JPH0684506B2 - 精製ラノリンの製造方法 - Google Patents

精製ラノリンの製造方法

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JPH0684506B2
JPH0684506B2 JP62069700A JP6970087A JPH0684506B2 JP H0684506 B2 JPH0684506 B2 JP H0684506B2 JP 62069700 A JP62069700 A JP 62069700A JP 6970087 A JP6970087 A JP 6970087A JP H0684506 B2 JPH0684506 B2 JP H0684506B2
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【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) この発明は精製ラノリンの製造方法に係り、その目的
は、ガム質含有量が0.45%未満とされ、感作刺激性が極
めて低く、且つ経時安定性に優れ、化粧品原料として優
れた高品質の精製ラノリンを80%以上という極めて高い
収率で、簡便且つ効率良く製造することのできる精製ラ
ノリンの製造方法の提供にある。
(発明の背景) 一般に、ウールグリースは、羊毛精練の水媒洗毛廃液か
ら油分として回収されるほか、炭化水素系または塩素化
炭化水素系の溶剤を以て羊毛刈り取り後に原毛を洗い、
その溶剤を除いて回収されている。
元来、原毛中には有用な羊毛繊維およびラノリン以外に
多量に夾雑物が存在し、又、この原毛より回収されたウ
ールグリース中にも、ラノリン主成分以外に10〜30%の
不純物が含まれるのが常である。
ここでその夾雑物とは、土砂、繊維層、石鹸及び海面活
性剤等があり、またウールグリース中の不純物とは蛋白
質およびその変成物、燐脂質およびその変成物、その他
の樹脂化物、色素、遊離アルコール、遊離脂肪酸、その
他水溶性の有機物等である。
これらの不純物中の量的関係は原毛の種類、採取方法に
より異なる。
従って、ウールグリースの品質によりその精製方法も適
宜選択されるものであるから、このようなウールグリー
スから精製された市販ラノリンにも当然のことながら多
くの種類が存在する。
ところでラノリンとは炭素数10〜33の各種複雑な脂肪酸
と、炭素数13〜30のステロール類、トリテルペンアルコ
ール類、および脂肪族アルコール類とのエステルであっ
て、その複雑かつ特異な構造を有する天然脂肪の故に、
多くの有価値な用途を持つことは良く知られている。
具体的にラノリンは、人の皮脂に最も近い組成を持つ成
分であり、クリーム、乳液などの化粧品原料として古く
から使用されていた。
しかし、このラノリンは、その採取される際の条件や、
取り出して長時間経過したものに、色、臭い、粘着成な
どが変質したものがあったり、感作性があることなどが
指摘されている。
尚、この明細書において原料ラノリンとは、ウールグリ
ースおよび何らかの予備処理を経たウールグリース(つ
まり精製度の低いラノリン)を含む意味で用いる。
(従来の技術) 近年、このラノリンおよびその誘導体を化粧品原料、医
薬原料などとして使用する高級用途が拡大され、この拡
大に伴い、天然物由来の不純物および特有の臭気を除去
したラノリン高度精製品に対する要望が業界において昴
まっているが、現在、市販品はこれらの要望に対し殆ど
不満足なものである。
実際第1図示の薄層クロマトグラフに示す如く、市販の
各種ラノリン(1)(2)は何れも、薄層板上の原点に
極性に富む不純物(以下ガム質と称する)スポット
(A)を相当量含有していることが判る。
尚、スポット(B)はラノリン主成分である。
第1図(3)に示す吸着精製ラノリン(例えば、汎用化
粧品原料集V−52−)は、高純度なものであるが比較的
高価なものであり、極めて多量に使用されるラノリンと
