JP3503305B2 - 電子写真感光体 - Google Patents

電子写真感光体

Info

Publication number
JP3503305B2
JP3503305B2 JP29256395A JP29256395A JP3503305B2 JP 3503305 B2 JP3503305 B2 JP 3503305B2 JP 29256395 A JP29256395 A JP 29256395A JP 29256395 A JP29256395 A JP 29256395A JP 3503305 B2 JP3503305 B2 JP 3503305B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
titanyl phthalocyanine
surface potential
potential
light
acid
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP29256395A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH09134025A (ja
Inventor
弘子 栗原
豊史 大橋
慎一 鈴木
英資 藤原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Chemical Corp
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Chemical Corp filed Critical Mitsubishi Chemical Corp
Priority to JP29256395A priority Critical patent/JP3503305B2/ja
Publication of JPH09134025A publication Critical patent/JPH09134025A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3503305B2 publication Critical patent/JP3503305B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Photoreceptors In Electrophotography (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子写真において
使用されるデジタル光入力に適した電子写真感光体に関
するものである。詳しくは、光減衰曲線において閾値を
有し、高表面電位から低表面電位へ遷移させる露光エネ
ルギー変化が小さい電子写真感光体(高γ値感光体)に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】カールソン法をはじめとする電子写真法
は、原稿像をアナログ的に描写することを主眼点におい
て開発されてきた。従って、入力光の明暗を忠実にトナ
ー像の明暗として再現するために、そこで用いられる感
光体としては、入力光量(の対数値)に対して線形に相
似する光電流が流れる特性を有することが求められてき
た。そのため、このような特性(低γ特性)を有する感
光剤を感光体の材料として選択することが原則的であっ
た。そのため、電子写真法の初期段階における単純な光
導電体に近いものからはじまり、セレン(Se)系のア
モルファス状態の感光層や、シリコン(Si)のアモル
ファス層や、Seのアモルファス層と類似するよう作ら
れたZnOの結着層等が、感光体として使用されてき
た。さらに近年では、特に有機半導体を使用したいわゆ
る機能分離型の感光層が感光体として使用されるまでに
展開してきている。ところが、最近、電子写真技術とコ
ンピュータ・通信が結合し、プリンターやファクシミリ
の方式が電子写真記録方式に急激に移行し、また、通常
のコピーマシーンであっても、反転、切りとり、白抜き
等の画像処理を可能とする方式になりつつある。そのた
め、電子写真の記録方式も、従来のPPC用アナログ記
録形式からデジタル記録形式への変更が望まれている。
【0003】また、デジタル記録方式で使用される入力
光源としてArレーザー、He−Neレーザー等の気体
レーザーや半導体レーザー、液晶等のシャッターアレ
イ、LED、ELアレイ等がある。なかでも半導体レー
ザーは小型化、低コスト化が可能であることから現在の
主流となっており、半導体レーザーの発振波長である近
赤外域に高い感度を有する感光剤が必要となる。
【0004】さらに、前記したように、アナログ概念に
基づく伝統的な電子写真法に用いられている感光体は、
低γ特性を有しており、その特性上、コンピューターの
データ出力用のプリンター、または画像をデジタル処理
するデジタルコピー等、入力されたデジタル光信号をデ
ジタル像として描写する必要がある電子写真には不向き
である。即ち、コンピューターや画像処理装置から当該
電子写真装置に達するまでの信号路におけるデジタル信
号の劣化や、書き込み用の光ビームを集光させ、また
は、原稿像を結像させるための光学系による収差までを
も、これらの感光剤を用いた感光体は忠実に描写してし
まい、本来のデジタル画像を再現し得ないからである。
従って、この分野に利用できる高感度でかつ高γ特性を
有するデジタル感光体の提供が強く渇望されている。こ
うした中、特開平1−169454号公報によって、デ
