JPH0680897A - フタロシアニン系光導電性組成物およびこれを用いた電子写真感光体 - Google Patents

フタロシアニン系光導電性組成物およびこれを用いた電子写真感光体

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JPH0680897A
JPH0680897A JP23356992A JP23356992A JPH0680897A JP H0680897 A JPH0680897 A JP H0680897A JP 23356992 A JP23356992 A JP 23356992A JP 23356992 A JP23356992 A JP 23356992A JP H0680897 A JPH0680897 A JP H0680897A
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phthalocyanine
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acid
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JP23356992A
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English (en)
Inventor
Toyoji Ohashi
豊史 大橋
Mariko Kobayashi
万里子 小林
Toshiyuki Koyama
敏之 小山
Masatomi Ozawa
雅富 小沢
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Mitsubishi Petrochemical Co Ltd
Original Assignee
Mitsubishi Petrochemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 フタロニトリル、無水フタル酸などのフタロ
シアニン環を形成しうる有機化合物と金属塩化物などを
180℃以上に加熱して得られるフタロシアニン100
重量部並びに電子吸引基置換フタロシアニン誘導体0.
01〜10重量部を、フタロシアニンおよびフタロシア
ニン誘導体を溶解する有機酸に溶解した後、貧溶媒によ
って析出させて得られ組成物からなるフタロシアニン系
光導電性組成物およびそれを用いた電子写真感光体 【効果】 本発明のフタロシアニン系組成物は、従来の
無機酸処理の組成物に比べて、結晶粒子の分布が狭く、
微粒子状かつ均一な混合状態であり、該組成物を用いた
電子写真感光体に対しデジタル的に反応する感光体の光
特性および暗減衰特性が向上し、繰り返しによる感度の
安定性もよいものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電子写真業界に於いて
使用する光入力に対してデジタル的に反応する新規な感
光体(以下、デジタル感光体とする)に用いられるフタ
ロシアニン系光導電性組成物および該組成物を用いる電
子写真感光体に関するものである。本発明のフタロシア
ニン系組成物は、絶縁性バインダー等により薄層化した
感光層で光電流が特異な流れ方をすることを応用し、デ
ジタル記録に関する諸要求に応え得る感光体に用いられ
る。
【0002】
【従来の技術】従来から、電子写真方法とそれに使用さ
れる感光体には、単純な光導電体に近いものが用いら
れ、所謂カールソン法の感光体から出発して、Se系の
アモルファス状態の感光層や、シリコンのアモルファス
層や、Seのアモルファス層と類似させて作られたZn
Oの結着層等が使用されてきた。近時、有機半導体を使
用した所謂機能分離型の感光層も使用されるようになっ
てきたが、何れの電子写真方法も、その生い立ちがアナ
ログ的な概念に基づいて発展して来たため、入力光量と
相似する量の光電流が流れるように選択された材料を使
用するものであった。その結果、前記したSe系のアモ
ルファス等の感光体が主流であった。近年、電子写真技