しては製造工程が多く、又、製造歩留りが少ないので適
さなかった。
そこで、一般汎用品として使用できるラノリンの品質向
上が業界においてひろく要望されていた。
このような実情に照らし、ウールグリースの精製方法と
して、特公昭54-21207号公報及び特開昭56-161497号公
報、特開昭53-37322号公報開示の技術がそれぞれ存在し
ている。
特公昭54-21207号公報開示の技術はラノリンを非極性有
機溶剤に溶解し、これを吸着剤を充填した吸着塔に通液
して、極性のラノリンワックスと非極性のラノリンワッ
クスとに分離精製してなる技術であった。
また、特開昭56-161497号公報開示の技術は炭化水素溶
媒中グリースミセルをアルコールと特定比率で混合する
段階と、アルカリ水溶液を特定比率の水:アルカリ:ア
ルコール溶液で混合する段階と、前記ミセルとアルコー
ルの混合物を前記アルコール/アルカリ水溶液の中に分
散させることによって遊離脂肪酸を中和する段階と、形
成された各相を沈降によって分離する方法からなる精製
技術であった。
さらに、特開昭53-37322号公報開示の技術はラノリン又
はその誘導体を、非極性炭化水素系溶剤と水−低級アル
コール混合溶剤を用いて液−液抽出し、非極性炭化水素
系溶剤層を捕集して、低アレルギー性ラノリンを得る技
術であった。
一方、大豆油、綿実油などのグリセライド油(食用油)
を精製する技術としては、特開昭58-194995号公報、特
開昭57-90098号公報、特開昭52-84206号公報、特開昭58
-194996号公報にて、膜透過法に関する技術がそれぞれ
開示されていた。
(発明が解決しようとする課題) しかしながら、原料ラノリン中には前述した如く、多種
多様な夾雑物や不純物が含まれており、そのうえラノリ
ン自体の構造も複雑且つ特異なものであるため、前記従
来開示の精製方法では、原料ラノリンから80%以上とい
う高い収率で、ガム質含有量が0.45%未満とされる高度
精製ラノリンを製造することができないという課題が存
在した。
一方、特開昭58-194995号公報等にて開示されている技
術は、いずれも大豆油等植物油の精製に関する技術であ
り、ラノリンの精製については何ら記載がないばかり
か、これら技術は主としてレシチン等リン脂質の除去を
目的とするものであり、このようなリン脂質の除去のみ
によって、原料ラノリンから、高級用途向けの高度精製
ラノリンを得ることはできないという課題が存在した。
そこで、この発明者らは高級用途に使用することのでき
る高度精製ラノリンの製造方法について鋭意検討した結
果、原料ラノリン中の不純物のうち、特にラノステロー
ル、コレステロールのようなステロール類の酸化重合物
等を主とした極性に富んだガム質の除去が主題であるこ
とに着目し、このようなガム質を工業的に汎用できる方
法で、充分に除去することができる優れた製造方法につ
いて鋭意研究を行なった。
(課題を解決するための手段) この発明では、原料ラノリンを炭素数6〜9の脂肪族炭
化水素、炭素数4以下のハロゲン化炭化水素又はこれら
の混合物の中から選択された任意の溶媒中に10〜40%の
濃度となるように溶解し、得られたラノリン溶液を限外
濾過膜に通して不純物を除いた後、前記溶媒を留去し、
原料ラノリン中の脂溶性蛋白質、燐脂質、その他の樹脂
化物等のガム質を選択除去してなる工程を主工程とし、
この主工程に吸着剤処理工程、アルカリ処理工程又はア
ルコール分離処理工程の中から選択された少なくとも一
以上の工程を前処理又は後処理工程として用いてガム質
含有量が0.45%未満である高度精製ラノリンを少なくと
も80%以上の収率で得ることを特徴とする精製ラノリン
の製造方法を提供することにより、上記従来の課題が悉
く解消され、化粧品原料として使用できる高級用途向け
の高度精製ラノリンの製造することに成功した。
(発明の構成) この発明における精製ラノリンとは、少なくとも原料ラ
