JPH0684099B2 - インクジェット記録用被記録材およびこれを用いたインクジェット記録方法 - Google Patents

インクジェット記録用被記録材およびこれを用いたインクジェット記録方法

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JPH0684099B2
JPH0684099B2 JP59155440A JP15544084A JPH0684099B2 JP H0684099 B2 JPH0684099 B2 JP H0684099B2 JP 59155440 A JP59155440 A JP 59155440A JP 15544084 A JP15544084 A JP 15544084A JP H0684099 B2 JPH0684099 B2 JP H0684099B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、インクジェット記録方法に好適に用いられる
インクジェット記録用被記録材およびインクジェット記
録方法に関し、特にインク受容性と記録画像の鮮明性等
に優れ、且つ透光性にも優れた画像を与えるインクジェ
ット記録用被記録材およびそれを用いたインクジェット
記録方法に関する。
(従来の技術) インクジェット記録法は、種々のインク(記録液)吐出
方式、例えば、静電吸引方式、圧電素子を用いて記録液
に機械的振動または変位を与える方式、記録液を加熱し
て発泡させ、その圧力を利用する方式等により、インク
の小滴を発生させて飛翔させ、それらの一部若しくは全
部を紙などの被記録材に付着させて記録を行うものであ
るが、騒音の発生が少なく、高速印字、多色印字の行な
える記録法として注目されている。
インクジェット記録用のインクとしては、安全性、記録
特性の面から、主に水を主成分とするものが使用され、
ノズルの目詰り防止および吐出特性の向上のために多価
アルコール等が添加されている場合が多い。
このインクジェット記録法に使用される被記録材として
は、従来、通常の紙やインクジェット記録用紙と称され
る基材上に多孔質のインク保持層を設けてなる被記録材
が使用されてきた。しかし、記録の高速化あるいは多色
化等、インクジェット記録装置の性能の向上と普及に伴
ない、被記録材に対してもより高度で広範な特性が要求
されつつある。すなわち、高解像度、高品質の記録画像
を得るためのインクジェット記録用の被記録材として
は、 (1)インクの被記録材への定着が可及的速やかである
こと、 (2)インクドットが重複した場合でも、後で付着した
インクが前に付着したドット中に流れ出さないこと、 (3)インク液滴が被記録材上である程度拡散するが、
インクドットの径が必要以上に大きくならず、所望の大
きさになること、 (4)インクドットの形状が真円に近く、またその円周
が滑らかであること、 (5)インクドットのOD(光学濃度)が高く、ドット周
辺がぼやけないこと、 等の基本的諸要求を満足させる必要がある。
更に、多色インクジェット記録法によりカラー写真に匹
敵する程度の高解像度の記録画質を得るには、上記要求
性能に加え、 (6)インクの着色成分の発色性に優れたものであるこ
と、 (7)インクの色の数と同数の液滴が同一箇所に重ねて
付着することがあるので、インク定着性が特に優れてい
ること、 (8)表面に光沢があること、 (9)白色度の高いこと、 等の性能が加重して要求される。
また、インクジェット記録法による記録画像は、従来は
専ら表面画像観察用に使用されてきたが、インクジェッ
ト記録装置の性能の向上や普及に伴ない表面画像観察用
以外の用途に適した被記録材が要求されつつある。表面
画像観察用以外の被記録材の用途としては、スライドや
OHP(オーバーヘッドプロジェクター)等の光学機器に
より、記録画像をスクリーン等へ投影して、それらの画
像を観察するのに用いるもの、カラー印刷のポジ版を作
成する際の色分解版、液晶等のカラーディスプレイに用
