JPH0671823A - 積層包装材 - Google Patents

積層包装材

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JPH0671823A
JPH0671823A JP5200609A JP20060993A JPH0671823A JP H0671823 A JPH0671823 A JP H0671823A JP 5200609 A JP5200609 A JP 5200609A JP 20060993 A JP20060993 A JP 20060993A JP H0671823 A JPH0671823 A JP H0671823A
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ethylene
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昭彦 川崎
Taichi Negi
太一 祢▲ぎ▼
Haruyoshi Yasuzawa
晴嘉 安沢
Nobuo Tanaka
信雄 田中
Shuji Kawai
収治 川井
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 ガス遮断性を有する薄膜を中間層とし、該中
間層の両側に表面層を有し、該表面層の少なくとも片方
が熱シール可能な熱可塑性樹脂層であり、該各層が接着
性樹脂層を介して配されてなる積層包装材において、該
中間層がエチレン含量25〜60モル%、酢酸ビニル成
分のケン化度95%以上のエチレン−酢酸ビニル共重合
体ケン化物95〜50重量部、エチレン含量60〜99
モル%のエチレン−カルボン酸ビニルエステル共重合体
またはエチレン−アクリル酸エステル共重合体5〜50
重量部およびハイドロタルサイト系化合物0.01〜3
重量部からなることを特徴とする、耐屈曲疲労性と気体
遮断性に優れたフレキシブル積層包装材。 【効果】 耐屈曲疲労性に優れ、フレキシブルで、気体
遮断性に優れている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はきわめて激しい屈曲疲労
によっても高度な気体遮断性が低下することのないフレ
キシブル積層包装材に関する。
【0002】
【従来の技術】フレキシブル積層包装材の機能は、基本
的には被包装物の保存性、すなわち変質防止であり、そ
のために、該包装材にあっては、特に輸送振動強度、耐
屈曲疲労性が要求され、就中、所謂バッグインボックス
またはバッグインカートン(以下これらを総称してバッ
グインボックスという)(折り畳み可能なプラスチック
の薄肉内容器と積み重ね性、持ち運び性、印刷適性を有
する外装段ボール箱とを組合せた容器)の内容器として
用いられる場合には、高度の該特性が要求される。該包
装材は、各種プラスチック・フィルムがそれぞれの素材
の特性を活かして積層されて用いられるが、たとえば機
械的強度を保持するための基材フィルムと熱シール可能
な素材との組合せが最も一般的であり、被包装物の要請
に応じて、素材が選択される。就中、基材フィルムの酸
素等のガス遮断性では、不満足な用途については、さら
に高度なガス遮断性を有するバリヤー層を基材層上に設
け、このバリヤー層を中間層としてヒートシール可能な
素材を、少なくとも一外層となる如く熱可塑性樹脂層を
積層する方法が採用される。
【0003】たとえば従来のバッグインボックス内容器
の材質の基本は、必ずヒートシール部分があるので、ヒ
ートシール可能なポリエチレン、特に軟質ポリエチレン
を主体としているが、バッグインボックスの特徴である
折畳み可能であること、内容物が液体であること等から
物理的強度、前述の如く、特に輸送振動強度、耐屈曲疲
労性が求められ、このために耐ストレスクラック性が良
好であること等と相俟って、エチレン−酢酸ビニル共重
合体樹脂がより好ましく用いられている。さらに要求性
能の高度化に伴って、酸素等のガス遮断性が要求される
場合には、ナイロンフィルム、サランコート・ナイロン
フィルム、アルミ蒸着ナイロンフィルム、アルミ蒸着ポ