術とコンピュータ・通信技術が結合するようになったた
め、プリンターやファクシミリが電子写真記録方式に急
激に変ってきた。これに伴い、電子写真記録方式も、従
来のPPC用アナログ記録方式よりもデジタル記録方式
が望まれるようになった。
【0003】電子写真方法に用いられてきたアナログ概
念に基づく感光体は、その特性上、コンピューターアウ
トの情報処理や、画像をデジタル分解して処理するコピ
ーマシンのようなデジタル記録が必要な電子写真には不
向きである。
【0004】特開平1−169454号公報には、デジ
タル光入力用感光体の概念が述べられているが、この感
光体に使用できる材料に関しては具体的には述べられて
いない。
【0005】フタロシアニンは、合成状態の履歴によっ
て結晶形、結晶粒子の分布、大きさ等が異なるため、感
光体材料として用いる場合、得られたフタロシアニンを
酸処理して、結晶形、結晶粒子の分布、大きさ等を変化
させたり、統一させている。また、2種以上のフタロシ
アニンを均一に混合する等の処理が行われている。従来
のフタロシアニンの酸処理、すなわちアシッドペーステ
ィング法あるいはアシッドスラリー法と呼ばれる方法で
は、硫酸等の無機酸が用いられてきた。例えば特開昭5
8−166355号公報には、フタロシアニンを硫酸等
の無機酸で処理した感光体が記載されている。一般に硫
酸等の無機酸を用いた場合には、その大きな水和熱によ
りかなり発熱するため、フタロシアニンの結晶粒子の分
布や大きさが異なることはよく知られており、そのため
に系を冷却するなどの方法がとられているが、局部的な
発熱をさけることはできないので、十分な微粒子状組成
物を得ることができなかった。
【0006】従って、上記のようにして処理したフタロ
シアニン系組成物は、デジタル感光体用組成物としては
不十分である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、コン
ピューターアウトの情報処理や、画像をデジタル分解し
て処理するコピーマシンなどに必要とされる、入力光に
対してデジタル的に反応するフタロシアニン系光導電性
組成物およびそれを用いた電子写真感光体を提供するこ
とである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、(1)原料と
して、(a)式(I):
【化3】
【0009】(式中、X1 およびX2 は、それぞれカル
ボキシル基、シアノ基又はカルバモイル基を表すか、あ
るいはX1 およびX2 が一緒になって−CO−O−CO
−基又は−CO−NH−CO−基を表す)で示される化
合物;(b)上記式(I)においてX1 およびX2 が窒
素を含有しない基である場合には、尿素およびアザポル
フィン核を形成させる触媒;並びに(c)金属塩化物;
を用いて180℃以上で反応させて得られたフタロシア
ニン100重量部並びに、
【0010】(2)式(II):
【化4】
【0011】(式中、Mは、水素原子またはフタロシア
ニンと共有結合もしくは配位結合し得る原子または化合
物を表し、R1 〜R8 は、同一または異なって、水素原
子または電子吸引基を表すが、少なくとも4つは電子吸
引基である)で示されるフタロシアニン誘導体0.01
〜10重量部を、(3)フタロシアニンおよびフタロシ
アニン誘導体を溶解する有機酸に溶解した後、貧溶媒に
よって析出させて得られる組成物からなるフタロシアニ
ン系光導電性組成物およびそれを用いた電子写真感光体
である。
【0012】式(II)のフタロシアニン環におけるMと
しては、水素原子、銅、ニッケル、コバルト、スズ、亜
鉛、鉄、鉛、マグネシウム、チタンおよび上記金属の酸
化物・ハロゲン化物があげられ、また、これらの混合物
であってもよい。フタロシアニンは顔料としてよく知ら
れている化合物であり、本発明においては、クルードと
称されているフタロシアニン、顔料化されたフタロシア
ニンの何れも使用できる。
【0013】式(II)で示されるフタロシアニン誘導体
は、フタロシアニン分子のベンゼン核が電子吸引基によ
って置換されたものである。電子吸引基とは、ハメット
