、候補薬40
の受容体36への結合の有効性を示している。これは多くの状況で有用である。
図3に示した配置は、候補薬40の存在に由来する種10の電流ピークの減少の
定量における何らかの困難が克服されるという更なる利点も含む。種10に伴う
ピークの減少と比較した、種12に起因する電流ピークの相対的増加を利用して
、リガンド38と受容体34間の結合と競合する候補薬40の有効性を定量する
ことができる。
【0060】 本発明の別の実施の形態に従って、信号の検量も実施できる。それは、既知の
、予め決められた数の特定リガンドを電極に付着させ、シグナリング物質に対し
て固定化されたリガンドの結合パートナー(例えば共通のコロイド粒子への付着
により)を、過剰供給して、電極に曝露する。この場合、すべてのリガンドが結
合パートナーと結合することになるので、存在している既知のリガンド数を用い
て、表面に存在するシグナリング物質の数が分かり、各シグナリング物質の酸化
及び/又は還元に伴う電流量がそれによって測定できる。あるいは、過剰のリガ
ンドを保持している電極を、シグナリング物質が結合した既知数の結合パートナ
ーに曝露してもよい。それぞれが表面に結合するので、シグナリング物質あたり
の電流量が測定できる。
【0061】 本発明のこれら及び他の実施の形態の機能及び利点は、以下の実施例からさら
に十分に理解されるであろう。以下の実施例は、本発明の利益を説明するための
ものであり、本発明の全容を例示しているわけではない。実施例 交流ボルタンメトリー(ACV)の条件下では、分子1(先行技術;比較例)
は490mVで酸化される。ACVの結果を得るための条件は以下の通りであっ
た。分子1は、トリエチレングリコール末端チオールと共に、ジメチルホルムア
ミド中溶液から金被覆ガラススライド上に自己集合させた。金の被覆は動作電極
として働いた。Ag/AgClの参照電極と白金補助電極を用い、そしてCH Instruments Model 630電気化学分析装置を用い、過電圧
25mV、周波数10Hzで標準のACVを得た。電解質は1モルの過塩素酸ナ
トリウムであった。この酸化電位は、多くの生物学的に重要な分子の酸化電位の
範囲であり、多くのセンサ装置が組み立てられている金表面の酸化電位に近い。
これらの実施例は、490mV未満のレドックス電位を有する種を含め、自己集
合単層に融合でき、自己集合単層中の電子流を促進する部分を含む2種類の分子
種の合成について記載する。具体的には、電気活性種はフェロセンである。該フ
ェロセンは、フェロセンに490mV未満のレドックス電位を提供するように選
ばれた置換基を含む。一つのフェロセンは、各シクロペンタジエン環にそれぞれ
1個ずつの2個のメチル置換基を含み(3)、340mVで酸化される。他のフ
ェロセンは、各シクロペンタジエン環にそれぞれ4個ずつの8個のメチル置換基
を含み(2)、220mVで酸化される。すなわち、これらの種2及び3は、分
子のフェロセン末端の置換に関して1とは異なる。2及び3におけるそれぞれ8
個及び2個のメチル基の存在は、フェロセン単位の鉄原子をさらに電子豊富にす
るように働くので、化合物2及び3の酸化電位は1と比べて低下する(Conn
elly,N.G.,Geiger,W.E;Chemical Review
s,1996,96,877及びそれに含まれる参考文献)。今回、1を2又は
3に取り替えると、生物化合物からの干渉を受けることなく、低電位でフェロセ
ン単位からの電流の検出が可能になる。
【0062】
【化3】 化合物2及び3の製造 スキーム1に合成2の概略を示す。
【0063】
【化4】 化合物5の合成 火炎乾燥した密封可能なシュレンクフラスコに、アルゴン気流下にてPOCl3 を加え(0.26ml、2.8当量)、そしてDMF(3ml)、次に4(3
00mg、1当量)及びDMF(1ml)を加えた。得られた暗赤色反応混合物
を室温で1時間、120℃で14時間撹拌した。該反応混合物を氷/水浴中で冷
却し、それに酢酸ナトリウム(1.508g)の水(10ml)中溶液を加え、
混合物を6時間撹拌した。該混合物をエーテルで抽出し(4×25ml)、合わ
せた有機層を1MのHCl水溶液(2×25ml)、飽和炭酸水素塩水溶液、及
び食塩水で洗浄した。エーテル溶液を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濃縮した。