リエステルフィルム等を組合せた該内容器が実用化され
始めている。高度なガス遮断性を付与するためには、エ
チレン−酢酸ビニル共重合体けん化物(以下EVOHと
記す。)、ポリ塩化ビニリデン、アルミ箔などが用いら
れる。
【0004】しかしこれらはガス遮断性については優れ
るが、機械的強度は一般に低く、特に屈曲疲労に耐えら
れるものではない。従って、機械的強度の優れた基材層
とヒートシール可能な素材の間に積層されて用いられる
が、なおたとえばバッグインボックス内容器の構成材と
して用いた場合、該構成材にピンホール、クラックなど
を生じたり、該構成材にピンホールを生じない段階にお
いてさえ、中間層として用いた該バリヤー層に生ずるク
ラックやピンホール等に起因してバリヤー性の低下を生
ずるなどのため、はげしい屈曲疲労に対して、優れた気
体遮断性を保持することができず、実用的に満足なもの
は見出されていない。ポリ塩化ビニリデン樹脂を主体と
する層、アルミ箔、金属などの蒸着樹脂層などをバリヤ
ー層とする積層包装材についての挙動は、たとえば特開
昭55−7477号公報に示されている。
【0005】すなわち実際に該包装材を使用し、包装さ
れた包装体の輸送、取扱後のガス遮断性が必ずしも満足
出来るものでなく、最も必要性の高い二次流通後の実用
保存性がしばしば裏切られるのは、中間層に位置する該
バリヤー層の損傷に起因する。ガス遮断性向上のために
設ける中間層の素材としては、EVOH樹脂が最も優れ
ており、各種の多層フィルム、多層構造をもつ容器のバ
リヤー材として好んで用いられる。これはこの樹脂が抜
群のガスバリヤー性を有するだけでなく、透明性、耐油
性、印刷性、成形性などにもすぐれていて、基材樹脂の
特性を損うことがないというきわめて有利な性質をもつ
からである。しかるに耐屈曲疲労性を特に要求される分
野には、積層包装材のバリヤー層としてEVOH樹脂が
満足に用いられている例はみられない。就中、前述の如
く輸送振動による屈曲疲労に耐えることが強く求められ
ている酸素等の気体遮断性を有するバッグインボックス
の内容器にEVOH樹脂が用いられて該要求を満足する
ものは見出されておらず、優れたバリヤー性と輸送振動
に耐える屈曲疲労強度をもったフレキシブル積層包装材
の開発は、重要課題の一つであった。
【0006】また特開昭50−86579号公報にはポ
リオレフィン樹脂層とEVOH層とからなり、少なくと
も一方の層にエチレン−アクリレート共重合体を添加し
て、両層を強固に接着した包装体について記載されてお
り、また特開昭50−69162号公報にはEVOHに
エチレン−酢酸ビニル共重合体を配合した層にポリエチ
レン層またはエチレン−酢酸ビニル共重合体層を積層し
て、両者を強固に接着した積層体について記載されてい
るが、これらの公報には得られた包装体が耐屈曲疲労性
に優れていること、さらにこれをバッグインボックス内
容器の構成材として使用すること、さらにまたEVOH
層の両側の表面層にとくに直鎖状ポリエチレンを設ける
ことによって耐屈曲疲労性の優れた包装材が得られるこ
とについて記載されていない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】EVOHフィルムは前
記優れた諸特性をもっている反面ポリエチレン、ポリプ
ロピレン、ナイロン、熱可塑性ポリエステルなどの熱可
塑性樹脂のフィルムに比べ耐屈曲疲労性に著しく劣ると
いう大きな欠点を有しており、前記屈曲疲労に強い樹脂
層と積層し、中間層としてEVOH樹脂層を用いた複層
フレキシブル包装材において、該包装材の耐屈曲疲労性
は、前記屈曲疲労に強い熱可塑性樹脂が単体で示す耐屈
曲疲労性より顕著に低下し、より少ない屈曲疲労で積層
包装材にピンホールを生ずる。本発明者らは前記のEV
OHフィルムおよび中間層にEVOH層を含む積層包装
材の耐屈曲疲労性をその優れたガスバリヤー性をそこな
うことなく改善し、耐屈曲疲労性と気体遮断性に優れた
フレキシブル積層包装材を開発すべく鋭意検討を進めて
本発明を完成するに至った。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、ガス遮断性を
