JP3743739B2 - ポリマー組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ゴムや樹脂等のポリマー成分への分散性に優れたカーボンブラックを配合して抵抗安定性、特に比抵抗が10 8 〜10 9 Ω・cmの高抵抗域における抵抗安定性に優れたポリマー組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
カーボンブラックの導電性を利用してゴムや樹脂等のポリマー成分に配合した導電性ゴム組成物あるいは導電性樹脂組成物等は、電子機器類の静電防止や電磁波シールド材等として有用されている。カーボンブラックの導電性能はカーボンブラックの物理化学的性状によって異なり、一般にカーボンブラック粒子の大きさ(比表面積)、ストラクチャー、カーボンブラック粒子表面の吸着物質や粒子内部の結晶度等によって支配され、粒子径が小さく(比表面積が大きく)、ストラクチャーあるいは結晶度が高く、吸着物質が少ないほど、導電性が向上するといわれている。
【0003】
そこで、本出願人はゴム成分や樹脂成分との親和性が良好で優れた導電性を付与するカーボンブラックとして、窒素吸着比表面積180m2/g以下、圧縮DBP吸油量85ml/100g 以上の特性領域にあって、脱気開始温度500℃以上、真比重値1.840以下の選択的特性を有する導電性カーボンブラックを提案(特開昭61−111368号公報)した。
【0004】
また、特開平6−116501号公報には、非晶性耐熱樹脂100重量部にヨウ素吸着量が52〜72mg/g、DBP吸油量が152〜182ml/100g 、24M4DBP吸油量が100ml/100g 以上で、トルエン着色透過度が85%以上のファーネスブラックを20〜40重量部含有してなる耐熱導電性樹脂組成物が開示されている。この発明によれば高温加熱下での寸法安定性に優れ、また表面抵抗値で1×105 Ω未満の導電性が付与されるとしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、近年、OA用のロールやIC関連機器の包装、運搬用のゴム材料あるいは樹脂材料として、高抵抗域例えば比抵抗が104 〜1010Ω・cm程度の高抵抗域あるいはそれ以上のレベルにおいて安定な電気抵抗を示すゴム組成物や樹脂組成物のニーズが高まっている。通常、このような高抵抗域においての抵抗安定性を図ることは、カーボンブラックが準導電性物質であることから電気抵抗が急激に減少し始める、いわゆるパーコレーション領域での抵抗の安定性が要求されることとなるので極めて困難である。
【0006】
そこで、本発明者は比抵抗が104 〜1010Ω・cmの高抵抗域において安定な抵抗特性を示すポリマー組成物について研究を進めた結果、カーボンブラックの比表面積、造粒特性及び表面性状等を特定することによりゴム成分や樹脂成分への分散性能が向上し、安定な分散状態を維持し得ることを見出した。更に、カーボンブラックが安定な分散状態で均一にゴム組成物や樹脂組成物中に分布する結果抵抗変化が少なく、安定な抵抗特性を示すことを確認した。
【0007】
本発明は上記の知見に基づいて開発されたもので、その目的はポリマー成分への分散性能に優れたカーボンブラックを配合した、例えばOA用のロールやIC関連機器の包装、運搬用等のゴム材料あるいは樹脂材料等として好適に用いることのできる比抵抗が10 8 〜10 9 Ω・cmの高抵抗域における抵抗安定性に優れたポリマー組成物を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するための本発明のポリマー組成物は、ポリマー成分に、窒素吸着比表面積(N2SA)が65〜78m2/g、造粒粒子の硬さが2.5〜4.5g/粒、トルエン着色透過度が90%以上の特性を有するカーボンブラックを配合してなり、比抵抗が10 8 〜10 9 Ω・cmの高抵抗域において優れた抵抗安定性を備えることを構成上の特徴とする。
【0010】
【発明の実施の形態】
上記構成におけるカーボンブラックの各特性は、以下の測定方法によって得られる値が用いられる。
