JPH0689269B2 - 良分散性カーボンブラックとその製造方法 - Google Patents

良分散性カーボンブラックとその製造方法

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JPH0689269B2
JPH0689269B2 JP63318516A JP31851688A JPH0689269B2 JP H0689269 B2 JPH0689269 B2 JP H0689269B2 JP 63318516 A JP63318516 A JP 63318516A JP 31851688 A JP31851688 A JP 31851688A JP H0689269 B2 JPH0689269 B2 JP H0689269B2
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真一 大休寺
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明はゴム、樹脂、塗料、インク用として分散性の改
良されたカーボンブラック、およびその製造方法に関す
る。
〔従来の技術〕
従来より、カーボンブラックを種々の媒体に分散させる
のに界面活性剤が使用されている。しかし詳細に検討す
ると何れも本発明と目的及び界面活性剤の種類を異にし
ている。
特公昭45-5643号公報には炭化水素の熱分解によって生
成したカーボンブラックを燃焼ガスと同伴して、又は燃
焼ガスと分離後引続き、気流中に浮遊させた状態で、マ
シン油、スピンドル油等の鉱物油、アマニ油、桐油等の
植物油よりなるビヒクルによって湿潤させるインキ等へ
の高分散性カーボンブラックの製造方法が開示されてい
る。これは界面活性剤を使用していない。
特開昭58-104962号公報は、高濃度カーボンブラックの
低粘度水分散液を作る目的で、窒素吸着比表面積(BE
T)が300m2/g以上の多孔質カーボンブラックを機械的に
微粉砕した後、アニオン性界面活性剤含有水溶液を加え
混合するものである。
特開昭58-125759号公報は、水及び水性媒体に対する再
分散性の良好なカーボンブラックを製造する目的で、平
均粒径200mμ以上の造粒されたカーボンブラック粒子を
β−ナフタレンスルホン酸ソーダホルマリン縮合物、ド
デシルベンゼンスルホン酸ソーダ、ポリカルボン酸リグ
ニンスルホン酸などの陰イオン界面活性剤と水とでサン
ドミル、アトライター等の湿式微粒子分散機によって分
散処理した後、超微粒子を除去し乾燥するものである。
これは水分散性の大きい平均粒径200mμ以上のカーボン
ブラックだけを目的とし、非イオン系界面活性剤を使用
するものではなく、かつ熱分解直後に活性剤を分散後、
造粒乾燥させるものでもない。
特開昭62-250084号公報は、水不溶性の界面活性剤によ
り表面を被覆したカーボンブラックと、高分子分散剤
と、水からなるボールペン用水性黒色顔料インキであ
る。
このように従来の技術はカーボンブラックの水分散液を
作ることを目的としたものが多く、水分散液を目的とし
ないものは水に不溶性の界面活性剤を使用している。ま
た特公昭45-5643号公報以外は原料炭化水素の熱分解に
よって生成した直後のカーボンブラックを対象とせず、
すべて造粒されたカーボンブラックを対象としている。
〔発明が解決しようとする課題〕
カーボンブラックは、ゴムに配合されて補強用に、樹脂
に配合されて着色、導電性付与用に、又インク、塗料に
配合されて着色顔料用に使用されるが、この充填剤(フ
ィラー)として、その所有する特性を最大限に発揮させ
るには、粒子の凝集がなく、均一に分散している事が必
要である。混練初期にトルクの低い配合系では配合に当
って、分散不良が生ずるケースが多く、ビヒクルへの分
散性のよい分散助剤の添加が必要となる。カーボンブラ
ックの分散が不良であるとインクや塗料に粒状物の混
入、ゴムに配合して、ゴム物性の低下、樹脂配合に当っ
て混練電力の増大、押出特性の劣化、導電性の不良、不
安定という問題点があった。
本発明の目的は、現在の湿式造粒技術にそのまま適用で
きる不溶性であり、乾燥工程や使用温度で熱分解、熱硬
化、炭化することのない耐熱性を有する分散助剤を使用
することで、熱分解によって生成した直後の未造粒のカ
ーボンブラックに均一に配合されており、使用におい
て、鉱物油などのビヒルクへの分散性がよく、ゴムに配
合して、分散性がよく、従ってゴム物性が向上し、樹脂
に配合して、混練時のトルク減少による省電力、押出特
性の改良、導電性の向上、安定化を可能にする良分散性
のカーボンブラックおよびその製造方法を提供すること