有する薄膜を中間層とし、該中間層の両側に表面層を有
し、該表面の少なくとも片方が熱シール可能な熱可塑性
樹脂層であり、該各層が接着性樹脂層を介して配されて
なる積層包装材において、該中間層がエチレン含量25
〜60モル%、酢酸ビニル成分のケン化度95%以上の
EVOH95〜50重量部、エチレン含量60〜99モ
ル%のエチレン−カルボン酸ビルエステル共重合体また
はエチレン−アクリル酸エステル共重合体5〜50重量
部およびハイドロタルサイト系化合物0.01〜3重量
部からなることを特徴とする、耐屈曲疲労性と気体遮断
性に優れたフレキシブル積層包装材を提供するものであ
る。
【0009】種々の素材または種々の素材からなる積層
材の耐屈曲疲労性の優劣は、所謂ゲルボフレックステス
ターを用いて行う評価テストにおけるガスバリヤー性低
下の屈曲回数依存性、ピンホール発生に至るまでの屈曲
回数等のデーターから判断することができる。本発明者
らは前記構造の積層フィルムについてゲルボフレックス
テスターを用い屈曲回数とピンホール発生数との関係、
ピンホール発生に至る屈曲回数、ピンホール発生に至る
までの過程における屈曲回数とバリヤー性との関係を測
定した。その結果、おどろくべきことに中間層がEVO
H単体である場合に比べて、ガスバリヤー性はほとんど
低下しないにもかかわらず、耐屈曲疲労性が飛躍的に向
上し、またピンホール発生を見るに至るまでガスバリヤ
ー性は殆ど低下しないことを見出した。したがって本発
明の積層包装材で変質しやすい物品を包装し、これを輸
送する場合でも、ピンホールの発生がみられないので、
被包装物の変質を防止することができる。
【0010】以下本発明を更に詳しく説明する。本発明
に使用されるEVOHはエチレン含量25〜60モル
%、好適には25〜55モル%、酢酸ビニル成分のケン
化度95%以上である。エチレン含量が25モル%以下
になると成形温度が分解温度に近くなり、成形が困難に
なる。エチレン含量が60モル%以上になると、ガスバ
リヤー性が低下し、該包装材のバリヤー性が不満足なも
のとなり好ましくない。また酢酸ビニル成分のケン化度
が95%未満のEVOHは耐屈曲疲労性は向上するもの
の該バリヤー性が低下し、好ましくない。このEVOH
のASTM D−1238−65Tにより190℃で測
定されたメルトインデックス(MI)は0.1〜25g
/10min、好ましくは0.3〜20g/10min
である。
【0011】本発明で使用されるエチレン−カルボン酸
ビニルエステル共重合体のカルボン酸ビニルエステル成
分は一般式CH2=CHOCORで表され、Rが1個な
いし20個の炭素原子を持った直鎖状または分岐状のア
ルキル基である。代表的なカルボン酸ビニルエステルと
しては、例えばギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸
ビニル、ビニルブチレート、ビニルオクタノエート、ビ
ニルドデカノエート、ビニルステアレート、ビニルアラ
キネートなどが挙げられるが、このうち酢酸ビニルが好
適である。
【0012】本発明で用いるエチレン−アクリル酸エス
テル共重合体のアクリル酸エステル成分は一般式CH2
=CHCO2R′で表され、R′が1個ないし20個の
炭素原子を持った直鎖状または分岐状のアルキル基であ
る。代表的なアクリル酸エステルとしては例えばメチル
アクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレ
ート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリ
レート、ドデシルアクリレート、オクタデシルアクリレ
ート、エイコシルアクリレートなどが挙げられるが、メ
チルアクリレート、エチルアクリレートが好適である。
【0013】本発明に使用されるエチレン−カルボン酸
ビニルエステル共重合体またはエチレン−アクリル酸エ
ステル共重合体はエチレン含量が60〜99モル%、好
適には70〜98モル%である。エチレン含量99モル
%以上では耐屈曲性の改善効果に乏しく、70モル%以
下では耐屈曲性の改善効果は大きいもののフィルム成形
