JPH0692717A - Bi系酸化物超電導体の製造方法 - Google Patents

Bi系酸化物超電導体の製造方法

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JPH0692717A
JPH0692717A JP4245115A JP24511592A JPH0692717A JP H0692717 A JPH0692717 A JP H0692717A JP 4245115 A JP4245115 A JP 4245115A JP 24511592 A JP24511592 A JP 24511592A JP H0692717 A JPH0692717 A JP H0692717A
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firing
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based oxide
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JP4245115A
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Dein Tan Torun
トルン・ディン・タン
Hisashi Yoshino
久士 芳野
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Toshiba Corp
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    • Y02E40/60Superconducting electric elements or equipment; Power systems integrating superconducting elements or equipment

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  • Inorganic Compounds Of Heavy Metals (AREA)
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  • Superconductors And Manufacturing Methods Therefor (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 高Tc 相を90% 以上というように高い比率で
含有するBi系酸化物超電導体を、短時間焼成で再現性よ
く作製することを可能にしたBi系酸化物超電導体の製造
方法を提供する。 【構成】 Bi系酸化物超電導体またはその原料を、所定
の温度で焼成するにあたり、焼成温度までの昇温過程の
雰囲気中の酸素分圧を 3×10-2atm 以下とすると共に、
焼成温度による保持過程の雰囲気中の酸素分圧を 5×10
-2atm 〜 1.5×10-1atm の範囲とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、Bi系酸化物超電導体の
製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】現在までのところ、臨界温度Tc が高い
超電導体として、RE-Ba-Cu-O系(REはYを含む希土類元
素、Tc =90K)、 Bi-Sr-Ca-Cu-O系(Tc =80K、110
K)、Tl-Ba-Ca-Cu-O系(Tc =125K)等の酸化物超電導体
が知られている。これらの酸化物超電導体を実用化する
ために、液体窒素温度以上の臨界温度Tc を目標とする
と、臨界温度Tc に関しては Y系、Bi系、Tl系のいずれ
の酸化物超電導体も、上記基準を満たしている。また、
臨界磁場Hc2もかなり高く、 Y系では50T 〜200T(0K)、
Bi系では 50T〜400T(0K)、Tl系では〜130T(0K)である。
中でも、Bi系酸化物超電導体は、化学的安定性が高く、
高価な希土類元素が不要である等の利点を有することか
ら、その実用性を高めることが求められている。
【0003】ところで、現状のBi系酸化物超電導体の製
造方法では、試料内にTc が約 80Kの低Tc 相と、Tc
が約110Kの高Tc 相が混在してしまう。このようなBi系
酸化物超電導体を液体窒素温度(77K)で使用すると、低
c 相の臨界温度が液体窒素温度に近いため、熱ゆらぎ
等によって超電導特性が不安定になるという欠点があ
る。従って、Bi系酸化物超電導体を実用化するために
は、例えば高Tc 相を 90%以上含むような高Tc 相の比
率が高い試料が必要となる。このような高Tc 相の比率
が高い試料を得るために、現状の製造方法においては、
例えば 100時間以上の長時間焼成を行っている。
【0004】しかしながら、上記したような長時間焼成
には、次のような欠点があった。通常、Bi系高Tc 相を
得るために、 Bi-Sr-Ca-Cu-O系の母体に PbOを添加する
ことが行われているが、長時間焼成によって PbOの蒸発
等を招き、これによって組成ずれ、試料内の組成ムラ等
が発生するため、良好な材料を得ることができない。特
に、ピン止めセンターを導入する際に、以下に示すよう
な問題を招いていた。現状の酸化物超電導体は、上記し
た臨界温度Tc や臨界磁場Hc2が比較的良好であるのに
対して、臨界電流密度Jc が実用レベルに達していない
