JP2017223938A - 偏光フィルムの製造方法及び偏光フィルム、偏光板 - Google Patents

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Abstract

【課題】 ポリビニルアルコール系フィルムを用いた偏光フィルムの製造方法であって、各製造工程の処理液中に溶出するポリビニルアルコールを簡便でより効率的に除去し異物の発生を抑制することができ、欠点がなく光学特性に優れた偏光フィルムの得ることができる、偏光フィルムの製造方法を提供すること
【解決手段】 ポリビニルアルコール系フィルムを用いた偏光フィルムの製造方法であって、少なくともその1つの製造工程において、該工程で使用する処理液をイオン交換性粘土鉱物に接触させることを特徴とする偏光フィルムの製造方法。
【選択図】 なし

Description

本発明は、ポリビニルアルコール系フィルム(以下、ポリビニルアルコールをPVOHと略記することがある。)を用いた偏光フィルムの製造方法に関し、更に詳しくは、高い生産性で効率よく偏光フィルムを製造できる偏光フィルムの製造方法に関するものである。
近年、卓上電子計算機、電子時計、自動車や機械類の計器類、テレビ、ノートパソコン、携帯電話等に液晶表示装置が用いられ、それに伴い偏光板の需要も増大している。
かかる偏光板は、一般に偏光能を有する偏光フィルムの両面あるいは片面に接着剤層を介して保護フィルムが接着されて構成されている。現在、知られている代表的なPVOH系偏光フィルムとしては、PVOH系フィルムにヨウ素を染色・吸着させたものや有機染料を染色・吸着させたものが挙げられるが、中でもヨウ素を染色・吸着させた偏光フィルムは、偏光性能が特に優れる点から好ましく用いられる。
このように、PVOH系フィルムにヨウ素や有機染料などの二色性の材料を染色・吸着させた偏光フィルムは、PVOH系樹脂の水溶液を製膜し、得られるPVOH系フィルムに対して、染色処理、耐久化のためのホウ素化合物処理及び一軸延伸処理を施してなるものであり、好ましくは染色処理後、ホウ素化合物処理を行いながら一軸延伸を行ってなるものであり、また、保護フィルムとしては、酢酸セルロース系フィルムが光学的透明性、無配向性等に優れているため汎用されている。
上記の偏光フィルムのうち、ヨウ素を染色・吸着させたヨウ素系偏光フィルムは、染料系偏光フィルムに比べて、高透過率及び高偏光度が得られるという点から、ヨウ素系偏光フィルムが広く用いられている。
このようなヨウ素系偏光フィルムの製造に際しては、製造工程において使用されるPVOH、ヨウ素、ヨウ化カリウム、ホウ素化合物等が反応することにより異物が発生してしまうことがあり、具体的には、染色槽からホウ素化合物処理槽に持ち込まれるヨウ素や溶出したPVOHが、ホウ素化合物処理槽中のホウ酸、ヨウ化カリウムと共に冷却され会合することにより、異物、即ち、ポリヨードイオン・PVOH錯体が生成すると考えられている。
かかる異物は、偏光フィルムに付着し、欠点となって偏光フィルムの品質を低下させてしまい、歩留まりも低下するという問題点があった。
そこで、上記のようなPVOHに起因する異物の発生を防ぐ方法として、偏光フィルムの製造工程において、PVOHフィルムを架橋剤及びヨウ化物を含有する処理液中に浸漬する際に、前記処理液を活性炭に接触させることにより処理液中に溶出したPVOHを吸着除去する偏光フィルムの製造方法が提案されていた(例えば、特許文献1参照。)。
特開2008−292935号公報
しかしながら、特許文献1の開示技術では、溶出したPVOHに起因する異物をある程度除去できるものの、吸着平衡の限界からまだまだ不充分であり、原理的に吸着量と共に除去効率も低下することとなり、まだまだ満足のいくものではなかった。
そこで、本発明ではこのような背景下において、ポリビニルアルコール系フィルムを用いた偏光フィルムの製造方法であって、各製造工程の処理液中に溶出するポリビニルアルコールを簡便でより効率的に除去し異物の発生を抑制することができ、欠点がなく光学特性に優れた偏光フィルムを得ることができる、偏光フィルムの製造方法を提供することを目的とするものである。