いるCMF(カラーモザイクフィルター)等が挙げられ
る。
被記録材が表面画像観察用に使用される場合には、主に
記録画像の拡散光が観察されるのに対し、これらの用途
における被記録材においては主に記録画像の透過光が問
題となる。従って、透光性、特に直線透光率に優れたも
のであることが前述の一般的なインクジェット記録用の
被記録材の要求性能に加重されて要求される。
(発明が解決しようとしている問題点) しかしながら、これら要求性能を全て満たした被記録材
は未だ知られていないのが実状である。
また、従来の表面画像観察用の被記録材の多くは、表面
に多孔性のインク保持層を設け、その多孔性空隙中に記
録液を吸収させ記録剤を定着させる方式を用いている。
一方、インク保持層の表面が非多孔性の場合には、記録
実施後インク中の多価アルコール等の不揮発性成分が被
記録材表面に長時間残存し、インクの乾燥定着時間が長
いために、記録画像に接触すると衣服が汚れたり、記録
画像が損なわれたりするという欠点があった。
本発明の目的は、特にインク受容性および記録画像の鮮
明性に優れ、且つスライドやOHP等の光学機器により記
録画像をスクリーン等への投影により観察に用いるも
の、カラー印刷のポジ版を作成する際の色分解版、ある
いは液晶等のカラーディスプレイに用いるCMF等の透過
光観測用に用いることのできるインクジェット記録用の
透光性被記録材を提供することにある。
上記および他の本発明の目的は、以下の本発明によって
達成される。
(発明の開示) すなわち、本発明は、透明基材上に、成膜性樹脂を主体
とするインク保持層と、多孔性のインク透過層とが順次
積層されており、且つ、被記録材全体として透光性であ
ることを特徴とする被記録材、および該被記録材に対
し、該インク透過層を介して該インク保持層にインクを
付与し、該インク保持層に記録をなすことを特徴とする
インクジェット記録方法である。
本発明を詳細に説明すると、本発明の被記録材は、その
インク保持層の上に、微細多孔性のインク透過層を設け
ることを主たる特徴としており、主としてそれにより本
発明の目的が達成された。
本発明の被記録材は、一般に支持体としての基材、その
表面に設けたインク保持層および該インク保持層上に設
けた微細多孔性のインク透過層からなるものであり、例
えば特に好ましい主たる態様として、基材、インク保持
層およびインク透過層のいずれもが透光性であり、被記
録材全体として透光性である態様が挙げられる。
以上の如き好ましい態様を代表例として本発明を更に詳
しく説明すると、本発明で支持体として用いることもで
きる基材としては、透明性である従来公知の基材はいず
れも使用でき、好適な例としては、例えば、ポリエステ
ル系樹脂、ジアセテート系樹脂、トリアセテート系樹
脂、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリ塩
化ビニル系樹脂、ポリイミド系樹脂、セロハン、セルロ
イド等のフイルムもしくは板およびガラス板等が挙げら
れる。この様な基材はその厚さが約10〜200μmの範囲
のものであるのが好ましい。
本発明において、上記基材上に設けるインク保持層は、
主として水性のインキを受容出来る成膜性樹脂を主体と
して形成されるものであって、このような材料として好
ましいものは、アルブミン、ゼラチン、カゼイン、でん
ぷん、カチオンでんぷん、アラビアゴム、アルギン酸ソ
ーダ等の天然樹脂、ポリアミド、ポリアクリルアミド、
ポリビニルピロリドン、四級化ポリビニルピロリドン、
ポリエチレンイミン、ポリビニルピリジリウムハライ
ド、メラミン樹脂、ポリウレタン、カルボキシメチルセ
ルロース、ポリビニルアルコール、カチオン変性ポリビ
ニルアルコール、ポリエステル、ポリアクリル酸ソーダ
等の合成樹脂があげられ、これらの材料の1種以上が所
望により使用される。
更に、インク保持層の強度補強および/または基材との
密着性を改善するために、必要に応じて、SBRラテック
ス、NBRラテックス、ポリビニルホルマール、ポリメチ