という問題を有している。例えば、焼結法で作製したBi
系酸化物超電導体材料では、外部磁場が存在しない条件
下でも実用レベルより 2桁以上低い。また、磁場を印加
したとき、磁束の運動によりJc の低下が大きいという
問題もある。このような問題に対して、材料内部に空間
的に不均一な部分を導入すると、その部分に磁束は位置
した方がエネルギ的に安定となる。これをピン止めとい
う。このようなピン止めを導入することによって、磁場
中でのJc を向上させることができる。また、ピン止め
センターの導入方法としては、超電導体中に常電導体や
絶縁体の微粒子をよく分散させて、析出物としてピン止
めの役割を持たせる方法が知られている。この際、焼成
時間が長いと、以下に示すような問題が起こり得る。
【0005】すなわち、ピン止めセンターとしての析出
物が超電導体と反応して、組成を変化させ、2212相(低
c 相)が表れる等によって、超電導特性が低下する。
また、析出物の凝集粗大化が起こり、ピン止め効果が低
下する。球状のピン止めセンターの粒径が磁束の円筒径
ξに等しいときに、ピン止めセンターが一番効果的とな
る。従って、析出物が凝集粗大化し、その粒径がξ以上
になると、そのピン止効果が低下してしまう。言い換え
れば、超電導体の同一体積中に、多数の析出物の微粒子
が均一に分散している状態がピン止め効果が一番効果的
であるのに対し、少数の大きい粒子が存在する場合はあ
まり効果的ではない。
【0006】そこで、短時間で 90%程度のBi系高Tc
を得る焼成法として、例えば、まず(Bi,Pb,Ca)Oおよび
(Sr,Ca,Cu)Oの化合物を作り、それらを適当な割合で混
合し、既に所定の焼成温度に設定した電気炉内にその混
合物を挿入して、焼成を行うというような方法が提案さ
れている。このような方法によれは、48時間程度の焼成
時間で、 94%程度の高Tc 相を含有する試料が得られ
る。しかし、この方法にも次のような欠点がある。
【0007】(1) 所定の温度に設定した炉内に試料を
挿入するとき、炉の蓋を開けた際に大気中の空気が炉内
に入り込むため、炉の雰囲気制御が正確にできなくな
る。そのため、試料の均一性および超電導特性の再現性
が悪いという問題がある。
【0008】(2) 試料を挿入する際、片方の出口が大
気に接触するため、冷たい空気が炉内に入り込み、炉心
管が急速に冷却されて劣化してしまう。
【0009】(3) 試料を急激に室温から 800℃以上の
設定温度まで数分間で昇温するため、粉末試料では比較
的良好な結果が得られるものの、バルクの大きい試料で
は割れるか亀裂が発生し、良好な試料が得られない。ま
た、あまりにも急激な昇温によって、試料中に含有する
ガス等の急な吹き出しや急激な膨張等によって、試料内
部にふくれや空孔ができやすく、試料を緻密化すること
が困難であり、よって高Jc を有する試料が得られな
い。
【0010】(4) 急激な温度上昇では、試料全体が瞬
間的に均一な温度になり得ないため、試料が変形してし
まう。
【0011】(5) Agチュ−ブにBi系高Tc 相の酸化物
超電導体体粉末を詰め、線材化する際に、急速に昇温す
ると、粉末に含まれるガスの急激な膨張がAg被覆を膨ら
ませる等の現象が起こり、健全なAgシース線材が得られ
ない。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】Bi系酸化物超電導体の
実用性を高めるために、高Tc 相の比率が高い材料の作
製が望まれているか、上述したように、長時間焼成法で
は、組成ずれや組成ムラの発生、ピン止めセンターを有
効に導入できない等の問題を招いていた。また、焼成時
間を短時間化した製造方法も提案されているが、従来の
短時間焼成法では、大型のバルク材や高Jc 材、さらに
はAgシース線材を安定に作製することができない等とい
う問題があった。
【0013】本発明は、このような課題に対処するため
になされたもので、高Tc 相を90%以上というように高
い比率で含有するBi系酸化物超電導体を、短時間焼成で
再現性よく作製することを可能にしたBi系酸化物超電導
体の製造方法を提供することを目的としている。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明のBi系酸化物超電
導体の製造方法は、Bi系酸化物超電導体またはその原料
を、所定の温度で焼成するにあたり、前記焼成温度まで
の昇温過程の雰囲気中の酸素分圧を 3×10-2atm 以下と
すると共に、前記焼成温度による保持過程の雰囲気中の
酸素分圧を 5×10-2atm 〜 1.5×10-1atm の範囲とする
ことを特徴としている。
【0015】本発明の製造方法で用いるBi系酸化物超電
導体としては、高Tc 相の組成範囲となる下記の一般式
で表されるものが挙げられる。
【0016】一般式:Bia Pbb Src Cad Cue O 10±δ (式中、 a、 b、 c、 d、 eおよびδは、 1.4≦ a≦
2.2、0.05≦ b≦0.87、1.65≦ c≦2.10、 1.9≦ d≦3.0
0、 2.8≦ e≦ 4.5、 0≦δ≦ 0.5を満足する数を表
す) 上記したようなBi系酸化物超電導体を用いて、Tc が約
110Kの高Tc 相を 90%以上含有するような材料を得るた
めに、本発明の製造方法においては、Bi系酸化物超電導
体を酸素含有雰囲気中にて所定の温度で焼成する際に、
焼成温度までの昇温過程の雰囲気中の酸素分圧を 3×10
-2atm 以下にすると共に、焼成温度における保持過程の
