JP5140304B2 - フコキサンチンとフコイダンの同時製造方法 - Google Patents
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例えば、フコイダンについては、海藻類から水や温水、塩酸を用いて抽出して高粘性のフコイダン含有溶液を得る方法(例えば、特許文献3参照)、モズクから60〜100℃の熱水を用いて抽出してフコイダンを含む熱水抽出物を得る方法(例えば、特許文献4参照)、養殖オキナワモズクから塩酸や硫酸などの無機酸を抽出剤として抽出するフコイダンの抽出方法(例えば、特許文献5参照)などが提案されている。また、フコキサンチンについては、海藻類の盤状体または糸状体を有機溶媒で抽出するフコキサンチンとフコステロールの取得方法(例えば、特許文献6参照)、遮光雰囲気下でエタノールを用いて海藻類を抽出するフコキサンチンの精製方法(例えば、特許文献7参照)などが提案されている。
(1)予め破砕処理を行ったオキナワモズクを、抽出時の実質濃度が65〜85容積%のエタノールで温度10〜50℃で抽出処理し、固液分離後の抽出液を樹脂吸着処理に付して、この吸着樹脂から濃度85〜100容積%のエタノールで溶出させた溶出液からフコキサンチンを得るとともに、固液分離後の抽出残渣を有機酸を用いてpH2〜6の範囲で抽出し、この抽出液からフコイダンを得ることを特徴とするフコキサンチンとフコイダンの同時製造方法。
(2)抽出時のエタノールの実質濃度が70〜80容積%、温度が20〜30℃であることを特徴とする、前記(1)記載のフコキサンチンとフコイダンの同時製造方法。
(3)樹脂吸着処理の吸着樹脂が、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体であることを特徴とする、前記(1)または(2)に記載のフコキサンチンとフコイダンの同時製造方法。
(4)樹脂吸着処理した樹脂をカラムに充填し、溶出液として濃度85〜100容積%のエタノールを用いて溶出した溶出液からフコキサンチンを分離することを特徴とする、前記(1)ないし(3)のいずれかに記載のフコキサンチンとフコイダンの同時製造方法。
(5)
固液分離後のエタノール抽出残渣1000質量部あたり、有機酸の使用量を1〜100質量部の範囲内の値とすることを特徴とする、請求項1に記載のフコキサンチンとフコイダンの同時製造方法。
(6)有機酸が、クエン酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、ステアリン酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、マレイン酸、フマル酸、グリコール酸、安息香酸からなる群から選択される少なくとも一つの化合物であることを特徴とする、前記(1)または(5)に記載のフコキサンチンとフコイダンの同時製造方法。
(7)有機酸による抽出の温度が25〜95℃であることを特徴とする、前記(1)、(5)または(6)に記載のフコキサンチンとフコイダンの同時製造方法。
また、本発明の方法によれば、その工程中で加熱処理を行うことがないのでフコキサンチンの加熱による分解や劣化がなく、また、フコイダンがフコキサンチンを抽出後の残渣から得られたものであるので、従来のものに比べて色相の良好な、淡茶白色のものが得られる。
原料のオキナワモズクをまず破砕処理し、これにエタノールを加えて抽出処理を行う。このエタノールによる抽出処理は、オキナワモズクに作用するエタノールの実質濃度が65〜85容積%、好ましくは70〜80容積%であることが必要である。原料に生オキナワモズクや湿潤オキナワモズクを使用する場合は、この中の水分による希釈を考慮する必要があり、この場合には一般的に抽出用のエタノールとしては85〜100容積%の濃度のものを用い、これがオキナワモズク中の水分で希釈されて、抽出処理の際のエタノールの実質濃度が65〜85容積%となるように調整する。
のためには、樹脂としてはスチレンージビニルベンゼン共重合体のものが好ましい。この
ような吸着樹脂としては、例えば、商品名として、Diaion HP20(三菱化学(株)製)が
好ましく使用することができる。このほかにも、Diaion HP21、Diaion
SP207、Diaion
SP825(いずれも三菱化学(株)製)、Amberlite
XAD1180、Amberlite XAD1600(いずれ
もロームアンドハース(株)製)、Amberchrom CG161(トーソーハース(株)製)なども
使用することができる。
湿潤状態の破砕処理したオキナワ生モズク(産地:沖縄県宮古島産)の50g(内訳、モズク:5g、含有水:45g)を用い、これに表1に示すように95容積%エタノールまたは水を添加して、種々のエタノール濃度となるエタノールとオキナワモズクの混合物を調製した。ただし、試験10に関しては、50g生モズクを40℃で24時間通風乾燥した藻体を用い、99.5容積%のエタノールを使用して抽出した。この混合物を室温で2時間、回転数200rpmのプロペラ攪拌機で攪拌して抽出処理を行った。抽出処理の終了後、これを毎分6000回転の遠心分離機に10分間かけて、さらにこれを減圧濾過(ろ紙保留粒子径1μm)して抽出液と固形分残渣に分離した。