ルメタクリレート、ポリビニルブチラール、ポリアクリ
ロニトリル、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、フェノ
ール樹脂、アルキツド樹脂等の樹脂を併用してもよい。
このようなインク保持層を形成する方法としては、上記
の如きポリマーの単独あるいは混合物を、適当な溶剤に
溶解または分散させて塗工液を調整し、該塗工液を、例
えばロールコーティング法、ロッドバーコーティング
法、エアナイフコーティング法、スプレーコーティング
法等の公知の方法により前記基材上に塗工し、その後速
やかに乾燥させる方法が好ましく、また、上記の如き材
料から、熱展伸法、Tダイ法等の公知の方法により、単
独のインク保持層を形成して、インク保持層に、支持体
としての機能を併せ持つようにして用いるか、あるい
は、該シートを上記基材にラミネートする方法、上記ポ
リマー材料をホットメルトコーティングする方法等によ
り、基材上にインク保持層を形成してもよい。
このようにして形成されるインク保持層の厚さは、イン
クを保持できる範囲であればよく、記録するインクの量
にもよるが、0.1μm以上あれば、特に限定されるもの
ではない。実用的には、0.5〜30μmの範囲が好適であ
る。
本発明で使用し、本発明を主として特徴づけるインク透
過層とは、、上記の如くして形成されたインク保持層上
に設けられた天然または合成樹脂製の微細多孔性の薄層
であって、その表面にインクの小滴が付着したときに、
該小滴が、互いに隣接する他の小滴と過大に重複しない
程度に接触面積を速やかに(例えば数秒間内)拡大さ
せ、且つインク保持層への浸透、およびインク保持層に
よるインクの受容を促進させる機能を有するものであ
る。
本発明者は、上述の如き機能をインク保持層に賦与すべ
く鋭意研究したところ、全く予想外にも、前記インク保
持層上へ、インク保持層を構成するポリマーと同程度ま
たは親水性の程度の劣るポリマーからなる微細多孔性の
薄層を形成することにより、上記の機能が容易に達成さ
れることを知見したものである。このような機能が、例
えば水に対して全く、あるいは殆ど溶解しないポリマー
の薄層によっても達成されたことは、誠に驚くべきこと
であった。
上記の如き機能を有するインク透過層は、インク保持層
を形成しているポリマー材料に対して同程度または相対
的に親水性の劣るポリマーにより、約10μm以下、好ま
しくは約0.1〜5μmの範囲の厚さの微細多孔性の薄層
を形成することにより達成された。このような薄層の形
成に有用なポリマー材料としては、酢酸ビニル、アクリ
ル酸エステル、エチレン、塩化ビニル、その他のビニル
モノマーからなるホモポリマーあるいはコポリマー、お
よび上記の如きビニルモノマーと各種親水性ビニルモノ
マーとからなるポリマー、更に、ビニロン、ポリウレタ
ン、セルロース誘導体、ポリエステル、ポリアミド等の
ポリマー、および前述のインク保持層形成用親水性ポリ
マーの単独、あるいは混合物からインク保持層に対比し
てインク保持層と同程度または親水性の劣るものとして
選択するのが好適である。
また、選択するポリマーは、有機溶剤の溶液でもよい
が、水性媒体中のエマルジョン、有機溶剤あるいは水性
媒体中の微分散体としての形状で使用してもよい。いず
れにしても、これらのポリマーは、比較的稀薄な溶液あ
るいは、形成される層が上記範囲内となる濃度で使用す
るのが好ましい。
上記の如き材料を使用して、微細多孔性の透過層を形成
する方法は、インク保持層上に前述の如き樹脂液を一定
の厚みに塗布後、乾燥時、または乾燥後の処理によっ
て、形成された薄層中に微細孔を作る方法、または微細
孔を有する薄層を別個に作成し、これを保持層上にラミ
ネートする等によって作成することができる。
このような微細孔の薄層形成方法として好ましい方法
は、例えば、 (1)水分硬化性ウレタンのように、薄層形成時に水分
と反応してガスを発生し、ガスが揮散した部分が薄層中
に微細孔として残る事によって微細多孔質層を作る方