エーテルからの再結晶による生成物の精製を試みたが成功しなかった。粗生成物
をシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーにかけ、20:1のヘキサン:酢
酸エチルを溶離液として用いて精製し、42mgの赤色固体を得た。6の合成 (クロロメチル)トリフェニルホスホニウムクロリド(32mg、1.1当量
)のTHF(0.5ml)中懸濁液に、n−ブチルリチウム(60μL、ヘキサ
ン中1.6M、1.1当量)を滴下添加し、得られた溶液を20分間撹拌した。
5(27mg、1当量)のTHF(0.5ml)中溶液をカニューレを通して加
え、得られた赤色透明溶液を室温で3時間撹拌した。カリウムt−ブトキシドを
加え、反応フラスコを密封し、70℃で92時間加熱した。該反応混合物を水(
10ml)で希釈し、ヘキサンで抽出し(2×20ml)、硫酸ナトリウムで乾
燥させ、濃縮した。生成混合物は、未反応の5、所望の生成物6、及び中間体の
塩化ビニル6aを含有している。粗生成物をシリカゲルのフラッシュクロマトグ
ラフィーにかけ、ヘキサンを溶離液として用いて精製し、28mgの分離不能な
6と6aの混合物を1.8:1の比で得た。これは、生成物のNMRスペクトル
で、ビニルのC−Hに対するアルキニルのC−Hのプロトンの相対面積から求め
た。
【0064】
【化5】 化合物8の合成 アルゴン下、火炎乾燥した密封可能なシュレンクフラスコに、6(〜39mg
、0.122mmol、1.25当量)、7(54.4mg、0.098mmo
l、1当量)、Pd2(dba)3(4.5mg、0.05当量)、PPh3(5
.6mg、0.22当量)、及びCuI(2.8mg、0,15当量)を装入し
た。THF(4ml)とジイソプロピルアミン(4ml)を加え、得られた混合
物を真空ポンプで3回脱ガスし、次いでアルゴンで逆充填した。フラスコを密封
し、油浴中、撹拌しながら55℃で48時間加熱した。反応混合物をジクロロメ
タンで希釈し、水酸化アンモニウム水溶液中に注いだ。層が分離したので、水性
層を追加のジクロロメタンで洗浄し、有機抽出物を合わせ、硫酸ナトリウムで乾
燥させ、濃縮した。粗生成物をシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーにか
け、1:1のヘキサン:酢酸エチルを溶離液として用いて精製し、56.1mg
の赤色固体を得た。化合物9の合成 アルゴン下、8(54mg、1当量)のTHF(1ml)中溶液に、ヨウ化メ
チル(40μL、10当量)を加え、反応を48時間撹拌した。揮発物を除去し
、62mgの赤色半固体を得た。化合物2の合成 9の量をDMFとトリエチルアミンの混合物中で加熱し、2の溶液を製造する
。これを以後の実験に使用する。3の合成 スキーム2にこの概略を示す。
【0065】
【化6】 化合物11の合成 DMF(1.05ml、5.8当量)とPOCl3(2.86g、8当量)を
含有するクロロホルム(17.5ml)中1,1’−ジメチルフェロセン10(
Strem Chemicals、0.5g、1当量)溶液を、アルゴン下、撹
拌しながら50℃で17時間加熱した。該溶液を飽和酢酸ナトリウム水溶液、次
に10%炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濃
縮した。粗生成物をシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーにかけ、ジクロ
ロメタンを溶離液として用いて精製し、359.1mgの11を得た。化合物12の合成 n−BuLi(1.1ml、ヘキサン中1.6M、1.2当量)を、ジイソプ
ロピルアミン(0.25ml、1.2当量)のTHF(12ml)中溶液に0℃
で滴下添加した。得られた溶液を1時間撹拌し、−78℃に冷却し、それにトリ
メチルシリルジアゾメタン(0.89ml、ヘキサン中2.0M、1.2当量)
を加え、撹拌を1時間続けた。予め−78℃に冷却した11のTHF(6ml)
中溶液をカニューレを通して添加し、1時間撹拌を続け、該反応混合物を室温に
温めた。フラスコを密封し、65℃で72時間加熱した。該反応混合物を水に注
ぎ、エーテルで抽出した。有機抽出物を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濃縮した
