JP3473213B2 - 電子写真感光体 - Google Patents

電子写真感光体

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JP3473213B2
JP3473213B2 JP24605195A JP24605195A JP3473213B2 JP 3473213 B2 JP3473213 B2 JP 3473213B2 JP 24605195 A JP24605195 A JP 24605195A JP 24605195 A JP24605195 A JP 24605195A JP 3473213 B2 JP3473213 B2 JP 3473213B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子写真業界にお
いて使用される光入力に対してデジタル的に反応する電
子写真感光体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】カールソン法をはじめとする電子写真法
は、原稿像をアナログ的に描写することを主眼点におい
て開発されてきた。従って、入力光の明暗を忠実にトナ
ー像の明暗として再現するために、そこで用いられる感
光体としては、入力光量(の対数値)に対して線形に相
似する光電流が流れる特性を有することが求められてき
た。そのため、原則的にこのような特性(低γ特性)を
有する感光体が選択されてきた。
【0003】そのため、電子写真法の初期段階における
単純な光導電体に近いものからはじまり、セレン(S
e)系のアモルファス層や、シリコン(Si)のアモル
ファス層や、Se系のアモルファス層と相似すべく作ら
れた酸化亜鉛(ZnO)の結着層等が、感光体として使
用されてきた。更に近年では、特に有機半導体を使用し
たいわゆる機能分離型の感光体が使用されるまでに展開
してきている。ところが、近年、電子写真技術とコンピ
ュータ技術が結合し、プリンタやファクシミリ記録の方
式が電子写真記録方式に急激に移行し、また、通常のコ
ピーマシーンであっても、反転、切取り、白抜き等の画
像処理を可能とする方式になりつつある。そのため、電
子写真の記録方式も、従来のPPC用アナログ記録形式
からデジタル記録形式への変更が望まれている。
【0004】しかしながら、前記した様に、アナログ概
念に基づく伝統的な電子写真法に用いられる感光体は、
低γ特性を有しており、その特性上、コンピュータのデ
ータ出力用のプリンタ、または画像をデジタル処理する
デジタルコピー等、入力されたデジタル光信号をデジタ
ル像として描写する必要がある電子写真には不向きであ
る。すなわち、コンピュータや画像処理装置から当該電
子写真装置に達するまでの信号路におけるデジタル信号
の劣化や、書き込み用の光ビームを集光させ、または、
原稿像を結像させるための光学系による収差までをも、
これらの感光剤を用いた感光体は忠実に描写してしま
い、本来のデジタル画像を再現し得ないからである。従
って、この分野に利用できる高γ特性(入力光量がある
閾値を超えると急激に光電流が流れる特性)を有する感
光体の提供が強く渇望されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】こうした中、特開平1
−169454号公報には、デジタル光入力用感光体の
概念が開示されている。しかしながら、このデジタル光
入力感光体に使用できる材料に関しては、具体的に述べ
られていない。本発明は、このような現状に鑑みなされ
たもので、デジタル光入力に対して優れた性能を有する
と共に、繰り返し特性の優れた高寿命、高安定な電子写
真感光体を提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記課題を
解決するために鋭意研究を重ねた結果、特定の結晶型を
有する無金属フタロシアニンを硬化型フッ素樹脂からな
る結着剤中に分散させた感光層を導電性基体上に設けた
電子写真感光体が、デジタル光入力に対して優れた性能
を有すると共に、繰り返し特性の優れた高寿命、高安定
なものであることを見出し、本発明を完成させた。
【0007】 すなわち本発明の第1の要旨は、フタロ
シアニンを結着剤中に分散させた感光層を導電性基体上
に設けた単層型電子写真感光体において、前記結着剤が
硬化型フッ素樹脂からなり、前記フタロシアニンがX線
回折スペクトルにおいてブラッグ角(2θ±0.2°)
7.5°、9.1°、16.6°、17.3°、22.