しかるに、本発明者はかかる事情に鑑みて鋭意検討した結果、従来PVOHの吸着剤として一般的に使用されていた活性炭に変えて、より吸着能力の優れるイオン交換性粘土鉱物を使用することにより、欠点がなく、更には光学特性にも優れた偏光フィルムが製造できることを見出し、本発明を完成した。
即ち、本発明の要旨は、ポリビニルアルコール系フィルムを用いた偏光フィルムの製造方法であって、少なくともその1つの製造工程において、該工程で使用する処理液をイオン交換性粘土鉱物に接触させることを特徴とする偏光フィルムの製造方法に関するものである。
また、本発明においては、前記偏光フィルムの製造方法により得られてなる偏光フィルム、更には偏光板も提供するものである。
本発明では、偏光フィルムの製造工程の処理液中に溶出するポリビニルアルコールを簡便でより効率的に除去し、異物の発生を抑制することができ、欠点がなく光学特性に優れた偏光フィルムを得ることができるものであり、得られた偏光フィルムは、高品位が求められる液晶表示装置に使用する偏光フィルム、更には偏光板として有用である。
以下に、本発明を詳細に説明する。
本発明で用いるPVOH系フィルムは、PVOH系樹脂を含有する樹脂水溶液を用いて流延製膜される。
PVOH系樹脂としては、通常、未変性のポリビニルアルコール系樹脂、即ち、酢酸ビニルを重合して得られるポリ酢酸ビニルをケン化して製造される樹脂が用いられる。必要に応じて、酢酸ビニルと、少量(通常、10モル%以下、好ましくは5モル%以下)の酢酸ビニルと共重合可能な成分との共重合体をケン化して得られる樹脂を用いることもできる。酢酸ビニルと共重合可能な成分としては、例えば、不飽和カルボン酸(例えば、塩、エステル、アミド、ニトリル等を含む)、炭素数2〜30のオレフィン類(例えば、エチレン、プロピレン、n−ブテン、イソブテン等)、ビニルエーテル類、不飽和スルホン酸塩等が挙げられる。また、ケン化後の水酸基を化学修飾して得られる変性ポリビニルアルコール系樹脂を用いることもできる。
また、PVOH系樹脂として、側鎖に1,2−ジオール構造を有するポリビニルアルコール系樹脂を用いることもできる。かかる側鎖に1,2−ジオール構造を有するポリビニルアルコール系樹脂は、例えば、(i)酢酸ビニルと3,4−ジアセトキシ−1−ブテンとの共重合体をケン化する方法、(ii)酢酸ビニルとビニルエチレンカーボネートとの共重合体をケン化及び脱炭酸する方法、(iii)酢酸ビニルと2,2−ジアルキル−4−ビニル−1,3−ジオキソランとの共重合体をケン化及び脱ケタール化する方法、(iv)酢酸ビニルとグリセリンモノアリルエーテルとの共重合体をケン化する方法、等により得られる。
本発明で用いるPVOH系樹脂の平均ケン化度は、通常90モル%以上であることが好ましく、特に好ましくは95モル%以上、更に好ましくは98モル%以上、殊に好ましくは99モル%以上、より好ましくは99.5モル%以上である。平均ケン化度が小さすぎるとPVOH系樹脂を偏光フィルムとする場合に充分な光学性能が得られない傾向がある。
ここで、本発明における平均ケン化度は、残存酢酸ビニルの加水分解に要するアルカリ消費量で分析することにより得られる。
更に、かかるPVOH系樹脂の粘度は、20℃における4重量%水溶液粘度として、通常8〜500mPa・sであることが好ましく、特に好ましくは20〜400mPa・s、更に好ましくは40〜400mPa・sである。かかる4重量%水溶液粘度が小さすぎると偏光フィルム作製時の延伸性が低下する傾向があり、大きすぎるとフィルムの平面平滑性や透明性が低下する傾向がある。
ここで、本発明における水溶液粘度は、ヘプラー粘度計における鋼球の落下秒数を計測することにより測定される。
本発明で用いるPVOH系樹脂として、上記PVOH系樹脂において、変性種、変性量、平均ケン化度、粘度などの異なる2種以上のものを併用してもよい。