においてブツが発生する問題が生じる。
【0014】EVOHとエチレン−カルボン酸ビニルエ
ステル共重合体またはエチレン−アクリル酸エステル共
重合体のブレンドの割合は前者が95〜50重量部、好
適には95〜70重量部、後者が5〜50重量部、好適
には5〜30重量部である。エチレン−カルボン酸ビニ
ルエステル共重合体またはエチレン−アクリル酸エステ
ル共重合体の量が5重量部以下では、耐屈曲疲労性の改
善効果に乏しく、50重量部以上ではガスバリヤー性の
低下が大きく該積層包装材のバリヤー性が不満足なもの
となる。
【0015】さらに本発明においてはハイドロタルサイ
ト系化合物を0.01〜3重量部添加することにより、
熱安定性が改良され、またエチレン−カルボン酸ビニル
エステル共重合体またはエチレン−アクリル酸エステル
共重合体のエチレン含量が60〜70モル%の範囲内に
おいては、それを使用して得たフィルムにはブツの発生
がみられることがあるが、ハイドロタルサイトを添加す
ることにより、該エチレン含量が60〜70モル%の範
囲においてさえ、ブツのないフィルムを得ることができ
る。ハイドロタルサイト系化合物が0.01重量部以下
では熱安定性改善の効果がなく3.0重量部以上ではフ
ィルムに発泡を生じるようになる。ここで、ハイドロタ
ルサイト化合物としては、特に、
【0016】
【化1】
【0017】(MはMg、CaまたはZn、AはCO3
またはHPO4、x、y、z、aは正数)で示される複
塩であるハイドロタルサイト化合物を挙げらることがで
き、そのうち特に好適なものとして次のようなものが例
示できる。
【0018】
【化2】
【0019】
【化3】
【0020】
【化4】
【0021】
【化5】
【0022】
【化6】
【0023】
【化7】
【0024】
【化8】
【0025】本発明においては、金属石けん、鉛塩系化
合物、有機錫系化合物などのポリ塩化ビニル用熱安定
剤、ヒンダートフェノール系化合物、ヒンダートアミン
系化合物、スルフイド系化合物、ホスファイト系化合
物、たとえはチバガイギー製のイルガノックス101
0、1098などのエチレン−カルボン酸ビニルエステ
ル共重合体およびエチレン−アクリル酸エステル共重合
体用熱安定剤などを用いることもできる。
【0026】本発明におけるEVOH、エチレン−カル
ボン酸ビニルエステル共重合体またはエチレン−アクリ
ル酸エステル共重合体、ハイドロタルサイト系化合物の
ブレンド方法は、バンバリーミキサー、単軸あるいは二
軸スクリュー押出機、ブラベンダープラストグラフ等を
用いる方法があるが、各成分を直接各種成形機に供給し
て成形機で混練しながら成形加工してもよい。またこれ
らを混練する際、他の添加剤(各種樹脂、酸化防止剤、
可塑剤、着色剤など)を本発明の作用効果が阻害されな
い範囲内で使用することは自由である。
【0027】次に前記したEVOHの混合物からなる、
ガス遮断性を有する中間層の両側の表面層について述べ
る。この表面層の素材としては直鎖状低密度ポリエチレ
ンが最良であり、これを両側に用いたときに耐屈曲疲労
性が顕著に改善される。
【0028】本発明に使用される直鎖状低密度ポリエチ
レンとは実質的に長鎖分岐を持たない直鎖状の低密度ポ
リエチレンである。一般には長鎖分岐数の定量的な尺度
G=〔η〕b/〔η〕l(〔η〕bは分岐ポリエチレンの
極限粘度、〔η〕lは分岐ポリエチレンと同じ分子量を
持つ直鎖状ポリエチレンの極限粘度)がほぼ1(一般的
には0.9〜1の範囲にあり、1に近い場合が多い)で
あり、密度が0.910〜0.945のものである。
(なお従来の通常の高圧法低密度ポリエチレンのG値は
0.1〜0.6である。)直鎖状低密度ポリエチレンの
製造法は特に制限されない。代表的な製造方法を例示す
れば7〜45kg/cm2の圧力(高圧法低密度ポリエ
チレンの場合は通常2000〜3000kg/c
2)、75〜100℃の温度(高圧法低密度ポリエチ
レンの場合は120〜250℃)で、クロム系触媒また
はチーグラー触媒を用いて、炭素数3以上、好ましくは
4以上、さらに好ましくは5〜10のα−オレフィン、
たとえばプロピレン、ブテン−1、4−メチル1−ペン