2°、23.8°および28.5°に回折ピークを有す
る無金属フタロシアニンからなることを特徴とする、デ
ジタル光入力電子写真感光体である。
【0008】 本発明の第2の要旨は、電子写真感光体
の光減衰曲線において、使用する装置における帯電直後
の初期電位をVo(V)、残留電位として50μJ/c
2 照射したときの表面電位をVr(V)とした時の両
者の差をΔV(=Vo−Vr)とした時、95%表面電
位V 95 として残留電位にΔVの95%値を加えた表面電
位(V 95 =ΔV×0.95+Vr)をとり、5%表面電
位V 5 として残留電位にΔVの5%値を加えた表面電位
(V 5 =ΔV×0.05+Vr)をとり、V 95 、V 5 を与
える露光エネルギーを各々、95%露光エネルギー
95 、5%露光エネルギーE 5 として求めたとき、E 5
95 の値が5以下を有することを特徴とする前記の電子
写真感光体である。更に本発明の第3の要旨は、前記フ
ッ素樹脂が、硬化状態または未硬化状態であることを特
徴とする電子写真感光体である。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の電子写真感光体は、特定のフタロシアニンを硬
化型フッ素樹脂からなる結着剤中に分散させた感光層を
導電性基体上に設けた構成をとる。本発明の電子写真感
光体において結着剤を構成するフッ素樹脂は、フッ素原
子及び後述する硬化剤と反応性を有する官能基、例え
ば、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アミノ基、グリ
シジル基を有する樹脂であって、一般的には、フッ素原
子を有するエチレン性不飽和単量体とフッ素原子を有し
ないエチレン性不飽和単量体との共重合体が用いられ
る。
【0010】フッ素原子を有するエチレン性不飽和単量
体としては、テトラフルオロエチレン、トリフルオロエ
チレン、フッ化ビニリデン、フッ化ビニル、モノクロロ
トリフルオロエチレン、1−クロロ−2,2−ジフルオ
ロエチレン、1,1−ジクロロ−2,2−ジフルオロエ
チレン、ビニリデンクロロフルオライド、ヘキサフルオ
ロプロペン、3,3,3,2−テトラフルオロプロペ
ン、トリフルオロフルオロメチルエチレン、2−フルオ
ロプロペン、2−クロロ−1,1,3,3,3−ペンタ
フルオロプロペン、1,1,2−トリクロロ−3−トリ
フルオロプロペン、パーフルオロ−1−ブテン、パーフ
ルオロ−1−ペンテン、パーフルオロブチルエチレン、
パーフルオロ−1−ヘプテン、パーフルオロ−1−ノネ
ン、パーフルオロヘキシルエチレン、パーフルオロオク
チルエチレン、パーフルオロデジルエチレン、パーフル
オロドデシルエチレン等の含フッ素オレフィン、トリフ
ルオロエチル(メタ)アクリレート、テトラフルオロプ
ロピル(メタ)アクリレート、ヘキサクロロブチル(メ
タ)アクリレート、オクタフルオロペンチル(メタ)ア
クリレート、ヘプタデカフルオロノニル(メタ)アクリ
レート、ヘプタデカフルオロデシル(メタ)アクリレー
ト等のフルオロアルキル(メタ)アクリレート、アルキ
ルビニルエーテルの水素原子の一部または全部がフッ素
原子で置換されているフッ化アルキルビニルエーテル、
脂肪酸ビニルエステルの水素原子の一部または全部がフ
ッ素原子で置換されているフッ化脂肪酸ビニルエステル
等が挙げられ、この様なフッ素原子を有するエチレン性
不飽和単量体の1種または2種以上を硬化型フッ素樹脂
の原料とすることができる。
【0011】また、上記フッ素原子を有するエチレン性
不飽和単量体と共重合して硬化型フッ素樹脂(共重合
体)をつくるフッ素原子を有しないエチレン性不飽和単
量体としては、硬化剤との反応性を有する官能基、例え
ば、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アミノ基、グリ
シジル基を有するエチレン性不飽和単量体、例えば、ヒ
ドロキシアルキルビニルエーテル、ヒドロキシアルキル
アリルエーテル、アリルアルコール、ヒドロキシアルキ
ル(メタ)アクリレート、アクリル酸、メタアクリル
酸、グリシジルアリルエーテル、グリシジルビニルエー