。粗生成物をシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーにかけ、4:1のヘキ
サン:酢酸エチルを溶離液として用いて精製し、26.2mgの12を得た。
【0066】 化合物13は、12及び7から、8の製造に使用したのと同一の手順によって
製造した。9.7mgの13を得た。 14の製造は9の製造と同一である。
【0067】 当業者であれば、本明細書中に記載のすべてのパラメータは、例示的意味合い
のものであって、実際のパラメータは、本発明の方法及び装置が使用される特定
の用途によって異なることを容易に理解するであろう。従って、前述の実施の形
態は例示だけを目的として表したものであること、そして添付のクレーム並びに
それと等価の範囲内で、具体的に記載したのとは別のやり方で本発明を実施でき
ることは理解されるはずである。特に、当業者であれば、本明細書中に記載した
本発明の特定の実施の形態に等しい多くの変形が可能であることを認識し、又は
ほんの日常的実験を用いてそれを確認できるであろう。そうした等価の内容は以
下のクレームに包含されると解釈される。
【0068】 クレーム中、“含む”“包含する”“保持する”“有する”“含有する”“関
与する”などの移行句はすべて非制限的である、すなわち包含されるがそれに制
限されない、と理解されるべきである。“〜からなる”“本質的に〜からなる”
という移行句だけが、それぞれ制限的又は半制限的移行句である。これについて
は、米国特許庁特許審査手順マニュアル、セクション2111.03に説明の通
りである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 コロイド粒子に結合した電気活性シグナリング物質及び結合パー
トナーを含む本発明の一つのキットを示す略図である。
【図2】 図1のキットと、異なる受容体を細胞表面上に含む細胞との相互
作用を示す略図である。
【図3】 結合パートナーと受容体との結合を阻害する候補薬の有効性を測
定するアッセイの配置を示す略図である。
【符号の説明】
10 第一の電気活性種、12 第二の電気活性種、14 結合パートナー、
18 コロイド粒子、22 細胞、24 受容体、30 表面、32 電極、3
6 結合部位、38 リガンド、40 候補薬。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G01N 27/46 301M (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE,TR),OA(BF ,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW, ML,MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,G M,KE,LS,MW,MZ,SD,SL,SZ,TZ ,UG,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ, MD,RU,TJ,TM),AE,AG,AL,AM, AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,B Z,CA,CH,CN,CO,CR,CU,CZ,DE ,DK,DM,DZ,EC,EE,ES,FI,GB, GD,GE,GH,GM,HR,HU,ID,IL,I N,IS,JP,KE,KG,KP,KR,KZ,LC ,LK,LR,LS,LT,LU,LV,MA,MD, MG,MK,MN,MW,MX,MZ,NO,NZ,P L,PT,RO,RU,SD,SE,SG,SI,SK ,SL,TJ,TM,TR,TT,TZ,UA,UG, US,UZ,VN,YU,ZA,ZW (72)発明者 フリド,マイケル アメリカ合衆国マサチューセッツ州02135, ブライトン,ノース・ビーコン・ストリー ト 176,アパートメント 11 Fターム(参考) 4C055 AA01 AA04 BA01 CA01 DA20 DA21 DB04 GA02 4H050 AA03 AB91

Claims (80)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 自己集合単層に融合でき、少なくとも2個の置換基を包含す