である。
〔課題を解決するための手段〕
本発明は原料炭化水素の熱分解によって生成した直後の
未造粒のカーボンブラックに対して、0.05〜5重量%の
水溶性非イオン系界面活性剤を均一分散し、粒径0.15〜
3mmφの範囲内に造粒乾燥してなる良分散性カーボンブ
ラック及び原料炭化水素の熱分解によって生成した直後
のカーボンブラックの造粒工程において、カーボンブラ
ックに対して0.05〜5重量%の水溶性非イオン系界面活
性剤を溶解した造粒水を使用して、通常の湿式造粒機に
てカーボンブラックを湿式造粒し、界面活性剤の熱分解
開始温度以下で乾燥することを特徴とする良分散性カー
ボンブラックの製造方法である。
本発明におけるカーボンブラックは原料炭化水素の熱分
解により生成した直後の平均粒径180nm以下の超微粒子
カーボンブラックに好適である。
界面活性剤の添加量としては、カーボンブラックの重量
に対し、0.05〜5重量%である。
製造方法としては、原料炭化水素の熱分解によって生成
し、急冷した直後のカーボンブラックが造粒されていな
い内に、造粒水に水溶性非イオン系界面活性剤を溶解し
て、水溶液としてカーボンブラックに添加し、通常のピ
ン型湿式造粒機にて、湿式造粒し、界面活性剤の熱分解
開始温度以下で乾燥して、0.15〜3mmφの範囲内に分級
するものである。
カーボンブラックの造粒時に通常使用されている砂糖等
の造粒ビードの硬さ調整剤(バインダー)は、本発明者
らの研究の結果、乾燥工程の通常の出口温度250〜350℃
で熱分解及び熱重合によってカルメラ化し、硬い粒子を
形成して分散不良の原因となっていることが見い出され
た。従って本発明では、これらのバインダーを使用しな
いばかりでなく、造粒の前に非イオン系界面活性剤水溶
液等でカーボンブラックの凝集体(アグリゲート)の粒
子個々の表面が均一にコーティングされるように均一分
散させ、かつ界面活性剤の熱分解開始温度以下で、通常
130〜200℃で乾燥するものである。
界面活性剤としては、ポリオキシアルキレングリコール
アルキルエーテル、ポリオキシエチレンオレイン酸エス
テル、ソルビタン脂肪酸エステル等の非イオン系界面活
性剤が挙げられる。
作用としては、カーボンブラックの凝集体(アグリゲー
ト)の粒子の個々の表面に界面活性剤が配列するが、こ
の時、界面活性剤中のエーテル結合、エステル結合や酸
素原子、OH基等の極性基がカーボンブラックの表面の酸
素原子、水素原子と結合し、界面活性剤中の炭化水素鎖
が外側に向って配列し、これらが0.15〜3mmφの範囲内
に造粒乾燥されているために、粒子全体として、鉱物油
等の油、樹脂、ゴム等との親和性が改善され分散性が向
上するものと考えられる。また界面活性剤中の極性基に
よって一方でカーボンブラックとの親和性が確保される
と共に、添加前には水に対する水溶性によって均一分散
を可能にしているものと考えられる。
〔実施例〕
以下に実施例によって本発明を更に具体的に説明するが
本発明は、この実施例に限定されるものではない。
(実施例1) 原料炭化水素の熱分解により生成した副生ガスと分離し
た直後のN-330級の粉末カーボンブラック(粒子径26〜3
0nm、表面積70〜90m2/g)を用いて各種界面活性剤につ
いて、分散性の試験を行った。
造粒水に、第1表に示した添加量となるように界面活性
剤を添加し、造粒ビートは、多数のピンが植設された湿
式造粒機で造粒し、界面活性剤の各々の熱分解開始温度
以下の130〜200℃の範囲内で乾燥し、粒径0.15〜3mmφ
の造粒体を供試サンプルとした。
分散性テストに使用した容器は内径80mm、高さ100mmのS
US容器で、攪拌羽根は直径50mmのディゾルバー型を使用
した。
最終配合がマシン油#120 180g、カーボンブラックが20
gとなるように、1,500rpmで攪拌しながら、10分間で上
記、造粒したカーボンブラックを投入し、その後回転数
を2,800rpmにして80分間分散した。
分散性は150メッシュの金網を用いて、全量濾過し、金
網上に残留したものを未分散カーボンブラックとして軽
くキシレンで洗浄して、乾燥して秤量した。結果は第1
表の通りであった。
第1表より、界面活性剤の添加により、分散性が大巾に
改善されることが明らかである。又非イオン系の方がア
ニオン系のものより効果が大きい事も明らかである。
(実施例2) 実施例1と同様に副生ガスと分離した直後のSRF級(平
均粒径61〜100nm、BET17〜33m2/g)、及びFEF級(平均
粒径40〜48nm、BET36〜52m2/g)の粉末カーボンブラッ
クに界面活性剤として非イオン系のポリオキシエチレン