雰囲気中の酸素分圧を 5×10-2atm 〜 1.5×10-1atm の
範囲としている。ここで、上記焼成工程は、Bi系酸化物
超電導体原料の仮焼工程、Bi系酸化物超電導体の焼結工
程、Bi系酸化物超電導体の中間原料となる化合物の焼成
工程、その中間原料を用いた仮焼および焼結工程、さら
にはAgシース材を作製する際の熱処理工程等、種々の焼
成工程を含むものである。
【0017】このような焼成工程における昇温過程の酸
素分圧が 3×10-2atm を超えると、昇温過程中にCa2 Pb
O 4 やBi系2212相(低Tc 相)等が生成されやすく、こ
れらの化合物が一旦生成してしまうと、焼成温度による
保持過程で例えば 100時間以上の長時間焼成を行わない
限り、それらの化合物が再度互いに反応して、Bi系2223
相(高Tc 相)にはならない。また、焼成温度における
保持過程の酸素分圧が 5×10-2atm 未満であると、Bi系
2223相(高Tc 相)が不安定となって生成率が低下し、
また 1.5×10-1atm を超えると、低Tc 相が生成されや
すくなるため、同様に高Tc 相の生成率が低下する。
【0018】すなわち、本発明のBi系酸化物超電導体の
製造方法においては、焼成工程の昇温過程で高Tc 相以
外の相が生成されることを抑制すると共に、本焼成過程
での高Tc 相の生成率の向上を図るように、それぞれの
雰囲気中の酸素分圧を規定している。このように酸素分
圧を規定することによって、高Tc 相を 90%以上含有す
るような材料を、比較的短時間の焼成によって得ること
が可能となる。
【0019】本発明のBi系酸化物超電導体の製造方法
は、通常の固相反応法、中間原料を用いた固相反応法、
通常のシース線材の製造工程等を適用することができ
る。これら各方法について、以下に詳述する。
【0020】通常の固相反応法を利用する場合には、ま
ず目的とするBi系酸化物超電導体の構成金属元素の単体
またはそれらを含む化合物を所定の比率で、乾式混合法
あるいは分散媒としてアセトン、エタノール、メタノー
ル、プロパノール等を用いた湿式混合法により十分混合
する。混合の際には、例えばBi2 O 3 、 PbO、Pb
3 O4 、SrCO3 、CaCO3 、 CuO、Cu2 CO3 等の酸化物、
炭酸化合物、あるいは焼成後に酸化物に転化する硝酸
塩、有機酸塩、水酸化物、酸塩水和物等の化合物を原料
として用いることができる。また、各原料粉末の平均粒
径は、焼結密度を向上させるために、 0.3μm 〜 1.8μ
m の範囲のものを使用することが好ましい。
【0021】前述の原料を十分混合し、脱水乾燥した
後、 750℃〜 840℃程度の温度で、24時間〜50間程度仮
焼する。次に、この仮焼物を十分に粉砕した後、 830℃
〜 870℃程度の温度で24時間〜50間程度の焼結を行う。
上記仮焼や焼結は、窒素またはアルゴンと酸素とを含有
する雰囲気中で行うことが好ましい。また、これら焼成
工程における雰囲気中の酸素分圧は上述した通りとする
が、それ以外の条件、例えば昇温速度等は、以下の通り
とすることが好ましい。
【0022】例えば、粉末試料の焼成や比較的小さなバ
ルク材を作製する場合には、昇温速度を10℃/分以上と
することが好ましい。昇温速度が小さいと、Ca2 PbO 4
やBi系2212相等が生成しやすくなるためである。
【0023】また、大きいバルク材やAgシース線材等を
作製する場合には、 450℃〜 550℃程度の温度で数10分
〜数10時間程度の中間保持過程を設け、その温度から焼
成温度までの昇温速度を10℃/分以上とすることが好ま
しい。また、上記中間保持温度までの昇温速度は、 0.5
〜 3℃/分程度とすることが好ましい。大きいバルク材
やAgシース線材の場合に、室温から10℃/分以上の昇温
速度で昇温すると、試料内部のガスが急速に膨らみ、ふ
くれ、変形、亀裂、割れ等が発生しやすくなるためであ
る。また、上記中間保持過程も同様な理由から実施する
ものであり、これによって試料中の脱ガス等を十分に実
施することが可能となる。
【0024】上記中間保持過程の温度は、上述したよう
に、 450℃〜 550℃の範囲とすることが好ましい。この
中間保持過程の温度が 550℃を超えると、その温度まで
の昇温過程や中間保持過程でCa2 PbO 4 やBi系2212相等
が生成し、高Tc 相の比率を短時間焼成では高めること
ができなくなる。また、 450℃未満であると、その後の
10℃/分以上の昇温過程で、変形や割れ等が起こる可能
性が高くなる。
【0025】また、中間原料となる化合物を用いたBi系
酸化物超電導体の製造方法は、以下の通りである。この
製造方法は、Bi系酸化物超電導体を構成する元素の化合
物の融点がかなり異なるため、その低融点グループと高
融点グループとに分けて、それぞれを異なる温度で仮焼
した後、再度粉砕混合して、焼成を行う方法である。具
体的には、まず低融点の(Bi,Pb,Ca)の酸化物と、高融点
の(Sr,Ca,Cu)の酸化物を構成する元素の単体またはそれ
らを含む化合物を、それぞれ所定の比率で乾式混合法や
湿式混合法により十分に混合する。出発原料は前述した
通りである。低融点の(Bi,Pb,Ca)酸化物の構成金属元素
の混合比は、モル比でBi:Pb:Ca=(1.6〜2.3):(0.05〜0.8
7): (0.56〜1.05) の範囲とすることが好ましい。ま
た、高融点の(Sr,Ca,Cu)酸化物の構成金属元素の混合比
は、モル比でSr:Ca:Cu=(1.65〜2.10): (0.9〜2.00):(2.