テン、ヘキセン−1、オクテン−1等のα−オレフィン
をランダム共重合成分として、エチレンの共重合を行う
方法がある。重合方法としては液相法または気相法等が
用いられる。
【0029】本発明の効果と該α−オレフィンの炭素数
と該直鎖状低密度ポリエチレンの示差走査型熱量計の熱
分析による融解熱、さらにヤング率とに深くかかわって
おり、より具体的に述べれば次のとおりである。直鎖状
低密度ポリエチレンは本発明に好適に用いられるが、該
融解熱が25cal/g以下、好ましくは25〜5ca
l/gであるか、または20℃におけるヤング率が22
kg/mm2以下、好ましくは22〜3kg/mm2、さ
らに好ましくは22〜5kg/mm2である該ポリエチ
レンについて本発明の効果がより顕著であり、特に両者
が前記領域にある場合に最も顕著である。
【0030】該融解熱、ヤング率が前記領域にあるもの
は重合法、重合条件によって多少異なるが、概していえ
ば共重合成分である該α−オレフィンの含有量が約2モ
ル%以上、好ましくは約2〜7モル%の領域で得られる
場合が多い。共重合成分がブテン−1である直鎖状低密
度ポリエチレンについては該融解熱が15cal/g以
下であるか、または20℃におけるヤング率が12kg
/mm2以下である場合に本発明の効果はより顕著であ
り、特に該両者が前記領域にある場合に最も顕著に該効
果を享受することができる。
【0031】該融解熱、ヤング率が前記領域にある該低
密度ポリエチレンは、概していえばブテン−1の含有量
が約4モル%以上の領域で得られる場合が多い。該含有
量が多くなり過ぎると、該ポリエチレンのもつ他の物理
的特性が不満足なものとなり、好ましくなく、該含有量
は高々数モル%、たとえば7モル%であることが望まし
い。
【0032】また本発明の効果は前述の如く該融解熱ま
たは/およびヤング率が前記特定の領域にある直鎖状低
密度ポリエチレンについて享受し得るが、特に炭素数5
以上、たとえば5〜10のα−オレフィンを共重合成分
とする該ポリエチレンについてより顕著に該効果を享受
することができる。この場合前述と同様の理由から、該
α−オレフィンの含有量は2〜7モル%、より具体的に
は2〜6モル%が好ましく、また該融解熱は前記の如く
該α−オレフィン含有量等と関連しているが、就中該融
解熱は25〜5cal/gであることが好ましく、また
ヤング率は22kg/mm2以下、好ましくは22〜3
kg/mm2、さらに好ましくは22〜5kg/mm2
ある。該オレフィンの中でも本発明の効果がより顕著で
あり、工業的にも容易に得られる4−メチル−1−ペン
テンを共重合成分とする直鎖状低密度ポリエチレンは最
も好適なものの一つである。従来の高圧法低密度ポリエ
チレンの場合は示差走査型熱量計の熱分析による融解熱
または/およびヤング率が前記領域にあっても本発明の
効果を享受することはできない。
【0033】本発明においては前記したとおり、中間層
の両側の表面層の素材としては直鎖状低密度ポリエチレ
ンが最良であるが、その他の熱シール可能な熱可塑性樹
脂(少なくとも片側は)を用いることができ、他の面に
は熱シール不能な樹脂を用いることもできる。ここで熱
シール可能な熱可塑性樹脂としては前記した直鎖状低密
度ポリエチレンの他に高圧法低密度ポリエチレン、低圧
法高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、ポ
リプロピレン、各種ナイロンの如きポリアミド樹脂、ポ
リエステル樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂など
があげられる。また熱シール不能な樹脂としては二軸延
伸されたポリプロピレン、ナイロンなどの如く延伸され
た樹脂があげられる。
【0034】該表面層に用いる樹脂の溶融粘性について
は適宜選択し得るが、特に共押出法により該積層材を得
る場合には用いる中間層の組成、接着性樹脂との溶融粘
性整合性の見地から比較的類似の溶融粘性を有するもの
を選定し、用いるのがより好ましい。該表面層のAST
M−D−1238−65Tにより190℃で測定したM
Iは0.1〜20g/10min、好ましくは0.2〜