ジタル感光体の概念が開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、この現状に
鑑みなされたもので、デジタル光入力に対して優れた性
能(高γ特性)を有すると共に、繰り返し特性の優れた
高寿命、高安定な感光体を提供することを目的とするも
のである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解
決するために鋭意研究を重ねた結果、フタロシアニンを
特定な結着樹脂、すなわち、酸価度が40〜70mgK
OH/gのポリエステル樹脂に分散させた感光体が、デ
ジタル光入力に対して優れた性能(高γ特性)を有する
と共に、繰り返し特性の優れた高寿命、高安定な感光体
であることを見出し、本発明を完成させた。
【0007】すなわち本発明の要旨は、チタニルフタロ
シアニンを結着樹脂中に分散してなる感光層を導電性支
持上に設けた電子写真感光体であって、該感光体が光減
衰曲線において、帯電直後の初期電位をV 0 (V)、残
留電位として50μJ/cm 2 の光を照射したときの表
面電位をVr(V)とした時の両者の差をΔV(V 0
r )とした時、「95%表面電位」V 95 として、残留
電位にΔVの95%値を加えた表面電位(V 95 =ΔV×
0.95+V r )をとり、「5%表面電位」V 5 とし
て、残留電位にΔVの5%値を加えた表面電位(V 5
ΔV×0.05+V r )をとり、V 95 、V 5 を与える露
光エネルギーを、各々「95%露光エネルギー」E 95
「5%露光エネルギー」E 5 として求め、E 5 /E 95
値が5以下であり、結着樹脂の酸価度が40〜70mg
KOH/gのポリエステル樹脂であることを特徴とする
デジタル光入力用単層型電子写真感光体に存する。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。 <1>チタニルフタロシアニン チタニルフタロシアニンはこれまで様々な結晶形が知ら
れており、電子写真感光体に使用しうるものであれば特
に限定されない。本発明で用いられるチタニルフタロシ
アニンとしては、アモルファス形、α形、β形、C形、
CuKα線によるX線回折スペクトルにおいてブラッグ
角(2θ±0.2°)9.5°、24.1°および2
7.3°にピークを示し、通常、このうち27.3°の
回折ピークの強度が最も強い結晶形等が挙げられる。そ
の中でもアモルファス形、β形及びX線回折スペクトル
においてブラッグ角(2θ±0.2°)9.5°、2
4.1°および27.3°にピークを示す結晶形が好ま
しく、更にX線回折スペクトルにおいてブラッグ角(2
θ±0.2°)9.5°、24.1°および27.3°
にピークを示す結晶形のチタニルフタロシアニンが最も
好ましい。
【0009】チタニルフタロシアニンの合成方法は、モ
ーザー及びトーマスの「フタロシアニン化合物」(MO
SER and THOMAS,“Phthalocy
anine Compounds”)に開示されている
公知の方法等、いずれの方法によってもよい。例えば、
o−フタロニトリルと四塩化チタンを加熱融解またはα
−クロロナフタレンなどの有機溶媒の存在下で加熱する
方法、1,3−ジイミノイソインドリンとテトラブトキ
シチタンをN−メチルピロリドンなどの有機溶媒で加熱
する方法により収率良く得られる。このように合成した
チタニルフタロシアニンには塩素置換体フタロシアニン
が含有されていても良い。また、上記記載の9.5°、
24.1°および27.3°に回折ピークを有するチタ
ニルフタロシアニンの製造法としては、例えば、チタニ
ルフタロシアニンを機械的に摩砕し、水と有機溶剤を加
えて処理する、特開平2−289658号公報記載の方
法等により製造できるが、この方法に限定されるもので
はなく、例えば他の製造方法により製造されたものであ
っても、結晶学的に同じ結晶形に属するものであれば使
用可能である。
【0010】<2>ポリエステル樹脂 本発明で用いられるポリエステル樹脂は、酸価度が40
〜70mgKOH/gの樹脂である。ポリエステル樹脂
の酸価度は40〜70mgKOH/g、好ましくは45
〜70mgKOH/g、更に好ましくは50〜65mg
KOH/gである。酸価度が小さすぎると高γ性を示さ
ず、大きすぎると帯電性が悪くなる。
【0011】本発明のポリエステル樹脂の製造法は限定
されず、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、オルト
フタル酸、ジフェニルメタンジカルボン酸、ナフタレン
ジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸等から選ばれた
1種または2種以上のジカルボン酸成分、p−オキシ安
息香酸、m−オキシ安息香酸、2,6−ナフトエ酸、
2,7−ナフトエ酸、1,4−ナフトエ酸、10−ヒド
ロキシ−デカン酸、8−ヒドロキシ−オクタン酸等から
選ばれた1種または2種以上のヒドロキシカルボン酸化
合物および、エチレングリコール、プロピレングリコー
ル、1,4−ブタンジオール、ヘキサメチレングリコー
ル、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノ
ール及びジエチレングリコール、トリエチレングリコー
ル、ジブタングリコール、トリブタングリコール等のア
ルキレングリコールから選ばれた1種又は2種以上のジ
オール化合物、ハイドロキノン、ジヒドロキシナフタレ
ン、4,4′−ビフェノール、およびビスフェノールA