8〜4.5)の範囲とすることが好ましい。
【0026】それぞれ各出発原料を十分に混合し、脱水
乾燥した後、低融点の(Bi,Pb,Ca)酸化物については、 7
50℃〜 850℃の温度範囲で、雰囲気中の酸素分圧を 3×
10-2atm 以下とした条件下にて、24時間〜36時間仮焼す
る。この仮焼温度が 750℃未満では未反応物が残存し、
850℃を超えると仮焼物がガラス化してしまう。また、
高融点の(Sr,Ca,Cu)酸化物については、 850℃〜 950℃
の温度範囲で24時間程度の仮焼を行う。仮焼温度を 850
℃未満とすると未反応物が残存し、 950℃を超えるとBi
系酸化物超電導体の生成温以上の融点を有する化合物が
生成され、本焼成過程でBi系高Tc 相の生成に悪影響を
及ぼす。
【0027】この後、上記した各中間化合物を、目的と
するBi系酸化物超電導体組成となるように混合し、十分
に粉砕した後、通常の固相反応法と同様にして、仮焼お
よび焼結の各工程を行う。これら焼成工程における条件
は、前述した通りである。
【0028】また、Bi系酸化物超電導体にピン止めセン
ターを導入する場合には、上述したような方法(通常の
固相反応法や中間化合物を用いる方法)で作製した仮焼
粉末と、ピン止め作用を有する MgO、Sc2 O 3 、Cr2 O
3 、 NiO等の粉末とを十分に混合する。なお、混合の際
にピン止め用酸化物粉末に代えて、焼成後に酸化物に転
化する硝酸塩、有機酸塩、炭酸化合物、水酸化物、酸塩
水和物等の化合物を出発原料として用いることもでき
る。
【0029】上記ピン止め用酸化物粉末は、平均粒径が
0.5μm 以下のものを使用することが好ましい。また、
ピン止め用酸化物粉末のBi系酸化物超電導体粉末に対す
る配合量は、Bi系酸化物超電導体粉末 100体積部に対し
て 1〜40体積部の範囲が適当である。ピン止め用酸化物
粉末の配合量が 1体積部未満では、磁束ピン止めの機能
を十分に発揮できず、高臨界電流密度を得ることができ
ない。また、40体積部を超えると、高密度の酸化物超電
導体が得にくくなり、臨界電流密度の低下を招く。な
お、その後の焼成工程については、前述した通りであ
る。
【0030】
【作用】本発明のBi系酸化物超電導体の製造方法におい
ては、焼成温度までの昇温過程で、雰囲気中の酸素分圧
を制御することによって、Ca2 PbO 4 やBi系2212相等の
生成を抑制していると共に、焼成温度による保持過程の
雰囲気を2223相が生成しやすい酸素分圧状態としている
ため、従来法のように長時間焼成することなく、Bi系高
c 相の比率が高く、かつ緻密なBi系酸化物超電導体を
再現性よく得ることができる。これによって、長時間焼
成に伴う製造コストの増大を防ぐことができるばかりで
なく、ピン止めセンターを安定して導入することが可能
になる。すなわち、ピン止めセンターの役割をする折出
物と超電導体間の反応物が生成しにくくなるため、超電
導特性が劣化しない上に、良好なピン止めセンターが得
られる。また、ピン止めセンターとなる折出物の凝集粗
大化が起こらないために、超電導母体に折出物を微細に
かつ均一に分散することができ、ピン止め効果がより一
層高くなるため、高磁場中で高Jc を示すBi系酸化物超
電導体を得ることが可能となる。
【0031】
【実施例】以下、本発明の実施例について説明する。
【0032】実施例1 焼成後に、Bi1.80Pb0.40Sr2.00Ca2.02Cu3.05O 10±δ
なるように、Bi2 O 3粉末、 PbO粉末、SrCO3 粉末、CaC
O3 粉末、Cu2 O 粉末あるいは CuO粉末を、所定量秤量
し、分散媒としてエタノールを用いた湿式混合法により
十分に混合した後、 100℃で長時間乾燥した。次いで、
上記原料混合粉末を酸素分圧が 5×10-3atm となるよう
に調整した(N2 +O2 ) の混合雰囲気中(常圧)で 850℃
まで昇温し、雰囲気中の酸素分圧を 7.7×10-2atm に調
整した後、その温度で24時間保持することにより仮焼を
行った。
【0033】上記仮焼物をエタノールを用いた粉砕法に
よって、平均粒径 0.5μm 程度の粉末とした後、 100℃
で長時間乾燥した。この後、酸素分圧が 5×10-3atm と
なるように調整した(N2 +O2 ) の混合雰囲気中で 860℃
まで昇温し、雰囲気中の酸素分圧を 7.7×10-2atm に調
整した後、その温度で48時間保持することによって、Bi
系酸化物超電導体材料を得た。
【0034】このようにして得たBi系酸化物超電導体材
料の臨界温度Tc および高Tc 相の比率を以下に示す方
法により評価した。臨界温度Tc の測定は、直流 4端子
法を用いて行った。Tc は測定した抵抗温度特性から、