テル等を挙げることができる。更に、この様なフッ素原
子を有しないエチレン性不飽和単量体としては、上記単
量体の他に、硬化剤との反応性を有する官能基を共重合
体に導入することができ、且つ、物理的性質を調整する
目的で共重合体に導入することができるエチレン性不飽
和単量体、例えば、上記官能基を有しないビニルエーテ
ル類、アリルエーテル類、ビニルエステル類、アリルエ
ステル類、オレフィン等を挙げることができる。
【0012】本発明の硬化型フッ素樹脂の原料として
は、上記フッ素原子を有しないエチレン性不飽和単量体
の1種または2種以上が各種目的に応じて選択され用い
られる。また、本発明に用いるフッ素樹脂の原料とし
て、物理的性質を調製する目的で共重合体に導入するこ
とができるフッ素樹脂を有しないエチレン性不飽和単量
体を用いてもよい。
【0013】本発明に用いる硬化型フッ素樹脂は、原料
として上述した各種フッ素原子を有するエチレン性不飽
和単量体とフッ素原子を有しないエチレン性不飽和単量
体を用いるが、これらのうちでも、フッ素原子を有する
エチレン性不飽和単量体としてフルオロオレフィンを、
かつフッ素原子を有しないエチレン性不飽和単量体とし
てビニルエーテル類、ビニルエステル類を用いたものが
好ましく、更に、フッ素原子を有しないエチレン性不飽
和単量体としてヒドロキシル基を有するビニルエーテル
類、ビニルエステル類を用いたものがより好ましい。
【0014】本発明に用いる硬化型フッ素樹脂におい
て、上記フッ素原子を有するエチレン性不飽和単量体成
分の共重合体総量に占める割合としては、25〜75モ
ル%であることが好ましく、40〜60モル%であるこ
とがより好ましい。この様なフッ素樹脂は、上記各単量
体を原料として用い、通常の重合方法で共重合させるこ
とにより容易に得られるが、市販品、例えば、セントラ
ル硝子(株)「セフラルコート」、旭硝子(株)「ルミ
フロン」等もあるので、本発明にはこれらの市販品のフ
ッ素樹脂を用いることも可能である。
【0015】この様にして得られる上記フッ素樹脂は、
硬化剤との反応により、以下に述べる特定のフタロシア
ニンを分散した状態で架橋硬化して、本発明の電子写真
感光体の感光層となるが硬化剤を添加せず単独で用いる
ことも可能である。本発明の電子写真感光体に用いられ
る無金属フタロシアニンはCu−Kα線の粉末X線回折
スペクトルにおいてブラッグ角(2θ±0.2°)7.
5°、9.1°、16.6°、17.3°、22.2
°、23.8°および28.5°に回折ピークを有し、
特に、7.5°のピークの強度が最も強度であるものが
好ましい。この結晶型は通常、α型無金属フタロシアニ
ンを機械的摩砕することにより製造されるもので、米国
特許明細書第3357989号等の方法により目的の結
晶型を得ることができる。また、本発明で使用される結
晶型無金属フタロシアニンは、上記製法によるものに限
定されるものではなく、例えば他の結晶型からも適当な
処理により製造可能であっても、結晶学的に同じ結晶型
に属するものであれば包含するものである。
【0016】本発明の電子写真感光体は、導電性基体上
に、上記フタロシアニンを硬化型フッ素樹脂からなる結
着剤中に分散させた状態の層のみを感光層として設ける
ことにより得られる。上記導電性基体としては、金属
板、金属ドラム、または導電ポリマー、酸化インジウム
等の導電性化合物もしくはアルミニウム、パラジウム、
金等の金属よりなる導電性薄層を塗布、蒸着、ラミネー
ト等の手段により、紙、プラスチック、フィルムなどの
基体に設けたものが用いられる。
【0017】この様な導電性基体上にフタロシアニンの
分散した硬化型フッ素樹脂からなる感光層を設ける方法
としては、上記方法で製造されたフタロシアニンとフッ
素樹脂とを溶剤に溶解し、必要により硬化剤、例えば、
触媒、酸化防止剤等の添加剤を加えて、均一に分散させ
て得られる感光層塗布液を導電性基体上に塗布、乾燥、
必要により硬化する方法等を挙げることができる。
【0018】上記感光層塗布液に配合される、フタロシ
アニンと硬化型フッ素樹脂との混合割合は、通常、重量
比で5:95〜50:50であり、好ましくは10:9