等のビスフェノールから選ばれた1種又は2種以上のジ
ヒドロキシ化合物を縮重合して得られる。本発明で用い
られるポリエステル樹脂は、酸価度が特定の範囲にある
ことが必要である。酸価度を調整する方法として酸成分
を過剰の条件下で重合する方法、あるいは、ジオール成
分、ヒドロキシ成分を過剰で重合し、重合後ポリエステ
ル樹脂中に残存する水酸基を酸無水物等で修飾しカルボ
ン酸を生成する方法などがある。この時用いられる酸無
水物としては無水コハク酸、無水グルタル酸、無水フタ
ル酸等が挙げられる。また、本発明で用いられるポリエ
ステル樹脂は、構造単位が無作為に結合したランダムポ
リエステルでもよく、また結合に秩序性を持つブロック
コポリエステルでも良い。
【0012】本発明で用いられるポリエステル樹脂は、
エステル結合に関して合目的的な任意の方法によって製
造することができる。これらの方法としては、直接エス
テル化(縮合により生成する水を加熱/共沸等によって
除去する方法、または、適当な縮合剤を使用する方法を
含む)する他に、原料化合物の反応基の少なくとも一方
をその機能誘導体の形で反応させる場合、例えば、カル
ボン酸を酸ハライド(例えば酸クロリド)としジオール
化合物と反応させる場合、ヒドロキシ基をそのアシル誘
導体の形でカルボン酸化合物反応させる場合、その他を
含有するものである。
【0013】ジカルボン酸類とグリコール類との直接エ
ステル化によりポリエステルを製造する場合、加熱によ
り重縮合は進行するが、重合時間の短縮あるいは高分子
量化のため共沸法を用いても良く、p−トルエンスルホ
ン酸等の触媒を用いて良い。重合温度は、100〜25
0℃が好ましく、更に150〜220℃が好ましい。重
合時間は、重合温度、圧力によって変化するが、通常、
1時間〜15時間であり、好ましくは3時間〜8時間で
ある。また、重合中は、分解、架橋等の異常反応を抑制
するため、窒素、アルゴン等の不活性雰囲気下で行うべ
きである。更に、分子量を向上させる必要があるとき
は、反応終期に反応系を減圧下にすること、あるいは、
固相重合を続けて行うこともできる。
【0014】本発明に使用されるポリエステル樹脂は、
結晶化度が高いと溶剤に溶けにくいので、非晶性或いは
低結晶性のポリエステル樹脂が好ましく、更にX線解析
による結晶化度が30%未満のものがよい。数平均分子
量については、500〜100000が好ましく、更に
1000〜50000のものが好ましい。
【0015】ガラス転位温度については、20〜180
℃が好ましく、更に30〜150℃のものが好ましい。
この様なポリエステル樹脂は、上記各単量体を原料とし
て用い、通常の重縮合法で重合させることにより容易に
得られるが、市販品、例えば、東洋紡(株)「バイロ
ン」等もあり、本発明にはこれらの市販品のポリエステ
ル樹脂を用いることも可能である。
【0016】<3>電子写真感光体 本発明のデジタル入力に適した電子写真感光体は、チタ
ニルフタロシアニンを上述のポリエステル樹脂中に分散
させた単層の感光層を導電性気体上に設けることにより
得られる。すなわち、上述の方法で製造されたチタニル
フタロシアニンと本共重合体を溶剤等とともに、ボール
ミル、アトライター等の混練分散機で均一に分散させ、
導電性支持体上に塗布して、感光層を形成させればよ
い。
【0017】チタニルフタロシアニンに対するポリエス
テル樹脂との混合割合は、重量比で1対1〜10程度に
して溶剤とともに混合する。そして、混合されたチタニ
ルフタロシアニンとポリエステル樹脂とを、通常電子写
真感光体に用いられるアルミニウム等の金属、もしく
は、導電処理した紙、プラスティックなどの導電性支持
体上に塗布し、単層型感光層を形成させる。
【0018】塗布液に使用する溶剤は、上記をポリエス
テル樹脂を溶解し、かつ性能を阻害するチタニルフタロ
シアニンの結晶を成長させないものから選択することが
好ましく、この様な性質を有する溶剤として、例えば、
トルエン、キシレン、ミネラルスピリット等の炭化水素
類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルブチルケト
ン、シクロヘキサノン等のケトン類、ジクロロメタン、
ジクロロエタン、トリクロロエタン、クロロベンゼン等
のハロゲン化炭化水素類、テトラヒドロフラン、ジオキ
サン、モノグライム、ジグライム、アニソール等のエー
テル類、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタ
ノール、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、ブチル
セルソルブ、シクロヘキサノール等のアルコール類、酢
酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル等のエステル類、
ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等のアミ
ド類等を挙げることができる。これらの溶剤について
は、1種を単独であるいは2種以上を混合して用いるこ
とができる。
【0019】塗布方法としては、必要ならば上記混合物
にトルエン、シクロヘキサノン等の溶剤を加えて粘度を
調整し、エアードクターコーター、プレートコーター、
ディップコーター、リングコーター、ロッドコーター、
リバースコーター、スプレーコーター、ホットコータ
ー、スクイーズコーター、グラビアコーター等の塗布方
式で被膜形成を行う。塗布後、光導電性層として十分な