本発明で用いるPVOH系樹脂水溶液には、必要に応じてグリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、エチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、トリメチロールプロパン等、一般的に使用される可塑剤の一種又は二種以上をPVOH系樹脂に対して好ましくは30重量%以下、特に好ましくは3〜25重量%、更に好ましくは5〜20重量%含有させることもできる。該可塑剤が多すぎるとフィルム強度が低下する傾向がある。
また、更に好ましくはフィルムの製膜時の基材(ロールやベルト等)からの剥離性を向上させるために、各種界面活性剤の一種又は二種以上をPVOH系樹脂に対して5重量%以下、好ましくは0.001〜3重量%、更に好ましくは0.001〜2重量%含有させることができる。該界面活性剤が多すぎるとフィルムの表面の外観不良やフィルム同士のブロッキングが起こりやすい傾向がある。
上記PVOH系樹脂水溶液は、水に溶解したものであるが、溶媒として、水の他に、例えば、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N−メチルピロリドン、グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、トリメチロールプロパン等の多価アルコール、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン等のアミン類及びこれらの混合物を併用することもできる。
PVOH系樹脂水溶液中のPVOH系樹脂の濃度は、通常5〜50重量%、好ましくは20〜40重量%である。
本発明において、偏光フィルムの製造法としては、まず、PVOH系樹脂水溶液を調製し、該水溶液をT型スリットダイより、ドラム型ロールまたはエンドレスベルト(好ましくはドラム型ロール)に流延して製膜し乾燥することで原反フィルムを製造し、その後、該原反フィルムに、膨潤処理、染色処理、ホウ酸架橋処理、延伸処理、乾燥処理等を施して、偏光性能を付与し、偏光フィルムとする方法が一般的である。
上記のドラム型ロールの材質としては、通常ステンレスが好適に用いられ、かかるロール表面は傷つき防止のため金属メッキが施されていることが好ましい。金属メッキの種類としては、例えばクロムメッキ、ニッケルメッキ、亜鉛メッキ等が好適に用いられ、単独で又は2種以上の多層の組み合わせで使用することができ、特に表面平滑化の容易さやその耐久性の点から最表面がクロムメッキであることが好ましい。ドラムの表面は平滑性を保持することが望ましく、表面粗さが3S以下、特に0.5S以下が望ましい。
製膜時のドラム型ロールの温度は50〜120℃が実用的であり、フィルムの含水率が5〜30重量%程度に達した時点でロールから剥離する。続いて、単独又は多段ロールを用いて乾燥、好ましくは多段ロールを用いてフィルムの表裏面の交互乾燥が継続され、乾燥した後に、未延伸のPVOH系フィルムが形成される。
必要に応じて、乾燥後、熱処理や調湿が行われ、芯管にロール状態に巻き取られてPVOH系フィルムが得られる。得られるPVOH系フィルムの膜厚としては、10〜100μmが好ましく、特に好ましくは20〜90μm、更に好ましくは30〜80μmである。膜厚が薄すぎると延伸が難しくなる傾向があり、厚すぎると膜厚精度が低下する傾向がある。
PVOH系フィルムの幅は、通常、50cm〜6mであるが、近時の市場の要求が強い幅広フィルムの場合、好ましくは2m以上、特に好ましくは2.5m以上、更に好ましくは3m以上、殊に好ましくは4m以上である。フィルムの長さは、通常1〜30km、好ましくは5〜20kmである。
次に、PVOH系フィルムを用いた偏光フィルムの製造方法について説明する。
本発明においては、PVOH系フィルムに、膨潤処理、染色処理、ホウ酸架橋処理、延伸処理、洗浄処理、乾燥処理等を施して、偏光性能を付与し、偏光フィルムとなるが、好ましくは、少なくとも1)膨潤工程、2)染色工程、3)ホウ酸架橋工程、及び4)延伸工程の4つの工程を有する製造方法であることが好ましい。
