JP4000145B2 - 外断熱工法を用いた屋根構造 - Google Patents

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Description

本発明は、外断熱工法を用いた住宅、特に木造住宅の屋根構造に関する。
近年の木造戸建て住宅においては、快適な温度および湿度の居住環境を確保したり、冷暖房のエネルギーを節約したりする上で、建物全体の高断熱化・高気密化が図られており、そのためには、外断熱工法が有効であるとされている。外断熱工法は、外壁部であれば、室内側に配した断熱材と、外側に施工した外壁材との間に通気層を設ける工法であり、通気層に外気を通して換気させることにより、上記の高断熱化・高気密化を可能とし、また、木造である建物躯体の調湿が効果的になされて寿命の向上にも寄与するものである。
従来の外断熱工法では、上記通気層に設けられた床下換気口等の下端開口より外気を導入し、温度上昇に伴い発生した上昇気流により、通気層を上昇した空気を小屋裏に導き、棟に設けられた棟換気口から排気させる換気構造が採られていた。このような換気構造により、小屋裏内の空気も排気され、その結果として屋根の空冷効果を得るものであった。なお、この場合には、通常、天井裏に敷設した断熱材によって、屋根を通過した熱の室内への伝達を遮るようにしている。
ところが、外壁の通気層から小屋裏を経て棟から排気する上記換気構造では、小屋裏に対する空気の導入位置や排気の位置が適切でなかったり、小屋裏空間の容積が大きいために空気の滞留が起こることなどに起因して、円滑に換気されない場合がある。このように小屋裏内の換気が不十分であると、小屋裏内に結露が生じやすくなったり、室内に対する断熱効果が損なわれやすくなったりするといった問題を招く。そこで、屋根にも外断熱工法を適用した、いわゆる屋根外断熱工法が提案されている(例えば、特許文献1,2,3)。
特開2002−285646号公報 特開2002−309720号公報 特開2003−328460号公報
上記各文献に記載の屋根構造は、いずれも、屋根用垂木の上に設けた断熱材と、葺かれた屋根材との間に屋根通気層が形成され、この屋根通気層に、外壁側の通気層を上昇する空気を導入し、棟から排気している。このような屋根外断熱工法によれば、屋根自体が、その内部を流れる空気によって換気されることに加え、通気層と断熱材の存在により、屋根から室内への熱伝達が効果的に遮断されるとされている。
ところで、上記屋根材としては、粘を成形して焼成した古くからの瓦に代わって、主たる成分をセメントとする板状屋根材が広く普及している。しかしながらこの種の屋根材は、長期にわたって使用すると、水分の放散による反りや、劣化による割れが生じやすく、また、褪色するといった欠点が認められている。屋根材の反りや割れは屋根材間に隙間を作って雨漏りを招き、また、褪色は美観を損ねることになるため、修復の需要も少なくない。
そこで、これらの問題が生じないばかりか、地震にも強く、しかも軽量で安価に施工し得る屋根材として、トタン等の金属板が改めて見直されてきている。ところが、金属板は、熱吸収性が高く、室内の高温化を助長し、また、雨による衝撃音、すなわち屋根材を叩く雨音が大きくなるので、降雨時の快適性を低下させるといった欠点を有する。これらの問題は、たとえ上記各公報に記載の屋根材に金属板を適用した場合にも生じ得るものであり、改善が望まれるところであった。
よって本発明は、軽量で安価な金属製屋根材を用いた屋根の、換気による断熱および湿度低減と、雨音の遮音が効果的になされ、躯体を十分に保全するとともに快適な居住性が確保することのできる外断熱工法を用いた屋根構造を提供することを目的としている。