帯電電位が付与されるようになるまで乾燥を行う。通
常、乾燥は室温における予備乾燥後、30〜300℃の
温度で1分〜24時間の範囲で行う。
【0020】さらに、感光体の諸特性を改善する目的
で、下引き層、オーバーコート層を設けることも可能で
ある。また、安定性等を改善する目的で酸化防止剤等の
添加剤を加えることもできる。この様にして得られる感
光層の膜厚は5〜50μmの範囲が好ましく、10〜3
0μmの範囲が更に好ましい。本発明の上記のような手
段に従って製造された感光体は、通常、樹脂/光導電性
材料(チタニルフタロシアニン)が重量比で1以上であ
る。従って、例えば、樹脂/光導電材料の重量比が0.
2である酸化亜鉛を用いた従来の感光体の場合に比べ、
樹脂量が多い。よって、被膜の物理的強度があり、可撓
性に富む感光体を実現することができる。
【0021】本発明の感光体は、導電性支持体との接着
性が大きく、耐湿性が良好であり、経時変化が少なく、
毒性上の問題が少なく、製造が容易であり、安価である
等の実用上優れた特徴を有するものである。上記のよう
にして得た本発明の感光体は、通常、正帯電で用いられ
る。また、本発明の感光体は光減衰曲線において閾値を
有し、従来の感光体の場合に比し、特異的な光電流の流
れ方をするためデジタル光入力用感光体として用いるこ
とができる。
【0022】なお、本発明において、「光減衰曲線にお
いて閾値を有する」と言うことは以下のことを意味する
ものとする。即ち光減衰曲線において、帯電直後の初期
電位をVo (V)、残留電位として50μJ/cm2
光を照射したときの表面電位をVr (V)とした時の両
者の差をΔV(Vo −Vr )とする。この時、「95%
表面電位」V95として、残留電位にΔVの95%値を加
えた表面電位(V95=ΔV×0.95+Vr )をとり、
「5%表面電位」V5 として、残留電位にΔVの5%値
を加えた表面電位(V5 =ΔV×0.05+Vr )をと
り、V95,V5を与える露光エネルギーを、各々「95
%露光エネルギー」E95.「5%露光エネルギー」E5
として求め、E5 /E95の値が5以下であることを意味
するものとする。
【0023】すなわち、従来の感光体は、上述したよう
に、入力光量(の対数値)に対して線形に対応した量の
光電流が流れるのに対して、本発明の感光体は、ある入
力光量までは光電流が流れず、或いはごく小量であり、
その光量を越えた直後から急激に光電流が流れ出すもの
である。デジタル記録は、画像階調をドット面積によっ
て表現するため、この記録方式に使用される感光体の光
感度特性は上記のものが好ましい。なぜなら、レーザー
スポットを光学系で正確に変調したとしても、スポット
そのものの光量の分布やハローは原理的に避けられな
い。従って、光エネルギー(入力光量)の変化を段階的
にひろう従来の感光体では光量変化によってドットパタ
ーンが変化し、ノイズとしてカブリの原因になる。従っ
て、本発明の感光体は、デジタル光入力感光体に有利な
感光体である。
【0024】
【実施例】以下、実施例により本発明を説明する。
【0025】<チタニルフタロシアニンの製造例> 製造例1 1,3−ジイミノイソインドリン58g、テトラブトキ
シチタン51gをα−クロロナフタレン300ml中で
210℃にて5時間反応後、150℃で熱ろ過し、α−
クロロナフタレン、ジメチルホルムアミド(DMF)の
順で洗浄した。その後、熱DMF、熱水、メタノールで
洗浄、乾燥して51gのチタニルフタロシアニンを得
た。このチタニルフタロシアニンのX線図は図1に示す
ように、ブラッグ角(2θ±0.2°)9.3°、1
3.2°、26.2°にピークを有するβ形チタニルフ
タロシアニンであった。
【0026】製造例2 製造例1で製造したチタニルフタロシアニン4gを硫酸
400gに0℃で溶解し、この酸溶液を0℃に冷却した
水4Lに滴下した。滴下終了後1時間攪拌し、ろ過した
後、水でろ液が中性となるまで洗浄してチタニルフタロ
シアニン3.1gを得た。このチタニルフタロシアニン
のX線図は図2に示すように、特に鋭いピークを有さな
いアモルファス形であった。
【0027】製造例3 製造例1で製造したチタニルフタロシアニン6gとガラ
スビーズ50gを100mlのポリビンに入れ、ペイン
トシェーカー(レッドデビル社製)で40時間摩砕し
た。その後、メタノールでチタニルフタロシアニンをガ
ラスビーズから分離し、得られたチタニルフタロシアニ
ンを水100mlで洗浄した。このチタニルフタロシア
ニンウエットケーキを水100mlとジクロロベンゼン
10mlの混合溶液に加え1時間攪拌し、ろ過後、メタ
ノールで洗浄し、チタニルフタロシアニン4.3gを得
た。このチタニルフタロシアニンのX線図は図3に示す
ように、ブラッグ角(2θ±0.2°)9.5°、2
4.1°、27.3°にピークを有し、このうち27.
3°の回折ピークの強度が最も強かった。次に、製造例
で得られたチタニルフタロシアニンを感光剤として用い
た本発明の電子写真感光体の実施例を説明する。
【0028】実施例1 製造例1で得られたチタニルフタロシアニン0.25g
をポリエステル樹脂(バイロンGV230、酸価度:5
5mgKOH/g、分子量:3100、東洋紡(株)
製)1.0g、テトラハイドロフラン6.5g、ガラス
ビーズ(直径2mm)12gとともにガラス容器中に密
閉し、ペイントシェーカー(レッドデビル社製)により
4時間分散させ、分散後ガラスビーズを分離し感光体塗
布液を得た。この感光体塗布液を厚さ90μmの脱脂し
