JPH0681856B2 - 外壁パネル - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、鋼製の枠組の外面に複数のコンクリートパネ
ルを固定することにより、家屋の架構体に容易に取付け
でき、施工能率を高めしかも耐震構造を簡易に形成しう
る外壁パネルに関する。

〔従来の技術〕

近年、家屋の耐火性、遮音性を向上するため外壁、隔壁
等にコンクリートを用いた壁パネルが多用される。

このようなコンクリート製の壁パネルは枠組の表裏に側
板を添着した通常の壁パネルに比べて重量が重いため、
パネル体は通常、製作の便宜上、小巾に形成される。

〔発明が解決しようとする課題〕

従って、このようなコンクリートパネルを用いて例えば
外壁を形成するには、多数個のパネル体を、しかも施工
現場で取付けねばならず施工に手間を要する。又コンク
リートパネルに第６図に示すごとくそのコンクリートパ
ネルの巾寸度を超える広巾の開口部ｏを形成する場合に
は、コンクリートパネルａは開口部ｏを挟む上、下に上
部パネルｂと下部パネルｃとに分断されることとなり、
上部、下部の各パネルは相互の接続がなく不安定とな
る。

他方、コンクリートパネルａの取付けに際してコンクリ
ートパネルａを架構材の梁材ｅ、ｆに対して完全固定し
た際には、地震等によって架構材に横揺れが生じた場
合、コンクリートパネルａが揺動に追従できずこのコン
クリートパネルａに破損が生じる危険がある。地震対策
としてパネル体の接続端の一部に揺動接合、ばね接合等
の耐震接合を介在させることが考えられるが、これら構
成を採用した場合、個々のパネル体に前記耐震構造を採
用するため構成が複雑となり、又費用も嵩む。

本発明は、鋼製の枠組に複数のコンクリートパネルをボ
ルト止めすることを基本として、現地における施工が容
易となり、作業能率を高めるとともに地震等において生
じる架構材の揺動に追従しうる接続構造を容易に形成で
き、価格低減に寄与しうる外壁パネルの提供を目的とし
ている。

〔課題を解決するための手段〕

本発明は、上下の水平な上の枠材、下の枠材とその両端
を継ぐ垂直な両側の縦の枠材とからなる矩形の周囲枠を
含み鋼製の枠材を接合することにより形成される枠組
と、その外面に取付けられる複数のコンクリートパネル
とからなり建込みによってコンクリートパネルの外面が
家屋の外壁面をなす外壁パネルであって、 前記枠材の内、前記コンクリートパネルを取付ける取付
用枠材は、前記枠組の外面でのびる外の側片を有する形
鋼材からなり、 かつ取付用枠材の外の側片にボルト孔を設けるととも
に、 前記コンクリートパネルに、前記ボルト孔に位置を合わ
せて内面から突出するボルトを予め突設し、 かつ前記ボルトをボルト孔内に挿入してナット締めする
ことによりコンクリートパネルを枠組に取付けるととも
に、 前記上の枠材に、この枠材の内面でのびる垂直な内の側
片を設け、かつこの外壁パネルの上方に配される階上梁
と接続するための孔を前記内の側片に設けるとともに、 前記下の枠材に、この外壁パネルの下方をのびる階上梁
から上にのびる高さ調整用の支持ボルトの上端が当接す
る部分に設けられる補強部分と、階下梁から上にのびる
挿通片を上方への抜止めをして挿通する長孔とを設けて
いる。

〔作用〕

前記構成を具えることにより、複数のコンクリートパネ
ルを単一の枠組を介して同時に立設でき、現地での建込
み作業の能率を向上しうる。又枠組の上の枠材に、階上
梁と接続するための孔を設け、かつ下の枠材に、階下梁
から上にのびる支持ボルトの上端が当接する部分に設け
られる補強部分と、階下梁から上にのびる挿通片を挿通
する長孔とを設けているため、枠組と架構体との間に揺
動可能な接続構造を採用することができ、該枠組に取付
く複数のコンクリートパネル全体が耐震結合となり、コ
ンクリートパネルごとに耐震接続を行う構造のものに比
べて接続構造の簡易化を計りうるとともに、コストダウ
ンにも役立つ他、前記支持ボルトによる下の枠材の変形
を前記補強部分によって防ぎうる。さらに枠材の内、コ
ンクリートパネルを取付ける取付用枠材は、枠組の外面
でのびかつボルト孔を設けた外の側片を有するととも
に、このボルト孔に、コンクリートパネル内面に該ボル
ト孔と位置を合わせて予め突設されたボルトを挿入して
ナット締めするため、コンクリートパネルを枠組に取付
ける際に、該コンクリートパネルを容易に位置合わせで
き、しかもボルトをボルト孔で係止した状態でナット締
めできるので、コンクリートパネルを枠組に取付ける作
業を能率化し、外壁パネルの生産効率を高めうる。