則において置換基定数δが正の置換基をいう。中でもδ
が+0.2以上のものが好ましい。この様な電子吸引基
としては、例えば、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン原
子、カルボキシル基およびスルホン基があげられるが、
ニトロ基、ハロゲン原子、カルボキシル基が好ましく、
ニトロ基、ハロゲン原子が更に好ましい。
【0014】フタロシアニン誘導体1分子における電子
吸引基の数は、少なくとも4個の電子吸引基が必要であ
り、4〜8個が好ましく、更に4〜6個が更に好まし
い。
【0015】本発明に用いるフタロシアニンの製造法と
しては、ワイラー法、フタロニトリル法と呼ばれる方法
で180℃以上で反応させて製造される。すなわち、フ
タロシアニン環を形成し得る有機化合物、フタロシアニ
ンを合成するのに必要な触媒、金属塩化物、尿素等の窒
素供与体を不活性溶剤中で加熱攪拌することにより得ら
れる。反応温度は180〜250℃が好ましく、更に1
90〜220℃が好ましい。
【0016】フタロシアニン環を成形し得る有機化合物
(I)としては、フタル酸、無水フタル酸、フタルアミ
ド、フタル酸モノアミド、フタルイミド、オルソシアノ
ベンズアミド、フタロジニトリル、アミノイミノイソイ
ンドレニン、ポリアミノイミノイソインドレニン等があ
る。金属塩化物としては、塩化銅、塩化ニッケル、塩化
コバルト、塩化スズ、塩化亜鉛、塩化鉄、塩化鉛、塩化
マグネシウム、塩化チタン等がある。上記フタロシアニ
ン環を形成しうる有機化合物(I)と金属塩化物との割
合は、フタロシアニン環を形成しうる有機化合物(I)
1モルに対して金属塩化物は0.30〜1モルが好まし
く、更に0.30〜0.70モルが好ましい。
【0017】金属フタロシアニンにおいては、塩化第二
銅のような金属塩化物を使用することによってフタロシ
アニンが合成される。なお、フタル酸等のようにアザポ
ルフィン核を形成するのに必要な窒素原子を欠いている
有機化合物の場合には、モリブデン酸アンモニウム等の
触媒と、尿素のような窒素供与体とを加熱撹拌する。
【0018】無金属フタロシアニンにおいては、塩化マ
グネシウムを使用し、生成したフタロシアニンを酸処理
する方法で合成される。式(II) で示されるフタロシア
ニン誘導体も上記と同様な方法で、電子吸引基で置換さ
れたフタロシアニン環を形成しうる有機化合物を用いて
合成される。この場合、反応温度は、130℃〜250
℃で、金属化合物としては金属塩化物の他に、金属、有
機金属塩の使用が可能である。本発明で得られたフタロ
シアニンと式(II)のフタロシアニン誘導体との組成割
合は、フタロシアニン100重量部に対してフタロシア
ニン誘導体0.01〜10重量部が好ましく、0.1〜
5重量部が更に好ましい。
【0019】本発明においては、上記の割合のフタロシ
アニンおよびフタロシアニン誘導体を下記の有機酸に溶
解し、次いで貧溶媒によって析出させることにより本発
明のフタロシアニン系光導電性組成物を得る。
【0020】本発明において得られたフタロシアニンお
よびフタロシアニン誘導体を溶解する有機酸としては、
メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、プロパンスルホ
ン酸等のアルキルスルホン酸;これらがハロゲンで置換
されたハロゲン化アルキルスルホン酸;およびC8 〜C
15のアルキルベンゼンスルホン酸などがあげられる。ま
た、トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエ
ンカルボン酸、ベンゼルカルボン酸等の固体芳香族有機
酸と上記のアルキルスルホン酸、ハロゲン化アルキルス
ルホン酸、アルキルベンゼンスルホン酸の少なくとも一
種の有機酸との混合酸を用いることもできる。
【0021】上記固体芳香族有機酸と上記有機酸との混
合割合は、脂肪族有機酸10重量部に対して芳香族有機
酸1〜6重量部が好ましく、1〜4重量部が更に好まし
い。6重量部以上では固体芳香族有機酸が有機酸に均一
に溶解しない。
【0022】本発明において用いる有機酸の量として