たアルミシート上にワイヤーバー法により塗布し、室温
で予備乾燥後、オーブン中で100℃、1時間の乾燥処
理を行った。これにより膜厚15.5μmの感光体を得
た。
【0029】実施例2 実施例1のチタニルフタロシアニンを製造例2で得られ
たチタニルフタロシアニン0.25gに換えた他は実施
例1と同様の処理を行い、膜厚15.8μmの感光体を
得た。
【0030】実施例3 実施例1のチタニルフタロシアニンを製造例3で得られ
たチタニルフタロシアニン0.25gに換えた他は実施
例1と同様の処理を行い、膜厚15.6μmの感光体を
得た。
【0031】実施例4 実施例3のポリエステル樹脂をバイロンGV760、酸
価度:55mgKOH/g、分子量:4000(東洋紡
(株)製)に換えた他は実施例3と同様の処理を行い、
膜厚16.0μmの感光体を得た。
【0032】実施例5 実施例3のポリエステル樹脂をバイロンGV330、酸
価度:56mgKOH/g、分子量:3400(東洋紡
(株)製)に換えた他は実施例3と同様の処理を行い、
膜厚15.5μmの感光体を得た。以下、本発明の各実
施例によるポリエステル樹脂を評価するために用いる比
較例を説明する。
【0033】比較例1 製造例3で得られたチタニルフタロシアニン0.25g
をポリエステル樹脂(バイロン200、酸価度:3.4
mgKOH/g、分子量:20000、東洋紡(株)
製)1.0g、テトラハイドロフラン6.5g、ガラス
ビーズ(直径2mm)12gとともにガラス容器中に密
閉し、ペイントシェーカー(レッドデビル社製)により
4時間分散させ、分散後ガラスビーズを分離し感光体塗
布液を得た。この感光体塗布液を厚さ90μmの脱脂し
たアルミシート上にワイヤーバー法により塗布し、室温
で予備乾燥後、オーブン中で100℃、1時間の乾燥処
理を行った。これにより膜厚16.2μmの感光体を得
た。
【0034】比較例2 比較例1のポリエステル樹脂をバイロンGV700、酸
価度:<3mgKOH/g、分子量:3100(東洋紡
(株)製)に換えた他は比較例1と同様の処理を行い、
膜厚15.5μmの感光体を得た。
【0035】<電子写真感光体の評価>上記で得られた
各実施例及び各比較例の感光体について、光感度特性を
感光体評価装置(シンシア−55、ジェンテック社製)
を用いて評価した。まず、+6.0KVの電圧でコロナ
帯電させ、光強度が異なった780nmの単色光をコロ
ナ帯電させた感光体に各々照射し、各光強度に対する光
減衰時間曲線(照射時間に対する表面電位の特性曲線)
を各々測定した。そして、その曲線から得られた一定時
間照射(ここでは0.075秒)後における表面電位
を、各々光エネルギーに対してプロットした。これを光
減衰曲線とした。
【0036】図4に例示したように、光減衰曲線におい
て、帯電直後の初期電位をVo (V)、残留電位として
50μJ/cm2 照射したときの表面電位をVr (V)
とした時の両者の差をΔV(=Vo −Vr )とする。こ
の時、「95%表面電位」V 95として、残留電位にΔV
の95%値を加えた表面電位(V95=ΔV×0.95+
r )をとり、「5%表面電位」V5 として、残留電位
にΔVの5%値を加えた表面電位(V5 =ΔV×0.0
5+Vr )をとり、V95,V5 を与える露光エネルギー
を、各々、「95%露光エネルギー」E95、「5%露光
エネルギー」E 5 として求め、E5 /E95の値を以下の
評価基準でデジタル記録可能の目途とした。 0<E5 /E95≦5:デジタル記録可能 5<E5 /E95 :アナログ記録 また、0<E5 /E95≦5であるもののうち、E95が小
さいほど光感度がよく、電子写真感光体として優れてい
るといえる。感光体特性の評価結果を表1に示す。
【0037】
【表1】
【0038】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の感光体
は、光入力に対し特異な光電力の流れ方、すなわち、ア
ナログ光であってもデジタル光であってもデジタル信号
として出力できるものである。従って、デジタル記録形
式の電子写真に使用できると共に、従来のPPC(アナ
ログ光入力)用感光体に使用してもエッジのシャープな
高画質画像を実現できるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】製造例1で得たチタニルフタロシアニンのX線
【図2】製造例2で得たチタニルフタロシアニンのX線
【図3】製造例3で得たチタニルフタロシアニンのX線
【図4】光減衰曲線の一例を示す図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 藤原 英資 神奈川県横浜市青葉区鴨志田町1000番地 三菱化学株式会社横浜総合研究所内 (56)参考文献 特開 昭63−187248(JP,A) 特開 昭61−217050(JP,A) 特開 平7−168385(JP,A) 特開 平6−289629(JP,A) 特開 平6−273948(JP,A) 特開 平6−130704(JP,A) 特開 平6−118676(JP,A) 特開 平5−313387(JP,A) 特開 平5−289629(JP,A) 特開 平5−289379(JP,A) 特開 平5−289378(JP,A) 特開 平4−269369(JP,A) 特開 平3−217462(JP,A) 特開 平1−169454(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G03G 5/00

