JPH068515U - 通気工法用の通気空間形成部材 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 住宅などの建築物に対し、通気工法を採用す
る際に、通気空間を確実に形成でき、その上、使用性に
富み、断熱材の脹れや、シート材のバタ付きを防止でき
る。 【構成】 通気空間形成部材１はプラスチック製で、断
面が同一形状の長尺中空体である。その中空体壁面には
全面に多数の通気孔２がある。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、住宅などの建築物、特に木造住宅の壁体、軒天、開口部水切りなど に対して、通気工法を採用する際に用いる通気空間形成部材に関する。

【０００２】

【従来の技術】

最近、木造住宅では住機能の改善、建物寿命の向上などの目的で、通気工法の 採用が増加している。この通気工法の為には、建物の各部に空気流通を可能にす る為の通気空間を形成しておかなければならない。

【０００３】 従来、通気空間の形成には通気の為の切欠きを設けた木材を用いたり、部材間 に通気用の隙間を設けて施工したりする方式が採用されている。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

ところが前記の方式には次のような欠点がある。例えば、木を切欠く方式では 、切欠き作業に多大の手間がかかる上に、通気が切欠きの向きの一軸方向にしか 生ぜず、方向性があって使用に不便である。また、隙間を設ける方式では、施工 ミスにより、隙間を塞いでしまったり、隙間の大きさが設計通りでなかったりし て、所期の通気効果が得られなくなる。

【０００５】 本考案はこのような点に鑑み、通気性能がよい上に、方向性がなく、かつ、施 工ミスがなくて、正確に通気空間を形成できる部材を提供せんとするものである 。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

本考案の通気空間形成部材の技術的手段は、プラスチック製で、同一断面形状 の長尺中空体であり、かつ、中空体壁面にはほぼ全面に互って多数の通気孔が形 成されていることにある。

【０００７】

【作用】

本考案の通気空間形成部材は、その部材壁面に多数の通気孔が形成されている ので、壁面を通っての部材内外への空気流通、及び部材内部での長手方向への空 気流通が可能である。また、通気孔は本部材のほぼ全壁面に形成されているので 、どの方向にも通気が可能で、本部材の設置方向に制限を受けず、使用に便利で ある。

【０００８】 また、本部材はプラスチック製であるので、対水性や対湿性が良くて、耐久性 に富む。更に、本部材は同一断面形状で、長尺であるので、柱間距離が長い場合 でも、問題なく使用でき、かつ、一定厚で正確に通気空間を形成できる。

【０００９】 その上、本部材を使用したことにより、断熱材の脹らみ変形の阻止、各種シー ト材のバタ付きの防止、更に、施工ミスによる通気空間閉塞などの防止を期待で きる。

【００１０】

【実施例】

本考案の通気空間形成部材を図面の実施例について説明する。図１のように、 通気空間形成部材１はプラスチック製であり、その断面は同一形状で、かつ、長 尺である。また、本部材１の内部は中空であり、かつ、部材１の全側壁面は網目 状に構成されており、多数の通気孔２を有する。図示例では、その断面形状は長 方形であるが、この以外の形状、例えば、正方形、台形、３角形、円形、楕円形 などにしてもよい。本部材１の寸法は自由であり、通常は断面寸法が数ｃｍ×数 ｃｍで、長手方向寸法が数１０ｃｍ〜数ｍである。

【００１１】 通気空間形成部材１の製造方法は自由である。一般的には製造コストの点、及 び長尺体を作り得る点を考慮して、プラスチック製の細棒を経緯に網目状に配し て、互いに溶着固定する方法で製造される。この他、プラスチック製パイプ材の 壁面に打抜き加工によって多数の孔を形成する方法などによっても製造可能であ る。