法、 (2)極性溶剤または無極性溶剤に溶解または分散させ
た上記樹脂に、無機または有機の微粉末発泡剤を混入ま
たは溶解させ、インク保持層上に薄層を形成時または形
成後、温度をかける事により、発泡させ、微細孔を作成
する方法、 (3)(2)に使用される樹脂液に比較的相溶性の悪い
揮発性溶剤を撹拌により、分散、乳化または可溶化させ
ておき、薄層形成時、または形成後溶剤を揮発させて微
細孔を作成する方法、 (4)上記樹脂液中に、該樹脂液中の樹脂よりも、有機
溶剤あるいは水に対して溶解性の大なる材料、例えば低
分子材料あるいはポリマーを混合し、樹脂液から薄層を
形成後、形成された薄層またはインク受容層をそこなわ
ない有機溶剤または水によって、介在させておいた溶解
性の大なる材料を溶出させて微細多孔性薄層とする方
法、 (5)一般に、限外瀘過膜として知られている薄層、即
ち樹脂瀘過膜、逆浸透薄膜、透析膜、精密瀘過膜をイン
ク保持層上にラミネートする方法等、があげられる。
上記の如き方法において、使用する水分硬化性ウレタン
としては、ポリイソシアネートとポリオールとをNCO過
剰にして反応させた末端NCOウレタンプレポリマーが好
適であり、また、他の方法で使用する揮発性溶剤として
は、ベンゼン、トルエン、アセトン、低級アルコール、
石油溶剤、水等が好適であり、また無機、または有機発
泡剤としては炭酸アンモニウム、重曹、亜硝酸アンモニ
ウム、ジニトロソペンタメチレンテトラミン、アゾジカ
ルボンアミド、アゾビスイソブチロニトリル、P−トル
エンスルホニルヒドラジド、4,4′−オキシビス(ベン
ゼンスルホニルヒドラジド)、ジアゾアミノベンゼン、
ジフェニルスルホン−3,3′−ジスルホニルヒドラジド
等が好適であり、また(4)の方法で使用する可溶性材
料としては、成膜材料である樹脂より溶解性が大であれ
ば、低分子材料でもポリマーでもよく、特にこの方法
は、薄層が硬化あるいは架橋膜であるときに好適であ
る。
この様にして形成されたインク透過層の厚みは記録に必
要なインク量にもよるが、10μm以下であれば特に限定
されるものではない。実用的には0.1〜5μmの範囲が
好適である。また、水性インクが透過後、水性インクに
よって透過膜が膨潤、または溶解し、微細孔がつぶれて
しまう材質を使用して透過膜を形成してもさしつかえな
いが、一般的には高温高湿度下のような苛酷な状況下で
も使用に供する事ができ、且つこのような状況下でイン
ク保持層を保護できるように、水性インクによって膨
潤、溶解しにくい膜を形成し得る透過層形成材料を選択
するのが好ましい。
上記のようにして作られた透過層の多孔質の孔の大きさ
は水粒子径が一般的に0.2nmと考えられているので、0.2
nm以上の孔があいていれば充分であるが、実際の製造上
の点からは、孔の径は最小でも2nm程度以上数μmまで
種々作る事ができ、このような範囲の孔はいずれも好適
であるが、透光性の被記録材としては、100nm以下が良
い。
以上の如き基本的構成を有する本発明の被記録材は、そ
のインク透過層の親水性が、インク保持層の親水性と同
程度または劣るにもかかわらず、本発明の被記録材は、
この様なインク透過層の存在しない従来の被記録材に比
して、インク受容性およびインク定着性が顕著に向上し
ているのは驚くべきことである。
このような驚くべき効果は、水性インクが、インク保持
層へ浸透できる極微な孔がインク透過層中に無数に存在
して多孔性となっているとともに、その表面がミクロ単
位で不規則であり、その結果、付着したインク小滴が素
早くその表面で拡散して、それら接触面積が拡大し、且
つ無数の微細孔の毛細管現象によって、インク保持層に
よるインク吸収性および定着性が顕著に促進されている
ものである。
また、本発明の被記録材は、そのインク透過層が、イン
ク保持層に比較して同程度または親水性の低いポリマー
から形成されているので、例えば高温高湿の雰囲気にお
いても、一旦受容されたインクが表面に浸出して、機
器、オペレーターあるいは周囲を汚染することがなく、