〔実施例〕

以下本発明の一実施例を、並設される複数のコンクリー
トパネルに該コンクリートパネル間を跨がる開口部Ｏが
形成された場合を例にとり図面に基づき説明する。

図において本発明の外壁パネル１は、矩形状の周囲枠３
を含む枠組４の外面に複数のコンクリートパネル５…を
取付けており、建込みによってコンクリートパネル５…
の外面が家屋の外壁面を形成する。

周囲枠３は、鋼製の枠材、本実施例では基片21の外、内
両縁から外の側片22、内の側片23を向き合わせて配した
薄形鋼からなり、上下に対置される水平な上の枠材25、
下の枠材26の各両端を垂直な両側の縦の枠材27、27継ぐ
とともに各枠材25、26、27の薄部を内側に向けて矩形に
接合している。

又上の枠材25、下の枠材26の各外の側片22、22には複数
個のボルト孔29…が透設される。従って、前記上の枠材
25、下の枠材26は、本実施例では、前記枠材の内、前記
枠組４の外面でのびかつボルト孔29…を設けた外の側片
22を有する形鋼材からなりしかもコンクリートパネル５
を取付ける取付用枠材を形成する。

前記周囲枠３の内部には、両側の縦の枠材27、27の間を
結ぶとともに薄形材からなる上の桟材31、下の桟材32が
互いに平行に架け渡される。本実施例では、上の桟材31
は薄部を上向きに、又下の桟材32は薄部を下に向けて配
される。又上の枠材25と上の桟材31との間及び下の枠材
26と下の桟材32との間には夫々複数本の縦桟33…が架設
され、この等の部材によって枠組４が形成される。なお
前記上の桟材31、下の桟材32は、枠組４を形成する鋼製
の枠材に含まれる。

枠組４には上、上の桟材31、32及び縦の枠材27、27の
上、下の桟材31、32の間によって囲まれる開口部Ｏが形
設される。

前記上の桟材31の外側には、該上の桟材31の基片21から
延設される張出し片34aを有するＬ字状の上のパネル金
具34が、又下の桟材32の外側には、該下の桟材32の基片
21から延びる張出し片35aを設けたＬ字状の下のパネル
金具35が夫々取付けられる。

前記枠組４の巾寸度は本実施例では、パネル巾の略２倍
に形成されることにより、枠組４には２枚のコンクリー
トパネル５、５が並んで配されることとなる。

又枠組４は前記したごとく上、下の中間位置に開口部Ｏ
が形設されることによって、コンクリートパネル５は該
開口部Ｏによって途切れ、上のコンクリートパネル5Aと
下のコンクリートパネル5Bとに分割される。

上のコンクリートパネル5A、下のコンクリートパネル5B
はコンクリート材を成形型に注入しかつ凝固することに
よって形成される矩形平板状をなす。又コンクリート材
としては、凝固時に独立気泡が生じることによって高度
の断熱性を具えるALCが好適に採用できる。

上のコンクリートパネル5Aは、枠組４の上の枠材25、上
の桟材31間を覆い、下端は前記上のパネル金具34の張出
し片34aに載置される。又上のコンクリートパネル5A
は、上の枠材25に設ける前記ボルト孔29と位置を合わせ
てコンクリート材の凝固時に予め配されかつ該上のコン
クリートパネル5A内面から突出するボルト37を、前記ボ
ルト孔29に挿入しかつナット締めすることにより、上の
コンクリートパネル5Aは、枠組４にボルト止めされ取付
けられる。

下のコンクリートパネル5Bは、上面が下のパネル金具35
の張出し片35a下面に当接し、かつ下部が下の枠材26下
面をこえて垂下するとともに、内面から下の枠材26のボ
ルト孔29を挿通するボルト37を予め突設している。