本発明の外断熱工法を用いた屋根構造は、屋根下地材の上に、軒先から棟方向に延びる複数の通気用垂木が固定され、これら通気用垂木の上に、断熱材を金属板で挟んでなる金属被覆断熱材が固定され、これによって前記屋根下地材と前記金属被覆断熱材との間に外部に開放する屋根通気層が設けられ、さらに、前記金属被覆断熱材の上に金属製屋根材が施工されており、前記金属被覆断熱材の軒先側の端部には水切が取り付けられ、該水切には、上下方向に開口して外気を下方から上方に流入させて前記屋根通気層に導入させる外気導入口が形成されており、さらに該水切の内部であって前記外気導入口の下流側には、水切内への水の吹き込みを抑える水除け板が形成されていることを特徴としている。
本発明の屋根構造によれば、日射により温度上昇した屋根材の熱は、金属被覆断熱材と、この金属被覆断熱材の直下の屋根通気層との断熱効果によって室内に伝達しにくくなり、しかも屋根全体が、屋根通気層を通る空気で空冷されることと相まって、屋根自体の効果的な断熱および湿度低減が図られ、よって、室内の温度および湿度の上昇が抑えられる。
また、このように屋根の外断熱が効果的に達成されることにより、屋根と天井間の小屋裏の温度および湿度の上昇が抑えられ、その結果、天井に断熱処理を施す必要がなくなるとともに、小屋裏を有効に活用することができる。小屋裏の有効活用としては、小屋裏を部屋として構成したり、あるいは天井を設けない構造として室内の上方空間を拡張するなどが挙げられる。
また、金属は、温度差や湿度が原因で結露を生じやすいが、断熱材を2枚の金属板で挟んだ本発明の金属被覆断熱材は、屋根通気層の外側に配され、屋根通気層に面する金属板には屋根通気層を流動する空気が接触するので、湿度の上昇が抑えられ、金属板に結露が生じることが防止される。さらに、降雨による金属製屋根材の衝撃音は、金属被覆断熱材の遮音効果によって抑えられ、このため、降雨時の屋根の雨音による快適性の低下が防止される。
上記屋根構造において、屋根下地材が、複数の屋根用垂木と、これら屋根用垂木の上に固定される野地板とを備えており、屋根用垂木間に断熱材が設けられていることは、本発明の好ましい形態である。この断熱材は、野地板の直下に配され、例えば簡素な構成の金具によって屋根用垂木に固定される。この形態によると、屋根通気層の室外側と室内側とに断熱材が配された二重断熱通気構造となる。これは、断熱材が一層である従来の屋根外断熱工法に比べ、屋根通気層と室外側の上記金属被覆断熱材とが追加された構造であり、断熱効果が著しく向上するため、炎天下の金属製屋根でも快適な居住性が確保される。
また、上記屋根構造では、屋根通気層が、軒先空間を介して、外壁部に設けられた外壁通気層に連通していることも、本発明の好ましい形態である。この形態によると、外壁通気層を上昇する空気が、軒先空間を経て屋根通気層に流入し、外部に排気される。屋根通気層の換気が、外壁通気層を上昇する空気によって滞留することなく円滑に外部に排気されるので、本発明の断熱効果をいっそう高めることができる。また、住宅の外壁と屋根とを通気層で囲繞する構造となり、断熱や結露防止といった外断熱工法の効果を最大限に得ることが可能となる。
屋根通気層の空気を円滑に排気させるにあたっては、上記のように外壁通気層に屋根通気層を連通させた構造に加えて、金属被覆断熱材の軒先側の端部に、屋根通気層に外気を導入させる外気導入口が形成された水切を取り付ける形態が挙げられる。この形態によると、水切に風が当たると、外気導入口から空気が屋根通気層に導入され、屋根通気層を通って外部に排気される空気の流れが生じることにより、屋根通気層の空気が円滑に排気される。
このように水切によって屋根内に外気を導入して屋根を換気させることは、軒先から屋根内に外気を導入して換気させることを容易に実現させることができるとともに、水切の取り付けでそれが可能になるため、既設構造を大きく変更させることなく、かつ、屋根の全周囲から屋根換気を行うことができる。また、軒天井が小さい場合や、ガラリの施工が困難な場合があっても、この水切を取り付けることにより、屋根換気が可能となる。
