JPH0683318U - ヘッドレスト成形用金型 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 作業性の良好なヘッドレスト成形用金型を得
る。 【構成】 蓋体としての上型１１と、ヘッドレストＨの
形状のキャビティ１ａが形成された下型１２とからな
り、上記キャビティ１ａ内に芯材Ｓが配置された状態で
補強用のスラブ材３と発泡性合成樹脂の原料とが装填さ
れ、この原料の発泡によってヘッドレストＨが製造され
るヘッドレスト成形用金型１において、下型１２の内壁
面には先端部がキャビティ１ａの略中心部に向くように
ピン２が突設され、このピン２の先端部と上記芯材Ｓと
の間に上記スラブ材３が挟持されている

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、自動車用のヘッドレストを製造するためのヘッドレスト成形用金型 に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

通常自動車用のヘッドレストは、クッション性を有するパッド材で形成され、 上記パッド材の内部には金属製あるいは硬質の合成樹脂製の芯材が内装されてい る。この芯材にはシートとの結合部材であるポールが設けられており、このポー ルはパッド材を貫通して外部に突出している。

【０００３】 このようなヘッドレストは、従来図４に例示するような金型を用いて製造され る。この金型１は蓋体としての上型１１と内部にヘッドレストの外形に見合うキ ャビティ１ａが形成された下型１２とから構成されている。

【０００４】 このような金型１のキャビティ１ａ内に芯材ＳがポールＰを外部に突出させた 状態で内装される。上記芯材Ｓには予め両面テープ等を用いて所定のスラブ材（ 厚板材）３が取り付けられている。

【０００５】 このような前準備の後、キャビティ１ａ内に軟質の発泡性合成樹脂の原料４が 装填され、その後上記ポールＰを上型１１の貫通穴１３に貫通させた状態で上型 １１によって下型１２は閉止され、加熱などによる発泡性合成樹脂原料４の発泡 処理が施され、内部に芯材Ｓおよびスラブ材３が埋設されたヘッドレストＨが得 られる。

【０００６】 因に、上記スラブ材３は、ヘッドレストの表面は柔らかく、内部を部分的に硬 いものにする必要があるときに適用されるものであり、具体的にはシートに着座 している着座者の頭部が直接当る部分に用いられている。このように頭部の当接 部分の内部をある程度硬くすることによって、接触感覚が良好になるとともに、 衝撃吸収時にむしろこの硬さによってより適正に頭部を保護することが可能にな るのである。

【０００７】 キャビティ１ａ内に形成したヘッドレストＨは、上型１１を下型１２から外し 、上方に引き抜くことによってキャビティ１ａから取り外される。なお、下型１ ２がその底部に設けられた蝶番１５によって左右に観音開き可能に構成されてい る場合は、下型１２を左右に押し開くことによってヘッドレストＨをキャビティ １ａから取り出すことができる。

【０００８】

【考案が解決しようとする課題】

ところで、従来の上記のようなヘッドレスト用の金型１にあっては、ヘッドレ ストＨ内に埋設されるスラブ材３は、製造過程において両面テープ等によって芯 材Ｓに貼着されていたが、このような貼着作業は相当面倒であるとともに、貼着 位置を一定させることは困難であり、その結果この貼着作業がネックとなってヘ ッドレストＨの製造の作業性は悪いものになっていた。

【０００９】 また、貼着されたスラブ材３は、発泡成形時の発泡圧で位置ずれしてしまうこ とが多く、仕上がった製品の所定の位置にスラブ材３が埋設されていない状態に なるという問題点を有していた。

【００１０】 本考案は、上記のような問題点を解決するためになされたものであり、型内に 確実にスラブ材が装填されるとともに、ヘッドレスト製造の作業性が向上するヘ ッドレスト成形用金型を提供することを目的としている。

【００１１】

【課題を解決するための手段】

本考案の請求項１記載のヘッドレスト成形用金型は、蓋体としての上型と、ヘ ッドレストの形状のキャビティが形成された下型とからなり、上記キャビティ内 に芯材が配置された状態で補強用のスラブ材と発泡性合成樹脂の原料とが装填さ れ、この原料の発泡によってヘッドレストが製造されるヘッドレスト成形用金型 において、下型の内壁面には先端部がキャビティの略中心部に向くようにピンが 突設され、このピンの先端部と上記芯材との間に上記スラブ材が挟持されている ことを特徴とするものである。

【００１２】

【作用】

上記請求項１記載のヘッドレスト成形用金型によれば、ピンの先端部と上記芯 材との間に上記スラブ材が挟持されているため、このピンによる挟持によってス ラブ材は安定した状態で芯材の表面に付設され、位置ずれを起こすようなことは ない。

【００１３】 また、従来のようにスラブ材を両面テープ等で芯材に貼着するものではなく、 ピンの先端部と芯材との間にスラブ材を挟み込む操作のみでスラブ材のキャビテ ィ内への装填が完了するため作業性は大幅に向上する。