零抵抗を示す温度として求めた。また、高Tc 相の比率
は、X線回折ピークの強度比から求めた。その結果、高
c 相の比率は 95.0%と高く、またTc は110Kと良好な
値を示した。
【0035】実施例2〜3、比較例1〜3 上記実施例1と同様な製造方法によって、表1に組成を
示すBi系酸化物超電導体の焼結体を、それぞれ表1に示
す製造条件に従って作製した。また、これら焼結体の超
電導特性を実施例1と同様にして測定した。それらの結
果を併せて表1に示す。なお、表1中の比較例は、本発
明との比較のために掲げたものであり、製造条件を本発
明の範囲外として製造したものである。
【0036】
【表1】 表1から明らかなように、この実施例により作製したBi
系酸化物超電導体は、いずれも高Tc 相の比率が 90%以
上であり、良好なTc を示した。
【0037】実施例4 焼成後に、Bi1.85Pb0.35Sr1.98Ca2.05Cu3.10 O10±δ
なるように、Bi2 O 3粉末、 PbO粉末、SrCO3 粉末、CaC
O3 粉末、Cu2 O 粉末あるいは CuO粉末を所定量秤量
し、分散媒としてエタノールを用いた湿式混合法によっ
て十分に混合した後、 100℃で長時間乾燥した。次い
で、上記原料混合粉末を酸素分圧が 1×10-2atm となる
ように調整した(N2 +O2 ) の混合雰囲気中にて、10.5℃
/分の昇温速度で 845℃まで昇温し、雰囲気中の酸素分
圧を 7.0×10-2atm に調整した後、その温度℃で24時間
保持することにより仮焼を行った。
【0038】上記仮焼物をエタノールを用いた粉砕法に
よって、平均粒径 0.5μm 程度の粉末とした後、 100℃
で長時間乾燥した。この後、酸素分圧が 6.5×10-2atm
となるように調整した(N2 +O2 ) の混合雰囲気中にて、
10℃/分の昇温速度で 852℃まで昇温し、雰囲気中の酸
素分圧を 1×10-2atm に調整した後、その温度で48時間
保持することによって、Bi系酸化物超電導焼結体を得
た。このBi系酸化物超電導焼結体の高Tc 相の比率は 9
5.5%と高く、またTc は107.0Kと良好な値を示した。
【0039】このように、昇温中の酸素分圧を 3×10-2
atm 以下とすると共に、昇温速度を10℃/分以上とする
ことによって、その昇温過程の中間温度(520℃〜 810
℃)において、Ca2 PbO 4 やBi系低Tc 相(2212相)の
生成が抑えられ、従来の 100時間焼成に比べて、48時間
程度の比較的短い焼成時間で、 95%以上の比率で高Tc
相を含有するBi系酸化物超電導焼結体が得られる。
【0040】実施例5〜25、比較例4〜9 上記実施例4と同様な製造方法によって、表2および表
3に示す組成のBi系酸化物超電導焼結体を、それぞれ表
2および表3に示す製造条件に従って作製した。また、
これら焼結体の超電導特性を実施例1と同様にして測定
した。それらの結果を併せて表2および表3に示す。な
お、表3中の比較例は、本発明との比較のために掲げた
ものであり、製造条件を本発明の範囲外として製造した
ものである。
【0041】
【表2】
【表3】 表2および表3から、本発明の製造方法によれば、高T
c 相の割合が 95%〜99% で、Tc が105K〜115KのBi系酸
化物超電導焼結体が得られることが分かる。
【0042】実施例26 まず、 (Bi,Pb,Ca)O化合物の作製原料として、Bi2 O 3
粉末、 PbO粉末およびCaCO3 粉末を、モル比でBi:Pb:Ca
=1.84:0.34:0.80 となるように所定量秤量し、これらを
十分に混合、粉砕した後、酸素分圧が 1×10-2atm とな
るように調整した窒素と酸素の混合雰囲気中にて、 800
℃×24時間の条件で仮焼を行い、 90%以上が BiOの結晶
構造を有する化合物を得た(表4中の試料No261)。
【0043】一方、 (Sr,Ca,Cu)O化合物の作製原料とし
て、SrCO3 粉末、CaCO3 粉末およびCuO粉末を、モル比
でSr:Ca:Cu=1.91:1.23:3.06 となるように所定量秤量
し、これらを十分に混合、粉砕した後、空気中で 920℃
×24時間の条件で仮焼を行い、(Sr,Ca)5 Cu3 O x 、 (S
r,Ca)14Cu41O y 、CaCu2 O 3 、CuSr2 O 2 等の構造を
有する化合物を得た(表4中の試料No262)。
【0044】次に、上記組成の (Bi,Pb,Ca)O化合物と
(Sr,Ca,Cu)O化合物とを、十分に混合、粉砕した後、酸
素分圧が 1.0×10-2atm となるように調整した(N2 +
O2 ) の混合雰囲気中にて、10℃/分の昇温速度で 845