は、フタロシアニンおよびフタロシアニン誘導体1重量
部に対して5〜30重量部が好ましく、10〜20部が
更に好ましい。
【0023】フタロシアニンおよびフタロシアニン誘導
体を上記割合で有機酸に混合、溶解する場合、混合温度
は0〜30℃が好ましく、攪拌を十分行いながら溶解す
る。攪拌時間は0.5〜3時間が好ましい。
【0024】本発明に用いる貧溶媒としては、水が好ま
しいが、フタロシアニンおよびフタロシアニン誘導体を
溶解しない溶媒ならば特に限定しない。例えば、メタノ
ール、エタノール、アセトン・メチルエチルケトンが好
ましい。貧溶媒の量としては、有機酸に対して3〜30
倍量が好ましく、5〜15倍量が更に好ましい。
【0025】析出させる方法としては、例えば、有機酸
溶液を攪拌している貧溶媒中に滴下する。貧溶媒温度は
0〜20℃が好ましい。滴下終了後、0.5〜3時間の
間攪拌を続けるのが好ましい。析出物をろ過、水洗、乾
燥してフタロシアニン系光導電性組成物を得る。
【0026】本発明のフタロシアニン系光導電性組成物
を電子写真感光体として使用するには、該組成物を結着
剤樹脂、溶剤等と共に、ポールミル、アトライター等の
混練分散機で均一に分散し、導電性支持体上に塗布し
て、感光層を形成する。
【0027】結着剤樹脂としてはポリエステル樹脂、メ
ラミン樹脂、エポキシ樹脂、ケイ素樹脂、ポリウレタン
樹脂、アクリル樹脂、キシレン樹脂、塩化ビニル−酢酸
ビニル共重合体樹脂、ポリカーボネート樹脂、繊維素誘
導体などの体積固有抵抗が107 Ωcm以上の絶縁性を有
する結着剤樹脂である。
【0028】この光導電性組成物を電子写真感光体に通
常用いられるアルミニウム板、導電処理した紙、プラス
チックフイルムなどの導電性支持体上に塗布し、感光層
を形成する。塗布方法としては、必要ならば光導電性組
成物に溶剤を加えて粘度を調整し、エアードクタコータ
ー、ブレードコーター、ロツドコーター、リバースロー
ルコーター、スプレーコーター、ホットコーター、スク
イーズコーター等の塗布方式で被膜を形成する。塗布
後、光導電性層として充分な帯電電位が付与されるよう
になるまで適当な乾燥装置を用いて乾燥する。
【0029】本発明の方法により得られたフタロシアニ
ン系光導電性組成物を用いた感光体は、入力光量に応じ
た量の光電流が流れる従来の感光体に比べて、光電流が
特異な流れ方をするためデジタル感光体として用いるこ
とができる。すなわち、本発明の感光体は、ある入力光
量までは光電流が流れないか或は極小量であり、その光
量を越えた直後から急激に光電流が流れるので、画像階
調をドット面積によって表現するデジタル記録方式に使
用される感光体として好ましい光感度特性を有する。す
なわち、レーザスポットを光学系で正確に変調したとし
ても、スポットそのものの光量の分布やハローは原理的
に避けられないが、従来の感光体のように光量変化によ
ってドットパターンが変化し、光エネルギー(入力光
量)の変化を段階的にひろうことがなく、ノイズとして
カブリの原因になるのを避けることができる。
【0030】
【発明の効果】本発明の電子吸引基置換フタロシアニン
誘導体がフタロシアニンに混合されているフタロシアニ
ン系光導電性組成物は、製造過程において無機酸で処理
する場合と比較して、水和熱の小さな有機酸を溶媒とし
て用いることによって、温和な条件で処理できるため、
従来の無機酸処理のフタロシアニン系組成物に比べて、
結晶粒子の分布が狭く、微粒子状であり、かつ均一混合
状態の組成物である。本発明の組成物を用いた感光体
は、フタロシアニン単独、および無機酸処理によるフタ
ロシアニン系組成物を用いた感光体に比べて、光入力に
対してデジタル的に反応する感光体の特性、暗減衰特
性、および光感度等の電子写真特性が向上していると共
に、繰り返しによる感度の安定性もよいものである。
【0031】また、本発明の方法により得られるフタロ
シアニン系光導電性組成物を用いることにより、感光体
を樹脂/光導電素子が重量比で1以上であり、例えば、
酸化亜鉛を用いた感光体の場合に比べて樹脂量が多くな
り、被膜の物理的強度が高く、可撓性に富み、かつ導電