0〜40:60である。このように電子写真感光体にお
いて、感光層中のフタロシアニン(光導電性材料)に対
するフッ素樹脂(結着剤)の配合割合を重量比で1以上
とすることにより、従来の感光層、例えば、光導電性材
料として酸化亜鉛を用いた感光層の場合の光導電性材料
(酸化亜鉛)に対する結着剤樹脂の重量比が0.2であ
るのに比べ、感光層中の結着剤樹脂の割合が多く、従っ
て、被膜の物理的強度があり、可撓性に富む電子写真感
光体とすることができる。
【0019】感光層塗布液に使用する溶剤は、前記フッ
素樹脂を溶解し、かつ性能を阻害するフタロシアニンの
結晶が成長しないものから選択することが好ましく、こ
の様な性質を有する溶剤として、例えば、トルエン、キ
シレン、ミネラルスピリット等の炭化水素類、アセト
ン、メチルエチルケトン、メチルブチルケトン、メチル
イソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、ジ
クロロメタン、ジクロロエタン、トリクロロエタン、ト
リクロロエチレン、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化
水素類、テトラヒドロフラン、ジオキサン、モノグライ
ム、ジグライム、アニソール等のエーテル類、メタノー
ル、エタノール、プロパノール、ブタノール、メチルセ
ロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、シク
ロヘキサノール等のアルコール類、酢酸エチル、酢酸プ
ロピル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、ブチルセ
ロソルブアセテート等のエステル類、ジメチルホルムア
ミド、N−メチルピロリドン等のアミド類等を挙げるこ
とができる。これらの溶剤については、1種を単独であ
るいは2種以上を混合して用いることができる。
【0020】また、感光層塗布液に前記フッ素樹脂及び
フタロシアニンと共に、フッ素樹脂を架橋硬化させる為
に硬化剤を添加することも可能である。この様な硬化剤
としては、例えば、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹
脂、グリコールウリル樹脂、ポリイソシアネート、グリ
オキザール等の活性基を2つ以上有する化合物が挙げら
れる。塗布液中への硬化剤の配合量は、硬化条件、硬化
剤の官能基の量、種類により異なるが、一般に硬化剤の
官能基と硬化型フッ素樹脂の官能基がモル比(硬化剤官
能基/硬化型フッ素樹脂官能基)で0〜5の範囲で用い
られる。
【0021】感光層塗布液の調整は、溶剤に上記各成分
を投入し、ボールミル、アトライター、ホモミキサー、
サンドミル、ペイントミキサー、ディスパーザー、超音
波分散器等の混練分散機を用いて、前記フッ素樹脂、必
要に応じて硬化剤、添加剤を溶解、フタロシアニンを分
散させることで行われる。得られた感光層塗布液は、導
電性基体上に、浸漬コーティング法、スプレーコーティ
ング法、スピンナーコーティング法、ビートコーティン
グ法、ワイヤーバーコーティング法、ブレードコーティ
ング法、ローラーコーティング法、カーテンコーティン
グ法等の各種コーティング法を用いて塗布される。
【0022】乾燥及び必要に応じて硬化は、室温におけ
る予備乾燥後、加熱による方法が好ましい。加熱は、3
0〜300℃の温度で1分〜6時間の範囲で、静止また
は送風下で行うことができる。この処理はまた、不活性
ガス中、または真空中で行うこともできる。この様にし
て得られる感光層の膜厚は、5〜50μmの範囲が好ま
しく、10〜30μmの範囲がさらに好ましい。
【0023】また、本発明の電子写真感光体は、上記の
様にして得られる導電性基体上に直接、感光層を積層し
た構造の電子写真感光体の他に、導電性基体、感光層間
の接着性の改良やキャリア注入を阻止する目的で、ポリ
アミド樹脂、ポリビニルアルコール、セルロースなどの
有機高分子や、酸化アルミニウム等からなる下引き層を
導電性基体と感光層の間に有する電子写真感光体、物理
的、化学的に感光層表面を保護する目的で、アクリル樹
脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、フッ素樹脂、シ
リコン樹脂等からなる保護層を感光層表面に有する電子
写真感光体、上記下引き層、保護層の両者を有する電子
写真感光体等であってもよい。
【0024】上記の様にして得られる本発明の電子写真
感光体は正帯電で用いられ、従来の電子写真感光体に比
べ、特異的な光電流の流れ方をするため、デジタル光入
力用感光体として用いることができる。すなわち、従来
の感光体は、上述したように、入力光量(の対数値)に
対して線形に対応した量の光電流が流れるのに対して、
本発明の感光体は、ある入力光量までは光電流が流れ
ず、あるいは流れても極く少量であり、閾値となる入力
光量を越えた直後から急激に光電流が流れ出す。これ
は、画像階調をドット面積によって表現するようなデジ
タル記録方式の電子写真感光体に要求される光感度特性
と一致するものである。
【0025】なぜなら、レーザースポットを光学系で正
確に変調したとしても、高度な収差補正をしない限り、
光学系は必然的に収差を伴う。従って、光学系のスポッ
トそのものに光量の分布が生じること、及びハローが生
じること等は、原理的に避けられない。そのため、光エ
ネルギー(入力光量)の変化を段階的にひろう従来の電
子写真感光体では光量変化によってドットパターンの濃
度が変化し、また、わずかなスポットのにじみによって
もドットパターンの外縁が変化する。以上のドットパタ
ーンの変化が、ノイズとしてカブリの原因になるのであ
る。本発明の特定のフタロシアニンを用いた電子写真感
光体は、この様なドットパターンの変化をキャンセルす
ることができるので、有効なデジタル光入力感光体であ
る。
【0026】なお、本発明において「閾値を有する」と
は、後述の実施例における測定法で感光体のE5 /E95
が5以下の状態を示す。また、上記の様にして製造され
る本発明の電子写真感光体は、感光層と導電性基体との
接着性が大きく、耐湿性が良好であり、経時変化が少な
く、毒性上の問題も少なく、製造が容易であり、安価で
ある等の実用上優れた特徴を有するものである。
【0027】
【実施例】以下、実施例により本発明を説明する。はじ
めに、本発明に用いるフタロシアニンの製造例を説明す
る。 製造例 市販の無金属フタロシアニン10gを0℃に冷却した硫
酸150g中に加え、引き続き0℃で1時間攪拌した。
フタロシアニンが完全に溶解したことを確認した後、0
℃に冷却した水800ml中に添加した。室温で2時間
攪拌後、析出したフタロシアニンを混合液より濾別し、
メタノール、水の順で洗浄した。洗浄水の中性を確認し
た後、洗浄水よりフタロシアニンを濾別し、乾燥してα
型無金属フタロシアニンを得た。粉末X線回折図を図2
に示す。
【0028】上記により得られた無金属フタロシアニン
をメノウ製遊星ボールミルにより200rpmで20時
間磨砕処理を行った。この様にして得られた無金属フタ
ロシアニンのX線回折図を図1に示す。図1より明らか
なようにブラッグ角(2θ±0.2°)7.5°、9.
1°、16.6°、17.3°、22.2°、23.8
°および28.5°に回折ピークを有する。
【0029】これらのX線回折図は次の条件で測定し
た。 管電圧:40KV 管電流:200mA ターゲット:Cu−Kα線 発散スリット:1° 散乱スリット:1° 受光スリット:0.2mm ステップ角度:0.06° 計数時間:1秒
【0030】実施例1 製造例で得られた無金属フタロシアニン1.0g、硬化
型フッ素樹脂(セフラルコートA−202B、セントラ
ル硝子(株)製)6.4g、メラミン(ニカラックMW
−30、(株)三和ケミカル製)0.8g、トルエン2
0.0g、ガラスビーズ(直径2mm)24gと共に硝
子容器中に密閉し、ペイントシェーカーにより、4時間
分散させ、分散後ガラスビーズを分離し感光体塗布液を
得た。この感光体塗布液を厚さ90μmの脱脂したアル
ミシート上にワイヤーバー法により塗布し、室温で予備
乾燥後、オーブン中で100℃、1時間、その後200
℃で10分の乾燥硬化処理を行うことにより膜厚15.