また、高温高湿下で表面がベタついたりすることもな
い。
以上が本発明の基本的構成であるが、本発明の被記録材
は、基材として透光性の材料を使用し、インク保持層お
よびインク透過層の形成に際しては、それらの層も透光
性を損なわない様にする必要がある。しかしながら、そ
の透光性を損なわない程度に、例えばシリカ、クレー、
タルク、ケイソウ土、炭酸カルシウム、硫酸カルシウ
ム、硫酸バリウム、ケイ酸アルミニウム、合成ゼオライ
ト、アルミナ、酸化亜鉛、リトポン、サチンホワイト等
の充填剤をインク保持層および/またはインク透過層中
に分散させることもできる。
本発明で言う充分な透光生とは、被記録材の直線透光率
が、少なくとも2%以上呈することを言い、好ましくは
直線透光率が10%以上であることが望ましい。
直線透光率が2%以上であれば、例えばOHPにより記録
画像をスクリーンへ投影して観察することが可能であ
り、更に記録画像の細部が鮮明に観察されるためには、
直線透光率が10%以上であることが望ましい。
ここで言う直線透光率T(%)とは、サンプルに垂直に
入射し、サンプルを透過し、サンプルから少なくとも8c
m以上はなれた入射光路の延長線上にある受光側スリッ
トを通過し、検出器に受光される直線光の分光透過率
を、例えば323型日立自記分光光度計(日立製作所製)
等を使用して測定し、更に測定された分光透過率より、
色の三刺激値のY値を求め、次式より求められる値であ
る。
T=Y/Yo×100 (1) T ;直線透過率 Y ;サンプルのY値 Yo;ブランクのY値 従って、本発明で言う直線透光率は、直線光に対するも
のであり、拡散透光率(サンプルの後方に積分球を設け
て拡散光をも含めて透光率を求める。)や、不透明度
(サンプルの裏に、白および黒の裏当てを当ててそれら
の比から求める。)等の拡散光により透光性を評価する
方法とは異なる。
光学技術を利用した機器などで問題となるのは直線光の
挙動であるから、それらの機器で使用しようとする被記
録材の透光性を評価する上で、被記録材の直線透光率を
求めることは、特に重要である。
例えば、OHPで投影画像を観察する場合、記録部と非記
録部とのコントラストが高く、鮮明で見やすい画像を得
るためには、投影画像における非記録部が明るいこと、
すなわち被記録材の直線透光率がある一定以上の水準に
あることが要求される。OHPでのテストチャートによる
試験では、上記目的に適した画像を得るためには、被記
録材の直線透過率が2%以上、より鮮明な画像を得るた
めには、好ましくは、10%以上であることが必要とさ
れ、更に好適には、50%以上であることが望ましい。従
って、この目的に適した被記録材は、その直線透過率が
2%以上であることが必要である。
以上、本発明の被記録材の代表的な態様を例示して本発
明を説明したが、勿論本発明の被記録材はこれらの態様
に限定されるものではない。なお、いずれの態様の場合
においても、インク保持層には、分散剤、蛍光染料、pH
調節剤、消泡剤、潤滑剤、防腐剤、界面活性剤等の公知
の各種添加剤を包含させることができる。
なお、本発明の被記録材は必ずしも無色である必要はな
く、着色された被記録材であってもよい。
以上の如き本発明の被記録材は、前述の説明の通り、ま
た後述の実施例において実証する通り、インクの受容お
よび定着が顕著に改善されており、例えば、モノカラー
の場合は勿論、フルカラーの記録に際して、異色の記録
液が短時間内に同一箇所に重複して付着した場合にも記
録液の流れ出しやしみ出し現象がなく、高解像度の鮮明
で優れた発色性のある画像が得られる。また、スライド
やOHP等の光学機器により記録画像をスクリーン等への
投影により観察に用いる場合にも、付着したインク小滴
が、従来の被記録材の場合と比較し、隣接する他の領域
と過度に重なり合わない程度に拡大されて定着している
ので、透過光がより一層均一になり、すぐれた均一濃度
の投影画像を与えるものである。更に、カラー印刷のポ
ジ版を作成する際の色分解版、あるいは液晶等のカラー