性支持体との接着力が大きく、耐湿性が良好であり、経
時変化が少なく、毒性上の問題がなく、製造が容易であ
り安価である等の実用上の優れた特徴を持つデジタル感
光体とすることができる。
【0032】
【実施例】以下、実施例により本発明をより具体的に説
明する。式中「部」、「%」、はそれぞれ重量部、重量
%を示す。 〈フタロシアニンの合成〉 参考例1 無水フタル酸18部、尿素31部、塩化第二銅5.1
部、モリブデン酸アンモニウム0.2部およびニトロベ
ンゼン150部の混合物を190℃で5時間加熱撹拌し
て反応させ、得られた内容物をろ過し、メタノールで十
分洗浄した後、1N塩酸水溶液1,000部の中で1時
間煮沸し、熱時ろ過した。十分な水でろ液が中性となる
まで洗浄した後、更に1N水酸化ナトリウム水溶液1,
000部の中で1時間煮沸した。直ちに熱時ろ過し、十
分な水でろ液が中性となるまで洗浄した。110℃にて
乾燥し、フタロシアニンを14部得た。得られたフタロ
シアニンのX線回折は2θ=7°,9°および18°に
代表的なピークを持つβ形のX線回折を示した。IRス
ペクトルでは、フタロシアニン化合物に特有の強い吸収
(1598, 1480, 1330, 1116〜1060および750cm-1 付近)
を示した。
【0033】参考例2 フタロニトリル29部、シクロヘキシルアミン3部、塩
化第二銅11部およびニトロベンゼン100部を用い
て、参考例1と同様な操作でフタロシアニン28部を得
た。得られたフタロシアニンは参考例1と同一のX線回
折およびIRスペクトルを示した。
【0034】参考例3 フタロニトリル29部、シクロヘキシルアミン3部、塩
化マグネシウム8.6部およびニトロベンゼン100部
の混合物を190℃で5時間加熱撹拌して反応させた
後、参考例1と同様な操作でマグネシウムフタロシアニ
ンを27部得た。得られたマグネシウムフタロシアニン
を98%濃硫酸300部に溶解し、その後、水300部
と氷1,200部の氷水中に滴下した。得られた沈殿を
十分な水でろ液が中性となるまで洗浄し、110℃で乾
燥して無金属フタロシアニン25部を得た。得られたフ
タロシアニンのX線回折は2θ=9°,18°に代表的
ピークを持つβ形を示し、IRスペクトルはフタロシア
ニン特有の強い吸収(1600,1503, 1461〜1439, 1336, 1
094および736cm-1 付近)を示した。
【0035】参考例4 O−フタロニトリル13部、無水塩化第二銅4部、1,
8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン
(DBU)50gおよび2−メトキシエタノール240
部の混合物を150°で10時間加熱撹拌して反応さ
せ、得られた内容物をろ過し、メタノールで十分洗浄し
た後、110℃で乾燥し、フタロンアニン13部を得
た。得られたフタロシアニンは参考例1と同一のX線回
折およびIRスペクトルを示した。
【0036】参考例5 無水フタル酸14.8部、尿素30部、硝酸アンモニウ
ム16部、モリブデン酸アンモニウム0.03部および
O−ジクロロベンゼン100部の混合物を170〜17
5℃で2時間加熱撹拌して反応させ、得られた内容物を
熱時ろ過した。ろ過ケーキを3倍量のジオキサン中で3
0分煮沸し、熱時ろ過した。水およびエタノールで洗浄
後、80℃で乾燥し、1−アミノ−3−イミノイソイン
ドレニンの硝酸塩(以下、Ind・HNO3 と略記す
る。)19部を得た。得られたInd・HNO3 19部
と塩化第二銅3.6部、尿素15部およびグリセロール
370部を140℃で30分間加熱撹拌して反応させ、
温水400部を加えて希釈し、熱時ろ過、水洗した。更
に1%塩酸水溶液1,000部の中で30分煮沸し、熱
時ろ過した。十分な水でろ液が中性になるまで洗浄した
後、更に1%水酸化ナトリウム水溶液1,000部の中
で30分煮沸した。直ちに熱時ろ過し、十分な水でろ液
が中性となるまで洗浄し、更にエタノールで洗浄した。
80℃にて乾燥し、フタロシアニン8部を得た。得られ
たフタロシアニンは参考例1と同一のX線回折およびI
Rスペクトルを示した。