5μmの電子写真感光体を得た。
【0031】実施例2 実施例1のフッ素樹脂を6.4gから6.7gに変更
し、メラミン0.8gをイソシアネート(コロネートH
X、日本ポリウレタン工業(株)製)0.7gに換え、
触媒としてジブチルチンジラウレート0.1mgを加え
同様の処理により感光体塗布液を得た。この塗布液を厚
さ90μmの脱脂したアルミシート上にワイヤーバー法
により塗布し、室温で予備乾燥後、オーブン中で100
℃、1時間の加熱硬化処理を行い、膜厚16.2μmの
電子写真感光体を得た。
【0032】実施例3 実施例1のフッ素樹脂をセフラルコートA−202Bか
らルミフロンLF100(旭硝子(株)製)に換えた以
外は同様の方法により膜厚15.8μmの電子写真感光
体を得た。 実施例4 実施例2のフッ素樹脂をセフラルコートA−202Bか
らルミフロンLF400(旭硝子(株)製)に換えた以
外は同様の方法により膜厚16.5μmの電子写真感光
体を得た。
【0033】実施例5 実施例1においてフッ素樹脂を6.4gから8.0gに
変更し、メラミン(ニカラックMW−30、(株)三和
ケミカル製)を除き、他は同一の方法で塗布し、室温で
予備乾燥後、オーブン中で80℃、20時間の乾燥処理
を行い、膜厚16.3μmの電子写真感光体を得た。
【0034】比較例1 製造例で得られた無金属フタロシアニン1.0g、ポリ
エステル樹脂(アルマテックスP645、三井東圧化学
(株)製)5.0g、メラミン樹脂(ユーバン20H
S、三井東圧化学(株)製)1.4g、トルエン20.
0g、ガラスビーズ(直径2mm)24gと共に硝子容
器中に密閉し、実施例1と同様の方法で分散、塗布し、
室温で予備乾燥後、オーブン中で200℃3時間の乾
燥、硬化を行い膜厚15.8μmの電子写真感光体を得
た。
【0035】比較例2 実施例1の無金属フタロシアニンの替わりに製造例の中
間物質であるα型フタロシアニンを用い同様の方法で膜
厚15.3μmの電子写真感光体を得た。 〈電子写真感光体の評価〉上記で得られた各実施例及び
各比較例の電子写真感光体について、光感度特性及び繰
り返し特性を感光体評価装置(シンシア−55、ジェン
テック社製)を用いて評価した。
【0036】(1)感光体特性 上記各電子写真感光体を+6.0kVの電圧でコロナ帯
電させ、これに光強度が異なった780nmの単色光を
照射し、各光強度に対する光減衰時間応答曲線(照射時
間に対する表面電位の特性曲線)を各々測定し、その曲
線から得られた一定時間照射(ここでは0.075秒)
後における表面電位を、各々光エネルギーに対してプロ
ットし、図3に例示した。これを光減衰曲線と称する。
【0037】光減衰曲線において、使用する装置におけ
る帯電直後の初期電位をVo(V)、残留電位として5
0μJ/cm2 照射したときの表面電位をVr(V)と
した時の両者の差をΔV(=Vo−Vr)とする。この
時、「95%表面電位」V95として、残留電位にΔVの
95%値を加えた表面電位(V95=ΔV×0.95+V
r)をとり、「5%表面電位」V5 として、残留電位に
ΔVの5%値を加えた表面電位(V5 =ΔV×0.05
+Vr)をとり、V95、V5 を与える露光エネルギー
を、各々、「95%露光エネルギー」E95、「5%露光
エネルギー」E5をとして求め、E5 /E95の値を以下
の評価基準でデジタル記録可能の目途とした。特にE5
/E95の比が5以下のものが閾値を有すると考えられ
る。
【0038】0<E5 /E95≦5:デジタル記録可能 5<E5 /E95:アナログ記録 また、0<E5 /E95≦5であるもののうちでも、E95
が小さい程、光感度がよく電子写真感光体として優れて
いるといえる。
【0039】(2)繰り返し特性 評価プロセスは、各電子写真感光体について、プラス
帯電(+6.0kV)、露光(780nm、20μJ
/cm2 )、マイナス帯電(−5.3kV)、イレ
ース光(200lux、タングステンランプ)の繰り返
しで行い、プラス帯電直後の初期電位V0 を各繰り返し
回数毎に測定し、V0 が10%以上変動するまでの回数
Nを記録した。上記評価の結果を表1に示す。