℃まで昇温し、雰囲気中の酸素分圧を 7.0×10-2atm に
調整した後、その温度で24時間保持することにより仮焼
を行った。この仮焼物を粉砕した後、酸素分圧が 1×10
-2atm となるように調整した(N2 +O2 ) の混合雰囲気中
にて、10℃/分の昇温速度で 849℃まで昇温し、雰囲気
中の酸素分圧を 6.4×10-2atm に調整した後、その温度
で48時間保持することによって、Bi系酸化物超電導焼結
体を得た。このBi系酸化物超電導焼結体中の高Tc 相の
比率は96% と高く、またTc は109Kと良好な値を示し
た。
【0045】実施例27〜30、比較例10〜13 上記実施例26と同様な製造方法によって、まず表4に
示す組成および条件で中間原料となる化合物を作製し、
表5に示す条件でBi系酸化物超電導焼結体をそれぞれ作
製した。また、これら焼結体の超電導特性を実施例1と
同様にして測定した。それらの結果を併せて表5に示
す。なお、表5中の比較例は、本発明との比較のために
掲げたものであり、表4に示す中間化合物を用いて、そ
の後の仮焼および焼結工程の条件を本発明の範囲外とし
て製造したものである。
【0046】
【表4】
【表5】 実施例31 焼成後に、Bi1.85Pb0.35Sr1.85Ca2.01Cu3.05 O10±δ
なるように、Bi2 O 3粉末、 PbO粉末、SrCO3 粉末、Cu
2 O 粉末あるいは CuO粉末を所定量秤量し、分散媒とし
てエタノ−ルを用いた湿式混合法により十分に混合した
後、 100℃で長時間乾燥した。次いで、上記原料混合粉
末を酸素分圧が 2×10-2atm となるように調整した(N2
+O2 ) の混合雰囲気中にて、12℃/分の昇温速度で 840
℃まで昇温し、雰囲気中の酸素分圧を 6.3×10-2atm に
調整した後、その温度℃で36時間保持することにより仮
焼を行い、さらにこの仮焼物を乾式粉砕法あるいはエタ
ノールを用いた粉砕法で、平均粒径が 0.5μm 程度とな
るように粉砕し、 60%程度の比率で高Tc 相を含有する
Bi系酸化物超電導体粉末を得た。
【0047】次に、上記Bi系酸化物超電導体粉末 100体
積部に対して、平均粒径が 0.5μm以下の NiO粉末を 5
体積部の割合で添加し、十分に混合した後、 100℃で長
時間脱水、乾燥した。その後、酸素分圧が 1×10-2atm
となるように調整した(N2 +O2 ) の混合雰囲気中にて、
10℃/分の昇温速度で 857℃まで昇温し、雰囲気中の酸
素分圧を 7.5×10-2atm に調整した後、その温度で48時
間保持することによって、Bi系酸化物超電導焼結体を得
た。
【0048】このピン止めセンターを導入したBi系酸化
物超電導焼結体のTc は107Kで、また析出物を除いて求
めた高Tc 相の比率は 96%であった。また、以下に示す
方法で臨界電流密度Jc を求めたところ、Jc (77K,1T)
=5.4×104 A/cm2 と良好な値を示した。臨界電流密度J
c は、液体窒素温度(77K)中にて零磁場下および1Tの磁
場下で、 1μV/cm程度の電圧を発生する電流値を試料断
面積で徐して求めた。このように、昇温中の酸素分圧を
3×10-2atm 以下とすると共に、昇温速度を10℃/分以
上とすることによって、その昇温過程の中間温度(520℃
〜 810℃)において、Ca2 PbO 4 やBi系低Tc 相(2212
相)の生成が抑えられ、従来の 100時間焼成に比べて、
48時間程度の比較的短い焼成時間で、 95%以上の比率で
高Tc相を含有するBi系酸化物超電導焼結体が得られ
る。また、焼成時間が短いため、析出物の凝集粗大化が
抑えられ、ピン止め用材料の微粒子が超電導母体に微細
にかつ均一に分散でき、そのピン止め効果が十分に発揮
できるため、高Jc が得られる。
【0049】実施例32〜35、比較例14〜17 上記実施例31と同様な製造方法によって、表6に示す
組成および条件で、ピン止めセンターを導入したBi系酸
化物超電導焼結体をそれぞれ作製した。なお、実施例3
4、35は、実施例28、29で作製した中間化合物の
混合物を原料粉末として用いたものであり、また超電導
体の組成も同一とした。また、これら焼結体の超電導特
性を実施例31と同様にして測定した。それらの結果を
併せて表6に示す。なお、表6中の比較例は、本発明と
の比較のために掲げたものであり、製造条件を本発明の
範囲外として製造したものである。比較例16、17
は、実施例34、35と同様な方法で作製したものであ
る。
【0050】
【表6】 実施例36 焼成後に、Bi1.85Pb0.35Sr1.95Ca2.05Cu3.40 O1O±δ
なるように、実施例1と同一条件で仮焼および粉砕まで
行い、平均粒径を 0.5μm 程度としたBi系酸化物超電導