【0037】参考例6 フタロシアニン合成の反応温度を140℃とした外は、
参考例1と同様に行い、フタロシアニン5部を得た。得
られたフタロシアニンは参考例1と同一のX線回折およ
びIRスポクトルを示した。
【0038】実施例1 参考例1で得られたフタロシアニン40部とテトラニト
ロ銅フタロシアニン0.8部を、メタンスルホン酸44
0部に十分に攪拌しながら溶解した。溶解した液を水2
000部にあけ、組成物を析出させた後、ろ過、水洗
し、60℃で乾燥してフタロシアニン系光導電性組成物
39.8部を得た。
【0039】実施例2 参考例1で得られたフタロシアニン40部とテトラニト
ロ銅フタロシアニン0.8部を、エタンスルホン酸44
0部に十分に攪拌しながら溶解した。溶解した液を水2
000部にあけ、組成物を析出させた後、ろ過、水洗
し、60℃で乾燥してフタロシアニン系光導電性組成物
39.2部を得た。
【0040】実施例3 参考例1で得られたフタロシアニン40部とテトラニト
ロ銅フタロシアニン0.8部を、C12〜C14のアルキル
ベンゼンスルホン酸440部に十分に攪拌しながら溶解
した。溶解した液を水2000部にあけ、組成物を析出
させた後、ろ過、水洗し、60℃で乾燥してフタロシア
ニン系光導電性組成物39.4部を得た。
【0041】実施例4 参考例1で得られたフタロシアニン40部とテトラニト
ロ銅フタロシアニン0.8部を、メタンスルホン酸/パ
ラトルエンスルホン酸からなり、重量比8/2である有
機混合酸440部に十分に攪拌しながら溶解した。溶解
した液を水2000部にあけ、組成物を析出させた後、
ろ過、水洗し、60℃で乾燥してフタロシアニン系光導
電性組成物39.6部を得た。
【0042】実施例5 参考例1で得られたフタロシアニン40部とテトラニト
ロ銅フタロシアニン0.8部を、エタンスルホン酸/ベ
ンゼンスルホン酸一水和物からなり、重量比8/2であ
る有機混合酸440部に十分に攪拌しながら溶解した。
溶解した液を水2000部にあけ、組成物を析出させた
後、ろ過、水洗し、60℃で乾燥してフタロシアニン系
光導電性組成物39.0部を得た。
【0043】実施例6 参考例3で得られた無金属フタロシアニン40部とテト
ラクロロ無金属フタロシアニン1部を、エタンスルホン
酸440部に十分に攪拌しながら溶解した。溶解した液
を水2000部にあけ、組成物を析出させた後、ろ過、
水洗し、60℃で乾燥してフタロシアニン系光導電性組
成物39.2部を得た。
【0044】実施例7 参考例2で得られたフタロシアニン40部とオクタクロ
ロ銅フタロシアニン0.8部を、メタンスルホン酸44
0部に十分に攪拌しながら溶解した。溶解した液を水2
000部にあけ、組成物を析出させた後、ろ過、水洗
し、60℃で乾燥してフタロシアニン系光導電性組成物
39.0部を得た。
【0045】比較例1 参考例4で得られたフタロシアニン40部をメタンスル
ホン酸440部に十分に攪拌しながら溶解した。溶解し
た液を水2000部にあけ、析出物を析出させた後、ろ
過、水洗し、60℃で乾燥してフタロシアニン処理物3
9.5部を得た。
【0046】比較例2 参考例4で得られたフタロシアニン40部とテトラニト
ロ銅フタロシアニン0.8部を、98%濃硫酸440部
に十分に攪拌しながら溶解した。溶解した液を水200
0部にあけ、組成物を析出させた後、ろ過、水洗し、6
0℃で乾燥してフタロシアニン組成物39.0部を得
た。
【0047】比較例3 参考例5で得られたフタロシアニン40部とテトラニト
ロ銅フタロシアニン0.8部を、オルトリン酸440部
に十分に攪拌しながら溶解した。溶解した液を水200
0部にあけ、組成物を析出させた後、ろ過、水洗し、6
0℃で乾燥してフタロシアニン組成物39.0部を得
た。
【0048】比較例4 参考例6で得られたフタロシアニン40部とテトラニト
ロ銅フタロシアニン0.8部を、98%の濃硫酸440
部に十分に撹拌しながら溶解した。溶解した液を水2,
000部にあけ、析出物を析出させた後、ろ過、水洗
し、60℃で乾燥してフタロシアニン組成物38.5部
を得た。
【0049】評価例 以上のようにして得られたフタロシアニン系組成物を以