ディスプレイに用いるCMF等、従来の表面画像観察用以
外の用途に好適に適用することができる。
以下、実施例に従って本発明の方法を更に詳細に説明す
る。なお、文中、部とあるのは重量基準である。
実施例1 透光性基材として厚さ100μmのポリエチレンテレフタ
レートフイルム(東レ製)を使用し、このフイルム上に
下記の組成の塗工液Aを、乾燥後の膜厚が20μmとなる
ようにバーコーター法により塗工し、60℃で20分間の条
件で乾燥し、インク保持層を形成した。次いで、下記塗
工液Bをインク保持層上に、乾燥膜厚が1μmとなるよ
うに塗布し、水分で硬化させ、次いで乾燥させて、微細
多孔性のインク透過層を形成し、本発明の透光性被記録
材を得た。
塗工液A組成; ポリビニルピロリドン K−90(GAF製) 15部 水 85部 塗工液B組成; 水硬化性ウレタン(タイボンコートA、タイホー工業
製) 10部 アセトン 89部 水 1部 このようにして得られた本発明の被記録材は、無色透明
なものであった。
実施例2 厚さ100μmのポリエチレンテレフタレートフイルム
(帝人製)を使用し、このフイルム上に下記の組成の塗
工液Aを、乾燥後の膜厚が30μmとなるようにバーコー
ター法により塗工し、80℃で30分間の条件で乾燥し、イ
ンク保持層を形成した。次いで、下記塗工液Bをインク
保持層上に、乾燥膜厚が3μmとなるように塗布し、50
℃で1分間恒温室中で乾燥させて、半乾燥状態にした
後、110℃の恒温室で10分間加熱して、発泡剤を発泡さ
せ、同時に発生したガスを脱気させて微細多孔性のイン
ク透過層を形成し、本発明の透光性被記録材を得た。
塗工液A組成; ポリビニルアルコール (PVA 420 クラレ製) 10部 水 90部 塗工液B組成; アクリル酸エステル (ダイカラックS1235) 5部 P−トルエンスルホニルヒドラシド(セルマイク、三
協化学製) 1部 エタノール 94部 実施例3 透光性基材として厚さ100μmのポリエチレンテレフタ
レートフイルム(帝人製)を使用し、このフイルム上に
下記の組成の塗工液Aを乾燥後膜厚が10μmになるよう
にバーコーター法により塗工し、80℃で20分の条件で乾
燥し、インク保持層を形成し、次いで下記塗工液Bをイ
ンク透過層上に乾燥膜厚が、5μmとなるように塗布
し、40℃で15分加温し、さらに90℃に昇温し30分加熱乾
燥させてインク透過層を形成し、本発明の被記録材を得
た。
塗工液A組成; アルギン酸ソーダ(試薬1級) 1.5部 ポリビニルアルコール (PVA-220、クラレ製) 3.5部 水 95部 塗工液B組成; エチルセルロース(N-100、ハーキュレス製) 3部 酢酸エチル 94部 キシレン 3部 (酢酸エチルにエチルセルロースを溶解させた樹脂液
に、キシレンを入れ撹拌し、キシレンを樹脂液に可溶化
させたもの) 実施例4 透光性基材として厚さ100μmのポリエチレンテレフタ
レートフイルム(東レ製)を使用し、このフイルム上に
下記の組成の塗工液Aを乾燥膜厚が15μmになるようバ
ーコーター法により塗工し、60℃で20分間乾燥し、イン
ク保持層を形成し、次いで下記瀘過膜Bをラミネートし
て、本発明の被記録材を得た。
塗工液A; ポリビニルピロリドン (K−90 GAF製) 10部 水 90部 瀘過膜B;ポリイミド系限外瀘過膜(NTU 4000 日東電気
工業製) 上記実施例1〜4で得られた被記録材に対して、下記の
4種のインキを用いて、ピエゾ振動子によってインキを
吐出させるオンデマンド型インクジェット記録ヘッド
(吐出オリフィス径65μm、ピエゾ振動子駆動電圧70
V、周波数3KHz)を有する記録装置を使用してインクジ
ェット記録を実施した。