    るメタロセンを含む分子種を含む組成物。
  2. 【請求項2】 2個の置換基を包含する、請求項1に記載の組成物。
  3. 【請求項3】 前記置換基が電子供与体である、請求項1に記載の組成物。
  4. 【請求項4】 前記置換基がアルキル基を含む、請求項1に記載の組成物。
  5. 【請求項5】 前記置換基がメチル基を含む、請求項1に記載の組成物。
  6. 【請求項6】 前記メタロセンがフェロセンである、請求項5に記載の組成
    物。
  7. 【請求項7】 前記メタロセンがフェロセンである、請求項1に記載の組成
    物。
  8. 【請求項8】 前記メタロセンが8個の置換基を包含する、請求項1に記載
    の組成物。
  9. 【請求項9】 前記置換基が電子供与体である、請求項8に記載の組成物。
  10. 【請求項10】 前記置換基がアルキル基を含む、請求項8に記載の組成物
  11. 【請求項11】 前記置換基がメチル基を含む、請求項8に記載の組成物。
  12. 【請求項12】 前記メタロセンがフェロセンである、請求項11に記載の
    組成物。
  13. 【請求項13】 前記メタロセンがフェロセンである、請求項8に記載の組
    成物。
  14. 【請求項14】 前記分子種が、表面に付着するように選ばれた化学基を含
    む、請求項1に記載の組成物。
  15. 【請求項15】 前記化学基がチオールである、請求項14に記載の組成物
  16. 【請求項16】 自己集合単層に融合でき、490mV未満のレドックス電
    位(対Ag/AgCl)を有する電気活性種を含む分子種を含む組成物。
  17. 【請求項17】 前記電気活性種が約400mV以下のレドックス電位を有
    する、請求項16に記載の組成物。
  18. 【請求項18】 前記電気活性種が約350mV以下のレドックス電位を有
    する、請求項16に記前記載の組成物。
  19. 【請求項19】 前記電気活性種が約300mV以下のレドックス電位を有
    する、請求項16に記載の組成物。
  20. 【請求項20】 前記電気活性種が約250mV以下のレドックス電位を有
    する、請求項16に記載の組成物。
  21. 【請求項21】 前記電気活性種が約220mV以下のレドックス電位を有
    する、請求項16に記載の組成物。
  22. 【請求項22】 前記電気活性種がメタロセンを含む、請求項21に記載の
    組成物。
  23. 【請求項23】 前記メタロセンがフェロセンである、請求項21に記載の
    組成物。
  24. 【請求項24】 前記メタロセンがフェロセンである、請求項16に記載の
    組成物。
  25. 【請求項25】 前記メタロセンがフェロセンである、請求項24に記載の
    組成物。
  26. 【請求項26】 前記フェロセンが少なくとも2個の置換基を包含する、請
    求項25に記載の組成物。
  27. 【請求項27】 前記少なくとも2個の置換基のそれぞれが、シクロペンタ
    ジエン基上に位置する、請求項26に記載の組成物。
  28. 【請求項28】 前記少なくとも2個の置換基が、フェロセンの各シクロペ
    ンタジエン上に1個ずつのメチル基を含む、請求項27に記載の組成物。
  29. 【請求項29】 前記メタロセンが、8個の置換基を包含するフェロセンを
    含む、請求項26に記載の組成物。
  30. 【請求項30】 前記8個の置換基が8個のメチル基を含む、請求項29に
    記載の組成物。
  31. 【請求項31】 少なくとも2個の置換基を包含するメタロセンに接続され
    た、自己集合単層中の電子流を促進する分子部分を含む組成物。
  32. 【請求項32】 490mV未満のレドックス電位を有する電子活性種に接
    続された、自己集合単層中の電子流を促進する分子部分を含む組成物。
  33. 【請求項33】 請求項1に記載の、複数の分子種を含む自己集合単層。
  34. 【請求項34】 請求項16に記載の、複数の分子種を含む自己集合単層。
  35. 【請求項35】 請求項31に記載の、複数の分子種を含む自己集合単層。
  36. 【請求項36】 請求項32に記載の、複数の分子種を含む自己集合単層。
  37. 【請求項37】 X−R−Y [式中、Xは、表面に付着するように選ばれた官能基を含み、Rは、化学結合、