体の仮焼粉を作製した。
【0051】次に、上記仮焼粉を用いて、 1ton/cm2
圧力の金型成形により、50mm× 2mm×10mmの成形体を作
製し、以下に示す条件で焼成した。すなわち、室温から
500℃まで酸素分圧を 2.0×10-2atm とした雰囲気中で
100℃/時間の昇温速度で昇温し、 500℃で 2時間保持
した。次いで、同一雰囲気中で12℃/分の昇温速度で85
2℃まで昇温した後、酸素分圧を 6.5×10-2atm に調整
し、その温度で48時間保持した。この後、 100℃/時間
の降温速度で室温まで冷却した。
【0052】このようにして得た大型のBi系酸化物超電
導焼結体のTc は106Kで、また高Tc 相の比率は 95%と
良好な値を示した。また、亀裂、割れ、ふくれ等は発生
しておらず、健全な焼結体であった。このように、中間
保持過程を設けることによって、バルク材中に含まれた
水分、ガス等を十分に抜き出すことができるため、健全
な焼結体が得られる。なお、昇温途中で中間保持を行わ
ずに、室温から12℃/分で昇温したところ、亀裂、割
れ、ふくれ等が認められた。
【0053】実施例37 焼成後に、Bi1.75Pb0.17Sr1.00Ca2.20Cu3.20 O1O± δ
なるように、実施例28と同一条件で、中間化合物の作
製、混合、仮焼等を行い、平均粒径を 0.5μm程度とし
たBi系酸化物超電導体の仮焼粉を作製した。
【0054】次に、上記仮焼粉を用いて、 1ton/cm2
圧力の金型成形により、φ50mm× 2mmt の成形体を作製
し、以下に示す条件で焼成した。すなわち、室温から 5
20℃まで酸素分圧を 2.5×10-2atm とした雰囲気中で 1
50℃/時間の昇温速度で昇温し、 520℃で 3時間保持し
た。次いで、同一雰囲気中で14℃/分の昇温速度で853
℃まで昇温した後、酸素分圧を 7.0×10-2atm に調整
し、その温度で48時間保持した。この後、 100℃/時間
の降温速度で室温まで冷却した。
【0055】このようにして得た大型のBi系酸化物超電
導焼結体のTc は115Kで、また高Tc 相の比率は 98%と
良好な値を示した。また、亀裂、割れ、ふくれ等は発生
しておらず、健全な焼結体であった。
【0056】実施例38 焼成後に、Bi1.80Pb0.40Sr2.00Ca2.03Cu3.07 O1O±δ
なるように、Bi2 O 3粉末、 PbO粉末、SrCO3 粉末、CaC
O3 粉末、Cu2 O 粉末あるいは CuO粉末を所定量秤量
し、分散媒としてエタノールを用いた湿式混合法によっ
て十分に混合した後、 100℃で長時間乾燥した。次い
で、酸素分圧が 1.5×10-2atm となるように調整した(N
2 +O2 ) の混合雰囲気中にて、11℃/分の昇温速度で 8
46℃まで昇温し、雰囲気中の酸素分圧を 7.5×10-2atm
に調整した後、その温度で24時間保持することにより仮
焼を行った。この仮焼物を乾式粉砕法あるいはエタノー
ルを用いた湿式粉砕法により、平均粒径 0.5μm 程度の
粉末とした。この粉末は 60%程度の割合で高Tc 相を含
有するものであった。
【0057】次に、上記Bi系酸化物超電導体粉末 100体
積部に対して、平均粒径が 0.5μm以下のSc2 O 3 粉末
を 8体積部の割合で添加し、アセトンを用いた湿式混合
法により十分に混合した後、 100℃で長時間乾燥した。
【0058】次いで、上記混合粉を用いて、 1ton/cm2
の圧力の金型成形により、60mm×30mm× 3mmの成形体を
作製し、以下に示す条件で焼成した。すなわち、室温か
ら490℃まで酸素分圧を 2×10-2atm とした雰囲気中で
120℃/時間の昇温速度で昇温し、 490℃で 4時間保持
した。次いで、同一雰囲気中で15℃/分の昇温速度で 8
55℃まで昇温した後、酸素分圧を 7.5×10-2atm に調整
し、その温度で48時間保持した。この後、 100℃/時間
の降温速度で室温まで冷却した。
【0059】このようにして得た大型のBi系酸化物超電
導焼結体のTc は115Kで、Jc (77K,1T)は 7.0×10-4A/
cm2 で、また析出物を除いて求めた高Tc 相の比率は 9
6%と良好な値を示した。また、亀裂、割れ、ふくれ等は
発生しておらず、健全な焼結体であった。
【0060】実施例39 実施例19で作製したBi1.95Pb0.35Sr1.95Ca2.05Cu3.10
O10+δの組成を有する仮焼粉(平均粒径 0.5μm 程
度)を用いて銀シース線材を作製した。
【0061】すなわち、上記仮焼粉を内径 5mm、外径 8
mmのAgパイプに充填し、引き抜き加工を行った後に圧延
して、厚さ 120μm のテープに成形した。こうして作製