▲1▼窒素吸着比表面積(N2SA);
ASTM D3037−88 “Standard Test Methods for Carbon Black-Surface Area By Nitrogen Adsorption”Method Bによる。
▲2▼造粒粒子の硬さ;
JIS K6221−82「ゴム用カーボンブラックの試験方法」6.3.3 項による。
▲3▼トルエン着色透過度;
JIS K6221−82「ゴム用カーボンブラックの試験方法」6.2.4 項による。
【0011】
本発明においてポリマー成分に配合するカーボンブラックの窒素吸着比表面積(N2SA)の値を65〜78m2/gの範囲に設定するのは、カーボンブラックのポリマー成分中への分散性を高め、安定な分散状態を維持するためである。窒素吸着比表面積(N2SA)が65m2/g未満であると、カーボンブラックをポリマー成分に配合、混練する過程において分散状態の変化が大きく、例えば混練時間による比抵抗の変化率が大きくなる。一方、78m2/gを越えると分散性が低下するために安定な分散状態、すなわち安定な抵抗特性が得難くなる。
【0012】
また、分散性能を向上させて短時間でミクロな分散状態に到達させるためには造粒粒子の硬さが大きく影響し、本発明は造粒粒子の硬さを2.5〜4.5g/粒の範囲に設定するものである。すなわち、造粒粒子の硬さが4.5g/粒を越えると混練過程においてミクロ分散状態に到達させるための混練時間が長くかかり、結果的に混練時間による比抵抗の変化率の増大を招くためである。しかしながら造粒粒子の硬さが2.5g/粒を下回る場合には、搬送や混練等の作業時に破粒が生じて微粉化し易く、微粉によるゴム成分や樹脂成分中への分散性が著しく低下し、更に配合時に微粉の飛散による配合量の低下が生じて抵抗特性の変動を招くことになる。なお、造粒法は常用の湿式造粒機により適宜造粒条件を調整することにより所定硬さの造粒粒子を得ることができる。
【0013】
更に、本発明のポリマー成分への分散性に優れたカーボンブラックはトルエン着色透過度が90%以上であることが必要である。トルエン着色透過度は、カーボンブラックが炭化水素原料の熱分解により生成する過程において未分解炭化水素がカーボンブラックに残留した程度を示すもので、残留する未分解炭化水素量が少ないほどトルエン着色透過度は高くなる。すなわちトルエン着色透過度が90%未満では、ポリマー組成物中においてカーボンブラックとポリマー分子との界面に存在する未分解炭化水素による電気抵抗のばらつきが大きくなり、比抵抗の不安定化が増大するためである。
【0014】
なお、ポリマー成分に配合する際の混練条件により分散率が低下したり、分散性を更に高める必要があるなどの場合には、カーボンブラックのDBP吸油量を60 ml/100g以上の値に設定することが好ましい。
【0015】
このように、本発明のポリマー組成物によれば、特定したカーボンブラックの特性が総合的に機能してポリマー成分への分散性能を著しく向上させることが可能となる。その結果、混練条件による電気抵抗の変動を抑制することが可能となる。したがって、ポリマー成分への配合量を適宜に設定することにより比抵抗が10 8 〜10 9 Ω・cmの高抵抗域において優れた抵抗安定性を示すポリマー組成物を提供することができる。すなわちパーコレーション領域における抵抗安定性の優れたポリマー組成物が提供される。
【0016】
なお、本発明のポリマー組成物を構成するポリマー成分としては各種のゴム、樹脂をはじめインキ用ビヒクルにも適用可能であり、また、ポリマー組成物の用途によって他の無機質フィラー、無機薬品類等を適宜添加することができる。
【0017】
【実施例】
以下、本発明の実施例を比較例と対比して具体的に説明する。
【0018】
実施例3〜4、比較例1〜6
表1に示す特性のカーボンブラック試料を表2に示す配合比率でEPDMゴムに配合した。なお、カーボンブラックのみ変量配合とした。また、配合は下記の混練条件で行い、混練時間は4、6、12分間と変更して行った。
B型バンバリー(1800cc)練り、コンベンショナル法、
混練り時間;4,6,12 min.、ローター回転数;51/60 rpm、