固液分離後の抽出液をエタノール濃度50容積%に調製した後、吸着樹脂(Diaion HP20、三菱化学(株)製)を添加し、室温で1時間攪拌して吸着処理を行った。吸着樹脂を回収し洗浄した後、これをカラムに充填し、溶出液として99.5容積%のエタノールを用いて溶出し、溶出液中のフコキサンチンの定量を行った。
フコキサンチンの定量は、以下の条件で高速液体クロマトグラフによって行った。なお、フコキサンチン標準品としては、NMRにより純度検定したフコキサンチンを用いた。
機 種 : Waters社製高速液体クロマトグラフ装置
測定波長: 450nm
カラム : Gemini 5μ、C18/10A、150×4.60mm
カラム温度: 30℃
移動相及び分析時間: 80%→100%MeOHの直線勾配、30分
流 速 : 1.0mL/mL
オキナワモズクをエタノール抽出した後固液分離で得られた固形分残渣10〜15gに、30mMのクエン酸溶液100mLを加え、pHが2〜3の範囲で95℃で1持間攪拌して抽出処理を行った。この混合物を6000rpmで15分間の遠心分離にかけ、次いで減圧濾過し、得られたろ液を脱塩し、凍結乾燥後秤量した。フコイダンの分析はアントロン硫酸法によりフコース量を定量した。
以上によって得られた種々のエタノール濃度におけるフコキサンチンの収量と収率を表2に、フコイダンの収量と収率を表3に示す。また、これをグラフに表したものを図2に示す。
固液分離後のエタノール抽出液の中のクロロフィルの溶解量は、分光光度計で660nmにおける吸光度を測定して、得られた吸光度の値からクロロフィルの溶解量の相対的な値を評価した。その結果を表4及び図3に示す。
塩蔵された500Kgのオキナワモズク(産地:今帰仁)を、流水で3回洗浄し、表面の塩分を取り除いた後、1、000リットルの容器内に収容し、さらに水を流しながら1時間水道水に浸漬した。次いで、容器からオキナワモズクを取り出し、カッターミキサーを用いて、オキナワモズクの長さ(長辺)を約2mmに裁断した。この小片化した湿潤状態のオキナワモズクを用いて、以下の抽出条件で抽出を行いフコキサンチンとフコイダンを製造した。
20(三菱化学(株)製)を12リットル加えて、室温で約1時間の間攪拌し、樹脂吸着処
理を行った。終了後、混合物をろ過して、吸着樹脂と廃エタノールに分離した。廃エタノ
ールは、これを精留塔で濃縮精製して抽出溶媒として再利用した。一方、吸着樹脂は、こ
れをカラム(直径200mm×高さ800mm)に充填し、まず60Lの精製水で洗浄し
、次に濃度95容積%の精製エタノール16Lをカラムの頂部から導入して、吸着物を溶
出させた。溶出液を10Lの分液ロートに採取した。
Claims (7)
- 予め破砕処理を行ったオキナワモズクを、抽出時の実質濃度が65〜85容積%のエタノールで温度10〜50℃で抽出処理し、固液分離後の抽出液を樹脂吸着処理に付し、この吸着樹脂から濃度85〜100容積%のエタノールで溶出させた溶出液からフコキサンチンを得るとともに、固液分離後の抽出残渣を有機酸を用いてpH2〜6の範囲で抽出し、この抽出液からフコイダンを得ることを特徴とするフコキサンチンとフコイダンの同時製造方法。
- 抽出時のエタノールの実質濃度が70〜80容積%、温度が20〜30℃であることを特徴とする、請求項1に記載のフコキサンチンとフコイダンの同時製造方法。
- 樹脂吸着処理の吸着樹脂が、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体であることを特徴とする、請求項1または2に記載のフコキサンチンとフコイダンの同時製造方法。
- 樹脂吸着処理した樹脂をカラムに充填し、溶出液として濃度85〜100容積%のエタノールを用いて溶出した溶出液からフコキサンチンを分離することを特徴とする、請求項1ないし3のいずれかに記載のフコキサンチンとフコイダンの同時製造方法。
- 固液分離後のエタノール抽出残渣1000質量部あたり、有機酸の使用量を1〜100質量部の範囲内の値とすることを特徴とする、請求項1に記載のフコキサンチンとフコイダンの同時製造方法。
- 有機酸が、クエン酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、ステアリン酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、マレイン酸、フマル酸、グリコール酸、安息香酸からなる群から選択される少なくとも一つの化合物であることを特徴とする、請求項1または5に記載のフコキサンチンとフコイダンの同時製造方法。
- 有機酸による抽出の温度が25〜95℃であることを特徴とする、請求項1、5または6のいずれかに記載のフコキサンチンとフコイダンの同時製造方法。
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