    自己集合単層の一部を形成できるスペーサー部分、自己集合単層中の電子流を促
    進する部分、又はその組合せであり、そして、Yは、490mV未満のレドック
    ス電位を有する電気活性シグナリング物質を含む]を含む分子種。
  38. 【請求項38】 Xがチオールを含む、請求項37に記載の分子種。
  39. 【請求項39】 Rが化学結合である、請求項37に記載の分子種。
  40. 【請求項40】 Rが自己集合単層の一部を形成できるスペーサー部分であ
    る、請求項37に記載の分子種。
  41. 【請求項41】 Rが、Rを含む複数の分子の自己集合単層形成を促進する
    スペーサー部分である、請求項40に記載の分子種。
  42. 【請求項42】 Yが置換メタロセンを含む、請求項37に記載の種。
  43. 【請求項43】 前記メタロセンが少なくとも2個の置換基を包含する、請
    求項42に記載の分子種。
  44. 【請求項44】 前記少なくとも2個の置換基が電子供与基である、請求項
    43に記載の分子種。
  45. 【請求項45】 前記少なくとも2個の置換基がアルキル基を含む、請求項
    44に記載の分子種。
  46. 【請求項46】 前記少なくとも2個の置換基がメチル基を含む、請求項4
    5に記載の組成物。
  47. 【請求項47】 前記メタロセンがフェロセンを含む、請求項46に記載の
    組成物。
  48. 【請求項48】 前記メタロセンがフェロセンを含む、請求項44に記載の
    組成物。
  49. 【請求項49】 前記メタロセンが8個の置換基を含む、請求項44に記載
    の組成物。
  50. 【請求項50】 第一のレドックス電位を有し、第一の化学又は生物学的結
    合パートナーに対して固定化可能な第一の電気活性種と、 第二のレドックス電位を有し、第二の化学又は生物学的結合パートナーに対し
    て固定化可能な第二の電気活性種と、 を含むキット。
  51. 【請求項51】 前記第一又は第二の電気活性種の少なくとも一つがメタロ
    センを含む、請求項50に記載のキット。
  52. 【請求項52】 前記第一及び第二の電気活性種のそれぞれがメタロセンを
    含む、請求項50に記載のキット。
  53. 【請求項53】 前記メタロセンのそれぞれが約490mV未満のレドック
    ス電位を有する、請求項52に記載のキット。
  54. 【請求項54】 前記メタロセンのそれぞれが約340mV以下のレドック
    ス電位を有する、請求項52に記載のキット。
  55. 【請求項55】 前記メタロセンのそれぞれが約340mV以下のレドック
    ス電位を有する、請求項52に記載のキット。
  56. 【請求項56】 前記第一及び第二の電気活性種のそれぞれが、少なくとも
    2個の置換基を包含するフェロセンを含む、請求項50に記載のキット。
  57. 【請求項57】 前記少なくとも2個の置換基が電子供与体である、請求項
    56に記載のキット。
  58. 【請求項58】 前記少なくとも2個の置換基がアルキル基を含む、請求項
    57に記載のキット。
  59. 【請求項59】 前記少なくとも2個の置換基がメチル基を含む、請求項5
    8に記載のキット。
  60. 【請求項60】 8個の置換基を含む、請求項95に記載のキット。
  61. 【請求項61】 前記第一の電気活性種が前記第一の化学又は生物学的結合
    パートナーに対して固定化され、前記第二の電気活性種が前記第二の化学又は生
    物学的結合パートナーに対して固定化されている、請求項50に記載のキット。
  62. 【請求項62】 第二のレドックス電位を有する第二のシグナリング物質も
    関与するアッセイにおいて、第一のシグナリング物質の第一のレドックス電位に
    よって示される化学又は生物学的結合事象を測定することを含む方法。
  63. 【請求項63】 前記第一又は第二のシグナリング物質の少なくとも一つが
    メタロセンを含む、請求項62に記載の方法。
  64. 【請求項64】 前記第一及び第二のシグナリング物質のそれぞれがメタロ
    センを含む、請求項62に記載の方法。
  65. 【請求項65】 前記第一及び第二のシグナリング物質のそれぞれがフェロ