ノリン中の脂溶性蛋白質及びその変性物、燐脂質及びそ
の変性物、その他の樹脂化物、遊離アルコール、遊離脂
肪酸、その他水溶性の有機物等のガム質が選択除去され
てなるラノリンをいい、これらガム質分が精製ラノリン
中の残存量として0.45%未満のものをいう。
このようにガム質を除去する理由は、これらガム質が皮
膚に対する感作刺激成分となり、しかも経時的不安定性
の原因でもあり、さらにラノリンの高級用途性を阻害す
る着色物質の大部分がこのガム質に含まれるからであ
る。
更に加えて、ラノリンを還元してラノリンアルコールを
得る場合には、これらガム質が所謂触媒毒として働き、
還元反応の進行を阻害するからである。
この発明法で上記の如き精製ラノリンを得るには、原料
ラノリンをまず溶媒中に10〜40%の濃度となるように溶
解し、限外濾過膜を透過させて精製処理し、続いて溶媒
を留去する工程を主工程とし、この工程に吸着剤処理工
程、アルカリ処理工程又はアルコール分離処理工程の中
から選択された少なくとも一以上の工程を前処理又は後
処理工程として用いてガム質含有量が0.45%未満とされ
る高度精製ラノリンを得る。
ここで、溶媒とは炭素数6〜9の脂肪族炭化水素、炭素
数4以下のハロゲン化炭化水素、又はこれらの混合物か
ら選択される溶媒が望ましく使用でき、その具体例とし
てはn−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、イソ
オクタン、石油エーテル、1.1.1.トリクロロエタン,四
塩化炭素を例示することができ、特にn−ヘキサンが望
ましい。
尚、前処理又は後処理工程として、後述するアルカリ処
理を採用する場合には、アルカリで分解するようなハロ
ゲン化炭化水素の使用は好ましくない。
また、アルコール分離処理工程を採用する場合には、水
−アルコール系と二層分離性のよい溶媒を適宜組み合わ
せることが必要である。
次に、この発明における主工程について述べる。
この発明の主工程では、原料ラノリンを50%以下、好ま
しくは10〜40%を含むn−ヘキサン等の前記任意の溶液
を、約40〜60度の加温下で半透膜を通して、いわゆる限
外濾過を行う。
この発明法において、用いられる半透膜の種類として
は、耐溶剤性、耐熱性を有するものであればよく、例え
ばポリイミド、ポリ(エーテル)スルホン、アセチルセ
ルロース等を例示できるが、これに限定されるものでな
い。
また、この半透膜の排除限界分子量としては、2000〜50
000の範囲、望ましくは5000から20000の範囲である半透
膜が好適に使用できる。
この発明法に於いて、半透膜を通過させた後、n−ヘキ
サン等の溶媒を溜去して得た精製ラノリンは原料ラノリ
ンより著しく淡色となる。
即ち、限外濾過により着色成分の大部分は明らかに半透
膜を通らず濃縮除去される。
限外濾過の工程を経て、殆どラノリン主成分のみになっ
た溶液より溶媒を蒸溜除去したものには、なお僅かな着
色、臭気が残る場合がある。
このような場合、必要に応じて脱色、脱臭処理を行えば
よく、その方法は常法に基づくものが採用でき、特に限
定するものではない。
一般に、脱色法としては過酸化水素水などの酸化漂白剤
の水溶液による酸化脱色、或いは、ナトリウム水素化ほ
う素水などによる還元脱色を単独、または連結して行
い、続いて充分に水洗する方法が例示される。
また脱臭法としては、減圧水蒸気処理が一般に行われ
る。
また、この発明においては、以上のような主工程に、吸
着剤処理工程、アルカリ処理工程又はアルコール分離処
理工程の中から選択された一以上の工程を前処理工程又
は後処理工程として組み合わせて使用する。
まず、吸着剤処理工程について述べる。
吸着剤処理工程では、原料ラノリン又は主工程を経たラ
ノリンに、炭素数6〜9のパラフィン系炭化水素、ある
いはこれらの混合物から選択される溶媒、望ましくはN
−ヘキサンを加えて加温溶解させ、ラノリン濃度が10〜
40%濃度となる溶液とし、これにラノリン量の2〜20%