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 チタニルフタロシアニンを結着樹脂中に
    分散してなる感光層を導電性支持体に設けた電子写真感
    光体であって、該感光体が光減衰曲線において、帯電直
    後の初期電位をV 0 (V)、残留電位として50μJ/
    cm 2 の光を照射したときの表面電位をVr(V)とし
    た時の両者の差をΔV(V 0 −V r )とした時、「95
    %表面電位」V 95 として、残留電位にΔVの95%値を
    加えた表面電位(V 95 =ΔV×0.95+V r )をと
    り、「5%表面電位」V 5 として、残留電位にΔVの5
    %値を加えた表面電位(V 5 =ΔV×0.05+V r
    をとり、V 95 、V 5 を与える露光エネルギーを、各々
    「95%露光エネルギー」E 95 、「5%露光エネルギ
    ー」E 5 として求めた時の、E 5 /E 95 の値が5以下で
    あり、かつ結着樹脂酸価度が40〜70mgKOH/
    gのポリエステル樹脂であることを特徴とするデジタル
    光入力用単層型電子写真感光体。
  2. 【請求項2】 チタニルフタロシアニンが、X線回折ス
    ペクトルにおいて、ブラッグ角(2θ±0.2°)9.
    5°、24.1°および27.3°にピークを示すチタ
    ニルフタロシアニンであることを特徴とする請求項1に
    記載の電子写真感光体。
JP29256395A 1995-11-10 1995-11-10 電子写真感光体 Expired - Lifetime JP3503305B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP29256395A JP3503305B2 (ja) 1995-11-10 1995-11-10 電子写真感光体