10g/10minである。
【0035】本発明の積層包装材は各層が接着性樹脂層
を介して配されて成るものであることが必要であり、該
ゲルボフレックステスターによる耐屈曲疲労性テスト時
にデラミネーションを起こすものであってはならない。
該デラミネーションを起こす場合には中間層の耐屈曲疲
労性の該積層による向上効果は認められず、中間層の損
傷に起因するバリヤー性の低下現象が該積層フィルムに
ピンホールの発生が認められない段階で既に認められる
ので、本発明の効果を享受することができない。
【0036】本発明に用いる接着性樹脂は、実用段階で
該デラミネーションを起こさないものであればよく、特
に限定されないが、強いて言えば柔軟性に富んだ接着性
樹脂がより好適であり、就中、直鎖状低密度ポリエチレ
ンなどの表面層、EVOH層との接着性とも相俟って、
オレフィン系重合体にエチレン性不飽和カルボン酸又は
その無水物を化学的に(たとえば付加反応、グラフト反
応により)結合させて得られるカルボキシル基を含有す
る変性オレフィン系重合体が好適である。ここでオレフ
ィン系重合体とはポリエチレン(低圧、中圧、高圧)、
直鎖状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテ
ンなどのポリオレフィン、オレフィンとこれと共重合し
うるコモノマー(ビニルエステル、不飽和カルボン酸エ
ステルなど)との共重合体、たとえばエチレン−酢酸ビ
ニル共重合体、エチレン−アクリル酸エチルエステル共
重合体などを意味する。このうちエチレン−酢酸ビニル
共重合体(酢酸ビニルの含有量5〜55重量%)、エチ
レン−アクリル酸エチルエステル共重合体(アクリル酸
エチルエステルの含有量8〜35重量%)が好適であ
る。
【0037】エチレン性不飽和カルボン酸またはその無
水物とはエチレン性不飽和モノカルボン酸、そのエステ
ルエチレン性不飽和ジカルボン酸、そのモノまたはジエ
ステル、その無水物があげられ、このうちエチレン性不
飽和ジカルボン酸の無水物が好適である。具体的にはマ
レイン酸、フマル酸、イタコン酸、無水マレイン酸、無
水イタコン酸、マレイン酸モノメチルエステル、マレイ
ン酸モノエチルエステル、マレイン酸ジエチルエステ
ル、フマル酸モノメチルエステルなどがあげられ、就中
無水マレイン酸が好適である。
【0038】エチレン性不飽和カルボン酸またはその無
水物のオレフィン系重合体への付加量またはグラフト量
はオレフィン系重合体に対し0.01〜15重量%、好
ましくは0.02〜10重量%である。エチレン性不飽
和カルボン酸またはその無水物のオレフィン系重合体へ
の付加反応、グラフト反応は、たとえば溶媒(キシレン
など)、触媒(過酸化物など)の存在下でラジカル重合
法などにより得られる。
【0039】このようにして得られたカルボキシル基を
含有する変性ポリオレフィン系重合体のASTM−D−
1238−65Tにより190℃で測定したMIは0.
2〜10、好ましくは0.5〜5である。これらの接着
性樹脂は単独で用いてもよいし、また二種以上を混合し
て用いることもできる。
【0040】接着性樹脂としてカルボキシル基を含有す
る変性オレフィン系重合体、とくにカルボキシル基を含
有するエチレン−酢酸ビニル共重合体、カルボキシル基
を含有するエチレン−アクリル酸エチルエステル共重合
体を使用することにより耐屈曲疲労性にとくに優れた積
層包装材を得ることができる。
【0041】次に本発明の積層包装材の各層の厚さにつ
いて述べると、該表面層の各層があまりに薄すぎると、
たとえば10μ以下に至ると、強度などの他の物理的特
性が低下するので、10μ以上であることが好ましく、
20μ以上であることがより好適である。またあまりに
厚さが増加しずぎると、本発明の効果が減殺されるの
で、該表面層の各層は60μ以下で用いることがより好
ましい。特にバッグインボックスの内容器の構成材に
は、通常25〜60μの厚さ領域から内容量に応じて選
定し、好適に用いることができる。中間層のガス遮断性
を有する薄膜の厚さは40μを越えると耐屈曲疲労性が
低下し、本発明の効果が減殺されるので好ましくない。