【0019】
【表1】
【0020】
【表2】
【0021】
各配合物を150℃で40分間加硫してゴム組成物シート(120×120 ×2mm)を作製し、それらの各ゴム組成物シートについて下記の方法により電気抵抗を測定した。
体積固有抵抗 LogVR(Ω・cm);
JIS K6723法に準拠し、電極70φ、印加時間 60sec、印加電圧 5V、測定温度30℃の条件で測定した。
【0022】
このようにして得られた結果のうち、混練時間を4分間と一定にした場合に、表1に示した各カーボンブラックの配合量と体積固有抵抗を表3(実施例)及び表4(比較例)に示した。
【0023】
【表3】
【0024】
【表4】
【0025】
次に、カーボンブラックの配合量を一定とし、混練時間を変えた場合の体積固有抵抗の変化を表5(実施例)及び表6(比較例)に示した。
【0026】
【表5】
【0027】
【表6】
【0028】
また、カーボンブラック配合量 (PHR)と体積固有抵抗 LogVR(Ω・cm)の関係を図1及び図2に、混練時間と体積固有抵抗 LogVR(Ω・cm)の関係を図3、図4及び図5に示した。
【0029】
表1〜表6及び図1〜図5を考察して明らかなように、本発明で特定した窒素吸着比表面積(N2SA)、造粒粒子の硬さ、及びトルエン着色透過度を有するカーボンブラックを配合した実施例3〜4のゴム組成物は、これらの特性の少なくとも1つが外れるカーボンブラックを配合した比較例1〜6のゴム組成物に比べて、カーボンブラックの配合量を変えた場合の体積固有抵抗の変化、及び、混練時間を変えた場合の体積固有抵抗の変化が少ないことが判る。
【0030】
すなわち、表3〜4及び図1〜2から実施例3のカーボンブラックを配合したゴム組成物はカーボンブラック配合量を多くしても体積固有抵抗の低下が少なく、特に電気抵抗が10 8 〜10 9 Ω・cmレベルの高抵抗域においてカーボンブラックの配合量が変化しても体積固有抵抗の低下の傾きが緩やかで、比較例に比べてパーコレーション領域における抵抗安定性に優れていることが判明する。
【0031】
また、表5〜6及び図3〜5からカーボンブラックの配合量を一定とし、混練時間を変えた場合の10 8 〜10 9 Ω・cmレベルの高抵抗域における体積固有抵抗の変化は、実施例は比較例に比べていずれも少なく、混練時間の変動による抵抗安定性に優れていることが認められる。
【0032】
【発明の効果】
以上のとおり、窒素吸着比表面積(N2SA)、造粒粒子の硬さ、トルエン着色透過度が特定範囲にあるカーボンブラックを配合した本発明のポリマー組成物によれば、カーボンブラックのポリマー成分への分散性能が優れており、その結果カーボンブラックの配合量の変動や混練時間の長短等による体積固有抵抗の変動が極めて少なく、抵抗安定性に優れていることが認められる。特に、10 8 〜10 9 Ω・cm程度の高抵抗域における抵抗安定性が高く、例えばOA用のロールやIC関連機器の包装、運搬用のゴム材料あるいは樹脂材料として極めて有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 比較例1、2によるポリマー組成物のカーボンブラック配合量と体積固有抵抗の関係グラフである。
【図2】 実施例3と比較例4、5によるポリマー組成物のカーボンブラック配合量と体積固有抵抗の関係グラフである。
【図3】 比較例1、2、3によるポリマー組成物の混練時間と体積固有抵抗の関係グラフである。
【図4】 実施例3と比較例4、5によるポリマー組成物の混練時間と体積固有抵抗の関係グラフである。
【図5】実施例4と比較例6によるポリマー組成物の混練時間と体積固有抵抗の関係グラフである。
Claims (1)
- ポリマー成分に、窒素吸着比表面積(N2SA)が65〜78m2/g、造粒粒子の硬さが2.5〜4.5g/粒、トルエン着色透過度が90%以上の特性を有するカーボンブラックを配合してなり、比抵抗が10 8 〜10 9 Ω・cmの高抵抗域における抵抗安定性の優れたポリマー組成物。
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