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP29256395A JP3503305B2 (ja) 1995-11-10 1995-11-10 電子写真感光体

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH09134025A JPH09134025A (ja) 1997-05-20
JP3503305B2 true JP3503305B2 (ja) 2004-03-02

Family

ID=17783393

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP29256395A Expired - Lifetime JP3503305B2 (ja) 1995-11-10 1995-11-10 電子写真感光体

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3503305B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3897292B2 (ja) * 2002-06-27 2007-03-22 株式会社リコー 画像形成装置
JP5768556B2 (ja) * 2011-07-22 2015-08-26 三菱化学株式会社 電子写真感光体、電子写真感光体カートリッジ、および画像形成装置

Also Published As

Publication number Publication date
JPH09134025A (ja) 1997-05-20

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5595846A (en) Phthalocyanine mixed crystal, production method thereof,and electrophotographic photoreceptor
JP3554607B2 (ja) フタロシアニン混晶体の製造方法及びフタロシアニン混晶体
JP3503305B2 (ja) 電子写真感光体
US6150063A (en) Electrophotographic photoconductor and image formation method
JP3146547B2 (ja) フタロシアニン系光導電性組成物の製造方法
JP3539055B2 (ja) 電子写真感光体
JPH07199497A (ja) フタロシアニン感光剤の製造方法
JP3567597B2 (ja) 電子写真感光体
US5804346A (en) Electrophotographic photoreceptor
JP3503304B2 (ja) 電子写真感光体
JP3981096B2 (ja) フタロシアニン混晶体及びその製造方法
JP3535617B2 (ja) 電子写真感光体
JP3539056B2 (ja) 電子写真感光体
JPH09120166A (ja) 電子写真感光体
JP3489296B2 (ja) 電子写真感光体
JP3100429B2 (ja) フタロシアニン系光導電性組成物
JPH06212089A (ja) フタロシアニン系光導電性組成物
JP3211913B2 (ja) フタロシアニン化合物、その製造方法及び該フタロシアニン化合物を用いた電子写真感光体、該電子写真感光体を有する装置ユニット、並びに該電子写真感光体を備えた電子写真装置
JP3473142B2 (ja) 電子写真感光体
JP3473213B2 (ja) 電子写真感光体
JPH07199496A (ja) フタロシアニン感光剤の製造方法
JP3491718B2 (ja) 電子写真感光体
JPH09120167A (ja) 電子写真感光体
JP3150388B2 (ja) フタロシアニン系光導電性組成物
JP3150389B2 (ja) フタロシアニン系光導電性組成物

Legal Events

Date Code Title Description
A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20031201

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20081219

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091219

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091219

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101219

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101219

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111219

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121219

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131219

Year of fee payment: 10

EXPY Cancellation because of completion of term