本発明の効果を充分に享受するためには中間層の厚さは
40μ以下が好適であり、35μ以下がより好ましい。
接着性樹脂層のそれぞれの厚さは2〜10μであること
が好ましい。
【0042】本発明の積層包装材は共押出法、押出ラミ
ネーション法、ドライラミネーション法などの公知の方
法により得られるが、共押出法が好適である。また共押
出製膜する場合、製膜時のエアースリットの使用が効果
的である。ここでエアースリットとはダイよりキャスト
ロール上に吐出された溶融樹脂膜に対してキャストロー
ルへ密着させ、冷却効果を高める目的でエヤーをスリッ
ト状に吹付ける操作を云う。また該積層包装材を用い
た、バッグインボックス内容器は、該積層構成のフィル
ムをヒートシールし、口金を装着する方法、該積層構成
のシートを真空成形などにより容器とし、これに口金を
接着剤などで固定する方法、また該積層構成の多層パリ
ソンを溶融押出し成形し、口金を挿入した金型ではさ
み、圧縮空気で成形し、この時のパリソンの熱と空気圧
力で本体と口金を熱接着するブロー成形方式など公知の
方法で得ることができる。
【0043】また本発明においてはEVOHを中間層と
し、この両側に直鎖状低密度ポリエチレン層を設けた積
層材に、さらに他の層(樹脂層など)を設けることは、
本発明の目的が阻害されないかぎり自由である。
【0044】このようにして得られた本発明の積層包装
材は食品、とくに液状食品、たとえばワイン、酒などの
アルコール類、しょう油を運搬する際の容器材料として
好適である。すなわち該積層包装材を使用して袋(充填
液の出入れのための口金をそなえている)を作り、この
中に前記したような液状食品を充填したのち、この袋を
密封し、これをバッグインボックス内に積み重ねた、い
わゆるバッグインボックスとし、これを運搬する場合、
袋(内容器)の材料である積層包装材が耐屈曲性に優れ
ているので、亀裂などが生じず、したがって液状食品の
漏れを防ぐことができ、また酸素の侵入による液状食品
の品質劣化を防ぐことができる。
【0045】
【実施例】以下実施例により本発明をさらに説明する
が、本発明はこれによって何ら限定を受けるものではな
い。
【0046】実施例1 エチレン含有量31モル%、ケン化度99.4%190
℃、2,160g荷重の条件下にASTM D−123
8−65Tに準じて測定したメルトインデックス(以下
MI値と記す)1.3g/10分のEVOH80重量部
とエチレン含量86モル%、MI2g/10分のエチレ
ン−酢酸ビニル共重合体20重量部とハイドロタルサイ
ト系化合物(DHT−4A〔Mg4.5Al2(OH)13
3・3.5H2O〕協和化学工業製)0.1重量部から
なる厚さ15μの中間層と該中間層の両側に厚さ各35
μの4−メチル−1−ペンテンを共重合成分とし、該共
重合成分を3.2モル%含み、MI2.1g/10分の
直鎖状低密度ポリエチレン(以下LLDPEと記す)か
らなる表面層を有し、各層間に厚さ5μの酢酸ビニル含
有量33重量%、無水マレイン酸変性度1.5重量%の
変性エチレン−酢酸ビニル共重合体からなる接着性樹脂
層を介して配された積層フィルムを3基の押出機、3種
5層用多層ダイヘッドを用いて共押出法により得た。中
間層に用いた組成はあらかじめ押出機によりブレンドし
たペレットを用いた。得られた積層フィルムについて屈
曲疲労テストを該積層フィルムにピンホールの発生を認
めるまで行うとともに、該ピンホール発生に至るまでの
各段階での液素ガス透過量を測定した。
【0047】屈曲疲労テストは、ゲルボフレックステス
ター(理学工業(株)製)を用い、12in×8inの
試料片を直径3.5inの円筒状となし、両端を把持
し、初期把持間隔7in、最大屈曲時の把持間隔1i
n、ストロークの最初の3.5inで、440°の角度
のひねりを加え、その後の2.5inは直線水平動であ
る動作のくり返し往復動を40回/分の速さで20℃、
相対湿度65%の条件下に行うものである。
【0048】酸素ガス透過量の測定は、Modern
Control社製OX−TRAN100を使用し、2
0℃相対湿度(RHと記す)65%および20℃、80
%RHで測定した。各段階の屈曲疲労テスト後の試料に