従って下のコンクリートパネル5Bは、ボルト37を前記ボ
ルト孔29に挿通しナット締めすることにより枠組４にボ
ルト止めされ取付けられる。

前記開口部Ｏには開口枠40が周設される。開口枠40は、
上の桟材31の下面に沿う上の開口枠材41と、下の桟材32
の上面に沿ってのびる下の開口枠材42と縦の枠材27、27
の外側で、該縦の枠材27、27に沿って立上る縦の開口枠
材43、43とからなる。

上の開口枠材41は、上向きの溝部を有するコ字状をなし
底板の内端から立上る内側片の上端に設けるフランジを
上の桟材31の基片21にボルト止めすることにより固定さ
れる。又前記底板の外端から上向きにのびる外側片の上
端縁は、上のパネル金具34の前記張出し片34aに接続さ
れる。

このように上の開口枠材41は、上の桟材31から外側には
み出して取付けられる。

下の開口枠材42は、溝部が内側にコ字状をなし、下の桟
材32及び下のパネル金具35の前記張出し片35aに跨がり
載置される。

縦の開口枠材43は中空の四角断面であり、前記のごとく
縦の枠材27にその外面に沿って固定されることによっ
て、縦の開口枠材43の外側面は、上の開口枠材41、下の
開口枠材42の外側面と略整一となる。

従って、本実施例では開口部Ｏは前記構成の開口枠40を
取付けることにより、対置される２つの縦の枠材27、27
間の内則寸度に略等しい内則寸度を有して縦の開口枠材
43、43を配設でき、該開口部Ｏを広巾に形成することが
できる。なお開口枠40には窓枠サッシ等を取付けること
により窓部が形成される。枠組４は、上部がパネル取付
金具51を用いて外壁パネル１の上方に配される階上梁H1
下端に取付けられ、又その下部は、外壁パネル１の下方
をのびる階下梁H2に取付くパネル受金具52によって支持
される。

階上梁H1は、例えば下端に水平なフランジF1を有するＩ
形鋼であり、階下梁H2は上端に水平なフランジF2を有す
るＩ形鋼からなる。

階上梁H1は柱Ｄ、Ｄ間に架設されるとともに、階下梁H2
も前記柱の間に、かつ前記階上梁H1よりも外側に位置さ
せ架設される。

パネル取付金具51は、第４図に示す如く階上梁H1の前記
フランジF1にボルト止めされかつ外方に突出する水平な
上片54と、該上片54の外縁で垂下する垂下片55と、該垂
下片55の下端に設けた内向き片56の内縁で垂下し、前記
上の枠材25の内面でのびる垂直な内の側片23に設けた孔
23A、23Aを通るボルトを用いて該内の側片23をボルト止
めする取付片57とを具える。

本実施例では２つの前記パネル取付金具51、51を介して
枠組４の上の枠材25が階上梁H1に移動不能に接続されて
固定される。

パネル受金具52は、第５図に示すように、階下梁H2の前
記フランジF2上に固定されかつＬ字状をなす基片61に固
着されるナット片62Aに螺入され、かつ下の枠材26の基
片21の下面に上端が当接する高さ調整用の支持ボルト62
と、前記基台61に固定されるとともに該下の枠材26の基
片21に設けられかつ下の枠材26の長手方向にのびる長孔
63を挿通する垂直な挿通片64とを具える。なお前記基台
61を介して階下梁H2から上にのびる前記支持ボルト62の
上端が当接する下の枠材26の基片21の部分には、この基
片21上面に補強プレート65を溶接等により固着すること
によって補強部分66が設けられ、該部分における基片21
の変形を防ぐ一方、階下梁H2から基台61を介して上にの
びる前記挿通片64は、その上端に設けた頭部64Aによっ
て前記長孔63から抜止めされる。

従って枠組４は、その下端を前記長孔63分だけ横方向に
揺動可能の状態において支持ボルト62で支承されること
となり、パネル受金具52によって支持される。なお本実
施例では枠組４は、間隔を隔てて並置される２つの前記
パネル受金具52、52を介して階下梁H2に支持されてい
る。