のゼオライト等の吸着剤を添加して、40〜60℃で約30分
間よく撹拌する。
次に加圧濾過機を用いてこれを濾過し、清澄なラノリン
の溶液を得る。
この工程で用いる吸着剤としては、前記のゼオライトの
他、シリカゲル、ケイ酸マグネシウム、活性白土、アル
ミナゲル等を使用することが出来るが、この発明におい
ては吸着剤として要は吸着力が強く、かつ濾過助剤を兼
ねる程度の粒度のものであれば好適に使用できる。
以上のような吸着剤処理工程は、主工程の前処理工程と
して用いる場合は、主として原料ラノリン中の溶媒不溶
物の濾過除去、吸着剤による一部不純物の選択吸着除去
を目的とするものである。
特に遊離アルコールの減量の必要がなく、全体として良
質の原料ラノリンに於いては、この工程の後、或いは後
述するアルカリ性アルコール処理による脱酸の後、限外
濾過膜を用いる主工程に移行させることにより、ガム質
含有量が極めて低い精製ラノリンを製造することができ
る。
次に、アルカリ処理工程について述べる。
アルカリ処理工程では、原料ラノリン又は主工程を経た
ラノリンに、炭素数6〜9のパラフィン系炭化水素、あ
るいはこれらの混合物から選択される溶媒、望ましくは
N−ヘキサンを加えて、その50%以下、好ましくは10〜
40%溶液とし、これに少量の苛性ソーダを溶かした80〜
100%メチルアルコール又は40〜90%イソプロピルアル
コール水等の低級アルコール水を1/5〜1倍容量加え
る。
ラノリン溶液中に含有される遊離脂肪酸は、苛性ソーダ
によって塩とされる、すなわち石鹸となって溶媒に不溶
となり、下層に移るのでこれを除く。
このアルカリ処理工程を前処理工程とすれば、主工程で
の限外濾過膜の負荷が著しく軽減され、一方、後処理工
程とすれば精製度の高いラノリンが得られる。
次にアルコール分離処理工程について述べる。
アルコール処理工程では、原料ラノリン又は主工程を経
たラノリンに、炭素数1〜4の低級脂肪族アルコール望
ましくは80〜100%メチルアルコール又は40〜90%イソ
プロピルアルコール水を1/2〜2倍容量加え、加温下に
烈しく撹拌の後、静置分層する。
このアルコール中にラノリンに含有されている大部分の
不純物が移行するのでこれを除く。
この場合、遊離の高級アルコール分もアルコール層中に
分配抽出される事は精製処理として極めて有効である。
従って、とくに遊離アルコール量の多い原料ラノリンで
は、この工程を反復使用することが望ましい。
さらに、上記した吸着剤処理、アルカリ処理、アルコー
ル分離処理を経たラノリンについて、温水または温アル
コール水を以て数回洗浄し、水溶性化合物を除く工程を
経ることも任意に採用することができる。
さらにこの発明では、主工程と組み合わせて用いる前処
理又は後処理工程として、前記吸着剤処理、アルカリ処
理、アルコール分離処理の各工程を適宜任意に組み合わ
せて用いることもできる。
この発明では主工程と併用する前処理又は後処理工程に
ついて、前記処理工程の何れを選択するか、或いは原料
ラノリン又は後処理工程におけるラノリンを溶解する溶
媒の選択については、原料ラノリンあるいは主工程を経
たラノリンの質の良否に係わるが、一般的には、溶媒と
しては分層の迅速性よりN−ヘキサン等の溶媒を使用す
ることが薦められる。
因に、通常市販品の精製ラノリンの成分分析、特に成分
中のガム質の存在を第1図と同様に薄層クロマトグラフ
ィを用い第2図(B)に、更に定量値をイアトロスキャ
ンで求め第2図(A)にそれぞれ示す。
(イヤトロスキヤン条件、固定相;クロマロッドSII
(シリカゲル)、展開溶媒;クロロホルム)(薄層クロ
マトグラフ条件、薄層ロプレート;シリカゲル、展開溶
媒;クロロホルム、発色剤;50%硫酸) 尚、定量値を後記第1表の比較例に示す。
精製ラノリン中に含まれる脂溶性蛋白質、燐脂質、その
他の樹脂化物、などのいわゆるガム質がスポット(A)
で現れており、その量も多量で、従来市販の精製ラノリ