1)膨潤工程は、染色工程の前に施される。膨潤工程により、ポリビニルアルコール系フィルム表面の汚れを洗浄することができるほかに、ポリビニルアルコール系フィルムを膨潤させることで染色ムラなどを防止する効果もある。膨潤工程において、処理液としては、通常、水が用いられる。当該処理液は、主成分が水であれば、ヨウ化化合物、界面活性剤等の添加物、アルコール等が少量入っていてもよい。膨潤浴の温度は、通常10〜45℃程度であり、膨潤浴への浸漬時間は、通常0.1〜10分間程度である。
2)染色工程は、フィルムにヨウ素または二色性染料を含有する液体を接触させることによって行なわれる。通常は、ヨウ素−ヨウ化カリウムの水溶液が用いられ、ヨウ素の濃度は通常0.1〜2g/L、ヨウ化カリウムの濃度は通常1〜100g/Lである。染色時間は30〜500秒程度が実用的であり、処理浴の温度は5〜50℃が好ましい。水溶液には、水溶媒以外に水と相溶性のある有機溶媒を少量含有させてもよい。
3)ホウ酸架橋工程は、ホウ酸やホウ砂などのホウ素化合物を使用して行われる。ホウ素化合物は水溶液または水−有機溶媒混合液の形で、通常、濃度10〜100g/L程度で用いられ、液中にはヨウ化カリウムを共存させることが、偏光性能の安定化の点で好ましい。処理時の温度は30〜70℃程度、処理時間は0.1〜20分程度が好ましく、また必要に応じて処理中に延伸操作を行なってもよい。
4)延伸工程は、一軸方向に3〜10倍、好ましくは3.5〜6倍延伸することが好ましい。この際、延伸方向の直角方向にも若干の延伸(幅方向の収縮を防止する程度、またはそれ以上の延伸)を行なっても差し支えない。延伸時の温度は、30〜170℃が好ましい。さらに、延伸倍率は最終的に前記範囲に設定されればよく、延伸操作は一段階のみならず、製造工程の任意の範囲の段階に実施すればよい。
また、上記洗浄工程は、例えば、水やヨウ化カリウム等のヨウ化物水溶液にポリビニルアルコール系フィルムを浸漬することにより行われ、フィルムの表面に発生する析出物を除去することができる。ヨウ化カリウム水溶液を用いる場合のヨウ化カリウム濃度は1〜60g/L程度でよい。洗浄処理時の温度は、通常、5〜50℃、好ましくは10〜45℃である。処理時間は、通常、1〜300秒間、好ましくは10〜240秒間である。なお、水洗浄とヨウ化カリウム水溶液による洗浄は、適宜組み合わせて行ってもよい。
そして、上記乾燥工程は、大気中で40〜80℃で1〜10分間の乾燥を行えばよい。
本発明では、上述した偏光フィルムの製造方法において、少なくとも1つの工程において、該工程で使用する処理液をイオン交換性粘土鉱物に接触させることを最大の特徴とするものである。
上記イオン交換性粘土鉱物を処理液に接触させるタイミングとしては、2)染色工程、3)ホウ酸架橋工程で使用する処理液に対して行なうことが好ましく、効率的に吸着除去が行なえる点で、特に好ましくは2)の染色工程である。
本発明で用いられるイオン交換性粘土鉱物としては、例えば、モンモリロナイト、ベントナイト、酸性白土、活性白土等のカチオン交換性粘土鉱物、ハイドロタルサイト等のアニオン交換性粘土鉱物が挙げられる。これらの中でも、活性白土とハイドロタルサイトが好ましい。
かかるイオン交換性粘土鉱物を、偏光フィルムの製造過程で使用される処理液と接触させる方法としては、特に限定されるものではなく、公知一般の方法を用いればよいが、例えば、バッチ処理、連続処理等が挙げられる。これらの方法について、イオン交換性粘土鉱物が粉末状のものである場合は、バッチ処理を行なうことが好ましく、また、イオン交換性粘土鉱物が粒状のものである場合は連続処理を行なうことが好ましい。
上記バッチ処理を行なう場合の処理時間は、通常5分〜5時間程度であり、好ましくは30分〜2時間である。
また、上記バッチ処理を行なう場合に使用するイオン交換性粘土鉱物の使用量は、PVOH樹脂濃度が50ppmの処理液100重量部に対して、通常0.1〜20重量部であり、好ましくは0.5〜5重量部である。
上記連続処理を行なう際には、充填塔を使用することが好ましく、また、使用する粒状のイオン交換性粘土鉱物としては、通常2〜200メッシュ、好ましくは5〜100メッシュの粒子サイズのものであればよい。