ついては12in×8inの平面となし、その中央部で
測定した。またヤング率はASTM D−882−67
に準じて20℃、相対湿度65%で測定した。測定結果
を第1表に示す。ピンホール発生に至るまでの屈曲疲労
テスト過程においては、酸素透過量の変化は殆どなかっ
た。またピンホール発生は該屈曲疲労テスト7000往
復を経過するまで認められず、7100往復経過後、ピ
ンホールの有無を検査に付した時点でピンホール1ケが
既に発生しているのを認めた。また各層間のデラミネー
ションは、全くみられなかった。なお該LLDPEのフ
ィルムを別に得て20℃においてヤング率を測定した結
果13kg/mm2であった。
【0049】
【表1】
【0050】実施例2 実施例1において中間層及び外層の厚みを変更した以外
は実施例1と同様に行った。各層厚さ及び屈曲疲労テス
トの結果を第2表に示した。
【0051】
【表2】
【0052】実施例3 中間層としてエチレン含量46モル%、酢酸ビニル成分
のケン化度99.5%、MI6g/10分のEVOH8
0重量部とエチレン含量90モル%、MI4.5g/1
0分のエチレン−アクリル酸エチル共重合体20重量部
とDHT−4A0.1重量部からなる厚さ30μとした
層を使用し、該中間層の両側に位置する表面層の片方に
35μの実施例1で用いたLLDPEからなる表面層及
び該表面層の他の片方に酢酸ビニル含有量8重量%のエ
チレン−酢酸ビニル共重合体からなる厚さ35μの表面
層を有し、各層間に6μの実施例1で用いた接着性樹脂
層を介して配された積層フィルムを4基の押出機、4種
5層用多層ダイヘッドを用いて共押出法により得た。中
間層に用いた組成はあらかじめ押出機によりブレンドし
たペレットを用いて共押出を行った。該屈曲疲労テスト
7000回往復経過後も該積層包装材ピンホールの発生
を認めなかった。該7000回往復経過迄の各段階にお
ける酸素透過量は1.4cc/m2・24hr・atm
(20℃、80%RH)で殆ど変化がなかった。
【0053】
【発明の効果】耐屈曲疲労性に優れ、フレキシブルで、
気体遮断性に優れている。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 田中 信雄 岡山県倉敷市酒津1621番地 株式会社クラ レ内 (72)発明者 川井 収治 岡山県倉敷市酒津1621番地 株式会社クラ レ内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ガス遮断性を有する薄膜を中間層とし、
    該中間層の両側に表面層を有し、該表面層の少なくとも
    片方が熱シール可能な熱可塑性樹脂層であり、該各層が
    接着性樹脂層を介して配されてなる積層包装材におい
    て、該中間層がエチレン含量25〜60モル%、酢酸ビ
    ニル成分のケン化度95%以上のエチレン−酢酸ビニル
    共重合体ケン化物95〜50重量部、エチレン含量60
    〜99モル%のエチレン−カルボン酸ビニルエステル共
    重合体またはエチレン−アクリル酸エステル共重合体5
    〜50重量部およびハイドロタルサイト系化合物0.0
    1〜3重量部からなることを特徴とする、耐屈曲疲労性
    と気体遮断性に優れたフレキシブル積層包装材。
  2. 【請求項2】 エチレン−カルホン酸ビニルエステル共
    重合体のカルホン酸ビニルエステル成分が一般式CH2
    =CHOCORで表され、Rが1個ないし20個の炭素
    原子を持った直鎖状または分岐状のアルキル基である請
    求項1記載の積層包装材。
  3. 【請求項3】 エチレン−アクリル酸エステル共重合体
    のアクリル酸エステル成分が一般式CH2=CHCO
    2R′で表され、R′が1個ないし20個の炭素原子を
    持った直鎖状または分岐状のアルキル基である請求項1
    または2記載の積層包装材。
  4. 【請求項4】 中間層の両側の表面層が直鎖状底密度ポ
    リエチレンである請求項1記載の積層包装材。
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