【００１４】

【実施例】

図１は、本考案おけるヘッドレスト成形用金型を例示する一部切欠き斜視図で あり、図２はそのＡ−Ａ線断面図である。これらの図に示すように、本考案のヘ ッドレスト成形用の金型１は、蓋体として用いられる上型１１と、内部にヘッド レストＨの外面形状に見合うキャビティ１ａが形成された下型１２とから構成さ れている。

【００１５】 上記上型１１の略中央部には、貫通穴１３が穿設されており、上型１１が下型 １２の上部開口を閉止した状態で、キャビティ１ａ内に予め内装されている芯材 ＳのポールＰがこの貫通穴１３を貫通して外部に突出させられるようになってい る。

【００１６】 また、下型１２の一側壁部には、ピン孔１４が穿設され、このピン孔１４には 雌ネジが螺設されている。このピン孔１４には外部から雄ネジの螺設されたピン ２が螺着され、その先端部は内壁面からキャビティ１ａ内に突出している。

【００１７】 そして、上記ピン２の先端部と芯材Ｓとの間にスラブ材３が挟持されている。 本実施例においては、図２に示すように、ピン２の先端部に先の尖った先鋭部２ １が延設されており、この先鋭部２１にスラブ材３が突き刺された状態になって いる。

【００１８】 このスラブ材３の厚みは芯材Ｓの表面とキャビティ１ａの内壁面との間の距離 よりも短く設定されている。従って、スラブ材３とキャビティ１ａの内壁面との 間には、隙間５が形成されている。また、本実施例においては、ピン２は一本だ けが設けられているが、一本に限定されるものではなく、複数本を設けるように してもよい。ピン２を複数本にすれば、ピン２によるスラブ材３の支持が安定す る。

【００１９】 また、図２に示すように、芯材Ｓの表面に先端が先鋭な突起Ｓ１を設けるよう にしてもよい。そしてスラブ材３をこの突起Ｓ１に押し付けることにより、突起 Ｓ１がスラブ材３に突き刺さった状態でスラブ材３を芯材Ｓに取り付けることが できる。この突起Ｓ１と上記ピン２とを併用することによりさらに安定した状態 でスラブ材３を芯材Ｓに付設することが可能になる。

【００２０】 本実施例においては、上記スラブ材３として、硬質の発泡性合成樹脂製の厚板 体が使用されている。上記硬質の発泡性合成樹脂の種類に特に限定はないが、硬 質のウレタンフォームや硬質のポリプロピレンフォーム等が好適に使用される。 また、スラブ材３の材料は硬質の発泡性合成樹脂に限定されるものではなく、軟 質の発泡性合成樹脂が使用されることもある。

【００２１】 そして、上記キャビティ１ａ内への軟質の発泡性合成樹脂原料の装入後ヘッド レストＨの芯材ＳがそのポールＰを上方に向けた状態で装填され、スラブ材３が 芯材Ｓに付設され、上記ポールＰが上型１１に穿設された貫通穴１３から外部に 突出させられた状態で上型１１が下型１２に装着され、図２に示すような状態に なっている。この状態で、スラブ材３とキャビティ１ａの内壁面との間には隙間 ５が形成されている。

【００２２】 上記軟質の発泡性合成樹脂としては、その種類は特に限定されるものではない が、軟質あるいは半硬質のウレタンフォーム、ポリスチレンフォーム、ポリエチ レンフォーム等が好適に使用される。

【００２３】 以上図１および図２に例示した実施例においては、ピン２は下型１２の側壁部 に穿設されたピン孔１４に外部から螺着されるようになっているが、本考案はこ のような構成に限定されるものではなく、キャビティ１ａの内壁面に直接溶接等 によって一体に固定されたものであってもよい。ただしこの場合は、ピン２が邪 魔になって製造されたヘッドレストＨをキャビティ１ａから取り外すことができ ないため、下型１２を縦に二分割可能にし、これら二分割された左右一対の下型 １２の底部に二点鎖線で示すような蝶番１５を形成し、それらを互いに結合軸１ ６回り回動可能に結合して観音開きができるように構成される。

【００２４】 こうすることによって、ピン２がキャビティ１ａの内壁面に固定されたもので あっても、成形後に下型１２を観音開きすることによってキャビティ１ａ内に形 成されているヘッドレストＨを傷付けることなく取り出すことができる。

【００２５】 以下本考案のヘッドレスト製造用金型の作用について図３を基に説明する。図 ３は、本考案に係る金型を用いてヘッドレストを成形する工程について例示した 側面視の断面説明図であり、（イ）は金型内に芯材が装填された直後の状態、（ ロ）は発泡処理が施されている状態、（ハ）は形成したヘッドレストが取り出さ れつつある状態をそれぞれ示している。

【００２６】 上記（イ）に示す工程においては、まずピン２が下型１２の側壁部に設けられ たピン孔１４に螺着され、その先端部がキャビティ１ａ内に突出させられる。そ してこの状態でスラブ材３がピン２の先鋭部２１に突き立てられ、その後芯材Ｓ がポールＰを上方に向けた状態でキャビティ１ａ内に挿入され、スラブ材３はピ ン２と芯材Ｓとに挟持された状態とされる。その後所定の発泡性合成樹脂の原料 ４がキャビティ１ａ内に装填されるとともに、ポールＰは上型１１の貫通穴１３ に貫通されて上型１１に固定され、（ロ）に示す状態になる。