連続処理を行なう際の、処理液の通液速度としては、粒状イオン交換性粘土鉱物を体積10mlになるように充填塔につめた際で、通常1〜100g/hr、好ましくは5〜80g/hrである。
上記バッチ処理および連続処理を行なう際の処理液の温度としては、通常10〜80℃、好ましくは20〜70℃である。
かくして本発明の偏光フィルムが得られる。
本発明で得られる偏光フィルムの偏光度は、好ましくは99.5%以上、特に好ましくは99.8%以上である。偏光度が低すぎると液晶ディスプレイにおけるコントラストを確保することができなくなる傾向がある。
なお、偏光度は、一般的に2枚の偏光フィルムを、その配向方向が同一方向になるように重ね合わせた状態で、波長λにおいて測定した光線透過率(H11)と、2枚の偏光フィルムを、配向方向が互いに直交する方向になる様に重ね合わせた状態で、波長λにおいて測定した光線透過率(H1)より、下式にしたがって算出される。
〔(H11−H1)/(H11+H1)〕1/2
さらに、本発明で得られる偏光フィルムの単体透過率は、好ましくは42%以上である。かかる単体透過率が低すぎると液晶ディスプレイの高輝度化を達成できなくなる傾向がある。
単体透過率は、分光光度計を用いて偏光フィルム単体の光線透過率を測定して得られる値である。
本発明の偏光フィルムは、色ムラの少ない偏光板を製造するのに好適である。
以下、本発明の偏光板の製造方法について説明する。
本発明の偏光フィルムは、その片面または両面に、接着剤を介して、光学的に等方性な樹脂フィルムを保護フィルムとして貼合されて偏光板となる。保護フィルムとしては、たとえば、セルローストリアセテート、セルロースジアセテート、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、シクロオレフィンポリマー、シクロオレフィンコポリマー、ポリスチレン、ポリエーテルスルホン、ポリアリーレンエステル、ポリ−4−メチルペンテン、ポリフェニレンオキサイドなどのフィルムまたはシートがあげられる。
貼合方法は、公知の手法で行われるが、例えば、液状の接着剤組成物を、偏光フィルム、保護フィルム、あるいはその両方に均一に塗布した後、両者を貼り合わせて圧着し、加熱や活性エネルギー線を照射することで行われる。
また、偏光フィルムには、薄膜化を目的として、上記保護フィルムの代わりに、その片面または両面にウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、ウレア樹脂などの硬化性樹脂を塗布し、硬化して偏光板とすることもできる。
本発明の製造法により得られる偏光フィルムや偏光板は、表示欠点や色ムラがなく偏光性能にも優れており、携帯情報端末機、パソコン、テレビ、プロジェクター、サイネージ、電子卓上計算機、電子時計、ワープロ、電子ペーパー、ゲーム機、ビデオ、カメラ、フォトアルバム、温度計、オーディオ、自動車や機械類の計器類などの液晶表示装置、サングラス、防眩メガネ、立体メガネ、ウェアラブルディスプレイ、表示素子(CRT、LCD、有機EL、電子ペーパーなど)用反射防止層、光通信機器、医療機器、建築材料、玩具などに好ましく用いられる。
以下、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。
尚、例中「部」、「%」とあるのは、重量基準を意味する。
偏光フィルムの製造において、異物発生の原因となる処理液中に溶出したポリビニルアルコールを、イオン交換性粘土鉱物により簡便でより効率的に除去する方法について、下記の通り評価を行った。
[偏光膜の製造]
厚さ60μmのポリビニルアルコール系フィルムをロールから巻出し、膨潤槽において、水温30℃の水に浸漬しつつ1.7倍に延伸した。次に30℃のヨウ素/ヨウ化カリウムからなる染色槽に浸漬しつつ1.6倍延伸した後、55℃のホウ酸/ヨウ化カリウムからなる処理液でホウ酸架橋を行なうと同時に延伸槽で2.1倍延伸を行った。その後、ヨウ化カリウム水溶液で洗浄を行い、乾燥して総延伸倍率5.8倍の偏光膜を連続的に得た。
[(1)染色槽の処理液に対するPVOH吸着性能(バッチ処理)]
[実施例1−1]