本発明の水切の外気導入口は、上下方向に開口して外気を下方から上方に流入させて屋根通気層に導入させる構成であるから、水切内に水が侵入しにくい。しかも、水切の内部であって外気導入口の下流側に水切内への水の吹き込みを抑える水除け板が形成されているので、屋根内への水の侵入を防止する上で好ましい。
本発明によれば、軽量で安価な金属製屋根材を用いた屋根において、断熱材と換気による断熱および湿度低減と雨音の遮音が効果的になされ、快適な居住性を得ることができるといった効果を奏する。
以下、図面を参照して本発明の一実施形態を説明する。
(1)新築用屋根構造
図1は、一実施形態の外断熱工法が適用された木造住宅の、外壁部10から、本発明に係る屋根構造が適用された傾斜する屋根部20にわたる部分の縦断面を示している。この住宅は、図示せぬ土台上に、軸組構造としての柱11が支持され、この柱11の上に屋根部20が支持されている。
柱11の室外側(図1で左側)には断熱材12が施工され、この断熱材12のさらに室外側には、胴縁13を介して外壁材14が施工されている。なお、図示例では柱11の室外側(図1で左側)に断熱材12が施工されているが、隣り合う柱11間に断熱材12が施工される場合もある。胴縁13は横方向(図1で図面表裏方向)に間隔をおいて配列されており、この胴縁13をスペーサとして、断熱材12と外壁材14との間に外壁通気層15が設けられている。この外壁通気層15は、図示せぬ床下換気口によって下端が外部に開放している。
一方、柱11の室内側には内壁材16が施工されている。柱11の上端には、梁17が架け渡されて固定されている。梁17の下方には天井18が施工され、天井18の下面には内装材19が施工されている。屋根部20と天井18との間が、小屋裏30とされる。
図2および図3は屋根部20を示しており、これら図にも示されるように、屋根部20の屋根下地材21は、軒先から棟方向に延びる複数の屋根用垂木22と、これら屋根用垂木22の上に固定された野地板23とから構成されている。屋根用垂木22は、梁17から、屋根部20の頂点に配される図示せぬ棟木との間にわたり、横方向に所定の間隔をおいて配列されている。これら屋根用垂木22の間には、屋根用垂木22と上面を面一にした状態で、板状断熱材24が配設されている。この断熱材24は、適宜な金具等で屋根用垂木22に固定され、屋根用垂木22間の空間が、この断熱材24で塞がれた状態となっている。
断熱材24としては、合成樹脂発泡断熱材を板状に成形したものなどが好ましく用いられる。具体的には、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、イソシアヌレート、フェノール、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン等の合成樹脂を発泡させて得られた微細構造の発泡板や、ロックウール、グラスウール、炭酸カルシウム発泡体等の合成樹脂を使用しない材料を板状に成形したものが挙げられ、中でも、剛性、断熱性および透湿抵抗のいずれの特性も高いレベルのポリスチレンの押し出し発泡板や、ポリウレタン板等が最適である。
野地板23の上には、軒先から棟方向に延びる複数の通気用垂木25が固定されている。これら通気用垂木25は、屋根用垂木22の直上に配され、その屋根用垂木22に釘打ち等の手段で固定されるが、図2に示すように、屋根用垂木22に対して1つおき、あるいは2つおきに配してもよく、全ての屋根用垂木22に対応させて配してもよい。