ンでは、これらガム質が充分に除去されていないことも
判る。
尚、スポット(B)はラノリン主成分である。
第3図はこの発明に係る精製ラノリンのイヤトロスキヤ
ンクロマトグラフで、原点に留る残留物(A)が微少と
なっている。
また、第3図で判るようにラノリン主成分(B)と、ガ
ム質(A)との中間に幾つかのフラクションが存在して
いるが、これはコレステロールを含む遊離アルコール、
および遊離の脂肪酸などであって、前処理工程によって
極少にする事が出来る。
唯、ラノリン中に含まれる脂溶性蛋白質、燐脂質、その
他の樹脂化物、などのいわゆるガム質は従来法では除去
が困難であったことは第1図乃至第3図で明らかであ
る。
(発明の効果) 以上詳述した如く、この発明は原料ラノリンを炭素数6
〜9の脂肪族炭化水素、炭素数4以下のハロゲン化炭化
水素又はこれらの混合物の中から選択された任意の溶媒
中に10〜40%の濃度となるように溶解し、得られたラノ
リン溶液を限外濾過膜に通して不純物を除いた後、前記
溶媒を留去し、原料ラノリン中の脂溶性蛋白質、燐脂
質、その他の樹脂化物等のガム質を選択除去してなる工
程を主工程とし、この主工程に吸着剤処理工程、アルカ
リ処理工程又はアルコール分離処理工程の中から選択さ
れた少なくとも一以上の工程を前処理又は後処理工程と
して用いてガム質含有量が0.45%未満である高度精製ラ
ノリンを少なくとも80%以上の収率で得ることを特徴と
する精製ラノリンの製造方法であるから、ガム質含有量
が0.45%未満であり、感作刺激性が極めて低く、且つ経
時安定性に優れ、化粧品原料として極めて高品質の高級
用途向け精製ラノリンを、80%以上という極めて高い収
率で、汎用的に簡便且つ効率良く製造することができる
という優れた効果を奏する。
(実施例) 以下この発明の実施例を示す。
(実施例−1) 原料ラノリンとしてウールグリース(酸価2.3)100gに
n−ヘキサン400mlを加え、加温溶解し、これに活性白
土10gを加え、55℃にて30分間撹拌する。次に加圧ろ過
機を用いてろ過をおこない、清澄なウールグリースのn
−ヘキサン溶液を得た。
得られたn−ヘキサン溶液を50℃、圧力3kg/cm2にて、
ポリエーテルサルホン平膜による膜処理を行なった。ろ
過したn−ヘキサン溶液は、n−ヘキサンを留去後、常
法による減圧水蒸気脱臭を行なった。収率88.7%、酸価
0.80、色相8(ガードナー法)のラノリンを得た。
(実施例−2) 原料ラノリンとしてウールグリース100g(酸価6.8)を
加温溶解し、これに1.02gの水酸化カリウム(水5mlに溶
解)を添加し、60〜70℃で30分間撹拌後、更に110℃に
て30分間撹拌脱水した。これを50℃に冷却後、400mlの
n−ヘキサンに溶解した。得られたn−ヘキサンについ
て、実施例1と同様のポリエーテルサルホン平膜による
膜処理及び減圧水蒸気脱臭を行なった。収率85.1%、酸
価0.44、色相8(ガードナー法)のラノリンを得た。
(実施例−3) 原料ラノリンとしてウールグリース(酸価4.5)100gを
加温溶解し、これに90%メタノール水100mlを加えて50
〜70℃にて30分間撹拌後50〜70℃にて静置分散した。ア
ルコール水層は除き、原料ラノリン層は、110℃にて乾
燥した。これを50℃に冷却後400mlのn−ヘキサンに溶
解、得られたn−ヘキサン溶液を実施例−1と同様、ポ
リエーテルサルホン平膜による膜処理及び減圧水蒸気脱
臭を行った。収率82.9%、酸価0.85、色相8(ガードナ
ー法)のラノリンを得た。
(実施例−4) 原料ラノリンとしてウールグリース(酸価1.5)100gを
加温溶解し、これにn−ヘキサン400mlを加え、加温溶
解し、得られたn−ヘキサン溶液を50℃、圧力3kg/cm2
にて、ポリエーテルサルホン平膜による膜処理を行い、
ろ過したn−ヘキサン溶液よりn−ヘキサンを除去した
後、50%イソプロピルアルコール水200mlを加えて、50
℃にて30分間撹拌後50℃にて静置分散した。アルコール