上記偏光膜製造時の染色槽の処理液を用意し、処理液中のPVOH濃度をUV吸光度法(特開2001-316491号公報に記載の方法に準拠した)で測定した。
次いで、上記処理液30gに対して、粉末状活性白土(和光純薬工業(株)社製)0.3gを添加し、常温下、「MIX−ROTAR MR−5」(ASONE社製:回転数40rpm)を使用し30分間撹拌後、2時間静置し、得られた上澄み液をデカンテーションし、UV吸光度法にてPVOH濃度を測定した。更に、残渣に対して上記と同じ操作を4回繰り返し、合計5回処理を行なった際の上澄み液中のPVOH濃度の変化、および吸着除去率の変化を測定した。結果は表1に示す。
[実施例1−2]
実施例1−1において、活性白土に代えて、粉末状ハイドロタルサイト(和光純薬工業(株)社製)を用いた以外は、実施例1−1と同様にして、上澄み液中のPVOH濃度の変化、および吸着除去率の変化を測定した。結果は表1に示す。
[実施例1−3]
実施例1−1において、粉末状活性白土に代えて、粒状活性白土(水澤化学工業(株)社製、商品名「ガレオナイト#136」)を用い、その配合量を3gに変更し、処理回数を合計4回の処理に変更した以外は、実施例1−1と同様にして、上澄み液中のPVOH濃度の変化、および吸着除去率の変化を測定した。結果は表1に示す。
[比較例1−1]
実施例1−1において、粉末状活性白土に代えて、粒状活性炭(二村化学工業(株)社製、「太閤活性炭GL130A」)を用い、その配合量を3gに変更し、処理回数を合計4回の処理に変更した以外は、実施例1−1と同様にして、上澄み液中のPVOH濃度の変化、および吸着除去率の変化を測定した。結果は表1に示す。
また、粒状活性炭が染色槽の処理液中のヨウ素と反応し吸着してしまい、上澄み液は無色透明となった。
Figure 2017223938
[(2)ホウ酸架橋に用いた処理液に対するPVOH吸着性能(バッチ処理)]
[実施例2−1]
上記偏光膜製造時のホウ酸架橋に用いた処理液を用意し、処理液中のPVOH濃度をUV吸光度法(特開2001-316491号公報に記載の方法に準拠した)で測定した。
次いで、上記処理液60gに対して、粉末状活性白土(和光純薬工業(株)社製)0.6gを添加し、ホットプレートスターラーを使用し、60℃で30分間撹拌後、60℃で2時間静置し、得られた上澄み液をデカンテーションし、UV吸光度法にてPVOH濃度を測定した。更に、残渣に対して上記と同じ操作を2回繰り返し、合計3回処理を行なった際の上澄み液中のPVOH濃度の変化、および吸着除去率の変化を測定した。結果は表2に示す。
[実施例2−2]
実施例2−1において、粉末状活性白土に代えて、粉末状ハイドロタルサイト(和光純薬工業(株)社製)を用いた以外は、実施例2−1と同様にして、上澄み液中のPVOH濃度の変化、および吸着除去率の変化を測定した。結果は表2に示す。
[実施例2−3]
実施例2−1において、粉末状活性白土に代えて、粒状活性白土(水澤化学工業(株)社製、商品名「ガレオナイト#136」)を用いた以外は、実施例2−1と同様にして、上澄み液中のPVOH濃度の変化、および吸着除去率の変化を測定した。結果は表2に示す。
[比較例2−1]
実施例2−1において、粉末状活性白土に代えて、粒状活性炭(二村化学工業(株)社製、「太閤活性炭GL130A」)を用いた以外は、実施例2−1と同様にして、上澄み液中のPVOH濃度の変化、および吸着除去率の変化を測定した。結果は表2に示す。
Figure 2017223938
上記表1および2の結果より、実施例においては、染色槽の処理液およびホウ酸架橋に用いた処理液に対するPVOH吸着性能は、活性白土、ハイドロタルサイト共に優れるものであり、両者とも繰り返し使用した場合でも、効率よく処理液中のPVOHを吸着除去できることがわかった。
また、比較例1−1では、活性炭がPVOHに対してある程度の吸着除去性能を示すものであることがわかるが、染色槽の処理液中に含まれるヨウ素と反応してしまい、染色槽の本来の機能が失われてしまっていることがわかった。
更に、比較例2−1の結果からは、粒状活性炭は延伸槽中のPVOH吸着除去性能には劣るものであることがわかった。