下のようにして感光体とした。
【0050】フタロシアニン系光導電性組成物0.8部
を、ポリエステル樹脂溶液(アルマテックス、P64
5、三井東圧製)2.8部、メラミン樹脂(コーバン、
20HS、三井東圧製)1部およびシクロヘキサノン1
4部からなる組成物にガラスビーズ30部と共に入れ、
ペイントミキサーにより4時間分散して、感光体塗液を
得た。この感光体塗液を厚さ90ミクロンのアルミニウ
ム箔上に、乾燥膜厚が15ミクロンになるようにコート
し、200℃で3時間放置して感光体とした。
【0051】得られた感光体は、感光体評価装置(シン
シアー55、ジェンテック社製)を用いて光感度特性を
評価した。+6.0kVの電圧でコロナ帯電させ、感光体
の表面電位が急激に落ちる屈曲点の時間(秒)を暗減衰
時間とした。光特性は次のように定義した。光強度が異
なった780nmの単色光を帯電させた感光体に各々照射
し、各光強度に対する光減衰時間曲線(表面電圧対照射
時間)を各々測定し、その曲線の一定時間(ここでは
0.5秒)における表面電位を光エネルギーに対してプ
ロットした。
【0052】表面電位を初期帯電とほぼ同じ程度に維持
できる光エネルギーのうち最大の光エネルギーをE1
表面電位を残留電位程度(約30V )まで低下させるこ
とのできる光エネルギーのうち最小の光エネルギーをE
2 、とした。E1 が小さい程光感度がよく、かつE2
1 の差△Eが小さい程デジタル感光体となり得る。本
評価法においては△Eが20μJ/cm2 以下はデジタル
感光体可能、それ以上はアナログ感光体と考えることが
できる。結果を表1に示した。
【0053】
【表1】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小沢 雅富 茨城県稲敷郡阿見町中央8丁目3番1号 三菱油化株式会社筑波総合研究所内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (1)原料として、(a)式(I): 【化1】 (式中、X1 およびX2 は、それぞれカルボキシル基、
    シアノ基又はカルバモイル基を表すか、あるいはX1
    よびX2 が一緒になって−CO−O−CO−基又は−C
    O−NH−CO−基を表す)で示される化合物;(b)
    上記式(I)においてX1 およびX2 が窒素を含有しな
    い基である場合には、尿素およびアザポルフィン核を形
    成させる触媒;並びに(c)金属塩化物;を用いて18
    0℃以上で反応させて得られたフタロシアニン100重
    量部、並びに、(2)式(II): 【化2】 (式中、Mは、水素原子またはフタロシアニンと共有結
    合もしくは配位結合し得る原子または化合物を表し、R
    1 〜R8 は、同一または異なって、水素原子または電子
    吸引基を表すが、少なくとも4つは電子吸引基である)
    で示されるフタロシアニン誘導体0.01〜10重量部
    を、(3)フタロシアニンおよびフタロシアニン誘導体
    を溶解する有機酸に溶解した後、貧溶媒によって析出さ
    せて得られる組成物からなるフタロシアニン系光導電性
    組成物。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のフタロシアニン系光導電
    性組成物を含む感光層を有する電子写真感光体。
JP23356992A 1992-09-01 1992-09-01 フタロシアニン系光導電性組成物およびこれを用いた電子写真感光体 Pending JPH0680897A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011084694A (ja) * 2009-10-19 2011-04-28 National Institute Of Advanced Industrial Science & Technology フタロシアニン錯体結晶の製造方法

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