通気用垂木25の上には、金属サンドイッチ断熱パネル(金属被覆断熱材:以下、断熱パネルと称する)26が施工されている。この断熱パネル26は、断熱材を薄板状の金属板で挟んでなるもので、芯材である断熱材としては、例えば上記断熱材24と同様のものが用いられる。金属板は、例えば一般的な亜鉛鉄板、カラー鉄板あるいはガルバリウム鋼板等が用いられ、断熱材の表裏面に接着等の手段で張り付けられている。この断熱パネル26は、外側から貫通して通気用垂木25にねじ込まれる皿ねじ等の締結具によって、通気用垂木25に固定される。
各通気用垂木25をスペーサとして、野地板23と断熱パネル26との間に屋根通気層27が設けられている。この屋根通気層27の棟側は、棟に設けられた図示せぬ棟換気口を介して外部に開放している。
断熱パネル26の上には、防水シートとしてアスファルトルーフィング28が敷設され、さらにその上に多数の屋根材29が葺かれ、これによって、屋根下地材21から屋根材29にわたる屋根部20が構成されている。
屋根材29は、例えばトタン(亜鉛メッキ鋼板)等の耐食性に富んだ金属板等からなる金属瓦が用いられ、外側から貫通して断熱パネル26にねじ込まれるビス等の締結具によって、断熱パネル26に固定され、さらに必要に応じて部分的に通気用垂木25にも固定される。
図1に示すように、上記屋根部20の通気用垂木25から上方部分は、外壁部10の断熱材12よりもさらに軒先方向に延び、その端部の下方空間は、雨樋31が固定された破風32と、この破風32から外壁材14とを繋ぐ軒天井33とにより、軒先空間34が形成されている。そして、屋根通気層27は、軒先空間34を介して、外壁部10の外壁通気層15に連通している。
また、上記断熱パネル26の軒先側の端部には、図4に示すように、水切40が取り付けられている。この水切40は、鋼板の板金加工、あるいはアルミニウム等の金属の押出加工によって成形されており、図5および図6に示すように、断面が概ね鉤型状であって、互いに平行な上板部41および軒下板部42と、これら板部41,42を繋ぐ軒先板部43とを備えている。
上板部41は軒下板部42よりも奥行き(図5で右方向の長さ)が長く、軒先側の端部には、上板部41から延長して軒先方向に突出する上側水切片44が形成されている。また、軒先板部43の下端には、軒先板部43から延長して下方に突出する下側水切片45が形成されている。
軒下板部42の奥行き方向中間部には、軒下板部42の面に対してほぼ直立し、かつ、長手方向に延びるリブ46が形成されている。そして、このリブ46の軒先側には、長手方向に等間隔をおいて、複数の矩形状の外気導入口47が形成されている。この外気導入口47の上方は、リブ46の根元部分から軒先側に向かって所定角度(例えば30°前後)で斜めに立ち上がるように形成された水除け板48によって覆われている。なお、外気導入口47には、虫やゴミ等が当該水切40内に侵入することを防ぐための網が張られていると好ましい。
上記水切40は、図4に示すように、上板部41を断熱パネル26とアスファルトルーフィング28との間に挟み、軒下板部42を破風32の上端に当て、かつ、軒先板部43の裏面を断熱パネル26の先端に当てた状態で、断熱パネル26に固定される。この状態で、外気導入口47は破風32の前側に配される。また、軒下板部42と断熱パネル26との間には隙間が空いており、この隙間は、軒先空間34を経て屋根通気層27に連通している。
以上が本実施形態の屋根部20であり、この屋根部20は、屋根用垂木22、断熱材、野地板がこの順で施工され、次いで、通気用垂木25、断熱パネル26、アスファルトルーフィング、屋根材29の順で施工される。
この屋根部20では、図1の矢印Aで示すように、外壁部10の外壁通気層15に、床下換気口から空気が流入して上昇し、この空気は、外壁通気層15から軒先空間34を経て屋根通気層27に流入し、図1および図2の矢印Bに示すように、屋根通気層27を上昇する。一方、水切40内には、図1および図4の矢印Cに示すように、外気導入口47から空気が流入し、その空気は、軒先空間34において外壁通気層15を上昇してきた空気と合流する。このようにして、外壁通気層15を上昇する空気に、水切40から流入した空気が合流し、その空気は、屋根通気層27を上昇して、棟換気口から排気される。