水層は除き常法によりn−ヘキサンを蒸留除去する。
次にこれを加温、乾燥し、減圧水蒸気脱臭を行った。
収率84.1%、酸価0.62、色相7(ガードナー法)のラノ
リンを得た。このラノリンは特に臭気の極めて少ないも
のであった。
(実施例−5) 原料ラノリンとしてウールグリース(酸価6.8)100gを
加温溶解し、これに40%イソプロピルアルコール水50ml
を加えて50〜70℃にて30分間撹拌後75℃にて静置分離し
た。アルコール水層は除き、原料ラノリン層にn−ヘキ
サン400ml、40%イソプロピルアルコール水50ml及び水
酸化ナトリウム0.8gを加え50〜55℃にて30分間撹拌し
た。静置分離後アルコール水層は除きn−ヘキサン層に
40%イソプロピルアルコール水50mlを加え50〜55℃にて
15分間撹拌した。
これをアルコール水層が中性になるまで行った。得られ
たn−ヘキサン溶液を50℃、圧力3kg/cm2にて、ポリイ
ミド平膜による膜処理を行った。ろ過したn−ヘキサン
溶液は、n−ヘキサンを留去後常法による減圧水蒸気脱
臭を行った。収率87.2%、酸価0.51、色相7(ガードナ
ー法)のラノリンを得た。
(実施例−6) 原料ラノリンとしてウールグリース(酸価6.8)100gを
加温溶解し、これに90%メタノール水100mlを加えて50
〜70℃にて30分間撹拌後50〜70℃にて静置分離した。ア
ルコール水層は除き、原料ラノリン層にn−ヘキサン40
0ml、90%メタノール水100ml及び水酸化ナトリウム0.8g
を加え50〜70℃にて30分間撹拌した。静置分離後アルコ
ール水層は除きn−ヘキサン層に90%メタノール水100m
lを加え50〜70℃にて15分間撹拌した。これをアルコー
ル水層が中性になるまで行った。得られたn−ヘキサン
溶液を実施例−1と同様、ポリエーテルサルホン平膜に
よる膜処理及び減圧水蒸気脱臭を行った。収率85.5%、
酸価0.48、色相7(−)(ガードナー法)のラノリンを
得た。
(比較例−1) 原料ラノリンとしてウールグリース(酸価6.8)100gに4
0%イソプロピルアルコール水40ml及び水酸化ナトリウ
ム0.8gを加え60〜65℃にて2時間加温撹拌した。75℃に
て15時間静置分離後、アルコール水層は除き原料ラノリ
ン層に40%イソプロピルアルコール水40mlを加え60〜65
℃にて30分間撹拌した。これを中性になるまで行った。
得られた原料ラノリンに過酸化水素水(33%)1%を添
加し、100〜110℃そて30分間脱色を行った後、常法によ
り、減圧水蒸気脱臭を行った。収率72.3%、酸価0.85、
色相13(ガードナー法)のラノリンを得た。
(比較例−2) 活性白土100部を吸着塔に充填し、n−ヘキサン50部に
ウールグリース(酸価6.8)20部を溶解した液を通液
し、さらに非極性有機溶剤100部を通液し、通過した液
を合わせて、溶剤を蒸留して非極性のラノリンを得た。
収率42.5%、酸価0.12、色相2(ガードナー法)のラノ
リンを得た。
(比較例−3) 原料ラノリンとしてウールグリース(酸価6.8)100gを
n−エキサン100ml及び水−エタノール混合溶剤(1:1重
量部)100mlと混合し、静置後n−ヘキサン層を捕集し
た。これに再び上記と同じ水−エタノール混合溶剤100m
lを加えて混合し、静置後n−ヘキサン層を捕集した。
この操作を合計10回繰り返し、最後に捕集したn−ヘキ
サン層よりn−ヘキサンを除去し、収率81.4%、酸価1.
5、色相8(ガードナー法)のラノリンを得た。
(比較例−4) 原料ラノリンとしてウールグリース(酸価1.5)100gを
加温溶解し、これにn−ヘキサン400mlを加え、加温溶
媒する。得られたn−ヘキサン溶液を50℃、圧力3kg/cm
2にて、ポリエーテルサルホン平膜による膜処理を行っ
た。ろ過したn−ヘキサン溶液はn−ヘキサンを留去後
常法による減圧水蒸気脱臭を行う。収率89.4%、酸価0.