【００２７】 この（ロ）の発泡処理が施される工程においては、上記の通り、スラブ材３と キャビティ１ａの内壁面との間には、隙間５が形成された状態になっている。

【００２８】 そして、この工程においては、金型１は所定の高温が保持された図外の加熱炉 の中に装入され、加熱されることによる原料４の発泡処理が施される。この発泡 処理において、キャビティ１ａ内の発泡性合成樹脂の原料４は、徐々に発泡して 膨張し、上方に向かう流れとなって下部より順次上方に向かってキャビティ１ａ 内を満たしていく。

【００２９】 このとき、膨張しつつある原料４はスラブ材３とキャビティ１ａの内壁面との 間に形成された隙間５を通って上方に移動する。

【００３０】 このようにして所定温度による所定時間の発泡処理が完了すると、金型１は加 熱炉から引き出され、（ハ）に示すようにピン２が下型１２のピン孔１４から取 り外される。そして、上型１１が外され、成形が完了したヘッドレストＨが下型 １２のキャビティ１ａから取り出される。

【００３１】 以上の実施例においては、発泡性合成樹脂の原料として、ウレタンフォームの 原料等のように、加熱処理によって発泡が進行するものについて説明したが、本 考案においては、加熱処理によらない発泡処理が可能な原料が適用可能であるこ とは言を待たない。

【００３２】 本考案のヘッドレスト成形用金型は、以上詳述したように、従来金型１のキャ ビティ１ａの内壁面に接する状態でスラブ材３を装着していたのを、芯材Ｓとキ ャビティ１ａとの間に隙間５が形成された状態で芯材Ｓとピン２の先端部との間 にスラブ材３を挟持させるようにしたものであるため、上記貼着に比べて作業性 は格段に向上し、位置ずれは起こらず、ヘッドレストＨの成形における不良品率 の低減にも大いに貢献することができる。

【００３３】

【考案の効果】

以上説明したように本考案のヘッドレスト成形用金型は、蓋体としての上型と 、ヘッドレストの形状のキャビティが形成された下型とからなり、上記キャビテ ィ内に芯材が配置された状態で補強用のスラブ材と発泡性合成樹脂の原料とが装 填され、この原料の発泡によってヘッドレストが製造されるヘッドレスト成形用 金型において、下型の内壁面には先端部がキャビティの略中心部に向くようにピ ンが突設され、このピンの先端部と上記芯材との間に上記スラブ材が挟持されて なるものである。

【００３４】 すなわち、スラブ材はピンの先端部と上記芯材との間に挟持されているため、 このピンによる挟持によってスラブ材は安定した状態で芯材の表面に付設され、 発泡成形時の発泡圧によっても位置ずれを起こすようなことはなく、ヘッドレス トの製造時の不良率を大幅に低減させることが可能になる。

【００３５】 また、従来のようにスラブ材を両面テープ等で芯材に貼着するものではなく、 ピンの先端部と芯材との間にスラブ材を挟み込む操作のみでスラブ材のキャビテ ィ内への装填が完了するため作業性は大幅に向上する。

【００３６】 さらに、上記芯材の表面に上記スラブ材を支持する突起を突設すれば、この突 起にスラブ材を押し付けてスラブ材に突起が差し込まれた状態にすることにより 、安定した状態でスラブ材を芯材に付設することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案おけるヘッドレスト成形用金型を例示す
る一部切欠き斜視図である。

【図２】図１のＡ−Ａ線断面図である。

【図３】本考案に係る金型を用いてヘッドレストを成形
する工程について例示した側面視の断面説明図であり、
（イ）は金型内に芯材が装填された直後の状態、（ロ）
は発泡処理が施されている状態、（ハ）は形成したヘッ
ドレストが取り出されつつある状態をそれぞれ示してい
る。

【図４】従来のヘッドレスト成形用金型の一例を例を示
す断面図である。

【符号の説明】

１ 金型 １ａ キャビティ １１ 上型 １２ 下型 １３ 貫通穴 １４ ピン孔 １５ 蝶番 １６ 結合軸 Ｂ ボイド部（死角） Ｈ ヘッドレスト Ｐ ポール Ｓ 芯材 ２ ピン金型装置 ３ スラブ材 ４ 発泡性合成樹脂の原料 ５、５’ 隙間

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.⁵ 識別記号 庁内整理番号 ＦＩ 技術表示箇所 Ｂ２９Ｌ 31:58 4Ｆ

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 蓋体としての上型と、ヘッドレストの形
   状のキャビティが形成された下型とからなり、上記キャ
   ビティ内に芯材が配置された状態で補強用のスラブ材と
   発泡性合成樹脂の原料とが装填され、この原料の発泡に
   よってヘッドレストが製造されるヘッドレスト成形用金
   型において、下型の内壁面には先端部がキャビティの略
   中心部に向くようにピンが突設され、このピンの先端部
   と上記芯材との間に上記スラブ材が挟持されていること
   を特徴とするヘッドレスト成形用金型。