この屋根部20によれば、日射により温度上昇した屋根材29の熱は、断熱パネル26と、この断熱パネル26の直下の屋根通気層27との断熱効果によって室内に伝達しにくくなり、しかも屋根部20全体が、屋根通気層27を通る空気で空冷されることと相まって、屋根材29が金属板であるにもかかわらず、効果的な断熱が図られ、室内の温度および湿度の上昇が抑えられる。断熱効果は、小屋裏30で顕著であり、このため、天井18の上面に断熱材を設けるなどの天井断熱を不要にすることも可能になり、これによって小屋裏30を有効に活用することができる。
本実施形態の断熱パネル26は、金属板で断熱材を挟んだ構造のものであり、通常、金属は、温度差や湿度が原因で結露を生じやすい。ところが、断熱パネル26は屋根通気層27の外側に配され、裏側の金属板には屋根通気層27を流動する空気が接触するので、湿度の上昇が抑えられ、金属板に結露が生じることが防止される。さらに、降雨による屋根材29の衝撃音は、断熱パネル26の遮音効果によって抑えられ、このため、降雨時の屋根の雨音による快適性の低下が防止される。
また、本実施形態では、屋根用垂木22間に断熱材24が設けられていることにより、屋根通気層27を挟んで、室外側には断熱パネル26が、室内側には断熱材24がそれぞれ設けられた二重断熱通気構造となっているので、断熱効果が大幅に向上したものとなっている。
また、外壁通気層15を上昇する空気が、軒先空間34を経て屋根通気層27に流入し、さらに、水切40から軒先空間34を経た空気が屋根通気層27に導入されることにより、屋根通気層27の換気が滞留することなく円滑になされる。このような換気作用をなす外壁通気層15と屋根通気層27とにより、外壁部10と屋根部20とが、常に空気が流通する通気層で囲繞された構造となり、このため、断熱や結露防止といった外断熱工法の効果を最大限に得ることができる。
また、本実施形態の水切40は、上記のように屋根部20内に外気を導入して屋根換気を促進させる機能を有しているが、この水切40によって、例えば軒天井33に換気口を設けることなく、屋根部20の換気を実現させることができるとともに、既設構造を大きく変更させることなく、かつ、屋根部20の全周囲から屋根換気を行うことができるといった優れた利点を有する。また、軒天井33が小さい場合や、ガラリの施工が困難な構造であっても、この水切40を取り付けることにより、屋根換気が可能となる。
その水切40においては、降雨時に外気導入口47から水切40内に雨水が吹き込むことが懸念されるが、雨水は、水除け板48に当たってそれ以上の侵入が防止される。また、水切40は比較的複雑な形状を呈してはいるものの、上記のように板金加工あるいは押出加工によって、比較的安価に製造することができるものとなっている。
(2)既設屋根の修復施工方法
次に、図7〜図10を参照して、本発明に係る屋根の修復施工方法の一実施形態を、工程順に説明する。図7は修復を要する屋根部50を備えた住宅を示しており、図8〜図10は、屋根部50が修復された後の状態を示している。
図7に示す既設の屋根部50の屋根材51は、屋根用垂木52の上に固定された野地板53に固定されている。なお、野地板53と屋根材51との間には、図示せぬアスファルトルーフィングが敷設されている。
この住宅の外壁部60は、柱61と、隣り合う柱61の間に設けられた断熱材62とを備え、柱61の室外側には外壁材63が、また、室内側には内壁材64が、それぞれ施工されている。
柱61の上端には、梁65が架け渡されて固定されている。梁65の下方には、室内側の下面に内装材66が張られた天井67が施工されており、屋根部50と天井67との間が、小屋裏68とされる。また、雨樋69が固定される破風70と軒天井71とにより軒が形成され、軒天井71には、外部から軒先空間72に通じる換気口73が形成されている。