    センを含む、請求項62に記載の方法。
  66. 【請求項66】 少なくとも1個のフェロセンが置換基を包含する、請求項
    65に記載の方法。
  67. 【請求項67】 前記置換基が電子供与体である、請求項66に記載の方法
  68. 【請求項68】 被検体を、第一の化学又は生物学的結合パートナーに対し
    て固定化された前記第一のシグナリング物質と第二の化学又は生物学的パートナ
    ーに対して固定化された前記第二のシグナリング物質に曝露し、 前記第一の結合パートナーを前記被検体に結合させることによって前記第一の
    シグナリング物質を前記被検体に対して固定化し、そして 前記被検体に対する前記第一の結合パートナーの固定化を測定する ことを含む、請求項62に記載の方法。
  69. 【請求項69】 第一のシグナリング物質に対して固定化された第一のリガ
    ンドと、第二のシグナリング物質に対して固定化された第二のリガンドを、前記
    第一のリガンドの結合パートナーである予め決められた量の第一の細胞表面受容
    体と、前記第二のリガンドに対する結合パートナーである第二の細胞表面受容体
    とを含む細胞に曝露し、前記第一のリガンドを前記第一の細胞表面受容体に、前
    記第二のリガンドを前記第二の細胞表面受容体に結合させ、そして、前記第一の
    シグナリング物質の信号に対して検量された前記第二のシグナリング物質の信号
    から、細胞表面における第二の細胞表面受容体の量を測定することを含む、請求
    項62に記載の方法。
  70. 【請求項70】 前記第一又は第二のシグナリング物質の少なくとも一つが
    メタロセンを含む、請求項69に記載の方法。
  71. 【請求項71】 前記第一及び第二のシグナリング物質のそれぞれがメタロ
    センを含む、請求項70に記載の方法。
  72. 【請求項72】 前記第一又は第二のメタロセンの少なくとも一つが置換基
    を含む、請求項70に記載の方法。
  73. 【請求項73】 前記第一のシグナリング物質を含むメタロセンが、前記第
    二のシグナリング物質を含むメタロセンとは異なるレドックス電位を有する、請
    求項70に記載の方法。
  74. 【請求項74】 第一の結合パートナーの第二の結合パートナーへの結合を
    阻害することにおける候補薬の有効性を測定することを含む方法であって、メタ
    ロセンに連結された前記第一の結合パートナーを、前記候補薬の存在下で前記第
    二の結合パートナーに曝露し、前記メタロセンのレドックス電位の測定によって
    前記第一の結合パートナーの前記第二の結合パートナーへの結合を測定すること
    による方法。
  75. 【請求項75】 第一の結合パートナーの第二の結合パートナーへの結合を
    阻害することにおける候補薬の有効性を測定することを含む方法であって、第一
    のシグナリング物質に対して固定化された前記第一の結合パートナーと第二のシ
    グナリング物質に対して固定化された前記候補薬を、前記第二の結合パートナー
    に曝露し、前記第一又は第二のシグナリング物質の、前記第二の結合パートナー
    に対する近接度を測定することによって、前記第一の結合パートナー又は候補薬
    の、前記第二の結合パートナーへの相対的結合を測定することによる方法。
  76. 【請求項76】 前記第一又は第二のシグナリング物質の少なくとも一つが
    メタロセンを含む、請求項75に記載の方法。
  77. 【請求項77】 前記第一及び第二のシグナリング物質のそれぞれがメタロ
    センを含む、請求項76に記載の方法。
  78. 【請求項78】 前記第一及び第二のシグナリング物質のそれぞれがフェロ
    センを含む、請求項77に記載の方法。
  79. 【請求項79】 前記第一のシグナリング物質が、前記第二のシグナリング
    物質とは異なるレドックス電位を有する、請求項78に記載の方法。
  80. 【請求項80】 前記第一のシグナリング物質が、前記第二のシグナリング
    物質のフェロセンとは異なる程度に置換されたフェロセンを含む、請求項79に
    記載の方法。
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