このように、枠組４の上部が移動不能に階上梁H1に固定
されかつ下部が長手方向に揺動可能に支持されているた
め、地震等によって階上、階下の梁H1、H2間に相対ずれ
が生じた場合であっても枠組４に変形が生じることな
く、従って地震等に起因するコンクリートパネル５…の
破損を防止することができる。

なお本発明において開口部Ｏを設けることなく、従って
コンクリートパネル５は分断されない、上下に連続する
縦長のものであってもよく、又枠組４にコンクリートパ
ネル５…を３列以上並設することもでき、本発明は、種
々な態様のものに変形できる。

〔発明の効果〕

叙上のごとく本発明の外壁パネルは、矩形に接合した周
囲枠を有する枠組の外面に複数のコンクリートパネルを
ボルト止めしているため、コンクリートパネルを用いて
壁体を形成する建物であっても現地での施工が容易とな
り、建込み作業能率を向上しうる。又枠組の上の枠材の
内の側片に設けた孔を用いて階上梁に接続し、かつ下の
枠材に設けた長孔に階下梁から上にのびる挿通片を挿通
させることにより、該枠組と家屋の架構体との間を揺動
可能に接続することが可能となるため、複数のコンクリ
ートパネルを同時に耐震接続することができ、耐震構造
の壁体を、簡易な構成で経済的にかつ容易に形成しうる
とともに、前記下の枠材に、階下梁から上にのびる高さ
調整用の支持ボルトの上端が当接する部分において補強
部分を設けているため、支持ボルトによる下の枠材の変
形を防止できる。

さらに取付用枠材の外の側片に設けたボルト孔に、コン
クリートパネルの内面から該ボルト孔と位置を合わせて
突出するボルトを挿入してナット締めするため、コンク
リートパネルの位置合わせをボルトをボルト孔に挿入す
ることによって容易に行うことができ、手間と労力とを
減じうるとともに、コンクリートパネルをそのボルトを
ボルト孔に挿入して枠組に係止した状態でナット締め作
業が出来るため、位置合わせしつつボルト止めする作業
に比して、このナット締め作業を能率化でき、外壁パネ
ルの生産性を高めうる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例を示す内面側から斜視した斜
視図、第２図はそのパネルの取付けを示す正面図、第３
図は枠組とコンクリートパネルとを示す分解斜視図、第
４図はパネル取付金具をその取付けとともに示す斜視
図、第５図はパネル受金具をその取付けとともに示す背
面図、第６図は本発明の外壁パネルが採用される家屋の
一例を示す斜視図である。 ３……周囲枠、４……枠組、５、5A、5B……コンクリー
トパネル、22……外の側片、23……内の側片、23A……
孔、25……上の枠材、26……下の枠材、27……縦の枠
材、29……ボルト孔、31、32……枠材、37……ボルト、
62……支持ボルト、63……長孔、64……挿通片、66……
補強部分、H1……階上梁、H2……階下梁。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】上下の水平な上の枠材、下の枠材とその両
   端を継ぐ垂直な両側の縦の枠材とからなる矩形の周囲枠
   を含み鋼製の枠材を接合することにより形成される枠組
   と、その外面に取付けられる複数のコンクリートパネル
   とからなり建込みによってコンクリートパネルの外面が
   家屋の外壁面をなす外壁パネルであって、 前記枠材の内、前記コンクリートパネルを取付ける取付
   用枠材は、前記枠組の外面でのびる外の側片を有する形
   鋼材からなり、 かつ取付用枠材の外の側片にボルト孔を設けるととも
   に、 前記コンクリートパネルに、前記ボルト孔に位置を合わ
   せて内面から突出するボルトを予め突設し、 かつ前記ボルトをボルト孔内に挿入してナット締めする
   ことによりコンクリートパネルを枠組に取付けるととも
   に、 前記上の枠材に、この枠材の内面でのびる垂直な内の側
   片を設け、かつこの外壁パネルの上方に配される階上梁
   と接続するための孔を前記内の側片に設けるとともに、 前記下の枠材に、この外壁パネルの下方をのびる階下梁
   から上にのびる高さ調整用の支持ボルトの上端が当接す
   る部分に設けられる補強部分と、階下梁から上にのびる
   挿通片を上方への抜止めをして挿通する長孔とを設けた
   ことを特徴とする外壁パネル。