上記屋根部50を修復するにあたっては、まずはじめに、雨樋69を取り外してから、屋根材51の上に、軒先から棟方向に延びる通気用垂木25を固定する。通気用垂木25は、屋根用垂木52の直上に配し、その屋根用垂木52に釘打ち等の手段で固定する。通気用垂木25は、図9に示すように、屋根用垂木52に対して1つおき、あるいは2つおきに配してもよく、全ての屋根用垂木52に対応させて配してもよい。
次に、通気用垂木25の上に、断熱材を薄板状の金属板で挟んでなる上記断熱パネル26を、皿ねじ等の締結具によって固定する。これにより、各通気用垂木25をスペーサとして、既設の屋根材51と断熱パネル26との間に屋根通気層27が設けられる。
続いて、既設の破風70および軒天井71の外側に、新たな破風70Aおよび軒天井71Aを施工する。軒天井71Aには、換気口73Aが形成されている。また、新設の破風70Aに、新たに雨樋69Aを取り付ける。
次に、断熱パネル26の上に防水シートとしてアスファルトルーフィング28を敷設し、この上に、上記金属製屋根材29を葺く。屋根材29は軒先側から棟側に順次敷設していくが、敷設した屋根材29の棟側の端部に、次に敷設する屋根材29の軒先側の端部を重畳させることを繰り返して施工する。屋根材29の固定は、重畳部で隠れる部分を、ビス等の締結具によって断熱パネル26に固定し、さらに必要に応じて部分的に通気用垂木25にも固定する。
また、屋根材29の施工と合わせて、図示は省略するが、上記水切40を、同様にして断熱パネル26の軒先側の端部に取り付ける。そして、屋根材29の施工後は、屋根通気層27および小屋裏68を外部に開放させる棟換気口を、棟に設ける。
以上の修復施工方法によって修復された屋根部50Aによれば、軒先、すなわち水切40の外気導入口47から流入した空気(図8のDで示す)は、屋根通気層27を上昇して、棟換気口から外部に排気される。一方、軒天井71A,71の換気口73A,73から軒先空間72に流入した空気(図8のEで示す)は、小屋裏68を上昇して、同じく棟換気口から外部に排気される。
日射により温度上昇した屋根材29の熱は、断熱パネル26と、この断熱パネル26の直下の屋根通気層27との断熱効果によって、既設の屋根部50には伝達しにくくなる。そして、屋根部50に伝達した一部の熱は小屋裏68に達するが、その熱は、小屋裏68を上昇する空気によって棟換気口から外部に排出される。このような断熱および換気の作用により、室内の温度上昇が効果的に抑えられる。
上記修復施工方法では、図1で示したものと同様の外断熱工法を用いた屋根構造を、既設の屋根材51の上に施工することができ、したがって、上述した効果を同様に得ることができるわけである。また、金属製の屋根材29を施工することにより、耐震性および耐久性に優れた屋根構造となる。
また、既設の屋根材を除去せずに屋根を新設するので、居住者の生活を脅かすことなく屋根の修復を行うことができ、また、既設の屋根材を廃棄する必要がないので、コストの上昇を抑えることができる。さらに、既設の屋根の上に新設するものの、断熱パネル26および金属製の屋根材29は極めて軽量であるため、躯体への負担を招くことがなく、補強工事も不要である。
なお、このような修復施工方法によって施工された屋根構造には、図1に示したように外壁部の外壁通気層を屋根通気層27に連通させる工法を適用することも可能である。
次に、本発明の実施例を説明する。
(1)新築住宅の温度測定
図1と同様の屋根構造を新築住宅に適用して建築し、この住宅の、表1(a)に挙げる箇所の温度を測定した。なお、測定時の外気温は32.8℃であり、室内では冷暖房/空調機器は使用しなかった。
(2)屋根を修復した住宅の温度測定