84、色相8(ガードナー法)のラノリンを得た。
(比較例−5) 原料ラノリンとしてウールグリース(酸価1.5)100gを
加温溶解し、これにn−ヘプタン400mlを加え、加温溶
媒し、得られたn−ヘプタン溶液を実施例−1と同様ポ
リエーテルサルホン平膜による膜処理及び減圧水蒸気脱
臭を行った。収率88.8%、酸価0.82、色相8(ガードナ
ー法)のラノリンを得た。
以上の結果をまとめて第1表に示す。
第1表から明らかな如く、この発明に係る精製ラノリン
は比較例にくらべて極めて高品質のラノリンが高収率で
得られることが判る。
【図面の簡単な説明】
第1図(1)、(2)、(3)及び第2図(B)は従来
例の薄層クロマトの展開図、第2図(A)は第2図
(B)のイヤトロスキャンクロマトグラフ、第3図はこ
の発明に係る精製ラノリンのイヤトロスキャンクロマト
グラフである。 (A)……ガム質、(B)……ラノリン成分
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭58−194995(JP,A) 特開 昭57−90098(JP,A) 特開 昭52−84206(JP,A) 特開 昭58−194996(JP,A) 特開 昭56−161497(JP,A) 特公 昭54−21207(JP,B2) 特公 昭53−37322(JP,B2)

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】原料ラノリンを炭素数6〜9の脂肪族炭化
    水素、炭素数4以下のハロゲン化炭化水素又はこれらの
    混合物の中から選択された任意の溶媒中に10〜40%の濃
    度となるように溶解し、得られたラノリン溶液を限外濾
    過膜に通して不純物を除いた後、前記溶媒を留去し、原
    料ラノリン中の脂溶性蛋白質、燐脂質、その他の樹脂化
    物等のガム質を選択除去してなる工程を主工程とし、こ
    の主工程に吸着剤処理工程、アルカリ処理工程又はアル
    コール分離処理工程の中から選択された少なくとも一以
    上の工程を前処理又は後処理工程として用いてガム質含
    有量が0.45%未満である高度精製ラノリンを少なくとも
    80%以上の収率で得ることを特徴とする精製ラノリンの
    製造方法。
  2. 【請求項2】前記前処理工程又は後処理工程が、シリカ
    ゲル、ケイ酸マグネシウム、ゼオライト、活性白土、ア
    ルミナゲルより選ばれた吸着剤を原料ラノリン又は主工
    程を経たラノリンに対して2〜10%添加して、加温、攪
    拌の後、加圧濾過する吸着剤処理工程であることを特徴
    とする特許請求の範囲第1項記載の精製ラノリンの製造
    方法。
  3. 【請求項3】前記前処理工程又は後処理工程が、原料ラ
    ノリン又は主工程を経たラノリン溶液にアルカリ水溶液
    又はアルカリアルコール水溶液のいずれか一方を通過さ
    せ、遊離脂肪酸を塩として除去するアルカリ処理工程で
    あることを特徴とする特許請求の範囲第1項記載の精製
    ラノリンの製造方法。
  4. 【請求項4】前記前処理工程又は後処理工程が、原料ラ
    ノリン又は主工程を経たラノリンに1/2〜2倍容量の80
    〜100%メチルアルコール水又は40〜90%イソプロピル
    アルコール水を加温攪拌の後、静置分層して大部分の不
    純物をアルコール水層に除くアルコール分離処理工程で
    あることを特徴とする特許請求の範囲第1項記載の精製
    ラノリンの製造方法。
  5. 【請求項5】前記前処理工程又は後処理工程が特許請求
    の範囲第2項乃至第4項記載の工程の任意の組み合わせ
    であることを特徴とする特許請求の範囲第1項記載の精
    製ラノリンの製造方法。
  6. 【請求項6】前記炭素数6〜9の脂肪族炭化水素、炭素
    数4以下のハロゲン化炭化水素がn−ヘキサン、四塩化
    炭素、トリクロロエタン、石油エーテル、n−ヘプタ
    ン、n−オクタン、イソオクタンから選択される一種以
    上の溶媒であることを特徴とする特許請求の範囲第1項
    記載の精製ラノリンの製造方法。
  7. 【請求項7】前記限外濾過膜の分画分子量が2000〜5000
    0の範囲内であることを特徴とする特許請求の範囲第1
    項乃至第6項記載の精製ラノリンの製造方法。
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