【００１２】 図２は、住宅壁体に、通気空間形成部材１を横方向に配置した例である。１１ は土台、１２は梁、１３は柱、１４は間柱、１５は筋違である。図３はその部分 拡大斜視図であり、１６は木ずり、１７は竪胴縁、１８はグラスウールやロック ウールなどの断熱材、１９は透湿・防水・防風シートである。本部材１の配置に より、木ずりと、断熱材１８乃至該シート１９との間の通気空間３の間隔が正確 に保たれる。また断熱材１８の脹れや該シート１９のバタ付きが防止される。な お、本部材１の固定は、その端部を柱などに釘止めすることにより行う。

【００１３】 図４は、通気空間形成部材１を縦方向に配した例である。木ずり１６の裏面に フェルト製の防水シート２０が設けられている。通気空間形成部材１の存在によ り、断熱材１８と、防水シート２０乃至木ずり１６との間の通気空間３の間隔が 正確に保たれ、断熱材１８の脹れや、防水シート２０のバタ付きが防止される。

【００１４】 図５は、押入れの床及び壁体に通気空間３を形成した例である。押入れの床板 ２５と下地板２９との間、及び内壁板２６と下地板２９との間にそれぞれ通気空 間３が正確に形成される。この為、図中の矢示の如く、敷居２７と床板２５端縁 との間から入った空気は、床板２５下面の通気空間３から、内壁板２６外面の通 気空間３を通って天井裏２８へと抜ける。これにより、押入れ内壁の結露を防止 できる。

【００１５】 図６は、窓などの開口部の水切り３０の下面に通気空間形成部材１を取付けた 例である。本部材１の存在により、水切り３０の下面壁体に通気空間３が形成さ れ、開口部の下方の壁体からの空気は本部材１の端面から側方へと流通可能であ る。３１は竪胴縁であり、この上端部には、本部材１の取付けにより、間違いな く通気空間３が形成されることになり、施工ミスを防止できる。

【００１６】 図７は、軒裏通気の為に軒先に通気空間形成部材１を取付けた例である。軒天 井板３５と屋根３６の鼻隠し３７との間に本部材１が存在するので、内外の通気 性が確保される。なお、本部材１の設置位置を軒の内方端の側にすることも可能 である。

【００１７】 図８は、切妻のケラバ通気の為に、水切り４０と、外壁板４１との間に通気空 間形成部材１を取付けた例である。これにより、内外の通気が確保される。

【００１８】 なお、前記の図２〜７に示された通気空間形成部材１の取付例は代表的なもの にすぎず、これ以外の建物各部にも勿論使用可能である。また、本部材１の取付 構造も前記実施例に限定されるものではなく、類似の構造で自由に取付けること が可能である。

【００１９】

【考案の効果】

本考案の通気空間形成部材は、部材壁面に通気孔を有する中空体であるので、 建物部材間に確実に通気空間を形成でき、また耐久性に富むので、建物内部にも 安心して使用できる。更に、全方向への通気が可能であるので、取付方向に制限 を受けず、使用に便利である。

【００２０】 その上、本部材の使用により、断熱材の脹らみ変形の阻止、各種シート材のバ タ付き防止、施工ミスの根絶などを期待できる。更に、本部材は構造が簡単で、 使用性に富み、廉価に製造可能である。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の通気空間形成部材の斜視図。

【図２】住宅壁体に本部材を取付けた状態の正面図。

【図３】図２の部分拡大斜視図。

【図４】本部材を住宅壁体に縦方向に取付けた状態の部
分拡大斜視図。

【図５】押入れの床及び壁体に取付けた状態の断面図。

【図６】開口部の水切りに取付けた状態の斜視図。

【図７】軒先に取付けた状態の断面図。

【図８】ケラバに取付けた状態の断面図。

【符号の説明】

１ 通気空間形成部材 ２ 通気孔 ３ 通気空間

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 プラスチック製で、同一断面形状の長尺
   中空体であり、かつ、中空体壁面にはほぼ全面に互って
   多数の通気孔が形成されている通気工法用の通気空間形
   成部材。