したテープ材を長さ50mm〜 100mmに切断して熱処理を行
った。熱処理に際しては、Ag被覆の膨れや線材の変形等
を防ぐために、以下に示す条件とした。すなわち、室温
から 510℃まで酸素分圧を 2.5×10-2atm とした雰囲気
中で80℃/時間の昇温速度で昇温し、 510℃で 5時間保
持することによって、十分に脱ガスさせた。次いで、同
一雰囲気中で10℃/分の昇温速度で 843℃まで昇温した
後、酸素分圧を8×10-2atm に調整し、その温度で48時
間保持した。この後、同一雰囲気中で80℃/時間の降温
速度で室温まで冷却した。
【0062】こうして熱処理を行った後、30ton/cm2
プレス圧にてプレスを行い、再び熱処理を行った。この
プレス工程と熱処理工程とを数回繰り返して、厚さ90μ
m 程度のテープ状超電導線材を作製した。
【0063】このようにして得たテープ状超電導線材の
超電導特性を評価したところ、Tcは108Kで、またJ
c (77K,1T)は 5.5×104 A/cm2 と、それぞれ良好な値を
示した。高Tc 相の比率は 96%であった。また、ふく
れ、変形等は発生しておらず、健全な線材であった。
【0064】実施例40 焼成後に、Bi1.60Pb0.60Sr2.00Ca2.00Cu3.60 O1O± δ
なるように、実施例29と同一条件で、中間化合物の作
製、混合、仮焼等を行い、平均粒径を 0.5μm程度とし
たBi系酸化物超電導体の仮焼粉を作製した。この仮焼粉
100体積部に対して、平均粒径が 0.5μm 以下の NbOを
15体積部の割合で添加し、アセトンを用いた湿式混合法
により十分に混合した後、 100℃で長時間乾燥した。
【0065】次いで、上記混合粉を内径 5mm、外径10mm
のAgパイプに充填し、引き抜き加工を行った後に圧延し
て、厚さ 100μm のテープに成形した。こうして作製し
たテープ材を長さ50mm〜 100mmに切断して熱処理を行っ
た。熱処理に際しては、Ag被覆の膨れや線材の変形等を
防ぐために、以下に示す条件とした。すなわち、室温か
ら 470℃まで酸素分圧を 2.5×10-2atm とした雰囲気中
で50℃/時間の昇温速度で昇温し、 470℃で 7時間保持
することによって、十分に脱ガスさせた。次いで、同一
雰囲気中で10℃/分の昇温速度で 840℃まで昇温した
後、酸素分圧を7.0×10-2atm に調整し、その温度で48
時間保持した。この後、同一雰囲気中で50℃/時間の降
温速度で室温まで冷却した。
【0066】こうして熱処理を行った後、30ton/cm2
プレス圧にてプレスを行い、再び熱処理を行った。この
プレス工程と熱処理工程とを数回繰り返して、厚さ80μ
m 程度のテープ状超電導線材を作製した。
【0067】このようにして得たテープ状超電導線材の
超電導特性を評価したところ、Tcは109Kで、またJ
c (77K,1T)は 8.5×104 A/cm2 と、それぞれ良好な値を
示した。析出物を除いて求めた高Tc 相の比率は 97%で
あった。また、ふくれ、変形等は発生しておらず、健全
な線材であった。
【0068】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、短
時間焼成で高Tc 相の比率が高いBi系酸化物超電導体材
料を再現性よく得ることが可能になる。これにより、他
の不純物の影響を最少限に抑えることができると共に、
例えばピン止めを導入する際に、その微細粒子を組織内
により均一に分散することができ、高Jc を有するBi系
酸化物超電導体材料が得られる。また亀裂、膨れ、変形
等の無い大きいバルク材、あるいは銀シース線材等を安
定して製造することが可能となる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 H01L 39/24 ZAA Z 9276−4M // H01B 12/00 ZAA 7244−5G

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Bi系酸化物超電導体またはその原料を、
    所定の温度で焼成するにあたり、 前記焼成温度までの昇温過程の雰囲気中の酸素分圧を 3
    ×10-2atm 以下とすると共に、前記焼成温度による保持
    過程の雰囲気中の酸素分圧を 5×10-2atm 〜1.5×10-1a
    tm の範囲とすることを特徴とするBi系酸化物超電導体
    の製造方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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