[(3)染色槽の処理液に対するPVOH吸着性能(連続処理)]
[実施例3−1]
粉末状活性白土(和光純薬工業(株)社製)0.3gを5mlビュレットに充填し、0.48mlの吸着層とした後、上記偏光膜製造時の染色槽処理液(PVOH濃度28.4ppm)を2.3g/hrで通液し、流出した処理液中のPVOH濃度を測定した。
結果、流出液量360gの時点までPVOHは検出されず、その後徐々に検出量が増えたが、流出液量450gの時点でも流出液中のPVOH濃度は5.6ppmであり、処理液中に溶解していたPVOHの99.8%が吸着除去できた。
[実施例3−2]
粒状活性白土(水澤化学工業(株)社製、商品名「ガレオナイト#136」;粒度710〜250μm約80%)15gを50mlビュレットに充填し、27.2mlの吸着層とした後、染色槽処理液(PVOH濃度38.4ppm)を60g/hrで通液し、流出した処理液中のPVOH濃度を測定した。
結果、流出液量2000gの時点までPVOH濃度は1ppm以下であり、その後徐々に検出量が増えたが、流出液量4300gの時点でも流出液中のPVOH濃度は8.2ppmであった。更に、通液速度を20g/hrに下げたところ、流出液中のPVOH濃度が1.7ppmとなり、流出液量5000gまで継続してもPVOH濃度が増えることはなかった。
[実施例3−3]
粒状活性白土(水澤化学工業(株)社製、商品名「ガレオナイト#136」;粒度710〜250μm約80%)5gを50mlビュレットに充填し、9.1mlの吸着層とした後、染色槽処理液(PVOH濃度37.0ppm)を20g/hrで通液し、流出した処理液中のPVOH濃度を測定した。
結果、流出液量850gの時点までPVOH濃度は1ppm以下であり、その後徐々に検出量が増えたが、流出液量2000gの時点でも流出液中のPVOH濃度は10ppm以下であった。流出液量5000gまで通液を継続し、PVOH濃度20.8ppmになった時点で、カラムを沸騰水750gで50g/hrの速度で通液洗浄した。その後、染色液の通液を再開したところ、PVOHの吸着性能が回復しており、流出液中のPVOH濃度は1ppm以下となった。
本発明の製造法により得られる偏光フィルムや偏光板は、表示欠点や色ムラがなく偏光性能にも優れており、携帯情報端末機、パソコン、テレビ、プロジェクター、サイネージ、電子卓上計算機、電子時計、ワープロ、電子ペーパー、ゲーム機、ビデオ、カメラ、フォトアルバム、温度計、オーディオ、自動車や機械類の計器類などの液晶表示装置、サングラス、防眩メガネ、立体メガネ、ウェアラブルディスプレイ、表示素子(CRT、LCD、有機EL、電子ペーパーなど)用反射防止層、光通信機器、医療機器、建築材料、玩具などに好ましく用いられる。

Claims (7)

  1. ポリビニルアルコール系フィルムを用いた偏光フィルムの製造方法であって、少なくともその1つの製造工程において、該工程で使用する処理液をイオン交換性粘土鉱物に接触させることを特徴とする偏光フィルムの製造方法。
  2. 偏光フィルムの製造工程が、1)膨潤工程、2)染色工程、3)ホウ酸架橋工程、及び4)延伸工程を有するものであり、イオン交換性粘土鉱物を、2)染色工程および/または3)ホウ酸架橋工程で使用される処理液に接触させることを特徴とする請求項1記載の偏光フィルムの製造方法。
  3. イオン交換性粘土鉱物が活性白土および/またはハイドロタルサイトであることを特徴とする請求項1または2記載の偏光フィルムの製造方法。
  4. 接触をバッチ処理により行なうことを特徴とする請求項1〜3いずれか記載の偏光フィルムの製造方法。
  5. 接触を充填塔を用いた連続処理により行なうことを特徴とする請求項1〜3いずれか記載の偏光フィルムの製造方法。
  6. 請求項1〜5いずれか記載の偏光フィルムの製造方法により得られることを特徴とする偏光フィルム。
  7. 請求項6記載の偏光フィルムを用いてなることを特徴とする偏光板。
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