イエローインク(組成) C.I.ダイレクトイエロー86 2部 N−メチル−2−ピロリドン 10部 ジエチレングリコール 20部 ポリエチレングリコール#200 15部 水 55部 マゼンタインク(組成) C.I.アシッドレッド35 2部 N−メチル−2−ピロリドン 10部 ジエチレングリコール 20部 ポリエチレングリコール#200 15部 水 55部 シアンインク(組成) C.I.ダイレクトブルー86 2部 N−メチル−2−ピロリドン 10部 ジエチレングリコール 20部 ポリエチレングリコール#200 15部 水 55部 ブラックインク(組成) C.I.フードブラック2 2部 N−メチル−2−ピロリドン 10部 ジエチレングリコール 20部 ポリエチレングリコール#200 15部 水 55部 実施例1〜4の被記録材の評価結果を第1表に示した。
第1表における各評価項目の測定は下記の方法に従っ
た。
(1)インク定着時間は、記録実施後被記録材を室温下
に放置し、記録画像に指触したときに、インクが乾燥し
て指に付着しなくなる時間を測定した。
(2)ドット濃度は、JIS K7505を印字マイクロドット
に応用してサクラマイクロデンシドメーターPDM−5
(小西六写真工業製)を用いて黒ドットにつき測定し
た。
(3)OHP適性は、光学機器の代表例として測定したも
ので、記録画像をOHPによりスクリーンに投影し、目視
により観察して判定したもので、非記録部が明るく、記
録画像のOD(オプチカルデンシティ)が高く、コントラ
ストの高い鮮明で見やすい投影画像の得られるものを
○、非記録部がやや暗く、記録画像のODがやや低く、ピ
ッチ巾0.5mm、太さ0.25mmの線が明瞭に判別できないも
のを△、非記録部がかなり暗く、記録画像のODがかなり
低く、ピッチ巾1mm,太さ0.3mmの線が明瞭に判別できな
いものあるいは非記録部と記録画像の見分けがつかない
ものを×とした。
(4)直線透光率は、323型日立自記分光光度計(日立
製作所製)を使用し、サンプルから受光側のマドまでの
距離を約9cmに保ち、分光透過率を測定し、前記(1)
式により求めた。
比較例1〜5 インク透過層を形成しなかったことを除き、実施例1〜
4と同様にして、比較用被記録材を作成し、これについ
て実施例1〜4と同様なインクジェット記録を実施し
た。実施例1〜4と同様にして行なった記録特性の評価
結果を第1表に示した。
フロントページの続き (72)発明者 河野 俊三 神奈川県横須賀市東浦賀町2丁目79―75 (72)発明者 新井 竜一 神奈川県相模原市松ガ枝町15―11―301 (72)発明者 坂木 守 神奈川県厚木市戸室84―2 キヤノン戸室 寮 (72)発明者 戸叶 滋雄 東京都世田谷区羽根木1−20―4 (72)発明者 岩田 和夫 神奈川県横浜市緑区霧ガ丘4―14―102 (72)発明者 柴崎 弘美 東京都世田谷区大原1−52―19 (56)参考文献 特開 昭57−89954(JP,A) 特開 昭58−136478(JP,A) 特開 昭58−110287(JP,A)

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】透明基材上に、成膜性樹脂を主体とするイ
    ンク保持層と、多孔性のインク透過層とが順次積層され
    ており、且つ、被記録材全体として透光性であることを
    特徴とするインクジェット記録用被記録材。
  2. 【請求項2】インク透過層が、ポリウレタンを主体とし
    て形成されている特許請求の範囲第(1)頁に記載のイ
    ンクジェット記録用被記録材。
  3. 【請求項3】透明基材上に、成膜性樹脂を主体とするイ
    ンク保持層と多孔性のインク透過層とが順次積層されて
    おり、且つ、被記録材全体として透光性である被記録材
    に対し、該インク透過層を介して該インク保持層にイン
    クを付与し、該インク保持層に記録をなすことを特徴と
    するインクジェット記録方法。
JP59155440A 1984-07-27 1984-07-27 インクジェット記録用被記録材およびこれを用いたインクジェット記録方法 Expired - Lifetime JPH0684099B2 (ja)

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