【0040】
【表1】
【0041】この結果から明らかなように、比較例の電
子写真感光体のE5 /E95が5よりはるかに大きくアナ
ログ記録にしか適さないのに対し、本発明の実施例で得
られた電子写真感光体は、E5 /E95の値が上記デジタ
ル記録可能な範囲であり、デジタル光入力用感光体とし
て使用可能である。また、繰り返し特性についても、比
較例の電子写真感光体に比べ、実施例の電子写真感光体
が数倍以上優れている。
【0042】
【発明の効果】特定のフタロシアニンをフッ素樹脂によ
り結着し、薄層化した感光層を有する本発明の電子写真
感光体は、繰り返し安定性に優れる。また、本発明の電
子写真感光体は、光入力に対して特異な光電力の流れ方
を示すことができる。すなわち、光電流の(ある閾値に
対する)大小に従ってデジタル的に光電流を流す。従っ
て、デジタル記録形式の電子写真に使用するデジタル光
入力感光体として適している。
【0043】なお、本発明の電子写真感光体は、入力光
がアナログ光であっても、それをA/D変換してデジタ
ル信号として出力することができる。従って、従来のP
PC(アナログ光入力)用感光体としてもエッジのシャ
ープな高画質画像を実現できるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に用いる無金属フタロシアニンのX線回
折図。
【図2】α型無金属フタロシアニン(比較例)のX線回
折図。
【図3】光減衰曲線の例。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 大橋 豊史 神奈川県横浜市青葉区鴨志田町1000番地 三菱化学株式会社 横浜総合研究所内 (72)発明者 藤原 英資 神奈川県横浜市青葉区鴨志田町1000番地 三菱化学株式会社 横浜総合研究所内 (56)参考文献 特開 平7−228793(JP,A) 特開 平5−313387(JP,A) 特開 平5−289379(JP,A) 特開 平4−328170(JP,A) 特開 平2−250061(JP,A) 特開 平2−233769(JP,A) 特開 平1−169454(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G03G 5/00

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 フタロシアニンを結着剤中に分散させた
    感光層を導電性基体上に設けた単層型電子写真感光体に
    おいて、前記結着剤が硬化型フッ素樹脂からなり、前記
    フタロシアニンがX線回折スペクトルにおいてブラッグ
    角(2θ±0.2°)7.5°、9.1°、16.6
    °、17.3°、22.2°、23.8°および28.
    5°に回折ピークを有する無金属フタロシアニンからな
    ることを特徴とする、デジタル光入力電子写真感光体。
  2. 【請求項2】 電子写真感光体の光減衰曲線において、
    使用する装置における帯電直後の初期電位をVo
    (V)、残留電位として50μJ/cm 2 照射したとき
    の表面電位をVr(V)とした時の両者の差をΔV(=
    Vo−Vr)とした時、95%表面電位V 95 として残留
    電位にΔVの95%値を加えた表面電位(V 95 =ΔV×
    0.95+Vr)をとり、5%表面電位V 5 として残留
    電位にΔVの5%値を加えた表面電位(V 5 =ΔV×
    0.05+Vr)をとり、V 95 、V 5 を与える露光エネ
    ルギーを各々、95%露光エネルギーE 95 、5%露光エ
    ネルギーE 5 として求めたとき、E 5 /E 95 の値が5以下
    を有することを特徴とする請求項1に記載の電子写真感
    光体。
  3. 【請求項3】 前記フッ素樹脂が、硬化状態または未硬
    化状態であることを特徴とする請求項1または2記載の
    電子写真感光体。
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