オレイン酸エステルを各々第2表の添加量となるように
造粒水に添加し、造粒、乾燥し、ゴム特性及び分散性の
効果確認を行なった。ゴム配合はEPDM系で、プロセス油
を多量に配合した混練初期のトルクが低く、分散性の悪
い事の予想される配合とした。
EPDM 100重量部 カーボンブラック 150〃 パラフィン系プロセス油 100重量部 ステアリン酸 1〃 亜鉛華 5〃 加硫促進剤 1.5〃 加硫促進剤 0.5〃 硫黄 1.5〃 混練は1.8lのインテンシブミキサーを使用し、通常の方
法で混練、加硫し、界面活性剤の添加量と加硫物の物性
及び分散性の関係を調査した。ゴム物性は無添加の場合
を100として、比で表わした。
分散性の評価は、ミクロトームを使用し、ガラス転移点
近傍の温度でガラスナイフを使用して、加硫ゴムを裁断
した。裁断したゴム片を画像解析装置を用いて、裁断面
の測定面積5mm2当りのカーボンブラック凝集物と思わ
れる5μm以上の凹凸を個数及び円相当径とその標準偏
差、さらに測定面積に占める凹凸の面積率を求めた。
ゴム物性及び分散性の結果は第2表の通りである。
上表の横に、非イオン系界面活性剤添加により、分散性
が大きく改良され、ゴム物性も改良されていることが明
らかである。
添加量については、0.5〜3.0重量%までは、ゴム物性、
分散性共に良好な結果であるが、それ以上になると、液
状活性剤を使用したため、分散は良くなっているが、ゴ
ム物性が若干悪くなりかかっており、従って添加量は5.
0重量%が限度である。
(実施例3) 実施例1と同様に、副生ガスと分離した直後のHAF(平
均粒径26〜30nm、BET表面積70〜90m2/g)、及びFEF(平
均粒径40〜48nm、BET表面積36〜52m2/g)の粉末カーボ
ンブラックに対し、界面活性剤として非イオン系のポリ
オキシアルキレングリコールアルキルエーテルを使用
し、この水溶液を造粒水として、造粒し、更に150〜200
℃で乾燥したサンプルについて、ポリプロピレン樹脂に
対する混練性について試験した。非イオン系界面活性剤
の添加量はカーボンブラックに対し1.0重量%とした。
配合は ポリプロピレン(商品名ハイボールB-200)7
0重量部 上記カーボンブラック30重量部 混練条件 混練機 卓上ニーダー200ml 仕込量 170g 混練時間 230℃、30rpm、 15分間 混練時のMAXトルク(kg-cm)、製品のメルトインデック
ス(MI)、体積固有抵抗(Ω‐cm)を第3表に示す。
第3表で明らかなように、界面活性剤添加の効果は、混
練時のMAXトルクが12.5〜15%低下し、混練の省電力化
が可能となり、又押出特性(MI)が改良され、更に電気
抵抗の低下とロット内のバラツキが小さくなっており、
品質的に安定していることが判る。
〔発明の効果〕
本発明の良分散性のカーボンブラックは、熱分解によっ
て生成した直後の未造粒のカーボンブラックのアグリゲ
ート個々の表面に均一に界面活性剤が配列された状態で
造粒しているので、塗料、インク等の用途において、鉱
物油などのビヒクルに対しそのままで分散性が極めてよ
く、ゴム配合の用途において、分散性が優れる故にゴム
物性が向上し、更に樹脂配合の用途において、混練時の
トルク減少による省電力に寄与し、押出成形性を改良
し、導電性の向上、安定化を可能にする。
製造方法としては、水溶性、耐熱性の非イオン系界面活
性剤を分散助剤として使用して、現在使用されている湿
式造粒機で造粒水として添加を可能にし、新たな工程を
必要とせず又カーボンブラックが過度の凝集をしない内
にアグリゲート表面に均一に配列させる事を可能にする
ものであり、その工業的効果は極めて大きい。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】原料炭化水素の熱分解によって生成した直
    後の未造粒のカーボンブラックに対して、0.05〜5重量
    %の水溶性非イオン系界面活性剤を均一分散し、粒径0.
    15〜3mmφの範囲内に造粒乾燥してなる良分散性カーボ
    ンブラック。
  2. 【請求項2】原料炭化水素の熱分解によって生成した直
    後のカーボンブラックの造粒工程において、カーボンブ
    ラックに対して0.05〜5重量%の水溶性非イオン系界面
    活性剤を溶解した造粒水を使用して、通常の湿式造粒機
    にてカーボンブラックを湿式造粒し、界面活性剤の熱分
    解開始温度以下で乾燥することを特徴とする良分散性カ
    ーボンブラックの製造方法。
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