上記実施形態と同様にして屋根を修復し、図8に示すような屋根構造とした住宅につき、表1(b)に挙げる箇所の温度を測定した。なお、この住宅は、上記新築住宅に近接しており、したがって、外気温は32.8℃と同じであり、また、室内での冷暖房/空調機器を使用しないことも同じ条件とした。
Figure 0004000145
上記の温度測定結果を、表1(a),(b)にそれぞれ示す。
表1(a)に示した新築住宅においては、屋根材の表面が68.4℃であるにもかかわらず、小屋裏では31.6℃、室内では31.9℃と、いずれも屋内の温度が著しく低くなっており、本発明の屋根構造の断熱効果が実証された。特に、室内よりも高温であることが予想された小屋裏が、室内よりも若干ではあるが温度が低く、これは本発明の屋根構造の断熱効果が顕著に示されていると言えるであろう。
表1(b)に示した修復屋根の住宅においては、屋根材の表面が74.3℃であったが、既設の屋根材の表面が34.6℃と大幅に低くなっており、したがって、本発明の断熱パネルおよび屋根通気層による断熱効果が優れていることが実証された。
(3)屋根の遮音性
降雨時に、上記新築住宅の室内において、窓を閉めた状態で屋根から生じる雨音を実際に聞いた。その結果、金属板を叩くような雨音はほとんど聞こえず、十分な遮音性を有していることが確認された。
本発明の一実施形態の屋根構造を示す縦断面図である。 一実施形態の屋根構造を示す一部破断斜視図である。 一実施形態の屋根構造を模式的に示す(a)側断面図、(b)横断面図である。 図1に示した屋根構造の軒先部の拡大図である。 一実施形態の屋根構造に適用される水切の縦断面図である。 図4に示す水切の斜視図である。 本発明の一実施形態の屋根修復施工方法が適用される既設の屋根構造を示す縦断面図である。 一実施形態の屋根修復施工方法によって修復された屋根構造を示す縦断面図である。 一実施形態の屋根修復施工方法によって修復された屋根構造を示す一部破断斜視図である。 一実施形態の屋根修復施工方法によって修復された屋根構造を模式的に示す(a)側断面図、(b)横断面図である。
符号の説明
10…外壁部、15…外壁通気層、21…屋根下地材、22…屋根用垂木、
23…野地板、24…断熱材、25…通気用垂木、
26…金属サンドイッチ断熱パネル(金属被覆断熱材)、27…屋根通気層、
29…金属製屋根材、34…軒先空間、40…水切、42…水切の軒下板部、
47…外気導入口、48…水除け板、51…既設の屋根材。

Claims (3)

  1. 屋根下地材の上に、軒先から棟方向に延びる複数の通気用垂木が固定され、これら通気用垂木の上に、断熱材を金属板で挟んでなる金属被覆断熱材が固定され、これによって前記屋根下地材と前記金属被覆断熱材との間に外部に開放する屋根通気層が設けられ、さらに、前記金属被覆断熱材の上に金属製屋根材が施工されており、前記金属被覆断熱材の軒先側の端部には水切が取り付けられ、該水切には、上下方向に開口して外気を下方から上方に流入させて前記屋根通気層に導入させる外気導入口が形成されており、さらに該水切の内部であって前記外気導入口の下流側には、水切内への水の吹き込みを抑える水除け板が形成されていることを特徴とする外断熱工法を用いた屋根構造。
  2. 前記屋根下地材は、複数の屋根用垂木と、これら屋根用垂木の上に固定される野地板とを備えており、屋根用垂木間に、断熱材が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の外断熱工法を用いた屋根構造。
  3. 前記屋根通気層が、軒先空間を介して、外壁部に設けられた外壁通気層に連通していることを特徴とする請求項1または2に記載の外断熱工法を用いた屋根構造。
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